JP2008145984A - 保護ガラス板を有する表示装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】保護ガラス板を有する表示装置に関し、表示素子の画像の認識を妨げる水滴を保護ガラス表面から除去することが可能な表示装置を提供することを課題とする。
【解決手段】表示素子、及び該表示素子と対向して配置される保護ガラス板を有する表示装置であり、該保護ガラス板は、表示素子に対向する面に膜厚が5μm以上60μm以下の被膜を有し、該被膜が可逆的な吸水性を呈し、吸水飽和時の吸水率が10重量%以上、40重量%以下であること。
【選択図】図1

Description

本発明は、表示装置に関し、屋外環境、浴室、台所等の温湿度変化の大きな環境下で使用される液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネル等の表示素子を有する表示装置、例えば、PDA、ノートパソコン、カーナビゲーション、携帯電話、魚群探知機、航空機用計器、屋外設置計器等で使用される表示装置に関する。
近年、液晶ディスプレイパネル、有機ELディスプレイパネル等のフラットディスプレイパネル等の表示素子は、軽量化、高精細化等の点で高性能化が進んでおり、そして、タッチパネルやペンタブレット等の高性能化も相まって、これら表示素子を有する表示装置の使用分野も拡大してきている。この使用分野は、浴室、船舶、道路や建築物の工事現場等での温湿度変化の大きな環境を含んでいることから、従来にない問題が生じるようになってきた。
表示素子を有する表示装置は、表示素子を保護する目的で、表示素子と対向して保護ガラス板が配置される。表示素子と保護ガラス板の間には空気層が存在することから、表示素子と外部環境との温度差が激しい場合、湿度が高い場合には、保護ガラス板の表示素子面側に結露が生じる場合がある。この結露は、表示装置の内部にあることから、払拭することもできないので、表示素子の画像の認識が妨げられる。そして、特許文献1は、表示への影響を避ける手段として、液晶表示素子と保護ガラス板との間に接着剤が充填された液晶表示装置を開示している。尚、本発明では、これ以降、保護ガラス板の表示素子面側に生じた結露を「内部結露」と表記する場合がある。
特開2005−55641号公報
表示素子、及び表示素子と対向する保護ガラス板を有する表示装置では、表示素子と保護ガラス板のそれぞれの対向する面を比較すると、保護ガラス板の方が低い温度となりやすい。表示素子と保護ガラスとの間の空気層は、乾燥された空気ではないので、保護ガラス板表面に近接する空気の飽和水蒸気量は低いものとなり、結果、温湿度変化の大きな環境下等では、保護ガラス板表面に内部結露が生じやすくなる。
この内部結露が生じても、表示素子の画像を視認できるようにするためには、表示素子の画像の認識を妨げる水滴を保護ガラス板表面から除去することが効果的である。しかしながら、この内部結露が生じる箇所は、表示装置の内部にあることから、手入れが困難であり、また、表示装置の軽量化、薄型化の社会的な要請より、前記空気層部に駆動を必要とする機械を導入することは、得策ではない。
本発明は、表示装置の軽量化、薄型化の社会的な要請に反することなく、前記したような内部結露が生じたとしても、表示素子の画像の認識を妨げる水滴を保護ガラス表面から除去することが可能な表示装置を提供することを課題とする。
本発明の保護板ガラスを有する表示装置は、表示素子、及び該表示素子と対向して配置される保護ガラス板を有する表示装置であり、該保護ガラス板は、表示素子に対向する面に膜厚が5μm以上60μm以下の被膜を有し、該被膜が可逆的な吸水性を呈し、吸水飽和時の吸水率が10重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする。
表示素子、及び表示素子と対向する保護ガラス板を有する表示装置では、表示素子と保護ガラス板のそれぞれの対向する面を比較すると、保護ガラス板の方が低い温度となりやすい。表示素子と保護ガラスとの間の空気層は、乾燥された空気ではないので、保護ガラス板表面に近接する空気の飽和水蒸気量は低いものとなり、結果、温湿度変化の大きな環境下等では、保護ガラス板表面に内部結露が生じやすくなる。
この内部結露が生じても、表示素子の画像を視認できるようにするためには、表示素子の画像の認識を妨げる水滴を保護ガラス板表面から除去することが効果的である。
そして、表示素子の画像の認識を妨げる水滴が発生する状況について考察したところ、該水滴は、表示装置を取り巻く環境の温湿度が大きく変化したときに特に発生しやすいものであるとの知見を得た。従って、本発明者は、該水滴を除去するためには、表示装置を取り巻く環境の温湿度が変化したときに特に焦点をあてれば、課題解決につながるとの認識を得るに至った。
保護ガラス板の表示素子に対向する面に前記被膜を設けることで、内部結露が生じる場合であっても、被膜が可逆的に水を吸水することで、表示素子の画像の認識を妨げる水滴(以降、「表面上の水滴」と表記する場合あり)が保護ガラス表面から除去される。かくして、本発明の表示装置は、内部結露が生じるような環境にもたらされたとしても、表示素子の画像を認識できるようになる。
本発明では、前記した被膜の吸水飽和時の吸水率を10重量%以上、40重量%以下とすることにより、吸水が飽和するまでの時間の長期化と被膜の耐久性との両立を図っている。吸水飽和時の被膜への吸水率の好適範囲として、該範囲とした理由は、10%重量未満では、表面上の水滴の除去に効果が少なく、40重量%超では、被膜の硬度を低くせざるを得ない場合が多いからである。表示装置となった場合、被膜が何らかの物質から払拭されることは少ないが、被膜の硬度が低いと、表示装置の製造時に保護ガラス板の取扱が難しくなる。本発明では、前記オキシエチレン鎖の被膜中での含有量を調整することで、吸水飽和時の被膜の吸水率を調整することが好ましい。
前述のとおり本発明では、課題解決のために表面上の水滴を除去するために、表示装置を取り巻く環境の温湿度が変化したときに焦点をあてている。被膜の吸水率を前記範囲とすることで、温湿度変化時に発生する表面上の水滴の除去を被膜の水膜形成能にたよることなく、十分な効果を生じせしめる。また、被膜が可逆的な吸水性を有することにより、表示装置に繰り返し温湿度変化がもたらされたとしても、表面上の水滴を除去することにも効果を生じせしめる。
本発明では、表面上の水滴の除去を被膜の水膜形成能にたよっていないので、被膜が吸水飽和時での水滴の接触角が50〜100°であってもよい。また、被膜が吸水していない状態での水滴の接触角は、50〜100°であってもよい。被膜が吸水飽和した後であっても、表面上の水滴が発生する環境で表示装置を使用する場合は、被膜に界面活性剤等の親水性を付与する成分を導入して被膜を形成してもよい。
さらに本発明では、被膜の膜厚が、5μm以上60μm以下とされている。被膜の吸水量は、膜厚にも依存する傾向があるので、被膜にある程度の吸水量を確保できるようにするためには、その膜厚は5μm以上とすることが好ましい。また、ガラス基材にセラミックプリント等によって5〜35μmの厚みを有する額縁状の黒枠部が形成されている場合、黒枠部の上にも塗布した場合に黒枠部の厚みにより黒枠部近傍の被膜に歪みが生じる。そのため、黒枠部が形成されている場合、被膜の膜厚は黒枠部の厚み以上にすることが好ましい。他方、厚い膜を形成しようとすると、被膜の製造に不利な条件をもたらす。そのため、その膜厚は60μm以下とすることが好ましい。
また、本発明の表示装置では、前記した被膜が、オキシエチレン鎖を有し、被膜への可逆的な吸水を、該オキシエチレン鎖によって行われることが好ましい。該オキシエチレン鎖は、酸素部に水を結合水として取り込むことでき、効率的な吸水と効率的な脱水とを可逆的に実施することに奏功する。
本発明の保護板ガラスを有する表示装置は、保護ガラス板が、表示素子に対向する面に可逆的な吸水性の被膜を有しているので、内部結露が生じる場合であっても、被膜が可逆的に水を吸水することで、表示素子の画像の認識を妨げる水滴が保護ガラス表面から除去される。かくして、本発明の表示装置は、内部結露が生じるような環境にもたらされたとしても、表示素子の画像を認識することができる。
本発明の保護ガラス板を有する表示装置の例を図面で説明する。図1は、本発明の保護ガラス板を有する表示装置の一例の要部を説明する断面図である。保護ガラス板2と表示素子3とを対向させ、周辺にスペーサー7を配置することで空気層8が形成される。保護ガラス板2は、被膜4とガラス基材5とを有しており、周辺部には、好適な形態として、黒枠6が形成されている。
表示素子3は、液晶表示パネル、有機ELパネル、プラズマディスプレイパネル、CRT表示素子等を使用でき、好適には、液晶表示パネル、有機ELパネル、特には液晶表示パネルが好適である。
保護ガラス板2は、被膜4とガラス基材5とを有する。ガラス基材5は、ソーダ石灰ケイ酸塩ガラスや、無アルカリガラス、硼ケイ酸塩ガラス等からなるものを使用でき、自動車用、建築用、及び産業用ガラス等に通常用いられている板ガラスで、フロート法、デュープレックス法、ロールアウト法等に製造されるものを使用することが特に好ましい。ガラス種としては、クリアガラス、グリーンガラス、ブロンズガラス等の各種着色ガラスやUV、IRカットガラス、電磁遮蔽ガラス等の各種機能性ガラス、網入りガラス、低膨張ガラス、ゼロ膨張ガラス等防火ガラスに供し得るガラス、風冷強化ガラス、化学強化ガラス、合わせガラスを使用できる。前記した無機系のガラス以外にも、プラスチック製のガラス等も使用されうる。
ガラス基材の板厚は特に制限されないが、0.1mm以上10mm以下が好ましく、特には0.2mm以上3.0mm以下が好ましい。ガラス基材5の周辺に好適な形態として使用される黒枠6は、セラミックペーストによるもの、有機印刷によるものを使用でき、その厚みは、1〜35μm、特には2〜15μmとすることが好ましい。
スペーサー7は、保護ガラス板2が表示素子3を保護せしめるために、ある程度の空間を設けるために使用されるもので、使用される材料に特に制限はなく、塩化ビニル樹脂、ポリエチレン樹脂、ポリスチレン樹脂、ABS樹脂、アクリル樹脂等の汎用の樹脂によるものや、金属製のもの、エンジニアリングプラスチック等が使用される。
[課題を解決するための手段]の項で述べたような機能を有するような被膜としては、好適には、ポリウレタンからなる被膜を使用することができる。ポリウレタンは、ウレタン特有の弾性を有しているので、他の樹脂と比べて、耐磨耗性に優れているからである。経済性を考慮すると被膜は、樹脂単独とすることが好ましい。
ポリウレタンは、イソシアネートプレポリマーとポリオールとを反応させて得られ、ポリオールを適宜選択することで被膜の機能を設定でき、イソシアネートプレポリマー、ポリオール、及びその他の化学種、及び/又はそれらの反応物を有する塗布剤をガラス基材5にスピンコート法、ディップコート法、フローコート法等の公知の塗布手段により塗布し、硬化させることで被膜を得ることができる。このとき、ガラス基材5にはプライマー層を形成させてもよい。
前記イソシアネートプレポリマーには、ジイソシアネート、好ましくは、ヘキサメチレンジイソシアネートを出発原料としたビウレット及び/又はイソシアヌレート構造を有する3官能のポリイソシアネートを使用できる。当該物質は、耐候性、耐薬品性、耐熱性があり、特に耐候性に対して有効である。又、当該物質以外にも、ジイソフォロンジイソシアネート、ジフェニルメタンジイソシアネート、ビス(メチルシクロヘキシル)ジイソシアネート及びトルエンジイソシアネート等も使用することができる。
前記イソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数は、ポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1倍量〜3倍量、より好ましくは1.4倍量〜2.5倍量となるように調整することが好ましい。1倍量未満の場合は、塗布剤の硬化性が悪化するとともに、形成された膜は軟らかく、耐候性、耐溶剤性、耐薬品性等の耐久性が低下する。一方、3倍量を超える場合は、過剰硬化により、被膜の製造が困難になる。
被膜に吸水性を持たせるために、ポリオールにオリゴマーの吸水性ポリオールを使用することができる。吸水性ポリオールとは、水を吸水して膨潤する性状を有するものであり、分子内の水酸基がイソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と反応してウレタン結合を生じ、ポリウレタンに吸水性の性状を導入することができる。該吸水性ポリオールは水溶性の性状を有してもよい。
吸水飽和時の被膜の吸水率が、好適には15重量%以上となるように、吸水性ポリオールの使用量を調整し、被膜中の吸水性ポリオール由来の吸水成分量を調整する。該吸水性成分は、オキシアルキレン系のポリオール由来のものを使用でき、オキシエチレン鎖、オキシプロピレン鎖等を有することが好ましく、吸水性に優れるオキシエチレン鎖を有することが特に好ましい。
前記オキシアルキレン系のポリオールは、数平均分子量が400〜5000のものを使用することが好ましい。数平均分子量が400未満の場合は、水を結合水として吸収する能力が低くなり、平均分子量が5000を超える場合は、被膜の強度が低下しやすくなる。吸水性や膜強度等を鑑み、該平均分子量は、400〜4500がより好ましい。該ポリオールには、オキシエチレン/オキシプロピレンの共重合体ポリオール、ポリエチレングリコール等を使用でき、ポリエチレングリコールを使用する場合は、吸水性と得られる被膜の強度を考慮し、数平均分子量を400〜2000とすることが好ましい。
上記に加え、ポリオールには、疎水性ポリオール、数平均分子量が60〜200の短鎖ポリオールを使用することができる。
前記疎水性ポリオールは、可撓性と耐擦傷性の両方を併せ持ち、被膜の吸水性の機能を低下させにくく、結果、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができる数平均分子量500〜2000のポリエステルポリオール、又は、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができ、塗布剤の塗布時のレベリング性を向上させるアクリルポリオールであることが好ましい。
ポリエステルポリオールの場合、数平均分子量が500未満の場合は、被膜が緻密になりすぎ耐摩耗性が低下する傾向がある。一方、2000超では、塗布液の成膜性が悪化し、被膜を形成することが難しくなる。又、得られる膜の緻密性を考慮すると、該ポリオールの水酸基数は2又は3とすることが好ましい。該ポリエステルポリオールには、ポリカーボネートポリオール、ポリカプロラクトンポリオール、及びそれらの混合物のいずれかを使用することができる。
また、アクリルポリオールは、可撓性と耐擦傷性の両方を併せ持ち、被膜の吸水性の機能を低下させにくく、結果、被膜の耐水性及び耐摩耗性を向上させることができる。これに加え、アクリルポリオールは、被膜を形成するための塗布剤を基材に塗布した際の膜厚偏差を均一化するレベリング工程を短縮化させることに奏功する。このため、表示装置にたえる平坦な膜表面を得るためにはこのアクリルポリオールを使用することが好ましい。
本発明では、アクリルポリオールは、平均分子量を1000〜4000とするものである。数平均分子量が1000未満の場合、被膜の耐摩耗性が低下する傾向にあり、4000超では、塗布剤の塗布性が悪くなり、被膜の形成が難しくなる傾向にある。又、得られる被膜の緻密性、硬度を考慮すると、該ポリオールの水酸基数は3又は4とすることが好ましい。
又、本発明では、前記ポリオキシアルキレン系のポリオール及び前記アクリルポリオールより誘導されて形成されるウレタン樹脂中の鎖によって、被膜に吸水された水の脱水速度を速くすることに奏功している。そして、これは、アクリルポリオールの分子量が大きい程よくなる傾向があるので、アクリルポリオールの平均分子量は、2000以上とすることが好ましい。
前記アクリルポリオールは、被膜の耐久性の向上と上記したような水の脱水速度を速くすることに寄与している。被膜の耐久性の向上だけを考慮すると前記アクリルポリオール以外の疎水性を呈するポリオールを使用されうるが、水の脱水速度を速くすることには寄与しない。従って、疎水性ポリオールとして前記アクリルポリオールを使用することは好ましい。
前記ポリオキシアルキレン系ポリオール及び前記アクリルポリオールとの比は、被膜は吸水率が10〜40重量%となるように調整される。例えば、ポリエチレングリコールとアクリルポリオールの場合、重量比で「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=50:50〜70:30」となる成分比とすることが好ましい。
疎水性ポリオール由来の疎水成分は、被膜の吸水率が上記した範囲となるように導入し、好ましくは、「JIS K5600(1999年)」に準拠して得られる被膜の鉛筆硬度が被膜の吸水飽和時において、HB乃至Hとなるように導入することが好ましい。これは、被膜の硬度が低いと、表示装置の製造時における保護ガラス板の取扱や清掃等の払拭作業性が難しくなるためである。
また、前記した表示装置の製造時における保護ガラスの取扱や清掃等の払拭作業性を考慮すると、前記被膜がさらに架橋単位としてジメチルシロキサンユニット(Si(CH3)2O)の数が5〜300である直鎖状ポリジメチルシロキサンを有することが好ましい。この場合、両側末端にイソシアネート基と反応可能な官能基を有する直鎖状ポリジメチルシロキサンとすることで、前記イソシアネートプレポリマーのイソシアネート基と反応してウレタン結合を生じ、ポリウレタンに直鎖状ポリジメチルシロキサンを導入することができる。
該イソシアネート基と反応可能な官能基としては、ヒドロキシ基、カルボキシ基、アミノ基、イミノ基、メルカプト基、スルフィノ基、スルホ基等の電気陰性度の大きな酸素、窒素、硫黄に結合した活性水素を含む官能基を使用することができる。この中で、取扱の容易さ、塗布剤としたときのポットライフ、得られる被膜の耐久性を考慮すると、イソシアネート基と反応可能な官能基としてはヒドロキシ基を使用することが好ましい。
また、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンにおいてジメチルシロキサンユニット(Si(CH3)2O)の数を5〜300としたのは、ジメチルシロキサンユニット数が5未満、又は300超の場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンを架橋単位としてウレタン中に導入することが難しくなるからである。
該理由として次のことが考えられる。ジメチルシロキサンユニット数が5未満の場合、被膜の払拭性向上に効果が無く、他方、300超の場合、直鎖状ポリジメチルシロキサンのウレタン結合が形成されるべき部位が相対的に低いものとなるため、被膜形成時に直鎖状ポリジメチルシロキサンが架橋単位として被膜中に取り込まれなく可能性が高くなり、結果、得られた被膜は、直鎖状ポリジメチルシロキサンが溶出しやすいものとなる。
そして、前記した表示装置の製造時における保護ガラスの取扱や清掃等の払拭作業性の向上させる効果を考慮すると、前記直鎖状ポリジメチルシロキサンは、被膜に対して、重量濃度で0.05〜3.0重量%添加されることが好ましい。
以下実施例により、本発明を具体的に説明する。本実施例では、保護ガラス板2を作製した。そして、以下に示す方法による品質評価を行うことで、本実施例作製された保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合に、内部結露が生じたとしても表示素子の画像を認識できるかの確認を行った。
1.評価項目1「表示素子の画像の認識を妨げる水滴の保護ガラス表面からの除去性」
該評価については、"JIS S 4030「眼鏡用くもり止め剤試験法」(1995年)"に準拠する方法で保護ガラス板の防曇性を評価して得られた結果が、保護ガラス板2の表面上の水滴の除去性に援用されるものとした。
43℃に設定した温水の水蒸気中に保護ガラス板2を1分間保持した時の曇り具合と、常温(23℃、湿度63%)中に保護ガラス板2を取り出し、保護ガラス板の被膜4に呼気を吹き付けたときの曇り具合を観察する。この操作を1サイクルとして30サイクル行い、膜の外観に異常がなく曇りが発生しないものを合格(○)、曇りが発生したものを不合格(×)とした。
2.評価項目2「被膜4の吸水飽和時の吸水率」
湿度50%、温度55℃の環境で12時間保持後、同湿度にて温度25℃の環境で12時間保持したときのガラスの重量(a)を測定し、被膜に43℃飽和水蒸気を5分間接触させ、その後、すぐに被膜表面の水膜を払拭後にガラスの重量(b)を測定し、[b−a]/[a−(ガラス本体の重量)]×100(%)の計算式で得られた値を吸水飽和時の吸水率とした。即ち、吸水率は被膜の重量に対する吸水可能な水分量を重量百分率で表したものである。尚、ここでの(a)値は、被膜が吸水していない状態のものに相当する。測定後、1分間湿度50%、温度25℃の環境で置き、吸水率を再度測定した。その測定を連続5回行い、防曇性の可逆性を確認した。
3.評価項目3「被膜に吸水された水の脱水性」
上記のようにして得られた吸水飽和状態の防曇性被膜に関し、湿度50%、温度25℃の環境においたときに上記重量(b)から上記重量(a)までに到達する時間が3分以内のものを水の脱水性に優れる防曇性被膜として合格(○)、これを満たさないものを不合格(×)とした。
4.評価項目4「被膜4の表面粗さ」
"JIS B 0651「製品の幾何特性仕様-表面性状:輪郭曲線方式-触針式表面粗さ測定機の特性」(2001年)"に準拠して、算術平均粗さRaを測定した。
5.評価項目5「鉛筆硬度」
"JIS K 5600「塗料一般試験方法」(1999年)"に準拠して、荷重1kgが付加された鉛筆で膜表面を5回引っ掻き、膜の破れが2回未満であった鉛筆を鉛筆硬度とした。該鉛筆硬度は耐擦傷性の指標とすることができる。
6.評価項目6「水滴の被膜への接触角」
被膜への水滴の接触角については、“JIS R 3257「基板ガラス表面のぬれ性試験方法」(1999年)”に準拠して測定した。100mm角に切断した試験片を、湿度50%、温度55℃の環境で12時間保持後、同湿度にて温度25℃の環境で12時間保持することで、被膜が吸水されていない状態の試験片とした。該試験片を協和界面化学製接触角計(CA−2型)に設置し、被膜上に2μlの水を滴下させて、水滴の接触角を測定した。又、同試験片の被膜に43℃飽和水蒸気を5分間接触させ、被膜を吸水飽和状態し、該試験片を前記接触角計に設置し、被膜上に2μlの水を滴下させて、水滴の接触角を測定した。
実施例1
イソシアネート基を有するイソシアネートとして、ヘキサメチレンジイソシアネートのビューレットタイプポリイソシアネート(商品名「N3200」住友バイエルウレタン製)を準備し、これを塗布剤Aとした。
平均分子量1540のポリエチレングリコール、及び平均分子量3000のアクリルポリオールを50重量%有する溶液(「デスモフェンA450BA」;住化バイエルウレタン社製)を準備し、ポリエチレングリコールとアクリルポリオールの重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=60:40」となるように混合し、これを塗布剤Bとした。
塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、2.0倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、42gの塗布剤Aを添加混合し、ウレタン成分総量が45重量%となるように塗布剤A及び塗布剤Bの混合物に希釈溶媒として2−ブタノンを添加混合し、防曇性被膜を形成するための塗布剤を調製した。
100mm×100mmのガラス基材5上に上記で得られた塗布剤をスピンコートにより塗布し、該被塗布鏡を約100℃で30分間熱処理することにより、膜厚50μmの被膜4を形成した。表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は水滴の除去性、吸水率、水の脱水性、表面粗さ、鉛筆硬度に優れた被膜であることが確認された。また、水滴の除去性の評価時に被膜には、水膜が形成されず、被膜4は、水膜形成能がなくても水滴を表面から除去できるものであることが確認された。
該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合には、内部結露が生じたとしても表示素子の画像を認識できるものとみなせるものであった。
Figure 2008145984
実施例2
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=50:50」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.8倍量となるように、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を36gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚50μmの被膜4を形成した。得られた物品は、表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は水滴の除去性、吸水率、水の脱水性、表面粗さ、鉛筆硬度に優れた被膜であることが確認された。また、水滴の除去性の評価時に被膜には、水膜が形成されず、被膜4は、水膜形成能がなくても水滴を表面から除去できるものであることが確認された。
該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合には、内部結露が生じたとしても表示素子の画像を認識できるものとみなせるものであった。
実施例3
実施例1での塗布剤Bの調製での各成分の重量比が「ポリエチレングリコール:アクリルポリオール=70:30」となるように混合し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、1.4倍量となるように、100gの塗布剤Bへの塗布剤Aの添加混合量を28gとした以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚50μmの防曇性被膜が形成された防曇性物品を得た。得られた物品は、表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は水滴の除去性、吸水率、水の脱水性、表面粗さ、鉛筆硬度に優れた被膜であることが確認された。また、水滴の除去性の評価時に被膜には、水膜が形成されず、被膜4は、水膜形成能がなくても水滴を表面から除去できるものであることが確認された。
該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合には、内部結露が生じたとしても表示素子の画像を認識できるものとみなせるものであった。
実施例4
実施例1でのウレタン成分総量が15重量%である塗布剤A及び塗布剤Bの混合物にジメチルシロキサンユニットの数が7の両末端ヒドロキシ直鎖状ポリジメチルシロキサン(商品名「DMS−S12」アヅマックス製)をウレタン成分総量に対して1.0重量%添加した以外は実施例1と同様の操作を行い膜厚8μmの防曇性被膜が形成された防曇性物品を得た。得られた物品は、表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は水滴の除去性、吸水率、水の脱水性、表面粗さ、鉛筆硬度に優れた被膜であることが確認された。また、水滴の除去性の評価時に被膜には、水膜が形成されず、被膜4は、水膜形成能がなくても水滴を表面から除去できるものであることが確認された。
該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合には、内部結露が生じたとしても表示素子の画像を認識できるものとみなせるものであった。
比較例1
塗布剤Bにて、ポリエチレングリコールを使用しないでアクリルポリオールのみを使用し、塗布剤Aのイソシアネート成分に存在するイソシアネート基の数を、塗布剤B中のポリオール成分に存在する水酸基の数に対して、2.0倍量となるように、100gの塗布剤Bに対し、40gの塗布剤Aを添加混合量した以外は実施例1と同様の操作で行い、膜厚50μmの被膜が形成された物品を得た。得られた物品は、表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は、水滴除去性が悪く、該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合、内部結露が生じた場合に表示素子の画像を認識し難いものとみなせるものであった。
比較例2
実施例1でのウレタン成分総量が10重量%とした以外は実施例1と同様の操作を行い、膜厚3μmの被膜4を形成した。表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は、水滴除去性が悪く、該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合、内部結露が生じた場合に表示素子の画像を認識し難いものとみなせるものであった。
比較例3
実施例1でのウレタン成分総量を10重量%として、塗布剤Bの調製でアクリルポリオールの代わりに疎水性を呈するポリオールとして平均分子量500のポリカプロラクトンジオール(商品名「プラクセルL205AL」ダイセル化学工業製)を使用した以外は、実施例1と同様の操作を行い、膜厚3μmの被膜4を形成した。得られた物品は、表1に示すように、保護ガラス板2に形成された被膜4は、水滴除去性が悪く、該保護ガラス板2を用いて本発明の表示装置1を作製した場合、内部結露が生じた場合に表示素子の画像を認識し難いものとみなせるものであった。
本発明の保護ガラス板を有する表示装置の一例の要部を説明する断面図である。
符号の説明
1 保護ガラス板を有する表示装置
2 保護ガラス板
3 表示素子
4 被膜
5 ガラス基材
6 黒枠
7 スペーサー
8 空気層

Claims (2)

  1. 表示素子、及び該表示素子と対向して配置される保護ガラス板を有する表示装置であり、該保護ガラス板は、表示素子に対向する面に膜厚が5μm以上60μm以下の被膜を有し、該被膜が可逆的な吸水性を呈し、吸水飽和時の吸水率が10重量%以上、40重量%以下であることを特徴とする表示装置。
  2. 被膜が、オキシエチレン鎖を有し、被膜への可逆的な吸水が、該オキシエチレン鎖によって行われることを特徴とする請求項1に記載の表示装置。
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