JP2008151616A - 時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計 - Google Patents

時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計 Download PDF

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幸樹 高澤
Yoshiyuki Koo
慶幸 小尾
Junichiro Shinozaki
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Abstract

【課題】光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を簡便な方法で効率よく製造することが可能な時計用文字板の製造方法を提供すること、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を提供すること、また、十分な光量の外光を太陽電池に供給することができ、かつ、装飾性に優れた時計を提供すること。
【解決手段】時計用文字板の製造方法は、光透過性を有する材料で構成された基板2上に、光を反射または吸収する機能を有する材料で構成された被膜3を有する時計用文字板を製造する方法であって、前記基板上に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、光を反射または吸収する機能を有する材料を含有する液体組成物31を液滴として間欠的に吐出させることにより、前記被膜を、所定パターンで配された多数の微細凸部として形成することを特徴とする。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計に関する。
時計用文字板は、実用品としての機能が求められるとともに、装飾品としての装飾性(美的外観)が求められる。特に、太陽電池を備えたソーラー時計では、文字板(ソーラー時計用文字板)の下に太陽電池(ソーラーセル)が配置される場合に、文字板について、優れた光透過性等とともに、装飾品としての装飾性(美的外観)が求められる。
具体的には、ソーラー時計用文字板は、光透過性に関して、時計を駆動するのに十分な量の光を、その下部に配置された太陽電池に透過して供するものである一方、装飾品としての装飾性も求められる。
従来、ソーラー時計では、太陽電池に十分な光量の光を入射させるために、太陽電池そのものを文字板として利用したり、太陽電池上に有色の部材(特に濃色の部材)が配されないように文字板の形状を設計し、当該文字板として太陽電池の自色(通常、黒色〜紫色)に類似した色のものが用いられてきた。
しかしながら、近年、ソーラー時計においても、時計の仕様等に応じて、様々な色調の文字板を採用することについての強い要望がある。
太陽電池が文字板を介して透けて見えてしまうのを防止することを試みたソーラー時計用文字板としては、セラミックを主構成材料とするもの(特許文献1参照)があるが、このような文字板は、高価であり、また、落下等による衝撃等が加わると割れやすい等、強度の点でも問題があった。また、こうような構成にした場合でも、文字板の外観を十分に優れたものとすることは困難であった。
また、プラスチック性の基板上に、金属材料で構成され、光を透過させるための小孔を有する金属層(第1の金属層)を設ける試みがある(特許文献2参照)。特許文献2では、金属層(第1の金属層)の形成方法として、[1]平滑なステンレス金属平板上にレジスト膜を形成する、[2]写真露光装置でレジスト膜を露光する、[3]小孔位置以外の部分を除去する、[4]レジストを除去した部位に離型剤を塗布する、[5]メッキ装置を用いたメッキにより金属膜を得る、[6]小孔の部分のレジストを除去する、[7]得られた金属膜をステンレス金属平板より剥離する、[8]粘着剤を用いて、金属膜を透明基体に接着するという各工程を経て形成される(特許文献2の段落番号0026〜0027参照)。このように、特許文献2に開示された方法では、被膜を形成するのに、非常に多くの工程を要し、時計用文字板の生産性に劣る。また、ステンレス金属平板上で作製した金属膜を、透明基体に接着することにより金属層を形成するため、位置合わせ等が困難であり、接着の際に金属膜にしわがよってしまう等の問題が発生しやすかった。また、十分な光量の外光を取り入れるためには、小孔の1個当たりの大きさを大きくしたり、小孔の数を十分に多くしたりすること等により、光が透過し得る部分の総面積(複数個の小孔面積の和)を大きくする必要があるが、このような場合、ソーラー時計用文字板の外観上小孔が目立ってしまい、ソーラー時計用文字板は、審美性(美的外観)に劣ったものとなってしまう。また、小孔の1個当たりの大きさを大きくしたり、小孔の数を十分に多くした場合、金属膜をステンレス金属平板から剥離する際や、金属膜を透明基体に接着する際に、金属膜が破れてしまう等の問題が発生しやすくなる。一方、ソーラー時計用文字板の美的外観を向上させる目的で、小孔の1個当たりの大きさを小さくしたり、小孔の数を少なくしたりすると、十分な光量の外光を透過させることができなくなる可能性がある。
このように、従来においては、優れた装飾性(美的外観)と、光の優れた透過性とを、十分に両立するソーラー時計用文字板を得るのは困難であった。
特開平10−39048号公報 特開平11−326549号公報
本発明の目的は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を簡便な方法で効率よく製造することが可能な時計用文字板の製造方法を提供すること、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を提供すること、また、十分な光量の外光を太陽電池に供給することができ、かつ、装飾性に優れた時計を提供することにある。
このような目的は、下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板の製造方法は、光透過性を有する材料で構成された基板上に、光を反射または吸収する機能を有する材料で構成された被膜を有する時計用文字板を製造する方法であって、
前記基板上に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、光を反射または吸収する機能を有する材料を含有する液体組成物を液滴として間欠的に吐出させることにより、前記被膜を、所定パターンで配された多数の微細凸部として形成することを特徴とする。
これにより、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を簡便な方法で効率よく製造することが可能な時計用文字板の製造方法を提供することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、常温における前記液体組成物の粘度が、1〜20mPa・sであることが好ましい。
これにより、ヘッド部からの液滴の吐出をより安定的に行うことができる。その結果、精密な形状を有する微細凸部をより確実に形成することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記液体組成物の液滴の1滴の量(平均)が、0.1〜40pLであることが好ましい。
これにより、精密な形状を有する微細凸部をより効率よくかつ確実に形成することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記液体組成物は、金属材料を含有するものであることが好ましい。
これにより、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記金属材料は、Ag、Cr、Au、Al、Ti、Sn、Inから選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記液体組成物は、金属酸化物を含有するものであることが好ましい。
これにより、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記金属酸化物は、ZnO、Alから選択される少なくとも1種を含むものであることが好ましい。
これにより、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記基板の両側の主面に前記被膜を形成することが好ましい。
両面に形成された被膜の重なり合いにより、例えば、様々な模様や色彩を作りだすことができる。また、見る角度によってそれらの変化をつけることができる。これにより、デザインのバリエーションを拡げることができる。その結果、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記基板の両側の主面で、前記微細凸部の配置パターンおよび/または色を異なるものとすることが好ましい。
両面に形成された被膜の重なり合いにより、例えば、様々な模様や色彩を作りだすことができる。また、見る角度によってそれらの変化をつけることができる。これにより、デザインのバリエーションを拡げることができる。その結果、装飾性(美的外観)が特に優れた時計用文字板を製造することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記基板を平面視した際に前記微細凸部で被覆されていない開口部の面積の割合を、10〜90%とすることが好ましい。
これにより、光の透過性を特に優れたものとするとともに、装飾性(美的外観)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、全体の光透過率を、10〜95%とすることが好ましい。
これにより、光の透過性を特に優れたものとするとともに、装飾性(美的外観)を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板は、本発明の方法により製造されたことを特徴とする。
これにより光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計は、本発明は時計用文字板と、太陽電池とを有し、
前記太陽電池の受光面側に前記時計用文字板が配されていることを特徴とする。
これにより、十分な光量の外光を太陽電池に供給することができ、かつ、装飾性に優れた時計を提供することができる。
本発明によれば、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を簡便な方法で効率よく製造することが可能な時計用文字板の製造方法を提供すること、光透過性および装飾性(美的外観)に優れた時計用文字板を提供すること、また、十分な光量の外光を太陽電池に供給することができ、かつ、装飾性に優れた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板および時計用文字板の製造方法の好適な実施形態について説明する。
<第1実施形態>
図1は、本発明の時計用文字板1の好適な実施形態を示す断面図、図2および図3は、被膜3が備える微細凸部(実部)31の配置パターンを示す平面図、図4は、本発明の時計用文字板(図1に示す時計用文字板)の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。以下の説明では、図1中の上側が、時計用文字板の使用時における観察者側であるものとして説明する。(後述する図4、図5、図6、図7についても同様)。また、以下の説明では、時計用文字板1を、後述する時計(ソーラー時計)100に適用する場合について、中心的に説明する。
図1に示すように、本実施形態の時計用文字板1は、基板2と、基板2の一方の主面である第1の面21上に設けられ、光を反射または吸収する機能を有する被膜3と、第1の面21側に被膜3を被覆するように設けられたコート層4とを有している。
以下、基板2、被膜3およびコート層4について詳細に説明する。
[基板2]
基板2は、光透過性を有する材料で構成されたものである。
基板2の構成材料としては、例えば、各種プラスチック、各種ガラス、各種セラミックス等を用いることができるが、基板2はプラスチック(特に、耐熱性プラスチック)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、例えば、一般に、比較的軽量で携帯しやすい時計用文字板1を提供することができる。また、例えば、比較的容易に、所望の形状に成形することができる。また、非金属材料であるため、電波時計用文字板にも好適に適用することができる。
基板2を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、基板2は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、例えば、後述する被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板1(基板2)の製造時における成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)。また、後述するような製造方法において、基板2の表面に好適に被膜3を形成することもできる。
基板2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。例えば、基板2は、基部と、該基部上に着色等の目的で設けられたコート層とを有するものであってもよい。このような場合、コート層は、例えば、各種塗装法、印刷法、湿式めっき法、乾式めっき法等により形成されたものであってもよい。
また、基板2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板2(時計用文字板1)は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板2は、光透過性(太陽電池9の駆動、蓄電に利用可能な波長の光についての透過性)を有するものであれば、その色は特に限定されない。基板2が白色のものである場合、時計用文字板1の美的外観(特に、時計100に適用した際の美的外観)を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1、時計100をより優れた高級感を備えたものとすることができる。また、基板2が実質的に透明のもの(より具体的には、可視光領域の光の透過率が90%以上のもの)である場合、時計用文字板1としての光の透過率をより高くすることができ、後述するような時計(ソーラー時計)100において、太陽電池9の発電効率を特に優れたものとすることができる。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、100〜1000μmであるのが好ましく、200〜800μmであるのがより好ましい。基板2の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、後述するような時計100に適用した場合において、時計用文字板1を介して、太陽電池9の色等が透けて見えてしまうことをより確実に防止することができ、時計用文字板1の強度を特に優れたものにすることができ、また、装飾性(美的外観)を特に優れたものとすることができる。
[被膜3]
被膜3は、所定パターンで配された多数の微細凸部としての微細凸部31を備え、それ以外の部位が、開口部32となっている。そして、微細凸部31は、光を反射または吸収する機能を有する材料で構成されている。これにより、基板2の第1の面21側(図1中上側から)から入射した光(外光)を、基板2の第1の面21とは反対側の主面である第2の面22側(図1中下側)に出射させつつ、入射した光の一部を、被膜3により反射または吸収させることができる。
被膜3において、微細凸部(実部)31が設けられていない部分は開口部32となっているため、基板2の微細凸部31で被覆されていない部位が外部からの電磁波(電波、光)を透過させる透過部として機能し、時計用文字板1は、外部からの電磁波(電波、光)を十分に透過させることができるものとなっている。これにより、時計用文字板1を、例えば、電波時計やソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)、ソーラー電波時計等に好適に適用することができる。
そして、被膜3が、微細凸部(実部)31とともに、開口部32を有するものであることにより、優れた外観上の効果を発揮させつつ、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に優れたものとすることができる。
被膜3(微細凸部31)は、上記のように、光を反射または吸収する機能を有する材料を含むものである。このような材料としては、例えば、金属材料(合金を含む)、金属酸化物、着色剤等が挙げられる。
金属材料は、一般に、金属光沢を有しており、光(可視光)を反射する機能を有している。したがって、被膜3は、光(可視光)を反射する反射膜として機能する。これにより、時計用文字板1は、金属光沢を有し、高級感にあふれ、装飾性(美的外観)が特に優れたものとすることができる。
金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Hf、Co、In、W、Ti、Rhや、これらのうち少なくとも1種を含む合金が挙げられるが、中でも特に、Ag、Cr、Au、Al、Ti、Sn、Inから選択される少なくとも1種を含む材料(合金を含む)で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、金属酸化物は、一般に、各種金属材料に比べて光を反射する機能は低いものの、落ち着いた印象を与えつつ、十分に光沢感のある外観を呈する。したがって、被膜3が金属酸化物で構成されたものであると、時計用文字板1の装飾性(美的外観)は、特に優れたものとなる。
金属酸化物としては、各種金属の酸化物を用いることができ、具体的には、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Ag、Hf、Co、In、W、Ti、Rhの酸化物(複合酸化物を含む)が挙げられる。特に、金属酸化物としては、ZnO、Alから選択される少なくとも1種を含むものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものにすることができる。
また、被膜3が着色剤を含む材料で構成されたものであると、上記のような金属材料、金属酸化物等では表現することが困難な色調を表現することができる。また、被膜3の構成材料として着色剤を用いることにより、容易に、被膜3の色調を各部位で異なるものとすること(多色のデザインを施すこと)ができ、時計用文字板1のデザインのバリエーションが拡がる。その結果、時計用文字板1の装飾性(美的外観)を特に優れたものにすることができる。
着色剤としては、例えば、染料、顔料等を用いることができる。中でも、顔料は、優れた耐光性を有しており、長期間にわたって安定的に優れた外観を保持する上で、特に有利である。
顔料としては、例えば、無機顔料、有機顔料等が挙げられる。顔料の具体例としては、C.I.ピグメント ホワイト1,4,5,6,7,11,18,19,20,21,22,23,24,26,27,28;C.I.ピグメント イエロー34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,157,162,180;C.I.ピグメント オレンジ20,20:1,104;C.I.ピグメント レッド101,102,105,106,108,108:1,184;C.I.ピグメント ブラウン7,11,33;C.I.ピグメント グリーン15,17,18,19,26,50;C.I.ピグメント ブルー5:1,27,28,29,35,36;C.I.ピグメント バイオレット14,16;C.I.ピグメント ブラック6,7,8,9,10,11,26,27,28;C.I.ピグメント メタル1,2,4,5,6等の無機顔料や、C.I.ピグメント イエロー1,3,12,13,14,17,55,73,74,81,83,93,94,95,97,108,109,110,129,138,139,151,153,154,168;C.I.ピグメント オレンジ5,13,16,36,43;C.I.ピグメント レッド2,3,5,17,22,23,38,81,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,52:1,53:1,57:1,63:1,112,122,144,146,149,166,170,176,177,178,179,185,202,207,209,254;C.I.ピグメント ブラウン25;C.I.ピグメント グリーン7,36;C.I.ピグメント ブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60;C.I.ピグメント バイオレット1,3,19,23,50等の有機顔料等が挙げられる。
また、染料としては、例えば、酸性染料、塩基性染料、直接染料、反応性染料、分散染料、食品用色素等を用いることができる。染料の具体例としては、C.I.アシッド ブラック2,7,16,17,24,26,28,31,41,52,63,94,112,118,119;C.I.アシッド イエロー4,11,12,13,14,17,18,23,25,29,34,40,41,42,53,55,61,71,76,111,122;C.I.アシッド レッド1,4,6,8,9,15,19,21,30,32,34,35,37,40,42,51,52,54,80,82,85,87,92,94,106,108,110,115,119,133,143,172,176,180,187,256,317;C.I.アシッド ブルー7,9,15,22,23,25,40,41,43,45,49,51,53,55,56,59,62,78,80,81,90,93,102,104,111,113,117,120,124,145,167,185,192,229,234,254;C.I.アシッド オレンジ7,19;C.I.アシッド バイオレット49;C.I.ベイシック ブラック2,8;C.I.ベイシック イエロー2,12,32;C.I.ベイシック レッド1,2,9,12,13,14,37;C.I.ベイシック ブルー1,3,5,7,9,24,25,26,28,29;C.I.ベイシック バイオレット7,14,27;C.I.ベイシック グリーン4,6;C.I.ダイレクト ブラック2,9,11,14,17,19,22,27,32,36,38,41,48,49,51,56,71,75,77,78,80,106,108,146,154;C.I.ダイレクト イエロー1,2,4,8,12,24,26,33,34,41,42,48,50,51,72,87,98;C.I.ダイレクト レッド1,4,8,11,15,17,23,28,31,46,59,62,73,75,77,80,81,83,84,85,90,101,106,108,110,145,189,193,225;C.I.ダイレクト ブルー1,2,6,8,22,25,34,69,70,71,72,75,76,78,81,82,83,86,90,98,106,110,120,165,195,199,218,239,258;C.I.ダイレクト オレンジ34,39,44,46,60;C.I.ダイレクト バイオレット47,48;C.I.ダイレクト ブラウン109;C.I.ダイレクト グリーン6,59;C.I.フード ブラック1,2;C.I.フード イエロー2,4,5;C.I.フード レッド2,3,7,14,52,87,94,105;C.I.フード ブルー1,2;C.I.リアクティブ ブラック1,4,5,8,14,21,23,26,31,32,34;C.I.リアクティブ ブルー2,3,4,5,7,8,10,13,14,15,17,18,19,21,25,26,27,28,29,38,39,40,42,43,49,51,52,65,66,67,68,71,73,74,75,77,78,79,80,89,98,100,101,104,105,112,113,114,115,119,147,148,158,160,162,169,170,171,179,182,187;C.I.リアクティブ レッド3,6,13,17,19,21,22,23,24,29,35,37,40,41,43,45,49,55,56,58,63,67,80,81,82,85,86,87,104,106,108,109,110,111,112,113,114,117,118,119,120,123,124,126,128,130,131,132,141,147,158,159,170,171,174,176;C.I.リアクティブイエロー2,3,13,14,15,17,18,23,24,25,26,27,29,35,37,41,42,49,50,52,54,55,57,58,63,64,75,76,77,79,81,82,83,84,85,87,88,91,92,93,95,96,111,115,116,131,135;C.I.リアクティブ オレンジ1,2,5,7,10,11,12,13,15,16,20,30,34,35,41,42,44,45,46,56,57,62,63,64,67,69,71,72,73,74,78,82,84,87;C.I.リアクティブバイオレット1,2,3,4,5,6,7,8,9,16,17,22,23,24,26,27,33;C.I.リアクティブ ブラウン1,2,5,6,7,8,9,16,17,18,19,21,24,26,30;C.I.ディスパース ブラック1,3,10,24;C.I.ディスパース ブルー3,7,9,14,16,19,20,26,27,35,43,44,54,55,56,58,60,62,64,70,72,73,75,79,81,82,83,87,91,93,94,95,96,102,106,108,112,113,115,118,120,122,125,128,130,139,141,142,143,146,148,149,153,154,158,165,167,171,173,174,176,183,185,186,187,189,191,197,198,200,201,205,207,211,214,224,225,257,259,267,268,270,284,285,287,288,291,293,295,297,301,315,330,333;C.I.ディスパース レッド1,4,5,7,11,12,13,15,17,27,43,44,50,52,53,54,55,56,58,59,60,65,72,73,74,75,76,78,81,82,86,88,90,91,92,93,96,103,105,106,107,108,110,111,113,117,118,121,122,126,127,128,131,132,134,135,137,143,145,146,151,152,153,154,157,159,164,167,169,177,179,181,183,184,185,188,189,190,191,192,200,201,202,203,205,206,207,210,221,224,225,227,229,239,240,257,258,277,278,279,281,288,296,303,310,311,312,320,324,328;C.I.ディスパース イエロー3,4,5,7,9,13,24,30,33,34,42,44,49,50,51,54,56,58,60,63,64,66,68,71,74,76,79,82,83,85,86,88,90,91,93,98,99,100,104,114,116,118,119,122,124,126,135,140,141,149,160,162,163,164,165,179,180,182,183,186,192,198,199,202,204,210,211,215,216,218,224;C.I.ディスパース オレンジ1,3,5,7,11,13,17,20,21,25,29,30,31,32,33,37,38,42,43,44,45,47,48,49,50,53,54,55,56,57,58,59,61,66,71,73,76,78,80,89,90,91,93,96,97,119,127,130,139,142;C.I.ディスパース ブラウン1,2,4,9,13,19;C.I.モーダント レッド30;C.I.モーダント ブルー7等が挙げられる。
また、被膜3を構成する複数の微細凸部(実部)31は、すべてが同一の材料で構成されたものであってもよいし、互いに異なる材料で構成されたものであってもよい。また、任意の微細凸部31は、その全体が均一な組成を有するものであってもよいし、各部位で組成の異なるものであってもよい。特に、被膜3は、基板2上に、複数の微細凸部(実部)31で構成されたエリアを、複数個有するものであり、各エリアで、微細凸部(実部)31の構成材料が異なるものであってもよい。上記のような構成とすることにより、時計用文字板1の装飾性を更に高めることができる。特に、テクスチャー(質感)を高めることができ、更には、点描による写真品質の図柄を表現することもできる。
被膜3を構成する複数の微細凸部(実部)31は、後述するように、圧電素子の振動により、ヘッド部から、被膜3の構成材料を含有する液体組成物の液滴を所定パターンで基板2上に吐出させることにより形成されたものである。
微細凸部(実部)31の平面視した際の形状(平面形状)は、特に限定されないが、後述するような方法により形成されるものであるため、通常、液体組成物の液滴に対応するような略円形状をなすものである(図2、図3参照)。なお、微細凸部(実部)31は、複数個の液滴が一体化したような形状をなすものであってもよい。
微細凸部(実部)31の配置パターン(平面視した際の配置パターン)は、特に限定されず、いかなるものであってもよい。一例として、装飾パターンが幾何学的な模様であれば、例えば、図2に示すような正方格子状に配されていてもよいし、図3に示すような千鳥格子状に配されていてもよい。また、上記のような定型的な形状の繰り返しパターンにおいて一部が欠落したパターンであってもよい。また、その他の任意パターンでもよく、例えば、放射状模様、渦巻模様等であってもよい。
また、被膜3を構成する複数の微細凸部(実部)31は、同一の大きさ、形状を有するものであってもよいし、互いに異なる大きさ、形状のものであってもよい。
図1中hで表される微細凸部31の平均高さ(平均厚さ)は、特に限定されないが、0.005〜1.5μmであるのが好ましく、0.007〜0.9μmであるのがより好ましい。微細凸部31の平均高さが前記範囲内の値であると、被膜3(微細凸部31)の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、時計用文字板1の審美性を特に優れたものとすることができる。また、基板2と被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に大きいものとすることができる。これに対し、微細凸部31の平均高さが前記下限値未満であると、被膜3の構成材料等によっては、被膜3の光沢、色調等の特長を十分に発揮するのが困難となり、時計用文字板1全体としての審美性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。また、被膜3、基板2の構成材料等によっては、基板2と被膜3との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。また、微細凸部31の平均高さが前記上限値を超えると、被膜3の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、微細凸部31の平均高さが特に大きい場合は、内部応力が高くなり、微細凸部31が剥がれ易くなる可能性がある。また、微細凸部31の平均高さが前記上限値を超えると、時計用文字板1全体としての電磁波(電波、光)の透過率が減少する傾向を示す。
また、図2および図3中dで表される微細凸部31の平均径は、特に限定されないが、10〜300μmであるのが好ましく、30〜100μmであるのがより好ましい。微細凸部31の平均径が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての電磁波(電波、光)の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、微細凸部31の平均径が前記下限値未満であると、被膜3の構成材料や厚さ等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。一方、微細凸部31の平均径が前記上限値を超えると、微細凸部31の占有面積の割合によっては、時計用文字板1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。
また、図2および図3中pで表される微細凸部(実部)31間のピッチは、特に限定されないが、20〜400μmであるのが好ましく、40〜200μmであるのがより好ましい。微細凸部(実部)31間のピッチが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての電磁波(電波、光)の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、微細凸部(実部)31間のピッチが前記下限値未満であると、微細凸部(実部)31の占有面積の割合によっては、時計用文字板1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、微細凸部(実部)31間のピッチが前記上限値を超えると、被膜3の構成材料や厚さ等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
基板2(時計用文字板1)を平面視した際に微細凸部(実部)31で被覆されていない開口部32の面積の割合である開口率(有効領域における開口率)は、特に限定されないが、2〜50%であるのが好ましく、5〜40%であるのがより好ましい。開口率が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての電磁波(電波、光)の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口率が前記下限値未満であると、時計用文字板1全体としての電磁波(電波、光)の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、開口率が前記上限値を超えると、被膜3の構成材料や厚さ等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
なお、図2に示すように、微細凸部31が正方格子状に配置されている場合、微細凸部31間のピッチをp[μm]、微細凸部31の径をd[μm]としたとき、開口率αは、α=1−(πd/4p)で表される。
時計用文字板1全体の光の透過率は、特に限定されるものではないが、10〜95%であるのが好ましく、20〜80%であるのがより好ましい。透過率が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、透過率が前記下限値未満であると、後述するような時計に適用した場合等において、太陽電池9における発電に十分な光量が得られない可能性がある。一方、透過率が前記上限値を超えると、被膜3の構成材料や厚さ等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
[コート層4]
基板2の第1の面21側には、被膜3を被覆するようにコート層4が設けられている。このようなコート層4を有することにより、例えば、電磁波(電波、光)の透過率を十分に高いものとしつつ、光沢性、色調等を調整することができ、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものにすることができる。また、このようなコート層4を有することにより、例えば、時計用文字板1全体としての、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させることができ、外部環境の影響による被膜3等の劣化、変性等をより確実に防止することができる。その結果、時計用文字板1としての耐久性を特に優れたものとすることができる。
コート層4は、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、適度な透明性を有する材料で構成されたものであるのが好ましい。このような材料としては、各種プラスチック材料(樹脂材料)、各種ガラス、ダイヤモンド様炭素(DLC)等が挙げられるが、この中でも、プラスチックは、優れた透明性と、優れた成形性(成形の容易さ)とを併有しているため、特に好ましい。
コート層4を構成するプラスチック材料(樹脂材料)としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂が挙げられ、例えば、ポリエチレン、ポリプロピレン、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体(EVA)等のポリオレフィン、環状ポリオレフィン、変性ポリオレフィン、ポリ塩化ビニル、ポリ塩化ビニリデン、ポリスチレン、ポリアミド(例:ナイロン6、ナイロン46、ナイロン66、ナイロン610、ナイロン612、ナイロン11、ナイロン12、ナイロン6−12、ナイロン6−66)、ポリイミド、ポリアミドイミド、ポリカーボネート(PC)、ポリ−(4−メチルペンテン−1)、アイオノマー、アクリル系樹脂、ポリメチルメタクリレート、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、アクリロニトリル−スチレン共重合体(AS樹脂)、ブタジエン−スチレン共重合体、ポリオキシメチレン、ポリビニルアルコール(PVA)、エチレン−ビニルアルコール共重合体(EVOH)、ポリエチレンテレフタレート(PET)、ポリブチレンテレフタレート(PBT)、ポリシクロヘキサンテレフタレート(PCT)等のポリエステル、ポリエーテル、ポリエーテルケトン(PEK)、ポリエーテルエーテルケトン(PEEK)、ポリエーテルイミド、ポリアセタール(POM)、ポリフェニレンオキシド、変性ポリフェニレンオキシド、ポリサルフォン、ポリエーテルサルフォン、ポリフェニレンサルファイド、ポリアリレート、芳香族ポリエステル(液晶ポリマー)、ポリテトラフルオロエチレン、ポリフッ化ビニリデン、その他フッ素系樹脂、スチレン系、ポリオレフィン系、ポリ塩化ビニル系、ポリウレタン系、ポリエステル系、ポリアミド系、ポリブタジエン系、トランスポリイソプレン系、フッ素ゴム系、塩素化ポリエチレン系等の各種熱可塑性エラストマー、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、ユリア樹脂、メラミン樹脂、不飽和ポリエステル、シリコーン系樹脂、ウレタン系樹脂、ポリパラキシリレン(poly-para-xylylene)、ポリモノクロロパラキシリレン(poly-monochloro-para-xylylene)、ポリジクロロパラキシリレン(poly-dichloro-para-xylylene)、ポリモノフルオロパラキシリレン(poly-monofluoro-para-xylylene)、ポリモノエチルパラキシリレン(poly-monoethyl-para-xylylene)等のポリパラキシリレン樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。
コート層4は、上記のような材料の中でも特に、ウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂を含む材料で構成されたものであるのが好ましく、主としてウレタン系樹脂および/またはアクリル系樹脂で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、上記のようなコート層4を有することによる効果をより顕著なものとして発揮させつつ、コート層4と被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、コート層4中には、上記のような材料以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、可塑剤、酸化防止剤、フィラー等が挙げられる。
コート層4の平均厚さは、特に限定されないが、0.01〜50μmであるのが好ましく、0.1〜20μmであるのがより好ましく、2〜15μmであるのがさらに好ましい。コート層4の平均厚さが前記範囲内の値であると、コート層4の内部応力が高くなるのを十分に防止しつつ、コート層4と被膜3との密着性を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1の審美性を特に優れたものとすることができる。これに対し、コート層4の平均厚さが前記下限値未満であると、被膜3、コート層4の構成材料等によっては、コート層4と被膜3との密着性を十分に向上させるのが困難になる可能性がある。また、コート層4の機能が十分に発揮されない可能性がある。また、コート層4の平均厚さが前記上限値を超えると、コート層4の各部位における膜厚のばらつきが大きくなる傾向を示す。また、コート層4の平均厚さが特に大きい場合は、コート層4の内部応力が高くなり、クラック等が発生し易くなる。また、コート層4の平均厚さが特に大きい場合は、コート層4の構成材料(透明性)、被膜3の構成材料等によっては、被膜3の光沢、色調等の特長を十分に発揮するのが困難となり、時計用文字板1全体としての審美性を十分に高めるのが困難になる可能性がある。なお、図示のように、コート層4の一部が開口部32内に侵入している場合、コート層4の平均厚さとしては、被膜3上に設けられた部位(開口部32に対応する部位を除いた部位)についての平均厚さの値を採用するものとする。
また、コート層4は、各部位で均一な組成を有するものであってもよいし、そうでなくてもよい。例えば、コート層4は、含有成分(組成)が厚さ方向に順次変化するもの(傾斜材料)であってもよい。また、コート層4は、複数の層を有する積層体であってもよい。これにより、例えば、被膜3との密着性を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1としての審美性をさらに高めることができる。
また、コート層4は、例えば、時計用文字板1の使用時等において除去されるものであってもよい。
なお、図中には示していないが、時計用文字板1は、基板2の第1の面21側に、時刻目盛りや装飾文字、マーク等が設けられている。
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図4に示すように、本実施形態の時計用文字板1の製造方法は、基板2(1a)の表面(第1の面21)の少なくとも一部に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、被膜3の構成材料を含有する液体組成物の液滴を所定パターンで吐出させることにより多数の微細凸部31を有する被膜3を形成する被膜形成工程(1b)と、基板2の第1の面21側に被膜3を被覆するようにコート層4を形成するコート層形成工程(1c)とを有する。
[基板]
まず、基板2を用意する(1a)。
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。また、基板2の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる時計用文字板1の表面の光沢具合にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる時計用文字板1の装飾性をさらに向上させることができる。また、後述する被膜形成工程において、基板2に対する液体組成物の液滴の親和性を高めることができ、その結果、基板2上の目的とする部位に、より確実に液滴を保持することができるとともに、形成される被膜3と基板2との密着性を特に優れたものとすることができる。
また、このような表面加工を施した基板2を用いて製造される時計用文字板1は、被膜3に対して、前記表面加工を施すことにより得られるものに比べて、被膜3のギラツキ等が抑制されたものとなり、特に美的外観に優れたものとなる。また、基板2が、主としてプラスチック材料で構成されたものである場合、上記のような表面加工を比較的容易に行うことができる。また、被膜3は、通常、比較的薄いものであるため被膜3を形成した後に表面加工を施すと、当該表面処理を施した部位の被膜3を好適に残存させることが困難であるが、基板2に対して表面処理を行うことにより、このような問題の発生も効果的に防止することができる。
また、基板2の表面を、被膜3を構成する材料を含有する液体組成物に対して親液性に処理してもよい(親液化処理)。親液化処理としては、例えば、大気圧プラズマ法、UV処理法、有機薄膜法(デカン膜、ポリエチレン膜)等が挙げられる。このような処理を施すことにより、基板2の表面に対する液滴の濡れ性が向上し、基板2上の目的とする部位に、より確実に液滴を保持することができるとともに、形成される被膜3と基板2との密着性を特に優れたものとすることができる。
[被膜形成工程]
次に、基板2上に、被膜3を形成する(1b)。
被膜3の形成は、圧電素子の振動により、ヘッド部5から、被膜3の構成材料を含有する液体組成物の液滴311を所定パターンで吐出させることにより行う。このようにして被膜3を形成することにより、微細なパターンの被膜3(微細凸部31)を効率良く短時間で形成することができる。また、また液滴吐出のプログラムを変更することにより、多様な時計用文字板を容易に製造することができる。すなわち、多品目生産にも好適に対応することができる。
《液体組成物》
液体組成物は、少なくとも、光を反射または吸収する機能を有する材料(以下、「光反射・吸収材料」ともいう)を含むものであるが、必要に応じて、溶媒、分散媒等の液性媒体、分散剤、樹脂材料等を含むものであってもよい。液体組成物が液性媒体を含むものであると、液滴311の吐出を円滑に行うことができ、所望の形状の微細凸部31を、所望のパターンで、容易かつ確実に形成することができる。また、液体組成物が樹脂材料を含むものであると、形成される被膜3の基板2に対する密着性を特に優れたものとすることができる。また、液体組成物が樹脂材料を含むものであると、最終的に揮発により除去される液性媒体の液体組成物中における含有率を低いものとすることができるため、図1に示すような断面形状の微細凸部31を容易かつ確実に形成することができる。
液体組成物中において、光反射・吸収材料は、いかなる形態であってもよく、例えば、溶媒に溶解していてもよいし、分散媒に分散していてもよい。
光反射・吸収材料が、分散媒に分散したものである場合(分散質として含まれる場合)、分散質としての光反射・吸収材料の粒径(一次粒径)は、200nm以下であるのが好ましい。これにより、液体組成物中における光反射・吸収材料の分散性を特に優れたものとし、光反射・吸収材料の凝集、液体組成物の流動性の低下等を効果的に防止することができる。その結果、微細なパターンの微細凸部31をより確実に形成することができる。
液体組成物中における光反射・吸収材料の含有率は、特に限定されないが、0.1〜90wt%であるのが好ましい。光反射・吸収材料の含有率が前記下限値未満であると、十分な厚さの微細凸部31を形成するのが困難になる場合がある。一方、光反射・吸収材料の含有率が前記上限値を超えると、液体組成物の流動性が低下し、液滴311の吐出を円滑に行うのが困難になる可能性がある。
液性媒体としては、例えば、水、二硫化炭素、四塩化炭素等の無機化合物や、メチルエチルケトン(MEK)、アセトン、ジエチルケトン、メチルイソブチルテトン(MIBK)、メチルイソプロピルケトン(MIPK)、シクロヘキサノン、3−ヘプタノン、4−ヘプタノン等のケトン系化合物、メタノール、エタノール、n−プロパノール、イソプロパノール、n−ブタノール、i−ブタノール、t−ブタノール、3―メチル−1−ブタノール、1−ペンタノール、2−ペンタノール、n−ヘキサノール、シクロヘキサノール、1−ヘプタノール、1−オクタノール、2−オクタノール、2−メトキシエタノール、アリルアルコール、フルフリルアルコール、フェノール、グリセリン、ジプロピレングリコール、エチレングリコール、ポリエチレングリコール等のアルコール系化合物、ジエチルエーテル、ジプロピルエーテル、ジイソプロピルエーテル、ジブチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン(DME)、1,4−ジオキサン、テトラヒドロフラン(THF)、テトラヒドロピラン(THP)、アニソール、ジエチレングリコールジメチルエーテル(ジグリム)、2−メトキシエタノール、エチレングリコールモノメチルエーテル、エチレングリコールモノエチルエーテル、エチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールモノメチルエーテル、ジエチレングリコールモノエチルエーテル、ジエチレングリコールモノブチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、トリエチレングリコールモノブチルエーテル、ジプロピレングリコールモノメチルエーテル、ジプロピレングリコールモノエチルエーテル、トリプロピレングリコールモノメチルエーテル等のエーテル系化合物、メチルセロソルブ、エチルセロソルブ、フェニルセロソルブ等のセロソルブ系化合物、ヘキサン、ペンタン、ヘプタン、シクロヘキサン、メチルシクロヘキサン、オクタン、ジデカン、メチルシクロヘキセン、イソプレン等の脂肪族炭化水素系化合物、トルエン、キシレン、ベンゼン、エチルベンゼン、ナフタレン等の芳香族炭化水素系化合物、ピリジン、ピラジン、フラン、ピロール、チオフェン、2−メチルピリジン、3−メチルピリジン、4−メチルピリジン、フルフリルアルコール等の芳香族複素環化合物、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMA)等のアミド系化合物、ジクロロメタン、クロロホルム、1,2−ジクロロエタン、トリクロロエチレン、クロロベンゼン等のハロゲン化合物、アセチルアセトン、酢酸エチル、酢酸メチル、酢酸イソプロピル、酢酸イソブチル、酢酸イソペンチル、クロロ酢酸エチル、クロロ酢酸ブチル、クロロ酢酸イソブチル、ギ酸エチル、ギ酸イソブチル、アクリル酸エチル、メタクリル酸メチル、安息香酸エチル等のエステル系化合物、トリメチルアミン、ヘキシルアミン、トリエチルアミン、アニリン等のアミン系化合物、アクリロニトリル、アセトニトリル等のニトリル系化合物、ニトロメタン、ニトロエタン等のニトロ系化合物、アセトアルデヒド、プロピオンアルデヒド、ブチルアルデヒド、ペンタナール、アクリルアルデヒド等のアルデヒド系化合物等の有機化合物等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を混合したものを用いることができる。
分散剤としては、平均重量分子量が200〜30000であるものが好ましい。これにより、分散質としての光反射・吸収材料の分散性を特に優れたものとすることができる。また、分散剤としては、S、P、B、およびハロゲン原子を含有しない有機化合物であるのが好ましい。これらの条件を満足する、好適な分散剤としては、たとえば、ポリエチレンイミン、ポリビニルピロリドン等のアミン系の高分子分散剤や、ポリアクリル酸、カルボキシメチルセルロース等の、分子中にカルボン酸基を有する炭化水素系の高分子分散剤、ポバール(ポリビニルアルコール)、あるいは、1分子中に、ポリエチレンイミン部分とポリエチレンオキサイド部分とを有する共重合体(以下「PEI−PO共重合体」とする)等の高分子分散剤が挙げられる。また、このような分散剤を含むことにより、液体組成物の粘度を最適なものに調整しやすくなる。
また、液体組成物を構成する樹脂材料としては、基板2の構成材料として例示したような材料(プラスチック材料)を用いることができる。中でも、熱硬化性樹脂を用いた場合、液滴311を基板2上に吐出した後に、熱処理を施すことにより、微細凸部31を好適に形成することができる。これにより、基板2上に吐出された液滴311から液性媒体が揮発すること等に伴う変形を確実に防止することができ、図1に示すような断面形状の微細凸部31を容易かつ確実に形成することができる。
また、液体組成物中には、前述した材料以外の成分が含まれていてもよい。このような成分としては、例えば、pH調整剤、表面張力調整剤、粘度調整剤、紫外線吸収剤、酸化防止剤、乾燥防止剤、蒸発促進剤、消泡剤、防かび剤、防腐剤、防錆剤等が挙げられる。
pH調整剤は、通常、液体組成物のpH調節、分散性、溶解性の安定化等の目的で使用される。pH調整剤としては具体的には、例えば、アンモニア、水酸化リチウム、水酸化ナトリウム、水酸化カリウム、水酸化アンモニウム等の無機塩基や当該無機塩基の塩、塩酸、硫酸、リン酸、ホウ酸、炭酸等の無機酸や当該無機酸の塩(例えば、硫酸リチウム、硫酸ナトリウム、硫酸カリウム、硫酸アンモニウム等の硫酸塩、炭酸リチウム、炭酸ナトリウム、炭酸水素ナトリウム、炭酸カリウム、炭酸水素カリウム、炭酸ナトリウムカリウム、炭酸アンモニウム、炭酸水素アンモニウム等の炭酸塩、リン酸リチウム、リン酸一ナトリウム、リン酸二ナトリウム、リン酸三ナトリウム、リン酸一カリウム、リン酸二カリウム、リン酸三カリウム、リン酸一アンモニウム、リン酸二アンモニウム、リン酸三アンモニウム等のリン酸塩等)、トリエタノールアミン、ジエタノールアミン、N−メチルジエタノールアミン、ジメチルエタノールアミン等の有機塩基や当該有機塩基の塩、酢酸、プロピオン酸、トリフルオロ酢酸、アルキルスルホン酸、クエン酸、コハク酸等の有機酸(例えば、酢酸リチウム、酢酸ナトリウム、酢酸カリウム、酢酸アンモニウム等の酢酸塩等)等が挙げられる。また、pH調整剤は、これらのうち少なくとも2種以上を含み、pH緩衝作用を有するものであってもよい。
表面張力調整剤としては、例えば、カチオン系界面活性剤、アニオン系界面活性剤、ノニオン系界面活性剤、両性界面活性剤等の界面活性剤等が挙げられる。アニオン系界面活性剤としては、例えば、脂肪酸塩、アルキル硫酸エステル塩、アルキルベンゼンスルホン酸塩、アルキルナフタレンスルホン酸塩、ジアルキルスルホコハク酸塩、アルキルリン酸エステル塩、ナフタレンスルホン酸ホルマリン縮合物、ポリオキシエチレンアルキル硫酸エステル塩等が挙げられる。ノニオン系界面活性剤としては、例えば、ポリオキシエチレンアルキルエーテル、ポリオキシエチレンアルキルアリルエーテル、ポリオキシエチレン脂肪酸エステル、ソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンソルビタン脂肪酸エステル、ポリオキシエチレンアルキルアミン、グリセリン脂肪酸エステル、オキシエチレンオキシプロピレンブロックコポリマー等が挙げられる。
粘度調整剤としては、例えば、セルロース類、ポリビニルアルコール等の水溶性ポリマーやノニオン系界面活性剤等が挙げられる。
紫外線吸収剤としては、例えば、特開昭58−185677号公報、同61−190537号公報、特開平2−782号公報、同5−197075号公報、同9−34057号公報等に記載されたベンゾトリアゾール系化合物、特開昭46−2784号公報、特開平5−194483号公報、米国特許第3214463号等に記載されたベンゾフェノン系化合物、特公昭48−30492号公報、同56−21141号公報、特開平10−88106号公報等に記載された桂皮酸系化合物、特開平4−298503号公報、同8−53427号公報、同8−239368号公報、同10−182621号公報、特表平8−501291号公報等に記載されたトリアジン系化合物、リサーチディスクロージャーNo.24239号に記載された化合物やスチルベン系、ベンズオキサゾール系化合物に代表される紫外線を吸収して蛍光を発する化合物、いわゆる蛍光増白剤も用いることができる。
酸化防止剤としては、例えば、各種の有機系、金属錯体系の褪色防止剤等を用いることができる。有機の褪色防止剤としては、例えば、ハイドロキノン類、アルコキシフェノール類、ジアルコキシフェノール類、フェノール類、アニリン類、アミン類、インダン類、クロマン類、アルコキシアニリン類、ヘテロ環類等が挙げられ、金属錯体としては、例えば、ニッケル錯体、亜鉛錯体等が挙げられる。
乾燥防止剤(保湿剤)を用いることにより、ヘッド部5の吐出口での液体組成物の乾操による目詰まりを効果的に防止することができる。乾燥防止剤としては、例えば、3−スルホレン、ソルビトール、ウレア、1,3−ビス(β−ヒドロキシエチル)ウレア、チオウレア等のウレア誘導体等が挙げられる。
蒸発促進剤を用いることにより、液体組成物の速乾性を向上させることができる。蒸発促進剤としては、例えば、アルカノールアミン類、アルコール類等が挙げられる。
消泡剤としては、例えば、フッ素系、シリコーン系化合物やEDTAに代表されるキレート剤等が挙げられる。
防かび剤としては、例えば、デヒドロ酢酸ナトリウム、安息香酸ナトリウム、ナトリウムピリジンチオン−1−オキシド、p−ヒドロキシ安息香酸エチルエステル、1,2−ベンズイソチアゾリン−3−オンおよびその塩等が挙げられる。
このような、液体組成物の粘度は、特に限定されないが、通常、1〜20mPa・sであるのが好ましく、2〜15mPa・sであるのがより好ましい。液体組成物の粘度が前記範囲内の値であると、ヘッド部5からの液滴の吐出をより安定的に行うことができるともに、精密な形状を有し、所定の厚みを有する微細凸部31を、より容易かつ確実に形成することができる。なお、本明細書においては、特に断りのない限り、「粘度」とは、25℃において、JIS Z8809に準拠して測定される粘度のことを指す。
また、液滴311の1滴の量(平均)も、特に限定されないが、通常、0.1〜40pLであるのが好ましく、1〜30pLであるのがより好ましい。液滴311の1滴の量(平均)が前記範囲内の値であると、より精密な形状を有し、所定の厚みを有する微細凸部31を容易かつ確実に形成することができる。
なお、本工程では、1つの微細凸部31を複数の液滴311で形成してもよい。これにより着弾面の親液、撥液性の制御をして、微細凸部31の大きさ、形状を確実に制御することができる。
また、本工程では、上記のような液滴の吐出の後に、必要に応じて、加熱、冷却等の熱処理、減圧処理、紫外線等の光(エネルギー線)の照射処理等を施してもよい。これにより、例えば、基板2上に付与された液滴311の流動性を速やかに奪い、被膜3を効率よく形成することができる。
[コート層形成工程]
次に、基板2の第1の面21側に被膜3を被覆するようにコート層4を形成する(1c)。これにより、時計用文字板1が得られる。
コート層4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、コート層4が主として前述したような樹脂材料で構成されたものである場合、塗装により形成するのが好ましい。これにより、比較的容易にコート層4を形成することができる。また、塗装によりコート層4を形成する場合、コート層4形成用の材料中に着色剤等の成分を添加したり、その添加量の調節したりするのが容易である。
上述したように、被膜3には、開口部32が設けられているため、本工程においては、コート層4を、その一部が開口部32内に入り込んだ形状のものとして容易かつ確実に形成することができる。これにより、コート層4と被膜3との接触面積が増大し、時計用文字板1におけるコート層4の密着性を特に優れたものとすることができる。
<第2実施形態>
次に、本発明の時計用文字板および時計用文字板の製造方法の第2実施形態について説明する。
図5は、本発明の時計用文字板1の好適な実施形態を示す断面図、図6は、本発明の時計用文字板(図5に示す時計用文字板)の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
以下、本実施形態の時計用文字板および時計用文字板の製造方法について、前述した実施形態との相違点を中心に説明し、同様の事項はその説明を省略する。
図5に示すように、本実施形態の時計用文字板1は、基板2と、基板2の一方の主面である第1の面21上に形成され、光を反射または吸収する機能を有する被膜(第1の被膜)3’と、第1の面21側に被膜3’を被覆するように設けられたコート層4’と、基板2の第1の面21とは反対側の主面である第2の面22上に形成され、光を反射または吸収する機能を有する被膜(第2の被膜)3’’と、第2の面22側に被膜3’’を被覆するように設けられたコート層4’’とを有している。すなわち、本実施形態の時計用文字板は、基板の両側の主面に、それぞれ、被膜およびコート層が設けられている以外は、前述した実施形態と同様である。
これにより、第1の面21側(時計用文字板1の第1の被膜3’が設けられた面側(図中上側))から入射した光(外光)を、第2の面22側(時計用文字板1の第2の被膜3’’が設けられた面側(図中下側))に出射させつつ、入射した光の一部を、被膜3’、被膜3’’により反射または吸収させることができる。これにより、優れた外観上の効果を発揮させつつ、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に優れたものとすることができる。
特に、基板2の両面にそれぞれ形成された第1の被膜3’と第2の被膜3’’とを兼ね備えた時計用文字板1では、例えば、陰影により立体感に優れた外観を呈するものとすることができる。
また、第1の被膜3’と第2の被膜3’’とを、互いに異なる材料(異なる外観を呈する材料)で構成されたものとすることにより、時計用文字板1としての美的外観を特に優れたものとすることができる。特に、基板2の一方の主面側のみに、異なる外観を呈する材料で構成された複数種の微細凸部(実部)を設けた場合に比べて、より立体感に優れた外観を呈するものとすることができる。
また、上記のような構成とすることにより、観察者が時計用文字板1を見る方向(角度)を変えることにより、時計用文字板1のパターン(模様)が変化したり、色が異なって見えるようにすることができる。これにより、デザインのバリエーションが拡がる。
また、第1の被膜3’と第2の被膜3’’とでは、微細凸部(微細凸部31’、31’’)の配置パターンは、同じであってもよいし、異なるものであってもよいが、互いに、微細凸部の配置パターンが異なるものである場合、見る方向(角度)を変えることによってパターン(模様)が変化したり、色が異なって見えるようにすることができる。これにより、デザインのバリエーションが拡がり、時計用文字板1の装飾性(美的外観)を特に優れたものにすることができる。
このように、基板2の両面に被膜(第1の被膜3’と第2の被膜3’’)を備えた時計用文字板1では、一方の面側のみに被膜を有する場合には表現することのできなかった外観を好適に表現することができる。
また、基板2の両面に被膜(第1の被膜3’と第2の被膜3’’)を備えた時計用文字板1では、時計用文字板1全体としての開口率、すなわち、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に微細凸部(実部)31’、微細凸部(実部)31’’のいずれにも被覆されていない部位の面積の割合としての開口率(有効領域における開口率)が比較的小さい場合であっても、光の透過率を十分に優れたものとすることができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、第1の面21側(図中上側)からの光で、時計用文字板1の法線方向からの光の透過率が比較的低いとしても、時計用文字板1の法線方向からの傾斜角度の異なる複数の方向からの光については、その透過率が優れたものとなるため、結果として、時計用文字板1全体としての光の透過率は優れたものになるものと考えられる。
また、第1の被膜3’および第2の被膜3’’が、いずれも、光を反射する機能を有する材料で構成されたものである場合、第1の被膜3’の基板2と接触する側の面と、第2の被膜3’’の基板2と接触する側の面との間で、入射した光の反射が、繰り返し起こるため、例えば、時計用文字板1を、後述する時計100に適用した場合等において、時計用文字板1を介して、太陽電池9等が視認されてしまうのをより確実に防止することができ、装飾性(美的外観)はさらに優れたものとなる。また、このような構成であると、時計用文字板1全体としての開口率が比較的小さい場合であっても、時計用文字板1全体としての光の透過率を特に優れたものとすることができる。
本実施形態のように、基板2の両面側に被膜3(第1の被膜3’、第2の被膜3’’)を有するような構成である場合、時計用文字板1全体としての開口率、すなわち、基板2(時計用文字板1)を平面視した際に微細凸部(実部)31’、微細凸部(実部)31’’のいずれにも被覆されていない部位の面積の割合としての開口率(有効領域における開口率)が、前記第1実施形態で説明したような範囲の値であるのが好ましい。すなわち、時計用文字板1全体としての開口率は、2〜50%であるのが好ましく、5〜40%であるのがより好ましい。開口率が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての電磁波(電波、光)の透過性、および、時計用文字板1の美的外観(審美性)のいずれをも、特に優れたものとすることができる。
なお、第1の被膜3’、第2の被膜3’’は、前述した実施形態の被膜3と同様の条件を満足するのが好ましい。また、コート層4’、コート層4’’は、前述した実施形態のコート層4と同様の条件を満足するのが好ましい。
次に、本実施形態の時計用文字板1の製造方法について説明する。
図6に示すように、本実施形態の時計用文字板1の製造方法は、基板2(2a)の第1の面21の少なくとも一部に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、第1の被膜3’の構成材料を含有する液体組成物の液滴を所定パターンで吐出させることにより多数の微細凸部31’を有する第1の被膜3’を形成する第1の被膜形成工程(2b)と、基板2の第2の面22の少なくとも一部に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、第2の被膜3’’の構成材料を含有する液体組成物の液滴を所定パターンで吐出させることにより多数の微細凸部31’’を有する第2の被膜3’’を形成する第2の被膜形成工程(2c)と、基板2の第1の面21側に第1の被膜3’を被覆するようにコート層4’を形成する第1のコート層形成工程(2d)と、基板2の第2の面22側に第2の被膜3’’を被覆するようにコート層4’’を形成する第2のコート層形成工程(2e)とを有する。
第1の被膜形成工程(2b)および第2の被膜形成工程(2c)は、前述した実施形態での被膜形成工程(1b)と同様にして行うことができ、第1のコート層形成工程(2d)および第2のコート層形成工程(2e)は、前述した実施形態でのコート層形成工程(1c)と同様にして行うことができる。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板1を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板1を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板1は、電磁波透過性(光透過性)および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板1を備えた本発明の時計は、ソーラー時計や電波時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する前記時計用文字板1(本発明の時計用文字板1)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)72と、裏蓋73と、ベゼル(縁)74と、ガラス板(カバーガラス)75とを備えている。また、ケース72内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池9と、ムーブメント71とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。
ガラス板75は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池9に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント71は、太陽電池9の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメント71内には、例えば、太陽電池9の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて輪列機構を1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント71は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池9は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池9で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池9は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴72には巻真パイプ76が嵌入・固定され、この巻真パイプ76内にはりゅうず77の軸部771が回転可能に挿入されている。
胴72とベゼル74とは、プラスチックパッキン78により固定され、ベゼル74とガラス板75とはプラスチックパッキン79により固定されている。
また、胴72に対し裏蓋73が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)85には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)84が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部85が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず77の軸部771の途中の外周には溝772が形成され、この溝772内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)83が嵌合されている。ゴムパッキン83は巻真パイプ76の内周面に密着し、該内周面と溝772の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず77と巻真パイプ76との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず77を回転操作したとき、ゴムパッキン83は軸部771と共に回転し、巻真パイプ76の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加することもできる。例えば、被膜形成工程とコート層形成工程との間に、洗浄等の中間処理を施してもよい。また、コート層の形成後に、研磨(ラッピング)等の後処理を施してもよい。
また、本発明の時計用文字板の製造方法において、各工程の順序は、上述したようなものに限定されない。例えば、前述した第2実施形態では、第1の被膜形成工程、第2の被膜形成工程、第1のコート層形成工程、第2のコート層形成工程の順序で行うものとして説明したが、例えば、第1の被膜形成工程、第1のコート層形成工程、第2の被膜形成工程、第2のコート層形成工程の順序で行ってもよい。
また、前述した実施形態では、時計用文字板が、基板と、被膜と、コート層とを有するものとして説明したが、本発明の時計用文字板は、このような構成のものに限定されず、例えば、時計用文字板はコート層を備えていなくてもよい。
また、前述した第1実施形態では、基板の第1の面側のみに、被膜を有する構成について説明したが、被膜は、第2の面側のみに設けられたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、腕時計用文字板を製造した。
まず、ポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、腕時計用文字板の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
次に、洗浄を行った基板の一方の主面(第1の面)に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、図3に示すような千鳥格子状の配列パターンで、液体組成物の液滴を吐出させ、その後、雰囲気圧:2kPaの環境下で、70℃で30分間の熱処理を施すことにより、微細凸部(実部)が千鳥格子状の配列した被膜を形成した(図4(1b)参照)。液体組成物としては、光反射・吸収材料としてのAgの微粒子(一次粒径:50nm)と、分散媒としての水およびエチレングリコールモノメチルエーテルと、分散剤としてのポリビニルピロリドン(平均重量分子量:5000)とを含む混合物(分散液)を用いた。液体組成物中におけるAgの微粒子の含有率は、30wt%であった。また、液体組成物の粘度は、10mPa・sであった。また、液体組成物の液滴の1滴の量は、2pLであった。また、形成された微細凸部(実部)の平均高さは、0.5μmであった。また、微細凸部の平均径は、42μmであり、微細凸部間のピッチは、45μmであった。また、基板を平面視した際に被膜において微細凸部が形成されていない部分(開口部)の割合(開口率)は、20%であった。
その後、基板の第1の面側において被膜を被覆するように、ポリウレタンで構成されるコート層を形成し、これにより時計用文字板を得た(図4(1c)参照)。コート層の形成は、スピンコート法により行った。形成されたコート層の平均厚さは、10μmであった。また、得られた装飾品において、コート層はその一部が開口部内に侵入していた。
なお、被覆層およびコート層の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2)
まず、前記実施例1と同様にして、基板の第1の面側に被膜(第1の被膜)を形成した。
その後、基板の第1の面とは反対側の主面である第2の面に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、図3に示すような千鳥格子状の配列パターンで、液体組成物の液滴を吐出させ、その後、雰囲気圧:5kPaの環境下で、50℃で30分間の熱処理を施すことにより、微細凸部(実部)が千鳥格子状の配列した被膜を形成した(図6(2c)参照)。液体組成物としては、光反射・吸収材料としてのAuの微粒子(一次粒径:50nm)と、分散媒としてのメチルエチルケトンおよびエチレングリコールモノメチルエーテルと、分散剤としてのポリビニルピロリドン(平均重量分子量:5000)と、熱硬化性樹脂としてのエポキシ樹脂とを含む混合物(分散液)を用いた。液体組成物中におけるAuの微粒子の含有率は、30wt%であった。また、液体組成物の粘度は、10mPa・sであった。また、液体組成物の液滴の1滴の量は、2pLであった。また、形成された微細凸部の平均高さは、0.5μmであった。また、微細凸部の平均径は、42μmであり、微細凸部間のピッチは、45μmであった。また、基板を平面視した際に被膜において微細凸部が形成されていない部分(開口部)の割合(開口率)は、20%であった。
その後、前記実施例1と同様にして、基板の第1の面側にコート層を形成し(図6(2d)参照)、さらに、基板の第2の面側にも、前記と同様にしてコート層を形成し、これにより時計用文字板を得た(図6(2e)参照)。
(実施例3〜10)
第1の被膜形成用の液体組成物、第2の被膜形成用の液体組成物の組成を変更するとともに、液体組成物の吐出パターンを変更することにより、第1の被膜および第2の被膜の微細凸部(実部)の配列パターンを表1に示すようにした以外は、前記実施例2と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例1)
まず、表面が平滑なステンレス鋼製の平板を用意した。
この平板上に、印刷装置を用いてレジスト膜を印刷形成した。
次に、写真露光装置を用いて、平板上のレジスト膜を、所定のパターンで露光し、その後、非硬化部を除去した。
次に、平板上のレジスト膜を除去した部位に、離型剤を塗布し、無電解めっきによりNiで構成された第1の金属層を形成した。形成された第1の金属層の厚さは、0.2μmであった。
次に、電解めっきにより、第1の金属層上に、Agで構成された第2の金属層を形成した。これにより、第1の金属層と第2の金属層とからなる被膜(金属被膜)が得られた。得られた被膜は、平面視した際の形状が略円形の開口部を多数固有するものであり、これらの開口部が千鳥格子状に配列したものであった。各開口部の平均径は、42μm、開口部間のピッチは、45μm、被膜を平面視した際に開口部の占める割合(開口率)は、5%であった。また、形成された第2の金属層の厚さは、0.3μmであった。
次に、被膜の開口部に残存するレジスト膜を除去した。
次に、被膜をステンレス鋼製の平板から慎重に剥離し、前記実施例1で用いたのと同様の基板の表面(第1の面)に、接着剤を用いて接着した。
その後、基板の被膜が設けられた面(第1の面)側に、前記実施例1と同様にしてコート層を形成することにより、時計用文字板を得た。
(比較例2)
レジスト膜を露光する際の光の照射パターンを変更することにより、被膜が有する開口部の大きさを変更した以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
各実施例および各比較例について、時計用文字板の製造に用いた液体組成物の条件、および、時計用文字板が有する被膜の構成を表1にまとめて示す。なお、表1中、C.I.ピグメント ブラック6を「B6」と示した。また、比較例1、2については、実部(微細凸部)の直径、実部のピッチの欄に、開口部の直径、ピッチの条件を示した。
Figure 2008151616
2.時計用文字板の生産性
前記各実施例および各比較例について、時計用文字板の生産性を以下の5段階の基準に従い、評価した。
◎:生産性にきわめて優れている。
○:生産性に優れている。
△:生産性にやや劣る。
×:生産性に劣る。
××:生産性にきわめて劣る。
3.時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、目視および顕微鏡による観察を行い、これらの外観を以下の5段階の基準に従い、評価した。
◎◎:外観きわめて優良。
◎:外観優良。
○:外観良。
△:外観やや不良。
×:外観不良。
4.時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。文字板の光透過率が大きいほど、文字板の光透過性は優れたものであるといえる。
◎◎:37%以上。
◎:32%以上37%未満。
○:25%以上32%未満。
△:17%以上25%未満。
×:17%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した文字板を用いて、図6に示すような腕時計を製造した。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例1の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
5.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、装飾品としての文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。
文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
◎:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
○:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
△:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
×:感度の低下が1.0dB以上。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2008151616
表2から明らかなように、本発明では、時計用文字板の生産性が優れているのに対し、比較例では、生産性に劣っていた。特に、開口部が比較的大きい比較例2では、時計用文字板の生産性が非常に悪かった。
また、表2から明らかなように、本発明にかかる時計用文字板は、いずれも優れた美的外観を有するとともに、光の透過性に優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、開口率を小さくした比較例では、十分な光の透過性が得られず、また、開口率を大きくした比較例では、優れた外観が得られなかった。すなわち、比較例では、優れた外観と優れた光透過性の両立が困難であった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図6に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記の「3.時計用文字板の外観評価」と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
本発明の時計用文字板の第1実施形態を示す断面図である。 図1に示す時計用文字板において微細凸部(実部)の配置パターンの一例を示す平面図である。 図1に示す時計用文字板において微細凸部(実部)の配置パターンの一例を示す平面図である。 本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計用文字板の第2実施形態を示す断面図である。 本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
符号の説明
1…時計用文字板 2…基板 21…第1の面 22…第2の面 3…被膜 3’…被膜(第1の被膜) 3’’…被膜(第2の被膜) 31…微細凸部(実部) 31’…微細凸部(実部) 31’’…微細凸部(実部) 311…液滴 311’…液滴 311’’…液滴 32…開口部(透過部) 32’…開口部(透過部) 32’’…開口部(透過部) 4、4’、4’’…コート層 5…ヘッド部 9…太陽電池 71…ムーブメント 72…胴(ケース) 73…裏蓋 74…ベゼル(縁) 75…ガラス板(カバーガラス) 76…巻真パイプ 77…りゅうず 771…軸部 772…溝 78…プラスチックパッキン 79…プラスチックパッキン 83…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 84…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 85…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)

Claims (13)

  1. 光透過性を有する材料で構成された基板上に、光を反射または吸収する機能を有する材料で構成された被膜を有する時計用文字板を製造する方法であって、
    前記基板上に、圧電素子の振動により、ヘッド部から、光を反射または吸収する機能を有する材料を含有する液体組成物を液滴として間欠的に吐出させることにより、前記被膜を、所定パターンで配された多数の微細凸部として形成することを特徴とする時計用文字板の製造方法。
  2. 常温における前記液体組成物の粘度が、1〜20mPa・sである請求項1に記載の時計用文字板の製造方法。
  3. 前記液体組成物の液滴の1滴の量(平均)が、0.1〜40pLである請求項1または2に記載の時計用文字板の製造方法。
  4. 前記液体組成物は、金属材料を含有するものである請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  5. 前記金属材料は、Ag、Cr、Au、Al、Ti、Sn、Inから選択される少なくとも1種を含むものである請求項4に記載の時計用文字板の製造方法。
  6. 前記液体組成物は、金属酸化物を含有するものである請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  7. 前記金属酸化物は、ZnO、Alから選択される少なくとも1種を含むものである請求項6に記載の時計用文字板の製造方法。
  8. 前記基板の両側の主面に前記被膜を形成する請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  9. 前記基板の両側の主面で、前記微細凸部の配置パターンおよび/または色を異なるものとする請求項8に記載の時計用文字板の製造方法。
  10. 前記基板を平面視した際に前記微細凸部で被覆されていない開口部の面積の割合を、10〜90%とする請求項1ないし9のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  11. 全体の光透過率を、10〜95%とする請求項1ないし10のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
  12. 請求項1ないし請求項11のいずれかに記載の方法により製造されたことを特徴とする時計用文字板。
  13. 請求項12に記載の時計用文字板と、太陽電池とを有し、
    前記太陽電池の受光面側に前記時計用文字板が配されていることを特徴とする時計。
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