JP2008149190A - ツーピースソリッドゴルフボール - Google Patents
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Abstract
【効果】本発明によれば、従来のゴルフボールに比して非常に優れた飛び性能、高いカバーの割れ耐久性及び塗膜の耐摩耗性、軟らかな打感を有するツーピースソリッドゴルフボールを得ることができる。
【選択図】図1
Description
例えば、特開平9−215778号公報には、ツーピースソリッドゴルフボールのコアをゴム基材を用いて比重1.00以上に形成すると共に、カバー比重をコア比重より大きく形成すること、かつカバー硬度に応じて慣性モーメントを選定すること、しかもディンプルのボール表面占有率、コア硬度、カバー硬度等を適正化すること、またこの場合、有利にはカバーを熱可塑性ポリウレタンエラストマーにて形成することにより、飛距離、コントロール性、グリーン上でのパターによる打ち出し時の転がり性及び直進性等に優れ、しかも反発性、アイアンの打撃によるカバーの耐久性も良好であるゴルフボールを得る技術が開示されている。
また、特開平9−271538号公報には、コアとカバーとからなるゴルフボールにおいて、カバーの樹脂主成分として、最適な粘弾性特性を有し、ジイソシアネートが脂肪族である熱可塑性ポリウレタンエラストマーを用いることにより、コントロール性、初速(反発性)、アイアン打撃時の耐擦過傷性、変色性、及び成型性のすべてについて優れた性能を発揮し得るゴルフボールを得る技術が提案されている。
さらに、特開平11−178949号公報には、ソリッドゴルフボールのカバーを形成する樹脂主成分として、熱可塑性ポリウレタンエラストマーとイソシアネート化合物との反応生成物を使用することにより、製造時の成形性に優れ、かつ打感、コントロール性、初速(反発性・飛距離)、アイアン打撃時の耐擦過傷性に優れたソリッドゴルフボールを得る技術が提案されている。
請求項1:
ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%と、前記ポリブタジエン以外の第2のポリブタジエンを0〜40重量%とを含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、上記希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンのムーニー粘度が52以上、上記第2のポリブタジエンのムーニー粘度が50未満であり、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール、
請求項2:
上記希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項1記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項3:
上記ゴム組成物が、上記ゴム基材(A)100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなり、しかも2種以上の(B)有機過酸化物を含んでなる請求項1又は2記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項4:
上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項3記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項5:
上記ソリッドコアの直径が39mm以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項6:
上記カバーの(F)熱可塑性ポリウレタン材料が、(M)熱可塑性ポリウレタンと(N)イソシアネート混合物とを含んでなり、(N)イソシアネート混合物が、(N−1)1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、(N−2)該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項7:
上記カバーが表面に塗膜を具備し、当該塗膜が多価アルコール成分と多塩基酸成分とを反応させて得られる水酸基含有ポリエステルと、無黄変ポリイソシアネートとを含有し、前記の多価アルコール成分の少なくとも一部が、分子内に脂環構造を有するゴルフボール用塗料組成物にて形成された請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項8:
上記カバーが表面に多数のディンプルを具備し、当該カバー表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRが0.70〜1.00%であり、かつ上記仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRが70〜85%である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項9:
ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、上記(B)有機過酸化物としてジクミルパーオキサイドを含む2種以上を用い、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール、
請求項10:
上記ポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項9記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項11:
上記ゴム組成物が、上記(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなる請求項9又は10記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項12:
上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項9乃至11のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項13:
上記2種以上使用される有機過酸化物の各々の配合量が上記(A)成分100重量部に対して0.5重量部以下である請求項9乃至12のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項14:
ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.5〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール、
請求項15:
上記ポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項14記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項16:
上記ゴム組成物が、上記(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなり、しかも2種以上の(B)有機過酸化物を含んでなる請求項14又は15記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項17:
上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項16記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項18:
上記ソリッドコアの直径が39mm以上である請求項9乃至17のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項19:
上記(F)熱可塑性ポリウレタン材料が、(M)熱可塑性ポリウレタンと(N)イソシアネート混合物とを含んでなり、(N)イソシアネート混合物が、(N−1)1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、(N−2)該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物である請求項9乃至18のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項20:
上記カバーが表面に塗膜を具備し、当該塗膜が多価アルコール成分と多塩基酸成分とを反応させて得られる水酸基含有ポリエステルと、無黄変ポリイソシアネートとを含有し、前記の多価アルコール成分の少なくとも一部が、分子内に脂環構造を有するゴルフボール用塗料組成物にて形成された請求項9乃至19のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール、
請求項21:
上記カバーが表面に多数のディンプルを具備し、当該カバー表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRが0.70〜1.00%であり、かつ上記仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRが70〜85%である請求項9乃至20のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
本発明におけるソリッドコアは下記の各成分、
(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエン60〜100重量%含むゴム基材、
(B)有機過酸化物、
(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、
(D)有機硫黄化合物、
(E)無機充填剤
を含むゴム組成物から形成されるものである。
(1)まず、アルコキシシリル基を持つ化合物が挙げられる。アルコキシシリル基を持つ化合物としては、エポキシ基又はイソシアナート基を分子内に少なくとも1個有するアルコキシシラン化合物が好適に使用される。具体例としては、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリエトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)トリエトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)メチルジメトキシシラン、β−(3,4−エポキシシクロヘキシル)エチルジメトキシシラン、3−グリシジルオキシプロピルトリメトキシシランの縮合物、(3−グリシジルオキシプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物などのエポキシ基含有アルコキシシラン;3−イソシアナートプロピルトリメトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリエトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)メチルジメトキシシラン、(3−イソシアナートプロピル)メチルジエトキシシラン、3−イソシアナートプロピルトリメトキシシランの縮合物、(3−イソシアナートプロピル)メチルジメトキシシランの縮合物などのイソシアナート基含有アルコキシシラン化合物が挙げられる。
(3)分子中に、Y=C=Z結合(式中、Yは炭素原子、酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子、Zは酸素原子、チッ素原子又はイオウ原子を示す)を含有するヘテロクムレン化合物、
(4)分子中に下記結合を含有するヘテロ3員環化合物、
(5)ハロゲン化イソシアノ化合物、
(6)R8−(COOH)m 、R9(COX)m 、R10−(COO−R11)m 、R12−OCOO−R13、R14−(COOCO−R15)m 、又は下記式で示されるカルボン酸、酸ハロゲン化物、エステル化合物、炭酸エステル化合物又は酸無水物、
(7)R17 l M″(OCOR18)4-l 、R19 lM″(OCO−R20−COOR21)4-l、又は下記式で示されるカルボン酸の金属塩
なお、上述した触媒の中では、希土類元素系触媒、特にNd系触媒が好ましい。
ここで、ニッケル系触媒としては、例えば、ニッケルケイソウ土のような1成分系、ラネーニッケル/四塩化チタンのような2成分系、ニッケル化合物/有機金属/三フッ化ホウ素エーテラートのような3成分系のもの等を挙げることができる。なお、ニッケル化合物としては、担体付還元ニッケル、ラネーニッケル、酸化ニッケル、カルボン酸ニッケル、有機ニッケル錯塩などが用いられる。また、有機金属としては、トリエチルアルミニウム、トリ−n−プロピルアルミニウム、トリイソブチルアルミニウム、トリ−n−ヘキシルアルミニウム等のトリアルキルアルミニウム、n−ブチルリチウム、sec−ブチルリチウム、tert−ブチルリチウム、1,4−ジリチウムブタン等のアルキルリチウム、ジエチル亜鉛、ジブチル亜鉛等のジアルキル亜鉛等を挙げることができる。
また、第2のポリブタジエンの25℃における5重量%トルエン溶液の粘度ηが200mPa・s以上、より好ましくは210mPa・s以上、更に好ましくは230mPa・s以上、特に好ましくは250mPa・s以上で、400mPa・s以下、より好ましくは370mPa・s以下、更に好ましくは340mPa・s以下、特に好ましくは300mPa・s以下であることが好ましい。
本発明においては、コアに希土類元素系触媒、特に好ましくはNd系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを使用し、かつ、有機過酸化物の添加量を上記範囲とすることで、本発明のゴルフボールの反発性が非常に良好となる。反発性が向上する分、ソリッドコア、またはゴルフボール全体をソフト化することが可能となり、ドライバー等のフルショットでの初期条件が低スピン・高打ち出しとなり、しかも飛距離が向上するものである。軟らかな打感も得ること可能となる。
老化防止剤としては市販品を用いることができ、例えば、ノクラックNS−6、同NS−30(大内新興化学工業(株)製、ヨシノックス425(吉富製薬(株)製)等が挙げられる。
上記(F)アイオノマー樹脂を含む樹脂組成物としては、(M)熱可塑性ポリウレタンと(N)イソシアネート混合物とを含んでなり、(N)イソシアネート混合物が、(N−1)1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、(N−2)該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物であることが好ましい。
ポリエーテル系ポリオールとしては、例えばポリテトラメチレングリコール、ポリプロピレングリコール等が挙げられ、特に、ポリテトラメチレングリコールが好ましく用いられる。また、これらの数平均分子量は好ましくは1000〜5000、より好ましくは1500〜3000である。
芳香族イソシアネート化合物の水素添加物としては、例えばジシクロヘキシルメタンジイソシアネート等が挙げられる。
脂肪族ジイソシアネートとしては、例えばテトラメチレンジイソシアネート、ヘキサメチレンジイソシアネート(HDI)、オクタメチレンジイソシアネート等が挙げられる。
脂環式ジイソシアネートとしては、例えばキシレンジイソシアネート等が挙げられる。
該イソシアネート混合物としては、市販品を用いることができ、例えば大日精化工業社製クロネートEM30等が好ましく用いられるが、これに限定されるものではない。
上記の、軟らかなコアと上記カバーとを組合わせることにより、飛距離を犠牲にすることなくゴルフボール硬度を軟らかくすることが可能となって軟らかな打感が実現可能となり、しかも、硬度が軟らかなことから打撃時のクラブとゴルフボールとの接触面積が広がるため、打撃時の衝撃力が分散することとなり、より耐擦過傷性並びに割れ耐久性が向上することとなる。
カバーの形成方法としては公知の方法を用いることができ、特に限定されるものではないが、例えば、予め作製したコアを金型内に配備し、上記カバー材を加熱混合溶融し、射出成形する方法等を採用できる。この場合、ゴルフボールの製造は、優れた流動性、成形性が確保された状態で作業でき、得られたゴルフボールは、反発性が高くなるため好適である。
また、本発明のカバー材により予め一対の半球状のハーフカップを成形し、このハーフカップでコアを包んで120〜170℃、1〜5分間、加圧成形する方法を用いても良い。
また、上記各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SR値(%)としては、通常70%以上、好ましくは72%以上、上限として通常85%以下、好ましくは83%以下である。
これらVR値及びSR値が上記範囲を外れると、適正な弾道が得られず、飛距離が低下する場合がある。
上記ソリッドコア及びカバーと、上記比較的高弾道のディンプルを組み合わせることにより、ドロップを防ぎ、より高く、フラットな弾道で飛距離を伸ばす事が可能となる。
本発明のツーピースゴルフボールの重量としては、通常45.0g以上、好ましくは45.2g以上、上限として45.93g以下とすることが好適である。
表1に示すゴム組成物を用い、155℃で17分間の加硫により、ソリッドコアを作成した。
表2に示す組成のカバー材を200℃で混練型二軸押出機にてミキシングし、ペレット状のカバー材を得た後、上記ソリッドコアを配備した金型内に射出し、ツーピースソリッドゴルフボールを製造した。カバー表面に配設したディンプル種を表3に示した。表3中に記載のディンプル種A〜Cの配設例を、図1,2に示した。
得られた各ゴルフボールの諸特性を表4に示した。
JSR社製、Cis1,4量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))53、分子量分布Mw/Mn3.2、触媒Nd。
BR01
JSR社製、Cis1,4量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))44、分子量分布Mw/Mn4.2、触媒Ni、溶液の粘度150mPa・s。
BR11
JSR社製、Cis1,4量96%、ムーニー粘度(ML1+4(100℃))44、分子量分布Mw/Mn4.1、触媒Ni、溶液の粘度270mPa・s。
パーヘキサ3M−40
日本油脂社製。パーヘキサ3M−40は40%希釈品であり、添加量は1,1−ビス(t−ブチルパーオキシ)−3,3,5−トリメチルシクロヘキサンの実質添加量で示した。
パークミルD
日本油脂社製、ジクミルパーオキサイド。
アクリル酸亜鉛
日本蒸留工業(株)製。
ペンタクロロチオフェノール亜鉛塩
東京化成工業(株)製。
酸化亜鉛
堺化学工業(株)製。
ノクラックNS−6
大内新興化学社製、2,2’−メチレンビス(4−メチル−6−t−ブチルフェノール)
DICバイエルポリマー(株)製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
パンデックスT8295
DICバイエルポリマー(株)製、熱可塑性ポリウレタンエラストマー。
クロスネートEM30
大日精化工業(株)製
サーリン7930
米国デュポン社製、アイオノマー樹脂。
サーリン6320
米国デュポン社製、アイオノマー樹脂。
ニュクレル9−1
米国デュポン社製、三元酸共重合体。
各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積の全ディンプルの総和の、ゴルフボール表面にディンプルがないと仮定した仮想球の全体積に対する割合(%)。
SR(%)
ゴルフボールをディンプルのない球状とみなした仮想球面とした際、個々のディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の表面積の合計が上記仮想球面の全面積を占める割合(%)。
表面を5点測定した平均値。
コア硬度(mm)
980N(100kgf)荷重負荷時の変形量(mm)を計測した。
カバー厚み(mm)
(ボール外径−コア外径)÷2として算出した。
カバー硬度
ASTM D−2240に準じて測定したショアD硬度。
ボール外径(mm)
ディンプルのない部分を5点測定した平均値。
ボール硬度(mm)
得られたゴルフボールに対し、980N(100kgf)荷重負荷時の変形量(mm)を計測した。
飛び
打撃マシン((株)ミヤマエ製)を用い、ドライバー(W#1)でヘッドスピード40m/sで打撃し、初速度、スピン量、キャリー飛距離、トータル飛距離をそれぞれ測定した。
打感
各ボールについて、アマチュア上級者5名によるドライバー(W#1)及びパター打撃したときの打感を下記基準で評価し、最も多かった評価をボールに対する評価とした
○:軟らかい
△:普通
×:硬い
耐擦過傷性
ボールを23℃に保温し、ピッチングウェッジをスイングロボットマシンに取り付け、ヘッドスピード33m/sにて打撃し、打撃傷を目視で判断した。次の評価基準で評価した。
○:傷がない、もしくは使用上、全く気にならない程度の傷。
×:表面が毛羽立つ、ディンプルが欠ける、などのひどい傷。
塗膜耐久性
内容量8Lの磁性のボールミルに、ボールとバンカー用の砂3Lを入れ、2時間ミキシングし、砂磨耗による表面の傷つき度合い、光沢減少の度合い、砂の付着度合いを目視により確認した。比較球(ブリヂストンスポーツ株式会社製「ALTUS NEWING」)と同時に評価を行い、次の評価基準で評価した。
○:比較球よりも良好な塗膜耐久性。
△:比較球と同等の塗膜耐久性。
×:比較球よりも悪い塗膜耐久性。
Claims (21)
- ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%と、前記ポリブタジエン以外の第2のポリブタジエンを0〜40重量%とを含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、上記希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンのムーニー粘度が52以上、上記第2のポリブタジエンのムーニー粘度が50未満であり、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール。 - 上記希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項1記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記ゴム組成物が、上記ゴム基材(A)100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなり、しかも2種以上の(B)有機過酸化物を含んでなる請求項1又は2記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項3記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記ソリッドコアの直径が39mm以上である請求項1乃至4のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記カバーの(F)熱可塑性ポリウレタン材料が、(M)熱可塑性ポリウレタンと(N)イソシアネート混合物とを含んでなり、(N)イソシアネート混合物が、(N−1)1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、(N−2)該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物である請求項1乃至5のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記カバーが表面に塗膜を具備し、当該塗膜が多価アルコール成分と多塩基酸成分とを反応させて得られる水酸基含有ポリエステルと、無黄変ポリイソシアネートとを含有し、前記の多価アルコール成分の少なくとも一部が、分子内に脂環構造を有するゴルフボール用塗料組成物にて形成された請求項1乃至6のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記カバーが表面に多数のディンプルを具備し、当該カバー表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRが0.70〜1.00%であり、かつ上記仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRが70〜85%である請求項1乃至7のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、上記(B)有機過酸化物としてジクミルパーオキサイドを含む2種以上を用い、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール。 - 上記ポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項9記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記ゴム組成物が、上記(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなる請求項9又は10記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項9乃至11のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記2種以上使用される有機過酸化物の各々の配合量が上記(A)成分100重量部に対して0.5重量部以下である請求項9乃至12のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- ソリッドコアとカバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールにおいて、上記ソリッドコアが、(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、(B)有機過酸化物を0.1〜0.8重量部、(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩、(D)有機硫黄化合物、(E)無機充填剤を含むゴム組成物から形成され、該ソリッドコアの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.5〜5.5mmであり、かつ該ソリッドコアの直径が37〜42mmであると共に、
上記カバーが、(F)熱可塑性ポリウレタン材料を主成分として形成され、該カバーの厚みが0.5〜2.5mmであり、かつ該カバーのショアD硬度が50〜70であって、
しかも、上記ソリッドコアと上記カバーとを具備してなるツーピースソリッドゴルフボールの980N(100kgf)荷重負荷時の変形量が3.0〜5.0mmであることを特徴とするツーピースソリッドゴルフボール。 - 上記ポリブタジエンが、希土類元素系触媒としてNd系触媒を用いて合成され、引き続き末端変性剤を反応させて得られた変性ポリブタジエンである請求項14記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記ゴム組成物が、上記(A)シス−1,4−結合を60%以上含有し、希土類元素系触媒を用いて合成されたポリブタジエンを60〜100重量%含むゴム基材100重量部に対して、上記(C)不飽和カルボン酸及び/又はその金属塩を10〜60重量部、(D)有機硫黄化合物を0.1〜5重量部、(E)無機充填剤を5〜80重量部含んでなり、しかも2種以上の(B)有機過酸化物を含んでなる請求項14又は15記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記2種以上使用される有機過酸化物の155℃における半減期が、一番短い有機過酸化物の半減期をat、一番長い有機過酸化物の半減期をbtとした場合、bt/atが7以上20以下である請求項16記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記ソリッドコアの直径が39mm以上である請求項9乃至17のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記(F)熱可塑性ポリウレタン材料が、(M)熱可塑性ポリウレタンと(N)イソシアネート混合物とを含んでなり、(N)イソシアネート混合物が、(N−1)1分子中に官能基として2個以上のイソシアネート基をもつイソシアネート化合物と、(N−2)該イソシアネート基と実質的に反応しない熱可塑性樹脂中に分散させたイソシアネート混合物である請求項9乃至18のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記カバーが表面に塗膜を具備し、当該塗膜が多価アルコール成分と多塩基酸成分とを反応させて得られる水酸基含有ポリエステルと、無黄変ポリイソシアネートとを含有し、前記の多価アルコール成分の少なくとも一部が、分子内に脂環構造を有するゴルフボール用塗料組成物にて形成された請求項9乃至19のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
- 上記カバーが表面に多数のディンプルを具備し、当該カバー表面にディンプルがないと仮定した仮想球の体積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる平面下のディンプル空間体積の総和が占める割合(ディンプル体積占有率)VRが0.70〜1.00%であり、かつ上記仮想球の表面積に対する各ディンプルの縁部によって囲まれる仮想球面の総面積が占める割合(ディンプル表面占有率)SRが70〜85%である請求項9乃至20のいずれか1項に記載のツーピースソリッドゴルフボール。
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