JP2010185722A - 時計用文字板および時計 - Google Patents

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Abstract

【課題】耐久性に優れるとともに、高級感に溢れ美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供すること。
【解決手段】本発明の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、基板2の一方の主面である第1の面21側に設けられた、顔料を含む材料で構成された顔料着色膜3と、基板2の第1の面21とは反対側の主面である第2の面22側に設けられた、金属材料で構成された金属膜4とを備えている。基板2は、第2の面22に、第1の面21側から入射した光を、屈折・散乱させる機能を有する微小な凹凸221を有するものである。
【選択図】図1

Description

本発明は、時計用文字板および時計に関する。
時計用文字板には、実用品としての優れた視認性とともに、装飾品としての優れた美的外観が要求される。従来、このような目的を達成するために、一般に、時計用文字板の構成材料として、Au、Ag等の金属材料を用いてきた(例えば、特許文献1参照)。また、合金を用いた色味の調整も行われているが、合金を用いた場合、表現することのできる範囲に限界があり、また、合金の組成によっては、耐食性の低下等の問題を生じることがあった。
また、時計用文字板には、着色剤(顔料、染料)が用いられることもあり、このような場合、複数種の材料の組み合わせが容易で、金属材料を用いた場合に比べて表現できる色調の範囲を広げることができるが、時計用文字板の高級感を十分に優れたものとすることが困難であった。
特開2008−102018号公報
本発明の目的は、耐久性に優れるとともに、高級感に溢れ美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、光透過性を有する材料で構成された基板と、
前記基板の一方の主面である第1の面側に設けられた、顔料を含む材料で構成された顔料着色膜と、
前記基板の前記第1の面とは反対側の主面である第2の面側に設けられた、金属材料で構成された金属膜とを備え、
前記基板は、前記第2の面に、前記第1の面側から入射した光を、屈折・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであることを特徴とする。
これにより、耐久性に優れるとともに、高級感に溢れ美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10〜28μmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記凹凸の高低差は、4〜25μmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記基板が、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を含む材料で構成されたものであり、前記基板と前記金属膜との間に、チタン酸化物および/またはクロム酸化物で構成された酸化物膜を備えるものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記顔料着色膜中における前記顔料の含有率は、0.5〜10.0wt%であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記顔料着色膜の平均厚さは、1〜50μmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記金属膜は、Ti、Ag、Al、PtおよびAuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記金属膜の平均厚さは、30〜1500nmであることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板の耐久性を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、耐久性に優れるとともに、高級感に溢れ美的外観に優れた時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
本発明によれば、耐久性に優れるとともに、高級感に溢れ美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供することができる。
本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2〜図6は、基板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、本実施形態の時計用文字板1は、光透過性を有する材料で構成された基板2と、基板2の一方の主面である第1の面21側に設けられた、顔料を含む材料で構成された顔料着色膜3と、基板2の第1の面21とは反対側の主面である第2の面22側に設けられた、金属材料で構成された金属膜4と、基板2と金属膜4との間に設けられた酸化物膜5とを有している。すなわち、本実施形態の時計用文字板1は、顔料着色膜3と、基板2と、酸化物膜5と、金属膜4とが、この順に積層された構成を有している。
時計用文字板1は、基板2の第1の面21側、すなわち、顔料着色膜3で被覆された面側(図1中上側)が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
[基板]
基板2は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このように基板2についての光透過性が十分に優れたものであると、後に詳述するような金属膜4による反射、凹凸221による光の屈折・散乱による効果をより顕著に発揮させることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の基板(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)で発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である基板(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
基板2を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、基板2は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、電波の透過性にも優れているため、基板2がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、基板2が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
基板2を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、基板2は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、基板2の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、基板2がポリカーボネート(PC)および/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を含む材料で構成されたものであると、基板2と金属膜4との密着性(酸化物膜5を介した密着性)を特に優れたものとすることができる。また、基板2がポリカーボネート(PC)および/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)を含む材料で構成されたものであると、後に詳述する酸化物膜5と基板2との屈折率の関係により、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
また、上記のようなプラスチック材料は、いずれも、電波の透過性に特に優れているため、このような材料で構成された時計用文字板1は、電波時計により好適に適用することができる。
なお、基板2は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。
基板2は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
基板2は、第1の面21側に、後に詳述する顔料着色膜3が設けられており、第1の面21とは反対側の主面である第2の面22に、第1の面21側から入射した光を、屈折・散乱させる機能を有する微小な凹凸221を有し、さらに、第2の面22側に金属材料で構成された金属膜4を有するものである。
ところで、時計用文字板1においては、顔料着色膜3が設けられた面側(図中の上側)から照射された光は、その一部が顔料着色膜3で反射するとともに、他の一部が基板2の内部に進入する。顔料着色膜3を介して基板2に進入した光は、第1の面21側から第2の面22側に向かって進行し、その一部は、金属膜4で反射するとともに、第2の面22に設けられた凹凸221により、屈折・散乱する。これにより、凹凸221により屈折・散乱した光が観察者側(図中上側)に出射するとともに、顔料着色膜3での反射光と、金属膜4での反射光とが重ね合わせられることとなり、金属材料および顔料が有する色調、金属材料が有する質感を十分に発揮させつつ、高級感のある光沢を呈する優れた美的外観を得ることができる。
凹凸221は、いかなる配置のものであってもよいが、基板2を平面視した際に、規則的に配置されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の各部位(平面視した際の各部位)における、不本意な色むら等が発生するのを効果的に防止することができる。凹凸221の配置パターン(平面視多彩の配置パターン)としては、例えば、多数の凸条、溝が渦巻状に配置されたパターン(図2参照)、凸条、溝が同心円状に配置されたパターン(図3参照)、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図4参照)、二次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターン(図5、図6参照)等が挙げられる。
凹凸221のピッチ(特に、第2の面22上において、凸条、溝の長手方向に垂直な方向についてのピッチ)Pは、特に限定されないが、10〜28μmであるのが好ましく、20〜26μmであるのがより好ましい。凹凸221のピッチPが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凹凸221の高低差(凸部(凸条)の頂部と凹部(溝)の底部との高低差)Hは、特に限定されないが、4〜25μmであるのが好ましく、8〜13.5μmであるのがより好ましい。凹凸221の高低差Hが前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、凹凸221の断面形状(凸条、溝の長手方向に対して垂直な断面での形状)は、二等辺三角形状をなすものである。凹凸221の断面形状がこのようなものであると、第1の面21側から入射した光をより好適に屈折・散乱させることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
凹凸221の頂点の角度(図中のθ)は、特に限定されないが、70〜100°であるのが好ましい。これにより、第1の面21側から入射した光をより好適に屈折・散乱させることができ、時計用文字板1の美的外観をさらに優れたものとすることができる。
また、基板2の第1の面21は、比較的平坦(平滑)なものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観は特に優れたものとなる。また、基板2の第1の面21には、放射状や渦目等の文様が設けられていてもよい。これにより、時計用文字板1のデザインのバリエーションを広げることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。第1の面21の表面粗さRaは、0.001〜5.0μmであるのが好ましく、0.001〜2.5μmであるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
また、基板2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板(基材)2は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板2の平均厚さは、特に限定されないが、150〜700μmであるのが好ましく、200〜600μmであるのがより好ましく、300〜500μmであるのがさらに好ましい。基板2の平均厚さが前記範囲内の値であると、後に詳述するような金属膜4による反射、凹凸221による光の屈折・散乱による効果をより顕著に発揮させることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、基板2の厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、基板2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
[顔料着色膜]
基板2の第1の面21側には、顔料を含む材料で構成された顔料着色膜3が設けられている。
顔料着色膜3は、基板2や金属膜4等よりも観察者側に配置されるものであり、時計用文字板1全体としての色調に大きな影響を与える。
顔料着色膜3の色調は、特に限定されないが、白色、クリーム色、水色、ピンク色であるのが好ましい。これにより、従来表現することが困難であった色調で、優れた美的外観を有する時計用文字板1が得られる。すなわち、顔料着色膜3の色調が前記のようなものであると、顔料着色膜、金属膜、および、凹凸を有する基板とを備えることにより得られる本発明の効果がより顕著なものとして発揮される。
顔料着色膜3を構成する顔料としては、例えば、C.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,40,41,42,48:1,48:2,48:3,48:4,49:1,49:2,50:1,52:1,53:1,57,57:1,57:2,58:2,58:4,60:1,63:1,63:2,64:1,81,81:1,83,88,90:1,97,101,102,104,105,106,108,108:1,112,113,114,122,123,144,146,149,150,151,166,168,170,171,172,174,175,176,177,178,179,180,185,187,188,190,193,194,202,206,207,208,209,215,216,220,224,226,242,243,245,254,255,264,265;C.I.ピグメントグリーン7,36,15,17,18,19,26,50,58;C.I.ピグメントブルー1,15,15:1,15:2,15:3,15:4,15:6,17:1,18,60,27,28,29,35,36,60,80;C.I.ピグメントイエロー1,3,12,13,14,15,16,17,20,24,31,34,35,35:1,37,37:1,42,43,53,55,60,61,65,71,73,74,81,83,93,94,95,97,98,100,101,104,106,108,109,110,113,114,116,117,119,120,126,127,128,129,138,139,150,151,152,153,154,155,156,157,166,168,175,180,184,185;C.I.ピグメントバイオレット1,3,14,16,19,23,29,32,36,38,50;C.I.ピグメントオレンジ1,5,13,14,16,17,20,20:1,24,34,36,38,40,43,46,49,51,61,63,64,71,73,104;C.I.ピグメントブラウン7,11,23,25,33;C.I.ピグメントブラック1,7;C.I.ピグメントホワイト1,4,5,6,7,11,18,19,20,21,22,23,24,26,27,28や、これらの誘導体等が挙げられ、これらから選択される1種または2種以上を組み合わせて用いることができる。
顔料着色膜3は、顔料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種樹脂成分、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。特に、顔料着色膜3が樹脂成分を含む材料で構成されたものであると、顔料着色膜3の基板2に対する密着性、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、顔料着色膜3は、含有する顔料に対応する色の光を反射する機能を有するとともに、光透過性を有している。これにより、前述した凹凸221および後述する金属膜4の効果を確実に発揮させることができる。
また、顔料着色膜3を構成する顔料は、一般に、電波の透過性に優れているため、このような材料で構成された時計用文字板1は、電波時計に好適に適用することができる。
顔料着色膜3の平均厚さは、特に限定されないが、1〜50μmであるのが好ましく、2〜40μmであるのがより好ましく、3〜30μmであるのがさらに好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、顔料着色膜3中における顔料の含有率は、特に限定されないが、0.5〜10.0wt%であるのが好ましく、1.0〜8.0wt%であるのがより好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、顔料着色膜3の基板2に対する密着性、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとする。
顔料着色膜3は、その全体にわたって均一な組成を有するものであってもよいし、各部位で組成の異なるものであってもよい。例えば、顔料着色膜3は、厚さ方向に異なる組成を有する複数の層を備えた積層体で構成されたものであってもよいし、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
[酸化物膜]
本実施形態では、基板2と金属膜4との間には、チタン酸化物および/またはクロム酸化物で構成された酸化物膜5が設けられている。このように時計用文字板1が酸化物膜5を有することにより、特に、基板2がポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を含む材料で構成されたものである場合において、基板2と金属膜4との密着性(酸化物膜5を介しての密着性)を特に優れたものとすることができ、時計用文字板1の耐久性を優れたものとすることができる。また、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。これは、顔料着色膜3、基板2を透過した光が基板2と酸化物膜5との界面で好適に反射・屈折すること等によるためであると考えられる。
また、チタン酸化物、クロム酸化物は、いずれも、電波の透過性に優れているため、このような材料で構成された時計用文字板1は、電波時計に好適に適用することができる。
酸化物膜5の平均厚さは、特に限定されないが、10〜200nmであるのが好ましく、15〜150nmであるのがより好ましい。酸化物膜5の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を十分に優れたものとしつつ、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
酸化物膜5は、その全体にわたって均一な組成を有するものであってもよいし、各部位で組成の異なるものであってもよい。例えば、酸化物膜5は、厚さ方向に異なる組成を有する複数の層を備えた積層体で構成されたものであってもよいし、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、酸化物膜5は、チタン酸化物および/またはクロム酸化物を含む材料で構成されたものであればよく、チタン酸化物、クロム酸化物以外の成分を含むものであってもよいが、主として、チタン酸化物、クロム酸化物で構成されたものであるのが好ましい。
[金属膜]
基板2の第2の面22(基板2の凹凸221が設けられた面)側には、金属材料で構成された金属膜4が設けられている。これにより、顔料着色膜3、基板2、酸化物膜5を透過した光を第1の面21側(図中上側)に反射し、この反射光を時計用文字板1の外観に利用することができる。金属膜4を構成する金属材料は、一般に、高級感のある光沢を呈するものであり、このような金属膜4を備えることにより、前述した凹凸221の効果、顔料着色膜3の効果とあいまって、時計用文字板1を、高級感に溢れた光沢感のある優れた外観を呈するものとすることができ、従来では得ることのできなかった優れた美的外観を有するものとすることができる。
金属膜4を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Agや、これらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、青銅、真鍮、洋白等)等が挙げられるが、中でも、Ti、Ag、Al、PtおよびAuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
金属膜4の平均厚さは、30〜1500nmであるのが好ましく、40〜800nmであるのがより好ましく、50〜500nmであるのがさらに好ましい。金属膜4の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができるとともに、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。また、このように、金属膜4の厚さが十分に小さいものであると、時計用文字板1全体としての電波の透過性を十分に優れたものとすることができ、時計用文字板1を電波時計に好適に適用することができる。また、このように、金属膜4の厚さが十分に小さいものであると、入射した光を反射させ外観の向上に十分に利用することができるとともに、入射した光の一部を透過することができる。その結果、時計用文字板1をソーラー時計(太陽電池を備えた時計)に好適に適用することができる。
金属膜4は、その全体にわたって均一な組成を有するものであってもよいし、各部位で組成の異なるものであってもよい。例えば、金属膜4は、厚さ方向に異なる組成を有する複数の層を備えた積層体で構成されたものであってもよいし、厚さ方向に組成が傾斜的に変化する傾斜材料で構成されたものであってもよい。
また、金属膜4は、金属材料を含む材料で構成されたものであればよく、金属材料以外の成分を含むものであってもよいが、主として、金属材料で構成されたものであるのが好ましい。
上述したように、本発明の時計用文字板1は、凹凸221を有する基板2と、顔料着色膜3と、金属膜4とを、所定の位置関係で備えていることにより、耐久性に優れるとともに、高級感に溢れた優れた美的外観を有するものとなる。これに対し、上記の構成の一部が欠如している場合や、上記の構成が所定の位置関係を満足しない場合には、上記のような優れた効果は得られない。
<時計用文字板の製造方法>
次に、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態について説明する。
図7は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の時計用文字板の製造方法は、基板2を準備する基板準備工程(1a)と、基板2の第2の面22上に、酸化物膜5を形成する酸化物膜形成工程(1b)と、酸化物膜5上に、金属膜4を形成する金属膜形成工程(1c)と、基板2の第1の面21上に、顔料着色膜3を形成する顔料着色膜形成工程(1d)とを有している。
[基板準備工程]
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
基板2としては、予め、第2の面22に凹凸221が設けられたものを用意してもよいし、表面形状が平坦な基板に対して、所定の処理を施すことにより、上記のような凹凸221を有する基板2としてもよい。例えば、第2の面22に対応する面に、凹凸221に対応する形状の凹凸を有する成形型を用いて、製造された基板2を用いてもよいし、切削バイトを用いた切削加工等により、凹凸221を形成した基板2を用いてもよい。
また、基板2の表面に対しては、後述する工程に先立ち、各種洗浄処理を施してもよい。これにより、例えば、基板2と顔料着色膜3との密着性、基板2と酸化物膜5との密着性を特に優れたものとすることができる。
[酸化物膜形成工程]
次に、基板2の第2の面22に、チタン酸化物および/またはクロム酸化物で構成された酸化物膜5を形成する。
酸化物膜5の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。酸化物膜5の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、基板2や金属膜4との密着性が特に優れた酸化物膜5を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、酸化物膜5の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき酸化物膜5が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性をさらに向上させることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計等に、より好適に適用することができる。
また、酸化物膜5の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、例えば、積層体で構成された酸化物膜5を好適に形成することができる。
[金属膜形成工程]
次に、酸化物膜5の表面に、金属材料で構成された金属膜4を形成する。
金属膜4の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、乾式めっき法(気相成膜法)が好ましい。金属膜4の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、均一な膜厚を有し、均質で、かつ、酸化物膜5との密着性が特に優れた金属膜4を確実に形成することができる。その結果、最終的に得られる時計用文字板1の美的外観、耐久性を特に優れたものとすることができる。また、金属膜4の形成方法として乾式めっき法(気相成膜法)を適用することにより、形成すべき金属膜4が比較的薄いものであっても、膜厚のばらつきを十分に小さいものとすることができる。このため、例えば、得られる時計用文字板1の耐久性を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の電波の透過性をさらに向上させることができる。したがって、得られる時計用文字板1を電波時計等に、より好適に適用することができる。
また、金属膜4の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、例えば、積層体で構成された金属膜4を好適に形成することができる。
[顔料着色膜形成工程]
次に、基板2の第1の面21に、顔料着色膜3を形成する。
顔料着色膜3の形成方法は、特に限定されず、例えば、スピンコート、ディッピング、刷毛塗り、噴霧塗装、静電塗装、電着塗装等の塗装、電解めっき、浸漬めっき、無電解めっき等の湿式めっき法や、熱CVD、プラズマCVD、レーザーCVD等の化学蒸着法(CVD)、真空蒸着、スパッタリング、イオンプレーティング等の乾式めっき法(気相成膜法)、溶射等が挙げられるが、塗装が好ましい。顔料着色膜3の形成方法として塗装を適用することにより、比較的膜厚の大きい顔料着色膜3であっても効率よく形成することができる。
また、顔料着色膜3の形成は、異なる複数の方法、条件を組み合わせて行ってもよい。これにより、例えば、積層体で構成された顔料着色膜3を好適に形成することができる。
以上のようにして、時計用文字板1を得ることができる。
なお、上記のような酸化物膜形成工程、金属膜形成工程、顔料着色膜形成工程は、製造すべき時計用文字板1に対応する大きさ、形状の基板2に対して施すものであってもよいが、例えば、シート状の基板2に対して施し、その後、打ち抜き、切断等により、目的の大きさ、形状に加工してもよい。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を備えたものである。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図8は、本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す模式的な部分断面図である。
図8に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)10は、胴(ケース)72と、裏蓋73と、ベゼル(縁)74と、ガラス板75とを備えている。また、ケース72内には、上述した時計用文字板1が収納されている。そして、ケース72内のガラス板75と時計用文字板1との間に形成された空間には、図示しない時計用針が収納され、ケース72内の時計用文字板1と裏蓋73との間に形成された空間には、図示しないムーブメントが収納されている。
胴72には巻真パイプ76が嵌入・固定され、この巻真パイプ76内にはりゅうず77の軸部771が回転可能に挿入されている。
胴72とベゼル74とは、プラスチックパッキン78により固定され、ベゼル74とガラス板75とはプラスチックパッキン79により固定されている。
また、胴72に対し裏蓋73が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)82には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)81が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部82が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず77の軸部771の途中の外周には溝772が形成され、この溝772内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)80が嵌合されている。ゴムパッキン80は巻真パイプ76の内周面に密着し、該内周面と溝772の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず77と巻真パイプ76との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず77を回転操作したとき、ゴムパッキン80は軸部771と共に回転し、巻真パイプ76の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー時計や、電波時計等にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、時計用文字板の表面(顔料着色膜が設けられた側の表面や、金属膜が設けられた側の表面)には、少なくとも1つの層が設けられていてもよい。このような層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、顔料着色膜、酸化物膜、金属膜は、時計用文字板を平面した際に、基板全体を被覆するように設けられた場合について中心的に説明したが、顔料着色膜、酸化物膜、金属膜のうち少なくとも一つは、時計用文字板を平面した際に、基板の一部のみを被覆するように設けられたものであってもよい。
また、本発明の時計用文字板は、上述したような酸化物膜を備えていないものであってもよい。
また、前述した実施形態では、基板が有する凹凸は、第2の面の全体に設けられたものとして説明したが、凹凸は、第2の面の一部に設けられたものであってもよい。
また、本発明の時計用文字板は、上述したような製造方法により製造されたものに限定されない。例えば、前述した実施形態では、酸化物膜および金属膜を形成した後に、顔料着色膜を形成するものとして説明したが、酸化物膜、金属膜の形成前に、顔料着色膜を形成してもよい。また、本発明の時計用文字板の製造方法では、必要に応じて、任意の目的の工程を追加してもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより基板を得た。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:500μmであった。また、得られた基板は、一方の主面である第1の面が平滑なものであり、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、規則的に、渦巻状に設けられた凸条および溝からなる凹凸のパターンを有するものであった(図2参照)。凹凸のピッチは25μmであった。また、凹凸の高低差(凸条の頂部と溝の底部との高低差)は12.5μmであった。凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度(図1中のθ)は、90°であった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、プラスチック用中性洗剤で30秒間洗浄を行い、その後、中和を10秒間、水洗を30秒間、純水洗浄を60秒間行った。その後、オーブン(80℃)で20分間乾燥した。
このようにして洗浄を行った基板の第2の面に、TiOで構成される酸化物膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(酸化物膜形成工程)。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)した。
次に、アルゴン流量:40ml/分でアルゴンガスを導入するとともに、酸素流量:50ml/分で酸素を導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1500W、処理時間:3分間という条件で放電を行うことにより、TiOで構成される酸化物膜を形成した。
このようにして形成された酸化物膜の平均厚さは、150nmであった。
引き続き、上記のようにして形成された酸化物膜の表面に、Tiで構成される金属膜を、以下に説明するようなスパッタリングにより形成した(第2の工程)。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてTiを用い、投入電力:1500W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行うことにより、Tiで構成される金属膜を形成した。
このようにして形成された金属膜の平均厚さは、250nmであった。
次に、上記のようにして得られた、酸化物膜と金属膜とで被覆された基板を洗浄した。洗浄としては、まず、アルカリ浸漬脱脂を30秒間行い、その後、中和を10秒間、水洗を10秒間、純水洗浄を10秒間行った。
その後、基板の第1の面に、刷毛塗りにより塗料を付与し、その後溶剤を除去することにより顔料着色膜を形成した(顔料着色膜形成工程)。塗料としては、顔料としてのC.I.ピグメントレッドホワイト11と、樹脂成分としてのポリウレタン系樹脂と、溶剤(顔料を分散する分散媒、ポリウレタン系樹脂を溶解する溶媒)としてのシクロヘキサンとを含むものを用いた。形成された顔料着色膜の平均厚さは、10μmであった。また、顔料着色膜中における顔料の含有率は、1.5wt%であった。
なお、基板、金属膜、酸化物膜、顔料着色膜の厚さは、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
(実施例2〜10)
基板の厚さ、構成材料、基板が有する凹凸の条件、酸化物膜形成工程の処理条件、金属膜形成工程の処理条件、顔料着色膜形成工程の処理条件を適宜変更することにより、表1に示すような構成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例1)
顔料着色膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例2)
金属膜形成工程を省略した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例3)
基板として、第2の面が平滑であり、微小な凹凸を有さないものを用いた以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板を製造した。なお、基板の第2の面の表面粗さRaは、0.1μmであった。
(比較例4)
酸化物膜、金属膜を基板の第1の面側に形成した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。すなわち、本比較例の時計用文字板は、顔料着色膜、酸化物膜、金属膜、基板が、この順に積層された構成を有するものであった。
(比較例5)
酸化物膜形成工程を省略した以外は、前記比較例4と同様にして時計用文字板を製造した。
なお、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板の製造に用いた基板は、いずれも、第1の面の表面粗さRaが、0.07〜0.15μmの範囲内の値であった。また、上記の各実施例および各比較例の時計用文字板では、顔料着色膜の表面粗さRa(基板と対向する面とは反対側の面の表面粗さRa)は、いずれも、0.07〜0.10μmの範囲内の値であった。また、前記各実施例および各比較例で用いた基板は、光源として白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた際の、可視光の透過率が、いずれも、60%以上であった。
各実施例および各比較例の時計用文字板の構成等を表1にまとめて示す。なお、表1中、ポリカーボネートをPC、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、アクリル系樹脂をAc、またポリエチレンテレフタレートをPET、C.I.ピグメントレッドホワイト11をPW11、C.I.ピグメントレッド254をPR254、C.I.ピグメントブルー15をPB15、C.I.ピグメントグリーン36をPG36、C.I.ピグメントイエロー150をPY150で、それぞれ示した。なお、表1中、「凹凸の配置パターン」の欄には、図2に示すように、多数の凸条、溝が渦巻状に配置されたパターンを「a」で示し、図3に示すように、凸条、溝が同心円状に配置されたパターンを「b」で示し、図4に示すように、一次元方向に多数の凸条および溝が配置されたパターンを「c」で示した。また、表1中、「配置構成」の欄には、基板を「B」、顔料着色膜を「P」、酸化物膜を「O」、金属膜を「M」で示し、時計用文字板を構成する各部材の観察者側からの配置順序を示した。また、前記各実施例および各比較例の時計用文字板の各部位における表1中に示す材料の含有率は、いずれも、99.9wt%以上であった。
Figure 2010185722
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、基板の第1の面側(顔料着色膜が設けられた面側)から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の6段階の基準に従い、評価した。
A:高級感があり、極めて優れた外観を有している。
B:高級感があり、非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
3.腕時計用文字板の耐久性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような2種の試験を行い、腕時計用文字板の耐久性を評価した。
3−1.折り曲げ試験
各腕時計用文字板について、直径3.0mmの鉄製の棒材を支点とし、腕時計用文字板の中心を基準に25°の折り曲げを行った後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。折り曲げは、圧縮/引っ張りの両方向について行った。
A:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮きがほとんど認められない。
C:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
3−2.熱サイクル試験
各腕時計用文字板を、以下のような熱サイクル試験に供した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1.5時間、次いで、65℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1.5時間、次いで、−25℃の環境下に3時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(8時間)とし、このサイクルを合計5回繰り返した(合計40時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
A:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮き、剥がれ等が全く認められない。
B:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮きがほとんど認められない。
C:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)の浮きがはっきりと認められる。
D:被膜(顔料着色膜、金属膜、酸化物膜)のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
4.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の4段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第1の面(顔料着色膜が設けられた側の面)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
A:21%以上。
B:16%以上21%未満。
C:11%以上16%未満。
D:11%未満。
5.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、時計用文字板は、基板の第1の面(顔料着色膜が設けられた側の面)が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
これらの結果を表2に示す。
Figure 2010185722
表2から明らかなように、本発明の時計用文字板は、いずれも優れた美的外観(高級感に溢れた光沢を呈する美的外観)を有するとともに、耐久性に優れていた。また、本発明の時計用文字板は、電磁波(光、電波)の透過性にも優れていた。このことから、本発明の時計用文字板は、ソーラー時計、電波時計に好適に適用することができるものであることがわかる。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、各比較例の時計用文字板では、優れた美的外観および時計用文字板としての耐久性を両立することができなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図8に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
1…時計用文字板 2…基板(基材) 21…第1の面 22…第2の面 221…凹凸 3…顔料着色膜 4…金属膜 5…酸化物膜 10…腕時計(携帯時計) 72…胴(ケース) 73…裏蓋 74…ベゼル(縁) 75…ガラス板 76…巻真パイプ 77…りゅうず 771…軸部 772…溝 78…プラスチックパッキン 79…プラスチックパッキン 80…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 81…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 82…接合部(シール部)

Claims (9)

  1. 光透過性を有する材料で構成された基板と、
    前記基板の一方の主面である第1の面側に設けられた、顔料を含む材料で構成された顔料着色膜と、
    前記基板の前記第1の面とは反対側の主面である第2の面側に設けられた、金属材料で構成された金属膜とを備え、
    前記基板は、前記第2の面に、前記第1の面側から入射した光を、屈折・散乱させる機能を有する微小な凹凸を有するものであることを特徴とする時計用文字板。
  2. 前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10〜28μmである請求項1に記載の時計用文字板。
  3. 前記凹凸の高低差は、4〜25μmである請求項1または2に記載の時計用文字板。
  4. 時計用文字板は、前記基板が、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体を含む材料で構成されたものであり、前記基板と前記金属膜との間に、チタン酸化物および/またはクロム酸化物で構成された酸化物膜を備えるものである請求項1ないし3のいずれかに記載の時計用文字板。
  5. 前記顔料着色膜中における前記顔料の含有率は、0.5〜10.0wt%である請求項1ないし4のいずれかに記載の時計用文字板。
  6. 前記顔料着色膜の平均厚さは、1〜50μmである請求項1ないし5のいずれかに記載の時計用文字板。
  7. 前記金属膜は、Ti、Ag、Al、PtおよびAuよりなる群から選択される1種または2種以上を含む材料で構成されたものである請求項1ないし6のいずれかに記載の時計用文字板。
  8. 前記金属膜の平均厚さは、30〜1500nmである請求項1ないし7のいずれかに記載の時計用文字板。
  9. 請求項1ないし8のいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
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