JP2008145920A - 現像剤及び画像形成方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】電子写真等における静電荷像の現像及びトナージェット方式での画像形成に使用するトナーに関する。さらに、写真画像や印刷画像のような均一な光沢を付与し得、且つ、高精細、高品位且つ高画質な画像を実現し得る現像剤及び画像形成方法に関する。
【解決手段】キャリヤ1質量部あたりトナー2乃至50質量部を含み構成される補給用現像剤であって、トナーは結着樹脂及び離型剤を含み構成され且つ全光線透過率が30%以上であり、キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、C−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であることを特徴とする。
【選択図】なし

Description

本発明は、電子写真、静電記録、静電印刷といった画像形成方法における静電荷像の現像及びトナージェット方式での画像形成に使用するトナーに関する。さらに、写真画像や印刷画像のような均一な光沢を付与し得、且つ、高精細、高品位且つ高画質な画像を実現し得る現像剤及び画像形成方法に関する。
近年、電子写真装置の市場においては、小型,軽量,低消費電力といったスペックをよりシンプルな構成要素で満たしたうえでフルカラー化,高精細,高画質化を実現する要求が高まっている。
3色又は4色のカラートナーを重ね合わせ画像を形成しているフルカラー電子写真は、画像部分と非画像部分の用紙の色、画像部分のトナーの色、そして用紙の単位面積当たりのトナー使用量によって、光沢度の異なった画像となる。画像の光沢度に対する要求は、画像の種類や使用目的等によって異なる。たとえば、人物や風景などの写真画像や印刷画像に対しては、光沢度が均一であることが好ましい。一般に、鮮明な画像を得たいという観点からは、高光沢度の画像が好まれる傾向にある。そのため、画像へ光沢を簡便に付与し得るトナーや画像形成方法が求められている。
また、各々の色のカラートナーが同じように現像、転写されなければ、色再現に劣ったり、色むらが生じてしまう。ところがカラートナーの色は顔料や染料によっており、これらが現像、転写に与える影響は大きい。さらに、フルカラー画像においては、要求される定着時の定着性,混色性及び耐オフセット性に適った結着樹脂が選択されるが、この結着樹脂が現像性や転写性に与える影響も大きい。この影響の一つとして、帯電量に対する温湿度の影響があげられる。斯くして、広範な環境条件においても安定した帯電量を有するカラートナーの開発が急務とされている。
画像の光沢度を均一化するための方法の一つとしては、無色や透明のトナーをカラートナーと合わせて使用することが特開平7−72696号公報、特開2000−131884号公報、及び特開2004−151296号公報により知られている。
従来から知られている無色や透明のトナーは、単に光沢度を均一化するために用いられてきた。それらの無色や透明のトナーの有彩色及び/または無彩色トナーとしてのポテンシャルを最大限に活かすためには、無色や透明トナーの特性を改善する必要があった。さらに、これらの無色や透明のトナーと組み合わせて使用するキャリヤについても、キャリヤ付着などの特性を改善する必要があった。
一方、補給用現像剤として、予めトナーとキャリヤを混合したものを使用することを特徴とした提案が特開2002−258538号公報によりなされている。この提案は、帯電特性の改良という点では、確かに良好な特性を得られる発明である。しかしながらこの補給用現像剤中には異形形状のキャリヤ粒子が存在するため、そのように提案された構成を、無色や透明なトナーを用いて高い画像品質を達成しようとする形態に適用するには、現像時のキャリヤ付着について改善すべき点があった。
特公平2−21591号公報、特開2001−166593号公報及び特開2005−107377号公報は、無色や透明のトナーを補給すると共に新しいキャリヤも一定比率で補給し、現像性能の低下したキャリヤを順次新しいキャリヤに置き換えていくことで、サービス業務としての現像剤の交換を不要とすることを提案している。これは、所謂トナーリサイクル現像と呼ばれる方式に関する提案である。しかしながら、無色や透明のトナーを効果的に機能させるためには、現像工程でのキャリヤ付着の低減、均一且つ迅速な帯電特性が重要であり、これらの点について改善すべき点があった。
特開2004−151260号公報、特開2005−31197号公報及び特開2005−37425号公報、特開2006−209090号公報、特開2006−220800号公報は、無色や透明のトナーを転写材の全面または転写材上の非画像部に画像形成する画像形成方法を提案している。しかしながら、このようなトナー消費量が大きい構成において無色や透明のトナーを効果的に機能させるためには、現像工程でのキャリヤ付着の抜本的な改善や、均一且つ迅速な帯電特性を実現することが不可欠であり、これらの点について改善すべき点があった。
特開平7−72696号公報 特開2000−131884号公報 特開2004−151296号公報 特開2002−258538号公報 特公平2−21591号公報 特開2001−166593号公報 特開2005−107377号公報 特開2004−151260号公報 特開2005−31197号公報 特開2005−37425号公報 特開2006−209090号公報 特開2006−220800号公報
本発明の目的は、高品位で均一な光沢を有する画像を安定的に得ることのできる現像剤を提供することにある。
本発明の目的は、有彩色及び/または無彩色トナーのポテンシャルを最大限に活かして、現像性、転写性及び定着性に優れ、環境の影響を受けにくく、耐久性及び安定性の良好な現像剤を提供することにある。
本発明の目的は、画像濃度が高く、細線再現性及びハイライト部の階調性に優れ、且つ耐久性及び安定性に優れた鮮明な画像を形成し得る現像剤を提供することにある。
本発明の更なる目的は、温度、湿度等の環境に左右されにくく、安定した画像特性を発現する現像剤を提供することにある。
本発明の目的は、保存性、耐熱性、耐ブロッキング性に優れた現像剤を提供することにある。
本発明の目的は、高品位で均一な光沢度を画像へ安定的に付与し得る、優れた画像形成方法を提供することにある。
本発明者らは、あらゆる環境下において優れた現像性、転写性、定着性、混色性、耐久性を有し且つ画像光沢度が均一且つ安定しており、温度や湿度の影響を受けずに画像の長期保存性が可能である画像を与え得る現像剤及びそのような画像の形成方法を得るために、鋭意検討を行った。そして、今後需要が高まると予想される高品位の印刷画質や高精細な写真画質を長期に渡って安定的に実現するためには、以下の本発明の現像剤及び画像形成方法が極めて有効であることを見出した。
本発明によれば、トナー及びキャリヤを含み構成され、現像している現像器に補給され且つ現像器内部で過剰になったトナーとキャリヤが必要に応じて現像器から排出される補給用現像剤であって、
該補給用現像剤は、キャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の配合割合で含み構成され、該トナーは結着樹脂及び離型剤を含み構成され且つ全光線透過率が30%以上であり、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗ΨΨの標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であることを特徴とする現像剤が提供される。
また発明によれば、有彩色トナー及び/または無彩色トナーと全光線透過率が30%以上のトナーとを組み合わせてトナー像を転写材上に形成し加熱定着して該転写材にカラー画像を形成する画像形成方法において、該全光線透過率が30%以上のトナーは、トナーとキャリヤとを含み構成される補給用現像剤を現像器に補給する工程、トナーを現像する工程及び過剰になったキャリヤ及びトナーを排出する工程を含み構成される二成分現像方法に用いられ、該補給用現像剤はキャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の割合で含み構成され、該トナーは結着樹脂及び離型剤を含み構成され、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗ΨΨの標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であり、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像は、該転写材上の全面または該有彩色トナー及び/または無彩色トナー像が形成可能な領域に形成されていることを特徴とする画像形成方法が提供される。
さらに本発明によれば、有彩色トナー及び/または無彩色トナーと全光線透過率が30%以上のトナーとを組み合わせてトナー像を転写材上に形成し加熱定着して該転写材にカラー画像を形成する画像形成方法において、該全光線透過率が30%以上のトナーは、トナーとキャリヤとを含み構成される補給用現像剤を現像器に補給する工程、トナーを現像する工程及び過剰になったキャリヤ及びトナーを排出する工程を含み構成される二成分現像方法に用いられ、該補給用現像剤はキャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の割合で含み構成され、該トナーは、結着樹脂及び離型剤を含み構成され、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗の標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であり、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像は、該転写材上の有彩色トナー及び/または無彩色トナー像が存在しない領域に形成されていることを特徴とする画像形成方法が提供される。
該キャリヤは、好ましくは、真比重が2.5乃至4.2g/cmである。
該キャリヤは、好ましくは、1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am/kgである。
該キャリヤは、好ましくは、結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得られた磁性体分散樹脂コア、及び、コート樹脂を含み構成される。コート樹脂は好ましくはアクリル系樹脂及び/またはシリコン系樹脂である。
該全光線透過率が30%以上のトナーは、好ましくは、トナーに含まれる着色剤成分が0.0乃至0.1質量部である。
該全光線透過率が30%以上のトナーは、好ましくは、重量平均粒径が3.0乃至11.0μmである。
該全光線透過率が30%以上のトナーは、好ましくは、平均円形度が0.920乃至0.950である。
該全光線透過率が30%以上のトナーは、好ましくは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び無機微粒子からなるトナーである。
本発明の現像剤及び画像形成方法を用いることにより、あらゆる環境下においても優れた現像性、転写性、定着性、混色性、耐久性を有し且つ画像光沢度が均一且つ安定している、高精細、高画質そして高品位な画像を得ることができる。さらに、本発明の現像剤及び画像形成方法を用いることにより、温度や湿度の変化に対する耐久性、防水性、耐候性に優れた良好な光沢度を有する画像を安定的に得ることができる。
本発明の現像剤は、二成分現像剤を現像器に補給する工程、トナーを現像する工程、及び、過剰になったキャリヤ及びトナーを排出する工程とを含み構成される二成分現像方法に用いられる、トナーと上述のキャリヤとからなる二成分現像剤である。本発明の、形状が均一なキャリヤを二成分現像方法に用いることにより、該全光線透過率が30%以上のトナーのポテンシャルを最大限に且つ長期に渡り安定的に発揮させることができる。
本発明の現像剤は、キャリヤ1質量部に対してトナーが2乃至50質量部の配合割合で混合されている。この範囲の配合割合では、現像剤の搬送安定性が極めて良好であり、トナーが大量に消費される状況であっても現像器中の現像剤は安定したトナー量を維持することができる。また、同配合割合では、現像剤が現像器に搬送される前のトナーに良好な帯電性を付与できる。その結果、転写材面の画像光沢度の均一性が得られ、高品位な画像を得ることができる。配合割合が2質量部未満では現像剤の搬送工程中にキャリヤによるトナーの劣化が起こり易く、配合割合が50質量部を超えた場合では現像剤が現像装置に搬送される前のトナーの帯電及び帯電の均一さが不十分となり、好ましくない。
本発明に用いられるキャリヤとトナーは、比表面積が合う形で混合して用いることができる。トナーの含有割合は、二成分系現像剤全体に対し、5質量%乃至20質量%程度で用いることが、高い帯電量付与、カブリ、画像濃度など良好にすることができる。
本発明の画像形成方法では、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像が、転写材上の全面または非画像部に形成される。すると、現像工程により顕像化した有彩色及び/または無彩色のトナー像は、転写及び定着工程を経た後でも、ドットレベルでの像崩壊が低減され且つドット拡大が抑制される。その結果、静電的画像劣化が抑制され、転写・定着時の飛び散りの発生が低減されたり混色性が向上されるため、色再現レベルが向上する。また同トナー像は、特殊な紙や定着システムを使用することなく面内一様性が高く高品位な均一な光沢度を持った画像を与えることができる。加えて、同トナー像は、画像面の温度・湿度変化に対する耐久性、防水性、耐候性を向上させた画像を与えることができる。
さらに、本発明の画像形成方法では、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像が、該転写材上の有彩色及び/または無彩色のトナー像の存在しない転写材上に形成される。すると、有彩色及び/または無彩色のトナー像は、転写、定着工程を経た後でも非画像領域へ進出することが抑制される。その結果、より高精細、高画質の画像を得ることができる。
次に、本発明の二成分現像剤を構成するトナーとキャリヤについて詳述する。
はじめに、円形度及びWadellの実用球形度について説明する。
Wadellの実用球形度Ψは、
Ψ = d/MaxLengsh
で定義される。ここで、dは粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径、MaxLengthは粒子の投影像の外接円の直径である。
したがって、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨは
ΨΨ = (d/MaxLength)2
円形度tは
t = F/O
で定義される。ここで、Fは粒子の投影面積と同じ面積を有する円の円周、Oは粒子の投影像の輪郭の長さである。
或るWadellの実用球形度の二乗の分布を有する粒子群のWadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均(以下、「Wadellの実用球形度の二乗の平均」と言う)をCとすると
Figure 2008145920
で定義される。ここでmΨΨはWadellの実用球形度の二乗区分の数、ψψiはi番目のWadellの実用球形度の二乗区分でのWadellの実用球形度の二乗の中心値である。
或る円形度分布を有する粒子群の円形度の平均(以下、「平均円形度」と言う)をTとすると
Figure 2008145920
で定義される。ここでmtは円形度区分の数、tはi番目の円形度区分での円形度の中心値である。
本発明においては、トナーの形状に関しては円形度を用いて議論し、キャリヤの形状に関してはWadellの実用球形度の二乗を用いて議論している。
本発明に用いられるトナーについて以下に述べる。
有彩色、無彩色のトナーは、従来から知られているトナーを使用可能である。
全光線透過率が30%以上のトナーに使用する材料としては、従来から知られているトナー用材料を使用することが可能である。全光線透過率は、JIS K7361-1,ISO 13468-1の全光線透過率試験法にしたがって、トナーを調製して得たサンプルに光源としてのハロゲンランプから放射された可視光を照射して測定される透過率である。全光線透過率が30%以上のトナーは、転写材が有する特性の影響や効果とは無関係に画像の光沢度を制御することが可能であり、さらに、画像領域の有無に関わらず画像の表面特性や光沢度の均一性を高めることができる。
着色剤成分を含有しないトナーいわゆるクリアトナーのうち全光線透過率が30%以上であるので、クリアトナーが本発明の二成分現像材のトナーと成り得る。したがって、クリアトナーは、有彩色、無彩色のトナー上に画像形成された場合や転写材上に画像形成された場合に、それらの色度変化への影響が著しく小さいということを示すものである。
本発明のトナー粒子に使用する結着樹脂としては、従来から、トナー用結着樹脂として知られる各種の材料樹脂が用いられる。
例えば、ポリスチレン、スチレン−ブタジエン共重合体、スチレン−アクリル共重合体の如きスチレン系共重合体;ポリエチレン、エチレン−酢酸ビニル共重合体、エチレン−ビニルアルコール共重合体のようなエチレン系共重合体;フェノール系樹脂、エポキシ系樹脂、アクリルフタレート樹脂、ポリアミド樹脂、ポリエステル樹脂、マレイン酸系樹脂等である。これらの樹脂を単独で用いても良いし、二種類以上の樹脂を混合して用いても良い。
これらの樹脂の中で、特に負帯電能の高い(a)ポリエステル樹脂、(b)ポリエステルユニットとビニル系重合体ユニットとを有しているハイブリッド樹脂、又は(c)それらの混合物を用いることが好ましい。
ハイブリッド樹脂は、特に、離型剤と組み合わせた場合、離型剤の分散性が良好となり、定着時に効果的に離型剤を機能させることができるため、非常に定着性に優れ、混色性、耐熱性、耐ブロッキング性も良好であり、クリアトナーに適している。その反面、負帯電能が強く帯電が過大になり易く、極端な帯電量アップやそれに伴う現像性、転写性の低下が発生しやすい傾向にある。しかしながら、本発明のキャリアを組み合わせた場合には、それらの弊害は解消され、より均一に帯電され、優れた現像剤特性を得ることができる。
なお、本発明において「ポリエステルユニット」とはポリエステルに由来する部分を示し、「ビニル系重合体ユニット」とはビニル系重合体に由来する部分を示す。ポリエステルユニットを構成するポリエステル系モノマーとしては、多価カルボン酸成分と多価アルコール成分である。ビニル系重合体ユニットとは、ビニル基を有するモノマー成分である。モノマー中に多価カルボン酸成分とビニル基を有するモノマー、または多価アルコール成分とビニル基を有するモノマーについては「ポリエステルユニット」成分として定義する。
トナーに含まれる離型剤としては、公知のものが使用できるが、脂肪族炭化水素系離型剤が好ましい。特に、アルキレンを高圧下でラジカル重合あるいは低圧下でチーグラー触媒で重合した低分子量のアルキレンポリマー、高分子量のアルキレンポリマーを熱分解して得られるアルキレンポリマー、そして、一酸化炭素及び水素を含む合成ガスからアーゲ法により得られる炭化水素の蒸留残分からあるいはこれらを水素添加して得られる合成炭化水素離型剤が好ましい。プレス発汗法、溶剤法、真空蒸留の利用や分別結晶方式により炭化水素離型剤の分別を行なったものは、さらに好ましい。母体としての炭化水素は、2種以上の多元系が大抵である金属酸化物系触媒を使用した、一酸化炭素と水素との反応によって合成されるものである。例えば、ジントール法によって或いは流動触媒床を使用したヒドロコール法によって合成された炭化水素化合物であり、離型剤状炭化水素が多く得られる。同定触媒床を使用したアーゲ法により得られる炭素数を、炭化水素或いはエチレンなどのアルキレンをチーグラー触媒により、数百ぐらいまで重合した炭化水素は、分岐が少なくて小さく且つ飽和の長い直鎖状炭化水素であるので好ましい。特にアルキレンの重合によらない方法により合成された離型剤は、その分子量分布からも好ましいものである。
離型剤の分子量分布は、メインピークが分子量400乃至2400の領域にあることが好ましく、430乃至2000の領域にあることがより好ましい。このような分子量分布をもたせることによりトナーに好ましい熱特性を付与することができる。
また、定着段階に離型剤として効果的に機能させるために、離型剤の融点は60乃至100℃にあることが好ましく、65乃至90℃にあることがより好ましい。なお、後述する本発明のトナーの吸熱ピーク温度とは、示差走査熱量計(DSC)測定において、該離型剤を含むトナーの吸熱曲線のメインピークを示す温度のことであり、離型剤の融点に由来する。
離型剤は、結着樹脂100質量部あたり0.1乃至20質量部、好ましくは0.5乃至10質量部使用するのが良い。
離型剤の添加方法には、特に制約はないが、通常は、樹脂を溶剤に溶解し樹脂溶液温度を上げ、撹拌しながらトナーに添加し混合するか、トナーの混練時にトナーに混合する。
全光線透過率が30%以上のトナーには、結着樹脂及び離型剤の他に、必要に応じて、公知の無機物質の微粒子をトナー中に含ませるかトナー表層に付着させて含有させることができる。この無機微粒子は、トナーに良好な粘弾性を与え、また、トナーの耐高温オフセット性そして耐磨耗性を高める。該無機物質としては、シリカ、アルミナ、酸化チタン、酸化ジルコニウム、酸化マグネシウム、酸化亜鉛の如き金属酸化物、チッ化ホウ素、チッ化アルミニウム、チッ化炭素の如きチッ化物、さらにチタン酸カルシウム、チタン酸ストロンチウム、チタン酸バリウム、チタン酸マグネシウムが挙げられる。該微粒子の平均一次粒子径は1乃至80nmが好ましく、10乃至50nmがより好ましい。
該無機微粒子に対しては、種々の必要な特性を付与するために、公知のシランカップリング剤、フッ素含有シランカップリング剤、チタネートカップリング剤、アルミニウムカップリング剤、ジルコアルミネートカップリング剤の如きカップリング剤やシラン化合物、シリコーンオイル、シリコーンワニスなどの以下に例示するような公知の表面処理剤を用いて表面処理を行なうことができる:ジメチルジメトキシシラン、トリメチルエトキシシラン、ブチルトリメトキシシラン等のようなアルキルアルコキシシランや、ジメチルジクロルシラン、トリメチルクロルシラン、アリルジメチルクロルシラン、ヘキサメチルジシラザン、アリルフェニルジクロルシラン、ベンジルジメチルクロルシラン、ビニルトリエトキシシラン、γ−メタクリルオキシプロピルトリメトキシシラン、ビニルトリアセトキシシラン、ジビニルクロルシラン、ジメチルビニルクロルシラン、トリフロロプロピルトリメトキシシラン、トリフロロプロピルメチルジメトキシシラン、トリフロロプロピルメチルジクロロシラン等のシランカップリング剤。
次に、本発明に用いるトナーの粒径について説明する。本発明者らが、画像濃度、ハイライト再現性若しくはハーフトーン再現性、細線再現性について鋭意検討した結果、本発明のトナーが重量平均粒径が3.0乃至11.0μmであれば、より安定的な帯電性、現像性、転写性を得ることができることを見出した。
トナーの重量平均粒径が11.0μmより大きいと、高画質化に寄与し得るトナー粒子が少なく、感光ドラム上の微細な静電荷像に忠実に付着しづらく、ハイライト再現性に乏しく、さらに解像性も低い。また、必要以上のトナーの静電荷像上への乗りすぎが起こり、トナー消費量の増大を招きやすい。
トナーの重量平均粒径が3.0μmより小さいと、トナーの単位質量あたりの帯電量が高くなり、特に低温低湿下での画像濃度薄が生じやすい。特に、グラフィック画像など、画像面積比率の高い画像を現像するには不向きである。また、トナーの比表面積が大きくなるため、トナー表面近傍の離型剤の量が極端に多くなる。その結果、キャリヤとの接触帯電がスムーズに行なわれず、充分に帯電し得ないトナーが増大し、非画像部への飛び散り、カブリが目立つ様になる。この不都合の対策としては、キャリヤの径を小さくして比表面積を増大させることが考えられる。しかしそのようなキャリヤは、自己凝集も起こり易い上述の微細な粒径のトナーとの均一混合が短時間では達成されず、トナーの連続補給耐久においては、カブリが生じてしまう傾向にある。
該全光線透過率が30%以上のトナーの平均円形度が0.920乃至0.980であることは好ましい。この平均円形度を有するトナーは、有彩色及び/または無彩色トナーや転写材をより効果的に被覆することができる。平均円形度が0.960以上になると、クリーナーレスシステムに適応することも可能となる。
トナーの円形度を高めるには、ビニル系樹脂を主成分として直接重合法または水系媒質中より得られる重合法による粒子を用いることもできる。これらの方法については後述する。
該全光線透過率が30%以上のトナーには、着色剤成分が含まれていないことが好ましい。ただし、色味調整のために、極少量の着色剤を含有させることも可能であり、0.0乃至0.1質量部の着色剤成分が含まれていることは、本発明の一態様である。0.1質量部を超えた含有量の着色剤成分は、画像に著しい色度変化を引き起こすため、望ましくない。
本発明に用いられる有彩色、無彩色トナーの着色剤としては、公知の染料または/及び顔料が使用される。着色剤の使用量は、結着樹脂100質量部に対して好ましくは0.1乃至15質量部、より好ましくは0.5乃至12質量部、最も好ましくは0.8乃至10質量部が良い。
マゼンタトナー用着色顔料としてはC.I.ピグメントレッド1,2,3,4,5,6,7,8,9,10,11,12,13,14,15,16,17,18,19,21,22,23,30,31,32,37,38,39,40,41,48,49,50,51,52,53,54,55,57,58,60,63,64,68,81,83,87,88,89,90,112,114,122,123,155,163,202,206,207.209;C.I.ピグメントバイオレット19;C.I.バットレッド1,2,10,13,15,23,29,35などが挙げられる。
顔料単独使用でも構わないが、染料と顔料と併用してその鮮明度を向上させた方がフルカラー画像の画質の点からより好ましい。
マゼンタトナー用染料としては、C.Iソルベントレッド1,3,8,23,24,25,27,30,49,81,82,83,84,100,109,121;C.I.ディスパースレッド9;C.I.ソルベントバイオレット8,13,14,21,27;C.I.ディスパーバイオレット1の如き油溶染料、C.I.ベーシックレッド1,2,9,12,13,14,15,17,18,22,23,24,27,29,32,34,35,36,37,38,39,40;C.I.ベーシックバイオレット1,3,7,10,14,15,21,25,26,27,28などの塩基性染料が挙げられる。
シアントナー用着色顔料としては、C.I.ピグメントブルー2,3,15,16,17;C.I.バットブルー6;C.I.アシッドブルー45または下記式(1)で示される構造を有するフタロシアニン骨格にフタルイミドメチル基を1乃至5個置換した銅フタロシアニン顔料などが挙げられる。
Figure 2008145920
〔式中、nは1乃至5の整数を示す。〕
イエロー用着色顔料としてはC.I.ピグメントイエロー1,2,3,4,5,6,7,10,11,12,13,14,15,16,17,23,65,73,74,83,97,155,180;C.I.バットイエロー1,3,20などが挙げられる。
また、C.I.ダイレクトグリーン6、C.I.ベーシックグリーン4、C.I.ベーシックグリーン6、ソルベントイエロー162などの染料も使用することができる。
本発明に用いられる黒色着色剤としてカーボンブラック,磁性体,上記に示すイエロー/マゼンタ/シアン着色剤を用い黒色に調色されたものが利用できる。
本発明において、トナー中に有機金属化合物を含有させることができる。本発明に使用する有機金属化合物としては、芳香族カルボン酸と2価以上の金属との化合物が好ましい。
芳香族カルボン酸としては、下記3種の化合物(2)、(3)及び(4)が挙げられる。
Figure 2008145920
〔式中、R1乃至R7は同一又は異なる基を示し、水素原子、炭素数1乃至12のアルキル基、炭素数2乃至12のアルケニル基、−OH,−NH2,−NH(CH3),−N(CH32,−OCH3,−O(C25),−COOH又は−CONH2を示す。〕
好ましいR1としては、ヒドロキシル基、アミノ基及びメトキシ基が挙げられるが、中でもヒドロキシル基が好ましい。芳香族カルボン酸としては、特にジ−tert−ブチルサリチル酸の如きジアルキルサリチル酸が好ましい。
有機金属化合物を形成する金属としては、2価以上の金属原子が好ましい。2価の金属としてMg2+,Ca2+,Sr2+,Pb2+,Fe2+,Co2+,Ni2+,Zn2+,Cu2+が挙げられる。2価の金属としては、Zn2+,Ca2+,Mg2+,Sr2+が好ましい。3価以上の金属としてはAl3+,Cr3+,Fe3+,Ni3+があげられる。これらの金属の中で好ましいのはAl3+,Fe3+,Cr3+,Zn2+であり、特に好ましいのはAl3+である。
具体的な有機金属化合物としては、3,5 ジ−tert−ブチルサリチル酸のアルミニウム化合物やジ−tert−ブチルサリチル酸の亜鉛化合物が好ましい。
芳香族カルボン酸の金属化合物は、例えば、芳香族カルボン酸を水酸化ナトリウム水溶液に溶解させ、2価以上の金属原子を溶融している水溶液を水酸化ナトリウム水溶液に滴下し、加熱撹拌し、次に水溶液のpHを調整し、室温まで冷却した後、ろ過水洗することにより合成し得る。ただし、上記の合成方法だけに限定されるものではない。
有機金属化合物は、結着樹脂100質量部当り0.1乃至10質量部(より好ましくは、0.1乃至5質量部)使用するのがトナーの粘弾性特性及び摩擦帯電特性を調整する点で好ましい。
本発明のトナーは、その帯電性をさらに安定化させる為に必要に応じて上記の有機金属化合物以外の化合物を荷電制御剤として用いることができる。
特にカラートナーをつくる場合は、トナーの色調に影響を与えない無色または淡色の正荷電制御剤を用いることが好ましい。
荷電制御剤としては、イミダゾール系化合物などである。
トナーを正帯電性とする場合には、ニグロシンやトリフェニルメタン系化合物、ローダミン系染料、ポリビニルピリジンなどが好ましい。
荷電制御剤は、結着樹脂100質量部当り0.1乃至10質量部、好ましくは0.1乃至5質量部使用するのが好ましい。
本発明に用いるトナー粒子の製造方法としては、熱ロール、ニーダー、エクストルーダーの如き熱混練機によって構成材料を良く混練した後、機械的に粉砕し、粉砕粉を分級してトナー粒子を得る方法;結着樹脂溶液中に着色剤の如き材料を分散した後、噴霧乾燥することによりトナー粒子を得る方法;結着樹脂を構成すべき重合性単量体に所定材料を混合して単量体組成物を得、この組成物の乳化懸濁液を重合させることによりトナー粒子を得る懸濁重合によるトナー製造法などが適用できる。
以下にキャリヤについて述べる。
本発明の現像剤に用いられるキャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmである。この粒径分布を有するキャリヤは、大量消費されるクリアートナーに対して適正な帯電性を与えることができる。D50が15.0μmより小さい場合には、キャリヤ1粒子当たりの磁化量が著しく小さくなるため、現像時のキャリヤ付着が極めて発生し易い状況となる。さらに、D50が70.0μmを超える場合には、キャリヤの比表面積が極端に小さくなるため、使用量の多いクリアートナーに必要十分な帯電性を付与するには、望ましくない。
本発明の現像剤に用いられるキャリヤは、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.870乃至0.950である。Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが上記範囲のキャリヤは、帯電付与速度が速い。この迅速帯電特性は、補給用現像剤中でクリアートナーと予め混合しておくことで、極めて有効に発揮させることができる。Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.870より小さいキャリヤは、均一で良好な帯電特性を得ることが困難になるほどまでに二成分現像剤の流動性を低下させる。Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.950より大きいキャリヤで作成した二成分現像剤は流動性が高くなりすぎ、また、比表面積が小さくなるため良好な帯電特性を得ることが困難である。
さらに、本発明の現像剤に用いられるキャリヤは、C−2σ(ΨΨ)以下の粒子が0.5乃至20.0個数%であることが特徴の一つである。C−2σ(ΨΨ)以下の粒子が20.0個数%より多い場合には、キャリヤ付着が生じ、また、帯電を付与する特性の均一さに劣る。したがって、そのような本発明に用いられないキャリヤは、クリアトナーのように現像均一性及び転写材上の一様性や画像品質がより高いレベルで求められるトナーと組み合わせることは好ましくない。さらに、本発明のような補給用現像剤として使用する場合には、前述のような弊害が継続的に発生するため、好ましくない。
上述してきたように、本発明の現像剤に用いられるキャリヤは、D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.870乃至0.950であり、C−2σ(ΨΨ)以下の粒子が0.5乃至20.0個数%である。これらのWadellの実用球形度の二乗の特徴は形状の均一性が高いことを示しており、そのような形状均一性を備え且つ上記特定の粒子サイズを有しているキャリヤは、現像時の感光体ドラムへの付着防止やトナーに対する均一帯電付与に極めて効果的である。該全光線透過率が30%以上のクリアトナーと組み合わせて二成分現像剤を構成することは、クリアトナーの迅速且つ均一な帯電、優れた現像性及び転写性を可能にする。そして継続的に使用した場合でも安定して上記特性を得ることを可能にする。
キャリヤの真比重が2.5乃至4.2g/cmであることはクリアトナーの耐久劣化抑制やキャリヤとトナーを混合してなる現像剤、特に補給用現像剤の搬送性、帯電性の安定化とそれに伴う現像器内のトナー濃度安定性などの点で望ましい。
キャリヤの1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am2/kgであることはクリアトナーの現像性やキャリヤ付着抑制などの点で望ましい。
磁性体がバインダー樹脂中に分散したコア(以下「磁性体分散樹脂コア」と言う)と磁性体分散樹脂コアから成る本発明の磁性体分散型樹脂キャリヤ(以下「磁性体分散樹脂キャリヤ」と言う)は、高いWadellの実用球形度の二乗の平均を有し、且つ狭いWadellの実用球形度の二乗の分布を有するという点で好ましい。さらに、磁性体分散樹脂コアとコート材とを含み構成される本発明の磁性体分散樹脂キャリヤは、該クリアトナーの良好な現像性や補給剤中での予備帯電性、及び補給剤の定常的な搬送性を実現する。以下に、この磁性体分散樹脂キャリヤについて説明する。
コート材は、アクリル系樹脂及び/またはシリコン系樹脂などからなるものが、キャリヤの迅速な帯電性や現像性をさらに高めることができるため、好ましい。
磁性体は微粒子の形態でバインダ樹脂中に分散させることが好ましい。微粒子の個数基準での平均粒径は、80乃至800nm程度のものが、磁性体の脱離防止、キャリヤ強度の向上、さらにキャリヤ形状のばらつきの抑制並びにWadellの実用球形度の二乗の向上のためには好ましい。
磁性体はマグネタイトであるか、又は、鉄元素及びマグネシウム元素を少なくとも含む磁性フェライトであることが、キャリヤの磁気特性、真比重を調整する上で、より好ましい。従来のCu-Znフェライト及びMn-Mgフェライトは、造粒時の粒子均一化、磁気分級、風力分級等によって異形形状の多く含まれる微粒子が存在しないようにすることによって、使用することは可能である。
。 磁性体の量としては、キャリヤ全量の70乃至95質量%、より好ましくは80乃至92質量%であることが、キャリヤの真比重を小さくし機械的強度を十分に確保し、又、Wadellの実用球形度の二乗の低い不定形のキャリヤの存在を抑えるために好ましい。
キャリヤの磁気特性を変えるために、コア粒子中に、非磁性無機化合物を配合してもよい。非磁性無機化合物はヘマタイト(α−Fe23)の微粒子であることがキャリヤの磁気特性、真比重を調整する上で、より好ましい。非磁性無機化合物の個数平均粒径は、100乃至1000nm程度のものがキャリヤの形状を球形に近づけるために、またキャリヤの比抵抗をコントロールするのに好ましい。
非磁性無機化合物を併用して用いる場合、磁性体と非磁性無機化合物の総量に対して、磁性体は50質量%以上含まれていることが、磁性体分散樹脂キャリヤの磁化の強さを調整してキャリヤ付着を防止する上では好ましい。
本発明に係る磁性体分散樹脂コアを製造する方法は、バインダー樹脂のモノマーと磁性体とを混合し、該モノマーを重合する方法である。例えば、水性媒体に磁性体を入れ、この水性媒体中でフェノール類とアルデヒド類を塩基性触媒の存在下で重合して硬化系フェノール樹脂から成る磁性体分散型コア粒子を得る。
コアを形成するバインダー樹脂としては、ポリマー鎖中にメチレンユニットを有するビニル樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ樹脂、フェノール樹脂、尿素樹脂、ポリウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、セルロース樹脂及びポリエーテル樹脂が挙げられる。これらの樹脂は、混合して使用しても良い。これらの樹脂を形成するモノマーとしては、ビニル樹脂を形成するためのビニル系モノマー、エポキシ樹脂を形成するためのビスフェノール類とエピクロルヒドリン、フェノール樹脂を形成するためのフェノール類とアルデヒド類、尿素樹脂を形成するための尿素とアルデヒド類、メラミンとアルデヒド類が用いられる。
ビニル系モノマーとしては、スチレン;o−メチルスチレン、m−メチルスチレン、p−メチルスチレン、p−フェニルスチレン、p−エチルスチレン、2,4−ジメチルスチレン、p−n−ブチルスチレン、p−tert−ブチルスチレン、p−n−ヘキシルスチレン、p−n−オクチルスチレン、p−n−ノニルスチレン、p−n−デシルスチレン、p−n−ドデシルスチレン、p−メトキシスチレン、p−クロルスチレン、3,4−ジクロルスチレン、m−ニトロスチレン、o−ニトロスチレン、p−ニトロスチレンの如きスチレン誘導体;エチレン; プロピレン、ブチレン、イソブチレンの如き不飽和モノオレフィン;ブタジエン、イソプレンの如き不飽和ジオレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等の如きハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル、ベンゾエ酸ビニルの如きビニルエステル;メタクリル酸;メタクリル酸メチル、メタクリル酸エチル、メタクリル酸プロピル、メタクリル酸−n−ブチル、メタクリル酸イソブチル、メタクリル酸−n−オクチル、メタクリル酸ドデシル、メタクリル酸−2−エチルヘキシル、メタクリル酸ステアリル、メタクリル酸フェニルの如きα−メチレン脂肪族モノカルボン酸エステル;アクリル酸;アクリル酸メチル、アクリル酸エチル、アクリル酸−n−ブチル、アクリル酸イソブチル、アクリル酸プロピル、アクリル酸−n−オクチル、アクリル酸ドデシル、アクリル酸−2−エチルヘキシル、アクリル酸ステアリル、アクリル酸−2−クロルエチル、アクリル酸フェニルの如きアクリル酸エステル;マレイン酸; マレイン酸ハーフエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル、ビニルイソブチルエーテルの如きビニルエーテル;ビニルメチルケトン、ビニルヘキシルケトン、メチルイソプロペニルケトンの如きビニルケトン;N−ビニルピロール、N−ビニルカルバゾール、N−ビニルインドール、N−ビニルピロリドンの如きN−ビニル化合物;ビニルナフタリン;メタクリル酸; アクリロニトリル、メタクリロニトリル、アクリルアミドの如きメタクリル酸誘導体;アクロレイン等が挙げられる。これらの中から一種又は二種以上使用して重合させたものが、該ビニル樹脂として用いられる。
フェノール類としては、フェノール自体の他、m−クレゾール、p−tert−ブチルフェノール、o−プロピルフェノール、レゾルシノール、ビスフェノールAの如きアルキルフェノール類及びベンゼン核又はアルキル基の一部又は全部が塩素原子や臭素原子で置換されたハロゲン化フェノール類の如きフェノール性水酸基を有する化合物が挙げられる。中でもフェノール(ヒドロキシベンゼン)が、より好ましい。
アルデヒド類としては、ホルマリン又はパラアルデヒドのいずれかの形態のホルムアルデヒド及びフルフラール等が挙げられる。中でもホルムアルデヒドが特に好ましい。
アルデヒド類のフェノール類に対するモル比は、1乃至4が好ましく、特に好ましくは1.2乃至3である。アルデヒド類のフェノール類に対するモル比が1より小さいと、粒子が生成し難かったり、生成したとしても樹脂の硬化が進行し難いために、生成する粒子の強度が弱くなる傾向がある。モル比が4よりも大きいと、反応後に水系媒体中に残留する未反応のアルデヒド類が増加する傾向がある。
フェノール類とアルデヒド類とを縮重合させる際に使用する塩基性触媒としては、通常のレゾール型樹脂の製造に使用されているものが挙げられる。このような塩基性触媒としては、例えば、アンモニア水、ヘキサメチレンテトラミン及びジメチルアミン、ジエチルトリアミン、ポリエチレンイミンの如きアルキルアミンが挙げられる。これら塩基性触媒のフェノール類に対するモル比は、0.02乃至0.3が好ましい。
本発明の樹脂キャリヤを得るためにはWadellの実用球形度の二乗の平均が0.870以上になるようにしなけばならない。そのためは、重合開始時の反応媒体中の溶存酸素量をコントロールすることが重要であり、5.0g/m3以下であることが好ましい。重合反応中に溶存酸素の脱気を目的として反応媒体中に導入する不活性ガスは、工業的に見て、窒素ガス、アルゴンガス及び/又はヘリウムガスがよい。該不活性ガスの導入量は、重合反応前には反応容器体積の5体積%/min乃至100体積%/minとし、重合反応中の反応媒体中へのガス導入量は1体積%/min乃至20体積%/minとすることが望ましい。重合反応前の導入ガスの流量が5体積%/minより少ないと、溶存酸素の置換効率が悪く、100体積%/minより多いと、モノマーなどの揮発が促進され、好ましくない。
重合反応中に不活性ガスが反応媒体を激しく攪拌するとを生成し、それが通常粒子に取り込まれて異形化した粒子を生成させる。重合反応中の導入ガス流量が反応容器体積に対し20体積%/minを超えると、微粒子ができやすくなる。重合反応中に導入する不活性ガスの流量を少なくすることで微粒子の生成を防止できるが、1体積%/minより少ないと、反応媒体と外気との界面に存在する酸素量が増してしまう。
球形状のキャリヤを得るために、撹拌翼周速を1.0乃至3.5m/secにコントロールすることが重要である。撹拌翼周速が1.0m/sec未満であると、重合中の粒子の解砕力が弱まり不定形粒子を形成しやすくなる。3.5m/secを超えると、微粒子が出来やすくなり、それら同士が合一したり所望粒径の粒子に合一したりして、不定形の粒子が生じやすい。
本発明のキャリヤの表面コートをする樹脂は、トナーに対して帯電付与能力が高く、かつ、より離型性の高い樹脂コート材を用いることが好適である。絶縁性の樹脂が好ましい。絶縁性樹脂は、熱可塑性の樹脂であっても熱硬化性樹脂であってもよい。
樹脂は、単独種でも複数種を混合して使用してもよい。たとえば、熱可塑性樹脂に硬化剤等を混合し硬化させて使用することもできる。
熱可塑性の樹脂の例としては、ポリスチレン、ポリメチルメタクリレートやスチレン−アクリル酸共重合体等のアクリル樹脂、スチレン−ブタジエン共重合体、エチレン−酢酸ビニル共重合体、ポリ塩化ビニル、ポリ酢酸ビニル、ポリフッ化ビニリデン樹脂、フルオロカーボン樹脂、パーフロロカーボン樹脂、溶剤可溶性パーフロロカーボン樹脂、ポリビニルアルコール、ポリビニルアセタール、ポリビニルピロリドン、石油樹脂、セルロース、酢酸セルロース、硝酸セルロース、メチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシメチルセルロース、ヒドロキシプロピルセルロース等のセルロース誘導体、ノボラック樹脂、低分子量ポリエチレン、飽和アルキルポリエステル樹脂、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート、ポリアリレートといった芳香族ポリエステル樹脂、ポリアミド樹脂、ポリアセタール樹脂、ポリカーボネート樹脂、ポリエーテルスルホン樹脂、ポリスルホン樹脂、ポリフェニレンサルファイド樹脂、ポリエーテルケトン樹脂を挙げることができる。
熱硬化性樹脂の例としては、フェノール樹脂、変性フェノール樹脂、マレイン樹脂、アルキド樹脂、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、或いは、無水マレイン酸とテレフタル酸と多価アルコールとの重縮合によって得られる不飽和ポリエステル、尿素樹脂、メラミン樹脂、尿素−メラミン樹脂、キシレン樹脂、トルエン樹脂、グアナミン樹脂、メラミン−グアナミン樹脂、アセトグアナミン樹脂、グリプタール樹脂、フラン樹脂、シリコン樹脂、ポリイミド、ポリアミドイミド樹脂、ポリエーテルイミド樹脂、ポリウレタン樹脂を挙げることができる。
シリコン樹脂は、磁性体分散樹脂コアとの密着性、スペント防止の観点から、好ましく用いられる。
シリコン樹脂は、単独で用いることもできるが、被覆層の強度を高め、トナーの帯電状態を好ましく制御するために、カップリング剤と併用して用いることが好ましい。コア表面がカップリング剤により処理されることにより、その後コート材により形成される被覆層が、共有結合を伴った、より密着性の高い状態で形成することができる。カップリング剤は、その一部が、コート材で被覆される前に、キャリアコア表面に処理される、いわゆるプライマー剤として用いられることが好ましい。
カップリング剤としては、アミノシランを用いると良い。その結果、ポジ帯電性を持ったアミノ基をキャリヤ表面に導入でき、良好にトナーに高い負帯電特性を付与できる。
本発明においてさらに好適に用いる樹脂としては、具体的には、ポリフッ化ビニル、ポリフッ化ビニリデン、ポリトリフルオロエチレン、ポリフルオロクロロエチレンの如きパーフルオロポリマー、ポリテトラフルオロエチレン、ポリパーフルオロプロピレン、フッ化ビニリデンとアクリル単量体との共重合体、フッ化ビニリデンとトリフルオロクロルエチレンとの共重合体、テトラフルオロエチレンとヘキサフルオロプロピレンとの共重合体、フッ化ビニルとフッ化ビニリデンとの共重合体、フッ化ビニリデンとテトラフルオロエチレンとの共重合体等のフッ素系樹脂が挙げられるが、特に本発明に最も好ましく用いられるコート材を形成する樹脂としては、
Figure 2008145920
〔式中、mは1乃至11の整数を示す。〕
で示されるパーフルオロアルキルユニットを有する(メタ)アクリル酸エステルの重合体又は共重合体である。
本発明では、mが0の場合には、離型性を発現するのが難しく、11を超える場合には、樹脂が溶媒から析出しやすく、コートをする場合に良好なコート膜が得にくくなる。mが5乃至9であることが、良好なトナー離型性とコート製膜性を兼ね備えるためにより好ましい。
さらに好ましくは、下記一般式(6)を有する樹脂を用いることで、コアとの密着性に優れる。
Figure 2008145920
〔式中、mは1乃至11の整数を示し、nは1乃至10の整数を示す。〕
さらに、下記一般式(7)で示されるユニットと下記一般式(8)で示される(メタ)アクリル酸エステルユニットを有する樹脂が、キャリヤからのトナー離れに好ましい。
Figure 2008145920
〔式中、mは1乃至11の整数を示し、nは1乃至10の整数を示し、lは1以上の整数を示す。〕
Figure 2008145920
〔式中、R1は水素又はメチル基を有し、R2は水素又は炭素数1乃至20のアルキル基、または芳香族基を示し、kは1以上の整数を示す。〕
さらに上記一般式(7)及び(8)の共重合体ユニットと分子量2000乃至20,000程度のメチル(メタ)アクリレート、エチル(メタ)アクリレート、プロピル(メタ)アクリレート、(イソ)ブチル(メタ)アクリレート等のマクロモノマーとをグラフト共重合した樹脂がトナー離れの特性が維持でき特に好ましい。
該コート材を形成するフッ素系樹脂は、THF可溶成分のGPCのクロマトグラムにおいて、分子量2,000乃至100,000の領域にメインピークを有することが好ましく、同領域にサブピーク又はショルダーを有することが好ましい。分子量20,000乃至100,000の領域にメインピークを有し、分子量2,000乃至19,000の領域にサブピーク又はショルダーを有するものが最も好ましい。上記分子量分布を満足していることにより、トナーへの高い帯電付与性がさらに向上する。
さらに、該コート材には、フッ素系樹脂100質量部に対して1乃至40質量部の割合で微粒子を含有することがキャリヤ表面の微小な凹凸をコントロールし、トナー離れを良好にするために好ましい。微粒子としては、有機、無機いずれも微粒子を用いることができるが、キャリヤにコートを施す際に粒子の形状を保つことが必要であり、架橋樹脂粒子あるいは、無機の微粒子を好ましく用いることができる。具体的には、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、架橋ポリスチレン樹脂、メラミン樹脂、フェノール樹脂、ナイロン樹脂、無機微粒子としては、シリカ、酸化チタン、及びアルミナ等から単独あるいは混合して用いることができる。特に、架橋ポリメチルメタクリレート樹脂、メラミン樹脂等から単独あるいは混合して用いることがトナーへの高い負帯電量付与とトナーとの離型性を両立するために好ましい。
微粒子の粒径は、個数基準でピーク値が100乃至500nm(より好ましくは150乃至400nm)であることが、コート量にも依存するがキャリヤ表面の微小な凹凸を形成し、トナー離れを良好にするために必要である。
また、本発明の磁性キャリヤにあっては、コート樹脂100質量部に対し、該微粒子を1乃至40質量部加え、さらに導電性粒子を1乃至15質量部を含有させることが、キャリヤの比抵抗を下げすぎず、かつキャリヤ表面の残留電荷除去し、トナー離れを良好にする。
導電性粒子としては、比抵抗が1×108Ωcm以下のものが好ましく、さらには、比抵抗が1×106Ωcm以下のものがより好ましい。導電性粒子は、具体的には、カーボンブラック、マグネタイト、グラファイト、酸化亜鉛、及び酸化錫から選ばれる少なくとも一種以上の粒子を含有する粒子が好ましい。特に導電性を有する粒子としては、カーボンブラックが、粒径が小さくキャリヤ表面の微粒子による凹凸を阻害することなく好ましく用いることができる。導電性粒子の粒径は、個数基準でピーク値が10乃至500nm(より好ましくは20乃至200nm)であることが、キャリヤ表面の残留電荷を良好に除去し、かつキャリヤからの脱離を良好に防止するために好ましい。
コート層を形成する樹脂のコート量は、コア粒子100質量部に対し0.3乃至4.0質量部であることが、高い帯電量付与のため、さらに環境の変化による帯電量変化を小さくする上で好ましい。0.3質量部より少ないと帯電付与性に劣る場合がある。4.0質量部を超えるとコート時に均一なコートができなくなり、チャージアップし、キャリヤ付着する場合がある。良好な帯電量付与及びトナー離れを得るため、0.8乃至3.5質量部であることが好ましい。
コート材をキャリヤ表面に被覆する際には、30乃至80℃の温度下において、減圧状態で被覆することが好ましい。
その理由は明確ではないが、下記に記載するものと予想される。
(1)被覆段階で適度の反応が進行し、キャリヤコア表面にコート材が均一に、また平滑に被覆される。
(2)焼き付け工程において、少なくとも160℃以下での低温処理が可能となり、樹脂の過度な架橋を防止し、被覆層の耐久性を高められる。
本発明のトナーの球形化程度と離型剤のしみ出しとのバランスを取るのにより好適な球形化処理を行える装置を、図面を参照しながら具体的に説明する。
図7は、本発明に使用する表面改質装置の一例を示す。
図7に示す表面改質装置は、ケーシング85と、冷却水或いは不凍液を通水できるジャケット(不図示)と、所定の粒径以下の微粒子を分ける分級手段である分級ロータ71と、粒子に機械的な衝撃を与えて前記粒子の表面を処理する表面処理手段である分散ロータ76と、分散ロータ76の外周に対して所定の間隔を有して周設されるライナ74と、分級ロータ71で分けられた粒子のうちの所定の粒径を含む粒子を分散ロータ76に案内する案内手段であるガイドリング79と分級ロータ71で分けられた粒子のうちの所定の粒径以下の微粒子を装置の外に排出する排出手段である微粉回収用排出口72と、分散ロータ76で表面を処理された粒子を分級ロータ71に送る粒子循環手段である冷風導入口75と、被処理粒子をケーシング85内に導入するための原料供給口73と、表面を処理された粒子をケーシング85内から排出するための開閉自在な粉体排出口77及び排出弁78とを有する。
分級ロータ71は、円筒状のロータであり、ケーシング85内の上側一端部に設けられている。微粉回収用排出口72は、分級ロータ71の内側の粒子を排出するように、ケーシング85の一端部に設けられている。原料供給口73は、ケーシング85の周面の中央部に設けられている。冷風導入口75は、ケーシング85の周面の他端面側に設けられている。粉体排出口77は、ケーシング85の周面で原料供給口73に対向する位置に設けられている。排出弁78は、粉体排出口77を自在に開閉する弁である。
冷風導入口75と、原料供給口73及び粉体排出口77との間には、分散ロータ76及びライナ74が設けられている。ライナ74は、ケーシング85の内周面に沿って周設されている。分散ロータ76は、図8に示すように、円盤と、この円盤の周縁に、円盤の法線に沿って配置される複数の角型ディスク80とを有する。分散ロータ76は、ケーシング85の下側上面に設けられており、かつライナ74と角型ディスク80との間に所定の間隔が形成される位置に設けられている。ケーシング85の中央部にはガイドリング9が設けられている。ガイドリング79は、円筒体であり、分級ロータ71の外周面の一部に被さる位置から、かつ分級ロータ76の近傍まで延出するように設けられている。ガイドリング79は、ケーシング85内に、ガイドリング79の外周面とケーシング85の内周面とに挟まれた空間である第一の空間81と、ガイドリング79の内側の空間である第二の空間82とを形成する。
なお、分散ロータ76は、角型ディスク80の代わりに円柱状のピンを有していても良い。ライナ74は、本実施の形態では角型ディスク80に対向する表面に多数の溝が設けられているものとするが、表面に溝を有さないものであっても良い。また、分級ロータ71の設置方向は、図7に示したように縦型でも構わないし、横型でも構わない。また、分級ロータ71の個数は、図7に示したように単体でも構わないし、複数でも構わない。
このような装置では、熱による離型剤のしみ出しはほとんど無く、トナー粒子の球形化と離型剤のしみ出しの調整を容易に行うことができ、この結果、トナー帯電量も高くでき非常に好ましい。
以下に本発明で用いる各物性値の測定方法について述べる。
A トナーの物性値の測定方法
<クリアトナーの全光線透過率の測定方法>
日本電色工業株式会社製のNDH2000を用い、全光線透過率試験法(JIS K7361-1,ISO 13468-1)に準じて行う。測定サンプルは、以下のように調製する。東京ガラス社製の光路長1mmのガラスセル(製品名;Fineガラスセル テンパックスEGE)にクリアートナーを充填する。前記ガラスセルを1回/1秒の割合で、二分間振動を加える。さらに、ガラスセルにクリアートナーを充填し、前記割合で二分間振動を加える。その後、前記セルをヒートパネル上で過熱し、170℃で3分間加熱する。その後、ヒートパネルの電源を切って、温度23℃、湿度60%の環境に放置して、冷却して、測定サンプルとする。
<トナーの粒径測定方法>
測定装置としては、コールターマルチサイザーII(コールター社製)を用いる。電解液は、1級塩化ナトリウムを用いて、約1%NaCl水溶液を調製する。例えば、ISOTON−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)が使用できる。測定方法としては、前記電解水溶液100乃至150ml中に分散剤として、界面活性剤(好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩)を、0.1乃至5ml加え、さらに測定試料を2乃至20mg加える。試料を懸濁した電解液は、超音波分散器で約1乃至3分間分散処理を行ない、前記測定装置により、アパーチャーとして100μmアパーチャーを用いて、トナー粒子の体積及び個数を各チャンネルごとに測定して、トナーの体積分布と個数分布とを算出する。それから、トナー粒子の体積分布から求めた重量基準のトナーの重量平均粒径(D4)(各チャンネルの中央値をチャンネル毎の代表値とする)を求める。
チャンネルとしては、2.00乃至2.52μm;2.52乃至3.17μm;3.17乃至4.00μm;4.00乃至5.04μm;5.04乃至6.35μm;6.35乃至8.00μm;8.00乃至10.08μm;10.08乃至12.70μm;12.70乃至16.00μm;16.00乃至20.20μm;20.20乃至25.40μm;25.40乃至32.00μm;32.00乃至40.30μmの13チャンネルを用いる。
<トナー平均円形度の測定>
<トナー粒子の平均円形度>
トナー粒子の平均円形度は、フロー式粒子像分析装置「FPIA−3000型」(シスメックス社製)によって、校正作業時の測定・解析条件で測定した。
具体的には、イオン交換水20mlに、分散剤として界面活性剤、好ましくはアルキルベンゼンスルホン酸塩を0.02g加えた後、測定試料0.02gを加え、発振周波数50kHz、電気的出力150Wの卓上型の超音波洗浄器分散機(例えば「VS−150」(ヴェルヴォクリーア社製など)を用いて2分間分散処理を行い、測定用の分散液とした。その際、分散液の温度が10℃以上40℃以下となる様に適宜冷却する。
測定には、標準対物レンズ(10倍)を搭載した前記フロー式粒子像分析装置を用い、シース液にはパーティクルシース「PSE−900A」(シスメックス社製)を使用した。前記手順に従い調整した分散液を前記フロー式粒子像分析装置に導入し、HPF測定モードで、トータルカウントモードにて3000個のトナー粒子を計測して、粒子解析時の2値化閾値を85%とし、解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定し、トナー粒子の平均円形度を求めた。
測定にあたっては、測定開始前に標準ラテックス粒子(例えばDuke Scientific社製5200Aをイオン交換水で希釈)を用いて自動焦点調整を行う。その後、測定開始から2時間毎に焦点調整を実施することが好ましい。
なお、本願実施例では、シスメックス社が発行する校正証明書の発行を受けたフロー式粒子像分析装置を使用した。解析粒子径を円相当径2.00μm以上、200.00μm以下に限定した以外は、校正証明を受けた時の測定及び解析条件で測定を行った。
<トナーの示差走査熱量計(DSC)測定>
示差走査熱量計(DSC測定装置),DSC−7(パーキンエルマー社製)を用いてASTM D3418−82に準じて測定する。
測定試料は2乃至10mg、好ましくは5mgを精密に秤量する。これをアルミパン中に入れ、リファレンスとして空のアルミパンを用い、測定温度範囲30乃至200℃の間で、昇温速度10℃/minで常温常湿下で測定を行う。この昇温過程で、温度30乃至200℃の範囲におけるDSC曲線のメインピークの吸熱ピークが得られる。
B. キャリヤの物性値の測定方法
<キャリヤの粒径の測定>
磁性キャリヤ粒子の粒径については、レーザー回折式粒度分布測定装置SALD−300V(島津製作所製)により測定して体積平均粒径を算出する。
<キャリヤの個数基準のWadellの実用球形度の二乗の平均Cおよび標準偏差σ(ΨΨ)の測定>
キャリヤのWadellの実用球形度の二乗の平均Cはマルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用いて測定する。本装置の測定原理は、コールターマルチサイザーIIにおいて粒子がアパーチャーを通過する際に生じる電流パルスをトリガーにしてストロボを点火し、CCDでその投影像を記録し、画像解析処理を行うものである。得られるグラフ上でのプロットと粒子画像写真が1:1に対応しているので、ピンぼけあるいは凝集粒子などの除去が可能となる。
Wadellの実用球形度の二乗の平均Cの算出に当たっては、粒子の投影面積と同じ面積を有する円の直径の範囲4乃至100μmを256等分し、個数基準で対数表示して用いる。図5に実際の測定結果の図を示す。横軸が円相当径であり、左軸が個数基準の粒度頻度(%)を棒グラフで表示し、右軸がWadellの実用球形度の二乗でドットで表示する。本体ソフトで求められるWadellの実用球形度の二乗の平均C及び標準偏差σ(ΨΨ)からWadellの実用球形度の二乗の平均C−2σ(ΨΨ)を計算し、グラフ上からWadellの実用球形度の二乗の平均C−2σ(ΨΨ)以下の粒子の個数を求め、全体の粒子個数で除して存在率を求める。これら一連の測定・計算は、マルチイメージアナライザー付属のソフト中で処理する。
具体的な測定手順を以下に説明する。グリセリンと電解液として約1%NaCl水溶液とを50体積%:50体積%で混合した溶液を分散媒として約30mlガラス容器に用意し、そこに分散剤として界面活性剤であるアルキルベンゼンスルホン塩酸0.1〜1.0mlを加える。その溶液に、測定するキャリヤ粉体2乃至20mgを濃度が5〜10%になるように加え、激しく撹拌して、測定用試料液を得る。200μmアパーチャー、レンズ20倍のマルチイメージアナライザー(ベックマン・コールター社製)を用意し、以下の測定条件とする。
測定フレーム内平均輝度:220乃至230
測定フレーム設定:300
SH(スレシュホールド):50
2値化レベル:180
試料液の吸引圧を10kPaにして、試料液を装置に導入する。キャリヤ比重が大きく沈降しやすいので測定時間を15乃至30分になるようにする。5乃至10分ごとに測定を中断して、被測定液の補充及び分散媒の補充を行う。測定個数は2000個とする。ただし、装置の粒子画像画面でピンぼけ画像、凝集粒子(複数同時測定)などの除去を行う。
電解液用のNaClには市販の1級塩化ナトリウムを用いることが出来る。電解液としては他に例えばISOTON(登録商標)−II(コールターサイエンティフィックジャパン社製)も使用できる。グリセリンは、市販の特級あるいは1級の試薬を用いることが出来る。を加えたものに測定試料を加えて超音波分散器で約1分間分散処理して被測定液とする。
<キャリヤ中の磁性体、非磁性無機化合物等の粒径の測定>
磁性体及び非磁性無機化合物等の粒径の測定は次のようにして行われる。ミクロトーム等により切断したキャリヤの断面を走査電子顕微鏡(50,000倍)で画像化し、粒径が5nm以上の粒子をランダムに300個以上抽出し、夫々の粒子の長軸と短軸をデジタイザにより測定する。両軸の長さを平均したものをその粒子の粒径とする。抽出した300個以上の粒子を粒径ごとに幅10nmで区切った粒子径区分に分け、得られたヒストグラムのピークになる区分の中心値の粒径すなわちモード径をもって平均粒径とする。走査電子顕微鏡の代わりに透過電子顕微鏡(TEM)による写真(50,000倍)から、上記の方法と同様にして平均粒径を求めてもよい。
<キャリヤコート樹脂中の微粒子等の粒径の測定>
キャリヤコート樹脂中の微粒子等の粒径の測定は、キャリヤからコート材をトルエンなどコート材が可溶な溶媒に溶かしだし遊離してきた微粒子成分を測定対象としたこと、顕微鏡画像から抽出した粒子の個数を500個以上としたことを除いては、キャリヤ中の磁性体、非磁性無機化合物等の粒径の測定と同じ方法にて行われる。
<キャリヤの磁化の強さの測定>
キャリヤの磁化の強さは、理研電子(株)製の振動磁場型磁気特性自動記録装置BHV−30を用いて測定することができる。測定方法としては、円筒状のプラスチック容器に十分密になるようにキャリヤを充填し、一方で79.6(kA/m)(1000エルステッド)の外部磁場を作り、この状態で該容器に充填したキャリヤの磁化モーメントを測定する。さらに、該容器に充填したキャリヤの実際の質量を測定して、キャリヤの磁化の強さ(Am2/kg)を求める。さらに、得られた値にキャリヤの真比重(g/cm3)を掛けて、キャリヤ体積当たりの磁化の強さ(kAm2/m3)を求めることが出来る。
<キャリヤの真比重の測定>
キャリヤ粒子の真比重は、乾式自動密度計オートピクノメータ(ユアサアイオニクス社製)により求めることができる。
<キャリヤ、非磁性無機化合物及び磁性体の比抵抗の測定>
磁性キャリヤ、非磁性無機化合物及び磁性体の比抵抗値は、図4に示した測定装置を用いて行なう。セルEに、キャリヤ粒子を充填し、該充填キャリヤ粒子に接するように下部電極21及び上部電極22を配し、これらの電極間に1000Vから200Vまで200V間隔で電圧を印加し、それぞれのときに流れる電流を測定することによって比抵抗を求める方法を用いる。本発明における比抵抗の測定条件は、充填キャリヤ粒子と電極との接触面積S=約2.3cm2、厚みL=約0.2mm、上部電極22の荷重180gとする。1000Vから200Vの時の抵抗値をそれぞれプロットし、そのプロファイルから4000V/cmとなる比抵抗値をグラフ上から求めて比抵抗とする。
以下に本発明に関する製造例及び実施例を示すが、本発明はこれらのみに限定されるものではない。
(キャリヤの製造例)
(キャリヤAの製造)
個数平均粒径230nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉及び個数平均粒径220nm、比抵抗4.9×107Ω・cmのヘマタイト粉に、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記処理したマグネタイト微粒子 76質量部
・上記処理したヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.5g/m3であった。次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し90℃まで撹拌しながら昇温・保持し、5時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.0m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、50℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径35.0μmの球状の磁性キャリヤコアaを得た。
還流冷却器,温度計,窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコを用意した。一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、下記化合物例(9)をユニットとするモノマー25質量部、メチルメタクリレート72質量部を、同4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加えた。窒素気流下90℃で10時間保ち、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。グラフト共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、22,000であった。
Figure 2008145920
グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)30質量部に対し、架橋メラミン樹脂粒子(個数平均粒径230nm)0.5質量部、カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量40ml/100g)1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリヤコアa1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリヤ表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリヤ粒子を0.3×10-23/hの窒素導入量下、100℃で3時間撹拌しながら熱処理した。冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、体積平均粒径35.3μm、真比重3.60g/cm3、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗6.2×108Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.922、標準偏差σ(ΨΨ)0.028、(C−2σ(ΨΨ))=0.866以下の粒子存在率が2.1%のキャリヤAを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子はごくわずかであった。
(キャリヤBの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径250nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉及び個数平均粒径500nm、比抵抗2.3×10Ω・cmのヘマタイト粉に、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
・フッ化カルシウム 1質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/m3であった。次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し90℃まで撹拌しながら昇温・保持し、5時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.0m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径35.6μmの磁性キャリヤコアbを得た。
シリコーン樹脂SR2410(東レダウコーニング(株)製)を、シリコーン樹脂固形分として10質量%になるようトルエン200質量部で希釈した。その後、γ−アミノプロピルトリメトキシシランをシリコーン樹脂に対して8質量部添加し、さらに球形シリカ粒子(個数平均粒径280nm)を2質量部加え、ホモジナイザーによりよく混合した。
シランカップリング剤で処理された磁性キャリアコア(c)を50℃で撹拌しながら、減圧下で添加して、上記コート材により樹脂被覆を行った。その後、窒素導入量を0.3×10-23/hにしながら窒素ガスの雰囲気下で2時間撹拌しつつ、トルエンを揮発させた後、窒素ガスによる雰囲気下で140℃、2時間熱処理を行い、冷却後、解砕した後、目開き76μmの篩で粗粒を除去して、
体積平均粒径37.2μm、真比重3.56g/cm3、磁化の強さ41Am2/kg、比抵抗7.3×1011Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.897、標準偏差σ(ΨΨ)0.054、(C−2σ(ΨΨ))=0.788以下の粒子存在率が5.5%のキャリヤBを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子は少なかった。
(キャリヤCの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径300nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉及び個数平均粒径310nm、比抵抗4.9×107Ω・cmのヘマタイト粉に、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
・フッ化カルシウム 1質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/m3であった。[次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し80℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は1.5m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径52.7μmの磁性キャリヤコアcを得た。
得られた磁性キャリヤコアcに、キャリヤコアbに対するのと同処方の、ただしシリコーン樹脂固形分として6質量%になるように代えて、樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径53.2μm、真比重3.63g/cm3、磁化の強さ70Am2/kg、比抵抗3.0×10Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.900、標準偏差σ(ΨΨ)0.052、(C−2σ(ΨΨ))=0.797以下の粒子存在率が5.9%のキャリヤCを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子は少なかった。
(キャリヤDの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径200nm、比抵抗8.8×10Ω・cmのマグネタイト粉に、4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水15質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.5g/m3であった。次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し85℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は2.6m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径23.0μmの磁性キャリヤコアdを得た。
得られた磁性キャリヤコアdに、キャリヤコアbに対するのと同処方の、ただしシリコーン樹脂固形分として19質量%になるように代えて、樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径23.5μm、真比重3.57g/cm3、磁化の強さ61Am2/kg、比抵抗[3.5×108]Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.872、標準偏差σ(ΨΨ)0.051、(C−2σ(ΨΨ))=0.770以下の粒子存在率が2.6%のキャリヤDを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子はごくわずかであった。
(キャリヤEの製造)
磁性キャリアコアCを使用する。
還流冷却器,温度計,窒素吸い込み管及びすり合わせ方式撹拌装置を配した4ツ口フラスコを用意した。一方の末端にエチレン性不飽和基を有する重量平均分子量5,000のメチルメタクリレートマクロマー3質量部、メチルメタクリレート72質量部を、同4ツ口フラスコに添加し、更にトルエン100質量部、メチルエチルケトン100質量部、アゾビスイソバレロニトリル2.4質量部を加え、窒素気流下80℃で10時間保ち、グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)を得た。グラフト共重合体のゲルパーミエーションクロマトグラム(GPC)による重量平均分子量は、19,000であった。
グラフト共重合体溶液(固形分33質量%)30質量部に対し、架橋メラミン樹脂粒子(個数平均粒径230nm)0.5質量部、カーボンブラック(個数平均粒径30nm、DBP吸油量40ml/100g)1.0質量部、トルエン100質量部をホモジナイザーによりよく混合する。ついで、キャリヤコアa1000質量部を剪断応力を連続して加えながら撹拌しつつ、上記コート液を徐々に加え、溶媒を70℃で揮発させて、キャリヤ表面への樹脂コートを行った。この樹脂コートされた磁性キャリヤ粒子を窒素導入量を0.3×10-23/hにしながら100℃で2時間撹拌しながら熱処理した。冷却後、解砕した。目開き76μmの篩で粗粒を除去して、]体積平均粒径53.1μm、真比重3.62g/cm3、磁化の強さ67Am2/kg、比抵抗9.9×108Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.907、標準偏差σ(ΨΨ)0.051、(C−2σ(ΨΨ))=0.803以下の粒子存在率が5.5%のキャリヤEを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子は少なかった。
(キャリヤFの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径450nm、比抵抗5.3×105Ω・cmのマグネタイト粉及び個数平均粒径460nm、比抵抗5.0×107Ω・cmのヘマタイト粉[に、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で110℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/m3であった。次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し80℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は1.2m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径63.0μmの磁性キャリヤコアfを得た。
得られた磁性キャリヤコアfに、キャリヤコアeに対するのと同処方の、ただしアクリル樹脂固形分として17質量部に代えて、樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径63.8μm、真比重3.60g/cm3、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗[3.5×108]Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.899、標準偏差σ(ΨΨ)0.054、(C−2σ(ΨΨ))=0.790以下の粒子存在率が6.1%のキャリヤFを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子は少なかった。
(キャリヤGの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径250nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉及び個数平均粒径260nm、比抵抗4.9×107Ω・cmのヘマタイト粉を表面処理せずに用いた。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
・フッ化カルシウム 1質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.2g/m3であった。窒素を導入せず、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し85℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は1.8m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、60℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径35.6μmの磁性キャリヤコアgを得た。
得られた磁性キャリヤコアgにキャリヤコアaに対するのと同処方の樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径35.6μm、真比重3.58g/cm3、磁化の強さ65Am2/kg、比抵抗3.5×108Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.874、標準偏差σ(ΨΨ)0.076、(C−2σ(ΨΨ))=0.722以下の粒子存在率が20.4%のキャリヤGを得た。球形のものが多かったが、楕円形、不定形の粒子が混在していた。
(キャリヤHの製造)
キャリヤAに用いた個数平均粒径250nm、比抵抗5.1×105Ω・cmのマグネタイト粉を600℃で5時間焼成して、個数平均粒径300nm、比抵抗9.3×10Ω・cmのマグネタイト粉を得た。前記マグネタイト粉及び個数平均粒径260nm、比抵抗4.9×107Ω・cmのヘマタイト粉に、それぞれ4.0質量%のシラン系カップリング剤(3−(2−アミノエチルアミノプロピル)トリメトキシシラン)を加え、容器内で130℃で高速混合撹拌し、表面処理した。
・フェノール 10質量部
・ホルムアルデヒド溶液(ホルムアルデヒド37質量%水溶液) 6質量部
・上記マグネタイト微粒子 76質量部
・上記ヘマタイト微粒子 8質量部
上記材料と、28質量%アンモニア水5質量部、水10質量部をフラスコに入れ、よく混合した。このときの反応媒体中の溶存酸素量は7.4g/m3であった。次いでこの反応媒体中に窒素ガスを導入した。窒素ガスの導入量は1.5×10-23/hの流量で、20分間の置換を行った。また、このときの反応媒体中の溶存酸素量は1.00g/m3であった。その後は窒素導入量を0.3×10-23/hに抑え、室温から平均昇温速度3.0℃/分で加熱し60℃まで撹拌しながら昇温・保持し、3時間重合反応させて硬化させた。このときの撹拌翼周速は3.2m/secとした。その後、30℃まで冷却し、更に水を添加した後、上澄み液を除去し、沈殿物を水洗した後、風乾した。次いで、これを減圧下(5hPa以下)、50℃の温度で乾燥して、磁性体が分散された状態の体積平均粒径13.6μmの磁性キャリヤコアhを得た。
得られた磁性キャリヤコアhに、キャリヤコアaに対するのと同処方の、ただしフッ素樹脂固形分として5質量%となるように代えて、樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径14.5μm、真比重3.59g/cm3、磁化の強さ72Am2/kg、比抵抗2.9×10Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.862、標準偏差σ(ΨΨ)0.075(C−2σ(ΨΨ))=0.793以下の粒子存在率が7.7%のキャリヤHを得た。殆どが球形乃至楕円形を呈しており、不定形の粒子は少なかった。
(キャリヤIの製造)
CuO15重量部、ZnO15重量部、Fe 70重量部をそれぞれ微粒化した後、水を添加混合し、約70μmの大きさに造粒した後、1350℃にて焼成、粒度調製をして、体積平均粒径73.1μmの磁性キャリヤコアiを得た。
得られた磁性キャリヤコアiに、キャリヤコアaに対するのと同処方の、ただしフッ素樹脂固形分として17質量%となるように代えて、樹脂コート、熱処理及び篩分を施した。体積平均粒径73.5μm、真比重5.03g/cm3、磁化の強さ80Am2/kg、比抵抗4.0×108Ω・cm、Wadellの実用球形度の二乗の平均Cが0.914、標準偏差σ(ΨΨ)0.113、(C−2σ(ΨΨ))=0.800以下の粒子存在率が10.8%のキャリヤIを得た。球形のものが多かったが、楕円形、不定形の粒子が混在していた。
<結着樹脂の製造>
(ハイブリッド樹脂Aの製造例)
温度計、攪拌機、コンデンサー及び窒素導入管を備えたオートクレーブに、トルエン100.00部、オクタン100.00部、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン48.10部(35...0モル%)、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン19.20部(15.0モル%)、テレフタル酸20.40部(31.3モル%)、無水トリメリット酸9.40部(12.4モル%)、フマル酸2.90部(6.3モル%)、DSCにおける最大吸熱ピーク温度が75℃の精製ノルマルパラフィンワックス4.00部及び酸化ジブチル錫0.30部を入れ、オートクレーブ内を窒素ガスで置換した後、密閉した。その後、撹拌しながら徐々に昇温し、180℃で保持した。
一方、スチレン17.80部、アクリル酸2−エチルヘキシル4.80部、フマル酸2.00部、ジ−t−ブチルパーオキサイド0.50部を常温でよく混合し、この混合物を先のオートクレーブに3時間かけて注入してビニル系モノマーのラジカル重合を行い、ビニル系共重合体の生成と共に、前記パラフィンワックスへのビニル系モノマーのグラフト化反応を行った。その後、反応液を200℃まで昇温して3時間保持した後、一旦反応液を100℃まで冷却、保持し、減圧下で、反応で生成した縮合水と共にトルエン、オクタンの大部分を留去した。その後、さらに反応液を200℃まで昇温し、3時間保持することで、縮合反応を完結すると共に脱水、脱溶剤を行い、ハイブリッド樹脂Aを得た。GPCによる分子量測定の結果、Mw=76000、Mp=3000であった。
<トナーの製造>
(クリアートナーの製造例1)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.00質量部
・BET比表面積205cm2/gのシリカ微粒子 1.00質量部
上記の材料を十分にヘンシェルミキサーにより予備混合した。その後、二軸押出し混練機で溶融混練し、冷却後ハンマーミルを用いて約1乃至2mm程度に粗粉砕し、次いでエアージェット方式による微粉砕機で20μm以下の粒径に微粉砕した。
その後、図7及び図8に示す、機械式衝撃力を用いる表面改質処理(球形化処理)と分級を同時に行う装置にて微粉砕物を処理して、トナー粒子1を得た。前述したFPIA−3000によりトナー粒子1の平均円形度を測定したところ、0.931であった。
さらに、このトナー粒子1 100.00部と、i−C49Si(OCH33 30.00部で処理した疎水性酸化チタン微粉末(BET法による比表面積150m2/g)1.50部とをヘンシェルミキサーにより混合して、クリアートナーCL1とした。前記トナーの全光線透過率は、35%であった。
(クリアートナーの製造例2)
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50質量部
・BET比表面積205cm2/gのシリカ微粒子 0.50質量部
とすること以外は、クリアートナーの製造例1と同様にして、クリアートナーCL2を得た。
(クリアートナーの製造例3)
クリアートナーの製造例2において、BET比表面積205cm/gのシリカ微粒子に変えて、BET比表面積85cm/gのシリカ微粒子を使用すること以外は、同様にして、クリアートナーCL3を得た。
(クリアートナーの製造例4)
クリアートナーの製造例2において、BET比表面積205cm/gのシリカ微粒子に変えて、BET比表面積170cm/gのチタニア微粒子を使用すること以外は、同様にして、クリアートナーCL4を得た。
(クリアートナーの製造例5)
クリアートナーの製造例2で、銅フタロシアニン0.02質量部を加えること、粉砕条件、表面改質条件を変更することにより、クリアートナーCL5を得た。同トナーの全光線透過率は40%、重量平均粒径は3.1μmであった。
(クリアートナーの製造例6)
クリアートナーの製造例2の粉砕条件、表面改質条件を変更することにより、クリアートナーCL6を得た。同トナーの全光線透過率は70%、重量平均粒径は10.0μmであった。
(クリアートナーの製造例7)
ビニル系共重合体の材料として、スチレン10質量部、2−エチルヘキシルアクリレート5質量部、フマル酸2質量部、α−メチルスチレンの2量体5質量部にジクミルパーオキサイド5質量部を滴下ロートに入れた。また、ポリオキシプロピレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン25質量部、ポリオキシエチレン(2.2)−2,2−ビス(4−ヒドロキシフェニル)プロパン15質量部、テレフタル酸9質量部、無水トリメリット酸5質量部、フマル酸24質量部及び2−エチルヘキサン酸錫0.2質量部をガラス製4リットルの四つ口フラスコに入れた。温度計、撹拌棒、コンデンサー及び窒素導入管を四つ口フラスコに取りつけ、マントルヒーター内に設置した。次に四つ口フラスコ内を窒素ガスで置換した後、撹拌しながら徐々に昇温し、130℃の温度で攪拌しつつ、先の滴下ロートより、ビニル系共重合体の単量体、架橋剤及び重合開始剤を約4時間かけて滴下した。次いで200℃に昇温を行い、約4時間反応せしめて、重量平均分子量79,000,数平均分子量3900の樹脂を得た。
・上記樹脂 100質量部
・精製ノルマルパラフィン(最大吸熱ピーク温度80℃) 5質量部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1質量部
上記の処方の材料をヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合した後、温度130℃に設定した二軸混練機(PCM−30型、池貝鉄工(株)製)にて混練した。得られた混練物を冷却し、ハンマーミルにて1mm以下に粗粉砕し、粗砕物を得た。得られたトナー粗砕物を、高圧気体を用いた衝突式気流粉砕機を用いて微粉砕した。さらに、得られた微粉砕物を図7及び図8に示したような処理装置を用い、重量平均粒径5.8μm、平均円形度0.943のトナー粒子7を得た。
得られたトナー粒子7を100質量部に、個数分布基準の最大ピーク粒径110nmのシリカ粒子を1.0質量部、個数分布基準の最大ピーク粒径50nmの疎水化度70%酸化チタン粒子を0.9質量部、個数分布基準の最大ピーク粒径20nmの疎水化度98%オイル処理シリカ粒子を0.5質量部添加した。ヘンシェルミキサ(FM−75型、三井三池化工機(株)製)で混合して、重量平均粒径5.8μm平均円形度T0.943のクリアトナーCL7を得た。
(シアントナーC1の製造)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・フタロシアニン顔料(シアン着色剤) 4.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.00部
を用いることの他は、クリアトナー製造例1と同様にして、シアントナーC1を得た。
(マゼンダトナーM1の製造)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・C.I ピグメントレッド122 6.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 1.00部
を用いることの他は、クリアトナー製造例1と同様にして、マゼンダトナーM1を得た。
(イエロートナーY1の製造)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・C.I ピグメントイエロー74 7.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 0.50部
を用いることの他は、クリアトナー製造例1と同様にして、イエロートナーY1を得た。
(ブラックトナーK1の製造)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・カーボンブラック 5.00部
・3,5−ジ−t−ブチルサリチル酸アルミニウム化合物 2.00部
を用いることの他は、クリアトナー製造例1と同様にして、ブラックトナーK1を得た。
(ブラックトナーK2の製造)
・前記ハイブリッド樹脂A 104.00部
・カーボンブラック 5.00部
・鉄アゾ化合物 2.00部
を用いることの他は、クリアトナー製造例1と同様にして、ブラックトナーK2を得た。
以上の、トナーY1、M1、C1、K1及びK2の成分を表2にまとめた。
(感光体の製造例1)
長さ340mm、直径84mmのアルミニウムシリンダー(JIS A3003アルミニウム合金)を支持体として、この上にポリアミド樹脂(商品名:アミランCM8000、東レ製)の5質量%メタノール溶液を浸漬法で塗布し、膜厚が0.5μmの下引き層を形成した。
次に、電荷発生材料としてCuKαのX線回折における回折角2θ±0.2が28.1°に最も強いピークを有するヒドロキシガリウムフタロシアニンの結晶3部とポリビニルブチラール2質量部をシクロヘキサノン100質量部に添加した。1mmφガラスビーズを用いたサンドミルで1時間分散し、これにメチルエチルケトン100質量部を加えて希釈して電荷発生層用塗料を調製した。上記下引き層上に、この電荷発生層用塗料を浸漬塗布し、90℃で10分間乾燥して、膜厚0.17μmの電荷発生層を形成した。
次いで、下記式(10)の電荷輸送材料化合物7質量部
Figure 2008145920
及びポリカーボネート樹脂(ユーピロンZ400、三菱エンジニアリングプラスチックス(株)社製)10質量部を、モノクロロベンゼン105質量部よびジクロロメタン35質量部に溶解した。この溶液を、前記電荷発生層上に浸漬塗布し、110℃で1時間熱風乾燥し、膜厚が12μmの電荷輸送層を形成した。電荷輸送層の上にこのさらに保護層を形成させた。
本実施例では反転現像を用いており、感光体は直径84mmのアルミシリンダー上に前述したように3層を重ねた後、表面保護層として、下記重合性官能基(11)
Figure 2008145920
を有する下記化学式(12)の正孔輸送性化合物を電子線照射により重合させた化合物を含有する表層を塗工し硬化させた有機感光体である。
Figure 2008145920
この正孔輸送性化合物45質量部をn−プロピルアルコール55質量部に溶解し、さらにテトラフルオロエチレン微粒子を5質量部添加して、高圧分散機(マイクロフルイタイザー、Microfluidics社製)にて分散させた表面保護層用塗料を調製した。この塗料を前記4層感光体上に塗布したのち、加速電圧150KV、線量40kGyの条件で電子線を照射し、膜厚3μmの保護層を形成し、総膜厚15.67μmの感光体1を得た。感光体1はColorImageRunner(iR―C6800、キヤノン(株)製)に装着できるように加工した。この時のHUは1.9×108N/m2、弾性変形率は54%であった。
<実施例1乃至6>
上記にて作成した、表1、3及び4に記載されたキャリヤA乃至F及びクリアトナーCL1乃至CL6、及びトナーY1、M1、C1、K1及びK2を用いて、同表に示した条件にて以下のようにしてクリヤートナー現像剤1乃至6を作成した。
同表のキャリヤ欄に示したキャリヤ92質量部に対し、トナー欄に示した各トナーを8質量部ずつ加え、ターブラーミキサーにより2分間混合し、現像剤とした。さらに、補給用現像剤として、同キャリヤ1質量部に対し、上記各トナーを5質量部ずつ加え、タンブラーミキサーにより3分間混合したものを用意した。
キヤノン製カラー複写機CLC5000を、以下の処理ができるように若しくは機能或いは構成を有するように改造した。
・画像処理及び補給用現像剤の補給
・現像器内部で過剰になったキャリヤ及びトナーを排出
・インダクタンスによるトナー濃度検知及びトナー濃度制御
・イメージ露光で画像形成
・クリーニング部材として、ポリウレタン樹脂製ブレード(硬度78Hs、摩擦係数0.5)の採用
・同クレーニング部材の、感光体に対してカウンターで当接するような配置
・同クリーニング部材の、長手方向での摺動
クリアトナーは、転写材全面に画像形成するように設定を行った。
画像上のクリアトナー量が0.20g/cm2となるようにした1%duty画像及び全面クリアトナーのみの場合の画像について、画出し評価試験を行った。その詳細について以下に述べる。
レーザースポット径600dpi、現像スリーブと感光体を現像領域において順方向で回転させ、感光体に対して現像スリーブ周速を1.5倍とし、Vp−p1.8kV、周波数2.0kHzとしてベタ画像の濃度が約1.60になるコントラスト電位を用いる。画像濃度1.60を出力するために300V以上のコントラスト電位を要する場合には、300Vで得られた画像濃度において評価する。
画像濃度1.60(濃度が出ない場合は、300Vコントラストでの濃度)での画質(ドット再現性)、及び、カブリ取り電圧(Vback)150Vのときのキャリヤ付着、カブリを評価する。
初期段階で出力した画像と耐久試験用に100,000枚出力させた後の画像とに対して評価した。ただし、出力途中でスジ、カブリ等の画像欠陥が現れた場合は出力を中止し、その時点での評価を行う。
以上の試験を、高温高湿(40℃,95%RH)下に設置した画像形成装置にて行った後、装置を低温低湿(15.0℃,10%RH)下へ移動して同様の試験を行った。結果を表3及び4に示す。初期出力の結果を「初期」、耐久試験の結果を「耐久後」と表示している。
画出し評価の項目と評価基準を以下に示す。
(1)ドット再現性(初期及び耐久後)
ハーフトーン画像(30H画像)を形成し、この画像を目視にて観察し、前記画像のドットの再現性について以下の基準に基づき評価した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。
A:全くガサツキを感じなく、なめらかである。
B:ガサツキを余り感じない。
C:ややガサツキ感はあるが、実用上問題ないレベルである。
D:ガサツキ感があり、問題である。
E:非常にガサツキ感がある。
(2)クリアトナー画像上のキャリヤ付着(初期及び耐久後)
普通紙上に全面クリアトナーのベタ画像をVback150Vにして画出しし、現像部とクリーナー部との間の感光体ドラム上の部分を透明な接着テープを密着させてサンプリングし、1cm×1cm中の感光ドラム上に付着していた磁性キャリヤ粒子の個数をカウントし、1cm2あたりの付着キャリヤの個数を算出する。
A:10個/cm2未満
B:10個乃至20個/cm2未満
C:20個乃至50個/cm2未満(ここまで実用レベル)
D:50個乃至100個/cm2未満
E:100個/cm2以上
本実施例では、キャリヤ付着レベルは良好であった。また、耐久での悪化傾向も見られず、非常に良好であった。
(3)クリアトナー用ステーションのドラム傷レベル(耐久後)
耐久後の感光体を目視で評価する。また、上記ハーフトーン画像のスジ(感光体の周方向)発生状況を目視で評価する。
A:傷未発生
B:傷はよく観察するとわずかに見られる程度
C:傷は見られるが画像には影響が無い程度(ここまで実用レベル)
D:傷は目視ではっきり確認でき、画像に若干影響が出る程度
E:傷は目視ではっきり確認でき、画像不良が顕著である程度
本実施例では、H/Hでのコントラストも十分であり、30H画像におけるドット再現性は、非常に良好であった。また、カブリ、キャリヤ付着も良好なレベルであり、画像濃度、コントラストも十分であり、トナー離れは非常に良好であった。さらに、ドット再現性、カブリも良好な結果が得られた。キャリヤ付着もなく、それに起因するようなドラム傷の発生もなかった。
(4)画像の平均光沢度(十点平均値/A4)、光沢度の最大値/最小値
ハーフトーン画像(30H画像)を形成し、この画像上任意の測定点10点における光沢度(Gav)を測定した。光沢度測定は、ハンディ光沢度計グロスメーターPG−3D(東京電色工業社製)を用いて光の入射角75°の条件で、定着画像上での最大光沢度(Gmax)と定着画像上での最小光沢度(Gmin)を測定した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。
本実施例では、平均光沢度が55、光沢度の最大値/最小値1.1となり、良好な結果を得ることができた。
(5)クリアトナー有無による各色トナー像の色差(初期)
クリアートナー像有無での各単色ハーフトーン画像(30H画像)を形成し、この画像上任意の測定点10点における色度を測定する。各々の平均色度の差(ΔE)を以下の基準に基づき評価した。なお、30H画像とは、256階調を16進数で表示した値であり、00Hをベタ白とし、FFHをベタ黒とするときのハーフトーン画像である。
A:ΔEが、1.0未満である。
B:ΔEが、1.0以上、2.0未満である。
C:ΔEが、2.0以上、3.0未満である。
D:ΔEが、3.0以上、4.0未満である。
E:ΔEが、4.0以上である。
本実施例では、クリアートナー像有無でのハーフトーン画像の色差は、各単色で0.5乃至0.6となり、良好な結果を得ることができた。
(6)クリアトナーステーションの現像スリーブ上非画像部領域、現像器外に排出された現像剤のトナー濃度
耐久試験前後での、現像スリーブ上非画像部領域、現像器外に排出されたトナー及びキャリヤ混合物のトナー濃度を評価する。現像剤を界面活性剤、純水、エタノールにより洗浄・乾燥を行い、その前後の質量差から、トナー濃度(TD)を算出する。
各耐久前後の現像剤のトナー濃度差の絶対値によって
A:|ΔTD|が、1.0%未満である。
B:|ΔTD|が、1.0%以上、2.0%未満である。
C:|ΔTD|が、2.0%以上、3.0%未満である。
D:|ΔTD|が、3.0%以上、4.0%未満である。
E:|ΔTD|が、4.0%以上である。
画出し評価の結果を表3及び4に示す。実施例1では、耐久試験前後の現像スリーブ上非画像部領域の|ΔTD|は0.5%であり、現像器外に排出された現像剤の|ΔTD|は0.7%であった。これは、補給用現像剤の搬送、現像器内での現像剤の混合が十分に行われ、本体システムによるトナー濃度制御も極めて良好に行われたことを示している。また、過剰になったトナー及びキャリヤ混合物の現像器からの排出性も安定的に行われ、耐久前後で現像剤のトナー濃度推移の安定した良好な結果を得ることができた。
<比較例1乃至5>
上記にて作成した、表1、3及び4に記載されたキャリヤA、B、G乃至I及びクリアトナーCL1、CL2及びCL7、及びトナーY1、M1、C1及びK1を用いて、同表に示した条件にて以下のようにしてクリヤートナー現像剤7乃至11を作成した。
上記実施例におけるのと同じ画出し評価試験を行った。結果を表3及び4に示す。
Figure 2008145920
Figure 2008145920
Figure 2008145920
Figure 2008145920
本発明の画像形成方法を実行する装置の一例の概略断面図である。 本発明のキャリア、磁性体、非磁性無機化合物の比抵抗を測定する装置の概略的断面図である。 本発明のトナーを製造する際の表面改質工程において使用される表面改質装置の一例の構成を示す概略的断面図である。 図3に示す分散ロータの上面図の一例を示す概略図である。 粒度分布画像解析装置による、円相当径ごとの、個数基準の粒度頻度(%)及びWadellの実用球形度の二乗の分布を示した図である。
符号の説明
1a乃至1e……感光ドラム
2a乃至2e……帯電器
3a乃至3e……露光装置
4a乃至4e ……現像器
5a乃至5e……クリーニング装置
10a乃至10d……転写ローラ
12……用紙カセット
15……定着装置
PY……イエロートナー用配置ステーション
PM……マゼンタトナー用配置ステーション
PC……シアントナー用配置ステーション
PK……ブラックトナー用配置ステーション
PCL……クリアトナー用配置ステーション
P……転写材
21……下部電極
22……上部電極
23……セル
24……電流計
25……電圧計
26……定電圧装置
27……キャリヤ
28……ガイドリング
L……試料厚み
71……分級ロータ
72……微紛回収用排出口
73……原料供給口
74……ライナ
75……冷風導入口
76……分散ロータ
77……粉体排出口
78……排出弁
79……ガイドリング
80……角型ディスク
81……第一の空間
82……第二の空間
85……ケーシング
T1……第一の温度計
T2……第二の温度計

Claims (11)

  1. トナー及びキャリヤを含み構成され、現像している現像器に補給され且つ現像器内部で過剰になったトナーとキャリヤが必要に応じて現像器から排出される補給用現像剤であって、
    該補給用現像剤は、キャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の配合割合で含み構成され、該トナーは結着樹脂及び離型剤を含み構成され且つ全光線透過率が30%以上であり、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗ΨΨの標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であることを特徴とする現像剤。
  2. 有彩色トナー及び/または無彩色トナーと全光線透過率が30%以上のトナーとを組み合わせてトナー像を転写材上に形成し加熱定着して該転写材にカラー画像を形成する画像形成方法において、該全光線透過率が30%以上のトナーは、トナーとキャリヤとを含み構成される補給用現像剤を現像器に補給する工程、トナーを現像する工程及び過剰になったキャリヤ及びトナーを排出する工程を含み構成される二成分現像方法に用いられ、該補給用現像剤はキャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の割合で含み構成され、該トナーは結着樹脂及び離型剤を含み構成され、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗ΨΨの標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であり、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像は、該転写材上の全面または該有彩色トナー及び/または無彩色トナー像が形成可能な領域に形成されていることを特徴とする画像形成方法。
  3. 有彩色トナー及び/または無彩色トナーと全光線透過率が30%以上のトナーとを組み合わせてトナー像を転写材上に形成し加熱定着して該転写材にカラー画像を形成する画像形成方法において、該全光線透過率が30%以上のトナーは、トナーとキャリヤとを含み構成される補給用現像剤を現像器に補給する工程、トナーを現像する工程及び過剰になったキャリヤ及びトナーを排出する工程を含み構成される二成分現像方法に用いられ、該補給用現像剤はキャリヤ1質量部に対してトナーを2乃至50質量部の割合で含み構成され、該トナーは、結着樹脂及び離型剤を含み構成され、該キャリヤは、体積基準の50%粒径D50が15.0乃至70.0μmであり、Wadellの実用球形度の二乗ΨΨの平均Cが0.870乃至0.950であり、σ(ΨΨ)をキャリヤのWadellの実用球形度の二乗の標準偏差としたときC−2σ(ΨΨ)以下の粒子の割合が0.5乃至20.0個数%であり、該全光線透過率が30%以上のトナーによるトナー像は、該転写材上の有彩色トナー及び/または無彩色トナー像が存在しない領域に形成されていることを特徴とする画像形成方法。
  4. 該キャリヤは、真比重が2.5乃至4.2g/cmであることを特徴とする請求項1乃至3記載の現像剤。
  5. 該キャリヤは、1000/4π(kA/m)の磁界下における磁化の強さが40乃至70Am/kgであることを特徴とする請求項1乃至4記載の現像剤。
  6. 該キャリヤは、結着樹脂を形成するためのモノマーを磁性体存在下で重合して得られた磁性体分散樹脂コア、及び、コート樹脂を含み構成されることを特徴とする請求項1乃至5記載の現像剤。
  7. キャリヤコート樹脂がアクリル系樹脂及び/またはシリコン系樹脂であることを特徴とする請求項6記載の現像剤。
  8. 該全光線透過率が30%以上のトナーは、トナーに含まれる着色剤成分が0.0乃至0.1質量部であることを特徴とする請求項1乃至7記載の現像剤。
  9. 該全光線透過率が30%以上のトナーは、重量平均粒径が3.0乃至11.0μmであることを特徴とする請求項1乃至8記載の現像剤。
  10. 該全光線透過率が30%以上のトナーは、平均円形度が0.920乃至0.950であることを特徴とする請求項1乃至9記載の現像剤。
  11. 該全光線透過率が30%以上のトナーは、少なくとも結着樹脂、離型剤及び無機微粒子からなるトナーであることを特徴とする請求項1乃至10記載の現像剤。
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