JP2008149961A - 電動パワーステアリング装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】ステアリングホイールの操作に伴い変化する操舵角度に基づいて目標補助力を決定することにより、目標補助力を求めるためにトルクセンサを設ける必要がなく、操舵感を向上することができる電動パワーステアリング装置を提供する。
【解決手段】車両のステアリングホイール30の操作に基づいて目標補助力を求め、求めた目標補助力に応じて操舵補助用のモータ5を駆動して、操舵を補助する電動パワーステアリング装置において、ステアリングホイール30の操作に伴って変化する操舵角度、該操舵角度から算出した操舵角速度及び操舵角加速度を操舵系の運動方程式に適用して必要トルクを算出して、算出された必要トルクから目標操舵トルクを算出しているから、目標補助トルクを求めるためにトルクセンサを設ける必要がなく、ステアリング軸3を剛性の高い中空材又は中実材により構成することにより操舵感を向上することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、操舵部材の操作に応じて目標補助力を算出し、該目標補助力を発生すべく操舵補助用のモータを駆動して、操舵を補助する構成とした電動パワーステアリング装置に関する。
近年、車両用のパワーステアリング装置として、操舵補助用のアクチュエータに電動モータを用いる電動パワーステアリング装置が普及している。この電動パワーステアリング装置は、一般的に、ステアリングホイール等の操舵部材の操作を舵取機構に伝えるステアリング軸の中途にトルクセンサを配し、操舵部材の操作に応じてステアリング軸に加わる操舵トルクを前記トルクセンサにより検出して、検出された操舵トルクに基づいて目標補助力を求め、該目標補助力を発生させるように操舵補助用のモータを駆動制御する構成となっている(例えば、特許文献1参照)。
前記トルクセンサは、操舵部材に加えられる操舵トルクの作用によりステアリング軸に生じる捩れを検出対象として構成されており、この捩れを大きくして操舵トルクの検出精度を高めることを目的として、ステアリング軸の中途に、操舵部材側の入力軸と舵取機構側の出力軸とを低剛性のトーションバーにより連結してなる連結部を設けており、この連結部においてトーションバーの捩れに応じて入力軸と出力軸との間に生じる相対角変位を適宜の手段により検出するようにしてある。
特開2004−338562号公報
このようなトルクセンサを備える電動パワーステアリング装置においては、トーションバーが一種のダンパーの働きをし、路面状態が操舵部材に伝わりにくいという状況が生じたり、操舵部材を操作するときに若干の時間遅れを伴って舵取機構が反応したりというような状況が生じ、操舵感が悪化するという問題があった。
本発明は斯かる事情に鑑みてなされたものであり、操舵部材の操作に伴い変化する操舵角度に基づいて目標補助力を算出することにより、低剛性のトーションバーを備えるトルクセンサを不要とし、操舵感を向上することができる電動パワーステアリング装置を提供することを目的とする。
第1発明に係る電動パワーステアリング装置は、車両の操舵部材の操作に基づいて目標補助力を求め、求めた目標補助力に応じて操舵補助用のモータを駆動して、操舵を補助する電動パワーステアリング装置において、前記操舵部材の操作に伴って変化する操舵角度を検出する操舵角センサと、該操舵角センサにより検出される操舵角度を用いて操舵角速度及び操舵角加速度を算出する算出手段と、該算出手段により算出される操舵角速度及び操舵角加速度並びに前記操舵角センサにより検出される操舵角度を用いて前記目標補助力を算出する補助力算出手段とを備えることを特徴とする。
第2発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記補助力算出手段が、前記操舵角度に比例する弾性項と、前記操舵角速度に比例する粘性項と、前記操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて、前記車両の操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、求めた操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してあることを特徴とする。
第3発明に係る電動パワーステアリング装置は、車両の操舵部材の操作に基づいて目標補助力を求め、求めた目標補助力に応じて操舵補助用のモータを駆動して、操舵を補助する電動パワーステアリング装置において、前記操舵部材の操作に伴って変化する操舵角度を検出する操舵角センサと、該操舵角センサにより検出される操舵角度から予め定めた基準操舵角度を減算して相対操舵角度を算出する相対角度算出手段と、該相対角度算出手段により算出された相対操舵角度を用いて相対操舵角速度及び相対操舵角加速度を算出する算出手段と、該算出手段により算出される相対操舵角速度及び相対操舵角加速度並びに前記相対角度算出手段により算出される相対操舵角度を用いて前記目標補助力を算出する補助力算出手段とを備えることを特徴とする。
第4発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記補助力算出手段が、前記相対操舵角度に比例する弾性項と、前記相対操舵角速度に比例する粘性項と、前記相対操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて、前記操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、求めた操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してあることを特徴とする。
第5発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記補助力算出手段が、前記運動方程式を用いて求めた操舵力が、予め定めた上限操舵力以上であるときに、該上限操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してあることを特徴とする。
第6発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記操舵部材が切り返し中であることを判定する判定手段を備え、前記相対角度算出手段は、前記補助力算出手段により算出される操舵力が前記上限操舵力以上である状態下にて、前記判定手段により切り返し中であると判定されたとき、前記基準操舵角度を再設定するように構成してあることを特徴とする。
第7発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記運動方程式が、前記操舵部材の操作に応じて生じる動摩擦を示す動摩擦項を含んでおり、前記補助力算出手段は、前記操舵角度に応じて、前記運動方程式の弾性項及び動摩擦項の一方又は両方を変更するように構成してあることを特徴とする。
第8発明に係る電動パワーステアリング装置は、前記車両の走行速度を検出する車速センサを備え、前記補助力算出手段は、前記車速センサにより検出された車速に応じて、前記上限操舵力、弾性項及び動摩擦項のうち少なくとも1つを変更するように構成してあることを特徴とする。
第1発明によれば、操舵部材の操作に伴って変化する操舵角度、該操舵角度から算出した操舵角速度及び操舵角加速度を用いて必要となる操舵力を求め、この操舵力から目標補助力を求めており、目標補助力を求めるためにトルクセンサを設ける必要がなく、ステアリング軸を剛性の高い中空材又は中実材により構成することにより操舵感を向上することができる。
第2発明によれば、操舵角度に比例する弾性項と、操舵角速度に比例する粘性項と、操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、例えば、操舵部材を回転操作する運転者が加える分として予め設定された操舵入力狙い値を、前記運動方程式により求めた操舵力から減じて目標補助力を算出することにより、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第3発明によれば、予め定めた基準操舵角度を操舵角度から減算して求めた相対操舵角度、該相対操舵角度から算出した相対操舵角速度及び相対操舵角加速度を用いて、主として相対操舵角度に比例して必要となる操舵力を求め、この操舵力から目標補助力を算出するように構成してある。この結果、トルクセンサを設けることなく、ステアリング軸を剛性の高い中空材又は中実材により構成することにより操舵感を向上でき、また、基準操舵角度として、例えば操舵用車輪のタイヤが弾性変形していない状態の操舵角度を用いることにより、操舵用車輪のタイヤの弾性挙動を考慮して、必要な操舵力の主要部分を占める操舵系の弾性力を求めて目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第4発明によれば、相対操舵角度に比例する弾性項と、相対操舵角速度に比例する粘性項と、相対操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、例えば、求めた操舵力から予め設定された操舵入力狙い値を減じて目標補助力を算出することにより、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第5発明によれば、運動方程式を用いて求めた操舵力が、予め定めた上限操舵力以上であるときに、該上限操舵力により目標補助力を算出するように構成してあるから、例えば操舵用車輪のタイヤと路面間に働く摩擦力に基づいて上限操舵力を定めることにより、弾性変形したタイヤが路面に対して滑りながら操舵がなされる状態においても、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第6発明によれば、補助力算出手段により算出される操舵力が上限操舵力以上である状態下にて、操舵部材が切り返し中であると判定されたとき、基準操舵角度を再設定して、この再設定された基準操舵角度を運動方程式に適用しているから、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第7発明によれば、操舵角度に応じて運動方程式の弾性項及び動摩擦項の一方又は両方を変更しているから、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
第8発明によれば、車速に応じて、前記上限操舵力、弾性項及び動摩擦項のうち少なくとも1つを変更しているから、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
以下、本発明をその実施の形態を示す図面に基づいて詳述する。図1は、本発明に係る電動パワーステアリング装置の構成を示す模式図である。なお本図には、ラックピニオン式の舵取機構を備える車両への適用例を示しているが、本発明は、ボールねじ式の舵取機構等、他の形式の舵取機構を備える車両への適用も可能であることは言うまでもない。
ラックピニオン式の舵取機構は、図示しない車体の左右方向に延設されたラックハウジング10の内部に軸長方向への移動自在に支持されたラック軸1と、ラックハウジング10の中途に交叉するピニオンハウジング20の内部に回転自在に支持されたピニオン軸2とを備える公知の構成を有している。
ラックハウジング10の両側から外部に突出するラック軸1の両端は、各別のタイロッド11,11を介して操舵用車輪としての左右の前輪12,12に連結され、またピニオンハウジング20の一側から外部に突出するピニオン軸2の上端は、ステアリング軸3を介して操舵部材としてのステアリングホイール30に連結されている。またピニオンハウジング20の内部に延びるピニオン軸2の下部には、図示しないピニオンが形成されており、該ピニオンは、ラックハウジング10との交叉部において、ラック軸1の外面に適長に亘って形成されたラック歯に噛合させてある。
ステアリング軸3は、筒形をなすコラムハウジング31の内部に回転自在に支持され、該コラムハウジング31を介して、図示しない車室の内部に前方を下とした傾斜姿勢を保って取り付けてあり、コラムハウジング31の下方へのステアリング軸3の突出端にピニオン軸2が連結され、同じく上方への突出端にステアリングホイール30が固設されている。
以上の構成により、操舵のためにステアリングホイール30が回転操作された場合、この回転がステアリング軸3を介してピニオン軸2に伝達され、該ピニオン軸2の回転が、ピニオンとラック歯との噛合部においてラック軸1の軸長方向の移動に変換されることとなり、このようなラック軸1の移動により、左右の前輪12,12が各別のタイロッド11,11を介して押し引きされて舵取りがなされる。
ステアリング軸3を支持するコラムハウジング31の中途には、ステアリングホイール30の回転操作に伴って変化する操舵角度を検出する操舵角センサ4が設けてあり、該操舵角センサ4よりも下位置に操舵補助用のモータ5が取り付けてある。
操舵角センサ4は、ステアリング軸3の回転角度を検出する回転角センサとして構成することができる。ステアリングホイール30は、操舵のため直進中立位置を中心として左右両方向に夫々複数回転に亘って回転操作されるため、操舵角センサ4は、ステアリングホイール30の回転範囲の全域に亘る絶対角度を検出可能に構成された回転角センサであることが望ましい。また、操舵補助用のモータ5のロータの回転角度を検出するレゾルバをステアリング軸3の回転角度を求める回転角センサ、即ち操舵角センサ4として用いることも可能である。
操舵補助用のモータ5は、コラムハウジング31の外側に軸心を略直交させて取り付けてあり、コラムハウジング31の内部に延びる出力端に固着されたウォームをステアリング軸3に外嵌固定されたウォームホイールに噛合させ、モータ5の回転を、ウォーム及びウォームホイールにより減速してステアリング軸3に伝え、前述の如く行われる舵取りを補助するように構成されている。
このように取り付けられた操舵補助用のモータ5は、アシスト制御部6からモータ駆動回路7を介して与えられる制御指令に従って駆動される。アシスト制御部6には、操舵角センサ4による操舵角度の検出値、車両の適宜部位に配された車速センサ8による車速の検出値が与えられている。また、操舵補助用のモータ5には、該モータ5に流れる電流を検出するモータ電流センサ50が設けてあり、モータ電流センサ50による電流の検出値もアシスト制御部6に与えられている。
図2は、アシスト制御部6のブロック図である。アシスト制御部6は、内部バス60により相互に接続されたCPU61,ROM62及びRAM63を備え、ROM62に記憶された制御プログラムに従うCPU61の動作により以下のアシスト制御を実施するECUとして構成されている。操舵角センサ4により検出される操舵角度θh 、車速センサ8により検出される車速V及びモータ電流センサ50により検出されるモータ電流Is は、各別の入力インタフェース64,65,66を介してCPU61に取り込まれるようになしてある。
本発明に係る電動パワーステアリング装置は、ステアリングホイール30の回転操作に伴って変化する操舵角度θh を用いて、ステアリング軸3に加えるべき目標補助力をトルク換算した目標補助トルクTa を求め、求めた目標補助トルクTa から操舵補助用のモータ5に供給すべき目標駆動電流Ia を決定するように構成してある。
まず、操舵角度θh を用いて目標補助トルクTa を求める方法について説明する。ステアリングホイール30から前輪12,12までを含む操舵系の運動方程式は次式のように表される。
n =J・αh +C・ωh +K・θh +Th … (1)
ここで、Jは操舵系の慣性モーメント、Cは操舵系の粘性摩擦係数、Kは操舵系の弾性係数、Th は操舵系の動摩擦により決まるトルク(以下、動摩擦トルクという)である。θh は操舵角度である。ωh は操舵角速度であり、θh の一階微分値として与えられる。αh は操舵角加速度であり、θh の二階微分値として与えられる。
このような操舵系の運動方程式により求められるTn は、前輪12,12を転舵させるために必要となる操舵力をトルク換算した値(以下、必要トルクという)であり、(1)式に示すように、操舵角度θh に比例する弾性項,操舵角速度のωh に比例する粘性項,操舵角加速度αh に比例する慣性項及び動摩擦項により表すことができる。θh は、ステアリングホイール30の直進中立位置からの方向に応じて正負が定められており、例えば、直進中立位置から右方向を正、左方向を負としてある。Th の正負は、θh と同様に定められている。
操舵補助用のモータ5によりステアリング軸3に加えるべき目標補助トルクTa は、(1)式により求められる必要トルクTn を用いて次式により求められる。
a =Tn −Tha … (2)
ここで、Thaはステアリングホイール30を回転操作する運転者が加えるべき操舵入力トルク狙い値であり、後述するように車速に応じてステアリングホイール30の手応え感として適宜設定されているパラメータである。
(2)式により求められる目標補助トルクTa を、以下に述べるように、ステアリングホイール30の操作状態に応じて、操舵の補助として加える必要が有るか否か、左右いずれの方向に加えるかが決定される。
例えば、ステアリングホイール30の操作状態を、操舵開始、切り込み、保舵、切り返し、操舵終了に分けて考える。操舵開始とは、ステアリングホイール30を直進中立位置から右又は左方向に回転操作を始めた状態である。この状態は、操舵角速度ωh が0でないことにより判定される。操舵開始であると判定された場合、ステアリングホイール30の回転方向と同方向に、目標補助トルクTa を加えるように決定される。
保舵とは、ステアリングホイール30が直進中立位置から右又は左方向に回転操作された位置に保持されている状態である。この状態は、操舵角速度ωh が0であり、モータ電流Is が0でないことにより判定される。保舵であると判定された場合、直前の目標補助トルクTa から動摩擦トルクTh を減算したトルクを目標補助トルクTa として加えるように決定される。
操舵終了とは、ステアリングホイール30が直進中立位置に戻されて保持されている状態である。この状態は、操舵角速度ωh 及びモータ電流Is が0であることにより判定される。
切り込みとは、(1)式により求まる必要トルクTn の向きと同方向にステアリングホイール30を回転操作している状態であり、切り返しとは、必要トルクTn の向きと逆方向にステアリングホイール30を回転操作している状態である。切り込み及び切り返しの状態にあることは、必要トルクTn 及び操舵角速度ωh が共に0ではないことにより判定される。切り込みと切り返しは、必要トルクTn と操舵角速度ωh との積の正負により区別される。即ち、求めた積が正である場合は切り込み、求めた積が負である場合は切り返しとなる。切り込みであると判定された場合、ステアリングホイール30の回転方向と同方向に、目標補助トルクTa を加えるように決定される。切り返しであると判定された場合、ステアリングホイール30の回転方向と逆方向に、目標補助トルクTa を加えるように決定される。
以上のように分類された操作状態に応じてアシスト制御部6は、操舵角度θh を用いて目標補助トルクTa を求め、求めた目標補助トルクTa から操舵補助用のモータ5に供給すべき目標駆動電流Ia を求めている。図3及び図4は、アシスト制御部6の動作内容を示すフローチャートである。アシスト制御部6は、まずサンプリング回数を示すNを初期化する(N=1:ステップS1)。次に、操舵角センサ4により検出される操舵角度θh (N)、車速センサ8により検出される車速V(N)、モータ電流センサ50により検出されるモータ電流Is (N)を夫々取り込む(ステップS2,3,4)。
更に、ステップS2において今回のサンプリング時に取り込まれた操舵角度θh (N)と、ステップS2において前回のサンプリング時に取り込まれた操舵角度θh (N−1)とを用いて差分演算を実施し、操舵角速度ωh (N)を求める(ステップS5)。次に、ステップS5において差分演算により求められた操舵角速度ωh (N)と、ステップS5において前回のサンプリング時に差分演算により求められた操舵角速度ωh (N−1)とを用いて差分演算を実施し、操舵角加速度αh (N)を求める(ステップS6)。なお、N=1の場合のステップS5,S6の差分演算は、操舵角度θh (N−1)=0,操舵角速度ωh (N−1)=0として夫々実行すればよい。
アシスト制御部6は、操舵角速度ωh (N)が0か否かを判定し(ステップS7)、操舵角速度ωh (N)が0でない場合(ステップS7:YES)、ステップS8に進み、操舵角速度ωh (N)が0である場合(ステップS7:NO)、ステップS11に進む。ステップS7の判定条件において、ステアリングホイール30が操作されているか否かを判定している。ステアリングホイール30が操作されている場合の状態としては、操舵開始,切り込み又は切り返しがあり得る。またステアリングホイール30が操作されていない場合の状態としては、保舵又は操舵終了があり得る。
ステップS8において、操舵入力トルク狙い値Tha(N)と車速V(N)との対応関係を示す入力トルク狙い値マップに、ステップS3において取り込まれた車速V(N)を適用して操舵入力トルク狙い値Tha(N)を決定する。入力トルク狙い値マップは、車速Vの高低に応じて操舵入力トルク狙い値Thaが増減するように予め設定してある。
次に、(1)式を用いて必要トルクTn (N)を、(2)式を用いて目標補助トルクTa (N)を夫々算出する(ステップS9,10)。なお、このように算出される目標補助トルクTa (N)は、ステアリングホイール30の操作状態が操舵開始及び切り込みである場合は|Ta (N−1)|<|Ta (N)|となり、加えられる方向はステアリングホイール30の回転方向と同方向となる。切り返しである場合は|Ta (N−1)|>|Ta (N)|となり、加えられる方向はステアリングホイール30の回転方向と逆方向となる。
一方、アシスト制御部6は、ステップS11において、モータ電流Is (N)が0か否かを判定し、モータ電流Is (N)が0でない場合(ステップS11:YES)、目標補助トルクをTa (N)=Ta (N−1)−Th により求める(ステップS12)。モータ電流Is (N)が0である場合(ステップS11:NO)、目標補助トルクTa (N)を決定せずに終了する。
ステップS11の判定条件により、ステアリングホイール30の操作状態が保舵又は操舵終了のいずれであるかを判定している。前述したように、保舵の場合はモータ電流Is (N)が0ではなく(ステップS11:YES)、操舵終了の場合はモータ電流Is (N)が0である(ステップS11:NO)。
アシスト制御部6は、ステップS10又はステップS12において算出された目標補助トルクTa (N)に基づいて目標駆動電流Ia (N)を決定する(ステップS13)。次に、目標駆動電流Ia (N)と操舵補助用のモータ5に流れるモータ電流Is (N)との偏差を求め、この偏差に対してPID演算を行って、モータ電圧を求め、この演算結果に基づくPWM信号をモータ駆動回路7に与える(ステップS14)。モータ駆動回路7は、ステップS14においてアシスト制御部6から与えられるPWM信号によりモータ5を駆動する。アシスト制御部6は、Nに1を加算して(ステップS15)、ステップS2に戻って一連の動作を繰り返す。以上により、目標駆動電流Ia (N)と実際のモータ電流Is (N)とを一致させ、目標駆動電流Ia (N)に応じた目標補助トルクTa (N)を得ることができる。
なお、本実施の形態において、アシスト制御部6は、車速V(N)と操舵入力トルク狙い値Tha(N)との関係を示す入力トルク狙い値マップに車速V(N)を適用してTha(N)を求めているが、これに限定されず、車速V(N)と操舵入力トルク狙い値Tha(N)との関係を示す関数に車速V(N)を適用して操舵入力トルク狙い値Tha(N)を求めるように構成してもよいことは言うまでもない。
以上のように構成された本発明に係る電動パワーステアリング装置においては、ステアリングホイール30の操作に伴って変化する操舵角度、該操舵角度から算出した操舵角速度及び操舵角加速度を用いて目標補助力に対応する目標補助トルクを算出しているから、目標補助トルクを求めるためにトルクセンサを設ける必要がなく、ステアリング軸3を剛性の高い中空材又は中実材により構成することにより操舵感を向上でき、またコストを低減することができる。
また、ステアリングホイール30から前輪12,12までを含む操舵系の運動を、操舵角度に比例する弾性項と、操舵角速度に比例する粘性項と、操舵角加速度に比例する慣性項とを含み、(1)式として与えられる運動方程式を用いて前輪12,12を転舵させるために必要なトルクを求め、求めた必要トルクから目標補助トルクを算出しているから、目標補助トルクを精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
電動パワーステアリング装置の他の実施の形態について、以下説明する。まず、本実施の形態において用いる操舵系の運動方程式について説明する。
前輪12,12はタイヤを備えており、(1)式は、タイヤの弾性変形に伴う弾性力を主要素とする弾性項を有する下記(3)式により表すことができる。タイヤの弾性力は、操舵角センサ4により検出される操舵角度θh ではなく、下記(4)式に示すように前輪12,12のタイヤの弾性挙動に関連して定まる基準操舵角度θ0 、より詳しくは前輪12,12のタイヤが弾性変形していない状態の操舵角度である基準操舵角度θ0 を、操舵角度θh から減算して求めた相対操舵角度θに比例する。
n =J・α+C・ω+K・θ+Th … (3)
θ=θh −θ0 … (4)
ここで、ωは相対操舵角速度であり、θの一階微分値として与えられる。αは相対操舵角加速度であり、θの二階微分値として与えられる。
そして、ステアリングホイール30が急激に操作されない限り、(3)式の慣性項及び粘性項は微少値となる。以下、(3)式の慣性項及び粘性項を省略した次式を用いて説明する。
n =K・θ+Th … (5)
ところで、車両の運転中にステアリングホイール30の回転操作に応じて前輪12,12に力が作用するとき、前輪12,12のタイヤは該タイヤの接地面と路面間に働く摩擦力により弾性変形し、横方向の力(以下、横力という)が発生する。横力が小さいときは、タイヤの接地面と路面間に働く摩擦力の方が大きいので滑らず、変形に比例した横力が発生する。これに対し前記摩擦力よりも横力が大きいときは、タイヤは路面に対してすべり、該タイヤに加わる横力は略一定となる。即ち、前輪12,12を転舵させるために必要な操舵力は、タイヤが路面に対して滑り始めるときの摩擦力(上限操舵力)を超えることはない。
タイヤの弾性変形に伴う弾性力を主要素とする弾性項を有する操舵系の運動方程式を用いる場合には、このようなタイヤの状態に着目して、タイヤが弾性変形しつつ操舵がなされる領域(以下、弾性領域という)と、タイヤが弾性変形した状態にて路面に対して滑りながら操舵がなされる領域(以下、摩擦領域という)との2つの領域に分けて必要トルクTn を考える必要がある。弾性領域においてはタイヤの弾性変形が必要トルクTn の主要素であるから、必要トルクTn は前述した(5)式により与えられる。
一方、摩擦領域においては前述したように前輪12,12を転舵させるために必要な操舵力は、タイヤが路面に対して滑り始めるときの摩擦力を超えることはないから、必要トルクTn は次式のように一定値として与えられる。
n =Tt … (6)
t はタイヤの接地面と路面間に働く摩擦力をトルク換算した値に基づいて決定されている(以下、上限トルクという)。なお、上限トルクTt として、例えば、車両据え切り時、タイヤの弾性領域の弾性係数及びタイヤが滑り出すトルクが路面摩擦変化などの外的要因で変化しないという条件下にて計測により求めた所定値を用いることができる。なお、タイヤの接地面と路面間に働く摩擦力は、車速の遅速に応じて大小に変化するから、この上限トルクTt は、車速Vの遅速に応じて大小となるように設定してある。
以上より、必要トルクTn がTt 未満である場合は、タイヤが弾性領域にあると判断して、(5)式により必要トルクTn を算出する。一方、必要トルクTn がTt 以上である場合は、タイヤが摩擦領域にあると判断して、(6)式により必要トルクTn を算出する。
ところで、摩擦領域においては、タイヤが新たに弾性変形をすることなく変形状態を保った状態にて路面に対して滑るのであるから、基準操舵角度θ0 はステアリングホイール30の回転操作に伴い変化する。このため、タイヤが摩擦領域から弾性領域に切り替わり、弾性領域における必要トルクTn を算出するときに、この摩擦領域における基準操舵角度θ0 の移動分を加算した値を新たな基準操舵角度θ0 として用いる必要がある。
しかしながら、操舵角度θh が大になるとタイヤは高剛性になり、弾性係数Kが増大すると共に、動摩擦トルクTh が、主としてタイヤ寄与分により増加する。このため、弾性領域における基準操舵角度θ0 に摩擦領域下における操舵角度の変化量を加算した値を新たな基準操舵角度θ0 として用いることはできない。従って、タイヤが摩擦領域から弾性領域に切り替わるときに、新たな弾性係数K及び動摩擦トルクTh を用いて基準操舵角度θ0 を再設定して、この再設定された基準操舵角度θ0 を用いて弾性領域における必要トルクTn を算出する必要がある(図5は基準操舵角度θ0 の考え方を示す説明図であり、操舵の一例を示している)。
基準操舵角度θ0 は次式のように表される。
θ0 =θhr−(Ttr−Th )/K … (7)
ここで、θhrは切り返し時の操舵角度θh 、Ttrは切り返し時における上限トルクである。
図6及び図7は、他の実施の形態におけるアシスト制御部6の動作内容を示すフローチャートである。アシスト制御部6は、サンプリング回数を示すNを初期化する(N=1:ステップS21)。次に、操舵角センサ4により検出される操舵角度θh (N)、車速センサ8により検出される車速V(N)、モータ電流センサ50により検出されるモータ電流Is (N)を夫々取り込む(ステップS22,23,24)。
更に、ステップS22において取り込まれた操舵角度θh (N)から基準操舵角度θ0 (N)を減算して、相対操舵角度θ(N)を求める(ステップS25)。なお、N=1の場合のステップS25の演算は、基準操舵角度θ0 (N)=操舵角度θh (N)として実行すればよい。
次に、ステップS22において今回のサンプリング時に取り込まれた操舵角度θh (N)と、ステップS22において前回のサンプリング時に取り込まれた操舵角度θh (N−1)とを用いて差分演算を実施し、操舵角速度ωh (N)を求める(ステップS26)。なお、N=1の場合のステップS26の差分演算は、操舵角度θh (N−1)=0として実行すればよい。
アシスト制御部6は、操舵角速度ωh (N)が0か否かを判定し(ステップS27)、操舵角速度ωh (N)が0でない場合(ステップS27:YES)、ステップS28に進み、操舵角速度ω(N)が0である場合(ステップS27:NO)、ステップS33に進む。ステップS27の判定条件については、図4におけるステップS7の判定条件と同様であるので、説明を省略する。
ステップS28において、操舵角度θh (N)と操舵系の弾性係数K(N)との対応関係を示す弾性係数マップに、ステップS22において取り込まれた操舵角度θh (N)を適用して弾性係数K(N)を決定する。弾性係数マップは、操舵角度θh の大小に応じて弾性係数Kが増減するように予め設定してある。この操舵角度θh と操舵系の弾性係数Kとの対応関係は、車速Vの変化に伴い変化するため、アシスト制御部6は、予め用意された複数の弾性係数マップを車速Vに応じて選択して弾性係数Kを求めている。
次に、操舵角度θh (N)と動摩擦トルクTh (N)との対応関係を示す動摩擦トルクマップに、ステップS22において取り込まれた操舵角度θh (N)を適用してTh (N)を決定する(ステップS29)。動摩擦トルクマップは、操舵角度θh の大小に応じてTh が増減するように予め設定してある。操舵角度θh と動摩擦トルクTh との対応関係も同様に、車速Vの変化に伴い変化するため、アシスト制御部6は、予め用意された複数の動摩擦トルクマップを車速Vに応じて選択してTh を求めている。
更に、車速V(N)と操舵入力トルク狙い値Tha(N)との対応関係を示す入力トルク狙い値マップに、ステップS23において取り込まれた車速V(N)を適用して操舵入力トルク狙い値Tha(N)を決定する(ステップS30)。入力トルク狙い値マップは、車速Vの高低に応じて操舵入力トルク狙い値Thaが増減するように予め設定してある。
このように求められた弾性係数K(N)及び動摩擦トルクTh (N)を(5)式に適用して必要トルクTn (N)を算出する(ステップS31)。次に、ステップS31において算出された必要トルクTn (N)と、ステップS26において求められた操舵角速度ωh (N)との積が0より大か否かを判定し(ステップS32)、必要トルクTn (N)と操舵角速度ωh (N)との積が0より大である場合(ステップS32:YES)、ステップS34に進み、切り込み時の目標補助トルクTa (N)を算出する。一方、必要トルクTn (N)と操舵角速度ωh (N)との積が0以下である場合(ステップS32:NO)、ステップS35に進み、切り返し時の目標補助トルクTa (N)を算出する。
ステップS32の判定条件により、ステアリングホイール30の操作状態が切り込み又は切り返しのいずれであるかを判定している。前述したように、切り込みの場合は、操舵角速度ωh (N)及び必要トルクTn (N)の正負が同じとなる(ステップS32:YES)。切り返しの場合は、操舵角速度ωh (N)及び必要トルクTn (N)の正負が異なる(ステップS32:NO)。
図8は、切り込み時の目標補助トルクTa (N)の算出手順を示すフローチャートである。アシスト制御部6は、必要トルクTn (N)が上限トルクTt 未満であるか否かを判定する(ステップS51)。必要トルクTn (N)がTt 未満である場合(ステップS51:YES)、(5)式により求めた必要トルクTn (N)を用いて(2)式により目標補助トルクTa (N)を算出して(ステップS52)、リターンする。必要トルクTn (N)がTt 以上である場合(ステップS51:NO)、(6)式により求めた必要トルクTn (N)を用いて(2)式により目標補助トルクTa (N)を算出して(ステップS53)、リターンする。
ステップS51の判定条件により、タイヤが弾性領域又は摩擦領域のいずれの領域にあるかを判定している。前述したように、弾性領域にある場合(ステップS51:YES)、(5)式により必要トルクTn (N)を求め、摩擦領域にある場合(ステップS51:NO)、必要トルクTn (N)は、Tt を超えることはないことから、(6)式に示すように必要トルクTn (N)にTt を用いる。なお、上限トルクTt は、前述したように車速の遅速に応じて大小になるように設定してある。アシスト制御部6は、車速V(N)と上限トルクTt との関係を示す上限トルクマップに車速V(N)を適用してTt を求めるように構成してもよいし、車速V(N)と上限トルクTt との関係を示す関数に車速V(N)を適用してTt を求めるように構成してもよい。
図9は、切り返し時の目標補助トルクTa (N)の算出手順を示すフローチャートである。アシスト制御部6は、前回のサンプリング時の必要トルクTn (N−1)が上限トルクTt 未満であるか否かを判定する(ステップS61)。必要トルクTn (N−1)がTt 未満である場合(ステップS61:YES)、ステップS62に進み、必要トルクTn (N−1)がTt 以上である場合(ステップS61:NO)、ステップS63に進む。ステップS63において、(7)式を用いて基準操舵角度θ0 (N)を求める。次に、(4)式を用いて相対操舵角度θ(N)を求め(ステップS64)、ステップS62に進む。
ステップS62において、アシスト制御部6は、(5)式により求めた必要トルクTn (N)を用いて(2)式により目標補助トルクTa (N)を算出してリターンする。なお、ステップS61の判定条件により、前回のサンプリング時において、タイヤが弾性領域又は摩擦領域のいずれの領域にあったかを判定している。これは、前述したようにタイヤが摩擦領域から弾性領域に切り替わるとき(ステップS61:NO)、新たに基準操舵角度θ0 (N)を設定する必要があるためである。
一方、アシスト制御部6は、ステップS33において、モータ電流Is (N)が0か否かを判定し、モータ電流Is (N)が0でない場合(ステップS33:YES)、保舵時の目標補助トルクをTa (N)=Ta (N−1)−Th (N−1)により求める(ステップS36)。モータ電流Is (N)が0である場合(ステップS33:NO)、目標補助トルクTa (N)を決定せずに終了する。ステップS33の判定条件については、図4におけるステップS11の判定条件と同様であるので、説明を省略する。
以上のように目標補助トルクTa (N)を算出した後、アシスト制御部6は、ステップS34,35,36のいずれかにおいて算出された目標補助トルクTa (N)に基づいて目標駆動電流Ia (N)を決定する(ステップS37)。次に、目標駆動電流Ia (N)と操舵補助用のモータ5に流れるモータ電流Is (N)との偏差を求め、この偏差に対してPID演算を行って、モータ電圧を求め、この演算結果に基づくPWM信号をモータ駆動回路7に与える(ステップS38)。モータ駆動回路7は、ステップS38においてアシスト制御部6から与えられるPWM信号によりモータ5を駆動する。アシスト制御部6は、Nに1を加算して(ステップS39)、ステップS22に戻って一連の動作を繰り返す。以上により、目標駆動電流Ia (N)と実際のモータ電流Is (N)とを一致させ、目標駆動電流Ia (N)に応じた目標補助トルクTa (N)を得ることができる。
なお、本実施の形態において、アシスト制御部6は、車速V(N)と入力トルク狙い値Tha(N)との関係を示す入力トルク狙い値マップに車速V(N)を適用してTha(N)を求めているが、これに限定されず、車速V(N)と操舵入力トルク狙い値Tha(N)との関係を示す関数に車速V(N)を適用して操舵入力トルク狙い値Tha(N)を求めるように構成してもよいことは言うまでもない。弾性係数K及び動摩擦トルクTh についても同様に、操舵角度θh とK及びTh との関係を夫々示す関数に操舵角度θh を適用してK及びTh を夫々求めるように構成してもよいことは言うまでもない。
以上のように構成された本発明に係る電動パワーステアリング装置においては、前輪12,12のタイヤが弾性変形していない状態の操舵角度である基準操舵角度を設定し、この基準操舵角度を現状の操舵角度から減じて相対操舵角度を求めて、該相対操舵角度を相対操舵角度に比例する弾性項を含む運動方程式に適用して必要トルクを求め、求めた必要トルクから予め設定された操舵入力トルク狙い値を減じて目標補助トルクを算出している。この結果、目標補助トルクを求めるためにトルクセンサを設ける必要がなく、ステアリング軸3を剛性の高い中空材又は中実材により構成することにより操舵感を向上でき、またコストを低減することができる。更に必要トルクの主要部分を占める操舵系の弾性項を求めて目標補助トルクを精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
また、タイヤの接地面と路面間に働く摩擦力をトルク換算した値に基づいて決定されている上限トルクTt を定め、運動方程式を用いて求めた必要トルクがTt 以上であるときには、このTt により目標補助トルクを算出するように構成してあるから、タイヤが弾性変形した状態にて路面に対して滑りながら操舵がなされる状態においても、目標補助トルクを精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
更に、補助力算出手段により算出される必要トルクが上限トルクTt 以上である状態下にて、ステアリングホイール30が切り返し中であると判定されたとき、基準操舵角度を再設定して、この再設定された基準操舵角度を運動方程式に適用しているから、目標補助トルクを精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
また、操舵角度に応じて運動方程式の弾性項及び動摩擦項を夫々変更している。より詳しくは、操舵角度の大小に応じて、(3)式及び(5)式に示す弾性係数Kと動摩擦トルクTh とを夫々大小に変更しているから、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
更に、車速の変化に応じて、(6)式に示す上限トルクTt と(3)式及び(5)式に示す弾性係数Kと動摩擦トルクTh とを夫々変更している。例えば、車速の遅速に応じて上限トルクTt を大小に変更しているから、目標補助力を精度良く求めることができ、適切に操舵の補助を行うことができる。
なお、本実施の形態においては、操舵角度に応じて弾性係数Kと動摩擦トルクTh との両方を変更しているが、いずれか一方のみでもよい。同様に、車速に応じて上限トルクTt 、弾性係数K及び動摩擦トルクTh を変更しているが、いずれか1つのみでもよい。
更に、以上の実施の形態においては、ステアリング軸3の回転角度を検出する回転角センサを操舵角センサ4として用いているが、これに限定されず、例えば、前輪12,12の角度を検出するセンサを操舵角センサ4として用いてもよい。本発明は、その他、特許請求の範囲に記載した事項の範囲内において種々変更した形態にて実施することが可能であることは言うまでもない。
本発明に係る電動パワーステアリング装置の構成を示す模式図である。 アシスト制御部のブロック図である。 アシスト制御部の動作内容を示すフローチャートである。 アシスト制御部の動作内容を示すフローチャートである。 基準操舵角度の考え方を示す説明図である。 他の実施の形態におけるアシスト制御部の動作内容を示すフローチャートである。 他の実施の形態におけるアシスト制御部の動作内容を示すフローチャートである。 切り込み時の目標補助トルクの算出手順を示すフローチャートである。 切り返し時の目標補助トルクの算出手順を示すフローチャートである。
符号の説明
4 操舵角センサ、5 操舵補助用のモータ、6 アシスト制御部(算出手段,補助力算出手段,相対角度算出手段,判定手段)、8 車速センサ、12 前輪(操舵用車輪)、30 ステアリングホイール(操舵部材)

Claims (8)

  1. 車両の操舵部材の操作に基づいて目標補助力を求め、求めた目標補助力に応じて操舵補助用のモータを駆動して、操舵を補助する電動パワーステアリング装置において、前記操舵部材の操作に伴って変化する操舵角度を検出する操舵角センサと、該操舵角センサにより検出される操舵角度を用いて操舵角速度及び操舵角加速度を算出する算出手段と、該算出手段により算出される操舵角速度及び操舵角加速度並びに前記操舵角センサにより検出される操舵角度を用いて前記目標補助力を算出する補助力算出手段とを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  2. 前記補助力算出手段は、前記操舵角度に比例する弾性項と、前記操舵角速度に比例する粘性項と、前記操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて、前記車両の操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、求めた操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してある請求項1記載の電動パワーステアリング装置。
  3. 車両の操舵部材の操作に基づいて目標補助力を求め、求めた目標補助力に応じて操舵補助用のモータを駆動して、操舵を補助する電動パワーステアリング装置において、前記操舵部材の操作に伴って変化する操舵角度を検出する操舵角センサと、該操舵角センサにより検出される操舵角度から予め定めた基準操舵角度を減算して相対操舵角度を算出する相対角度算出手段と、該相対角度算出手段により算出された相対操舵角度を用いて相対操舵角速度及び相対操舵角加速度を算出する算出手段と、該算出手段により算出される相対操舵角速度及び相対操舵角加速度並びに前記相対角度算出手段により算出される相対操舵角度を用いて前記目標補助力を算出する補助力算出手段とを備えることを特徴とする電動パワーステアリング装置。
  4. 前記補助力算出手段は、前記相対操舵角度に比例する弾性項と、前記相対操舵角速度に比例する粘性項と、前記相対操舵角加速度に比例する慣性項とを含む運動方程式を用いて、前記操舵用車輪を転舵させるために必要な操舵力を求め、求めた操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してある請求項3記載の電動パワーステアリング装置。
  5. 前記補助力算出手段は、前記運動方程式を用いて求めた操舵力が、予め定めた上限操舵力以上であるときに、該上限操舵力から前記目標補助力を算出するように構成してある請求項4記載の電動パワーステアリング装置。
  6. 前記操舵部材が切り返し中であることを判定する判定手段を備え、前記相対角度算出手段は、前記補助力算出手段により算出される操舵力が前記上限操舵力以上である状態下にて、前記判定手段により切り返し中であると判定されたとき、前記基準操舵角度を再設定するように構成してある請求項5記載の電動パワーステアリング装置。
  7. 前記運動方程式は、前記操舵部材の操作に応じて生じる動摩擦を示す動摩擦項を含んでおり、前記補助力算出手段は、前記操舵角度に応じて、前記運動方程式の弾性項及び動摩擦項の一方又は両方を変更するように構成してある請求項4乃至6のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
  8. 前記車両の走行速度を検出する車速センサを備え、前記補助力算出手段は、前記車速センサにより検出された車速に応じて、前記上限操舵力、弾性項及び動摩擦項のうち少なくとも1つを変更するように構成してある請求項5乃至7のいずれかに記載の電動パワーステアリング装置。
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