JP2008151161A - 自動変速機 - Google Patents

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Abstract

【課題】パーキングポールとパーキングギヤとのかかり代確保のためにパーキングレンジ用ディテント溝の幅を大きくした場合でも、違和感を与えることなくスプールを一方側に付勢して安定して位置決めを行うことができるようにする。
【解決手段】パーキングポールの爪をパーキングギヤにより深く嵌合させるためにパーキングレンジ用溝110に底面110Aを設けて溝幅を広くし、スプール22の移動量を大きくした場合に、パーキングレンジ選択時に油圧が作用する第1ランド101と第2ランド102の受圧面に面積差を設けて、セレクトレバーがパーキングレンジ位置の場合にのみ油圧によってスプール22が一方側に付勢される構造とし、パーキングレンジ用溝110の他方側側面110Bを係止ボール23に押し付けるものとしたので、スプール22の位置決めを安定して行うとともに、パーキングポールの爪をより深くパーキングギヤに嵌合させることができる。
【選択図】図5

Description

本発明は、パーキングポールとマニュアルバルブとが連動する自動変速機に関する。
自動変速機の油圧制御装置に備えられたマニュアルバルブのスプールにディテント溝を設け、バルブボディ側に設けた係止ボールをディテント溝に係止させることによってスプールの位置決めを行うものとして、たとえば特許文献1に記載されたものがある。
この文献には、マニュアルバルブのスプールの外周面に、一方側から他方側へ向かって順に、ドライブレンジ用溝、ニュートラルレンジ用溝、リバースレンジ用溝、パーキングレンジ用溝を形成し、またこれらの溝の形状を溝断面が略半円形状となるように形成した構成が記載されている。
セレクトレバーが操作されると、選択されたレンジ位置に対応する溝に係止ボールが嵌まり込み、マニュアルバルブの位置決めを行う構造となっている。
またマニュアルバルブは、運転者の操作するセレクトレバーの操作に応じて回動するマニュアルシャフトにリンク部材などを介して機械的に接続されることが一般的である。
たとえば、上記特許文献1のようにセレクトレバーとマニュアルバルブとを機械的に連結した場合、セレクトレバーの操作に連動してマニュアルバルブのスプールが軸方向に摺動し、自動変速機の摩擦要素への作動供給路を切り替えることとなる。
さらに、上記マニュアルシャフトには、マニュアルシャフトの回動に応じて連動するパーキング機構が設けられていることが一般的である。
このパーキング機構は、変速機の出力軸に設けられたパーキングギヤと、回動軸を中心として回動し、パーキングギヤに噛み合うパーキングポールと、マニュアルシャフトに連結し、マニュアルシャフトがパーキング位置を選択した際にパーキングポールを押し上げて、パーキングポールをパーキングギヤに噛み合わせるパーキングレバーとより構成されている。
特開昭61−206859号公報
ところで、パーキング機構とディテント溝とを有するマニュアルシャフトを備えた自動変速機の場合、パーキングギヤとパーキングポールとを簡単に抜けないようにするためには、マニュアルバルブの一方向側へのストローク量を大きくすることによってパーキングレバーの回動範囲を広げ、パーキングポールとパーキングギヤとのかかり代(噛み合い部分)を大きくする必要がある。
そこで、マニュアルバルブに形成されているディテント溝のうちパーキングレンジ用溝の溝幅(スプール軸方向の幅)を大きくすることが考えられる。
しかしながらこの場合には、係止ボールが溝内をスプールの軸方向に移動してしまい、スプールの位置決めを安定して行うことができない。
そこで、たとえば係止ボールをパーキングレンジ用ディテント溝の他方側の側面に押し付けるために、他方側から一方側へスプールを押し付ける弾性部材を備えることも考えられるが、セレクトレバーを他方側から一方側へ操作する場合(たとえばドライブレンジからセカンドレンジへの操作)と、一方側から他方側へ操作する場合(たとえばセカンドレンジからドライブレンジへの操作)とでは、セレクトレバーの操作力が大きく異なってしまうために、運転者に違和感を与える恐れがある。
そこで本発明はこのような問題点に鑑み、パーキングポールとパーキングギヤとのかかり代を確保するために、パーキングレンジ用ディテント溝の幅を大きくした場合でも、運転者に違和感を与えることなくスプールを安定して位置決めすることができる自動変速機を提供することを目的とする。
本発明は、自動変速機に設けられ、複数のレンジ位置を選択可能なセレクトレバーに連結し、該セレクトレバーのレンジ位置の選択操作に応じて回動するマニュアルシャフトと、自動変速機の出力軸に設けられたパーキングギヤと、回動軸を中心に回動するパーキングポールと、マニュアルシャフトに連結されたレバー部材とを有し、セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合に、マニュアルシャフトに連動してレバー部材がパーキングポールを押し上げ、パーキングポールとパーキングギヤとを噛み合わせるパーキング機構と、マニュアルシャフトに機械的に連結され、複数のランドが形成されたスプールを有し、セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合には、スプールは当該スプールの軸方向における一方側に摺動し、またセレクトレバーが走行レンジを選択した場合には、マニュアルシャフトに連動してスプールは当該スプールの軸方向における他方側に摺動し、ランドによって自動変速機の油圧制御装置内の油圧通路の切り替えを行うマニュアルバルブと、マニュアルバルブのスプールに複数形成されたディテント溝と、油圧制御装置内に設けられ、セレクトレバーが操作された場合に、レンジ位置に対応したディテント溝に係合する係合部材とを有し、ディテント溝のうち最も他方側がパーキングレンジ用溝となるディテント機構と、を備える自動変速機において、セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合にのみ、スプールを一方側へ付勢する付勢手段を設け、ディテント機構のパーキングレンジ用溝は、スプールの軸に対して略平行に形成された底面と、一方側側面と、他方側側面とによって構成され、ディテント機構は、セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合、付勢手段による付勢力によって、係合部材がパーキングレンジ用溝の底面と他方側側面とに接触し、かつ一方側側面には非接触とされているものとした。
本発明によれば、ディテント機構のパーキングレンジ用溝を、スプールの軸に対して略平行に形成された底面と、他方側側面と、一方側側面とによって構成し、セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合に、スプールに作用する一方側への付勢力によって、係合部材が底面と他方側側面とに接触し、かつ一方側側面には非接触としたので、マニュアルバルブの一方側へのストローク量を大きくすることができるとともに、確実に係止部材を所望の位置に位置決めすることができる。
また、パーキングレンジが選択されている場合にのみ、付勢手段による一方側への付勢力をスプールに作用させるものとしたので、セレクトレバーをパーキングレンジ以外のレンジ間で操作している場合に、操作方向に応じて操作力が大きく異なるために、運転者に違和感を与えるといったこともない。
次に本発明の実施の形態を実施例により説明する。
本実施例における自動変速機は複数のクラッチやブレーキを備え、オイルポンプによって生成された油圧をマニュアルバルブを操作することによって所定のクラッチやブレーキ等に供給して、所望の変速段を達成するものである。
図1は、自動変速機のマニュアルバルブ周りの断面図であり、図2は、マニュアルシャフト周りを示す拡大図である。
なお図1は、セレクトレバーがローレンジ位置となっている状態を示しており、図2は、マニュアルバルブ20のうちバルブボディ21を図示省略し、スプール22のみを示してある。
また図1において、スプール22の左側(係止部22Aが形成されている側)を一方側、右側(第1ランド101が形成されている側)を他方側と呼び、以下、本実施例において同じとする。
エンジンからの動力の回転数変換を行う自動変速機1は、変速機ケース4の内部に図示しない複数のクラッチやブレーキ、遊星歯車機構などを備える。
図1において、変速機ケース4内部の上方位置には、変速後の回転力が伝達されて、図1中の手前から奥方向に伸びる回転軸3が備えられている。
回転軸3には、セレクトレバーがパーキングレンジ位置の時に車両の移動を禁止するためのパーキングギヤ2が備えられている。
回転軸3の下方位置には、図示しないオイルポンプによって生成された油圧を、クラッチ、ブレーキやシフト弁等へ供給するマニュアルバルブ20が備えられている。
マニュアルバルブ20は、バルブボディ21と、バルブボディ21に設けられたスプール穴24と、スプール穴24内に摺動可能に差し込まれたスプール22とより構成される。
さらにバルブボディ21には、スプール穴24の軸方向の略中間位置に、スプール穴24の内壁に開口する穴が2つ設けられ、該穴にスプリング25と係止ボール23(係合部材)が嵌め込まれている。
係止ボール23は、スプリング25の付勢力によってスプール穴24内に配置されたスプール22に押し付けられている。
マニュアルバルブ20とパーキングギヤ2の間の近傍において、図2に示すように、マニュアルシャフト13が変速機ケース4によって回動可能に支持されている。
マニュアルシャフト13は、一端側が変速機ケース4の内部に、他端側が変速機ケース4の外部に位置している。
変速機ケース4の内部において、マニュアルシャフト13にはパーキングコントロールレバー10(レバー部材)が固定されており、パーキングコントロールレバー10の一端側には凸部10Bが設けられ、他端側にはストッパ10Aが設けられている。
さらにマニュアルシャフト13には、パーキングレバー11が回動可能に設けられている。
パーキングレバー11は、パーキングコントロールレバー10の他端側と重なっている。
パーキングコントロールレバー10とパーキングレバー11の間において、マニュアルシャフト13の周りにスプリング12が巻き回され、スプリング12の一端がパーキングレバー11に、他端がパーキングコントロールレバー10に係止されている。
このスプリング12によって、パーキングレバー11には、図1中の右回りに回転する力が加わっている。
なおパーキングコントロールレバー10の他端側に備えられたストッパ10Aによって、パーキングレバー11の所定量以上の回動が規制されている。
パーキングコントロールレバー10の一端側に備えられた凸部10Bは、スプール22の一方側の端部に形成された係止部22Aと係合している。
これにより、パーキングコントロールレバー10の回動によってスプール22がスプール穴24内をスプール22の軸方向に移動する。
図1に示すように、パーキングコントロールレバー10の他端側とパーキングギヤ2との間の近傍において、パーキングポール14が配置されている。
パーキングポール14は、変速機ケース4に固定された回動軸15によって回動可能に支持されている。
パーキングポール14のパーキングギヤ2と対向する面には、パーキングギヤ2と噛み合う爪14Aが設けられている。
またパーキングポール14の爪14Aが形成された側に対して反対側の面にはバルブボディ21と当接するストッパ面14Bが設けられている。
パーキングポール14は、回動軸15に巻き回されたスプリング16によって、図1中の右回り(爪14Aがパーキングギヤ2から遠ざかる方向)に回転する力が加わっている。
パーキングポール14は、ストッパ面14Bがバルブボディ21と当接することによってスプリング16による所定量以上の回転が規制される。
マニュアルシャフト13において、変速機ケース4外に突出する側には、インヒビタスイッチ18とマニュアルコントロールレバー19が取り付けられている。
マニュアルコントロールレバー19には、図示しないセレクトレバーから伸びるワイヤーが接続され、セレクトレバーの動きと連動してマニュアルシャフト13が回動する。
インヒビタスイッチ18は、マニュアルシャフト13の回動、すなわちセレクトレバーが選択したレンジ位置を検出するものである。
図3に、パーキングポール14の爪14Aがパーキングギヤ2に噛み合っている様子を示す。
セレクトレバーが操作されてパーキングレンジが選択されると、パーキングコントロールレバー10はマニュアルシャフト13を軸として右回りに回転する。
この回転によってスプール22が図3中の左方向に引っ張られ、係止ボール23がスプール22に形成された溝のうち一番右端の溝に嵌まり込む。
またパーキングコントロールレバー10の回転とともに、スプリング12の弾性力によってパーキングレバー11も回転する。
パーキングレバー11の回転によってパーキングポール14が上方側に押し上げられ、パーキングポール14の爪14Aとパーキングギヤ2とが噛み合いパーキングギヤ2の回転が規制される。
なお、パーキングコントロールレバー10とパーキングポール14は、マニュアルシャフト13の軸方向の位置がずれており(図2参照)、パーキングコントロールレバー10の他端側はパーキングポール14のストッパ面14B近傍に重なっている。
また、パーキングレバー11がパーキングポール14を押し上げたときに、爪14Aがパーキングギヤ2の歯の山と当接する場合には、車両が移動して回転軸3がわずかに回転したときに、スプリング12の弾性力によってパーキングレバー11が回転し、パーキングポール14が押し上げられて爪14Aがパーキングギヤ2の谷に嵌まり込む。
次に、マニュアルバルブ20の油圧系統について説明する。
図4に、マニュアルバルブ20が油圧の供給先を切り替える様子を示す。
なお、図4において図中左側を一方側と呼び、図中左側を他方側と呼ぶ。
スプール22の一方側には、上述のように係止部22Aが設けられ、他端側には、スプール穴24よりも細いロッド部22Bに、他方側から一方側に向かって順に第1ランド101、第2ランド102、第3ランド103が設けられている。
詳しくは後述するが、第3ランド103、第2ランド102の径は、スプール穴24と略同一に形成されて油が漏れないようになっている。第1ランド101は、第2ランド102よりも径が小さく形成されている。
またスプール22の長手方向の略中央部には、他方側から一方側に向けて順にパーキング(P)レンジ用溝110、リバース(R)レンジ用溝111、ニュートラル(N)レンジ用溝112、ドライブ(D)レンジ用溝113、セカンド(2)レンジ用溝114、ロー(L)レンジ用溝115が形成されている。
バルブボディ21には、第1ランド101が形成された側の端部から順にスプール穴24に開口する第1ポート131、第2ポート132、第3ポート133、第4ポート134、第5ポート135が設けられ、さらに第5ポート135と対向する位置に開口するポート140が形成されている。
またバルブボディ21において、スプール穴24の長手方向の略中央部に、スプール穴24に開口する第6ポート136が形成されている。
ポート140からスプール穴24内に、オイルポンプ150によって生成されてレギュレータバルブ151によって調圧された油圧(ライン圧)が供給される。
スプール22がスプール穴24内を摺動することによって、各ランド101、102、103がスプール穴24内を区切る位置が変化し、ポート140と第1ポート131〜第6ポート136との接続状態が切り替えられて、オイルポンプ150によって生成された油圧が所定の第1〜第6ポート131〜136に供給される。
スプール穴24内から第1ポート131〜第6ポート136を介して吐出された油圧は、所定のクラッチやブレーキ、クラッチやブレーキの締結解放の制御を行うバルブ、図示しないスロットルバルブなどに供給されて、セレクトレバーのレンジ位置に応じた変速を進行させる。
セレクトレバーがローレンジ位置の場合、すなわち係止ボール23がローレンジ用溝115に嵌まり込んでいる場合には、第3ランド103と第2ランド102の間のロッド部22B周りの隙間によって、ポート140と第1ポート131〜第5ポート135が連通する。
同様に、セレクトレバーがセカンドレンジ位置の場合、すなわち係止ボール23がセカンドレンジ用溝114に嵌まり込んでいる場合には、ポート140と第2ポート132〜第5ポート135とが連通する。
セレクトレバーがドライブレンジ位置の場合、すなわち係止ボール23がドライブレンジ用溝113に嵌まり込んでいる場合には、ポート140と第3ポート133〜第5ポート135とが連通する。
セレクトレバーがニュートラルレンジ位置の場合、すなわち係止ボール23がニュートラルレンジ用溝112に嵌まり込んでいる場合には、ポート140と第4ポート134〜第5ポート135とが連通する。
セレクトレバーがリバースレンジ位置の場合、すなわち係止ボール23がリバースレンジ用溝111に嵌まり込んでいる場合には、ポート140と、第5ポート135および第6ポート136とが連通する。
セレクトレバーがパーキングレンジ位置の場合、すなわちスプール22が最も一方側(図4中の左方向)に引き抜かれて係止ボール23がパーキングレンジ用溝110に嵌まり込んでいる場合には、第2ランド102と第1ランド101の間のロッド部22B周りの隙間によって、ポート140と第5ポート135および第4ポート134とが連通する。なおこの時、第4ポート134は図示しないスロットルバルブに接続し、第5ポート135は、レギュレータバルブ151の図示しないフィードバックポートに接続しているため、第2ランド102と第1ランド101の間のロッド部22B周りの隙間にはレギュレータバルブ151で調圧された油圧がパーキングレンジ位置においても作用する。また、この時、第6ポート136は、スプール穴24内とバルブボディ21の外部とをつなぐ第2ドレインポート138と連通している。
次に、パーキングレンジ用溝110の形状の詳細について説明する。
図5は、パーキングレンジ用溝110周りの拡大図である。
リバースレンジ用溝111〜ローレンジ用溝115は、断面が略半円形状に形成されている。
パーキングレンジ用溝110は、底面110Aと、底面110Aから第3ランド103側へとつながる他方側側面110Bと、底面110Aからリバースレンジ用溝111へとつながる一方側側面110Cとより構成される。
底面110Aは、スプール22の軸と略平行となっている。
他方側側面110Bと一方側側面110Cは、底面110Aからの傾斜角が同じとなるように形成されている。
またこの傾斜角は、係止ボール23が他方側側面110Bに当接している際に、他方側側面110Bの最頂部において第3ランド103との接続部に形成される角に、係止ボール23が当接することがないように設定されている。
底面110Aを設けたことにより、パーキングレンジ用溝110の溝幅は、他のリバースレンジ用溝111〜ローレンジ用溝115の溝幅よりも広くなっている。
パーキングレンジ用溝110に底面110Aを設けて溝幅を広くしたことにより、スプール22をより一方側に移動させることができ、パーキングポール14の爪14Aをパーキングギヤ2により深く嵌合させることができる。
また係止ボール23は、他方側側面110Bと一方側側面110Cと同時に当接することはない。
ここで、セレクトレバーがパーキングレンジを選択し係止ボール23がパーキングレンジ用溝110に嵌まり込んでいる場合、ポート140からスプール穴24内に供給された油圧は第2ランド102と第1ランド101に作用する。
第1ランド101の径を第2ランド102よりも小さく形成したことにより、第2ランド102がポート140から供給された油圧を受ける面積(以下、受圧面と呼ぶ)が、第1ランド101の受圧面よりも大きくなっている。
したがって、セレクトレバーがパーキングレンジ位置となったときに、ポート140から供給された油圧によってスプール22は一方側(図4中の左側)へ付勢される。
第1ランド101はスプール穴24の内径よりも径が小さいため、ポート140からスプール穴24内に供給された油圧は第1ランド101とスプール穴24との隙間を通り、スプール穴24の他方側の端部に設けられた第1ドレインポート137(図4参照)よりマニュアルバルブ20外に排出される。
スプール22が油圧によって一方側に付勢されることによって、パーキングレンジ用溝110の他方側側面110Bが係止ボール23に押し付けられ、スプール22が位置決めされる。
本実施例は以上のように構成され、パーキングポール14の爪14Aをパーキングギヤ2により深く嵌合させるためにパーキングレンジ用溝110に底面110Aを設けて溝幅を広くした場合に、セレクトレバーがパーキングレンジ位置の場合にのみスプール22が一方側に付勢される構造とし、パーキングレンジ用溝110の他方側側面110Bを係止ボール23に押し付けるものとしたので、スプール22の位置決めを安定して行うとともに、パーキングポール14の爪14Aをより深くパーキングギヤ2に嵌合させることができる。
セレクトレバーがパーキングレンジ位置となった場合にのみ、ポート140からスプール穴24内に供給された油圧が第1ランド101、第2ランド102に作用し、受圧面の差によってスプール22が付勢されるので、パーキングレンジ以外の場合にスプール22が一方側に付勢されるといったことがなく、運転者に違和感を与えることがない。 (以上、請求項1に対応する効果)
また、オイルポンプ150から供給された油圧が作用する第1ランド101、第2ランド102のうち、第1ランド101の受圧面を第2ランド102の受圧面よりも小さくするものとしたので、パーキングレンジ位置の場合にのみスプール22を一方側に付勢するという構成を、他の部品を追加することなく、簡素な構成で得ることができる。 (請求項3に対応する効果)
なお実施例において、他方側側面110Bと一方側側面110Cとを同じ傾斜角としたが、図6のスプール22’に示すように、パーキングレンジ用溝110’を底面110A’、他方側側面110B’および一方側側面110C’によって構成し、他方側側面110B’の傾斜角を一方側側面110C’よりも底面110A’に対してより垂直方向に起立させる構成としてもよい。
この場合には、たとえば第3ランド103’を薄くしてパーキングレンジ用溝110’の溝幅を大きくすることによって底面110A’の長さを確保するといった構造にすることなく、パーキングレンジ用溝110’の大きさを実施例におけるパーキングレンジ用溝110の大きさと同じとしながら、Pレンジ溝110’の幅をより長く確保してスプール22’をより一方側に移動させることができる。
したがって、第3ランド103を薄くすることによるシール性の悪化を抑制しつつ、スプール22の移動量を最大限確保し、パーキングポールの爪をパーキングギヤにより深く嵌合させることができる。 (請求項2に対応する効果)
自動変速機のマニュアルバルブ周りの断面を示す図である。 マニュアルシャフト周りを示す拡大図である。 パーキングポールの爪とパーキングギヤとの噛み合い状態を示す図である。 マニュアルバルブが切り替える油圧系統を示す図である。 パーキングレンジ用溝周りの拡大図である。 変形例におけるパーキングレンジ用溝周りの拡大図である。
符号の説明
1 自動変速機
2 パーキングギヤ
3 回転軸
4 変速機ケース
10 パーキングコントロールレバー
11 パーキングレバー
13 マニュアルシャフト
14 パーキングポール
14A 爪
20 マニュアルバルブ
21 バルブボディ
22 スプール
22B ロッド部
23 係止ボール
24 スプール穴
101 第1ランド
102 第2ランド
103 第3ランド
110、110’ パーキングレンジ用溝
110A、110A’ 底面
110B、110B’ 他方側側面
110C、110C’ 一方側側面
111 リバースレンジ用溝
112 ニュートラルレンジ用溝
113 ドライブレンジ用溝
114 セカンドレンジ用溝
115 ローレンジ用溝
131〜136 第1ポート〜第6ポート
137 第1ドレインポート
138 第2ドレインポート
140 ポート

Claims (3)

  1. 自動変速機に設けられ、複数のレンジ位置を選択可能なセレクトレバーに連結し、該セレクトレバーのレンジ位置の選択操作に応じて回動するマニュアルシャフトと、
    自動変速機の出力軸に設けられたパーキングギヤと、回動軸を中心に回動するパーキングポールと、前記マニュアルシャフトに連結されたレバー部材とを有し、前記セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合に、前記マニュアルシャフトに連動して前記レバー部材が前記パーキングポールを押し上げ、前記パーキングポールと前記パーキングギヤとを噛み合わせるパーキング機構と、
    前記マニュアルシャフトに機械的に連結され、複数のランドが形成されたスプールを有し、前記セレクトレバーが前記パーキングレンジを選択した場合には、前記スプールは当該スプールの軸方向における一方側に摺動し、また前記セレクトレバーが走行レンジを選択した場合には、前記マニュアルシャフトに連動して前記スプールは当該スプールの軸方向における他方側に摺動し、前記ランドによって自動変速機の油圧制御装置内の油圧通路の切り替えを行うマニュアルバルブと、
    前記マニュアルバルブの前記スプールに複数形成されたディテント溝と、前記油圧制御装置内に設けられ、前記セレクトレバーが操作された場合に、レンジ位置に対応した前記ディテント溝に係合する係合部材とを有し、前記ディテント溝のうち最も他方側がパーキングレンジ用溝となるディテント機構と、を備える自動変速機において、
    前記セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合にのみ、前記スプールを一方側へ付勢する付勢手段を設け、
    前記ディテント機構の前記パーキングレンジ用溝は、前記スプールの軸に対して略平行に形成された底面と、一方側側面と、他方側側面とによって構成され、
    前記ディテント機構は、前記セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合、前記付勢手段による付勢力によって、前記係合部材が前記パーキングレンジ用溝の前記底面と前記他方側側面とに接触し、かつ前記一方側側面には非接触とされていることを特徴とする自動変速機。
  2. 前記ディテント機構の前記パーキング用溝の前記他方側側面は、前記一方側側面よりも前記底面に対してより垂直方向に起立していることを特徴とする請求項1に記載の自動変速機。
  3. 前記油圧制御装置は、前記セレクトレバーがパーキングレンジを選択した場合に油圧が作用する油圧ポートを備え、
    前記マニュアルバルブは、前記油圧ポートの両側に位置するランドに面積差を有し、
    前記付勢手段は、前記面積差を有する両側のランドに油圧が作用することにより一方側への付勢力を発生するよう構成されていることを特徴とする請求項1または2に記載の自動変速機。
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