JP5720264B2 - ソーラー時計用文字板および時計 - Google Patents
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Description
本発明のソーラー時計用文字板は、太陽電池を備えた時計に用いられるソーラー時計用文字板であって、
一方の面に、入射した光を、反射および散乱させ、頂部付近に平坦部を有する凸部が設けられた板状部材と、
前記板状部材の前記凸部が設けられた面側に設けられ、平均厚さが0.5μm以上3.0μm以下である分散膜とを備え、
前記分散膜には、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、かつ、平均厚さが30nm以上50nm以下である金属粉末が複数個分散してなり、前記金属粉末が、前記分散膜の厚さ方向に、間隔をあけて配置されており、
前記分散膜中における厚さ方向の前記金属粉末の間隔の平均値が、0.05μm以上1.2μm以下であることを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観に優れたソーラー時計用文字板を提供することができる。
これにより、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、前記板状部材が有する前記凸部の平均高さは、11.5μm以上40μm以下であることが好ましい。
これにより、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、ソーラー時計用文字板全体としての、光の透過性(光透過性)および美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、前記板状部材は、ソーラー時計用文字板を平面視した際に、前記凸部として、同心円状に設けられた複数の凸条を有するものであることが好ましい。
これにより、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、ソーラー時計用文字板全体として、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、透過する光を太陽電池による発電に好適に利用しつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を十分に優れたものとすることができる。すなわち、ソーラー時計用文字板を、太陽電池を備えたソーラー時計に好適に適用することができる。
太陽電池とを備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、ソーラー時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2〜図6は、板状部材が有する凸部の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
時計用文字板1は、板状部材11の第1の面111側が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
板状部材11は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の部材(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)のみで発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である部材(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
板状部材11の屈折率(絶対屈折率)は、1.500以上1.650以下であるのが好ましく、1.550以上1.600以下であるのがより好ましい。これにより、後に詳述するような光の反射・散乱を好適に生じさせることができ、時計用文字板1の美的外観および光の透過性をいずれも優れたものとすることができる。
板状部材11は、第1の面111とは反対側の主面である第2の面112に、第1の面111側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する凸部113を有するものである。
凸部113は、いかなる形状のものであってよいが、凸条であるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。以下の説明では、凸部113が凸条である場合について代表的に説明する。
中でも、凸部113の配置パターンとしては、複数の凸条113が同心円状に配置されたパターンが特に好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
板状部材(凸条部材)11が有する凸部(凸条)113の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部1131の幅W1は、2.0μm以上20μm以下であるのが好ましく、4.0μm以上10μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての、光の透過性(光透過性)および美的外観を特に優れたものとすることができる。
前記断面における凸条113の断面形状が台形である場合、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、80°以上110°以下であるのが好ましく、90°であるのがより好ましい。これにより、第1の面111側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、板状部材11の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、板状部材11は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
板状部材11の第2の面112側には、複数個の金属粉末121が分散媒122中に分散した、平均厚さが0.5μm以上3.0μm以下の分散膜12が設けられている。そして、分散膜12を構成する金属粉末121は、平均粒径が5μm以上20μm以下で、かつ、平均厚さが30nm以上50nm以下のものであり、分散膜12中においては、複数個の金属粉末121が、分散膜12の厚さ方向に、所定の間隔をあけて配置されている。このような構成であることにより、前記厚さ方向の間隔を利用して、板状部材11側から入射した光を、十分な透過率で透過させつつ、時計用文字板1全体として、金属材料に特有の高級感のある色味を得ることができ、時計用文字板1の外観を非常に優れたものとすることができる。
また、上記のような分散膜を備えるものとすることにより、めっきを施す必要がないため、めっき液の廃液が発生することなく、時計用文字板の製造に伴う環境への負荷を軽減することができる。
このような優れた効果は、単なる金属めっき層を設けた場合や、金属膜に機械的方法や化学的方法により開口部を形成した場合には、得られない。
また、上記のように、分散膜12の平均厚さは、0.5μm以上3.0μm以下であるが、0.6μm以上2.2μm以下であるのが好ましく、0.7μm以上1.0μm以下であるのがより好ましい。これにより、上述したような効果はより顕著に発揮される。
金属粉末121を構成する金属材料としては、例えば、Fe、Cu、Zn、Ni、Mg、Cr、Mn、Mo、Nb、Al、V、Zr、Sn、Au、Pd、Pt、Agや、これらのうち少なくとも1種を含む合金(例えば、青銅、真鍮、洋白等)等が挙げられるが、中でも、Cu、Al、Au、Pt、Agが好ましい。金属粉末121がこのような材料で構成されたものであると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
分散媒122は、光透過性を有する材料で構成されたものであるが、樹脂材料で構成されたものであるのが好ましく、硬化性樹脂の硬化物で構成されたものであるのがより好ましい。これにより、分散膜12の基板13との密着性を特に優れたものとし、時計用文字板1の耐久性を特に優れたものとすることができる。
また、分散膜12の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、分散膜12は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
基板13は、光透過性を有するものであり、上述した分散膜12を支持する機能を有するものである。
基板13の構成材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられる。また、基板13は、着色剤等の他の成分を含むものであってもよい。
また、基板13がガラスで構成される場合、時計用文字板1全体としての光透過性を特に優れたものとすることができる。
基板13の平均厚さは、特に限定されないが、100μm以上600μm以下であるのが好ましく、150μm以上450μm以下であるのがより好ましく、200μm以上400μm以下であるのがさらに好ましい。基板13の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
基板13は、圧縮成形、射出成形等、いかなる方法で成形されたものであってもよい。また、基板13の表面に対しては、例えば、鏡面加工、スジ目加工、梨地加工等の表面加工が施されてもよい。
また、時計用文字板1は、図示しないコート層を有するものであってもよい。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、板状部材11の第1の面111が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、板状部材および/または分散膜の表面には、少なくとも1つの層が設けられていてもよい。このような層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、板状部材が有する凸部は、第2の面の全体に設けられたものとして説明したが、凸部は、第2の面の一部にのみ選択的に設けられたものであってもよい。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例の時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより板状部材(凸条部材)を得た。得られた板状部材は、略円盤状をなし、直径:27mm×平均厚さ:250μmであった。また、得られた板状部材は、一方の主面である第1の面が平坦で、第1の面の表面粗さRaが0.07μmであり、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、規則的に、同心円状に設けられた複数の凸条(凸部)を有するものであった(図2参照)。板状部材が備える凸条は、その頂部に平坦部を有するものであった。凸条(凸部)のピッチP1は50μmであった。また、凸条(凸部)の高さH1は22.5μmであった。また、凸条の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部の幅W1は5.0μmであった。前記断面での凸条(凸部)の断面形状は、等脚台形をなすものであり、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、90°であった。
次に、ポリカーボネートを用いて、圧縮成形により、時計用文字板の形状を有する基板を作製し、その後、必要箇所を切削、研磨した。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:約27mm×厚さ:250μmであった。また、基板の表面は、平坦なものであり、その表面粗さRzは、20μm以下であった。
このようにして洗浄を行った基板の一方の表面に、スプレー塗装により、平面した際の形状が正方形状のAl粉末(金属粉末)が分散した分散液を、3回にわたって付与した。スプレー塗装は、基板の法線方向から45°だけ傾斜した方向から分散液を付与することにより行った。分散液としては、Al粉末(平均厚さ:40nm、平均粒径:10μm):1wt%、アクリル樹脂:1wt%、イソプロピルアルコール:1wt%、酢酸エチル:40wt%、酢酸nブチル:20wt%、酢酸イソプロピル:2wt%、プロピレングリコールモノメチルエーテルアセテート:5wt%、ブチルセルソルブ:30wt%という組成を有する組成物を用いた。
その後、板状部材(凸条部材)の第2の面と、基板上に設けられた分散膜とが接触するように重ね合わせることにより、時計用文字板を得た。
板状部材、分散膜、基板(支持基板)の条件を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例1)
分散膜を製造せず、板状部材(凸条部材)のみで構成されるものとした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
板状部材(凸条部材)を製造せず、分散膜が形成された基板(支持基板)のみで構成されるものとした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例3)
板状部材(凸条部材)の平均厚さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
基板(支持基板)の平均厚さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例2と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例5)
板状部材が有する凸条の条件を変更し、前記断面における前記凸条の断面形状が直角三角形状をなすものとし、頂部付近に平坦部を有さないものとした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例6〜11)
分散膜の形成に用いる分散液の構成、付与量を変更した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
基板の表面に、分散膜を形成する代わりに、真空蒸着法により、厚さ:50nmのAlの金属被膜(金属薄膜)を形成した以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例13)
真空蒸着法による成膜時間を変更することにより、金属被膜(金属薄膜)の平均厚さを100nmとした以外は、前記比較例12と同様にして時計用文字板を製造した。
まず、表面が平滑なステンレス鋼製の平板を用意した。
次に、この平板の表面に、平均厚さ20μmのレジスト膜を印刷形成した。
次に、露光装置を用いて、このレジスト膜を露光し、さらに、現像処理を行うことにより、レジスト膜の一部が除去され、多数個の円形のレジスト膜(直径:300μm)が残存した。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:2.0分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される金属被膜を形成した。このようにして形成された金属被膜の平均厚さは、0.20μmであった。
一方、前記実施例1と同様にして、製造すべき時計用文字板の形状を有するポリカーボネート製の基板を用意し、この基板を、前記実施例1と同様にして洗浄した。
その後、板状部材(凸条部材)の第2の面と、基板上に設けられた金属被膜とが接触するように重ね合わせることにより、時計用文字板を得た。製造した多数の時計用文字板に、接合時に発生した金属被膜にしわが認められた。
レジスト膜に対する露光条件を変更することにより、金属被膜に形成する開口部の直径が5μmとなるようにした以外は、前記比較例14と同様にして時計用文字板を製造した。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、目視による観察を行い、これらの外観を以下の7段階の基準に従い、評価した。なお、各実施例および比較例1、3、5〜15の時計用文字板については、板状部材(凸条部材)の第1の面側から観察を行い、比較例2、4の時計用文字板については、分散膜側から観察を行った。
B:非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
G:外観が極めて不良。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の6段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、各実施例および比較例1、3、5〜15の時計用文字板については、板状部材(凸条部材)の第1の面が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせ、比較例2、4の時計用文字板については、分散膜が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。
B:43%以上45%未満。
C:41%以上43%未満。
D:36%以上41%未満。
E:22%以上36%未満。
F:22%未満。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板を、温度:75℃、湿度:90%RHの環境下に72時間静置し、その直後に目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。なお、各実施例および比較例1、3、5〜15の時計用文字板については、板状部材(凸条部材)の第1の面側から観察を行い、比較例2、4の時計用文字板については、分散膜側から観察を行った。
B:審美性の低下がほとんど認められない。
C:審美性の低下がわずかに認められる。
D:審美性の低下がはっきりと認められる。
E:審美性の低下が顕著に認められる。
これらの結果を表3に示す。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図7に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (8)
- 太陽電池を備えた時計に用いられるソーラー時計用文字板であって、
一方の面に、入射した光を、反射および散乱させ、頂部付近に平坦部を有する凸部が設けられた板状部材と、
前記板状部材の前記凸部が設けられた面側に設けられ、平均厚さが0.5μm以上3.0μm以下である分散膜とを備え、
前記分散膜には、平均粒径が5μm以上20μm以下であり、かつ、平均厚さが30nm以上50nm以下である金属粉末が複数個分散してなり、前記金属粉末が、前記分散膜の厚さ方向に、間隔をあけて配置されており、
前記分散膜中における厚さ方向の前記金属粉末の間隔の平均値が、0.05μm以上1.2μm以下であることを特徴とするソーラー時計用文字板。 - 前記板状部材が有する前記凸部は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが25μm以上100μm以下である請求項1に記載のソーラー時計用文字板。
- 前記板状部材が有する前記凸部の平均高さは、11.5μm以上40μm以下である請求項1または2に記載のソーラー時計用文字板。
- 前記板状部材が有する前記凸部は、凸条であり、当該凸条の長手方向に垂直な方向での断面での前記平坦部の幅が、2.0μm以上20μm以下である請求項1ないし3のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記板状部材は、ソーラー時計用文字板を平面視した際に、前記凸部として、同心円状に設けられた複数の凸条を有するものである請求項1ないし4のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- ソーラー時計用文字板を平面視した際に前記金属粉末が配置されていない部位の占める面積の割合が5%以上42%以下である請求項1ないし5のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- ソーラー時計用文字板の光の透過率は、10%以上40%以下である請求項1ないし6のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載のソーラー時計用文字板と、
太陽電池とを備えたことを特徴とする時計。
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