JP2010054304A - ソーラー時計用文字板およびソーラー時計 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】本発明のソーラー時計用文字板は、太陽電池を備えたソーラー時計に用いられるものであって、プラスチックを含む材料で構成されたシート状部材を備え、前記シート状部材中に、光を反射する機能を有する鱗片状の粉末が多数個分散していることを特徴とする。また、多数個の前記粉末のうちの少なくとも一部は、時計用文字板を平面視した際に重なり合うように配置されている。
【選択図】図1
Description
本発明のソーラー時計用文字板は、太陽電池を備えたソーラー時計に用いられるソーラー時計用文字板であって、
プラスチックを含む材料で構成されたシート状部材を備え、
前記シート状部材中に、光を反射する機能を有する鱗片状の粉末が多数個分散していることを特徴とする。
これにより、光の透過性に優れるとともに、美的外観に優れたソーラー時計用文字板を提供することができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、ソーラー時計用文字板を平面視した際に、前記シート状部材が設けられている領域において前記粉末が配されていない領域の占める面積の割合は、0〜15%であることが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、シート状部材の内部において、入射した光を効率よく、繰り返し反射させることができ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、前記粉末は、略直方体状をなすものであることが好ましい。
これにより、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、前記シート状部材の平均厚さをTB[μm]、前記粉末の平均厚さをTP[μm]としたとき、0.02≦TP/TB≦0.50の関係を満足することが好ましい。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、光の透過性を十分に優れたものとしつつ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計用文字板では、前記粉末の平均厚さは、10〜30μmであることが好ましい。
これにより、粉末において、入射した光を確実に反射することができるとともに、複数個の粉末を、互いに、シート状部材の厚さ方向の座標が異なる部位に、効率よく配置することができる。その結果、シート状部材の内部に入射した光を効率よく、繰り返し反射させることができ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、複数個の粉末について、ソーラー時計用文字板の厚さ方向の間隔(ギャップ)を、確実に十分に大きいものとして確保することができる。その結果、シート状部材の内部に入射した光を効率よく、繰り返し反射させることができ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、ソーラー時計用文字板の強度、機械的安定性を特に優れたものとすることができる。また、基板とシート状部材との組み合わせを選択することにより、多品目生産にも好適に対応することができる。
これにより、複数個の粉末について、ソーラー時計用文字板の厚さ方向の間隔(ギャップ)を、確実に十分に大きいものとして確保することができる。その結果、シート状部材の内部に入射した光を効率よく、繰り返し反射させることができ、ソーラー時計用文字板の美的外観を特に優れたものとすることができる。
これにより、ソーラー時計に適用された場合において、太陽電池での発電に十分な量の光を透過することができるとともに、ソーラー時計用文字板としての美的外観を特に優れたものとすることができる。
本発明のソーラー時計は、本発明のソーラー時計用文字板と、太陽電池とを備えたことを特徴とする。
これにより、美的外観に優れたソーラー時計を提供することができる。また、外部からの光が、ソーラー時計用文字板を効率よく透過することができるため、外部からの光を有効に発電に利用することができるソーラー時計を提供することができる。
<時計用文字板>
図1は、本発明のソーラー時計用文字板(以下、単に「時計用文字板」とも言う)の好適な実施形態を示す断面図である。
以下の説明では、時計用文字板1が、図1中の上側、すなわち、第1のシート部材3が設けられた面側が観察者側(外表面側)を向き、図1中の下側が内面側を向くようにして用いられる場合について、代表的に説明する。。
ソーラー時計用文字板1は、後に詳述するシート状部材(第1のシート状部材3、第2のシート状部材4)に加え、基板2を備えている。これにより、ソーラー時計用文字板1の強度、機械的安定性を特に優れたものとすることができる。また、基板2とシート状部材(第1のシート状部材3、第2のシート状部材4)との組み合わせを選択することにより、多品目生産にも好適に対応することができる。
なお、基板2は、プラスチック材料以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、可塑剤、酸化防止剤、着色剤(各種発色剤、蛍光物質、りん光物質等を含む)、光沢剤等が挙げられる。例えば、基板2が着色剤を含む材料で構成されたものであると、時計用文字板1の色のバリエーションを広げることができる。
また、基板2の形状、大きさは、特に限定されず、通常、時計用文字板1の形状、大きさに基づいて決定される。なお、図示の構成では、基板2は、平板状をなすものであるが、例えば、湾曲板状等をなすものであってもよい。
また、基板2は、いかなる方法で成形されたものであってもよいが、基板2の成形方法としては、例えば、圧縮成形、押出成形、射出成形、光造形等が挙げられる。
基板2の第1の面21側には、第1のシート状部材(シート状部材)3が設けられている。
第1のシート状部材3は、硬化性樹脂の硬化物で構成された硬化部32中に、光を反射する機能を有する鱗片状の粉末(光沢性粉末)31が多数個分散した構成を有している。このような第1のシート状部材3を有することにより、第1のシート状部材3の内部に入射した光を多数個の粉末31の表面で繰り返し反射をさせつつ、その光の一部を図1中の上側から出射させ、また、その光の他の一部を図1中の下側から出射させることができる。その結果、時計用文字板1の背面側の様子を観察者に直接視認させることを防止することができ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとしつつ、時計用文字板1全体としての光の透過性を十分に優れたものとすることができる。
シート状部材(第1のシート状部材3)の平均厚さは、25〜500μmであるのが好ましく、30〜400μmであるのがより好ましく、40〜350μmであるのがさらに好ましい。
基板2の第2の面22側には、硬化性樹脂の硬化物で構成された硬化部42中に、光を反射する機能を有する鱗片状の粉末(光沢性粉末)41が多数個分散してなる第2のシート状部材(シート状部材)4が設けられている。
このように、本実施形態では、ソーラー時計用文字板1を平面視した際に、重なり合うように配置された複数のシート状部材(第1のシート部材3、第2のシート部材4)を備えている。特に、本実施形態では、基板2の両側に、それぞれ、多数個の粉末を含むシート状部材が設けられている。このような構成を有することにより、複数個の粉末(光沢性粉末31、41)について、ソーラー時計用文字板1の厚さ方向の間隔(ギャップ)を、確実に十分に大きいものとして確保することができる。その結果、シート状部材(第1のシート状部材3、第2のシート状部材4)の内部に入射した光を効率よく、繰り返し反射させることができ、ソーラー時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。
なお、第2のシート状部材4は、時計用文字板1において、設けられている位置が異なる以外は、基本的には、上述した第1のシート状部材3で説明したのと同様の条件を満足するものであるのが好ましく、第2のシート状部材4を構成する粉末41(さらには、粉末41を構成する基部411、金属薄膜412)や硬化部42も、上述した第1のシート状部材3を構成する粉末31(さらには、粉末31を構成する基部311、金属薄膜312)や硬化部32について説明したのと同様の条件を満足するものであるのが好ましい。
また、第2のシート状部材4を、第1のシート状部材3とは異なる構成を有するものとすることにより、種々の効果が得られる。例えば、第2のシート状部材4に含まれる粉末41の色調を、第1のシート状部材3に含まれる粉末31の色調とは異なるものとすることにより(より具体的には、粉末31の金属薄膜312をAgで構成されたものとし、粉末41の金属薄膜412をAuで構成されたものとすること等により)、時計用文字板1の立体感を特に優れたものとすることができ、さらなる美的外観の向上を図ることができる。
次に、上述した時計用文字板1の製造方法について説明する。
図2、図3は、本発明の時計用文字板の製造方法の好適な実施形態を示す断面図である。
本実施形態の製造方法は、基板2を準備する基板準備工程(1a)と、基板2の第1の面21側に、光沢性粉末31と硬化性樹脂とを含む第1の組成物を付与する第1の組成物付与工程(1b)と、硬化性樹脂を硬化させ硬化部32とし、第1のシート状部材3を形成する第1の樹脂硬化工程(1c)と、基板2の第2の面22側に、光沢性粉末41と硬化性樹脂とを含む第2の組成物を付与する第2の組成物付与工程(1d)と、硬化性樹脂を硬化させ硬化部42とし、第2のシート状部材4を形成する第2の樹脂硬化工程(1e)とを有している。
まず、基板2を準備する(1a)。
基板2としては、前述したようなものを用いることができる。
また、基板2の表面に対しては、後述する工程に先立ち、各種洗浄処理を施してもよい。これにより、例えば、基板2とシート状部材(第1のシート状部材3、第2のシート状部材4)との密着性を特に優れたものとすることができる。
次に、スクリーン印刷法により、基板2の第1の面21側に、流動性を有する第1の組成物を付与する(1b)。
スクリーン印刷法を用いることにより、容易かつ確実に、形成されるシート状部材(第1のシート状部材3)において粉末(光沢性粉末31)を好適に配向させる(粉末の厚さ方向と、シート状部材の厚さ方向とが、略同一となるように配向させる)ことができ、時計用文字板1の美的外観を特に優れたものとすることができる。また、複数個の基板2に対して、個体間でのばらつきを防止しつつ、所定のパターンで繰り返し組成物(第1の組成物)を付与することができる。このため、品質の安定性に優れた時計用文字板1の大量生産に好適に適用することができる。
本工程で、基板2上に付与される第1の組成物は、光沢性粉末31と硬化性樹脂とを含むものである。
硬化性樹脂としては、エネルギー線(例えば、熱(熱線)、光(紫外線等の可視光以外の光を含む)、電子線)により硬化する樹脂材料を用いることができ、例えば、熱硬化性樹脂、光硬化性樹脂、電子線硬化性樹脂等を用いることができる。硬化性樹脂として光硬化性樹脂を用いた場合、時計用文字板1の生産性を特に優れたものとすることができる。また、製造時における、時計用文字板1の構成材料の劣化等をより確実に防止することができ、製造される時計用文字板1の信頼性を特に優れたものとすることができる。
組成物(第1の組成物)は、上述した光沢性粉末31および硬化性樹脂以外の成分を含むものであってもよい。このような成分としては、例えば、各種溶剤(光沢性粉末31を分散する分散媒として機能するもの)、分散剤、熱可塑性樹脂等が挙げられる。
そして、本工程で用いるスクリーン版6は、少なくとも表面付近がポリ四フッ化エチレンで構成されたワイヤー611を備え、メッシュ粗さが20〜120番であり、かつ、ワイヤー611の直径が50〜120μmであるものであるのが好ましい。これにより、スクリーン印刷の印刷速度を優れたものとしつつ、光沢性粉末31がスクリーン版6のメッシュ61を通過するに際して、光沢性粉末31を好適に弾性変形させることができるとともに、メッシュ61を通過した後は、その形状を速やかに復元させることができる。その結果、製造される時計用文字板1においては、光沢性粉末31により、光を効果的に反射することができ、時計用文字板1の美的外観を優れたものとすることができる。
また、上記のように、本工程で用いるスクリーン版6のメッシュ粗さは、20〜120番であるのが好ましいが、30〜100番であるのがより好ましく、50〜70番であるのがさらに好ましい。これにより、上述したような効果はより顕著に発揮される。
スキージ7の構成材料としては、例えば、ウレタン系ゴム、シリコーン系ゴム、各種合成ゴム、各種金属等を用いることができるが、中でも、ウレタン系ゴムが好ましい。
次に、第1の組成物を構成する硬化性樹脂を硬化させ、硬化部32とする(1c)。これにより、第1のシート状部材3が形成される。このようにして形成される第1のシート状部材3は光沢性粉末31が分散した組成物(第1の組成物)を用いて製造されたものであるため、光沢性粉末31が硬化部32に確実に固定されており、時計用文字板1の使用時に光沢性粉末31が脱落してしまうことが効果的に防止されている。したがって、時計用文字板1は、耐久性、信頼性にも優れたものとなる。
硬化性樹脂の硬化は、硬化性樹脂の種類に応じた方法により行う。例えば、硬化性樹脂が熱硬化性樹脂である場合には加熱により行い、硬化性樹脂が光硬化性樹脂である場合には、光(エネルギー線)の照射により行う。
次に、スクリーン印刷法により、基板2の第2の面22側に、光沢性粉末31と硬化性樹脂とを含み、流動性を有する第2の組成物を付与する(1d)。
本工程は、前述した第1の組成物付与工程で述べたのと同様の条件で行うことができる。
なお、本工程は、上述した第1の組成物付与工程と実質的に全く同じ条件で行うものであってもよいし、異なる条件で行うものであってもよい。
次に、第2の組成物を構成する硬化性樹脂を硬化させ、硬化部42とする(1e)。これにより、第2のシート状部材4が形成され、時計用文字板1が得られる。
本工程は、前述した第1の樹脂硬化工程で述べたのと同様の条件で行うことができる。
なお、本工程は、上述した第1の樹脂硬化工程と実質的に全く同じ条件で行うものであってもよいし、異なる条件で行うものであってもよい。
次に、上述したような本発明のソーラー時計用文字板1を備えた本発明のソーラー時計(以下、単に「時計」とも言う)について説明する。
本発明の時計は、上述したような本発明の時計用文字板を有するものである。上述したように、本発明の時計用文字板は、光透過性および装飾性(美的外観)に優れたものである。このため、このような時計用文字板を備えた本発明の時計は、ソーラー時計としての求められる要件を十分に満足することができる。なお、本発明の時計を構成する時計用文字板(本発明の時計用文字板)以外の部品としては、公知のものを用いることができるが、以下に、本発明の時計の構成の一例について説明する。
図4に示すように、本実施形態のソーラー時計としての腕時計(携帯時計)100は、胴(ケース)82と、裏蓋83と、ベゼル(縁)84と、ガラス板(カバーガラス)85とを備えている。また、ケース82内には、前述したような本発明の時計用文字板1と、太陽電池94と、ムーブメント81とが収納されており、さらに、図示しない針(指針)等が収納されている。時計用文字板1は、太陽電池94と、ガラス板(カバーガラス)85との間に設けられており、第1の面21が、ガラス板(カバーガラス)85側を向くように配置されている。
ムーブメント81は、太陽電池94の起電力を利用して、指針を駆動する。
図4中では省略しているが、ムーブメント81内には、例えば、太陽電池94の起電力を貯蔵する電気二重層コンデンサー、リチウムイオン二次電池や、時間基準源として水晶振動子や、水晶振動子の発振周波数をもとに時計を駆動する駆動パルスを発生する半導体集積回路や、この駆動パルスを受けて1秒毎に指針を駆動するステップモーターや、ステップモーターの動きを指針に伝達する輪列機構等を備えている。
また、ムーブメント81は、図示しない電波受信用のアンテナを備えている。そして、受信した電波を用いて時刻調整等を行う機能を有している。
太陽電池94は、例えば、非単結晶シリコン薄膜にp型の不純物とn型の不純物とが選択的に導入され、さらにp型の非単結晶シリコン薄膜とn型の非単結晶シリコン薄膜との間に不純物濃度の低いi型の非単結晶シリコン薄膜を備えたpin構造を有している。
胴82とベゼル84とは、プラスチックパッキン88により固定され、ベゼル84とガラス板85とはプラスチックパッキン89により固定されている。
また、胴82に対し裏蓋83が嵌合(または螺合)されており、これらの接合部(シール部)93には、リング状のゴムパッキン(裏蓋パッキン)92が圧縮状態で介挿されている。この構成によりシール部93が液密に封止され、防水機能が得られる。
なお、上記の説明では、時計の一例として、ソーラー電波時計としての腕時計(携帯時計)を挙げて説明したが、本発明は、腕時計以外の携帯時計、置時計、掛け時計等の他の種類の時計にも同様に適用することができる。また、本発明は、ソーラー電波時計を除くソーラー時計にも適用することができる。
以上、本発明の好適な実施形態について説明したが、本発明は、これらに限定されるものではない。
また、前述した実施形態では、シート状部材が、硬化性樹脂の硬化物中に粉末が分散した構成を有するものである場合について代表的に説明したが、シート状部材においては、硬化性樹脂の代わりに、例えば、熱可塑性樹脂やガラス材料が含まれるものであってもよい。
また、前述した実施形態では、シート状部材が基板の全面に設けられるものとして説明したが、シート状部材は、基板の一部にのみ設けられるものであってもよい。
1.腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)の製造
(実施例1)
以下に示すような方法により、腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
まず、ポリカーボネートを用いて、射出成形により、腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)の形状を有する母材を作製し、その後、必要箇所を型抜きし、不要なバリ等を切削、研磨することにより基板を得た。得られた基板は、略円盤状をなし、直径:27mm×厚さ:300μmであった。
次に、この基板を洗浄した。基板の洗浄としては、まず、プラスチック用中性洗剤で30秒間洗浄を行い、その後、中和を10秒間、水洗を30秒間、純水洗浄を60秒間行った。その後、オーブン(80℃)で20分間乾燥した。
次に、基板の第2の面(第1のシート状部材が設けられた主面とは反対側の主面)に、スクリーン印刷により、光沢性粉末と未硬化の硬化性樹脂(紫外線硬化性樹脂)とを含む第2の組成物を付与した(第2の組成物付与工程)。第2の組成物を構成する光沢性粉末としては、ポリエステル樹脂(PET)で構成されたシート材(平均厚さ:20μm)の両面に、真空蒸着により、Alで構成された金属層を形成した後、このシート材を正方形状に裁断したものを用いた。光沢性粉末の平均粒径は、127μmであった。また、ポリエステル樹脂で構成されたシート材の両面に設けられた金属層(金属薄膜)の平均厚さは、いずれも、0.5μmであった。また、ポリエステル樹脂で構成されたシート材の両面に設けられた金属層(金属薄膜)中におけるAl含有率は、いずれも、99.9wt%以上であった。また、本工程で用いた組成物の25℃における粘度は、17000cpsであった。また、スクリーン版としては、ポリ四フッ化エチレンからなるワイヤーで構成されたメッシュを備え、メッシュ粗さが70番、ワイヤーの直径が60μmのものを用いた。また、スキージとしては、ウレタン系ゴムで構成されたものを用いた。
なお、基板、第1のシート状部材、第2のシート状部材の厚さ等は、JIS H 5821で規定される顕微鏡断面試験方法に従い測定した。
基板の厚さ、シート状部材(第1のシート状部材、第2のシート状部材)の形成に用いる組成物(第1の組成物、第2の組成物)中に含まれる光沢性粉末の構成、組成物の粘度、スクリーン版の条件を変更することにより、表1に示すような構成となるようにした以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
シート状部材(第1のシート状部材、第2のシート状部材)の形成に用いる組成物(第1の組成物、第2の組成物)の粘度を変更するとともに、スクリーン印刷法の代わりにスピンコート法を用いてシート状部材を形成した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
シート状部材(第1のシート状部材、第2のシート状部材)の形成に用いる組成物(第1の組成物、第2の組成物)の粘度を変更するとともに、スクリーン印刷法の代わりに刷毛塗り法を用いてシート状部材を形成した以外は、前記実施例1と同様にして腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
まず、表面が平滑なステンレス鋼製の平板を用意した。
次に、この平板の表面に、平均厚さ20μmのレジスト膜を印刷形成した。
次に、露光装置を用いて、このレジスト膜を露光し、さらに、現像処理を行うことにより、レジスト膜の一部が除去され、多数個の円形のレジスト膜(直径:100μm)が残存した。
まず、装置内を3×10−3Paまで排気(減圧)し、その後、アルゴンガス流量:35ml/分でアルゴンガスを導入した。このような状態で、ターゲットとしてAgを用い、投入電力:1400W、処理時間:20分間という条件で放電を行うことにより、Agで構成される金属被膜を形成した。このようにして形成された金属被膜の平均厚さは、2.0μmであった。
一方、前記実施例1と同様にして、製造すべき腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)の形状を有するポリカーボネート製の基板を用意し、この基板を、前記実施例1と同様にして洗浄した。
レジスト膜に対する露光条件を変更することにより、金属被膜に形成する開口部の直径が50μmとなるようにした以外は、前記比較例1と同様にして腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
(比較例3)
本比較例では、以下に述べるように、基板の表面に多数の開口部を有する金属被膜を形成し、腕時計用文字板を得た。
次に、洗浄を行った基板の表面(第1の面)の全体に、Agで構成される金属被膜を形成した。金属被膜の形成は、以下に説明するようなスパッタリングにより行った。
まず、洗浄済みの基板をスパッタリング装置内に取付け、その後、装置内を予熱しながら、スパッタリング装置内を1.0×10−4Paまで排気(減圧)した。
その後、金属被膜が設けられた基板をスパッタリング装置内から取り出した。
次に、45wt%の硝酸水溶液をエッチング液として用いたエッチングを行うことにより、金属被膜のうち、マスクの開口部に対応する部位に開口部を形成した。エッチングは、シャワー方式により行った。本工程におけるエッチング液の温度、エッチング時間は、それぞれ約20℃、約5分間であった。
本比較例の時計用文字板において、金属被膜は、円形状の開口部が千鳥格子状に配置された(正三角形の各頂点に対応する部位に、開口部の中心が位置するように配置された)ものであった。また、金属被膜の開口率(時計用文字板を平面視したときに開口部の占める面積率)は、40%であった。
露光条件を変更することにより、マスクが有する略円形の開口部の大きさを変更し、金属被膜に形成される開口部の大きさを変更した以外は、前記比較例3と同様にして腕時計用文字板(ソーラー時計用文字板)を製造した。
なお、前記各実施例および各比較例で用いた基板は、光源として白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた際の、可視光の透過率が、いずれも、80%以上であった。
また、表中には、第1のシート状部材および第1のシート状部材について、シート状部材の平均厚さをTB[μm]、前記粉末の平均厚さをTP[μm]としたときのTP/TBの値も示した。
また、前記各比較例については、金属被膜の構成材料を第1のシート状部材の光沢性粉末の構成材料の欄に示し、金属被膜の平均厚さを第1のシート状部材の光沢性粉末の平均厚さの欄に示し、金属被膜の開口率をZの欄に示した。
また、前記各実施例については、シート状部材を構成する多数個の粉末のうちの少なくとも一部が、ソーラー時計用文字板を平面視した際に重なり合うように配置されていることを確認した。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、黒色の太陽電池上に基板の第2の面が対向するように配置し、このような状態で、基板の第1の面側から、目視による観察を行い、これらの外観を以下の7段階の基準に従い、評価した。
B:非常に優れた外観を有している。
C:優れた外観を有している。
D:良好な外観を有している。
E:外観がやや不良。
F:外観が不良。
G:外観が極めて不良。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下のような方法により、光透過性を評価した。
まず、太陽電池と各腕時計用文字板とを暗室にいれた。その後、太陽電池単体でその受光面に対し、所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この際、太陽電池の発電電流をA[mA]とした。次に、前記太陽電池の受光面の上面に、腕時計用文字板を重ね合わせた状態で、前記と同様に所定距離離間した白色蛍光灯(光源)からの光を入射させた。この状態での、太陽電池の発電電流をB[mA]とした。そして、(B/A)×100で表される時計用文字板の光透過率を算出し、以下の5段階の基準に従い、評価した。光透過率が大きいほど、時計用文字板の光透過性は優れたものであるといえる。なお、時計用文字板は、基板の第1の面が白色蛍光灯(光源)側を向くように、太陽電池に重ね合わせた。また、白色蛍光灯としては、白色蛍光灯(東芝社製、検査用蛍光灯 FL20S−D65)を用いた。
B:31%以上37%未満。
C:25%以上31%未満。
D:20%以上25%未満。
E:20%未満。
前記各実施例および各比較例で製造した各時計用文字板について、以下に示すような方法で電波透過性を評価した。
まず、時計ケースと、電波受信用のアンテナを備えた腕時計用内部モジュール(ムーブメント)とを用意した。
腕時計用文字板を組み込まない状態での受信感度を基準とし、腕時計用文字板を組み込んだ場合における受信感度の低下量(dB)を以下の4段階の基準に従い、評価した。電波の受信感度の低下が低いものほど、腕時計用文字板の電波透過性は優れたものであるといえる。
B:感度の低下が0.7dB未満で認められる。
C:感度の低下が0.7dB以上1.0dB未満。
D:感度の低下が1.0dB以上。
前記各実施例および各比較例で製造した各腕時計用文字板について、以下に示すような熱サイクル試験を行い、耐久性を評価した。
まず、腕時計用文字板を、15℃の環境下に1時間、次いで、70℃の環境下に2時間、次いで、15℃の環境下に1時間、次いで、−25℃の環境下に2時間静置した。その後、再び、環境温度を15℃に戻し、これを1サイクル(6時間)とし、このサイクルを合計4回繰り返した(合計24時間)。
その後、腕時計用文字板の外観を目視により観察し、これらの外観を以下の4段階の基準に従い、評価した。
B:シート状部材、粉末、被膜の浮きがほとんど認められない。
C:シート状部材、粉末、被膜の浮きがはっきりと認められる。
D:シート状部材、粉末、被膜のひび割れ、剥離がはっきりと認められる。
これらの結果を表2に示す。
これに対し、比較例では、満足な結果が得られなかった。すなわち、比較例1〜4では、いずれも、十分に優れた美的外観が得られなかった。また、美的外観の向上を図る目的で、金属被膜の開口率を小さくした比較例2、4の時計用文字板では、美的外観の向上が不十分であるにもかかわらず、光の透過性が著しく低いものとなった。
また、各実施例および各比較例で得られた時計用文字板を用いて、図4に示すような時計(ソーラー時計)を組み立てた。このようにして得られた各時計について、上記と同様の試験、評価を行ったところ、上記と同様の結果が得られた。
Claims (14)
- 太陽電池を備えたソーラー時計に用いられるソーラー時計用文字板であって、
プラスチックを含む材料で構成されたシート状部材を備え、
前記シート状部材中に、光を反射する機能を有する鱗片状の粉末が多数個分散していることを特徴とするソーラー時計用文字板。 - 多数個の前記粉末のうちの少なくとも一部は、ソーラー時計用文字板を平面視した際に重なり合うように配置されている請求項1に記載のソーラー時計用文字板。
- ソーラー時計用文字板を平面視した際に、前記シート状部材が設けられている領域において前記粉末が配されていない領域の占める面積の割合は、0〜15%である請求項1または2に記載のソーラー時計用文字板。
- 前記粉末の厚さ方向と、前記シート状部材の厚さ方向とが、略同一である請求項1ないし3のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記粉末は、略直方体状をなすものである請求項1ないし4のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記シート状部材中における前記粉末の含有率は、5〜40vol%である請求項1ないし5のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記シート状部材の平均厚さをTB[μm]、前記粉末の平均厚さをTP[μm]としたとき、0.02≦TP/TB≦0.50の関係を満足する請求項1ないし6のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記粉末の平均粒径は、30〜200μmである請求項1ないし7のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記粉末の平均厚さは、10〜30μmである請求項1ないし8のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- ソーラー時計用文字板を平面視した際に、重なり合うように配置された複数の前記シート状部材を備えている請求項1ないし9のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- ソーラー時計用文字板は、前記シート状部材に加え、光透過性を有する基板を備えるものである請求項1ないし10のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 前記基板の両側に、それぞれ、多数個の前記粉末を含む前記シート状部材が設けられている請求項11に記載のソーラー時計用文字板。
- 光の透過率が20%以上である請求項1ないし12のいずれかに記載のソーラー時計用文字板。
- 請求項1ないし13のいずれかに記載のソーラー時計用文字板と、太陽電池とを備えたことを特徴とするソーラー時計。
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