JP2008153142A - 高圧放電灯点灯装置及び高圧放電灯の点灯方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】高圧放電灯に交流ランプ電流を印加する交流電力供給回路、及び交流電力供給回路を制御する制御回路からなり、制御回路が該交流ランプ電流として50Hz以上1kHz以下の矩形波電流である基準波形電流及び基準波形電流を変形したフリッカ抑制波形電流を交流電力供給回路に出力させることができる高圧放電灯点灯装置において、制御回路が、所定のタイミングで交流ランプ電流をフリッカ抑制波形電流から基準波形電流に切替える切替え手段、及び高圧放電灯の点灯状態に関するパラメータを監視しそのパラメータに基づいて所定のタイミングを決定する決定手段を備えた。
【選択図】図1
Description
また、特許文献3では、低周波矩形波電流をベースとして、その半サイクルにおいて開始時よりも終了時に向けて電流が徐々に高くなっていくような電流波形が開示されている(本願図9(a)参照)。
またさらに、特許文献4では矩形波電流の半サイクルの開始部分が高くなっているものや開始部分及び終了部分が高くなっているものが開示されている(本願図13(b)〜(f)参照)。
図12は従来例の回路構成図であり、全波整流回路10、全波整流回路10の直流電圧をPWM(パルス幅変調)制御回路により所定のランプ電力に制御する降圧チョッパ回路20、降圧チョッパ回路20の直流出力電圧を低周波の交流矩形波電圧に変換してランプ60に印加するためのフルブリッジ回路40、ランプ始動時に高圧パルス電圧をランプに印加するためのイグナイタ回路50、及びランプ電力を検出し定ランプ電力制御や定ランプ電流制御を行うための制御回路30で構成されている。
図示するように印加されるランプ電流波形は、1サイクルの高周波電流の期間(THF)と半サイクルの低周波電流の期間の繰り返しからなり、図3(a)及び(c)では期間THFの後半の半サイクルの電流値が低周波電流の期間の電流値よりも高くなり、一方、図3(b)及び(d)では期間THFの1サイクル全体の電流値が低周波電流の期間の電流値よりも高くなっている。
液晶プロジェクタ用の高圧水銀ランプは一般的に、封入物として水銀のほかにハロゲン物質が封入されている。このハロゲン物質のハロゲンサイクルが行われることによりタングステンが蒸発し発光管内に存在するハロゲン等と結合するとタングステン化合物を形成する。このタングステン化合物は対流などによって管璧付近から電極先端付近へ拡散し、高温部でタングステン原子に分解される。そしてタングステン原子はアーク中で電離することで陽イオンとなる。交流点灯している両電極が陽極と陰極を点灯周波数ごとに繰り返すが、この陰極動作をしている時にアーク中の陽イオンは、電界によって陰極側に引き寄せられることで両電極先端に析出され、それが突起を形成するものと考えられている。
特許文献1〜4について、それぞれのフリッカ抑制波形電流による突起形成・成長のメカニズムやその効果はそれぞれ異なるものと考えられるが、何らかのフリッカ抑制波形電流を印加し続けた結果として上述したように突起が必要以上に成長してしまうことが分かってきている。
発生する発熱損失は巻き線の線径を太くすることで抑えることができ、音の発生はコアとボビンとを接着すること(例えば、巻線も含めてワニスで含浸すること)である程度抑えることはできるが、その結果として装置の大型化や重量化、さらにはコスト増となり好適な対策とはいえない。
さらに、フリッカ抑制波形電流から基準波形電流への切替えの際に、高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流の期間幅を段階的に又は連続的に減少するようにした。
さらに、フリッカ抑制波形電流から基準波形電流への切替えの際に、交流ランプ電流がフリッカ抑制波形電流から、フリッカ抑制波形電流と基準波形電流との電流波形上の相違を補完する少なくとも1つの補完波形電流を経由して、基準波形電流へ切替えられるようにした。
そのフローチャートを図1に示す。まず、電源1が投入されると、ステップ101において始動制御が行われランプが点灯開始する。ステップ102において、フリッカ抑制波形電流によってランプが点灯される。ステップ103において、ランプに関する何らかのパラメータを監視し、そのパラメータに基づいて切替えタイミングに達したか否かを判定する。ここで、切替えタイミングに達していなければステップ102を継続し、達していればステップ103に進む。ステップ103においてランプ電流をフリッカ抑制電流から基準波形電流に切替え、ステップ104において基準波形電流による点灯が継続される。なお、以下の実施例においても基準波形電流は50Hz〜1kHzである。
図2は本発明の第1の実施例を示す図である。従来例の図12と同様の部分については同じ符号を付し、その説明を省略する。図12との違いは制御回路30内の切替え手段301及び決定手段(タイマ)302を備えた点である。なお、制御回路30内の要素の全部又は一部をマイコンに取り込んでもよいし、それぞれ独立した回路で構成してもよい。
そして、点灯開始からの経過時間をタイマ302でカウントする。
一方、突起の形成や成長があるという前提において、図3(a)又は(b)のようなフリッカ抑制波形電流で点灯し続けると、図5(b)に示すように、突起が成長を続けてしまい、ランプ電圧が降下していく場合がある。
なお、図5(c)においてはts<txとしているが、tsはランプの点灯条件等によって多少異なる値であり、結果としてtx≦tsとなってもよい。
装置Aはフリッカ抑制波形電流を出力し続ける装置であり、装置Bは基準波形電流のみを出力し続ける装置であり、装置Cは本実施例のように点灯開始10分のタイミングでフリッカ抑制波形電流から基準波形電流に出力を切り替える装置である。
表1
10分経過後であれば基準波形電流を印加するようにしてもそれまでに形成された突起を起点としてアークの位置が定まりフリッカは起こらず、また、表から分かるように、その突起はそれ以上成長しないことが確認された。
表2
表から分かるように、全ての測定周波数帯において装置Bの騒音レベルが装置Aの騒音レベルよりも低いことが確認された。即ち、点灯開始後の所定の時間経過後(例えば10分後)には騒音の低い状態で装置を使用できるということを意味するものである。
表3
表から分かるように、装置Bの場合は装置Aの場合よりも絶対温度として9度も低いことが確認された。また、周囲温度との差分である温度上昇については装置Aが43.2deg、装置Bが34.2degであり、温度上昇(即ち、損失)が約20%も低減されたことが分かる。
また、点灯開始からの経過時間のみに基づいて切替え動作を行うので複雑な制御を必要せず、不要な誤動作を誘発することもない。また、切替えタイミングを点灯開始から10分後としたが、ランプ定格等を考慮して1.5分後〜20分後の範囲で適切な時間を用いればよい。
実施例1では、切替えタイミングの判断材料を点灯開始からの経過時間に基づくものとしたが、本実施例ではその判断がランプ電圧に基づくものを示す。
図6は本実施例を示す回路図である。実施例1との違いはタイマの代わりに決定手段としてランプ電圧判定回路303を設けた点である。ランプ電圧判定回路303は分圧抵抗31及び32によって検出されるランプ電圧VLを取り込み、切替えタイミングを決定するものである。
例えば、(1)ランプ電圧が一度適正なランプ電圧の範囲になった後に所定値(例えば60V)以下になった時点で切替え手段301を動作させてフリッカ抑制波形電流から基準波形電流に切り替えてもよいし、(2)点灯開始から所定の時間経過後にランプ電圧が所定値以下になった時点で切替えてもよいし、(3)所定の時間が経過してもランプ電圧が低い状態の場合に切替えを行ってもよい。なお、上記(2)及び(3)の場合は、タイマを用いる必要がある。
実施例1及び2においては、切替え手段301がフリッカ抑制波形電流から基準波形電流への切替えを瞬時に行うものを示したが、本実施形態においては、それを多段階的又は連続的に行うものを示す。即ち、図1のステップ103における切替えの際に、フリッカ抑制波形電流から、フリッカ抑制波形電流と基準波形電流との電流波形上の相違を補完するような少なくとも1つの補完波形電流を経由して、基準波形電流に移行するものである。
図7はフリッカ抑制波形電流の高周波部分(THF)の期間幅を徐々に減らしていくものである。切替えの際に、図7(a)の波形から、(b)及び(c)の波形を経由して、即ち、低周波部分の期間幅を変えずに高周波部分(THF)の期間幅を減少・消滅させ、(d)の波形に到達するものである。
また、図8はフリッカ抑制波形電流の高周波部分の後半部分(Thalf)の期間幅を徐々に減らしていくものである。切替えの際に、図8(a)の波形から、(b)及び(c)の波形を経由して、即ち、低周波部分及び高周波部分を含めた全体の周期を変えずに期間(Thalf)の幅を減少・消滅させ、(d)の波形に到達するものである。
なお、図7〜図9において、そのランプ電流波形の変化は段階的なものとしてもよいし、連続的なものとしてもよい。
上記実施例1から3では、フリッカ防止とランプ電極間距離の維持を両立し、かつ低騒音・低損失であるような高圧放電灯点灯装置を示したが、それを用いたアプリケーションとしての光源装置を図10に示す。
図10において、71は上記で説明した高圧放電灯点灯装置、72はランプ60が取り付けられるレフレクタ、73は必要に応じて高圧放電灯点灯装置71、ランプ60及びレフレクタ72を内蔵する筐体である。なお、図は実施例を模擬的に図示したものであり、寸法、配置などは図面通りではない。また、図示されない映像系の部材等を筐体73内に適宜配置してプロジェクタを構成することもできる。
(1)本実施例における低周波電流としての「矩形波」とは、厳密には完全な矩形波ではないような波形も含むものとする。例えば、完全な矩形波に1サイクル以上の正弦波等がフリッカ抑制以外の目的で重畳されたような波形、矩形波半サイクルの開始時の電流値と終了時の電流値とが僅かに異なるような波形、半サイクルの中盤に僅かな凹凸があるような波形も含むものとする。従って、基準波形電流はそのような波形も含む趣旨である。
(2)高周波電流についても実施例においては矩形波を用いているが、正弦波、三角波、のこぎり波、指数関数波又はそれらの組み合わせであってもよく、問題なのはその波高値と期間幅である。
(3)実施例では特定のフリッカ抑制波形電流を用いて説明したが、本発明はフリッカ抑制波形電流として図13(a)〜(f)に示す波形の類も含む趣旨である。
(4)実施例においては、点灯開始時からフリッカ抑制波形電流を印加することとしているが、始動直後の数秒〜数分の過渡的な放電状態(例えば、半波放電状態)ではフリッカ抑制波形電流以外の電流を印加するような場合も本発明の範疇に含まれる。
(5)実施例においては、フリッカ抑制波形電流から基準波形電流への切替えを1回行うものを示したが、当業者であれば、2回目以降の切替えを本発明とは別の目的のために及び/又は他の制御を用いて付加可能であることは理解できるはずである。
(6)実施例においては、制御回路30として定電流制御又は定電力制御が可能な回路構成を示したが、フルブリッジ回路40のトランジスタ41〜44の反転制御と降圧チョッパ回路20のトランジスタ21のデューティ比制御を行うことができれば(その結果として上記に説明した各波形を出力できれば)、制御回路内の構成は図示したものに限定されない。
10:全波整流回路
11:ダイオード
12:コンデンサ
20:降圧チョッパ回路
21:トランジスタ
22:ダイオード
23:チョークコイル
24:コンデンサ
30:制御回路
31,32,33:抵抗
34:乗算器
35:誤差増幅器
36:積分回路
37:PWM制御回路
38:直流電源
39:中央制御部
301.切替え手段
302.タイマ(決定手段)
303.ランプ電圧判定回路(決定手段)
40:フルブリッジ回路
41,42,43,44:トランジスタ
45:ブリッジ制御回路
50:イグナイタ回路
51:イグナイタ制御回路
60:高圧放電灯
71.高圧放電灯点灯装置
72.レフレクタ
73.筐体
Claims (11)
- 高圧放電灯に交流ランプ電流を印加する交流電力供給回路、及び該交流電力供給回路を制御する制御回路からなり、該制御回路が該交流ランプ電流として50Hz以上1kHz以下の矩形波電流である基準波形電流及び該基準波形電流を変形したフリッカ抑制波形電流を該交流電力供給回路に出力させることができる高圧放電灯点灯装置において、
前記制御回路が、
所定のタイミングで前記交流ランプ電流を前記フリッカ抑制波形電流から前記基準波形電流に切替える切替え手段、及び
前記高圧放電灯の点灯状態に関するパラメータを監視し該パラメータに基づいて前記所定のタイミングを決定する決定手段
を備えた高圧放電灯点灯装置。 - 請求項1記載の高圧放電灯点灯装置において、
前記フリッカ抑制波形電流が、50Hz以上1kHz以下の矩形波電流(以下「低周波電流」という)の半サイクルの直前に該低周波電流より高い周波数の電流(以下、「高周波電流」という)が1サイクル以上印加される電流波形であって該高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流値が該低周波電流の電流値よりも高い交流電流である高圧放電灯点灯装置。 - 請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置において、前記パラメータが前記高圧放電灯の点灯開始からの経過時間であり、前記所定のタイミングは該経過時間が1.5分以上20分以下の所定の時間に達した時点である高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置において、前記パラメータが前記高圧放電灯のランプ電圧であり、前記所定のタイミングは該ランプ電圧が所定の電圧以下になった時である高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1又は2記載の高圧放電灯点灯装置において、前記パラメータが前記高圧放電灯のランプ電圧の時間に対する微分値であり、前記所定のタイミングは該微分値が所定の値以下になった時である高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から5いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置において、前記フリッカ抑制波形電流から前記基準波形電流への切替えの際に、前記交流ランプ電流が前記フリッカ抑制波形電流から、該フリッカ抑制波形電流と該基準波形電流との電流波形上の相違を補完する少なくとも1つの補完波形電流を経由して、該基準波形電流へ切替えられる高圧放電灯点灯装置。
- 請求項2記載の高圧放電灯点灯装置において、前記フリッカ抑制波形電流から前記基準波形電流への切替えの際に、前記高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流の期間幅を段階的に又は連続的に減少するよう制御される高圧放電灯点灯装置。
- 請求項1から7いずれか一項に記載の高圧放電灯点灯装置、高圧放電灯、該高圧放電灯が取り付けられるレフレクタ、及び少なくとも該高圧放電灯点灯装置を内包する筐体からなる光源装置。
- 高圧放電灯に交流ランプ電流を印加する交流電力供給回路、及び該交流電力供給回路を制御する制御回路からなり、該制御回路が該交流ランプ電流として50Hz以上1kHz以下の矩形波電流である基準波形電流及び該基準波形電流を変形したフリッカ抑制波形電流を該交流電力供給回路に出力させることができる高圧放電灯点灯装置における高圧放電灯の点灯方法であって、
(A)点灯開始後、前記制御回路が前記交流電力供給回路に前記フリッカ抑制波形電流を出力させるステップ、
(B)前記制御回路において前記高圧放電灯の点灯状態に関するパラメータを監視するステップ、
(C)監視された前記パラメータに基づいて、前記制御回路が前記交流電力供給回路の出力電流を前記フリッカ抑制波形電流から前記基準波形電流に切替えるステップ、及び
(D)前記制御回路が前記交流電力供給回路に前記基準波形電流の出力を維持させるステップ
からなる点灯方法。 - 請求項9記載の点灯方法において、
前記フリッカ抑制波形電流が、50Hz以上1kHz以下の矩形波電流(以下「低周波電流」という)の半サイクルの直前に該低周波電流より高い周波数の電流(以下、「高周波電流」という)が1サイクル以上印加される電流波形であって該高周波電流の1サイクルのうちの後半の半サイクルのみ又は1サイクル全部の電流値が該低周波電流の電流値よりも高い交流電流である点灯方法。 - 請求項9記載の点灯方法において、前記パラメータが前記高圧放電灯の点灯開始からの経過時間であり、前記所定のタイミングは該経過時間が1.5分以上20分以下の所定の時間に達した時点である点灯方法。
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