JP2008144736A - 過給機付内燃機関の制御装置 - Google Patents

過給機付内燃機関の制御装置 Download PDF

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Abstract

【課題】過給機付内燃機関の制御装置において、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得る技術を提供する。
【解決手段】加速運転状態であると検出した際に、変速比が比較的小である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくし、変速比が比較的大である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくする。
【選択図】図3

Description

本発明は、過給機付内燃機関の制御装置に関する。
内燃機関の加速運転時のショックを低減するために、内燃機関の加速運転時に、変速機の変速比に応じて燃料噴射時間を補正し、変速比が低い程、補正する燃料噴射時間の減増率を大きくする技術が開示されている(例えば、特許文献1参照)。
特開昭58−152131号公報 特開平5−280407号公報 特開昭62−150039号公報 特開昭59−115439号公報
ところで、過給機付内燃機関において、内燃機関の加速運転時の制御は、今まで自然吸気内燃機関の延長として扱われていた。このため、過給機付内燃機関の加速運転時には、自然吸気内燃機関と同様に、定常運転の際に用いられる基準空燃比から出力を重視した際に用いられるパワー空燃比へ空燃比を低下させるために、基準空燃比に基づく基準燃料量に対し燃料増量率を一律最大にしていた。
しかしながら、過給機付内燃機関では、パワー空燃比にすることにより燃費が悪化するにもかかわらず、内燃機関の出力は十分に得られていない場合があった。
本発明の目的は、過給機付内燃機関の制御装置において、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得る技術を提供することにある。
本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機と、
前記内燃機関に連結された変速機と、
を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
前記変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記変速比検出手段が検出する変速比が比較的小である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくし、変速比が比較的大である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくする第1燃料増量率補正手段と、
を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置である。
過給機付内燃機関において、内燃機関の加速運転時の制御は、今まで自然吸気内燃機関の延長として扱われていた。このため、過給機付内燃機関の加速運転時には、自然吸気内燃機関と同様に、定常運転の際に用いられる基準空燃比から出力を重視した際に用いられるパワー空燃比へ空燃比を低下させるために、基準空燃比に基づく基準燃料量に対し燃料増量率を一律最大にしていた。
ここで、過給機付内燃機関では、過給機が排気エネルギを回収して過給を行っている。そして、過給圧を上昇させた場合には、空燃比が低下していなくても空気量が増加するこ
とに伴い空燃比に基づく燃料量が増加して内燃機関の出力が上昇する。しかしながら、過給機付内燃機関において、パワー空燃比にした場合には、排気温度が低下し回収できる排気エネルギが低下するため、過給圧が上昇し難くなる。よって、空気量が増加し難く空燃比に基づく燃料量の増加が少ない。したがって、空気量に応じた空燃比に基づく燃料量と、基準空燃比からパワー空燃比へ空燃比を低下させる際の燃料量とを足したトータルの燃料量は却って増加し難く、内燃機関の出力が上昇し難い場合があった。つまり、パワー空燃比とするべく基準空燃比からの燃料増量率を最大にした場合は、パワー空燃比にしたことによって燃費が悪化するにもかかわらず、内燃機関の出力は十分に得られていない場合があった。
そこで、本発明では、加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、変速比検出手段が検出する変速比が比較的小である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくし、変速比が比較的大である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくするようにした。
過給機付内燃機関は、加速運転時において、変速比が比較的小である場合には、機関回転数の上昇が速く、排気エネルギの増加が早いので、すぐに過給圧を十分得ることができる。このため、燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮せず、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくする。
一方、過給機付内燃機関は、加速運転時において、変速比が比較的大である場合には、機関回転数の上昇が遅く、排気エネルギの増加が遅いので、すぐには十分な過給圧を得ることができない。このため、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させて過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、本発明によると、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
また、本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
内燃機関の1気筒当たりの空気量を算出する空気量算出手段と、
前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記空気量算出手段が算出する1気筒当たりの空気量が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を大きくする第2燃料増量率補正手段と、
を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置である。
本発明では、加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、空気量算出手段が算出する1気筒当たりの空気量が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を大きくするようにした。
過給機付内燃機関は、加速運転時において、1気筒当たりの空気量が大きくなる程、排気エネルギが大きくなり、すぐに過給圧を十分得ることができる。このため、1気筒当たりの空気量が小さい場合には、排気エネルギが小さいので、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させ
て過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、本発明によると、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
さらに、本発明にあっては、以下の構成を採用する。すなわち、
内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、
前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
目標過給圧と現状過給圧との差を算出する差分過給圧算出手段と、
前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記差分過給圧算出手段が算出する目標過給圧と現状過給圧との差が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくする第3燃料増量率補正手段と、
を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置である。
本発明では、加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、差分過給圧算出手段が算出する目標過給圧と現状過給圧との差が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくするようにした。
過給機付内燃機関は、加速運転時において、差分過給圧算出手段が算出する目標過給圧と現状過給圧との差が大きくなる程、排気エネルギが小さくなり、すぐには過給圧を十分得ることができない。このため、目標過給圧と現状過給圧との差が大きい場合には、排気エネルギが小さいので、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させて過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、本発明によると、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、現状過給圧が所定値よりも大きい場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を最大にする燃料増量率最大設定手段を備えるとよい。
所定値とは、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっている閾値の過給圧である。
この発明によると、現状過給圧が所定値よりも大きい場合には、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっているので、燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮せず、燃料増量率を最大にする。
本発明によると、過給機付内燃機関の制御装置において、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
以下に本発明の具体的な実施例を説明する。
<実施例1>
図1は、本実施例に係る過給機付内燃機関の制御装置を適用する内燃機関の概略構成を示す図である。
図1に示す内燃機関1は、燃焼室を形成する気筒2を4つ有する水冷式の4ストロークサイクル・ガソリンエンジンである。内燃機関1は、車両に搭載されている。内燃機関1には、吸気通路3及び排気通路4が接続されている。
内燃機関1に接続された吸気通路3の途中には、排気エネルギを駆動源として作動するターボチャージャ(過給機)5のコンプレッサ部5aが配置されている。また、コンプレッサ部5aよりも上流の吸気通路3には、該吸気通路3内を流通する吸気の流量を調節するスロットル弁6が配置されている。このスロットル弁6は、電動アクチュエータにより開閉される。スロットル弁6よりも上流の吸気通路3には、該吸気通路3内を流通する吸気(新気)の流量に応じた信号を出力するエアフローメータ7が配置されている。このエアフローメータ7により、内燃機関1の吸入空気量(新気量)が測定される。
コンプレッサ部5aよりも下流の吸気通路3には、吸気と外気とで熱交換を行うインタークーラ8が配置されている。そして、インタークーラ8よりも下流の吸気通路3には、該吸気通路3内の吸気圧を検出する吸気圧センサ9が設けられている。この吸気圧センサ9によって、コンプレッサ部5aによって過給された現状過給圧を検出する。
一方、内燃機関1に接続された排気通路4の途中には、ターボチャージャ5のタービン部5bが配置されている。また、タービン部5bよりも下流の排気通路4には、パティキュレートフィルタ(以下、単にフィルタという。)10が配置されている。フィルタ10は、排気中の粒子状物質(PM)を捕集する。このフィルタ10には、三元触媒が担持されている。
フィルタ10よりも下流の排気通路4には、該排気通路4内を流通する排気の流量を調節する排気絞り弁11が設けられている。この排気絞り弁11は、電動アクチュエータにより開閉される。
また、内燃機関1には、車両の走行状態に合わせて変速を行うための変速機12が接続されている。変速機12には、変速比を検出するシフトセンサ13が配置されている。このシフトセンサ13が本発明の変速比検出手段に相当する。
以上述べたように構成された内燃機関1には、該内燃機関1を制御するための電子制御ユニットであるECU14が併設されている。このECU14は、内燃機関1の運転条件や運転者の要求に応じて内燃機関1の運転状態を制御するユニットである。
ECU14には、エアフローメータ7、吸気圧センサ9、シフトセンサ13、運転者がアクセルペダル15を踏み込んだ量に応じた電気信号を出力し機関負荷を検出可能なアクセル開度センサ16、及び機関回転数を検出するクランクポジションセンサ17が電気配線を介して接続され、これら各種センサの出力信号がECU14に入力されるようになっている。
一方、ECU14には、スロットル弁6及び排気絞り弁11の各アクチュエータが電気配線を介して接続されており、該ECU14によりこれらの機器が制御される。
ところで、本実施例のようなターボチャージャ5を備える内燃機関1においては、内燃機関1の加速運転時の制御は、今まで自然吸気内燃機関の延長として扱われていた。このため、ターボチャージャ5を備える内燃機関1の加速運転時には、自然吸気内燃機関と同様に、定常運転の際に用いられる基準空燃比から出力を重視した際に用いられるパワー空燃比へ空燃比を低下させるために、基準空燃比に基づく基準燃料量に対し燃料増量率を一律最大(16%増)にしていた。
ここで、ターボチャージャ5を備える内燃機関1では、ターボチャージャ5が排気エネルギを回収して過給を行っている。そして、過給圧を上昇させた場合には、空燃比が低下していなくても、空気量が増加することに伴い空燃比に基づいて燃料量が増加して内燃機関1の出力が上昇する。
しかしながら、ターボチャージャ5を備える内燃機関1において、パワー空燃比にした場合には、排気温度が低下し回収できる排気エネルギが低下するため、過給圧が上昇し難くなる。よって、空気量が増加し難く空燃比に基づく燃料量の増加が少ない。したがって、空気量に応じた空燃比に基づく燃料量と、基準空燃比からパワー空燃比へ空燃比を低下させる際の燃料量とを足したトータルの燃料量は却って増加し難く、内燃機関の出力が上昇し難い場合があった。
つまり、パワー空燃比とするべく基準空燃比からの燃料増量率を最大にした場合は、パワー空燃比とすることによって燃費が悪化するにもかかわらず、内燃機関の出力は十分に得られていない場合があった。
そこで、本実施例では、加速運転時において、変速機12の変速比が比較的小である場合には、加速運転中において基準空燃比に基づく基準燃料量から増加させて空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくし、変速機12の変速比が比較的大である場合には、加速運転中において基準燃料量から増加させて空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくする。
具体的には、変速機12の変速比が1,2速の場合には16%の最大燃料増量率とし、3速の場合には12%の燃料増量率とし、4速の場合には8%の燃料増量率とし、5,6速の場合には6%の燃料増量率とした。
ターボチャージャ5を備える内燃機関1は、加速運転時において、変速機12の変速比が比較的小である場合には、機関回転数の上昇が速く、排気エネルギの増加が早いので、すぐに過給圧を十分得ることができる。このため、前記燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮せず、加速運転中の前記燃料増量率を比較的大きくする。
一方、ターボチャージャ5を備える内燃機関1は、加速運転時において、変速機12の変速比が比較的大である場合には、機関回転数の上昇が遅く、排気エネルギの増加が遅いので、すぐには十分な過給圧を得ることができない。このため、加速運転中の前記燃料増量率を比較的小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させて過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関1の出力を十分に得ることができる。
ここで、本実施例のターボチャージャ5を備える内燃機関1の燃料増量率を制御する制御ルーチンについて、図2に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本ルーチンは、ECU14に予め記憶されており、周期的に実行されるルーチンである。
ステップS101では、まず、ECU14は、アクセル開度が基準値より大きくなったか否かを判断する。アクセル開度センサ16の値をECU14が読み取り、アクセル開度が基準値より大きい場合を、内燃機関が加速状態であると判断する。基準値は、それより大きい場合に内燃機関が加速状態であると判断できる閾値のアクセル開度である。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の加速検出手段に相当する。
ステップS101で肯定判定がなされた場合には、ステップS102へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS105へ進む。
ステップS102では、ECU14は、現状過給圧が基準値よりも小さいか否かを判断する。吸気圧センサ9の値をECU14が読み取って判断する。
なお、基準値は、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっている閾値の過給圧である。本ステップの基準値が本発明の所定値に相当する。
ステップS102で肯定判定がなされた場合には、ステップS103へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS104へ進む。
ステップS103では、ECU14は、変速比に基づき第1燃料増量率を決定する。具体的には、まずシフトセンサ13から変速比を読み取り、読み取った変速比から図3のマップに基づいて基準空燃比に基づく基準燃料量に対して増加させる第1燃料増量率を決定する。
なお、図3のマップは、予め実験等から求めたもので、変速比が比較的小である場合には、前記燃料増量率が比較的大きく、変速比が比較的大である場合には、前記燃料増量率が比較的小さくなっている。具体的には、変速比が1,2速の場合には16%の最大燃料増量率であり、3速の場合には12%の燃料増量率であり、4速の場合には8%の燃料増量率であり、5,6速の場合には6%の燃料増量率である。
ここで、本ステップを実行するECU14が本発明の第1燃料増量率補正手段に相当する。
一方、ステップS104では、ECU14は、第1燃料増量率を変速比に関係なく最大燃料増量率(16%)に決定する。現状過給圧が基準値よりも大きい場合には、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっているので、燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮する必要がないからである。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の燃料増量率最大設定手段に相当する。
一方、ステップS105では、ECU14は、第1燃料増量率を増加させないように決定する。言い換えると、第1燃料増量率を0%に決定する。アクセル開度が基準値より小さい場合は内燃機関が加速状態ではないため、定常運転の際に用いられる基準空燃比に設定されるからである。
次に、ステップS103、ステップS104、又はステップS105から引き続くステップS106では、ECU14は、排気系の加熱防止のための第2燃料増量率を決定する。具体的には、クランクポジションセンサ17から機関回転数を読み取ると共に、その機関回転数とエアフローメータ7から読み取った吸入空気量とから1気筒当たりの空気量を算出し、これら機関回転数及び1気筒当たりの空気量から図4のマップに基づいて基準空燃比に基づく基準燃料量に対して増加させる第2燃料増量率を決定する。
なお、図4のマップは予め実験等から求めたもので、機関回転数及び1気筒当たりの空気量が大きくなる程、排気系の加熱をより防止するため、第2燃料増量率も大きくなっている。
ステップS107では、ECU14は、第1燃料増量率と第2燃料増量率とのいずれかの値の大きい方を採用する。具体的には、ステップS103、ステップS104、又はステップS105のいずれかで求めた第1燃料増量率と、ステップS106で求めた第2燃料増量率と、を比較し、値の大きい方を実際に適用する燃料増量率として採用する。その後、本ルーチンを一旦終了する。
以上説明したルーチンによると、最適な燃料増量率を設定することができる。
<実施例2>
本実施例では、1気筒当たりの空気量(走行負荷)に基づいて燃料増量率を定めるものである。その他の構成は上記実施例と同様であるので説明を省略し、その特徴部分を説明する。
本実施例では、加速運転状態の場合には、1気筒当たりの空気量が大きくなる程、言い換えると走行負荷が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を大きくする。
ターボチャージャ5を備える内燃機関1は、加速運転時において、1気筒当たりの空気量が大きくなる程、排気エネルギが大きくなり、すぐに過給圧を十分得ることができる。このため、1気筒当たりの空気量が小さい場合には、排気エネルギが小さいので、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させて過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関1の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、本実施例によると、加速運転時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
ここで、本実施例のターボチャージャ5を備える内燃機関1の燃料増量率を制御する制御ルーチンについて、図5に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本ルーチンは、ECU14に予め記憶されており、周期的に実行されるルーチンである。
ステップS201では、まず、ECU14は、アクセル開度が基準値より大きくなったか否かを判断する。アクセル開度センサ16の値をECU14が読み取り、アクセル開度が基準値より大きい場合を内燃機関が加速状態であると判断する。基準値は、それより大きい場合に内燃機関が加速状態であると判断できる閾値のアクセル開度である。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の加速検出手段に相当する。
ステップS201で肯定判定がなされた場合には、ステップS202へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS206へ進む。
ステップS202では、ECU14は、現状過給圧が基準値よりも小さいか否かを判断する。吸気圧センサ9の値をECU14が読み取って判断する。
なお、基準値は、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっている閾値の過給圧である。本ステップの基準値が本発明の所定値に相当する。
ステップS202で肯定判定がなされた場合には、ステップS203へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS205へ進む。
ステップS203では、ECU14は、1気筒当たりの空気量を算出する。具体的には、クランクポジションセンサ17から機関回転数を読み取ると共に、エアフローメータ7から吸入空気量を読み取り、吸入空気量を機関回転数で割ることで、1気筒当たりの空気量を算出する。
ここで、本ステップを実行するECU14が本発明の空気量算出手段に相当する。
ステップS204では、ECU14は、変速比及び1気筒当たりの空気量に基づく第1燃料増量率を決定する。具体的には、まずシフトセンサから変速比を読み取り、読み取った変速比及びステップS203で算出した1気筒当たりの空気量から図6のマップに基づいて基準空燃比に基づく基準燃料量に対して増加させる第1燃料増量率を決定する。
なお、図6のマップは、予め実験等から求めたもので、各変速比に応じて曲線を描いており、変速比が比較的小である場合には、1気筒当たりの空気量が小さいときも前記燃料増量率が比較的大きく、変速比が比較的大である場合には、1気筒当たりの空気量が小さいときは前記燃料増量率が比較的小さくなっている。また、各変速比のいずれの曲線も1気筒当たりの空気量(走行負荷)が大きくなる程、前記燃料増量率が大きくなっている。
ここで、本ステップ、特に1気筒当たりの空気量が大きくなる程、前記燃料増量率を大きくする点を実行するECU14が本発明の第2燃料増量率補正手段に相当する。
一方、ステップS205では、ECU14は、第1燃料増量率を変速比に関係なく最大燃料増量率(16%)に決定する。現状過給圧が基準値よりも大きい場合には、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっているので、燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮する必要がないからである。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の燃料増量率最大設定手段に相当する。
一方、ステップS206では、ECU14は、第1燃料増量率を増加させないように決定する。言い換えると、第1燃料増量率を0%に決定する。アクセル開度が基準値より小さい場合は内燃機関が加速状態ではないため、定常運転の際に用いられる基準空燃比に設定されるからである。
次に、ステップS204、ステップS205、又はステップS206から引き続くステップS207では、ECU14は、排気系の加熱防止のための第2燃料増量率を決定する
。具体的には、クランクポジションセンサ17から機関回転数を読み取ると共に、エアフローメータ7から読み取った吸入空気量と機関回転数とから1気筒当たりの空気量を算出し、これら機関回転数及び1気筒当たりの空気量から図4のマップに基づいて基準空燃比に基づく基準燃料量に対して増加させる第2燃料増量率を決定する。
なお、図4のマップは予め実験等から求めたもので、機関回転数及び1気筒当たりの空気量が大きくなる程、排気系の加熱をより防止するため、第2燃料増量率も大きくなっている。
ステップS208では、ECU14は、第1燃料増量率と第2燃料増量率とのいずれかの値の大きい方を採用する。具体的には、ステップS204、ステップS205、又はステップS206のいずれかで求めた第1燃料増量率と、ステップS207で求めた第2燃料増量率と、を比較し、値の大きい方を実際に適用する燃料増量率として採用する。その後、本ルーチンを一旦終了する。
以上説明したルーチンによると、最適な燃料増量率を設定することができる。
<実施例3>
本実施例では、目標過給圧と現状過給圧との差(以下、差分過給圧という)に基づいて燃料増量率を定めるものである。その他の構成は上記実施例と同様であるので説明を省略し、その特徴部分を説明する。
本実施例では、加速運転状態の場合には、差分過給圧が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくする。
ターボチャージャ5を備える内燃機関1は、加速運転時において、差分過給圧が大きくなる程、排気エネルギが小さくなり、すぐには過給圧を十分得ることができない。このため、差分過給圧が大きい場合には、排気エネルギが小さいので、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくし、空燃比の低下を抑制しておき、まず排気エネルギを増加させて過給圧を上昇させる。そして、過給圧が上昇することによって空気量が増加することに伴い現状空燃比に基づく燃料量を増加させ、内燃機関1の出力を上昇させる。そして、このように空燃比を低下させる燃料増量率を小さくすることで、現状空燃比が燃費の悪化するパワー空燃比よりも基準空燃比に近づき、燃費も改善される。
したがって、本実施例によると、加速運転状態にある時に、燃費を改善しつつ、内燃機関の出力を十分に得ることができる。
ここで、本実施例のターボチャージャ5を備える内燃機関1の燃料増量率を制御する制御ルーチンについて、図7に示すフローチャートに基づいて説明する。なお、本ルーチンは、ECU14に予め記憶されており、周期的に実行されるルーチンである。
ステップS301では、まず、ECU14は、アクセル開度が基準値より大きくなったか否かを判断する。アクセル開度センサの値をECU14が読み取り、アクセル開度が基準値より大きい場合を内燃機関が加速状態であると判断する。基準値は、それより大きい場合に内燃機関が加速状態であると判断できる閾値のアクセル開度である。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の加速検出手段に相当する。
ステップS301で肯定判定がなされた場合には、ステップS302へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS306へ進む。
ステップS302では、ECU14は、現状過給圧が基準値よりも小さいか否かを判断する。吸気圧センサの値をECU14が読み取って判断する。
なお、基準値は、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっている閾値の過給圧である。本ステップの基準値が本発明の所定値に相当する。
ステップS302で肯定判定がなされた場合には、ステップS303へ進み、一方、否定判定がなされた場合には、ステップS305へ進む。
ステップS303では、ECU14は、差分過給圧を算出する。具体的には、アクセル開度センサ16からアクセル開度を読み取ると共に、クランクポジションセンサ17から機関回転数を読み取り、アクセル開度と機関回転数とに基づいて目標過給圧を算出する。また、吸気圧センサ9から現状過給圧を読み取る。そして、算出した目標過給圧から現状過給圧を差し引くことで、差分過給圧を算出する。
ここで、本ステップを実行するECU14が本発明の差分過給圧算出手段に相当する。
ステップS304では、ECU14は、変速比及び差分過給圧に基づく第1燃料増量率を決定する。具体的には、まずシフトセンサから変速比を読み取り、読み取った変速比及びステップS303で算出した差分過給圧から図8のマップに基づいて基準空燃比に基づく基準燃料量に対して増加させる第1燃料増量率を決定する。
なお、図8のマップは、予め実験等から求めたもので、各変速比に応じて曲線を描いており、変速比が比較的小である場合には、差分過給圧が大きいときも前記燃料増量率が比較的大きく、変速比が比較的大である場合には、差分過給圧が大きいときは前記燃料増量率が比較的小さくなっている。また、各変速比のいずれの曲線も差分過給圧が大きくなる程、前記燃料増量率が小さくなっている。
ここで、本ステップ、特に差分過給圧が大きくなる程、前記燃料増量率を小さくする点を実行するECU14が本発明の第3燃料増量率補正手段に相当する。
一方、ステップS305では、ECU14は、第1燃料増量率を変速比に関係なく最大燃料増量率(16%)に決定する。現状過給圧が基準値よりも大きい場合には、現状過給圧が十分上昇しており、排気エネルギも最大値近傍となっているので、燃料増量率を小さくして排気エネルギを上昇させることは考慮する必要がないからである。
なお、本ステップを実行するECU14が本発明の燃料増量率最大設定手段に相当する。
一方、ステップS306では、ECU14は、第1燃料増量率を増加させないように決定する。言い換えると、第1燃料増量率を0%に決定する。アクセル開度が基準値より小さい場合は内燃機関1が加速状態ではないため、定常運転の際に用いられる基準空燃比に設定されるからである。
次に、ステップS304、ステップS305、又はステップS306から引き続くステップS307では、ECU14は、排気系の加熱防止のための第2燃料増量率を決定する。具体的には、クランクポジションセンサ17から機関回転数を読み取ると共に、エアフローメータ7から読み取った吸入空気量と機関回転数とから1気筒当たりの空気量を算出し、これら機関回転数及び1気筒当たりの空気量から図4のマップに基づいて基準空燃比
に基づく基準燃料量に対して増加させる第2燃料増量率を決定する。
なお、図4のマップは予め実験等から求めたもので、機関回転数及び1気筒当たりの空気量が大きくなる程、排気系の加熱をより防止するため、第2燃料増量率も大きくなっている。
ステップS308では、ECU14は、第1燃料増量率と第2燃料増量率とのいずれかの値の大きい方を採用する。具体的には、ステップS304、ステップS305、又はステップS306のいずれかで求めた第1燃料増量率と、ステップS307で求めた第2燃料増量率と、を比較し、値の大きい方を実際に適用する燃料増量率として採用する。その後、本ルーチンを一旦終了する。
以上説明したルーチンによると、最適な燃料増量率を設定することができる。
本発明に係る過給機付内燃機関の制御装置は、上述の実施例に限定されるものではなく、本発明の要旨を逸脱しない範囲内において種々の変更を加えてもよい。
実施例1に係る内燃機関とその吸・排気系を示す図である。 実施例1に係るターボチャージャを備える内燃機関の燃料増量率を制御する制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例1に係る変速比と第1燃料増量率との関係を示す図である。 実施例1に係る機関回転数と1気筒当たりの空気量と第2燃料増量率との関係を示す図である。 実施例2に係るターボチャージャを備える内燃機関の燃料増量率を制御する制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例2に係る変速比と1気筒当たりの空気量と第1燃料増量率との関係を示す図である。 実施例3に係るターボチャージャを備える内燃機関の燃料増量率を制御する制御ルーチンを示すフローチャートである。 実施例3に係る変速比と差分吸気圧と第1燃料増量率との関係を示す図である。
符号の説明
1 内燃機関
2 気筒
3 吸気通路
4 排気通路
5 ターボチャージャ
5a コンプレッサ部
5b タービン部
6 スロットル弁
7 エアフローメータ
8 インタークーラ
9 吸気圧センサ
10 フィルタ
11 排気絞り弁
12 変速機
13 シフトセンサ
14 ECU
15 アクセルペダル
16 アクセル開度センサ
17 クランクポジションセンサ

Claims (4)

  1. 内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機と、
    前記内燃機関に連結された変速機と、
    を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
    前記変速機の変速比を検出する変速比検出手段と、
    前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記変速比検出手段が検出する変速比が比較的小である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的大きくし、変速比が比較的大である場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を比較的小さくする第1燃料増量率補正手段と、
    を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置。
  2. 内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
    内燃機関の1気筒当たりの空気量を算出する空気量算出手段と、
    前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記空気量算出手段が算出する1気筒当たりの空気量が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を大きくする第2燃料増量率補正手段と、
    を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置。
  3. 内燃機関の排気エネルギによって前記内燃機関へ吸入する吸気を過給する過給機を備えた内燃機関の制御装置であって、
    前記内燃機関が加速運転状態であることを検出する加速検出手段と、
    目標過給圧と現状過給圧との差を算出する差分過給圧算出手段と、
    前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、前記差分過給圧算出手段が算出する目標過給圧と現状過給圧との差が大きくなる程、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を小さくする第3燃料増量率補正手段と、
    を備えたことを特徴とする過給機付内燃機関の制御装置。
  4. 前記加速検出手段が加速運転状態であると検出した際に、現状過給圧が所定値よりも大きい場合には、加速運転中の空燃比を低下させる燃料増量率を最大にする燃料増量率最大設定手段を備えたことを特徴とする請求項1〜3のいずれか1項に記載の過給機付内燃機関の制御装置。

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