JP2010216898A - 時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計 - Google Patents
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Abstract
【課題】光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を提供する。
【解決手段】時計用文字板1の製造方法は、支持部材3に形成された主としてAlで構成のアルミニウム部材2に対して酸化処理を施し、表面付近に選択的に酸化膜21を形成する酸化工程と、酸化膜21上に所定のパターンのマスクを形成するマスキング工程と、エッチング処理を施し、マスクで被覆されていない領域の酸化膜21の背面に存在する酸化されていない部位を除去するとともに、当該領域の酸化膜21を除去するエッチング工程と、マスクを除去するマスク除去工程と、着色剤を付与することにより、残存する酸化膜21を着色し、暗色の着色部を形成する着色工程と、着色剤が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程とを有する。
【選択図】図1
【解決手段】時計用文字板1の製造方法は、支持部材3に形成された主としてAlで構成のアルミニウム部材2に対して酸化処理を施し、表面付近に選択的に酸化膜21を形成する酸化工程と、酸化膜21上に所定のパターンのマスクを形成するマスキング工程と、エッチング処理を施し、マスクで被覆されていない領域の酸化膜21の背面に存在する酸化されていない部位を除去するとともに、当該領域の酸化膜21を除去するエッチング工程と、マスクを除去するマスク除去工程と、着色剤を付与することにより、残存する酸化膜21を着色し、暗色の着色部を形成する着色工程と、着色剤が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程とを有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計に関する。
従来、ソーラー時計では、太陽電池に十分な光量の光を入射させるために、太陽電池そのものを文字板として利用したり、太陽電池上に有色の部材(特に濃色の部材)が配されないように文字板の形状を設計してきた。しかしながら、このような時計では、装飾品としての美的外観に劣っており、特に、高級感を持たせることが困難であった。
そこで、プラスチック性の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
そこで、プラスチック性の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、上記のような方法では、金属膜を基板上に貼着する際に、金属膜にしわが生じ易く、このようなしわの発生を防止するために、慎重に貼着作業を行う必要があり、文字板の生産性は極端に低いものとなる。また、十分慎重に貼着作業を行った場合でも、比較的小さなしわ等は、その発生を十分に防止するのが困難であり、得られる文字板の美的外観を十分に優れたものとするのが困難であった。また、上記のような方法では、比較的高い割合で不良品が発生してしまうため、生産の歩留り、省資源の観点からも好ましくない。上記のような問題は、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合に、特に顕著になる。また、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合、貼着作業を行う際に、金属膜が破れ易く、文字板の生産性、生産コスト、省資源の観点から不利であるとともに、破れた金属膜の一部が微粒子として雰囲気中に飛散することがあり、人体の健康に対する懸念もある。また、上記のような文字板では、金属膜を確実に密着させることが困難であり、経時的な外観の変化(審美性の低下)が顕著であった。
また、その一方で、暗色の色調で高級感のある外観を呈する文字板をソーラー時計に適用することについての要望があるが、上記のような方法では金属膜を用いるため、暗色の色調で高級感のある外観を呈する文字板を得ることができなかった。
また、その一方で、暗色の色調で高級感のある外観を呈する文字板をソーラー時計に適用することについての要望があるが、上記のような方法では金属膜を用いるため、暗色の色調で高級感のある外観を呈する文字板を得ることができなかった。
本発明の目的は、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を提供すること、前記時計用文字板を製造することができる製造方法を提供すること、また、当該時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板の製造方法は、主としてAlで構成されたアルミニウム部材に対して酸化処理を施し、少なくとも一方の面の表面付近に選択的に酸化膜を形成する酸化工程と、
前記アルミニウム部材の前記酸化膜上に、所定のパターンのマスクを形成するマスキング工程と、
前記マスクで被覆された前記アルミニウム部材に対し、エッチング処理を施し、前記マスクで被覆されていない領域の前記酸化膜の背面に存在する酸化されていない部位を除去するとともに、当該領域の前記酸化膜を除去するエッチング工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と、
着色剤を付与することにより、前記アルミニウム部材の残存する前記酸化膜を着色し、暗色の着色部を形成する着色工程と、
前記着色剤が付与された前記アルミニウム部材を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程とを有することを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法は、主としてAlで構成されたアルミニウム部材に対して酸化処理を施し、少なくとも一方の面の表面付近に選択的に酸化膜を形成する酸化工程と、
前記アルミニウム部材の前記酸化膜上に、所定のパターンのマスクを形成するマスキング工程と、
前記マスクで被覆された前記アルミニウム部材に対し、エッチング処理を施し、前記マスクで被覆されていない領域の前記酸化膜の背面に存在する酸化されていない部位を除去するとともに、当該領域の前記酸化膜を除去するエッチング工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と、
着色剤を付与することにより、前記アルミニウム部材の残存する前記酸化膜を着色し、暗色の着色部を形成する着色工程と、
前記着色剤が付与された前記アルミニウム部材を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程とを有することを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を製造することができる製造方法を提供することができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記着色剤は、黒色を呈するものであることが好ましい。
これにより、得られる時計用文字板をより高級感に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記マスクは、ポジ型のフォトレジストを用いて形成されたものであることが好ましい。
これにより、エッチング工程での選択性を特に優れたとすることができ、得られる時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
これにより、得られる時計用文字板をより高級感に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記マスクは、ポジ型のフォトレジストを用いて形成されたものであることが好ましい。
これにより、エッチング工程での選択性を特に優れたとすることができ、得られる時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記アルミニウム部材の平均厚さは、20〜600μmであることが好ましい。
これにより、より確実に、所望の形状、パターンでエッチング処理を施すことができ、得られる時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記アルミニウム部材を、透明性を有する支持部材に接合する工程をさらに有することが好ましい。
これにより、時計用文字板全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板の形状の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板の耐久性を優れたものとすることができる。
これにより、より確実に、所望の形状、パターンでエッチング処理を施すことができ、得られる時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板の製造方法では、前記アルミニウム部材を、透明性を有する支持部材に接合する工程をさらに有することが好ましい。
これにより、時計用文字板全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板の形状の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板の耐久性を優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板は、本発明の方法を用いて製造されたことを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記アルミニウム部材の厚さ方向に貫通する開口部を有するものであり、前記アルミニウム部材を平面視した際の前記アルミニウム部材の開口率は、20〜70%であることが好ましい。
これにより、時計用文字板についての光の透過性と美的外観とを非常に高いレベルで両立することができる。その結果、時計用文字板を、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)に好適に適用することができる。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記アルミニウム部材の厚さ方向に貫通する開口部を有するものであり、前記アルミニウム部材を平面視した際の前記アルミニウム部材の開口率は、20〜70%であることが好ましい。
これにより、時計用文字板についての光の透過性と美的外観とを非常に高いレベルで両立することができる。その結果、時計用文字板を、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)に好適に適用することができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を備えた時計を提供することができる。また、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を備えた時計を提供することができる。また、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明によれば、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、暗色の色調で高級感のある外観を、長期間にわたって安定的に保持することができる時計用文字板を提供すること、前記時計用文字板を製造することができる製造方法を提供すること、また、当該時計用文字板を備えた時計を提供することができる。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
<時計用文字板>
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図、図3は、酸化膜のパターンの一例を説明するための模式的な平面図、図4は、酸化膜のパターンの他の一例を説明するための模式的な平面図である。なお、本明細書で参照する図面は、構成の一部を強調して示したものであり、実際の寸法等を正確に反映したものではない。
<時計用文字板>
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す平面図、図3は、酸化膜のパターンの一例を説明するための模式的な平面図、図4は、酸化膜のパターンの他の一例を説明するための模式的な平面図である。なお、本明細書で参照する図面は、構成の一部を強調して示したものであり、実際の寸法等を正確に反映したものではない。
図1に示すように、時計用文字板1は、アルミニウム部材2と、透明性を有する材料で構成された支持部材3とを備えている。アルミニウム部材2は、その表面付近に、暗色を呈する酸化膜21を有している。そして、アルミニウム部材2は、その厚さ方向に貫通する多数個の開口部23を有している。
時計用文字板1は、アルミニウム部材2の酸化膜21が設けられた側の面(図1中の上側の面)が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
時計用文字板1は、アルミニウム部材2の酸化膜21が設けられた側の面(図1中の上側の面)が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
[アルミニウム部材]
アルミニウム部材2は、その外表面側に酸化膜21を有しており、アルミニウム部材2の酸化膜21以外の部位が、金属部22となっている。
酸化膜21は、主として、アルミニウムの酸化物で構成されたものであり、暗色を呈するものである。
アルミニウム部材2は、その外表面側に酸化膜21を有しており、アルミニウム部材2の酸化膜21以外の部位が、金属部22となっている。
酸化膜21は、主として、アルミニウムの酸化物で構成されたものであり、暗色を呈するものである。
酸化膜21を構成するアルミニウムの酸化物は、高硬度で、光沢性に優れている。このため、時計用文字板1は、耐擦傷性(傷等の付き難さ)に優れ、光沢感のある暗色で高級感のある外観を呈するものとなる。酸化膜21は、着色剤等を含むものであってもよい。着色剤を含むことにより、時計用文字板1の外観を、より確実に、高級感に溢れた暗色を呈するものとすることができる。
酸化膜21の色は、暗色であれば特に限定されず、酸化膜21の色としては、例えば、黒色、濃褐色、濃紺色等が挙げられるが、中でも、黒色が好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観(高級感)は特に優れたものとなる。
酸化膜21の平均厚さは、4〜100μmであるのが好ましく、5〜80μmであるのがより好ましい。酸化膜21の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
酸化膜21の平均厚さは、4〜100μmであるのが好ましく、5〜80μmであるのがより好ましい。酸化膜21の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
金属部22は、主として、Alで構成されたものである。このような金属部22を有することにより、酸化膜21を確実に保持することができ、時計用文字板1の耐久性を確実に優れたものとすることができる。
金属部22におけるAlの含有率は、90wt%以上であるのが好ましく、95wt%以上であるのがより好ましく、99wt%以上であるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、酸化膜21が上述したような厚さである場合においては、金属部22が有する光沢感を時計用文字板1の外観に適度に反映されることができ、時計用文字板1の美的外観(高級感)をさらに優れたものとすることができる。
金属部22の平均厚さは、16〜500μmであるのが好ましく、25〜320μmであるのがより好ましい。金属部22の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
金属部22におけるAlの含有率は、90wt%以上であるのが好ましく、95wt%以上であるのがより好ましく、99wt%以上であるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、酸化膜21が上述したような厚さである場合においては、金属部22が有する光沢感を時計用文字板1の外観に適度に反映されることができ、時計用文字板1の美的外観(高級感)をさらに優れたものとすることができる。
金属部22の平均厚さは、16〜500μmであるのが好ましく、25〜320μmであるのがより好ましい。金属部22の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
アルミニウム部材2の平均厚さは、20〜600μmであるのが好ましく、30〜400μmであるのがより好ましい。アルミニウム部材2の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、アルミニウム部材2の平均厚さが前記範囲内の値であると、後に詳述するような製造方法において、所望の形状、パターンでエッチング処理を施すことができ、得られる時計用文字板1の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
アルミニウム部材2には、その厚さ方向に貫通する多数個の開口部23を有している。開口部23は、時計用文字板1において、光を透過する光透過部として機能するものである。このように、時計用文字板1は、暗色を呈する酸化膜21を備えるとともに、開口部(光透過部)23を有するものであるため、光沢のある高級感に溢れた外観を呈するとともに、時計用文字板全体としての光透過性にも優れている。したがって、時計用文字板1は、太陽電池を備えたソーラー時計に好適に適用することができる。
開口部23は、いかなる形状のものであってもよいが、図2に示す構成では、時計用文字板1(アルミニウム部材2)を平面視した際の形状が略円形状である。開口部23がこのような形状を有するものであると、時計用文字板1を平面視した際の開口部23の面積の比率(以下、「アルミニウム部材2の開口率」とも言う)を比較的高いものとした場合であっても、開口部23の存在を十分に目立ちにくいものとすることができ、優れた美的外観と光透過性とをより高いレベルで両立することができる。また、開口部23が上記のような形状を有するものであると、後述するような方法により、所望の形状の開口部23を容易かつ確実に形成することができる。また、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。なお、開口部23の形状、配置パターンは、図2に示すようなものに限定されず、例えば、図3、図4に示すようなものであってもよい。
開口部23の幅(開口部23が略円形である場合には、その直径)Wは、30〜200μmであるのが好ましく、40〜120μmであるのがより好ましく、50〜100μmであるのがさらに好ましい。開口部23の幅Wが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部23の幅Wが前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、開口部23を精度よく形成するのが困難になるとともに、アルミニウム部材2の開口率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、開口部23の幅Wが前記上限値を超えると、アルミニウム部材2の開口率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。
また、開口部23のピッチPは、50〜300μmであるのが好ましく、80〜160μmであるのがより好ましく、90〜140μmであるのがさらに好ましい。開口部23の実部のピッチPが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板の美的外観(審美性)を特に優れたものとすることができる。これに対し、開口部23のピッチPが前記下限値未満であると、時計用文字板1の製造時において、開口部23を精度よく形成するのが困難になるとともに、アルミニウム部材2の開口率等によっては、時計用文字板1全体としての光の透過率を十分に高めるのが困難になる可能性がある。一方、開口部23のピッチPが前記上限値を超えると、アルミニウム部材2の開口率等によっては、時計用文字板1の外観を十分に優れたものとするのが困難になる可能性がある。なお、開口部23のピッチとは、隣接する開口部23−開口部23間の中心間距離のことを指し、隣接する開口部23が複数個ある場合には、最も近接した開口部23との中心間距離のことを指す。
アルミニウム部材2の開口率は、20〜70%であるのが好ましく、25〜67%であるのがより好ましく、30〜65%であるのがさらに好ましい。アルミニウム部材2の開口率が前記範囲内の値であると、光透過性を十分優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。これに対し、アルミニウム部材2の開口率が前記下限値未満であると、時計用文字板1全体としての光透過性を十分に優れたものとすることが困難になる。一方、アルミニウム部材2の開口率が前記上限値を超えると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとすることが困難になる。
[支持部材]
本実施形態の時計用文字板1は、上述したようなアルミニウム部材2に加えて、透明性を有する材料で構成された支持部材3を備えている。これにより、時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板1の形状の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができる。
本実施形態の時計用文字板1は、上述したようなアルミニウム部材2に加えて、透明性を有する材料で構成された支持部材3を備えている。これにより、時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板1の形状の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができる。
支持部材3は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の支持部材(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)で発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である支持部材(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
支持部材3を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、支持部材3は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、支持部材3がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、支持部材3がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、支持部材3が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
支持部材3を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、支持部材3は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、支持部材3の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、これらの材料は、後述するようなエッチングに対して優れた耐性を有している。このようなことから、後に詳述するような製造方法を用いて時計用文字板1を製造する場合において、目的とする形状、外観の時計用文字板1を確実に製造することができる。また、支持部材3がポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)から選択される少なくとも1種を含む材料で構成されたものであると、支持部材3とアルミニウム部材2との密着性を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
なお、支持部材3は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、支持部材3が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
支持部材3は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
支持部材3の平均厚さは、特に限定されないが、70〜600μmであるのが好ましく、100〜550μmであるのがより好ましく、150〜500μmであるのがさらに好ましい。支持部材3の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、支持部材3の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
支持部材3の平均厚さは、特に限定されないが、70〜600μmであるのが好ましく、100〜550μmであるのがより好ましく、150〜500μmであるのがさらに好ましい。支持部材3の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、支持部材3の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
時計用文字板1の厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜550μmであるのがさらに好ましい。時計用文字板1の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
時計用文字板1についての光の透過率は、20%以上であるのが好ましく、25%以上であるのがより好ましく、28%以上であるのがさらに好ましく、30%以上であるのがもっとも好ましい。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
<時計用文字板の製造方法>
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図5、図6は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図5、図6に示すように、本実施形態の製造方法は、、支持部材3を準備する支持部材準備工程(1a)と、支持部材3上にアルミニウム部材を設けるアルミニウム部材接合工程(1b)と、アルミニウム部材2に対して酸化処理を施し、表面付近に選択的に酸化膜21’を形成する酸化工程(1c)と、アルミニウム部材2の酸化膜21’上に、所定のパターンのマスク5を形成するマスキング工程(1d)と、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2に対し、エッチング処理を施し、マスク5で被覆されていない領域の酸化膜21’の背面に存在する酸化されていない金属部22を除去するとともに、当該領域の酸化膜21’を除去するエッチング工程(1e)と、マスク5を除去するマスク除去工程(1f)と、着色剤6を付与することにより、アルミニウム部材2の残存する酸化膜21’を着色する着色工程(1g)と、着色剤6が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程(1h)とを有している。
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図5、図6は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図5、図6に示すように、本実施形態の製造方法は、、支持部材3を準備する支持部材準備工程(1a)と、支持部材3上にアルミニウム部材を設けるアルミニウム部材接合工程(1b)と、アルミニウム部材2に対して酸化処理を施し、表面付近に選択的に酸化膜21’を形成する酸化工程(1c)と、アルミニウム部材2の酸化膜21’上に、所定のパターンのマスク5を形成するマスキング工程(1d)と、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2に対し、エッチング処理を施し、マスク5で被覆されていない領域の酸化膜21’の背面に存在する酸化されていない金属部22を除去するとともに、当該領域の酸化膜21’を除去するエッチング工程(1e)と、マスク5を除去するマスク除去工程(1f)と、着色剤6を付与することにより、アルミニウム部材2の残存する酸化膜21’を着色する着色工程(1g)と、着色剤6が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程(1h)とを有している。
[支持部材準備工程]
まず、透明性を有し、アルミニウム部材2を支持する機能を有する支持部材3を準備する(1a)。これにより、最終的に得られる時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板1の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができるとともに、後述する工程での操作性を優れたものとすることができ、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
まず、透明性を有し、アルミニウム部材2を支持する機能を有する支持部材3を準備する(1a)。これにより、最終的に得られる時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に確保しつつ、時計用文字板1の安定性、機械的強度を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができるとともに、後述する工程での操作性を優れたものとすることができ、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
支持部材3としては、上述したようなものを用いることができる。また、支持部材3の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる時計用文字板1の外観にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる時計用文字板1の美的外観をさらに向上させることができる。
また、本工程で準備する支持部材3に対しては、後述するアルミニウム部材接合工程に先立ち、研磨処理(化学研磨、電解研磨を含む)、脱脂・洗浄処理等を施してもよい。これにより、例えば、支持部材3とアルミニウム部材2との密着性を特に優れたものとし、最終的に得られる時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、本工程で準備する支持部材3に対しては、後述するアルミニウム部材接合工程に先立ち、研磨処理(化学研磨、電解研磨を含む)、脱脂・洗浄処理等を施してもよい。これにより、例えば、支持部材3とアルミニウム部材2との密着性を特に優れたものとし、最終的に得られる時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
[アルミニウム部材接合工程]
次に、主としてAlで構成されたアルミニウム部材2を支持部材3に接合する(1b)。
アルミニウム部材2は、支持部材3とは別部材として予め準備されたものであって、粘接着剤を用いた接合や融着等の各種接合方法により支持部材3に接合されるものであってもよいし、真空蒸着、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射等の方法により、支持部材3上に直接形成されるものであってもよい。特に、アルミニウム部材2の平均厚さが比較的薄いものである場合には、上記のような方法(成膜方法として用いられる方法)により、支持部材3に接合されたアルミニウム部材2を好適に形成することができる。
また、アルミニウム部材2の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる時計用文字板1の外観にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる時計用文字板1の美的外観をさらに向上させることができる。
次に、主としてAlで構成されたアルミニウム部材2を支持部材3に接合する(1b)。
アルミニウム部材2は、支持部材3とは別部材として予め準備されたものであって、粘接着剤を用いた接合や融着等の各種接合方法により支持部材3に接合されるものであってもよいし、真空蒸着、電解メッキ、浸漬メッキ、無電解メッキ等の湿式メッキ法、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式メッキ法、溶射等の方法により、支持部材3上に直接形成されるものであってもよい。特に、アルミニウム部材2の平均厚さが比較的薄いものである場合には、上記のような方法(成膜方法として用いられる方法)により、支持部材3に接合されたアルミニウム部材2を好適に形成することができる。
また、アルミニウム部材2の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。これにより、得られる時計用文字板1の外観にバリエーションを持たせることが可能となり、得られる時計用文字板1の美的外観をさらに向上させることができる。
また、本工程で支持部材3に接合されるアルミニウム部材2の平均厚さは、20〜600μmであるのが好ましく、30〜400μmであるのがより好ましい。アルミニウム部材2の平均厚さが前記範囲内の値であると、後述するエッチング工程で、より確実に、所望の形状、パターンでエッチング処理を施すことができ、得られる時計用文字板1の美的外観を確実に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1の美的外観(高級感)を特に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、アルミニウム部材2に対しては、後述する酸化工程に先立ち、研磨処理(化学研磨、電解研磨を含む)、脱脂・洗浄処理等を施してもよい。これにより、酸化工程で形成される酸化膜21’を、各部位での均質性がより高いものとすることができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性をより確実に優れたものとすることができる。
また、アルミニウム部材2に対しては、後述する酸化工程に先立ち、研磨処理(化学研磨、電解研磨を含む)、脱脂・洗浄処理等を施してもよい。これにより、酸化工程で形成される酸化膜21’を、各部位での均質性がより高いものとすることができ、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性をより確実に優れたものとすることができる。
[酸化工程]
次に、支持部材3に接合されたアルミニウム部材2(接合体)に対して酸化処理を施し、アルミニウム部材2の支持部材3に接合する面とは反対側の表面付近に選択的に多孔質体で構成された酸化膜21’を形成する(1c)。
酸化処理の方法としては、例えば、陽極酸化処理等が挙げられる。陽極酸化により、酸化膜21’を形成する場合、電解液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液、リン酸溶液、クロム酸溶液等を用いることができる。
次に、支持部材3に接合されたアルミニウム部材2(接合体)に対して酸化処理を施し、アルミニウム部材2の支持部材3に接合する面とは反対側の表面付近に選択的に多孔質体で構成された酸化膜21’を形成する(1c)。
酸化処理の方法としては、例えば、陽極酸化処理等が挙げられる。陽極酸化により、酸化膜21’を形成する場合、電解液としては、例えば、硫酸溶液、シュウ酸溶液、リン酸溶液、クロム酸溶液等を用いることができる。
電解液として、硫酸溶液を用いる場合、硫酸溶液(水溶液)の濃度は10〜20wt%、電流密度は0.5〜2A/dm2、電解液温度は15〜25℃、処理時間は30〜60分であるのが好ましい。このような条件で酸化処理を行うことにより、アルミニウム部材2の略法線方向に直線的に成長した筒状の空孔を、好適に形成することができる。これにより、後述するエッチング工程における、エッチングの異方性を高めることができ、所望の形状の開口部(光透過部)23をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の光透過性を十分に優れたものとしつつ、美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、電解液として、シュウ酸溶液を用いる場合、シュウ酸溶液(水溶液)の濃度は2〜5wt%、電流密度は1〜20A/dm2、電解液温度は3〜5℃、処理時間は30〜60分であるのが好ましい。このような条件で酸化処理を行うことにより、アルミニウム部材2の略法線方向に直線的に成長した筒状の空孔を、好適に形成することができる。これにより、後述するエッチング工程における、エッチングの異方性を高めることができ、所望の形状の開口部(光透過部)23をより確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の光透過性を十分に優れたものとしつつ、美的外観を特に優れたものとすることができる。
[マスキング工程]
次に、アルミニウム部材2の酸化膜21’が形成された面(第1の面)を、所定のパターンのマスク5で被覆する(1d)。
マスク5は、後述するエッチング工程において、被覆した部位に対応する部位の金属部22をエッチングから保護する機能を有する。
次に、アルミニウム部材2の酸化膜21’が形成された面(第1の面)を、所定のパターンのマスク5で被覆する(1d)。
マスク5は、後述するエッチング工程において、被覆した部位に対応する部位の金属部22をエッチングから保護する機能を有する。
マスク5としては、エッチング工程において、被覆した部位に対応する部位の金属部22をエッチングから保護する機能を有するものであればいかなるものでもよいが、後述するマスク除去工程(マスク除去工程)において、容易に除去することができるものであるのが好ましい。
マスク5の形成方法は、特に限定されないが、マスク5は、フォトリソグラフィー法により形成(パターニング)されたものであるのが好ましい。これにより、上述したような微細なパターンで開口部23が設けられた時計用文字板1を確実に製造することができる。
マスク5の形成方法は、特に限定されないが、マスク5は、フォトリソグラフィー法により形成(パターニング)されたものであるのが好ましい。これにより、上述したような微細なパターンで開口部23が設けられた時計用文字板1を確実に製造することができる。
マスク5は、エッチング工程において、被覆した部位に対応する部位の金属部22をエッチングから保護する機能を有するものであれば、いかなる材料で構成されたものであってもよいが、ポジ型のフォトレジストを用いて形成されたものであるのが好ましい。これにより、エッチング工程での選択性を特に優れたとすることができ、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。特に、マスク5の形成時等に、酸化膜21’を構成する多孔質体の空孔内部にマスク形成用材料が侵入することをより効果的に防止・抑制することができ、また、仮に、空孔内部にマスク形成用材料が侵入してしまった場合であっても、現像工程において、容易かつ確実に、空孔内部のマスク材料を除去することができるため、エッチング工程において、所望の形状の開口部(光透過部)23を、より確実に形成することができ、結果として、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
マスク形成用のポジ型のフォトレジストとしては、特に、アクリル系のポジ型レジスト材料が好ましい。これにより、上記のような効果がより顕著に発揮される。
また、マスク5をポジ型のフォトレジストを用いて形成する場合、フォトリソグラフィー法の現像工程においては、現像液として、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いるのが好ましい。これにより、露光部位のマスク材料を容易確実に除去することができる。特に、酸化膜21’を構成する多孔質体の空孔内部にマスク形成用材料が侵入してしまった場合であっても、容易かつ確実に、空孔内部のマスク材料を除去することができる。また、現像処理において、アルミニウム部材2が不本意な反応をすることを確実に防止することができる。以上のようなことから、エッチング工程において、所望の形状の開口部(光透過部)23を、より確実に形成することができる。その結果、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、マスク5をポジ型のフォトレジストを用いて形成する場合、フォトリソグラフィー法の現像工程においては、現像液として、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いるのが好ましい。これにより、露光部位のマスク材料を容易確実に除去することができる。特に、酸化膜21’を構成する多孔質体の空孔内部にマスク形成用材料が侵入してしまった場合であっても、容易かつ確実に、空孔内部のマスク材料を除去することができる。また、現像処理において、アルミニウム部材2が不本意な反応をすることを確実に防止することができる。以上のようなことから、エッチング工程において、所望の形状の開口部(光透過部)23を、より確実に形成することができる。その結果、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
マスク5の平均厚さは、特に限定されないが、例えば、50〜2000μmであるのが好ましく、100〜1000μmであるのがより好ましい。マスク5の平均厚さが前記下限値未満であると、マスク5にピンホールが発生し易くなる傾向がある。このため、後述する酸化工程において、マスク5としての機能(被覆した部位を酸化反応から保護する機能)を十分に発揮するのが困難となり、得られる時計用文字板1の美的外観が低下する可能性がある。
また、マスク5は、実質的に透明であるのが好ましい。これにより、アルミニウム部材2との密着状態を外部から容易に視認することができる。
また、マスク5は、実質的に透明であるのが好ましい。これにより、アルミニウム部材2との密着状態を外部から容易に視認することができる。
[エッチング工程]
次に、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2(接合体)に対し、エッチング処理を施す(1e)。これにより、アルミニウム部材2の第1の面(支持部材3に対向する面である第2の面とは反対側の面)のマスク5で被覆されていない領域の酸化膜21’の背面に存在する酸化されていない金属部22が除去されるとともに、(足場を失った)当該領域の酸化膜21’が選択的に除去され、開口部(光透過部)23が形成される。
ところで、アルミニウムで構成された部材は、一般に、エッチング処理に供した場合に、等方的なエッチングが進行しやすいため、板状のアルミニウム部材上に所定のパターンでマスクをした状態でエッチング処理を施すと、マスクの開口部(マスクで被覆されていない部分)と同一の大きさ、形状の開口部を形成するのが困難であった。
次に、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2(接合体)に対し、エッチング処理を施す(1e)。これにより、アルミニウム部材2の第1の面(支持部材3に対向する面である第2の面とは反対側の面)のマスク5で被覆されていない領域の酸化膜21’の背面に存在する酸化されていない金属部22が除去されるとともに、(足場を失った)当該領域の酸化膜21’が選択的に除去され、開口部(光透過部)23が形成される。
ところで、アルミニウムで構成された部材は、一般に、エッチング処理に供した場合に、等方的なエッチングが進行しやすいため、板状のアルミニウム部材上に所定のパターンでマスクをした状態でエッチング処理を施すと、マスクの開口部(マスクで被覆されていない部分)と同一の大きさ、形状の開口部を形成するのが困難であった。
一方、本発明では、アルミニウム部材に、マスクの開口部(マスクで被覆されていない部分)に対応する大きさ、形状の開口部を確実に形成することができる。これは、以下のような理由によるものであると考えられる。すなわち、本発明では、エッチング処理に供されるアルミニウム部材は、食刻されるべき金属部(Alで構成された部位)上に、酸化膜が形成されたものである。アルミニウム部材が有する酸化膜(上述したような方法により形成された酸化膜)は、一般に、アルミニウム部材の略法線方向に直線的に成長した筒状の空孔を有しているため、食刻されるべき金属部に到達するエッチャントの進行方向が規制され、エッチングは、異方的に進行する。これにより、アルミニウム部材に、マスクの開口部(マスクで被覆されていない部分)に対応する大きさ、形状の開口部を確実に形成することができ、最終的に得られる時計用文字板の美的外観を確実に優れたものとすることができる。
エッチング法としては、例えば、ウェットエッチング、ドライエッチング等が挙げられるが、中でも、ウェットエッチングが好ましい。
本工程をウェットエッチングにより行う場合、エッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等を用いることができる。
また、エッチング液をアルミニウム部材2に付与する方法としては、例えば、浸漬法(エッチング液中に、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2を浸漬する方法)、スプレー法、刷毛塗り、インクジェット法等が挙げられる。この中でも、浸漬法は、比較的短時間で、容易かつ確実に所望の部位の金属部22を選択的に除去できるという点で優れている。また、浸漬法では、アルミニウム部材2に付与されるエッチング液の温度、組成等を容易に管理することができ、また、アルミニウム部材2とエッチング液との接触時間を制御し易いという点でも優れている。
本工程をウェットエッチングにより行う場合、エッチング液としては、例えば、水酸化ナトリウム水溶液等を用いることができる。
また、エッチング液をアルミニウム部材2に付与する方法としては、例えば、浸漬法(エッチング液中に、マスク5で被覆されたアルミニウム部材2を浸漬する方法)、スプレー法、刷毛塗り、インクジェット法等が挙げられる。この中でも、浸漬法は、比較的短時間で、容易かつ確実に所望の部位の金属部22を選択的に除去できるという点で優れている。また、浸漬法では、アルミニウム部材2に付与されるエッチング液の温度、組成等を容易に管理することができ、また、アルミニウム部材2とエッチング液との接触時間を制御し易いという点でも優れている。
[マスク除去工程]
次に、アルミニウム部材2からマスク5を除去する(1f)。これにより、マスク5で被覆されていた酸化膜21’が露出する。
本工程は、例えば、マスク除去剤(マスク除去液)中に、アルミニウム部材2を浸漬する方法等により行うことができる。マスク除去剤(マスク除去液)としては、例えば、NMP、キシレン、アルカリアミン系、アルキル系アルカリなどの有機溶剤あるいは有機アルカリ系を含む剥離液等を含む液体を用いることができる。
次に、アルミニウム部材2からマスク5を除去する(1f)。これにより、マスク5で被覆されていた酸化膜21’が露出する。
本工程は、例えば、マスク除去剤(マスク除去液)中に、アルミニウム部材2を浸漬する方法等により行うことができる。マスク除去剤(マスク除去液)としては、例えば、NMP、キシレン、アルカリアミン系、アルキル系アルカリなどの有機溶剤あるいは有機アルカリ系を含む剥離液等を含む液体を用いることができる。
[着色工程]
次に、多孔質体で構成された酸化膜21’が形成されたアルミニウム部材2に対して着色剤6を付与する(1g)。これにより、着色剤が付与された酸化膜21’は、暗色に着色された着色部となる。
着色剤6は、溶媒に溶解した溶液状態または分散媒に分散した分散液の状態で、付与されるのが好ましい。これにより、酸化膜21’が有する空孔内に、効率よく着色剤6を充填することができ、美的外観に優れた時計用文字板1を生産性良く製造することができる。
次に、多孔質体で構成された酸化膜21’が形成されたアルミニウム部材2に対して着色剤6を付与する(1g)。これにより、着色剤が付与された酸化膜21’は、暗色に着色された着色部となる。
着色剤6は、溶媒に溶解した溶液状態または分散媒に分散した分散液の状態で、付与されるのが好ましい。これにより、酸化膜21’が有する空孔内に、効率よく着色剤6を充填することができ、美的外観に優れた時計用文字板1を生産性良く製造することができる。
本工程で用いる着色剤は、黒色を呈するものであるのが好ましい。これにより、得られる時計用文字板をより高級感に優れたものとすることができる。このような黒色の着色剤としては、例えば、カーボンブラック等が挙げられる。
なお、本発明では、最終的に得られる時計用文字板において、酸化膜が暗色を呈するものであればよく、例えば、着色剤として複数の成分を含む場合、それぞれの着色剤は暗色を呈するものでなくても、これらが併用されることにより暗色を呈するものであればよい。また、本工程で用いる着色剤は、最終的な時計用文字板において、暗色を呈するものであればよく、本工程においては、暗色を呈していないものであってもよい。例えば、着色剤としては、後の工程で、暗色を変色するようなものを用いてもよい。
なお、本発明では、最終的に得られる時計用文字板において、酸化膜が暗色を呈するものであればよく、例えば、着色剤として複数の成分を含む場合、それぞれの着色剤は暗色を呈するものでなくても、これらが併用されることにより暗色を呈するものであればよい。また、本工程で用いる着色剤は、最終的な時計用文字板において、暗色を呈するものであればよく、本工程においては、暗色を呈していないものであってもよい。例えば、着色剤としては、後の工程で、暗色を変色するようなものを用いてもよい。
[熱処理工程]
次に、着色剤6が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する(1h)。このような処理(熱処理)を施すことにより、着色剤6が付着した状態で空孔が塞がれた酸化膜21となる。これにより、後述するエッチング工程での選択性を特に優れたとすることができ、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、着色剤6が酸化膜21内部に閉じ込められ、最終的に得られる時計用文字板1は、経時的な色調の変化が少なく、長期間にわたって安定した色調を呈するものとなる。また、空孔が塞がれるため、最終的に得られる時計用文字板1を、水分等による影響を受けにくく、耐久性に優れたものとすることができる。
次に、着色剤6が付与されたアルミニウム部材2を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する(1h)。このような処理(熱処理)を施すことにより、着色剤6が付着した状態で空孔が塞がれた酸化膜21となる。これにより、後述するエッチング工程での選択性を特に優れたとすることができ、得られる時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、着色剤6が酸化膜21内部に閉じ込められ、最終的に得られる時計用文字板1は、経時的な色調の変化が少なく、長期間にわたって安定した色調を呈するものとなる。また、空孔が塞がれるため、最終的に得られる時計用文字板1を、水分等による影響を受けにくく、耐久性に優れたものとすることができる。
本工程は、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理を行うが、熱水および/または水蒸気の温度は、90℃以上であるのが好ましい。
また、85℃以上の熱水(液体)を用いて行う場合、本工程は、当該熱水中に、アルミニウム部材2を浸漬する方法により行うのが好ましい。このような場合、熱水への浸漬時間は、0.5〜5分間であるのが好ましく、1〜2分間であるのがより好ましい。熱水への浸漬時間が前記下限値未満であると、本工程を行うことによる効果が十分に得られない場合がある。一方、熱水への浸漬時間が前記上限値を超えると、本工程を行うことによる効果のさらなる向上を図るのが困難となり、また、時計用文字板1の生産性が低下する。
また、本工程は、加圧雰囲気下で行ってもよい。これにより、上記のような効果をより顕著に発揮させることができる。また、本工程での処理時間を短縮することができ、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
また、85℃以上の熱水(液体)を用いて行う場合、本工程は、当該熱水中に、アルミニウム部材2を浸漬する方法により行うのが好ましい。このような場合、熱水への浸漬時間は、0.5〜5分間であるのが好ましく、1〜2分間であるのがより好ましい。熱水への浸漬時間が前記下限値未満であると、本工程を行うことによる効果が十分に得られない場合がある。一方、熱水への浸漬時間が前記上限値を超えると、本工程を行うことによる効果のさらなる向上を図るのが困難となり、また、時計用文字板1の生産性が低下する。
また、本工程は、加圧雰囲気下で行ってもよい。これにより、上記のような効果をより顕著に発揮させることができる。また、本工程での処理時間を短縮することができ、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。
以上のようにして、時計用文字板1を得ることができる。
なお、上記のような各処理は、製造すべき時計用文字板1に対応するアルミニウム部材2、支持部材3を用いて行うものであってもよいが、例えば、シート状のアルミニウム部材2、支持部材3に対して上記処理を施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
なお、上記のような各処理は、製造すべき時計用文字板1に対応するアルミニウム部材2、支持部材3を用いて行うものであってもよいが、例えば、シート状のアルミニウム部材2、支持部材3に対して上記処理を施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、時計用文字板1の酸化膜21が設けられた側の面が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。上述したように、本発明の時計用文字板1は、光透過性に優れるとともに、美的外観に優れ、背面側の様子が観察者に認識されるのを防止する効果に優れている。このため、腕時計100において、時計用文字板1の背面に配された太陽電池94が観察者(使用者等)に認識され、それにより腕時計100全体としての外観に悪影響を及ぼすことが防止されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、時計用文字板1の酸化膜21が設けられた側の面が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。上述したように、本発明の時計用文字板1は、光透過性に優れるとともに、美的外観に優れ、背面側の様子が観察者に認識されるのを防止する効果に優れている。このため、腕時計100において、時計用文字板1の背面に配された太陽電池94が観察者(使用者等)に認識され、それにより腕時計100全体としての外観に悪影響を及ぼすことが防止されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
図7中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82には巻真パイプ86が嵌入・固定され、この巻真パイプ86内にはりゅうず87の軸部871が回転可能に挿入されている。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず87の軸部871の途中の外周には溝872が形成され、この溝872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)91が嵌合されている。ゴムパッキン91は巻真パイプ86の内周面に密着し、該内周面と溝872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず87と巻真パイプ86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず87を回転操作したとき、ゴムパッキン91は軸部871と共に回転し、巻真パイプ86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、時計用文字板の表面には、コート層等を有していてもよい。これにより、例えば、時計用文字板全体としての、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させたりすることができる。なお、このようなコート層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、時計用文字板の表面には、コート層等を有していてもよい。これにより、例えば、時計用文字板全体としての、耐食性、耐候性、耐水性、耐油性、耐擦傷性、耐摩耗性、耐変色性等の各種特性を向上させたりすることができる。なお、このようなコート層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、本発明の時計用文字板として、酸化膜を有しかつ開口部が設けられたアルミニウム部材に加え、支持部材を有する構成のものについて説明したが、本発明の時計用文字板は、上記のような支持部材を備えていなくてもよい。
また、前述した実施形態では、アルミニウム部材を支持部材に接合した状態で、酸化工程、エッチング工程等を行うものとして説明したが、これらの工程のうち、少なくとも一部は、アルミニウム部材を支持部材に接合していない状態で行うものであってもよい。このような場合、例えば、アルミニウム部材のマスク被覆される面とは反対の面を、上述したマスクと同様にエッチングに対する耐性を有する裏面保護膜で被覆した状態で、エッチング工程を行ってもよい。これにより、アルミニウム部材のマスクで被覆された面とは反対の面側からの不本意な食刻を確実に防止することができ、目的とする形状、外観の時計用文字板をより確実に得ることができる。
また、アルミニウム部材が有する酸化膜の配置パターンは、上述したようなものに限定されない。例えば、酸化膜は、時計用文字板を変面視した際に、島状に設けられたもの(例えば、図2〜図4の開口部23に対応する部位にのみ酸化膜が設けられた構成)であってもよい。
また、前述した実施形態では、アルミニウム部材を支持部材に接合した状態で、酸化工程、エッチング工程等を行うものとして説明したが、これらの工程のうち、少なくとも一部は、アルミニウム部材を支持部材に接合していない状態で行うものであってもよい。このような場合、例えば、アルミニウム部材のマスク被覆される面とは反対の面を、上述したマスクと同様にエッチングに対する耐性を有する裏面保護膜で被覆した状態で、エッチング工程を行ってもよい。これにより、アルミニウム部材のマスクで被覆された面とは反対の面側からの不本意な食刻を確実に防止することができ、目的とする形状、外観の時計用文字板をより確実に得ることができる。
また、アルミニウム部材が有する酸化膜の配置パターンは、上述したようなものに限定されない。例えば、酸化膜は、時計用文字板を変面視した際に、島状に設けられたもの(例えば、図2〜図4の開口部23に対応する部位にのみ酸化膜が設けられた構成)であってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネート製の支持部材(直径:27mm、厚さ:400μm)を準備し、アルカリ洗浄、純水洗浄を行った(支持部材準備工程)。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネート製の支持部材(直径:27mm、厚さ:400μm)を準備し、アルカリ洗浄、純水洗浄を行った(支持部材準備工程)。
他方、厚さ:70μmのアルミニウム製の板材に対し、アルカリ洗浄、純水洗浄を行った後、打ち抜き加工を施すことにより、直径:27mm×厚さ:70μmの円盤状のアルミニウム部材を得た(アルミニウム部材準備工程)。
その後、粘着シート(直径:27mm、厚さ:20μm)を用いることにより、アルミニウム部材が、粘着剤層を介して、上記支持部材に接合した接合体が得られた(アルミニウム部材接合工程)。
その後、粘着シート(直径:27mm、厚さ:20μm)を用いることにより、アルミニウム部材が、粘着剤層を介して、上記支持部材に接合した接合体が得られた(アルミニウム部材接合工程)。
次に、支持部材に接合されたアルミニウム部材(接合体)に対して、15wt%硫酸水溶液を用いた陽極酸化(酸化処理)を施すことにより、アルミニウム部材の支持部材に接合された面とは反対側の表面付近に、多孔質体で構成された酸化膜を形成した(酸化工程)。本工程での酸化処理は、液温:20℃、電流密度:1.5A/dm2、処理時間:30分という条件で行った。
次に、アクリル系のポジ型のフォトレジストを用いたフォトリソグラフィー法により、アルミニウム部材の支持部材が接合されている面とは反対側の面(第1の面)に、所定のパターンのマスクを被覆した(マスキング工程)。現像液としては、テトラメチルアンモニウムハイドロオキサイド水溶液を用いた。マスクの平均厚さは150μmであった。
次に、支持部材に接合され、マスクで被覆されたアルミニウム部材(酸化膜が形成されたアルミニウム部材)を、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に浸漬することにより、アルミニウム部材の第1の面のマスクで被覆されていない領域の酸化膜の背面に存在する酸化されていない金属部が除去されるとともに、当該領域の酸化膜が選択的に除去された(エッチング工程)。アルミニウム部材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
次に、支持部材に接合され、マスクで被覆されたアルミニウム部材(酸化膜が形成されたアルミニウム部材)を、5wt%水酸化ナトリウム水溶液(エッチング液)中に浸漬することにより、アルミニウム部材の第1の面のマスクで被覆されていない領域の酸化膜の背面に存在する酸化されていない金属部が除去されるとともに、当該領域の酸化膜が選択的に除去された(エッチング工程)。アルミニウム部材のエッチング液中への浸漬時間は、3分とした。
次に、エッチング工程に供されたアルミニウム部材を、NMP(Nメチル2ピロリドン)水溶液(マスク除去液)中に浸漬することにより、マスクを除去した(マスク除去工程)。
次に、多孔質体で構成された酸化膜が形成されたアルミニウム部材(接合体)を、着色剤としてのカーボンブラックを含む着色剤分散液中に浸漬することにより、酸化膜の空孔内に着色剤を付着(吸着)させ、暗色(黒色)に着色された着色部とした(着色工程)。
次に、着色剤が付与されたアルミニウム部材(接合体)を、90℃の熱水中に20分間浸漬した(熱処理工程)。これにより、目的とする時計用文字板が得られた。
なお、アルミニウム部材の厚さ等は、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
次に、多孔質体で構成された酸化膜が形成されたアルミニウム部材(接合体)を、着色剤としてのカーボンブラックを含む着色剤分散液中に浸漬することにより、酸化膜の空孔内に着色剤を付着(吸着)させ、暗色(黒色)に着色された着色部とした(着色工程)。
次に、着色剤が付与されたアルミニウム部材(接合体)を、90℃の熱水中に20分間浸漬した(熱処理工程)。これにより、目的とする時計用文字板が得られた。
なお、アルミニウム部材の厚さ等は、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜5)
支持部材の構成材料、厚さ、アルミニウム部材の厚さ、マスク形成工程で形成するマスクのパターン、酸化工程の処理条件を調整することにより、時計用文字板の構成が表1に示すようになるようにした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
支持部材の構成材料、厚さ、アルミニウム部材の厚さ、マスク形成工程で形成するマスクのパターン、酸化工程の処理条件を調整することにより、時計用文字板の構成が表1に示すようになるようにした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例1)
まず、ポリカーボネート製の支持部材(直径:27mm、厚さ:400μm)を準備した。
次に、カーボンブラックがウレタン系樹脂に分散した着色組成物を用いて、スピンコートにより支持部材の一方の面上に着色膜を形成し、時計用文字板を得た。
(比較例2)
着色膜の形成に用いる着色組成物中におけるカーボンブラックの含有率を高くした以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
まず、ポリカーボネート製の支持部材(直径:27mm、厚さ:400μm)を準備した。
次に、カーボンブラックがウレタン系樹脂に分散した着色組成物を用いて、スピンコートにより支持部材の一方の面上に着色膜を形成し、時計用文字板を得た。
(比較例2)
着色膜の形成に用いる着色組成物中におけるカーボンブラックの含有率を高くした以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
各実施例および各比較例の時計用文字板の構成を表1にまとめて示す。なお、表1中、ポリカーボネートをPC、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、ポリエチレンテレフタレートをPETで、それぞれ示した。また、表1中、アルミニウム部材の酸化膜についての「形状、配置パターン」の欄には、図2に示すような形状、配置パターンを「A」で示し、図3に示すような形状、配置パターンを「B」で示し、図4に示すような形状、配置パターンを「C」で示した。ただし、開口率は、図2〜図4に示すものと異なるものであってもよい。また、比較例1、2については、着色膜の条件を「アルミニウム部材」の欄に示した。また、前記各実施例および各比較例の時計用文字板の各部位における表1中に示す材料の含有率は、いずれも、99.9wt%以上であった。
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:暗色の色調で高級感があり、きわめて優良な外観を呈している。
B:暗色の色調で高級感があり、優良な外観を呈している。
C:暗色の色調で高級感があり、良好な外観を呈している。
D:高級感ある暗色の色調が得られていない。または、外観がやや不良である。
E:外観が不良である。
F:外観がきわめて不良である。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:暗色の色調で高級感があり、きわめて優良な外観を呈している。
B:暗色の色調で高級感があり、優良な外観を呈している。
C:暗色の色調で高級感があり、良好な外観を呈している。
D:高級感ある暗色の色調が得られていない。または、外観がやや不良である。
E:外観が不良である。
F:外観がきわめて不良である。
3.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
A:30%以上。
B:27%以上30%未満。
C:24%以上27%未満。
D:21%以上24%未満。
E:21%未満。
B:27%以上30%未満。
C:24%以上27%未満。
D:21%以上24%未満。
E:21%未満。
その後、前記各実施例および各比較例で製造した時計用文字板を用いて、図7に示すような腕時計を製造した。このとき、時計用文字板は、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)がガラス板側を向くようにした。そして、製造された各腕時計を暗室にいれた。その後、時計の時計用文字板側の面(ガラス板側の面)から、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、光の照射強度が次第に大きくなるように照射強度を一定の速度で変化させた。その結果、本発明の時計では、比較的照射強度が小さい場合でもムーブメントが駆動した。これに対し、比較例2の時計では、比較的照射強度が大きい場合でもムーブメントの駆動が確認されなかった。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、時計用文字板は、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
5.美的外観の安定性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板を、温度:60℃、湿度:90%RHの環境下に90日間静置し、その直後に、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板を、温度:60℃、湿度:90%RHの環境下に90日間静置し、その直後に、アルミニウム部材の酸化膜が設けられた面側(各比較例については、着色膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。
A:審美性の低下が全く認められない。
B:審美性の低下がほとんど認められない。
C:審美性の低下がわずかに認められる。
D:審美性の低下がはっきりと認められる。
E:審美性の低下が顕著に認められる。
これらの結果を表2に示す。
B:審美性の低下がほとんど認められない。
C:審美性の低下がわずかに認められる。
D:審美性の低下がはっきりと認められる。
E:審美性の低下が顕著に認められる。
これらの結果を表2に示す。
表2から明らかなように、本発明の時計用文字板は、いずれも、暗色の色調で高級感のある、優れた美的外観を有するとともに、光の透過性に優れていた。また、本発明の時計用文字板は、色調の安定性にも優れて、長期間にわたって、優れた外観を安定的に保持することができた。また、本発明の時計用文字板は、優れた耐久性を有していた。また、本発明の時計用文字板は、電波の透過性にも優れていた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図7に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図7に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
1…時計用文字板 2…アルミニウム部材 21…酸化膜 21’…酸化膜 22…金属部 23…開口部(光透過部) 3…支持部材 5…マスク 6…着色剤 94…太陽電池 81…ムーブメント 82…胴(ケース) 83…裏蓋 84…ベゼル(縁) 85…ガラス板(カバーガラス) 86…巻真パイプ 87…りゅうず 871…軸部 872…溝 88…プラスチックパッキン 89…プラスチックパッキン 91…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 92…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 93…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計)
Claims (8)
- 主としてAlで構成されたアルミニウム部材に対して酸化処理を施し、少なくとも一方の面の表面付近に選択的に酸化膜を形成する酸化工程と、
前記アルミニウム部材の前記酸化膜上に、所定のパターンのマスクを形成するマスキング工程と、
前記マスクで被覆された前記アルミニウム部材に対し、エッチング処理を施し、前記マスクで被覆されていない領域の前記酸化膜の背面に存在する酸化されていない部位を除去するとともに、当該領域の前記酸化膜を除去するエッチング工程と、
前記マスクを除去するマスク除去工程と、
着色剤を付与することにより、前記アルミニウム部材の残存する前記酸化膜を着色し、暗色の着色部を形成する着色工程と、
前記着色剤が付与された前記アルミニウム部材を、85℃以上の熱水および/または水蒸気で処理する熱処理工程とを有することを特徴とする時計用文字板の製造方法。 - 前記着色剤は、黒色を呈するものである請求項1に記載の時計用文字板の製造方法。
- 前記マスクは、ポジ型のフォトレジストを用いて形成されたものである請求項1または2に記載の時計用文字板の製造方法。
- 前記アルミニウム部材の平均厚さは、20〜600μmである請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
- 前記アルミニウム部材を、透明性を有する支持部材に接合する工程をさらに有する請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板の製造方法。
- 請求項1ないし5のいずれかに記載の方法を用いて製造されたことを特徴とする時計用文字板。
- 前記アルミニウム部材の厚さ方向に貫通する開口部を有するものであり、前記アルミニウム部材を平面視した際の前記アルミニウム部材の開口率は、20〜70%である請求項6に記載の時計用文字板。
- 請求項6または7に記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
Priority Applications (1)
Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
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JP2009062100A JP2010216898A (ja) | 2009-03-13 | 2009-03-13 | 時計用文字板の製造方法、時計用文字板および時計 |
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Cited By (3)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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CN104181801A (zh) * | 2013-05-21 | 2014-12-03 | 动力专家有限公司 | 一种用于制造用于手表的彩色组件的方法和设备 |
US9625879B2 (en) | 2013-05-21 | 2017-04-18 | Master Dynamic Limited | Method for fabricating a colored component for a watch |
US11860580B2 (en) | 2019-07-08 | 2024-01-02 | Seiko Epson Corporation | Watch component and watch |
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