JP2008150574A - 芳香族ポリアミド粒子の製造方法 - Google Patents

芳香族ポリアミド粒子の製造方法 Download PDF

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Hiroaki Kuwabara
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Abstract

【課題】芳香族環にヒドロキシ基を置換基として有する芳香族ポリアミドのドープから芳香族ポリアミド粒子を得る方法を提供する。
【解決手段】下記式(I)
【化1】
Figure 2008150574

で表される繰り返し単位を含むポリアミドと溶媒とからなるドープを、紡糸して貧溶媒中に押出して抽出し、貧溶媒で洗浄した後、乾燥後粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
【選択図】なし

Description

本発明は、芳香族環にヒドロキシ基を置換基として有する芳香族ポリアミドのドープから芳香族ポリアミド粒子を得る方法に関する。
Twaron(登録商標)、Kevlar(登録商標)に代表されるポリパラフェレニレンテレフタルアミド(PPTA)は、耐熱性、機械的特性に優れ、繊維、その他の成形品の原料として有用である。PPTAは、芳香族ジカルボン酸と芳香族ジアミンとを有機溶媒中で、反応させ製造することができる。PPTAは、硫酸中に高濃度のPPTAを溶解させた光学異方性を有するドープを凝固浴中に押し出し、繊維、フィルム等にすることができる(特許文献1)。また特許文献2には芳香族ポリアミドをチップに成形した後、粉砕する粉粒状芳香族ポリアミドの製造法が記載されている。
また、芳香族環にヒドロキシ基を有するポリアミドを含有する水酸化ナトリウムのドープを、硫酸中に押し出し成形することも提案されている(特許文献3)。ポリマーを成型する際、重合したポリマーを一度重合溶媒から抽出して乾燥した後、紡糸溶媒に高濃度で溶解させる。この際、抽出されたポリマーの粒径が大きい、あるいはフィブリル化しているとポリマーの流動性が悪くなり溶解時のプロセス上問題となるが、芳香族環にヒドロキシ基を有するポリアミドは抽出されたポリマーがフィブリル化しやすい傾向にあり、流動性のよい固体を得る方法が求められていた。
特開昭59−137509号公報 特開昭53−79948号公報 英国特許第1,142,071号公報
本発明は、芳香族環にヒドロキシ基を置換基として有する芳香族ポリアミドのドープから流動性に優れた芳香族ポリアミド粒子を得る方法である。
本発明は、下記式(I)
Figure 2008150574
で表される繰り返し単位を含むポリアミドと溶媒とからなるドープを、紡糸して貧溶媒中に押出して抽出し、貧溶媒で洗浄した後、乾燥後粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粒子の製造方法である。
本発明は、ポリアミドが、さらに下記式(II)
Figure 2008150574
で表される繰り返し単位を含み、上記式(I)及び(II)の繰り返し単位の共重合モル比率(II)/(I)が
0.05≦(II)/(I)≦20
の範囲にある全芳香族ポリアミド粒子の製造方法も包含する。
本発明により芳香族環にヒドロキシ基を置換基として有する芳香族ポリアミドのドープから流動性に優れた全芳香族ポリアミド粒子を得ることができる。本発明により得られる全芳香族ポリアミド粒子は流動性良く、ハンドリング性に優れるため、全芳香族ポリアミド粒子を溶解して紡糸や製膜する際のプロセスの操作性、および成形体の品質を向上させることができる。
(ポリマー)
本発明に用いられるポリアミドは、下記式(I)
Figure 2008150574
で表される繰り返し単位を含むものである。
上記式(I)で表される繰り返し単位を主として含むポリアミドに加え、さらにポリアミドが下記式(II)
Figure 2008150574
で表される繰り返し単位を含み、上記式(I)及び(II)の繰り返し単位の共重合モル比率(II)/(I)が
0.05≦(II)/(I)≦20
の範囲にある全芳香族ポリアミドであることも好ましい。
繰り返し単位の共重合モル比率(II)/(I)は好ましくは、0.1≦(II)/(I)≦5、さらに好ましくは0.2≦(II)/(I)≦1である。
本発明のポリアミドを含有するドープの濃度は0.1〜30重量%、好ましくは1〜25重量%、より好ましくは3〜15重量%である。用いるポリマーの特有粘度(ηinh)は1.0以上、好ましくは1.5〜40、より好ましくは2.0〜25である。特有粘度(ηinh)は、濃硫酸を用いてポリマー濃度0.5g/dlで30℃において測定した相対粘度(ηrel)を基に下記式により求めた値である。
ηinh=(lnηrel)/C
(ηrelは相対粘度、Cは濃度を表す)
(重合方法)
上記式(I)を含む繰り返し単位からなるポリアミドは、下記式(A)
Figure 2008150574
(式中XはOH、ハロゲン原子、またはORで表される基であり、Rは炭素数6〜20の1価の芳香族基を表す。)
で表されるジカルボン酸化合物と下記式(B)
Figure 2008150574
で表される芳香族ジアミン、すなわち4,4’ −ジアミノ-3,3’−ビフェニルジオールあるいはこれらの塩酸塩、硫酸塩、りん酸塩とから得られる。
さらにジアミン化合物として、下記式(C)
Figure 2008150574
で表されるp−フェニレンジアミンあるいはこれらの塩酸塩、硫酸塩、りん酸塩を用いることも好ましい。
なお、得られるポリマーの性質を改良する目的で、m−フェニレンジアミン、1,4−ジアミノナフタレン、1,5−ジアミノナフタレン、1,8−ジアミノナフタレン、2,6−ジアミノナフタレン、2,7−ジアミノナフタレン、2,5−ジアミノピリジン、2,6−ジアミノピリジン、3,5−ジアミノピリジン、3,3’−ジアミノビフェニル、3,3’−ジクロロベンジジン、3,3’−ジアミノジフェニルエーテル、3,4’−ジアミノジフェニルエーテル、4,4’−ジアミノジフェニルエーテル等のジアミンを共重合することができる。
ジカルボン酸化合物としては、好ましくはX=Clのテレフタル酸クロリドが挙げられる。
なお、得られるポリマーの性質を改良する目的でイソフタル酸クロリド、2,6−ナフタレンジカルボン酸クロリドなどのジカルボン酸類を共重合することもできる。
重合を行うのに用いる溶媒については、特に限定はされないが上記の如き原料モノマー(A)、(B)を溶解し、かつそれらと実質的に非反応性であり、好ましくは特有粘度が少なくとも1.0以上、より好ましくは1.2以上のポリマーを得ることが可能なものであれば如何なる溶媒も使用できる。例えば、N,N,N′,N′−テトラメチル尿素(TMU)、N,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N,N−ジエチルアセトアミド(DEAC)、N,N−ジメチルプロピオンアミド(DMPR)、N,N−ジメチルブチルアミド(NMBA)、N,N−ジメチルイソブチルアミド(NMIB)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N−シクロヘキシル−2−ピロリジノン(NCP)、N−エチルピロリドン−2(NEP)、N−メチルカプロラクタム(NMC)、N,N−ジメチルメトキシアセトアミド、N−アセチルピロリジン(NARP)、N−アセチルピペリジン、N−メチルピペリドン−2(NMPD)、N,N′−ジメチルエチレン尿素、N,N′−ジメチルプロピレン尿素、N,N,N′,N′−テトラメチルマロンアミド、N−アセチルピロリドン等のアミド系溶媒、p−クロルフェノール、フェノール、m−クレゾール、p−クレゾール、2,4−ジクロルフェノール等のフェノール系溶媒もしくはこれらの混合物をあげることができる。
これらの中でも好ましい溶媒はN,N−ジメチルアセトアミド(DMAC)、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)、N,N−ジメチルホルムアミド(DMF)である。
この場合、溶解性を挙げるために重合前、途中、あるいは終了時に公知の無機塩を適当量添加しても差し支えない。このような無機塩として例えば、塩化リチウム、塩化カルシウム等が挙げられる。
ポリマーの製造は、前記モノマー(A)、(B)、さらに場合により(C)を脱水した上記の溶媒中で通常のポリアミドの溶液重合法と同様に製造する。この際の反応温度は80℃以下、好ましくは60℃以下とする。また、この時の濃度はポリマー濃度として0.1〜30重量%、好ましくは1〜25重量%より好ましくは3〜15重量%である。
また、本発明ではトリアルキルシリルクロライドをポリマー高重合度化の目的で使用することも可能である。
また、一般に用いられる酸クロライドとジアミンの反応においては生成する塩化水素のごとき酸を捕捉するために脂肪族や芳香族のアミン、第4級アンモニウム塩を併用できる。
(抽出方法)
上述の方法で得られたポリマードープを紡糸してポリマーの貧溶媒中に押出して抽出する。
貧溶媒としては水、もしくは水と上述のアミド溶媒の混合溶液が好ましい。ドープを押し出す前にドープをあらかじめ濾過しておくことも好ましい。
次いで、フィラメント状に押し出され貧溶媒にて抽出されたポリマーを貧溶媒で洗浄し、乾燥した後、粉砕する。洗浄に用いる貧溶媒はドープの押出工程に用いた貧溶媒と同種でも別種でも構わない。洗浄用の貧溶媒としては実用の面からも水が好ましい。乾燥方法としては、例えば50〜250℃好ましくは70℃〜150℃の雰囲気で乾燥する、あるいは風乾する方法が挙げられる。
粉砕には従来公知の粉砕機を用いることができ、粉砕機としては、機械的粉砕手段、例えば、ボ−ルミル、ハンマ−ミル、ジェットミル等が好ましく挙げられるが、特に制限を受けるものではない。
得られる全芳香族ポリアミド粒子は、平均粒径が0.1〜10000μm、好ましくは30〜1000μmの範囲であることが好ましい。また得られる全芳香族ポリアミド粒子はアスペクト比が1〜10、より好ましくは1〜5であることが好ましい。芳香族ポリアミド粒子のアスペクト比を小さくすることにより流動性に優れた粒子を提供することができる。
以下、実施例及び比較例により本発明をさらに具体的に説明するが、本発明はこれらによっていささかも限定されるものではない。
(1)特有粘度(ηinh
特有粘度(ηinh)は、濃硫酸を用いてポリマー濃度0.5g/dlで30℃において測定した相対粘度(ηrel)を基に下記式により求めた値である。
ηinh=(lnηrel)/C
(ηrelは相対粘度、Cは濃度を表す)
(2)平均粒径、アスペクト比
粒子の平均粒径、アスペクト比は日立製作所製、走査型電子顕微鏡 S−2400を用い粒子10個の平均を求めたものである。
[参考例1](ポリマーの重合)
塩化カルシウム90重量部を窒素気流下、フラスコ内で250℃にて1時間乾燥させ、フラスコ内の温度を室温に戻した後、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)1200重量部を加えた。4,4’ −ジアミノ-3,3’−ビフェニルジオール39.96重量部を加え溶解させた。この溶液を外部冷却により0℃に保ち、テレフタル酸クロリド37.52重量部添加し、0℃で1時間、50℃で2時間反応せしめポリマードープを得た。
[実施例1]
参考例1の反応終了後、ドープの一部を紡糸用シリンダーに移し1000メッシュのフィルターを経由して口径3mmの5ホールの口金からイオン交換水中に押し出し、巻き取ることでフィラメント状物を得た。得られたフィラメント状物を1時間水洗し80℃で1時間乾燥後、粉砕機にてフィラメント状物を粉砕して口径3mmのメッシュを通して粒状物を得た。この粒状物を更にエタノール、アセトンで洗浄後、80℃で真空乾燥した。
得られた芳香族ポリアミド粒子は流動性を有していた。平均粒径は500μmであり、アスペクト比は1.2であった。
[比較例1]
参考例1の反応終了後、ポリマードープの10重量部を100重量部のイオン交換水中に投入しホモミキサーで攪拌し重合体を析出させ濾別した。この操作を2回繰り返し、得られた重合体を更にエタノール、アセトンで洗浄後、80℃で真空乾燥した。
得られたポリマーは絡み合いがひどく流動性に乏しいものであった。平均粒径は長手方向の平均が2000μmで、アスペクト比は24であった。
[参考例2](ポリマーの重合)
塩化カルシウム33.1重量部を窒素気流下、フラスコ内で250℃にて1時間乾燥させ、フラスコ内の温度を室温に戻した後、N−メチル−2−ピロリジノン(NMP)300重量部を加えた。4,4’ −ジアミノ-3,3’−ビフェニルジオール22.5重量部、p−フェニレンジアミン2.8130重量部を加え溶解させた。この溶液を外部冷却により0℃に保ち、テレフタル酸クロリド26.405重量部添加し、0℃で1時間、50℃で2時間反応せしめポリマードープを得た。
[実施例2]
参考例2の反応終了後、ドープの一部を紡糸用シリンダーに移し1000メッシュのフィルターを経由して口径3mmの5ホールの口金からイオン交換水中に押し出し、巻き取ることでフィラメント状物を得た。得られたフィラメント状物を1時間水洗し80℃で1時間乾燥後、粉砕機にてフィラメント状物を粉砕して口径3mmのメッシュを通して粒状物を得た。この粒状物を更にエタノール、アセトンで洗浄後、80℃で真空乾燥した。
得られた芳香族ポリアミド粒子は流動性を有していた。平均粒径は480μmアスペクト比は1.4であった。
[比較例2]
参考例2の反応終了後、ポリマードープの10重量部を100重量部のイオン交換水中に投入しホモミキサーで攪拌し重合体を析出させ濾別した。この操作を2回繰り返し、得られた重合体を更にエタノール、アセトンで洗浄後、80℃で真空乾燥した。
得られたポリマーは絡み合いがひどく流動性に乏しいものであった。平均粒径は長手方向の平均が2200μmで、アスペクト比は31であった。

Claims (7)

  1. 下記式(I)
    Figure 2008150574
    で表される繰り返し単位を含むポリアミドと溶媒とからなるドープを、紡糸して貧溶媒中に押出して抽出し、貧溶媒で洗浄した後、乾燥後粉砕することを特徴とする全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
  2. ポリアミドが、さらに下記式(II)
    Figure 2008150574
    で表される繰り返し単位を含み、上記式(I)及び(II)の繰り返し単位の共重合モル比率(II)/(I)が
    0.05≦(II)/(I)≦20
    の範囲にあることを特徴とする請求項1に記載の全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
  3. 貧溶媒が、水であることを特徴とする請求項1または2に記載の全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
  4. 溶媒がN−メチル−2−ピロリドン、N,N−ジメチルアセトアミド、及びN,N−ジメチルホルムアミドからなる群から選択される少なくとも1種であることを特徴とする請求項1〜3のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
  5. 溶媒に塩化リチウム及び又は塩化カルシウムを加えることを特徴とする請求項1〜4のいずれかに記載の全芳香族ポリアミド粒子の製造方法。
  6. 請求項1〜5のいずれかの方法で製造された全芳香族ポリアミド粒子。
  7. 平均粒径が10〜10000μmであり、かつアスペクト比が1〜10である請求項6に記載の全芳香族ポリアミド粒子。
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WO2006126696A1 (ja) * 2005-05-26 2006-11-30 Teijin Limited 成形用ドープ

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