JP2008138783A - 静圧気体軸受スピンドル - Google Patents

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淳一 平田
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Abstract

【課題】弾性支持部による環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を十分に確保しつつ、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制し、放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドル提供する。
【解決手段】静圧気体軸受スピンドル1は、回転軸10と、回転軸10の外周面10Aを取り囲むように配置された軸受スリーブ20と、軸受スリーブ20を取り囲み、軸受スリーブ20を支持するハウジング30と、軸受スリーブ20とハウジング30との間に配置された弾性支持部40とを備えている。そして、弾性支持部40は、Oリング41と、Oリング41の表面に塗布された導電性を有する導電性グリース71とを含むことにより、導電性を有している。
【選択図】図1

Description

本発明は、静圧気体軸受スピンドルに関し、より特定的には、軸受スリーブから当該軸受スリーブに隣接する部材への放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドルに関するものである。
静電塗装機、精密加工機、半導体製造装置などの機械装置において、部材を高速で回転させるために静圧気体軸受スピンドルが使用される場合がある。この静圧気体軸受スピンドルとしては、回転軸と、回転軸の外周面を取り囲むように配置された軸受スリーブと、当該軸受スリーブを、Oリングを介して支持するハウジングとを備えたものが知られている(たとえば、特許文献1参照)。
以下、従来の静圧気体軸受スピンドルについて説明する。図4は、特許文献1に開示された従来の静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。図4を参照して、特許文献1において開示された従来の静圧気体軸受スピンドル100は、回転軸110と、軸受隙間151を隔てて回転軸110の外周面を取り囲むように配置される軸受スリーブ120と、軸受スリーブ120を取り囲み、軸受スリーブ120を支持するハウジング130と、軸受スリーブ120とハウジング130との間に配置されたOリング141とを備えている。
Oリング141は、一般にニトリルゴムなどのゴムからなっている。また、軸受スリーブ120は、金属製の外筒部材122と、外筒部材122の内周面に嵌め込まれた黒鉛製の内筒部材121とからなっている。さらに、軸受スリーブ120には、回転軸110を支持するための軸受用気体を軸受隙間151に供給するノズル152Aが複列に、かつ周方向に複数個形成されている。ノズル152Aは、スリーブ給気路152と、軸受スリーブ120、ハウジング130およびOリング141により囲まれた環状空間153と、給気通路154とを介して図示しない軸受用気体供給部に接続されている。回転軸110の一方の端部には、工具などの所望の部材を保持する保持部111が形成されている。
次に、従来の静圧気体軸受スピンドル100の動作を説明する。図示しない軸受用気体供給部から供給された高圧の軸受用気体が、給気通路154、環状空間153、スリーブ給気路152およびノズル152Aを介して軸受隙間151に供給されることにより、回転軸110は、軸受スリーブ120に対して回転自在に非接触支持される。そして、回転軸110が図示しない駆動手段により駆動力を与えられることにより、回転軸110の周方向に回転する。
このとき、Oリング141を介して軸受スリーブ120がハウジング130に支持されていることにより、環状空間153が気密にシールされるとともに、回転軸110の振れ回り振動を減衰させることができる。
特開2002−295470号公報
しかしながら、特許文献1に記載の静圧気体軸受スピンドルを含め、軸受スリーブをゴムなどの絶縁体からなるOリング141などの弾性支持部を介してハウジングに対して保持する従来の静圧気体軸受スピンドルにおいては、以下のような問題点があった。すなわち、静圧気体軸受スピンドルは、機械装置に組み込まれて使用される際、内部の部材に電荷が蓄積され、当該電荷による放電の結果、電荷が蓄積された部材自身、あるいはこれに隣接する部材に損傷が発生するおそれがある。この問題点は、静圧気体軸受スピンドルの各部位を接地することにより、基本的には解消することができる。たとえば、静圧気体軸受スピンドルが静電塗装機に使用される場合、静電塗装を行なうために空気中を浮遊する塗料に対して高電圧が印加されるため、静圧気体軸受スピンドルの各部位は、接地される。
しかし、上述のように、軸受スリーブをゴムなどからなる絶縁性の弾性支持部を介してハウジングに対して保持する従来の静圧気体軸受スピンドルでは、軸受スリーブとハウジングとの間が電気的に遮断されている。そのため、軸受スリーブには電荷が蓄積し、当該電荷による放電により、軸受スリーブおよび軸受スリーブに隣接する部材に損傷が発生するおそれがある。また、単に軸受スリーブと軸受スリーブに隣接する部材とを電気的に接続する部材を配置する対策では、弾性支持部による環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能が十分に発揮されなくなる可能性がある。
そこで、本発明の目的は、弾性支持部による環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を十分に確保しつつ、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制し、放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドルを提供することである。
本発明に従った静圧気体軸受スピンドルは、回転軸と、回転軸の外周面を取り囲むように配置された軸受スリーブと、軸受スリーブを取り囲み、軸受スリーブを支持するハウジングと、軸受スリーブとハウジングとの間に配置された弾性支持部とを備えている。そして、当該弾性支持部は導電性を有している。
本発明の静圧気体軸受スピンドルにおいては、軸受スリーブとハウジングとの間に配置された弾性支持部として、導電性を有する弾性支持部が採用されている。そのため、弾性支持部により軸受スリーブとハウジングとが電気的に接続されており、ハウジングを接地しておくことにより、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制することができる。また、本発明の静圧気体軸受スピンドルにおいては、軸受スリーブとハウジングとの電気的接続のために、導電性を有する他の部材を別途配置するのではなく、弾性支持部自体が導電性を有している。そのため、環状空間をシールしつつ回転軸の振れ回り振動を減衰させるという弾性支持部の機能は、他の部材により阻害されない。その結果、本発明の静圧気体軸受スピンドルによれば、弾性支持部による環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を十分に確保しつつ、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制し、放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドル提供することができる。
上記本発明の静圧気体軸受スピンドルにおいては、弾性支持部は、弾性部材と、弾性部材の表面に塗布された導電性を有する導電性材料とを含むものであってもよい。
これにより、弾性部材の素材としてゴムなどの絶縁体を採用した場合でも、表面に塗布された導電性材料が軸受スリーブとハウジングとを電気的に接続する。そのため、弾性部材により環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を確保するとともに、導電性材料により軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制することができる。
上記本発明の静圧気体軸受スピンドルにおいては、弾性支持部は、導電性を与える導電性配合剤が配合された導電性弾性部材を含むものであってもよい。
これにより、弾性部材自体に導電性が付与されるため、当該弾性部材により環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を確保するとともに、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制することができる。
以上の説明から明らかなように、本発明の静圧気体軸受スピンドルによれば、弾性支持部による環状空間のシールおよび回転軸の振れ回り振動の減衰の機能を十分に確保しつつ、軸受スリーブにおける電荷の蓄積を抑制し、放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドル提供することができる。
以下、図面に基づいて本発明の実施の形態を説明する。なお、以下の図面において同一または相当する部分には同一の参照番号を付しその説明は繰り返さない。
(実施の形態1)
まず、本発明の一実施の形態である実施の形態1における静圧気体軸受スピンドルの構成について説明する。図1は、実施の形態1における静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。また、図2は、図1の要部を拡大して示した概略部分断面図である。
図1および図2を参照して、実施の形態1における静圧気体軸受スピンドル1は、回転軸10と、軸受隙間51を隔てて回転軸10の外周面10Aを取り囲むように配置された軸受スリーブ20と、軸受スリーブ20を取り囲み、軸受スリーブ20を支持するハウジング30と、軸受スリーブ20とハウジング30との間に配置された弾性支持部40とを備えている。
弾性支持部40は、絶縁体からなる弾性部材としてのOリング41と、Oリング41の表面に塗布された導電性を有する導電性材料としての導電性グリース71を含んでいる。すなわち、弾性支持部40の表面には、導電性グリース71が塗布されている。その結果、導電性グリース71が電流のパスとして機能し、弾性支持部40は、導電性を有している。Oリング41は、軸受スリーブ20の両端面と、外周面の軸方向両端部付近に各2つ、合計4つ配置されている。導電性グリース71は、少なくとも1つのOリング41の表面に塗布されていればよいが、弾性支持部40による軸受スリーブ20とハウジング30との電気的接続をより確実なものとするためには、複数のOリング41の表面に導電性グリース71が塗布されていることが好ましく、図1および図2に示すように、全てのOリング41の表面に導電性グリース71が塗布されていることがより好ましい。
ここで、導電性グリースとしては、軸受用気体へのグリース成分の飛散を抑えるため、好ましくは揮発性の低いシリコーングリース、フッ素系グリースなどのグリースを主成分とし、これに導電性を付与するためにアルミ等の金属微粒子、カーボン粉末などの導電性を有する添加剤を添加したものを採用することができる。
Oリング41は、絶縁体であるニトリルゴムからなっているが、フッ素ゴム、シリコンゴムなどの素材が採用されてもよい。また、軸受スリーブ20は、円筒状の形状を有し、ステンレス、アルミ、鋼などの金属製の外筒部材22と、外筒部材22の内周面に適切な締め代で嵌め込まれた黒鉛製の内筒部材21とを含んでいる。さらに、軸受スリーブ20には、回転軸10を支持するための軸受用気体を軸受隙間51に供給するためのノズル52Aが複列に(図1では2列に)、かつ周方向に複数個形成されている。
さらに、軸受スリーブ20には、ノズル52Aと、軸受スリーブ20、ハウジング30およびOリング41により囲まれた環状空間53とを接続するように、軸受スリーブ20を径方向に貫通するスリーブ給気路52が形成されている。また、ハウジング30には、回転軸10を支持するための軸受用気体を供給する軸受用気体供給部(図示しない)と環状空間53とを接続する給気通路54が形成されている。軸受用気体供給部には、エアコンプレッサなどの高圧気体供給源が接続されている。すなわち、ノズル52Aは、スリーブ給気路52、環状空間53、および給気通路54を介して図示しない軸受用気体供給部に接続されている。また、回転軸10の一方の端部には、工具などの所望の部材を保持する保持部11が形成されている。
以上の構成により、回転軸10は、気体軸受(ジャーナル軸受)として機能する軸受スリーブ20により、ハウジング30に対して軸方向に垂直な方向(ラジアル方向)に非接触に支持されている。さらに、回転軸10は、軸方向(アキシアル方向)においても、図示しない気体軸受(スラスト軸受)によりハウジング30に対して非接触に支持されている。
次に、静圧気体軸受スピンドル1の動作について説明する。図示しない軸受用気体供給部から供給された圧縮空気などの高圧の軸受用気体が、給気通路54、環状空間53、スリーブ給気路52およびノズル52Aを介して軸受隙間51に供給されることにより、回転軸10は、軸受スリーブ20に対して回転自在に非接触支持される。そして、回転軸10が図示しない駆動手段により駆動力を与えられることにより、保持部11に工具などを保持した状態で、回転軸10の周方向に回転する。駆動手段としては、ビルトインモータ、エアタービンなどを採用することができる。
上記実施の形態1の静圧気体軸受スピンドル1においては、軸受スリーブ20とハウジング30との間に配置された弾性支持部として、導電性を有する弾性支持部40が採用されている。そのため、弾性支持部40により軸受スリーブ20とハウジング30とが電気的に接続されており、ハウジング30を接地しておくことにより、軸受スリーブ20における電荷の蓄積を抑制することができる。また、上記実施の形態1の静圧気体軸受スピンドル1においては、軸受スリーブ20とハウジング30との電気的接続のために、導電性を有する他の部材を別途配置するのではなく、弾性支持部40自体が導電性を有している。そのため、環状空間53をシールしつつ回転軸10の振れ回り振動を減衰させるという弾性支持部40の機能は、他の部材により阻害されない。その結果、上記静圧気体軸受スピンドル1によれば、弾性支持部40による環状空間53のシールおよび回転軸10の振れ回り振動の減衰の機能を十分に確保しつつ、軸受スリーブ20における電荷の蓄積を抑制し、放電による損傷の発生を抑制可能な静圧気体軸受スピンドル提供することができる。
より具体的には、上記実施の形態1の静圧気体軸受スピンドル1においては、弾性支持部40は、軸受スリーブ20とハウジング30との間に配置された弾性部材としてのOリング41と、Oリング41の表面に塗布された導電性を有する導電性材料としての導電性グリース71とを含んでいるため、導電性グリース71が軸受スリーブ20とハウジング30とを電気的に接続している。その結果、Oリング41により環状空間53のシールおよび回転軸10の振れ回り振動の減衰の機能を確保するとともに、導電性グリース71により軸受スリーブ20における電荷の蓄積を抑制することができる。
(実施の形態2)
次に、本発明の他の実施の形態である実施の形態2における静圧気体軸受スピンドルの構成について説明する。図3は、実施の形態2における静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。
図3を参照して、実施の形態2の静圧気体軸受スピンドル1は、基本的には実施の形態1の静圧気体軸受スピンドル1と同様の構成を有しており、同様の効果を有している。しかし、実施の形態2の静圧気体軸受スピンドル1では、実施の形態1におけるOリング41および導電性グリース71に代えて、導電性を与える導電性配合剤が配合された導電性弾性部材としての導電性Oリング43が採用されている点で、実施の形態1の静圧気体軸受スピンドル1とは異なっている。
すなわち、実施の形態2における弾性支持部としては、軸受スリーブ20とハウジング30との間に配置され、導電性配合剤が配合された導電性Oリング43が採用されている。
実施の形態2の静圧気体軸受スピンドル1によれば、実施の形態1の場合とは異なり、弾性部材自体に導電性が付与されているため、導電性弾性部材としての導電性Oリング43により、環状空間53のシールおよび回転軸10の振れ回り振動の減衰の機能を確保するとともに、軸受スリーブ20における電荷の蓄積を抑制することができる。
導電性Oリング43は、軸受スリーブ20とハウジング30との間に少なくとも1つ配置されていればよいが、弾性支持部による軸受スリーブ20とハウジング30との電気的接続をより確実なものとするためには、複数配置されていることが好ましい。
ここで、導電性弾性部材の主成分としては、ニトリルゴム、フッ素ゴム、シリコンゴムなどを採用することができる。そして、これに導電性配合剤として、たとえば導電性を有するカーボン、アルミ等の金属微粒子などを添加したものを導電性弾性部材として採用することができる。
上記実施の形態においては、導電性を有する弾性支持部として、絶縁体からなるOリングとOリングに塗布された導電性グリースとを含むもの、および導電性Oリングを含むものが採用される場合について説明したが、本発明の静圧気体軸受スピンドルにおいて採用可能な弾性支持部はこれらに限られない。たとえば、弾性支持部として、表面に導電性のコーティング層が形成されたOリングが採用されてもよい。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって、制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味、および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
本発明の静圧気体軸受スピンドルは、軸受スリーブから当該軸受スリーブに隣接する部材への放電による損傷の発生を抑制することが必要な静圧気体軸受スピンドルに、特に有利に適用され得る。
実施の形態1における静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。 図1の要部を拡大して示した概略部分断面図である。 実施の形態2における静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。 従来の静圧気体軸受スピンドルの構成を示す概略部分断面図である。
符号の説明
1 静圧気体軸受スピンドル、10 回転軸、10A 外周面、11 保持部、20 軸受スリーブ、21 内筒部材、22 外筒部材、30 ハウジング、40 弾性支持部、41 Oリング、43 導電性Oリング、51 軸受隙間、52 スリーブ給気路、52A ノズル、53 環状空間、54 給気通路、71 導電性グリース。

Claims (3)

  1. 回転軸と、
    前記回転軸の外周面を取り囲むように配置された軸受スリーブと、
    前記軸受スリーブを取り囲み、前記軸受スリーブを支持するハウジングと、
    前記軸受スリーブと前記ハウジングとの間に配置された弾性支持部とを備え、
    前記弾性支持部は導電性を有している、静圧気体軸受スピンドル。
  2. 前記弾性支持部は、
    弾性部材と、
    前記弾性部材の表面に塗布された導電性を有する導電性材料とを含む、請求項1に記載の静圧気体軸受スピンドル。
  3. 前記弾性支持部は、導電性を与える導電性配合剤が配合された導電性弾性部材を含む、請求項1に記載の静圧気体軸受スピンドル。
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