JP5671994B2 - 時計用文字板および時計 - Google Patents

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Description

本発明は、時計用文字板および時計に関する。
ソーラー時計(太陽電池を備えた時計)用の文字板には、太陽電池が十分な起電力を発生するのに十分な光量の光を透過させる機能(光透過性)が求められる。このため、従来から、ソーラー時計用文字板としては、透明性の高いプラスチック性の部材が用いられてきた。ところが、プラスチックは、一般に、Au、Ag等の金属材料等に比べて、高級感に欠け、美的外観に劣っている。このため、プラスチック製の基板上に、接着剤を介して、金属材料で構成され開口部が設けられた金属膜を貼着して得られる文字板が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
しかしながら、このような文字板では、優れた光透過性と、美的外観とを両立することが困難であった。すなわち、光の透過性を確保するために、金属膜の開口率(金属膜を平面視したときにおける、金属膜全体に対して開口部の占める面積の割合)を比較的高くすると、開口部の存在が目立ってしまい、金属材料(金属膜)を用いているにもかかわらず、十分に優れた美的外観が得られない。一方、美的外観を向上させる目的で、金属膜の開口率を低くすると、光の透過率が低下し、太陽電池の発電効率が著しく低下する。
また、特に、上記のような方法では、金属膜を基体上に貼着する際に、金属膜にしわが生じ易く、このようなしわの発生を防止するために、慎重に貼着作業を行う必要があり、文字板の生産性は極端に低いものとなる。また、十分慎重に貼着作業を行った場合でも、比較的小さなしわ等は、その発生を十分に防止するのが困難であり、金属膜の開口率が低い場合であっても、得られる文字板の美的外観を十分に優れたものとするのが極めて困難であった。また、上記のような方法では、比較的高い割合で不良品が発生してしまうため、生産の歩留り、省資源の観点からも好ましくない。上記のような問題は、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合に、特に顕著になる。また、金属膜が比較的薄いもの(例えば、10μm以下)である場合、貼着作業を行う際に、金属膜が破れ易く、文字板の生産性、生産コスト、省資源の観点から不利であるとともに、破れた金属膜の一部が微粒子として雰囲気中に飛散することがあり、人体の健康に対する懸念もある。
特開平11−326549号公報(第3頁右欄第35行目〜第4頁左欄第11行目参照)
本発明の目的は、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供することにある。
このような目的は下記の本発明により達成される。
本発明の時計用文字板は、光透過性を有する第1の板状部材と、光透過性を有する第2の板状部材とを備え、
前記第1の板状部材の前記第2の板状部材に対向する面には、その頂部付近に平坦部を有する凸部が設けられており、
前記第2の板状部材の前記第1の板状部材に対向する面とは反対側の面には、前記第1の板状部材に対向する面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸が設けられており、
前記第1の板状部材が有する前記凸部は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが25μm以上100μm以下であり、
前記第2の板状部材が有する前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10μm以上25μm以下であり、
時計用文字板を平面視した際に同心円状に設けられた複数の前記凹凸を有する前記第1の板状部材を備えるとともに、時計用文字板を平面視した際に互いに略平行に設けられた複数の直線状の前記凹凸を有する前記第2の板状部材を備えることを特徴とする。
これにより、光の透過性(光透過性)に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供することができる。
本発明の時計用文字板では、前記第1の板状部材が有する前記凸部の平均高さは、11.5μm以上40μm以下であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計用文字板では、前記第1の板状部材が有する前記凸部は、凸条であり、当該凸条の長手方向に垂直な方向での断面での前記平坦部の幅が、2.0μm以上20μm以下であることが好ましい。
これにより、時計用文字板全体としての、光の透過性(光透過性)および美的外観を特に優れたものとすることができる
本発明の時計用文字板では、前記第2の板状部材が有する前記凹凸の平均高低差は、5μm以上12.5μm以下であることが好ましい。
これにより、時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明の時計は、本発明の時計用文字板を備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れた時計を提供することができる。また、外部からの光が、時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に利用することが可能な時計(例えば、ソーラー時計等)を提供することができる。
本発明によれば、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れた時計用文字板を提供すること、また、前記時計用文字板を備えた時計を提供することができる。
本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図である。 第1の板状部材が有する凸部の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 第1の板状部材が有する凸部の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 第2の板状部材が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 第2の板状部材が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 第2の板状部材が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。 本発明の時計(携帯時計)の好適な実施形態を示す部分断面図である。 比較例6の時計用文字板が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
以下、本発明の好適な実施形態について、添付図面を参照しつつ説明する。
まず、本発明の時計用文字板の好適な実施形態について説明する。
<時計用文字板>
図1は、本発明の時計用文字板の好適な実施形態を示す断面図、図2、図3は、第1の板状部材が有する凸部の配置パターンの例を模式的に示す平面図、図4〜図6は、第2の板状部材が有する凹凸の配置パターンの例を模式的に示す平面図である。
図1に示すように、時計用文字板1は、光透過性を有する第1の板状部材11と、光透過性を有する第2の板状部材12とを備えている。そして、第1の板状部材11の第2の板状部材12に対向する面(第2の面)112には、その頂部に平坦部1131を有する凸部113が設けられている。また、第2の板状部材12の第1の板状部材11に対向する面(第1の面)121とは反対側の面(第2の面)122には、第1の板状部材11に対向する面(第1の面)121側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸123が設けられている。
時計用文字板の構成をこのようなものとすることにより、時計用文字板全体としての、光の透過性および美的外観をいずれも優れたものとすることができることを、本発明者は鋭意研究の結果見出した。
時計用文字板1は、第1の板状部材11の第1の面111側が観察者側(外表面側)を向くようにして用いられるものである。
[第1の板状部材]
第1の板状部材11は、光透過性を有する材料で構成されたものである。本発明において、「光透過性を有する」とは、可視光領域(380〜780nmの波長領域)の光の少なくとも一部を透過する性質を有することを指し、好ましくは可視光領域の光の透過率が50%以上であり、より好ましくは可視光領域の光の透過率が60%以上である。このような光の透過率は、例えば、光源として、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用い、1000ルクス下で、測定対象の部材(または時計用文字板)と同一形状のソーラーセル(太陽電池)のみで発電した際の電流値(X)に対する、当該ソーラーセルの光源側の面に測定対象である部材(または時計用文字板)を載せた以外は、前記と同一の状態で発電した際の電流値(Y)の比率((Y/X)×100[%])を、採用することができる。以下、本明細書中において、特に断りのない限り、「光の透過率」とは、このような条件で求められる値のことを指す。
第1の板状部材11を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、第1の板状部材11は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、第1の板状部材11がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、第1の板状部材11がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、第1の板状部材11が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。なお、本発明では、「主として」とは、対象としている部位(部材)を構成する材料のうち最も含有量の多い成分を指し、その含有量は特に限定されないが、対象としている部位(部材)を構成する材料の60wt%以上であることが好ましく、80wt%以上であることがより好ましく、90wt%以上であることがさらに好ましい。
第1の板状部材11を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、第1の板状部材11は、主として、ポリカーボネートおよび/またはアクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体で構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、第1の板状部材11の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。また、ポリカーボネートは、各種プラスチック材料の中でも比較的安価で、時計用文字板1の生産コストのさらなる低減に寄与することができる。また、ABS樹脂は、特に優れた耐薬品性も有しており、時計用文字板1全体としての耐久性をさらに向上されることができる。
なお、第1の板状部材11は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、第1の板状部材11が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
第1の板状部材11は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
第1の板状部材11の屈折率(絶対屈折率)は、1.500以上1.650以下であるのが好ましく、1.550以上1.600以下であるのがより好ましい。これにより、後に詳述するような光の反射・散乱を好適に生じさせることができ、時計用文字板1の美的外観および光の透過性をいずれも優れたものとすることができる。
第1の板状部材11は、第1の面111とは反対側の主面である第2の面112に、第1の面111側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する凸部113を有するものである。
ところで、第1の板状部材11は、光透過性を有するものであるため、時計用文字板1の外部からの光(図1中上側からの光)の一部は、第1の板状部材11の内部に進入することとなる。第1の板状部材11の内部に進入した光は、第1の面111側から第2の面112側に向かって進行し、その一部は、第2の面112側から出射する(すなわち、第1の板状部材11を透過する)ことになるが、他の一部は、第2の面112に設けられた凸部113により、反射・散乱する。これにより、一旦、第1の面111側から第1の板状部材11内部に進入した光を、再び、第1の面111側から出射させることができる。
凸部113は、いかなる配置のものであってもよいが、第1の板状部材11を平面視した際に、規則的に配置されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の各部位(平面視した際の各部位)における、不本意な色むら等が発生するのを効果的に防止することができる。
凸部113は、いかなる形状のものであってよいが、凸条であるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。以下の説明では、凸部113が凸条である場合について代表的に説明する。
凸部(凸条)113の配置パターン(平面視した際の配置パターン)としては、例えば、複数の凸条113が同心円状に配置されたパターン(図2参照)、凸条113が渦巻状に配置されたパターン(図3参照)等が挙げられる。また、後に詳述する第2の板状部材12が有する凹凸123の配置パターンとして例示するようなものであってもよい。
中でも、凸部113の配置パターンとしては、複数の凸条113が同心円状に配置されたパターンが特に好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
凸部113のピッチ(特に、第2の面112上において、凸条113の長手方向に垂直な方向についてのピッチ)Pの平均値(平均ピッチ)は、特に限定されないが、25μm以上100μm以下であるのが好ましく、30μm以上70μm以下であるのがより好ましい。凸部113のピッチPの平均値(平均ピッチ)が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凸部113の高さHの平均値(平均高さ)は、特に限定されないが、11.5μm以上40μm以下であるのが好ましく、13μm以上30μm以下であるのがより好ましい。凸部113の高さHの平均値(平均高さ)が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凸部113は、その頂部に平坦部1131を有している。このように、時計用文字板1では、第1の板状部材11が備える凸部113が、平坦部1131を有する点に特徴を有している。このような形状の凸部113(平坦部1131を有する凸部113)を備えることにより、時計用文字板1の外観を優れたものとしつつ、時計用文字板1全体としての光透過性を特に優れたものとすることができる。
第1の板状部材11が有する凸部(凸条)113の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部1131の幅Wは、2.0μm以上20μm以下であるのが好ましく、4.0μm以上10μm以下であるのがより好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての、光の透過性(光透過性)および美的外観を特に優れたものとすることができる。
前記断面における凸条113の断面形状は、図示のように、等脚台形であるのが好ましい。これにより、第1の面111側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、特に高いレベルで両立することができる。
前記断面における凸条113の断面形状が台形である場合、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、80°以上110°以下であるのが好ましく、90°であるのがより好ましい。これにより、第1の面111側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、第1の板状部材11の第1の面111は、比較的平坦(平滑)なものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観は特に優れたものとなる。また、第1の板状部材11の第1の面111には、放射状や渦目等の文様が設けられていてもよい。これにより、時計用文字板1のデザインのバリエーションを広げることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。第1の面111の表面粗さRaは、0.001μm以上5.0μm以下であるのが好ましく、0.001μm以上2.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
また、第1の板状部材11の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、第1の板状部材11は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
第1の板状部材11の平均厚さは、特に限定されないが、50μm以上500μm以下であるのが好ましく、100μm以上450μm以下であるのがより好ましく、150μm以上400μm以下であるのがさらに好ましい。第1の板状部材11の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、第1の板状部材11の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、第1の板状部材11は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、第1の板状部材11の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。また、凹凸の無い板状部材を用意し、これに切削加工等の処理を施し、凸条113が設けられた第1の板状部材11を製造してもよい。また、凸条と溝とは相対的なものであるため、第1の板状部材11に溝が設けられた結果、それ以外の部位が、凸条113となっていてもよい。
[第2の板状部材]
第2の板状部材12は、光透過性を有する材料で構成されたものである。
第2の板状部材12を構成する材料としては、例えば、各種プラスチック材料、各種ガラス材料等が挙げられるが、第2の板状部材12は、主としてプラスチック材料で構成されたものであるのが好ましい。プラスチック材料は、一般に、成形性(成形の自由度)に優れており、種々の形状の時計用文字板1の製造に好適に適用することができる。また、第2の板状部材12がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1の製造コスト低減に有利である。また、プラスチック材料は、一般に、光(可視光)の透過性に優れるとともに、電波の透過性にも優れているため、第2の板状部材12がプラスチック材料で構成されたものであると、時計用文字板1を、後述するような電波時計に好適に適用することができる。以下の説明では、第2の板状部材12が主としてプラスチック材料で構成された例を、中心に説明する。
第2の板状部材12を構成するプラスチック材料としては、各種熱可塑性樹脂、各種熱硬化性樹脂等が挙げられ、例えば、ポリカーボネート(PC)、アクリロニトリル−ブタジエンースチレン共重合体(ABS樹脂)、ポリメチルメタクリレート(PMMA)等のアクリル系樹脂、ポリエチレン(PE)、ポリプロピレン(PP)等のポリオレフィン系樹脂、ポリエチレンテレフタレート(PET)等のポリエステル系樹脂等、またはこれらを主とする共重合体、ブレンド体、ポリマーアロイ等が挙げられ、これらのうちの1種または2種以上を組み合わせて(例えば、ブレンド樹脂、ポリマーアロイ、積層体等として)用いることができる。特に、第2の板状部材12は、主として、ポリメチルメタクリレートおよび/またはポリエチレンテレフタレートで構成されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1全体としての強度を特に優れたものとすることができる。また、第2の板状部材12の成形の自由度が増す(成形のし易さが向上する)ため、より複雑な形状の時計用文字板1であっても、容易かつ確実に製造することができる。
なお、第2の板状部材12は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤、フィラー等が挙げられる。例えば、第2の板状部材12が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
第2の板状部材12は、各部位でその組成が実質的に均一な組成を有するものであってもよいし、部位によって組成の異なるものであってもよい。
第2の板状部材12の屈折率(絶対屈折率)は、1.450以上1.650以下であるのが好ましく、1.470以上1.600以下であるのがより好ましい。これにより、後に詳述するような光の反射・散乱を好適に生じさせることができ、時計用文字板1の美的外観および光の透過性をいずれも優れたものとすることができる。
第2の板状部材12は、第1の面121とは反対側の主面である第2の面122に、第1の面121側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸123を有するものである。
ところで、第2の板状部材12は、光透過性を有するものであるため、第1の板状部材11を透過した光の一部は、第2の板状部材12の内部に進入することとなる。第2の板状部材12の内部に進入した光は、第1の面121側から第2の面122側に向かって進行し、その一部は、第2の面122側から出射する(すなわち、第2の板状部材12を透過する)ことになるが、他の一部は、第2の面122に設けられた凹凸123により、反射・散乱する。これにより、一旦、第1の面121側から第2の板状部材12内部に進入した光を、再び、第1の面121側から第1の板状部材に向って出射させることができる。このように、第1の板状部材11に向って出射した光は、さらに第1の板状部材11の第2の面112、第1の面111で反射、散乱等を生じる。このように、時計用文字板1では、入射した光が、第1の板状部材11および第2の板状部材12により、複雑に、反射、散乱、透過等をすることにより、時計用文字板1全体としての光透過率(時計用文字板1に照射された光のうち第2の板状部材12の第2の面122側から出射する光の割合)を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の背面側(図1中、時計用文字板1よりも下側)の様子を、観察者に視認させにくくすることができる。その結果、時計用文字板1全体としての光透過性を優れたものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。
凹凸123は、いかなる配置のものであってもよいが、第2の板状部材12を平面視した際に、規則的に配置されたものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の各部位(平面視した際の各部位)における、不本意な色むら等が発生するのを効果的に防止することができる。
凹凸123の配置パターン(平面視した際の配置パターン)としては、例えば、一次元方向に多数の凸条が配置されたパターン(図4参照)、二次元方向に多数の凸条が配置されたパターン(図5、図6参照)等が挙げられる。また、前述した第1の板状部材11が有する凸部113の配置パターンとして例示するようなものであってもよい。
中でも、凹凸123の配置パターンとしては、時計用文字板1を平面視した際に、略平行に設けられた複数の直線状の凸条を有するものであるのが特に好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
特に、第1の板状部材11の凸部113の配置パターンが、複数の凸条が同心円状に配置されたパターンである場合において、第2の板状部材12の凹凸123の配置パターンが略平行に設けられた複数の直線状の凸条を有するものである場合には、上記のような効果がより顕著に発揮される。
凹凸123のピッチ(特に、第2の面122上において、凸条の長手方向に垂直な方向についてのピッチ)Pの平均値(平均ピッチ)は、特に限定されないが、10μm以上25μm以下であるのが好ましく、13μm以上23μm以下であるのがより好ましい。凹凸123のピッチPの平均値(平均ピッチ)が前記範囲内の値であると、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、凹凸123の高低差Hの平均値(平均高低差)は、特に限定されないが、5μm以上12.5μm以下であるのが好ましく、6.5μm以上11.5μm以下であるのがより好ましい。凹凸123の高低差Hの平均値(平均高低差)が前記範囲内の値であると、時計用文字板1としての光の透過率を十分に高いものとしつつ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
また、図示の構成では、凹凸123の断面形状(凸条の長手方向に対して垂直な断面での形状)は、二等辺三角形状をなすものである。凹凸123の断面形状がこのようなものであると、第1の面121側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、特に高いレベルで両立することができる。
凹凸123の頂点の角度(図中のθ)は、特に限定されないが、70°以上100°以下であるのが好ましく、90°であるのがより好ましい。これにより、第1の面121側から入射した光を適度に反射・散乱させることができ、時計用文字板1の光の透過性と美的外観とを、非常に高いレベルで両立することができる。
また、第2の板状部材12の第1の面121は、比較的平坦(平滑)なものであるのが好ましい。これにより、時計用文字板1の美的外観は特に優れたものとなる。また、第2の板状部材12の第1の面121には、放射状や渦目等の文様が設けられていてもよい。これにより、時計用文字板1のデザインのバリエーションを広げることができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。第1の面121の表面粗さRaは、0.001μm以上5.0μm以下であるのが好ましく、0.001μm以上2.5μm以下であるのがより好ましい。これにより、上記のような効果はさらに顕著なものとして発揮される。
また、第2の板状部材12の形状、大きさは、特に限定されず、通常、製造すべき時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、第2の板状部材12は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
第2の板状部材12の平均厚さは、特に限定されないが、50μm以上100μm以下であるのが好ましく、55μm以上95μm以下であるのがより好ましく、60μm以上90μm以下であるのがさらに好ましい。第2の板状部材12の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1をソーラー時計に適用する場合に、時計用文字板1の光透過性を十分に高いものとしつつ、太陽電池の自色が透けて見えるのをより効果的に防止することができ、美的外観(高級感)を特に優れたものとすることができる。また、第2の板状部材12の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
また、第2の板状部材12は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、第2の板状部材12の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。また、凹凸の無い板状部材を用意し、これに切削加工等の処理を施し、凹凸123が設けられた第2の板状部材12を製造してもよい。
本実施形態の時計用文字板1は、第1の板状部材11と第2の板状部材12とが密着したものである。
時計用文字板1の平均厚さは、特に限定されないが、150μm以上600μm以下であるのが好ましく、200μm以上600μm以下であるのがより好ましく、300μm以上500μm以下であるのがさらに好ましい。時計用文字板1の平均厚さが前記範囲内の値であると、時計用文字板1が適用される時計が、厚型化するのを効果的に防止しつつ、時計用文字板1の機械的強度、形状の安定性等を十分に優れたものとすることができる。
図示の構成では、第1の板状部材と第2の板状部材とが密着しているが、第1の板状部材11と第2の板状部材12とは、密着しておらず、これらの間に所定の空隙が設けられていてもよい。
また、時計用文字板1は、図示しないコート層を有するものであってもよい。
上述したように、時計用文字板1は、美的外観に優れるとともに、光の透過性にも優れている。このため、時計用文字板1は、ソーラー時計(太陽電池を内蔵する時計)等に好適に適用することができる。
また、時計用文字板1は、耐久性にも優れているため、携帯時計(例えば、腕時計)に好適に適用することができる。
<時計>
次に、上述したような本発明の時計用文字板を備えた本発明の時計について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図7は、本発明の時計(腕時計)の好適な実施形態を示す断面図である。
図7に示すように、本実施形態の腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、第1の板状部材11の第1の面111が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。
ガラス板85は、通常、透明性の高い透明ガラスやサファイア等で構成されている。これにより、本発明の時計用文字板1の審美性を十分に発揮させることができるとともに、太陽電池94に十分な光量の光を入射させることができる。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図7中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、光エネルギーを電気エネルギーに変換する機能を有する。そして、太陽電池94で変換された電気エネルギーは、ムーブメントの駆動等に利用される。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82には巻真パイプ86が嵌入・固定され、この巻真パイプ86内にはりゅうず87の軸部871が回転可能に挿入されている。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
りゅうず87の軸部871の途中の外周には溝872が形成され、この溝872内にはリング状のゴムパッキン(りゅうずパッキン)91が嵌合されている。ゴムパッキン91は巻真パイプ86の内周面に密着し、該内周面と溝872の内面との間で圧縮される。この構成により、りゅうず87と巻真パイプ86との間が液密に封止され防水機能が得られる。なお、りゅうず87を回転操作したとき、ゴムパッキン91は軸部871と共に回転し、巻真パイプ86の内周面に密着しながら周方向に摺動する。
上記のような携帯時計(腕時計)は、各種時計の中でも特に優れた耐久性(例えば、耐衝撃性等)が求められるものであるため、優れた美的外観とともに、優れた耐久性が得られる本発明を、より好適に適用することができる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計や、ソーラー電波時計を除く電波時計等、いかなる時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は上記のようなものに限定されるものではない。
例えば、本発明の時計用文字板、時計では、各部の構成は、同様の機能を発揮する任意の構成のものに置換することができ、また、任意の構成を付加することもできる。例えば、各種印刷法により形成された印刷部を有するものであってもよい。また、第1の板状部材および/または第2の板状部材の表面には、少なくとも1つの層が設けられていてもよい。このような層は、例えば、時計用文字板の使用時等において除去されるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の板状部材は、凸部として、その頂部付近に平坦部を有するもののみを備える場合について代表的に説明したが、第1の板状部材は、凸部として、頂部付近に平坦部を有するものに加え、頂部付近に平坦部を有さないものを備えるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、第1の板状部材が有する凸部は、第2の面の全体に設けられたものとして説明したが、凸部は、第2の面の一部にのみ選択的に設けられたものであってもよい。また、同様に、第2の板状部材が有する凹凸は、第2の面の全体に設けられたものとして説明したが、凹凸は、第2の面の一部にのみ選択的に設けられたものであってもよい。
次に、本発明の具体的実施例について説明する。
1.時計用文字板の製造
以下に示すような方法で、各実施例および各比較例について、100個ずつの時計用文字板(腕時計用文字板)を製造した。
(実施例1)
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより第1の板状部材を得た。得られた第1の板状部材は、略円盤状をなし、直径:27mm×平均厚さ:250μmであった。また、得られた第1の板状部材は、一方の主面である第1の面が平坦で、第1の面の表面粗さRaが0.07μmであり、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、規則的に、同心円状に設けられた複数の凸条(凸部)を有するものであった(図2参照)。第1の板状部材が備える凸条は、その頂部に平坦部を有するものであった。凸条(凸部)のピッチは50μmであった。また、凸条(凸部)の高さは22.5μmであった。また、凸条の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部の幅Wは5.0μmであった。前記断面での凸条(凸部)の断面形状は、等脚台形をなすものであり、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、90°であった。
次に、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより第2の板状部材を得た。得られた第2の板状部材は、略円盤状をなし、直径:27mm×平均厚さ:250μmであった。また、得られた第2の板状部材は、一方の主面である第1の面が平坦で、第1の面の表面粗さRaが0.07μmであり、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凸条からなる凹凸のパターン(規則的な凹凸パターン)を有するものであった(図4参照)。凹凸のピッチは19μmであった。また、凹凸の高低差は9.5μmであった。凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度(図1中のθ)は、90°であった。
その後、第1の板状部材の第2の面と、第2の板状部材の第1の面とが接触するように重ね合わせることにより、時計用文字板を得た。
(実施例2〜14)
第1の板状部材、第2の板状部材の構成材料・平均厚さ、第1の板状部材が有する凸部(凸条)の条件、第2の板状部材が有する凹凸の条件を表1に示すものとなるようにした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例1)
第2の板状部材を製造せず、第1の板状部材のみで構成されるものとした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例2)
第1の板状部材を製造せず、第2の板状部材のみで構成されるものとした以外は、前記実施例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例3)
第1の板状部材の平均厚さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例1と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例4)
第2の板状部材の平均厚さを表1に示すように変更した以外は、前記比較例2と同様にして時計用文字板を製造した。
(比較例5)
第1の板状部材が有する凸条の条件を変更し、前記断面における前記凸条の断面形状が直角三角形状をなすものとし、頂部付近に平坦部を有さないものとした以外は、前記実施例1と同様にして、腕時計用文字板を製造した。
(比較例6)
ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより時計用文字板を得た。得られた時計用文字板は、略円盤状をなし、直径:27mm×平均厚さ:500μmであった。また、得られた時計用文字板は、一方の主面である第1の面が平坦で、第1の面の表面粗さRaが0.07μmであり、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、規則的に、同心円状に設けられた複数の凸条と、一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凸条からなる凹凸のパターン(規則的な凹凸パターン)とが重ね合わせられた凹凸のパターンを有するものであった(図8参照)。同心円状に設けられた凸条のピッチは50μmであった。また、同心円状に設けられた凸条の高さは22.5μmであった。また、凸条の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部の幅Wは5.0μmであった。前記断面での当該凸条(凸部)の断面形状は、等脚台形をなすものであり、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、90°であった。一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凹凸のピッチは19μmであった。また、一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凹凸の高低差は9.5μmであった。一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度は、90°であった。
(比較例7)
ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより時計用文字板を得た。得られた時計用文字板は、略円盤状をなし、直径:27mm×平均厚さ:500μmであった。また、得られた時計用文字板は、一方の主面である第1の面の全体にわたって、規則的に、同心円状に設けられた複数の凸条を有するものであった(図2参照)。第1の面に設けられた凸条のピッチは50μmであった。また、第1の面に設けられた凸条の高さは22.5μmであった。また、第1の面に設けられた凸条の長手方向に垂直な方向での断面での平坦部の幅Wは5.0μmであった。前記断面での当該凸条(凸部)の断面形状は、等脚台形をなすものであり、当該台形の下底の端点にある2つの角の和(図中のθ1a+θ1b)は、90°であった。
また、得られた時計用文字板は、第1の面とは反対側の主面である第2の面の全体にわたって、一次元方向に平行に設けられた複数の直線状の凸条からなる凹凸のパターン(規則的な凹凸パターン)を有するものであった(図4参照)。第2の面に設けられた凹凸のピッチは19μmであった。また、第2の面に設けられた凹凸の高低差は9.5μmであった。第2の面に設けられた凹凸の断面形状は、二等辺三角形状をなすものであり、凹凸の頂点の角度は、90°であった。
なお、前記各実施例で用いた板状部材は、光源として白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた際の、可視光の透過率が、いずれも、60%以上であった。
各実施例および各比較例の時計用文字板の構成を表1にまとめて示す。なお、表中、ポリカーボネートをPCで示し、アクリロニトリル−ブタジエン−スチレン共重合体(ABS樹脂)をABS、アクリル系樹脂をAcで示した。なお、表1中、「凹凸の配置パターン」の欄には、図2に示すように、複数の凸条が同心円状に配置されたパターンを「a」で示し、図3に示すように、凸条が渦巻状に配置されたパターンを「b」で示し、図4に示すように、一次元方向に多数の凸条が配置されたパターンを「c」で示し、図5に示すように、二次元方向に多数の凸条が配置されたパターンを「d」で示し、図6に示すように、二次元方向に多数の凸条が配置されたパターンを「e」で示し、図8に示すようなパターンを「f」で示した。また、時計用文字板の各部位は、いずれも、表1に示す成分を主成分として構成されたものであり、それ以外の成分の含有率が0.1wt%未満であった。また、比較例6、7については、時計用文字板の構成を第1の板状部材の欄に示した。
Figure 0005671994
2.腕時計用文字板の外観評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、目視による観察を行い、これらの外観を以下の7段階の基準に従い、評価した。なお、各実施例の時計用文字板については、第1の板状部材の第1の面側から観察を行い、比較例1〜5の時計用文字板については、平坦面(凹凸が設けられた面とは反対の面)側から観察を行い、比較例6の時計用文字板については、同心円状に設けられた複数の凸条からなる凹凸のパターンが設けられた面側から観察を行った。
A:極めて優れた外観を有している。
B:非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
G:外観が極めて不良。
3.腕時計用文字板の光透過性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の6段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、各実施例の時計用文字板については、第1の板状部材の第1の面が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせ、比較例1〜5の時計用文字板については、平坦面(凹凸が設けられた面とは反対の面)が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせ、比較例6の時計用文字板については、同心円状に設けられた複数の凸条からなる凹凸のパターンが設けられた面が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。
A:45%以上。
B:43%以上45%未満。
C:41%以上43%未満。
D:36%以上41%未満。
E:22%以上36%未満。
F:22%未満。
4.電波透過性の評価
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
次に、時計ケース内に、腕時計用内部モジュール(ムーブメント)および、腕時計用文字板を組み込み、この状態での電波の受信感度を測定した。このとき、各実施例の時計用文字板については、第1の板状部材の第1の面が外表面側を向くようにし、比較例1〜5の時計用文字板については、平坦面(凹凸が設けられた面とは反対の面)が外表面側を向くようにし、比較例6の時計用文字板については、同心円状に設けられた複数の凸条からなる凹凸のパターンが設けられた面が外表面側を向くようにした。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
A:感度の低下が認められない(検出限界以下)。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
5.色調の安定性評価
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板を、温度:75℃、湿度:90%RHの環境下に72時間静置し、その直後に目視による観察を行い、以下の5段階の基準に従い、評価した。なお、各実施例の時計用文字板については、第1の板状部材の第1の面側から観察を行い、比較例1〜5の時計用文字板については、平坦面(凹凸が設けられた面とは反対の面)側から観察を行い、比較例6の時計用文字板については、同心円状に設けられた複数の凸条からなる凹凸のパターンが設けられた面側から観察を行った。
A:審美性の低下が全く認められない。
B:審美性の低下がほとんど認められない。
C:審美性の低下がわずかに認められる。
D:審美性の低下がはっきりと認められる。
E:審美性の低下が顕著に認められる。
これらの結果を表2に示す。
Figure 0005671994
表2から明らかなように、本発明の時計用文字板は、いずれも優れた美的外観を有するとともに、光の透過性に優れていた。また、本発明の時計用文字板は、電波の透過性にも優れていた。これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図7に示すような時計を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
1…時計用文字板 11…第1の板状部材 111…第1の面 112…第2の面 113…凸部(凸条) 1131…平坦部 12…第2の板状部材 121…第1の面 122…第2の面 123…凹凸 94…太陽電池 81…ムーブメント 82…胴(ケース) 83…裏蓋 84…ベゼル(縁) 85…ガラス板(カバーガラス) 86…巻真パイプ 87…りゅうず 871…軸部 872…溝 88…プラスチックパッキン 89…プラスチックパッキン 91…ゴムパッキン(りゅうずパッキン) 92…ゴムパッキン(裏蓋パッキン) 93…接合部(シール部) 100…腕時計(携帯時計) H…高さ H…高低差 P、P…ピッチ θ1a、θ1b、θ…角度

Claims (5)

  1. 光透過性を有する第1の板状部材と、光透過性を有する第2の板状部材とを備え、
    前記第1の板状部材の前記第2の板状部材に対向する面には、その頂部付近に平坦部を有する凸部が設けられており、
    前記第2の板状部材の前記第1の板状部材に対向する面とは反対側の面には、前記第1の板状部材に対向する面側から入射した光を、反射・散乱させる機能を有する微小な凹凸が設けられており、
    前記第1の板状部材が有する前記凸部は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが25μm以上100μm以下であり、
    前記第2の板状部材が有する前記凹凸は、規則的に配されたものであり、その平均ピッチが10μm以上25μm以下であり、
    時計用文字板を平面視した際に同心円状に設けられた複数の前記凹凸を有する前記第1の板状部材を備えるとともに、時計用文字板を平面視した際に互いに略平行に設けられた複数の直線状の前記凹凸を有する前記第2の板状部材を備えることを特徴とする時計用文字板。
  2. 前記第1の板状部材が有する前記凸部の平均高さは、11.5μm以上40μm以下である請求項1に記載の時計用文字板。
  3. 前記第1の板状部材が有する前記凸部は、凸条であり、当該凸条の長手方向に垂直な方向での断面での前記平坦部の幅が、2.0μm以上20μm以下である請求項1または2に記載の時計用文字板。
  4. 前記第2の板状部材が有する前記凹凸の平均高低差は、5μm以上12.5μm以下である請求項1ないしのいずれかに記載の時計用文字板。
  5. 請求項1ないしのいずれかに記載の時計用文字板を備えたことを特徴とする時計。
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