JP2008149638A - 圧着印刷物作成方法及びその接着剤塗布方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】実用性のある粉体接着剤の製造方法を確立したうえで、その粉体接着剤を用いた圧着はがき作成方法および粉体接着剤塗布方法を提供する。
【解決手段】電子写真式の画像形成装置1を用い、黒トナー用の画像形成ユニット17−4の現像容器25内に黒トナーに代えて粉体接着剤を用意する。Z折り圧着はがき用紙68に、カラーモードで可変情報69を印字して定着したのち、モノクロ印字モードで粉体接着剤71を塗布する際に、ベタ印字の画像データの右下角部分72(72−1、72−2、72−3、72−4)に対応する印字データを「0」(印字せず)に設定する。
【選択図】 図4

Description

本発明は、圧着用印刷物作成方法及びその接着剤塗布方法に関する。
従来、特定の個人のみへ文字情報を伝達するために、一般に、文字記載物を封書の形態にし、開封後に始めて当該個人が文字情報を確認できるようにしていた。
近年、個人情報保護が厳しく問われるようにもなり、各種事業所等では、例えば、個人の各種データ、成績表、給与明細書等の個人情報は、これを文字記載物の内部の印字箇所に記録して、印字箇所の周縁部もしくは文字記載物の全面を接着や圧着により封筒状やカード状にして配布したりしている。
このうち、はがきサイズのカード状のものは圧着はがきと呼ばれており、通常の郵便はがきと同じ料金で利用できることから、情報提供者側の利便性が高い印字(印刷)情報秘匿システムとして、広告宣伝のダイレクトメール等にも汎用されている。
このような圧着はがき等による印字情報秘匿システムを利用するには、従来、専門の製造業者に委託するか、高価な圧着はがき等製造・印刷装置を導入するかして秘匿情報を作成していた。
これらの圧着はがき等製造・印刷装置を用いて秘匿情報を作成するには、接着剤を情報印字の後に塗布する方法や、情報印字の前に塗布する方法等があるが、いずれにしても秘匿情報を大量に作成するという前提が必須であり高価であった。
また、そのような製造業者への委託は、個人情報の流出の問題も潜在的に存在しており好ましい秘匿情報の作成方法とはいえない。
ところで、近年、パソコンやプリンタの発達と相侯って、小規模事業所や個人でも利用できるように、少量単位でも簡易に圧着はがきを作成できるようにしたものも提案されている。
例えば、感圧接着剤を予め塗布した剥離紙付きはがき用紙が販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、感圧接着剤部分を圧着して投函用の圧着はがきを完成させるものである。
また、例えば、粘着フイルムとはがき用紙を一組にしたものが販売されている。これは、2つ折り内部の印字面に所定の文字情報等を印字後に、2つ折り内部に粘着フイルムを挟むようにして圧着して、投函用の圧着はがきを作成できるようにしたものである。
しかしながら、これでもコスト高は避けられず、取り扱いが煩雑であり、個人的に数枚の圧着はがきを作成するのなら良いが、ある程度の枚数単位で、安価で、迅速に、且つ対需要即応体制で作成できるものではない。
そこで、粘着剤を内包したマイクロカプセルから成るトナー状粘着剤を静電印刷法により基材の表面に転写してフラッシュ定着させ、接着時には圧力によりマイクロカプセルを破壊しカプセル内の粘着剤を浸出させるようにして、圧着はがきを容易に作成できるとする提案がなされている。また、この提案では、粘着剤を溶融、混練、粉砕した粉砕トナーも示唆されている。(例えば、特許文献1参照。)
また、事務用プリンタや複写機の交換用の印字用カートリッジに圧着用物質を入れて、それら事務用プリンタ又は複写機による印字作業と同様の操作で圧着用物質を官製はがきや封筒に塗布し、その後、圧着専用機にかけるようにし、圧着専用機にかけるところまでを1台のプリンタ又は複写機で出来るとする提案がなされている。また、この提案では、二つ折りの片面、三つ折の中央両面に圧着用物質を塗布することが示唆されている。(例えば、特許文献2参照。)
また、感熱接着剤を含むトナーを用い、電子写真方式により画像を対需要即応式で作成する方法が提案されている。この提案では、感熱接着剤の軟化温度は電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高くなるように構成し、また、感熱接着剤の電子写真方式用トナーに占める割合を5〜60重量%とし、また、感熱接着剤の組成は熱接着性樹脂、ホットメルト及びワックス類からなる群より選ばれる1種類以上を含むようにすることが提案されている。(例えば、特許文献3参照。)
特開平09−104849号公報(段落0005、0014、図1、図3、図6) 特開2000−006553号公報(要約、図なし) 特開2004−126231号公報(段落0085〜0087、図なし)
しかしながら、特許文献1の技術は、マイクロカプセル式のトナーについては構成及び組成について記載されてはいるが、粉砕トナーについては単なる思い付き程度に示唆されているのみであり、具体的な組成、製法、及び用法についての記載がなく、これでは、この分野の当業者といえども有用な粉砕トナーを作成することは勿論、試作することさえ出来ない。
また、特許文献2の技術は、圧着専用機にかける前までの官製はがきや封筒による印字情報秘匿書類を作成するものであり、投函用に完成するには圧着専用機にかけなければならない点で利便性と経済性に欠けるものであり、また対需要即応性には程遠いものと言わざるを得ない。
また、特許文献3の技術では、単に感熱接着剤の軟化温度が電子写真方式用のトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高く設定されているというのみで、感熱接着剤を含むトナーの詳細な処方等の説明はない。
ところで、対需要即応性のある圧着はがきの作成方法としては、個人的にも使用できる小型の電子写真式プリンタのトナーカートリッジに収容して使用可能な粉体接着剤を具体的に実現し、その粉体接着剤を現像、転写及び定着によって同プリンタで可変情報を印字(又は印刷、以下同様)した紙面に塗布できればよいと考えられる。
但し、そのように印字後の用紙に対する接着剤の塗布を電子写真式プリンタを用いて行うものとすると、粉体接着剤は通常のトナーとほぼ同様の形態のものでないと、接着剤として塗布(現像、転写、及び定着)は出来ないと考えられる。
しかしながら、トナー状の圧着はがき用粉体接着剤は、従来の提案技術である上記の各特許文献には思い付き程度に示唆されてはいるものの、既に述べたように具体的な材料処方も具体的な用法も開示されていない。
また、そのようなトナー状の圧着はがき用粉体接着剤は今日まで市場に流通もしていない。流通している圧着はがき用粉体接着剤は液状または粘着シート状のものだけである。
そこで、本発明者は、上記従来の提案技術が示唆するところに基づいて、プリンタを用いて塗布できることを前提としたトナー状の接着剤(熱可塑性樹脂粉体)を試作してみることにした。
プリンタ又は複写機を用いて塗布できることを前提として試作されたトナー状接着剤の材料処方は、結着樹脂として、ポリエステルを約95%、帯電制御剤として、LR147を約2%、ワックスとして、ppを約2%とした。
尚、上記の材料処方は、圧着はがき用接着剤であること、及びプリンタを用いて塗布できること(つまりトナーと類似した粉体性質を持っていること)の両条件を満たすものとの考えに基づいて処方したものであり、ポリエステルは現在プリンタのトナーとして主に使用されている結着樹脂材料である。
次に、これらの材料を、三井鉱山製へンシェルミキサーFM20にて混合し、二軸連続混練機により混練した。その後、粗砕、粉砕、分級を経て、最後にへンシェルミキサーにて疎水性シリカと混合し、中心粒径9μmのトナーと類似の粉体を得た。
この粉体を、粉体接着剤として感光体ドラムに現像し、往復はがきの折り合わせ面に転写し、定着させて、用紙を取り出し、圧着専用機にかけて貼り合わせた。このとき、貼り合わせる貼り付けローラの設定温度を、120℃、130℃、140℃、150℃の4段階に分けて設定し、それぞれの設定温度において貼り合わせた圧着はがきを作成した。
この圧着はがきの貼り付けに上記のように圧着専用機を用い、貼り付けローラの温度設定に通常のトナーの溶融温度よりも高い温度が含まれているのは、それぞれ従来の提案技術の示唆に応じたものである。
そして、特には図示しないが、上記設定温度ごとに作成された圧着はがきを評価してみることにした。この評価では、剥離力(圧着はがきの貼り付け部を剥離する際の力の強さ)、文字オフセット(圧着はがきの貼り付け部を開封(剥離)したとき、可変情報印字トナーが、もともと印字されていた面から脱離して接着対面へ転移して付着してしまうという現象)について視認により良し悪しを決定した。
結果としては、上記のように作成された接着剤では、はがきが貼りつく接着力(=剥離力)の温度設定領域(140℃、150℃)においては、文字オフセットが発生するという問題があることが判明した。
つまり、先行技術が示唆する範囲で作成された接着剤(軟化温度がトナーの結着樹脂の軟化温度よりも高い接着剤)では、通常トナーで可変情報を印字後に接着剤単体で印字面に塗布を行った場合、又は感熱接着剤を含むトナーで可変情報の画像を形成した場合、その後の接着剤による接着を実現するための加熱によって、紙面に定着されていたトナーが再溶融してしまい、文字オフセットが発生する。
この文字オフセット現象は、熱圧着で軟化溶融した可変情報印字トナーと接着剤の両者が共に強く結着し、はがきを開封するとき可変情報印字トナーが対向面の接着剤に強く引っ張られ、その力が紙と可変情報印字トナーとの接着力を凌いで、可変情報印字トナーが対向面側に転移することによって起こると考えられる。
従って、十分な接着力(=剥離力)を持ち、かつ文字オフセットのない粉体接着剤の作成に当たっては更なる何らかの工夫が必要である、ということが判明する。
本発明の課題は、上記従来の実情に鑑み、実用性のある粉体接着剤の製造方法を確立したうえで、その粉体接着剤を用いた圧着印刷物作成方法および粉体接着剤塗布方法を提供することである。
先ず、第1の発明の圧着印刷物作成方法は、圧着面を開封する際の角部分の内側両面に接着剤を塗布しないように構成される。
上記接着剤は、例えば、圧着前の用紙に静電的に転写し、熱と圧力で仮定着したのち、圧着面を重ねて熱と圧力で本定着される粉体接着剤である。
次に、第2の発明の圧着印刷物の接着剤塗布方法は、圧着面を開封する際の角部分の内側両面に接着剤を塗布しないように構成される。
上記接着剤は、例えば、圧着前の用紙に静電的に転写し、熱と圧力で仮定着したのち、圧着面を重ねて熱と圧力で本定着される粉体接着剤である。
本発明によれば、右下角部分を切り落とす工程も、印字用のインクを右下角部分に上塗りすることも必要とせず、右下角部分だけ接着剤を塗布しないので、手数が掛からず且つ経済的である。
以下、本発明の実施の形態を図面を参照しながら説明する。
(実施形態1)
トナー状の熱可塑性樹脂粉体からなる接着剤(以下、粉体接着剤という)において、接着力が強すぎて紙破れが発生したり文字移りがするなどの不具合を防ぐためには、可変情報印字トナー(以下、印字用トナーという)と粉体接着剤が溶融の際に一体化しないようにすることが必要であると考えられる。
そして、そのためには、粉体接着剤の構成を可変情報印字トナーの構成と異ならせることが必要であると考えられる。この考えのもとに、本発明者は、印字用トナーの組成と異なる組成のトナー状粉体と、これらと比較のために、印字用トナーとほぼ同様の組成からなるトナー状粉体、ただし染料や顔料等の着色材を含まない透明粉体、を作成して、それらの接着力と文字オフセット性について評価した。
以下、そのトナー状粉体すなわち粉体接着剤の、組成、製造方法、評価の結果について述べる。
先ず、発明者は、3種類の粉体接着剤を作製例1、作製例2及び作製例3として作成した。材料としては、ポリエステル樹脂、シリカ粉、帯電制御剤、ポリエチレンワックス、アクリル樹脂、及び微粒シリカを、それぞれ含有比率(質量%)を異ならせて作成した。
これらの材料処方のうち、ポリエステル樹脂は結着樹脂である。圧着はがき用の粉体接着剤としては、トナーに用いられる結着樹脂を用いることが可能であり、このような結着樹脂としては、ポリスチレン樹脂、スチレンアクリル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂等が挙げられる。
特にポリエステル樹脂は、他の樹脂に比較して軟化点が低く、図に示すように軟化点110℃に設定でき、本例で接着力調整のために用いられる非粘着材とし有機物を混合したときに、軟化点の温度差を大きく設定できる利点がある。
また、粒径3μmのシリカ粉は、無機の非粘着材料の代表として選択されたものであり、接着強度調整剤として用いられている。また、粒径4μmで軟化点200℃以上のアクリル樹脂は、有機の非粘着材料の代表として選択されたものであり、他の接着強度調整剤として用いられている。
また、帯電制御剤である日本カーリット(株)製の帯電制御剤LR−147、ワックスとしての三井化学(株)製のポリエチレンワックスNP−056、及び流動性改良剤としての外添剤である日本アエロジル(株)製の微粒シリカRY−50は、印字用トナーと同様に電子写真法を用いて粉体接着剤を用紙に塗布するために用いられている。
上記の作製例1では、先ず、結着樹脂としてポリエステル樹脂70質量%、非接着樹脂としてシリカ粉30質量%、帯電制御剤1質量%、及びポリエチレンワックス3質量%を用意する。
これらをケミカルミキサーで混合し、その混合物を二軸押出機によって溶融混練した後に粗砕し、更に、その粗砕物をI式ジェットミルによって粉砕し、その粉砕物を分級して、平均体積粒径9μmの粉体粒子を作製する。
そして、この粉体粒子100質量%と微粒シリカ1質量%をヘンシェルミキサーによって混合し、その混合物を篩別して、所望の圧着はがき用粉体接着剤を得た。
次に、作製例2では、先ず、結着樹脂としてポリエステル樹脂70質量%、非接着樹脂としてアクリル樹脂30質量%、帯電制御剤1質量%、及びポリエチレンワックス3質量%を用意する。
そして、上記同様に、これらをケミカルミキサーで混合し、その混合物を二軸押出機によって溶融混練した後に粗砕し、更に、その粗砕物をI式ジェットミルによって粉砕し、その粉砕物を分級して、平均体積粒径9μmの粉体粒子を作製する。
そして、この粉体粒子100質量%と微粒シリカ1質量%をヘンシェルミキサーによって混合し、その混合物を篩別して、所望の圧着はがき用粉体接着剤を得た。
そして、作製例3では、印字用トナーと同様に、ポリエステル樹脂100質量%、帯電制御剤1質量%、ポリエチレンワックス3質量%を用い、上記の作成例1又は2と同様にして、平均体積粒径9μmの粉体粒子を作製したのち、この粉体粒子100質量%と微粒シリカ1質量%をヘンシェルミキサーによって混合し、その混合物を篩別して、所望の圧着はがき用粉体接着剤を得た。
このようにして作成された接着剤は、接着剤塗布機で用紙に塗布される。この接着剤は粉体接着剤であり、常温では固体である。そして、加熱されることにより溶融され、加圧されることにより接着性が発揮される。
ところで、粉体接着剤の塗布では、例えばトナーを用いて印字(または印刷、以下同様)を行う電子写真式画像形成装置を用い、その画像形成ユニットにトナーの代わりに粉体接着剤を収容して、圧着はがきの接着剤塗布面に選択的に粉体接着剤を塗布する方法が考えられる。
以下に説明する圧着はがき作成方法では、V折り圧着はがき用紙の紙面に予め印字用トナーで宛名や差出人の可変情報を表面に、秘匿情報の可変情報を裏面に印字し、その裏面の秘匿情報印字面に重ねて上述した作製例1〜3の粉体接着剤が塗布された。
この圧着はがき作成方法では、特には図示していないが、圧着はがき用紙の搬送方向上流側から下流側へ、給紙装置、粉体接着剤塗布装置、折り装置、圧着装置、出来上がり圧着はがき収容装置が配置された。上記の粉体接着剤塗布装置は、用紙搬送装置、接着剤塗布部、及び定着器を備えた電子写真式画像形成装置が用意された。
この画像形成装置において、上記の接着剤塗布部は、粉体接着剤が収容されている粉体接着剤容器と、その粉体接着剤容器の下端開口部に回転可能に配設された塗布ローラとを備えている。また、塗布ローラに対し用紙搬送装置の搬送ベルトを介して対向配置された転写器が設けられている。
先ず、給紙装置には圧着はがき用の用紙が収容される。次に、給紙コロ等により給紙装置から用紙が一枚ずつ取り出されて粉体接着剤塗布装置に給送される。粉体接着剤塗布装置においては、粉体接着剤容器の塗布ローラが、その周表面に均一な粉体接着剤層を形成しながら回転している。
塗布ローラは、転写器と協働して、塗布ローラの直下を通過する用紙裏面の秘匿情報印字面が印字されている面に、粉体接着剤を静電的に転写(塗布)する。粉体接着剤を転写(塗布)された用紙は、定着器に向けて搬送される。用紙は、定着器により熱と圧力を加えられて、転写された粉体接着剤を紙面に溶融定着(仮定着)される。
この後、折り装置に搬入された用紙は、折り装置によりV折りされて圧着装置に搬送され、V折りされた粉体接着剤塗布面が圧着装置により圧着(本定着)されて、投函可能な圧着はがきが完成する。なお、V折り装置は、一般に知られている折り装置を用いることができる。
尚、この塗布処理は、作製例1、2及び3の粉体接着剤により、秘匿情報を印字済みの所定枚数の用紙に対して各所定枚数について実行された。そして、上記のようにして作成された圧着はがきの剥離性と可変情報の字移りの状態(文字オフセット性)が評価された。
この評価において、剥離性の評価は、圧着後のはがき用紙の接着部を、手で開いて確認した。また、可変情報の字移り状態の評価は、接着部を開封したときの字移りの有無を目視で確認した。
評価の結果は、作製例1の粉体接着剤は、剥離が良好にでき(評価が○)、また開いた面を見ると字移りがなかった(評価が○)。同様に、作製例2の粉体接着剤も、剥離が良好にでき(評価が○)、また開いた面を見ると、これも字移りがなかった(評価が○)。
これに対して、作製例3の粉体接着剤は、剥離が旨くいかず、紙が破れたりする(評価が×)。また、開いた面を見ると、字移りが発生していた(評価が×)。
このように上記の評価によれば、作製例1、及び2では剥離性が良好で、且つ字移りが発生せず、極めて良好な圧着はがき用接着剤となることが判明した。
そして、作製例3では、接着力が強すぎて、剥離がうまくいかず、部分的に剥離したところも字移りがあって、結果として圧着はがき用の接着剤としては実用にならないことが判明した。
圧着はがき用粉体接着材としてトナーを用いることは既に提案されているが、前述したように、作製例3の粉体接着剤はトナーと殆ど同一材料で構成されており、トナーの主成分である結着樹脂の粘着性が強く、粉体接着剤として用いた場合は剥離強度が強すぎて容易に開封することができず、紙破れを生じたり、部分的な開封部分も字移りが発生して、実用にならないことが明白となった。
これに対して、作製例1又は2のように、接着強度のあるポリエステル系の樹脂に対し定着時に溶融しない非接着成分のシリカ又はアクリル樹脂等の無機又は有機の樹脂を混合して接着力を低減させたものは、剥離性が良好で且つ字移りが発生しない良好な圧着はがき用の接着剤として実用になることが実証された。
尚、上記の実施形態1では、接着力の強い結着樹脂に非粘着性物質を添加して、接着力を弱めるようにしているが、逆に接着力の弱い結着樹脂に接着力の強い物を添加して接着力を調整するようにしてもよい。
例えば、接着力の弱いワックス系を主体として、接着成分を混合して接着力を増強させることにより、良く圧着する接着剤を構成することができ、混合の調整によって、剥離性が良好で且つ字移りが発生しない接着剤とすることができる。
また、上記の実施形態では、非接着成分のシリカ又はアクリル樹脂を、初めから微細粒子にして、結着樹脂に添加しているが、非接着成分の形状は粒子に限るものではない。例えば、アクリル樹脂を添加したのち、結着樹脂と溶融混練すると、アクリル樹脂が微細化されて分散される。
(実施形態2)
図1は、紙面に印字用トナーで可変情報を印字し、その紙面の印字面に重ねて、上述した作製例1又は2の粉体接着剤を、V折又はZ折りの圧着はがきに粉体接着剤を塗布するために使用される電子写真式のカラー画像形成装置(以下、単にプリンタという)の外観を示す斜視図である。
尚、本例のプリンタは、タンデム方式のカラープリンタの例を示している。また、本例のプリンタは、両面印刷用のカラープリンタの例を示している。
同図において、プリンタ1はケーブルによって不図示のパーソナルコンピュータ等のホスト機器に接続されている。このプリンタ1は装置本体上部2と装置本体下部3によって構成され、装置本体上部2の上面には操作パネル4が配設され、更に印字用紙の排紙部5が形成されている。
操作パネル4は複数のキーが配設されたキー操作部4aと、不図示のCPUから出力される表示情報に基づき表示を行う液晶ディスプレイ4bで構成されている。
また、排紙部5には、排紙ローラ6の回転によって後述する画像形成ユニットによりカラー画像を形成され、更に上述した実施例1、2、3又は4の粉体接着剤を塗布された用紙が排出され、排紙部5上に順次積載される。
装置本体下部3には、給紙カセット7や後述する両面印刷用搬送ユニットが装着されている。また、装置本体下部3には、その前面に開閉可能なフロントカバー8が設けられ、このフロントカバー8の下方に上記の給紙カセット7が着脱自在に設けられている。この給紙カセット7は、用紙を補給する際などには、取手7aを装置手前に引くことによって、図の矢印aで示すように手前に引き出すことができる。
上記のフロントカバー8は、例えばジャム処理やメンテナンス等が行われるときに開放される。また、両面印刷用搬送ユニットは、装置本体下部3の右側面に設けられた横蓋9を開放することによって着脱できるようになっている。上記の横蓋9はメンテナンス用の側面開放蓋も兼ねている。
また、この横蓋9のある装置本体下部3の右側面上部には、MPF(マルチペーパーフィーダー)トレイの装着部カバー11が配設されており、この装着部カバー11を下方に開いて、その上にMPFトレイを装着できるようになっている。但し、図1において上記装着部カバー11にMPFトレイは装着されていない。
図2は、上記の外観を有するプリンタ1の内部構成を示す側断面図である。同図に示すように、プリンタ1は、画像形成部12、ベルトユニット13、両面印刷用搬送ユニット14、給紙部15、及び定着部16で構成されている。
画像形成部12は、多段式に並設された4個の画像形成ユニット17(17−1、17−2、17−3、17−4)で構成される。これらの各画像形成ユニット17は後述する現像容器内に収納された現像剤であるトナーの種類を除けば、いずれも同じ構成であるので、以下、イエロー(Y)用の画像形成ユニット17−3を例にしてその構成を説明する。
画像形成ユニット17は、それぞれドラムセット18とトナーセット19とが一体に組み付けられて構成される。ドラムセット18は、感光体ドラム21を備え、この感光体ドラム21の周面近傍を取り巻いて、クリーナ22及び帯電器23が配置されている。
更に続いて、装置本体のフレームに支持された記録ヘッド24が配置され、更にトナーセット19を構成する現像容器25及び現像ローラ26が配置されている。そして、最下部には、ベルトユニット13の用紙搬送ベルト27の用紙搬送面が当接し、その用紙搬送ベルト27の用紙搬送面を挟んで、ベルトユニット13のフレームに支持された転写器28が配置されている。
上記の現像容器25は、内部にトナーを収容し、下部側面の開口部には現像ローラ26を支持している。
用紙搬送ベルト27は、駆動ローラ29と従動ローラ31との間に掛け渡されテンションローラ32により張設されて、図の矢印b及びb´で示すように反時計回り方向に循環移動する。
また、用紙搬送ベルト27の上流側には、待機ローラ対33が配設されている。待機ローラ対33から上流側は横と下に分岐し、横方向には給紙ローラ34と捌き部材からなる分離給送機構が配置され、その横に前述した装着部カバー11を下方に開いた上にMPFトレイ35が装着されている。
そして、下分岐方向には、第2案内路36、第2給紙ローラ対37、第1案内路38、第1給紙ローラ対39が配設され、第1給紙ローラ対39のほぼ直下に給紙カセット7の給紙端が位置している。この給紙端に近接する上方に用紙案内コロ41と、断面が半円状の給紙ローラ42が配設されている。
また、用紙搬送ベルト27の下流側には、定着部16が設けられている。定着部16には、定着ユニット43が着脱自在に配置される。定着ユニット43は、断熱性の筐体内に、加熱ローラ44、加圧ローラ45、オイル塗布ローラ46、清掃ローラ47、温度センサ48、用紙分離爪49、排出ローラ対51等を備えている。
定着部16の下流には、切換フラップ52と排紙ローラ対53が配設され、排紙ローラ対53の後方には排紙口54が装置本体左側面に開口して形成されている。また、切換フラップ52の上方には、搬出ローラ対55、案内路56が配置され、案内路56は上方から右方へ反転して、その終端は排紙部5の左端部上方に開口し、この開口部に前述した排紙ローラ6が配置されている。
また、用紙搬送ベルト27と給紙カセット7の間に、両面印刷用搬送ユニット14が配設されている。両面印刷用搬送ユニット14は、片面への印刷を終了した用紙を上流側へ送り戻す複数の送り戻しローラ対57と送り戻し案内路58からなる返送搬送路を備えている。返送搬送路の終端は第1案内路38の内側ガイド壁に開口する。
この返送搬送路(57、58)と給紙カセット7との間に、所定枚数の回路基盤を装着可能な電装部59が配設されている。この電装部59に配設される回路基盤には複数の電子部品からなる制御装置が搭載されている。
図3は、上記制御装置の回路構成を示すブロック図である。同図に示すように、この制御装置60は、インターフェイスコントローラ(以下、I/Fコントローラという)61と、このI/Fコントローラ61に接続するプリンタコントローラ(PR_CONT)62を備え、I/Fコントローラ61には、不図示のホストコンピュータが接続され、プリンタコントローラ62には、プリンタ印字部63が接続されている。
I/Fコントローラ61とプリンタコントローラ62には、CPU64が接続され、CPU64は、ROM65に格納されているシステムプログラムに従って、I/Fコントローラ61とプリンタコントローラ62を制御する。
I/Fコントローラ61は、ホストコンピュータから出力される印字情報又は塗布情報に従って、用紙の1頁分に対応するパターンデータを作成する。
このとき、I/Fコントローラ61で作成するパターンデータは、通常は、フルカラー印字モードにおいては、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)及び黒(K)の各色に対応する画像データである。そして、モノクロ印字モードにおいては、黒(K)の印字データであり、接着剤塗布モードでは粉体接着剤(B)の塗布データである。
これら色毎のパターンデータ又は接着剤のパターンデータはI/Fコントローラ61内に配設されるフレームメモリ66の上記接着剤又は色毎の各記憶領域66K、66M、66C、66Yに記憶される。
また、これらのパターンデータはCPU64の制御によりプリンタコントローラ62に出力され、黒(K)(接着剤(B))、マゼンタ(M)、シアン(C)、イエロー(Y)の各トナー毎にプリンタ印字部63に出力される。
尚、CPU64には、図1に示した操作パネル4が接続され、この操作パネル4を介して外部からの各種操作信号がCPU64に入力する。
また、CPU64には、EEPROM67が接続されている。このEEPROM67には、例えば不図示の給紙センサによって検出された用紙サイズや、両面印刷の指示とタイミングデータ、接着剤塗布の指示データ等が記憶される。
(実施形態3)
上記の構成において、通常の使用時には、4個の画像形成ユニット17のうち用紙搬送方向上流側(図の右方)の3個の画像形成ユニット17−1、17−2及び17−3に、それぞれ減法混色の三原色であるマゼンタ(M)、シアン(C)及びイエロー(Y)の色トナーを収容し、最下流の画像形成ユニット17−4に、黒(K)トナーを収容して、それら色トナーによるフルカラー画像を形成するとともに黒(K)トナーで、カラー画像の暗黒部分や文字部分の黒画像を形成する。
しかし、本例では、上記の最下流の画像形成ユニット17−4には、黒(K)トナーの代わりに実施形態1で得られた作製例1又は2の粉体接着剤が入れ替えられて、印字済みの紙面に粉体接着剤の塗布処理が行われる。なお、以下の説明では、Z折り圧着はがきに対する粉体接着剤の塗布方法を主体に説明する。
図4(a),(b),(c) は、上記プリンタ1によるフルカラー画像の形成(可変情報の印字)と粉体接着剤の塗布を行う処理に対応するZ折はがき用紙の画像形成と粉体接着剤塗布の態様を示す図であり、同図(d) はそのZ折りの態様を示す図である。
本例の用紙への印字(印刷)と粉体接着剤の塗布では、用紙一枚ごとに、最初はフルカラー印字モードが設定されるが、粉体接着剤(B)を収容した画像形成ユニット17−4は、非印字状態に設定され、用紙搬送方向上流側の3つの画像形成ユニット17−1〜17−3のマゼンタ、シアン、イエローの3色のみによるフルカラーの印字が行われる。
次に、モノクロ印字モードが設定され、上記の印字済みの用紙の印字面に、黒(K)トナー用の画像形成ユニット17−4によって、黒(K)トナーと交換されている粉体接着剤による印字(塗布)が行われる。
そのようなプリンタ1の動作を以下に説明する。尚、本例においては、用紙として予めA5判に裁断された上質紙(坪量127.9g/m^2)が用いられ、このA5判の上質紙複数枚が給紙カセット7に載置・収容されている。
勿論、A5判に裁断された上質紙でなく、A5判又はA5判の整数倍面積に裁断された普通紙であってもよく、又は接着剤無加工の圧着用はがきであってもよい。
先ず、装置本体に電源が投入され、使用する用紙の枚数、印字モード、その他の指定がキー入力あるいは接続するホスト機器からの信号として入力されると、可変情報の印字とそれに続く粉体接着剤の塗布が開始される。
そして、ステップ1として、給紙カセット7に載置されている用紙の最上部の一枚が給紙ローラ42の回転によって、用紙案内コロ41、第1給紙ローラ対39、第1案内路38、第2給紙ローラ対37、第2案内路36を介して待機ローラ対33に給送される。又はMPFトレー35上に載置された用紙の最上部の一枚が給紙ローラ34の回転によって待機ローラ対33に給送される。
次に、ステップ2として、待機ローラ対33は、回転を一時停止し、用紙の先端を挟持部に突き当たらせて用紙の進行を制止すると共に用紙の斜行を補正して搬送タイミングを待機する。
用紙搬送ベルト27が駆動ローラ29の始動によって反時計回り方向に循環移動を開始する。各画像形成ユニット17が印字タイミングに合わせて順次駆動されドラムセット18の感光体ドラム21が時計回り方向に回転する。
ドラムセット18の帯電器23が感光体ドラム21周面に接しながら一様な高電荷を付与して感光体ドラム21を初期化する。記録ヘッド24は上記初期化された感光体ドラム21の周面に画像信号に応じて選択的に露光して電位が減衰した低電位部を形成する。
これにより感光体ドラム21周面に初期化による高電位部と露光による低電位部とからなる静電潜像が形成される。
続いて、ステップ3として、トナーセット19の現像ローラ26は、不図示のバイアス電源から現像バイアスを印加され、現像容器25内のトナーを感光体ドラム21との対向部に回転搬送して、そのトナーを静電潜像の低電位部(又は高電位部)に転移させてトナー像を形成(現像)する。このトナー像は、感光体ドラム21の回転に伴われて感光体ドラム21と用紙搬送ベルト27との対向部に搬送される。
更に、ステップ4として、用紙搬送方向最上流の画像形成ユニット17−1の感光体ドラム21周面上のマゼンタのトナー像の先端が、用紙搬送ベルト27との対向部に回転搬送されてくるタイミングで、その対向部に用紙の印字開始位置が一致するように、待機ローラ対33が回転を開始して用紙を用紙搬送ベルト27へ向けて給送する。
用紙搬送ベルト27は、用紙を静電的に吸着して下流側へと搬送する。これより、用紙は画像形成ユニット17−1の感光体ドラム21と用紙搬送ベルト27とが対向する最初の画像転写部へ搬送される。
そして、ステップ5として、画像転写部では、用紙搬送ベルト27の裏面に圧接している転写器28によって用紙搬送ベルト27を介して用紙に印加される転写電流(又は電圧)によって、感光体ドラム21上のマゼンタのトナー像が用紙に転写される。用紙はそのまま搬送され、続いて、用紙搬送方向上流から2番目の画像形成ユニット17−2の感光体ドラム21のシアンのトナー像が転写され、更に3番目の画像形成ユニット17−3の感光体ドラム21のイエローのトナー像が転写される。
続いて、ステップ6として、3色のトナー像を重ねて転写された用紙は、用紙搬送ベルト27から分離されて定着部16の定着ユニット43内に搬入される。定着ユニット43は、加熱ローラ44と加圧ローラ45とで用紙を押圧挟持して、下流方向に搬送しながら、熱と圧力とによりトナー像を紙面に定着させ、排出ローラ対51により後方へ排出する。
図4(a) は、ここまでの処理を終了した時点のZ折り圧着はがき用紙68の画像形成状態(印字状態)を示している。同図(a) に示すZ折り圧着はがき用紙68には、表面の面Aに宛先の住所や氏名が印字され、面B及びCには秘匿情報69としての可変情報が印字されている。
次に、ステップ7として、切換フラップ52が図2の破線で示す位置に回動し、用紙は切換フラップ52に案内されて、画像形成面を下向きにして両面印刷用搬送ユニット14に搬入される。
そして、用紙は、両面印刷用搬送ユニット14の複数の送り戻しローラ対57と送り戻し案内路58を介して第1案内路38に送り込まれ、上方から下流側(左方)に反転して印字面を上向きにして、再び待機ローラ対33に給送される。
このとき、ステップ8として、プリンタ1は、上記のカラー印字モードから自動的にモノクロ印字モードに設定される。
これにより、作製例1又は2の粉体接着剤による全面印字画像が現像され、その粉体接着剤画像が、上記のようにフルカラーの可変情報が形成されている用紙の可変情報形成面に重ねて転写され、定着されて粉体接着剤による塗布が完了する。
図4(b) は、そのフルカラーの可変情報が形成されて定着されている用紙の可変情報形成面に重ねて粉体接着剤が転写(塗布)された状態を示している。すなわち、秘匿情報69が印字されている面B及びCに重ねて粉体接着剤71が塗布されて定着されている。
特には図示しないが、V折り圧着はがき用紙の場合は、ここまでで、可変情報の印字と粉体接着剤の塗布が完了し、その後は、後述する圧着工程に移行する。
本例におけるZ折り圧着はがき用紙68の場合は、上記の後、両面印字工程に入る。
すなわち、ステップ9として、切換フラップ52が下方に回動し、搬出ローラ対55が案内路56方向へZ折り圧着はがき用紙68をその後端部近傍まで搬送して停止する。続いて、搬出ローラ対55が逆回転して、Z折り圧着はがき用紙68の後端部を、両面印刷用搬送ユニット14の送り戻しローラ対57に給送する。
Z折り圧着はがき用紙68は、両面印刷用搬送ユニット14により送り戻され、後端部を先頭にして第1案内路38に給送される。
以下、上述したステップ2〜ステップ8が繰り返されて、フルカラーの可変情報が形成されたZ折り圧着はがき用紙68の裏面の可変情報形成面に重ねて粉体接着剤による塗布が行われる。
図4(c) は、そのフルカラーの可変情報が形成されて定着されているZ折り圧着はがき用紙68の裏面に重ねて粉体接着剤が転写(塗布)された状態を示している。
すなわち、Z折り圧着はがき用紙68の裏面の面Fには、差出人の住所氏名等が印字されており、他の秘匿情報69が印字されている面E及びFには、粉体接着剤71が重ねて塗布されて定着されている。
そして、この後の工程で、図4(d) に示すように、Z折り圧着はがき用紙68は、Z折りされる。
ところで、一般に、V折りやZ折りに限らず、郵送されて受取人の手元に配達された圧着はがきは、圧着面を指先で剥がし易いように、はがきの右下部分の上面側の角が切り落とされているものが多い。
また、角を切り落とさずに、その部分を指先で剥がし易いようにするために、全面に先塗りしてある接着剤の上から、本来ははがき縁部を除く中央部分に印字すべき液状の印字インクによって、右下角部分だけ適宜の色で印字(上塗り)して、右下角部分だけ接着剤が効かなくなるようにする方法が知られている。
本例においては、ステップ8の処理のモノクロ印字モードにおける粉体接着剤71の塗布処理において、図4(b),(c) に示すように、秘匿情報が印字されている面Bと面Cの圧着面、及び同じく秘匿情報が印字されている面Eと面Fの圧着面の、完成圧着はがきとしたときの右下角部分72(72−1、72−2、72−3、72−4)には、粉体接着剤が塗布されていない。
これは、図3に示した制御装置60のCPU64によりプリンタコントローラ(PR_CONT)62を制御して、モノクロ印字モードに設定された画像形成ユニット17−4に対するベタ印字の画像データの右下角部分72に対応する印字データを「0」(印字せず)に設定することによって実現する。
図5(a) は、図4(d) に示したZ折り(三つ折り)圧着用はがき68のZ折り状態を、より具体的に示す図であり、同図(b) は、そのZ折り圧着用はがき68を熱圧着する圧着工程(投函直前の圧着はがきの状態に作成する工程)を示す図である。
尚、同図(b) に示す圧着工程では、プリンタ1の定着器16を用い、定着器16の定着温度は、Z折り圧着用はがき68がZ折りで3倍の紙厚になっているので、高い定着温度で定着器16を通すようにする。もちろん圧着専用機を用いてもよい。
図6(a),(b) は、上記のようにして投函直前の圧着はがきとして完成し、受取人の手元に届いた圧着はがき68を、開封した表裏の状態を示す図である。尚、同図(b) は、同図(a) の天地を逆にして裏返した状態を示している。
図6(a) は、粉体接着剤71が塗布されていない右下角部分72(72−1、72−2)に指先をいれて、矢印c(同図(b) も参照)で示すように面Bから面Cを剥がして開封した状態を示している。
そして、図6(b) は、粉体接着剤71が塗布されていない右下角部分72(72−3、72−4)に指先をいれて、矢印d(同図(a) も参照)で示すように面Eから面Dを剥がして開封した状態を示している。
(実施形態3の変形例)
上記実施形態3では、粉体接着剤の塗布を、Z折り圧着はがき用紙の表面では面Bと面Cに、裏面では面Dと面Eのそれぞれ2面に塗布する「両面塗り」をしているが、粉体接着剤の塗布方法がこれに限るものではない。
粉体接着剤の処方を、接着力が適宜により強くなるように変えることによって、表面では面Bか面Cのいずれか片面、裏面では面Dか面Eのいずれか片面、というように、圧着面のいずれか片方の面だけに、粉体接着剤を塗布する「片面塗り」とするようにしてもよい。
もちろん、この場合も、粉体接着剤塗布面の右下角部分には粉体接着剤を塗布しないように制御する。
以上、説明したように、本発明の接着剤の塗布方法によれば、右下角部分を切り落とす余分な工程を必要とせず、また、印字用のインクを右下角部分に上塗りする不経済なことをせずに、単に右下角部分だけ接着剤の塗布を行わない制御をするだけで、経済的な接着剤の塗布方法で圧着はがきの開封を容易に行うことができる。
尚、上記実施の形態では、Z折り圧着はがきについて説明したが、両面塗り又は片面塗りに限ることなく、右下角部分の貼り合わせ面に粉体接着剤を塗布しない方法は、V折り圧着はがきにも適用できることは言うまでもない。
本発明の実施の形態における可変情報の印字と粉体接着剤の塗布を行うプリンタの外観斜視図である。 本発明の実施の形態におけるプリンタの内部構成を示す側断面図である。 本発明の実施の形態におけるプリンタの制御装置の回路構成を示すブロック図である。 (a),(b),(c) は本発明の実施の形態におけるプリンタによる可変情報の印字と粉体接着剤の塗布を行う処理に対応するZ折はがき用紙の画像形成と粉体接着剤塗布の態様を示す図、(d) はそのZ折りの態様を示す図である。 (a) はZ折り圧着用はがきのZ折り状態をより具体的に示す図、(b) はZ折り圧着用はがきを熱圧着する圧着工程(投函直前の圧着はがきの状態に作成する工程)を示す図である。 (a),(b) は本発明の粉体接着剤塗布方法による圧着はがきを開封した表裏の状態を示す図である。
符号の説明
1 カラー画像形成装置(プリンタ)
2 装置本体上部
3 装置本体下部
4 操作パネル
4a キー操作部
4b 液晶ディスプレイ
5 排紙部
6 排紙ローラ
7 給紙カセット
7a 取手
8 フロントカバー
9 横蓋
11 装着部カバー
12 画像形成部
13 ベルトユニット
14 両面印刷用搬送ユニット
15 給紙部
16 定着部
17(17−1、17−2、17−3、17−4) 画像形成ユニット
18 ドラムセット
19 トナーセット
21 感光体ドラム
22 クリーナ
23 帯電器
24 記録ヘッド
25 現像容器
26 現像ローラ
27 用紙搬送ベルト
28 転写器
29 駆動ローラ
31 従動ローラ
32 テンションローラ
33 待機ローラ対
34 給紙ローラ
35 MPFトレイ
36 第2案内路
37 第2給紙ローラ対
38 第1案内路
39 第1給紙ローラ対
41 用紙案内コロ
42 給紙ローラ
43 定着ユニット
44 加熱ローラ
45 加圧ローラ
46 オイル塗布ローラ
47 清掃ローラ
48 温度センサ
49 用紙分離爪
51 排出ローラ対
52 切換フラップ
53 排紙ローラ対
54 排紙口
55 搬出ローラ対
56 案内路
57 送り戻しローラ対
58 送り戻し案内路
59 電装部
60 制御装置
61 I/Fコントローラ
62 プリンタコントローラ
63 プリンタ印字部
64 CPU
65 ROM
66 フレームメモリ
66B、66M、66C、66Y 接着剤及び色毎の各記憶領域
67 EEPROM
68 Z折り圧着はがき用紙
69 秘匿情報
71 粉体接着剤
72(72−1、72−2、72−3、72−4) 右下角部分

Claims (4)

  1. 圧着面を開封する際の角部分の内側両面に接着剤を塗布しないことを特徴とする圧着印刷物作成方法。
  2. 前記接着剤は、圧着前の用紙に静電的に転写し、熱と圧力で仮定着したのち、圧着面を重ねて熱と圧力で本定着される粉体接着剤である、ことを特徴とする請求項1記載の圧着印刷物作成方法。
  3. 圧着面を開封する際の角部分の内側両面に接着剤を塗布しないことを特徴とする圧着印刷物の接着剤塗布方法。
  4. 前記接着剤は、圧着前の用紙に静電的に転写し、熱と圧力で仮定着したのち、圧着面を重ねて熱と圧力で本定着される粉体接着剤である、ことを特徴とする請求項3記載の圧着印刷物の接着剤塗布方法。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
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JP2014186055A (ja) * 2013-03-21 2014-10-02 Fuji Xerox Co Ltd 画像形成方法及び圧着はがきの製造方法
WO2023054311A1 (ja) * 2021-09-30 2023-04-06 キヤノン株式会社 圧着シート製造方法及び画像形成装置

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