JP2009203995A - 自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】S12でシフトバイワイヤ(SBW)の故障を判定し、S13でマニュアルバルブが正確にレンジ(P,R,N,D)割り付け位置にあると判定し、S14でセレクトレバー位置信号Drが走行レンジを指令していると判定する時、S15で、シフトバイワイヤの故障でストローク不能となったマニュアルバルブの現状レンジ位置Tmによる車両走行方向と、セレクトレバー位置信号Drにより運転者が意図する車両走行方向とが異なっているか否かを判定する。これら車両走行方向が異なっている場合は、S16で、車両を走行不能にさせるフェールセーフ(FS)処置を行い、これら車両走行方向が同じ場合は、S17で、待避走行させ得る程度のエンジン出力を残してエンジンを出力制限するリンプホーム(LH)処置を行う。
【選択図】図5
Description
このシフトバイワイヤシステムは、シフトレバーによるセレクト操作を電子的に検知し、検知信号に応動するアクチュエータによりマニュアルバルブをセレクト操作対応のレンジ位置に変位させるもので、
今日の電子制御化要求に符合するだけでなく、上記リンク機構やワイヤなどで機械的手段用の大きな配索スペースが不要になることから、車両の小型化に関する要求にも良くマッチして大いに有利である。
このフェールセーフ対策としては従来、例えば特許文献1に記載のごとく、マニュアルバルブがセレクト操作に応動し得なくなった故障が走行中に発生したらエンジン出力を低下させ、故障が停車中に発生したらエンジンの運転を停止させるようにしたフェールセーフ対策が提案されている。
そのため、修理工場や自宅、或いは安全な駐車場まで車両を自走させようとしても、停車位置から自力で待避走行することができず、レッカー移動に頼るしかないという問題を生ずる。
このような場合は、たとえ停車中であってもエンジンを運転停止させず、上記の待避走行が可能な範囲で出力制限するにしても当該出力を発生させ続けるようになし、これにより車両を停車位置から自力で待避走行させることができるようにした自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置を提案することを目的とする。
自動変速機の変速形態を定めたレンジ間での運転者によるセレクト操作に電子制御下に応動して対応するレンジ位置となることにより所定の変速形態を実現するようにしたマニュアルバルブを具えるシフトバイワイヤ式自動変速機を搭載し、該自動変速機を経て出力される原動機からの出力により走行可能な車両を要旨構成の基礎前提とし、
前記マニュアルバルブがセレクト操作に応動し得なくなるシフトバイワイヤの故障を検知するシフトバイワイヤ故障検知手段、および、
該手段によりシフトバイワイヤの故障が検知される場合、前記セレクト操作時に運転者が意図する車両進行方向と、マニュアルバルブの現状レンジ位置から得られる車両進行方向とが一致していれば、前記原動機を車両の待避走行が可能な範囲で出力制限する原動機出力制限手段を具備してなることを特徴とするものである。
車両を停車位置から修理工場や自宅、或いは安全な駐車場まで自力で待避走行させることができ、停車位置で走行不能になるという従来装置の前記問題を解消することができる。
図1は、本発明の一実施例になるシフトバイワイヤ故障時制御装置を具えた自動変速機搭載車のパワートレーンを、その制御系と共に示し、
1は、原動機としてのエンジン、2は自動変速機であり、これらにより自動変速機搭載車のパワートレーンを構成する。
前後進切り替え機構4は、ダブルピニオン型遊星歯車組7を具え、前進クラッチ8の締結により入力軸3の回転をそのままVベルト伝動機構5に伝達することができ、後退ブレーキ9の締結により入力軸3の回転を逆転してVベルト伝動機構5に伝達することができ、
前進クラッチ8および後退ブレーキ9を共に解放することにより、入力軸3の回転をVベルト伝動機構5に伝達しなくなるものとする。
プライマリプーリ10およびセカンダリプーリ11はそれぞれ、一方のフランジ10a,11aを他方のフランジと共に回転するが、軸線方向へ変位可能な可動フランジとし、これら可動フランジ10a,11aの位置をシリンダ室10b,11b内の圧力差により制御可能とする。
この伝動中、セカンダリプーリシリンダ室11bに、変速機入力トルクに応じた変速制御元圧であるライン圧を供給し、プライマリプーリシリンダ室10bに、このライン圧を元圧として変速制御弁が決定した変速制御圧を供給し、セカンダリプーリシリンダ室11bのライン圧に対するプライマリプーリシリンダ室10bにおける変速制御圧の比により、可動フランジ10a,11aの軸線方向位置を制御して、両プーリ10,11に対するVベルト12の巻掛け円弧径、つまり、プーリ間伝動比(変速比)を制御する。
変速制御圧(プライマリプーリ圧)を低下させることで、変速比を逆に連続的に最低速変速比へ向けて無段階に変化(ダウンシフト)させることができる。
従ってエンジン1は、スロットルバルブ13の開度(スロットル開度TVO)を電子制御可能なスロットルバイワイヤ式ガソリンエンジンとする。
エンジンコントローラ16は当該スロットル開度(TVO)指令を、基本的にはアクセルペダル14の踏み込み量(アクセル開度)APOに応じた値となるよう決定し、従って、アクセル開度APOを検出するアクセル開度センサ17を設ける。
エンジンコントローラ16は当該センサ17で検出したアクセル開度APOから予定のマップをもとにアクセル開度対応のスロットル開度(TVO)指令を求め、これをスロットルアクチュエータ15に指令して、スロットルバルブ13の開度(スロットル開度TVO)を基本的にはアクセル開度APOに応じた値となるよう電子制御するが、
所要に応じスロットル開度(TVO)指令、従ってスロットルバルブ13の開度(スロットル開度TVO)を、本発明が狙いとする後述のシフトバイワイヤ故障時制御のためにアクセルペダル操作以外の因子によっても制御可能とする。
このセレクトレバー2aは、車体フロアトンネル(図示せず)に貫通させて運転席の近傍に位置させ、運転者が操作パターン21に沿って手動操作することにより、変速形態を選択して指令するものとする。
Vベルト式無段変速機1を駐車(P)レンジにするPレンジ位置と、
Vベルト式無段変速機1を後退走行(R)レンジにするRレンジ位置と、
Vベルト式無段変速機1を停車(N)レンジにするNレンジ位置と、
Vベルト式無段変速機1を前進自動変速(D)レンジにするDレンジ位置とを設定する。
Pレンジ位置、Rレンジ位置、Nレンジ位置、およびDレンジ位置をこの順にして一直線に配置する。
セレクトレバー2a がRレンジ位置にあるときRレンジ信号を発するRレンジスイッチ22rと、
セレクトレバー2a がNレンジ位置にあるときNレンジ信号を発するNレンジスイッチ22nと、
セレクトレバー2a がDレンジ位置にあるときDレンジ信号を発するDレンジスイッチ22dとをセレクトレバー操作パターン21に設ける。
図2において、41はマニュアルバルブを示し、このマニュアルバルブ41は、セレクトレバー2aによるレンジ切り替え操作(セレクト操作)に応動するが、これらマニュアルバルブ41およびセレクトレバー2a間を機械的に連結せず、マニュアルバルブ41を、詳しくは後述するごとく電子制御下でセレクトレバー2aによるセレクト操作に応動させるようにした、シフトバイワイヤ式に構成する。
マニュアルバルブ41のスプール41aを、電子制御下でセレクトアクチュエータ42により、これらレンジ位置へ変位させるようにする。
ライン圧回路43の接続部を挟んで、マニュアルバルブ軸線方向両側に、前進圧回路44の接続部および後進圧回路45の接続部を配置する。
後進圧回路45をドレンポート41cに通じさせ続けて後退ブレーキ9の締結圧である後退ブレーキ圧Prをドレンポート41c から排除することで後退ブレーキ9を解放させ、
これらによりVベルト式無段変速機2を前進回転動力の伝達が可能な状態にするものとする。
前進圧回路44をドレンポート41bに通じさせ続けて前進クラッチ8の締結圧である前進クラッチ圧Pfをドレンポート41b から排除することで前進クラッチ8を解放させ、
これらによりVベルト式無段変速機2を後退回転動力の伝達が可能な状態にするものとする。
このディテント機構46は、スプール41aにそのストローク方向と直交する向きにバネ47で押し付けたディテントボール48と、該ディテントボール48との共働によりスプール41aをP,R,N,Dレンジ位置に位置決めするようスプール41aに設けた三角形切り欠き41p,41r,41n,41dとで構成する。
この目的のため三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの配列順は、スプール41aに設定したP,R,N,Dレンジ位置の配列順に対応させ、また、三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの配列ピッチは、スプール41aに設定したP,R,N,Dレンジ位置の配列ピッチと同じにすること勿論である。
しかし、図3に例示するごとくディテントボール48が三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの谷に完全に陥入せず、該三角形切り欠きの途中斜面に乗っている時、マニュアルバルブ41(スプール41a)が対応するレンジ位置に非ず、前記した所定の変速形態を実現し得ない。
この時、ディテントボール48は三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの途中斜面との共働によるカム作用でスプール41aに対応するストローク方向の分力を付与し、本来ならスプール41aを対応するレンジ位置に正確に位置決めする。
しかし、ディテントボール48と、三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの斜面との間の摩擦係数が大きい等の理由によって上記のカム作用が得られず、ディテントボール48が三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの途中斜面に乗ったままになり、スプール41aが正確に対応するレンジ位置にならないことがあるのも事実であり、この場合、マニュアルバルブ41は所定の変速形態を実現し得ない。
これら遮断弁51,52はそれぞれ、常態でバネ51a,52aにより図2に示すごとく、対応する前進圧回路44および後進圧回路45を非遮断状態となして、前記したマニュアルバルブ41によるフォワードクラッチ8および後退ブレーキ9の締結・解放を可能にするが、
ソレノイド51b,52bのON時は、対応する前進圧回路44および後進圧回路45を遮断状態にすると共に、前進クラッチ圧Pfおよび後退ブレーキ圧Prを排除して、マニュアルバルブ41の選択レンジ位置に関係なくフォワードクラッチ8および後退ブレーキ9を解放させ、Vベルト式無段変速機2を動力伝達不能な中立状態にするものとする。
ただし図1では簡便のため、コントロールバルブボディー2b内に、前記したマニュアルバルブ41用のセレクトアクチュエータ42、前進圧回路44用の遮断弁51(ソレノイド51b)、後進圧回路45用の遮断弁52(ソレノイド52b)、および、プライマリプーリシリンダ室10b(図1参照)内の変速制御圧を決定して前記した変速制御を司る変速制御弁(図示せず)用のシフトソレノイド53のみを表示した。
このため変速機コントローラ23には、前記したセレクトレバー操作パターン21からの上記各セレクトレバー位置(セレクト操作)信号Drを入力するほか、
車速VSPを検出する車速センサ24からの信号と、
エンジンコントローラ16からスロットルアクチュエータ15に向かうスロットル開度指令より判るスロットル開度TVOに関する情報と、
マニュアルバルブ41のレンジ位置Tmを検出するマニュアルバルブレンジ位置センサ25からの信号とを入力する。
先ず前者の変速制御を概略説明するに変速機コントローラ23は、セレクトレバー2aのセレクト操作位置(P,R,N,D)に応じ、対応するレンジスイッチ22p,22r,22n,22dからのセレクトレバー位置信号Drをもとに、セレクトアクチュエータ42を駆動してマニュアルバルブ41のスプール41aを、対応する駐車(P)レンジ位置、後退走行(R)レンジ位置、停車(N)レンジ位置、前進自動変速(D)レンジ位置へと変位させる。
セレクトレバー位置Dr(指令レンジ)とマニュアルバルブ41の現状レンジ位置Tmとが同じであれば、アクチュエータ制御ユニット23bはソレノイドスイッチ23cをソレノイド23dの非通電によりOFFしてアクチュエータ駆動回路23eを非作動とし、これによりセレクトアクチュエータ42を非作動にしてマニュアルバルブ41を現状レンジ位置Tmのままに保つ。
ところで、この時セレクトアクチュエータ42の回転方向および回転量がマニュアルバルブ41を現状レンジ位置Tmからセレクトレバー位置Dr(指令レンジ)に対応した位置へとストロークさせる回転方向および回転量となるようアクチュエータ駆動回路23eを作動制御する。
以上によりマニュアルバルブ41を、セレクトレバー2aによるセレクト操作(レンジ切り替え)に電子制御下に応動させ、運転者が指令したレンジ位置へとストロークさせることができる。
他方で後進圧回路45はドレンポート41cに連通され続け、後退ブレーキ9の締結圧Prをドレンポート41c から排除することで後退ブレーキ9を解放させ続け、
後退ブレーキ9の解放と前進クラッチ8の締結とによりVベルト式無段変速機2を前進回転動力の伝達が可能な状態にする。
他方で前進圧回路44はドレンポート41bに通じされ続けて前進クラッチ8の締結圧Pfをドレンポート41b から排除することで前進クラッチ8を解放させ続け、
前進クラッチ8の解放と後退ブレーキ9の締結とによりVベルト式無段変速機2を後退回転動力の伝達が可能な状態にする。
変速機コントローラ23は更に、センサ24で検出した車速VSP、および、エンジンコントローラ16で求めたスロットル開度TVOから、予定の変速マップをもとに現在の運転状態において好ましい目標入力回転数(目標変速比)を求め、
この目標入力回転数が達成されるような変速指令をシフトソレノイド53に供給することで、現在の変速機入力回転数が目標入力回転数に向かうような無段変速を行わせる。
変速機コントローラ23は、最ロー変速比に対応した後退用入力回転数が達成されるような変速指令をシフトソレノイド53に供給することで、Vベルト式無段変速機1を固定回転比のもと後退回転が伝達される状態となす。
つまり変速機コントローラ23(シフトバイワイヤ故障時制御部23f)は、先ず図5のステップS11において、セレクトレバー2aの位置信号(セレクト操作位置信号)Dr、および、マニュアルバルブ41の現状レンジ位置信号Tmを読み込む。
シフトバイワイヤシステム(SBW)が故障していなければ、図5のシフトバイワイヤ故障時制御は不要であるから、制御をそのまま終了して図5の制御プログラムから抜ける。
マニュアルバルブ41が正確にレンジ(P,R,N,D)割り付け位置にある場合、マニュアルバルブ41はレンジ位置ごとに前記した所定の変速形態を実現し得る。
しかし、マニュアルバルブ41が正確にレンジ(P,R,N,D)割り付け位置にない場合、図3に例示するごとくディテントボール48が三角形切り欠き41p,41r,41n,41dの谷に完全に陥入せず、該三角形切り欠きの途中斜面に乗っている状態であり、マニュアルバルブ41はレンジ位置ごとの所定の変速形態を実現し得ない。
このステップS14でセレクトレバー位置(セレクト操作)信号Drをもとに、走行レンジ(D,Rレンジ)を指令しているか否かをチェックする。
ステップS14でセレクトレバー位置(セレクト操作)信号Drをもとに、走行レンジ(D,Rレンジ)を指令していないと判定する場合は、運転者が走行を希望していないことから、図5のシフトバイワイヤ故障時制御を行うべきでなく、従って制御をそのまま終了することにより図5の制御プログラムから抜ける。
これら何れのフェールセーフ(FS)処置を行っても、車両を走行不能にすることができ、車両が運転者の意図する車両走行方向と逆方向へ移動する違和感の解消を、シフトバイワイヤ故障時待避走行の実現よりも優先させることができる。
ただし当該リンプホーム(LH)処置では、前進圧回路用遮断弁51(ソレノイド51b)および後進圧回路用遮断弁52(ソレノイド52b)をOFFのままとし、マニュアルバルブ41のレンジ位置に応じて前進クラッチ8または後退ブレーキ9を締結させることで、Vベルト式無段変速機2を前進回転動力伝達可能状態または後進回転動力伝達可能状態にする。
なお、かかる待避走行による走行方向が運転者の意図する車両走行方向と同じであるため、また、この待避走行がエンジン出力制限下での微速走行であることから、運転者は違和感を持つことなく、しかも安全に当該待避走行を行わせることができる。
図6に示したケース1は、運転者がDレンジからRレンジへのD→Rセレクト操作を行った時、マニュアルバルブ41(M/V)が正常にDレンジ位置からRレンジ位置へストロークしてVベルト式無段変速機2(T/M)がDレンジ状態からRレンジ状態へ移行したものの、その後シフトバイワイヤの故障でマニュアルバルブ(M/V)をRレンジ位置からストロークさせ得なくなった場合のシフトバイワイヤ故障時制御で、
従来は、運転者がD→Rセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のRレンジ位置固定による車両走行方向とが同じで、車両を待避走行させても前記の違和感を生じないのに、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を全く走行不能にしていたのに、
本実施例においては前記したリンプホーム(LH)処置を行うことから、前記の違和感なしに車両を停車位置から安全な駐車位置まで自力で待避走行させることができる。
本実施例においては、運転者がD→Rセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のDレンジ位置固定による車両走行方向との不一致に呼応して、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を走行不能にさせることにより、運転者の意図する車両走行方向と逆の方向へ車両が走行する違和感をなくすことを優先させたシフトバイワイヤ故障時制御を実現することができる。
従来は、運転者がR→Dセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のDレンジ位置固定による車両走行方向とが同じで、車両を待避走行させても前記の違和感を生じないのに、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を全く走行不能にしていたのに、
本実施例においては前記したリンプホーム(LH)処置を行うことから、前記の違和感なしに車両を停車位置から安全な駐車位置まで自力で待避走行させることができる。
本実施例においては、運転者がR→Dセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のRレンジ位置固定による車両走行方向との不一致に呼応して、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を走行不能にさせることにより、運転者の意図する車両走行方向と逆の方向へ車両が走行する違和感をなくすことを優先させたシフトバイワイヤ故障時制御を実現することができる。
従来は、運転者がN→Dセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のDレンジ位置固定による車両走行方向とが同じで、車両を待避走行させても前記の違和感を生じないのに、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を全く走行不能にしていたのに、
本実施例においては前記したリンプホーム(LH)処置を行うことから、前記の違和感なしに車両を停車位置から安全な駐車位置まで自力で待避走行させることができる。
本実施例においては、運転者がN→Dセレクト操作により意図した車両走行方向と、マニュアルバルブ(M/V)のRレンジ位置による車両走行方向との不一致に呼応して、前記したフェールセーフ(FS)処置により車両を走行不能にさせることにより、運転者の意図する車両走行方向と逆の方向へ車両が走行する違和感をなくすことを優先させたシフトバイワイヤ故障時制御を実現することができる。
ちなみに、遊星歯車組式有段自動変速機の場合、発進用摩擦要素が前進第1速を選択するための摩擦要素および後退変速段を選択するための摩擦要素であり、また、自動マニュアルトランスミッションの場合、前進第1速を選択するための自動クラッチおよび後退変速段を選択するための自動クラッチであることから、
図2における遮断弁51,52はそれぞれ、遊星歯車組式有段自動変速機の場合、前進第1速を選択するための摩擦要素および後退変速段を選択するための摩擦要素の締結圧回路中に挿置し、また、自動マニュアルトランスミッションの場合、前進第1速を選択するための自動クラッチおよび後退変速段を選択するための自動クラッチの締結圧回路中に挿置するのは言うまでもない。
2 Vベルト式無段変速機(自動変速機)
2a セレクトレバー
2b コントロールバルブボディー
3 入力軸
4 前後進切り替え機構
5 Vベルト伝動機構
6 出力軸
8 前進クラッチ
9 後退ブレーキ
10 プライマリプーリ
10a 可動フランジ
10b プライマリプーリシリンダ室
11 セカンダリプーリ
11a 可動フランジ
11b セカンダリプーリシリンダ室
12 Vベルト
13 スロットルバルブ
14 アクセルペダル
15 スロットルアクチュエータ
16 エンジンコントローラ
17 アクセル開度センサ
21 セレクトレバー操作パターン
23 変速機コントローラ
23a シフトバイワイヤ制御部
23f シフトバイワイヤ故障時制御部
24 車速センサ
25 マニュアルバルブレンジ位置センサ
41 マニュアルバルブ
42 セレクトアクチュエータ
43 ライン圧回路
44 前進圧回路
45 後進圧回路
46 ディテント機構
51 前進圧遮断弁
52 後進圧遮断弁
53 シフトソレノイド
Claims (5)
- 自動変速機の変速形態を定めたレンジ間での運転者によるセレクト操作に電子制御下に応動して対応するレンジ位置となることにより所定の変速形態を実現するようにしたマニュアルバルブを具えるシフトバイワイヤ式自動変速機を搭載し、該自動変速機を経て出力される原動機からの出力により走行可能な車両において、
前記マニュアルバルブがセレクト操作に応動し得なくなるシフトバイワイヤの故障を検知するシフトバイワイヤ故障検知手段、および、
該手段によりシフトバイワイヤの故障が検知される場合、前記セレクト操作時に運転者が意図する車両進行方向と、マニュアルバルブの現状レンジ位置から得られる車両進行方向とが一致していれば、前記原動機を車両の待避走行が可能な範囲で出力制限する原動機出力制限手段を具備してなることを特徴とする自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置。 - 請求項1に記載の自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置において、
前記シフトバイワイヤ故障検知手段によりシフトバイワイヤの故障が検知される場合、前記セレクト操作時に運転者が意図する車両進行方向と、マニュアルバルブの現状レンジ位置から得られる車両進行方向とが一致していなければ、前記自動変速機からの出力を禁止する変速機出力低下手段を設けたことを特徴とする自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置。 - 請求項2に記載の自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置において、
前記変速機出力低下手段は、前記原動機の出力を最低値にするものであることを特徴とする自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置。 - 請求項2に記載の自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置において、
前記変速機出力低下手段は、前記自動変速機を動力伝達不能な中立状態にするものであることを特徴とする自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置。 - 請求項1〜4のいずれか1項に記載の自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置において、
前記マニュアルバルブが隣り合うレンジ位置間の中間位置にあって、前記所定の変速形態を実現し得ないときは、前記原動機出力制限手段および変速機出力低下手段の双方を非作動にして、シフトバイワイヤ故障時制御を行わないようにしたものであることを特徴とする自動変速機搭載車のシフトバイワイヤ故障時制御装置。
Priority Applications (5)
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