JP2008138182A - 回路接続材料 - Google Patents
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Abstract
【課題】作業性及び耐熱性に優れ、短時間で良好な回路接続を可能とする回路接続材料を提供すること。
【解決手段】回路接続材料は、フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子と、を含有するものである。
【選択図】なし
【解決手段】回路接続材料は、フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子と、を含有するものである。
【選択図】なし
Description
本発明は、回路接続材料に関し、より詳しくは、接着剤組成物と導電性粒子とを含んでなる回路接続材料に関する。
エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られること、耐水性や耐熱性に優れること等の理由から、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。中でも、一液型のエポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であることから使用が簡便である。このような接着剤は、フィルム状・ペースト状・粉体状の形態のものが知られている(例えば、特許文献1を参照)。また、使用される用途に応じて、エポキシ樹脂とその他の成分との多様な組み合わせにより所望の特性を得る工夫がなされている。例えば、回路を接続するための接着剤として、フェノキシ樹脂及び特定の構造を有するエポキシ樹脂を配合した回路接続材料が提案されている(例えば、特許文献2を参照)。
また、上記のエポキシ樹脂系接着剤以外の回路接続材料も開発されており、最近では、アクリレート誘導体やメタアクリレート誘導体などのラジカル重合性物質と、過酸化物などのラジカル重合開始剤とを併用したラジカル硬化型の接着剤が提案されている(例えば、特許文献3及び4を参照)。このような接着剤は、反応活性種であるラジカルが反応性に富むため短時間硬化が可能であり、生産効率向上の点で注目されている。
しかしながら、特許文献1に記載のフィルム状接着剤は、以下の理由により耐熱性と耐湿性が不十分である。すなわち、かかる接着剤では、短時間硬化性(速硬化性)及び貯蔵安定性(保存性)を両立するために常温で不活性な触媒型硬化剤が用いられており、硬化に際して十分な反応が得られにくくなっている。そのため、耐熱性の尺度であるガラス転移点(Tg)は、最高100℃近辺であり、半導体封止レベルで多用される、例えばプレッシャークッカー試験(PCT)(試験条件:120℃、1atm、85%RH)といった、より高温高湿の条件下における耐性が不十分である。なお、耐熱性用途に多用される、酸無水物や芳香族アミンなどの硬化剤或いはポリフェノール等の重付加型の硬化剤を用いることが考えられるが、この場合、硬化を十分に進行させるには数時間以上と長時間が必要であり、作業性が不十分となってしまう。
一方、特許文献2に開示されているようなナフタレン系エポキシ樹脂は、ナフタレン骨格が平面構造であるため立体障害が小さく、反応を受けやすいという点から、ビスフェノールAやビスフェノールF型などの一般的なエポキシ樹脂と比較して優れた速硬化性を有している。しかし、ナフタレン骨格によって硬化物が剛直なものになりやすく、接着性が不利に働くという問題点があった。
また、特許文献3や4に記載されているラジカル硬化型接着剤は、短時間での回路接続が可能であるが、親水性の置換基や加水分解されやすい置換基を有していることから、保管中に吸湿しやすく、吸湿した水分によって加水分解反応を引き起こす可能性がある。そのため、取り扱いの際には吸湿を極力防ぐ必要があり、作業性の点で必ずしも十分であるとはいえない。
本発明は、これら従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、作業性及び耐熱性に優れ、短時間で良好な回路接続を可能とする回路接続材料を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明の回路接続材料は、フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子とを含有する。
本発明の回路接続材料によれば、上記構成を有することにより、作業性に優れ、短時間で硬化させた場合であっても耐熱性を十分確保することができることから、回路を効率よく良好に接続することができる。また、本発明の回路接続材料は、耐湿性にも優れた硬化物を形成できることから、高温高湿下における接続信頼性も向上させることができる。このような本発明の回路接続材料は、特に短時間での硬化が要求される電気・電子用の回路接続材料として好適である。
また、本発明の回路接続材料においては、フィルム形成性が向上するとともに溶融粘度をより大きい範囲に設定することが容易になることから、フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上であることが好ましい。
また、本発明の回路接続材料においては、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂の含有量が、接着剤組成物全量を基準として10〜80質量%であることが好ましい。かかる含有量が10質量%未満であると、硬化後の強度が不十分になる傾向にあり、80質量%を超えると、フィルム形成性が低下しやすくなる傾向にある。
また、本発明の回路接続材料においては、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂が、レゾルシン系エポキシ樹脂であることが好ましい。
本発明は、フェノキシ樹脂、レゾルシン系エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子と、を含有する回路接続材料を提供するものである。かかる本発明の回路接続材料においても、フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上であることが好ましい。また、レゾルシン系エポキシ樹脂の含有量が、接着剤組成物全量を基準として10〜80質量%であることが好ましい。かかる含有量が10質量%未満であると、硬化後の強度が不十分になる傾向にあり、80質量%を超えると、フィルム形成性が低下しやすくなる傾向にある。
また、本発明の回路接続材料においては、導電性粒子の平均粒径が2〜18μmであることが好ましい。
また、本発明の回路接続材料においては、導電性粒子の含有量が、接着剤組成物100体積部に対して0.1〜30体積部であることが好ましい。
また、本発明の回路接続材料は、フィルム状に形成されているものであることが好ましい。
本発明によれば、作業性及び耐熱性に優れ、良好な回路接続を可能とする回路接続材料を提供することができる。
本実施形態の回路接続材料は、フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子とを含有してなる。本実施形態の回路接続材料において、導電性粒子は接着剤組成物中に分散している。
以下、本実施形態の回路接続材料を構成する各成分について詳述する。
本実施形態において用いられるフェノキシ樹脂としては、例えば、2官能フェノール類とエピハロヒドリンを高分子量まで反応させるか、又は2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類を重付加させることにより得られる樹脂が挙げられる。より具体的には、フェノキシ樹脂は、例えば2官能フェノール類とエピハロヒドリンとをアルカリ金属水酸化物等の触媒の存在下、非反応性溶媒中40〜120℃の温度で反応させることにより得ることができる。また、フェノキシ樹脂は、2官能エポキシ樹脂と2官能フェノール類とをアルカリ金属化合物、有機リン系化合物、環状アミン系化合物等の触媒存在下、沸点が120℃以上のアミド系、エーテル系、ケトン系、ラクトン系、アルコール系等の有機溶剤中で、反応固形分が50重量部以下の条件で50〜200℃に加熱して重付加反応させて得ることができる。フェノキシ樹脂は、1種を単独でまたは2種以上を組み合わせて用いてもよい。
2官能エポキシ樹脂としては、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、ビスフェノールF型エポキシ樹脂、ビスフェノールAD型エポキシ樹脂、ビスフェノールS型エポキシ樹脂等が挙げられる。
2官能フェノール類は、2個のフェノール性水酸基を持つものであり、このような2官能フェノール類としては、例えばビスフェノールA、ビスフェノールF、ビスフェノールAD、ビスフェノールS等のビスフェノール類等が挙げられる。
本実施形態において用いられるフェノキシ樹脂は、重量平均分子量が10000以上のものであることが好ましい。重量平均分子量が10000以上であると、接着剤フィルムとしてのフィルム形成性が容易に得られ、また接続時の流動性に影響する溶融粘度を高い範囲に設定することができる。また、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、10000〜150000であることが好ましい。重量平均分子量が10000未満であると、フィルム形成性が低下する傾向にあり、150000を超えると、接続時の樹脂の流動性が低下する傾向にある。更に、フェノキシ樹脂の重量平均分子量は、溶融粘度や他の樹脂との相溶性等の点から、10000〜80000程度であることがより好ましい。
なお、本願で規定する重量平均分子量とは、以下の条件に従ってゲルパーミエイションクロマトグラフィー法(GPC)により標準ポリスチレンによる検量線を用いて測定したもののことをいう。
<GPC条件>
使用機器:日立L−6000 型((株)日立製作所製)。
検出器:L−3300RI((株)日立製作所製)。
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)(日立化成工業(株)製、商品名)。
溶離液:テトラヒドロフラン。
測定温度:40℃。
流量:1.75ml/min
<GPC条件>
使用機器:日立L−6000 型((株)日立製作所製)。
検出器:L−3300RI((株)日立製作所製)。
カラム:ゲルパックGL−R420+ゲルパックGL−R430+ゲルパックGL−R440(計3本)(日立化成工業(株)製、商品名)。
溶離液:テトラヒドロフラン。
測定温度:40℃。
流量:1.75ml/min
また、本実施形態で用いるフェノキシ樹脂は、水酸基やカルボキシル基などの極性基を有する構造であるものが好ましい。この場合、後述するジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂との相溶性が向上し、均一な外観や特性を有するフィルムが得られやすくなることや、硬化時の反応促進により短時間硬化を達成しやすくなることなどの効果を奏することができる。
接着剤組成物におけるフェノキシ樹脂の含有量は、接着剤組成物全量を基準として5〜50質量%が好ましく、10〜30質量%がより好ましい。フェノキシ樹脂の含有量が5質量%未満であると、フィルム成形性が不十分となる傾向にあり、50質量%を超えると、接続時の樹脂の流動性が不十分となる傾向にある。
本実施形態で用いられるジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂としては、1分子内に少なくとも1個以上のジヒドロキシベンゼン骨格を有することが好ましい。具体的には、o−ジヒドロキシベンゼン(カテコール)、m−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシンジオール)、p−ジヒドロキシベンゼン(ヒドロキノン)等をエピクロロヒドリンと反応させることにより得られたエポキシ樹脂等が挙げられる。これらのジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂は、他のエポキシ樹脂と比較してエポキシ当量が小さいことから単位重量あたりの架橋密度が高くなり、耐熱性や耐水性という物性に優れる。
本実施形態においては、上記のエポキシ樹脂のうち、m−ジヒドロキシベンゼン(レゾルシン)をエピクロロヒドリンと反応させることにより得られるレゾルシン系エポキシ樹脂を用いることが好ましい。レゾルシン系エポキシ樹脂は室温における状態が液状であることから、接着剤表面のタック性が向上することによって作業性を更に向上させることができ、また、接続時の流動性を向上させ、低抵抗化することができる。よって、本実施形態の回路接続材料は、フェノキシ樹脂、レゾルシン系エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子とを含有してなるものであることが好ましい。
接着剤組成物におけるジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂の含有量は、フィルム形成性や硬化反応の点から、接着剤組成物全量を基準として10〜80質量%が好ましく、20〜50質量%がより好ましい。かかる含有量が10質量%未満であると、硬化後の強度が不十分になる傾向にあり、80質量%を超えると、フィルム形成性が低下しやすくなる傾向にある。
本実施形態の回路接続材料においては、接着剤組成物が、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂以外のエポキシ樹脂を更に含有してもよい。このようなエポキシ樹脂としては、例えば、エピクロルヒドリンと、ビスフェノールAや、F、AD、S等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックなどから誘導されるエポキシノボラック樹脂、グリシジルアミン、グリシジルエステル、ビフェニル、脂環式、塩素環式等の1分子内に2個以上のグリシジル基を有する各種のエポキシ化合物等が挙げられる。これらは、1種を単独で又は2種以上を混合して用いることが可能である。上記した混合可能なエポキシ樹脂の中では、ビスフェノール型エポキシ樹脂が分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性等を任意に設定できることから好ましい。これらのエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na+、Cl−等)や、加水分解性塩素等を300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
本実施形態で用いられる潜在性硬化剤としては、例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、スルホニウム塩、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミド等、及びこれらの変性物が挙げられる。これらは1種を単独でまたは2種以上を混合して使用できる。上記の潜在性硬化剤はアニオンまたはカチオン重合型等のいわゆるイオン重合性の触媒型硬化剤であり、速硬化性を得やすく、また化学当量的な考慮が少なくてよいことから好ましい。硬化剤としては、その他にポリアミン類、ポリメルカプタン、ポリフェノール、酸無水物等の重付加型の適用や前記触媒型硬化剤との併用も可能である。
アニオン重合型の触媒型硬化剤としては、第3アミン類やイミダゾール類が主として用いられる。第3アミン類やイミダゾール類を配合したエポキシ樹脂は、160〜200℃程度の中温で、数10秒〜数時間程度の加熱により硬化するために可使時間が比較的長い。これらの硬化剤をポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、Ni、Au等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆してマイクロカプセル化したものは可使時間が延長できるため好ましい。
本実施形態の回路接続材料においては、接着剤組成物が、通常の添加物等として、例えば、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃剤、チキソトロピック剤、カップリング剤及びフェノール樹脂やメラミン樹脂、イソシアネ−ト類等の硬化剤等を含有することもできる。これらの中では、シリカ等の充填剤及びシラン、チタン、クロム、ジルコニウム、アルミニウム等の各系のカップリング剤が特に有効である。また、カップリング剤は、アミノ基やエポキシ基、及びイソシアネート基含有物が、接着性の向上の点から特に好ましい。
本実施形態で用いられる導電性粒子としては、Au、Ag、Ni、Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等が挙げられる。また、非導電性のガラス、セラミック、プラスチック等で形成された粒子を核として、その表面を上記の金属からなる被覆層で被覆したものなどを用いてもよい。プラスチックを核とした場合や熱溶融金属粒子の場合、加熱加圧により変形性を有するので接続時に電極との接触面積が増加し信頼性が向上するので好ましい。
本実施形態の回路接続材料における導電性粒子の含有量は、接着剤組成物100体積部に対して0.1〜30体積部であることが好ましい。また、過剰な導電性粒子による隣接回路の短絡等をより確実に防止する観点から、導電性粒子の含有量は、接着剤組成物100体積部に対して0.1〜10体積部とするのがより好ましい。
本実施形態の回路接続材料は、一液型接着剤として、とりわけICチップと基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤として特に有用である。すなわち、本実施形態の回路接続材料は、フィルム状に形成されたものであることが好ましい。このようなフィルム状の回路接続材料は、例えば、上記の接着剤組成物を溶剤に溶解し、これに導電性粒子を分散させて得られる分散液を、離型紙等の剥離性基材上に塗布し、次いで、潜在性硬化剤の活性温度以下で乾燥し、溶剤を除去することにより作製できる。このとき用いられる溶剤は、芳香族炭化水素系溶剤と含酸素系溶剤との混合溶剤であることが材料の溶解性を向上させる観点から好ましい。
芳香族炭化水素系溶剤としては、例えば、トルエン、エチルベンゼンなどが挙げられる。また、含酸素系溶剤は、SP値が8.1〜10.7の範囲のものを用いることが潜在性硬化剤の保護上好ましい。具体的には、例えば、酢酸エステル類を用いることが好ましい。
また、溶剤は、沸点が150℃以下のものが好適に用いられる。沸点が150℃を超えると、乾燥に高温を要し、潜在性硬化剤の活性温度に近いことから、潜在性の低下を招きやすくなる。一方、溶剤の沸点が低くすぎると、乾燥時の作業性が低下する。このため、溶剤の沸点は、60〜150℃であることが好ましく、70〜130℃であることがより好ましい。また、本実施形態の回路接続材料を塗布する際に、かかる範囲内の沸点を有する溶剤を用いた場合、潜在性硬化剤の活性温度以下で乾燥できるため、硬化剤の劣化を十分抑制でき、保存性に優れたフィルム状回路接続材料を形成することができる。
本発明の回路接続材料は、上述したような、フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物、並びに、導電性粒子を含有することにより、速硬化性と保存性とを両立することができ、短時間で硬化させた場合であっても耐熱性及び耐湿性に十分優れた硬化物を形成することができる。これにより、良好な回路接続を効率よく実施することができる。このような効果が得られる理由としては、フェノキシ樹脂中の水酸基の存在がジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂の硬化反応を促進して速硬化性を向上させること、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂が平面構造を有することにより反応立体障害が抑制されて硬化性が向上すること、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂が液状物質であることにより回路接続材料中への分散性が良好となり均一な樹脂流動が可能となること、フェノキシ樹脂は比較的粘度が高いことから、常温域では潜在性硬化剤と接触しにくく良好な保存性が得られること、フェノキシ樹脂は分子鎖が長くエポキシ樹脂と構造が類似しており、架橋密度の高い硬化物中で可とう性材料として働くことにより、高靭性を付与することができ、高強度でありながらタフネスな硬化物が形成されること、などが考えられる。ただし、本発明はこのような作用を有するものに限られるものではない。
次に、本発明の回路接続材料を用いた電極の接続方法について説明する。本実施形態の接続方法は、第1の回路電極を有する第1の回路部材と、上記本実施形態の回路接続材料と、第2の回路電極を有する第2の回路部材とを、第1の回路電極と第2の回路電極とが対峙するようにこの順に積層して加熱及び加圧することにより、第1の回路電極と第2の回路電極とが電気的に接続されるように第1の回路部材と第2の回路部材とを接続する。
回路電極が設けられた回路部材の基板としては、例えば、半導体、ガラス、セラミック等の無機質、ポリイミド、ポリカーボネート等の有機物、ガラス/エポキシ等のこれら複合の各組み合わせが挙げられる。
回路部材の具体例としては、例えば、液晶ディスプレイに用いられているITO等で電極が形成されているガラス又はプラスチック基板、プリント配線板、セラミック配線板、フレキシブル配線板、半導体シリコンチップ等が挙げられ、これらは必要に応じて組み合わせて使用される。このように、本実施形態では、プリント配線板やポリイミド等の有機物からなる材質をはじめ、銅、アルミニウム等の金属やITO(indium tin oxide)、窒化ケイ素(SiNX)、二酸化ケイ素(SiO2)等の無機材質のように多種多様な表面状態を有する回路部材を用いることができる。
以下、実施例及び比較例に基づいて本発明をより具体的に説明するが、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(実施例1)
先ず、フェノキシ樹脂「PKHC」(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名、重量平均分子量45000)50gを、トルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)及び酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)の混合溶液(質量比:トルエン/酢酸エチル=50/50)に溶解して、固形分40質量%のフェノキシ樹脂溶液を調製した。
先ず、フェノキシ樹脂「PKHC」(ユニオンカーバイド株式会社製、商品名、重量平均分子量45000)50gを、トルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)及び酢酸エチル(沸点77.1℃、SP値9.10)の混合溶液(質量比:トルエン/酢酸エチル=50/50)に溶解して、固形分40質量%のフェノキシ樹脂溶液を調製した。
一方、レゾルシン系エポキシ樹脂「EX−201」(ナガセケムテックス株式会社製、商品名、エポキシ当量117、全塩素0.7%)50gを、トルエン及び酢酸エチルの混合溶液(質量比:トルエン/酢酸エチル=50/50)に溶解して、固形分40質量%のエポキシ樹脂溶液を調製した。
また、潜在性硬化剤として、「ノバキュア3941」(旭化成工業株式会社数商品名、イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を、液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散してなるマスターバッチ型硬化剤、活性温度125℃)を用意した。
また、ポリスチレンを核とする粒子の表面に、厚み0.2μmのニッケル層を設け、このニッケル層の外側に、厚み0.02μmの金層を設け、平均粒径3μm、比重2.0の導電性粒子を作製した。
上記のフェノキシ樹脂溶液、エポキシ樹脂溶液及び潜在性硬化剤を、表1に示される配合割合、すなわち、フェノキシ樹脂溶液125質量部(固形分50質量部)、エポキシ樹脂溶液125質量部(固形分50質量部)、潜在性硬化剤50質量部の割合で混合して接着剤組成物を得、これに導電性粒子を3体積%(接着剤組成物100体積部に対して3体積部)分散させて回路接続材料溶液を調製した。
次に、得られた回路接続材料溶液を、厚み50μmのPET樹脂フィルム上に塗工装置を用いて塗布し、80℃、3分の熱風乾燥を施すことにより、厚みが20μmの接着剤層を形成し、フィルム状回路接続材料を得た。
(実施例2〜4)
フェノキシ樹脂溶液及びエポキシ樹脂溶液を、表1に示される固形分質量比(実施例2:30/70、実施例3:70/30、実施例4:90/10)となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料をそれぞれ得た。
フェノキシ樹脂溶液及びエポキシ樹脂溶液を、表1に示される固形分質量比(実施例2:30/70、実施例3:70/30、実施例4:90/10)となるように配合したこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料をそれぞれ得た。
(実施例5)
エポキシ樹脂として、レゾルシン系エポキシ樹脂「EX−201」が含まれる上記エポキシ樹脂溶液と、ビスフェノール型エポキシ樹脂「エピコート828」(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量184)とを、表1に示される固形分質量比(25/25)で用いたことを以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
エポキシ樹脂として、レゾルシン系エポキシ樹脂「EX−201」が含まれる上記エポキシ樹脂溶液と、ビスフェノール型エポキシ樹脂「エピコート828」(油化シェルエポキシ株式会社製、商品名、ビスフェノールA型エポキシ樹脂、エポキシ当量184)とを、表1に示される固形分質量比(25/25)で用いたことを以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
(実施例6)
導電性粒子の配合量を7体積%(接着剤組成物100体積部に対して7体積部)としたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
導電性粒子の配合量を7体積%(接着剤組成物100体積部に対して7体積部)としたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
(実施例7)
実施例1における平均粒径3μmの導電性粒子に代えて、平均粒径5μmの導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。なお、平均粒径5μmの導電性粒子は、ポリスチレンの粒径を変更したこと以外は実施例1と同様にして得られたものである。
実施例1における平均粒径3μmの導電性粒子に代えて、平均粒径5μmの導電性粒子を用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。なお、平均粒径5μmの導電性粒子は、ポリスチレンの粒径を変更したこと以外は実施例1と同様にして得られたものである。
(実施例8)
実施例1における平均粒径3μmの導電性粒子に代えて、ニッケル粒子(平均粒径2μm、凝集粒径10μm)を導電性粒子として用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
実施例1における平均粒径3μmの導電性粒子に代えて、ニッケル粒子(平均粒径2μm、凝集粒径10μm)を導電性粒子として用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
(比較例1)
実施例1におけるエポキシ樹脂として、レゾルシン系エポキシ樹脂「EX−201」が含まれる上記エポキシ樹脂溶液に代えて、ビスフェノール型エポキシ樹脂「エピコート828」を表1に示される配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
実施例1におけるエポキシ樹脂として、レゾルシン系エポキシ樹脂「EX−201」が含まれる上記エポキシ樹脂溶液に代えて、ビスフェノール型エポキシ樹脂「エピコート828」を表1に示される配合割合で用いたこと以外は実施例1と同様にして、フィルム状回路接続材料を得た。
上記で得られた実施例1〜8及び比較例1のフィルム状回路接続材料について、以下の熱機械分析を実施した。得られた結果を表2に示す。
<熱機械分析>
フィルム状回路接続材料の一部を、空気中、170℃で、1分間加熱して硬化させたものを試料とした。この試料を、熱分析装置(株式会社マックサイエンス数、商品名「TMA4000」)により、引張荷重法、昇温速度10℃/minで測定し、回路接続材料のガラス転移温度(Tg/℃)及び線膨張係数数(α/ppm)を求めた。
フィルム状回路接続材料の一部を、空気中、170℃で、1分間加熱して硬化させたものを試料とした。この試料を、熱分析装置(株式会社マックサイエンス数、商品名「TMA4000」)により、引張荷重法、昇温速度10℃/minで測定し、回路接続材料のガラス転移温度(Tg/℃)及び線膨張係数数(α/ppm)を求めた。
表2に示されるように、実施例1〜8の回路接続材料のTgは、いずれも140〜150℃近辺に存在し、また高温域におけるαは、約110ppmであった。レゾルシン系エポキシ樹脂を含まない比較例1の回路接続材料のTgが130℃、αが約200ppmであることを考慮すると、実施例1〜8の回路接続材料は、高い耐熱性を有すると考えられる。
(回路の接続)
実施例1〜8及び比較例1で得られたフィルム状回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を180℃、3MPaで8秒間加熱加圧して、幅2mmにわたり接続した。この時、予め一方のFPC上に、回路接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、PET樹脂フィルムを剥離してもう一方のFPCと接続した。また、実施例1〜8及び比較例1で得られたフィルム状回路接続材料を用いて、前述と同様のFPCと酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(表面抵抗20Ω/□)とを180℃、3MPaで8秒間加熱加圧して、幅1.5mmにわたり接続した。この時、上記と同様にITOガラスに仮接続を行った。
実施例1〜8及び比較例1で得られたフィルム状回路接続材料を用いて、ライン幅50μm、ピッチ100μm、厚み18μmの銅回路を500本有するフレキシブル回路板(FPC)同士を180℃、3MPaで8秒間加熱加圧して、幅2mmにわたり接続した。この時、予め一方のFPC上に、回路接続材料の接着面を貼り付けた後、70℃、0.5MPaで5秒間加熱加圧して仮接続し、その後、PET樹脂フィルムを剥離してもう一方のFPCと接続した。また、実施例1〜8及び比較例1で得られたフィルム状回路接続材料を用いて、前述と同様のFPCと酸化インジウム(ITO)の薄層を形成したガラス(表面抵抗20Ω/□)とを180℃、3MPaで8秒間加熱加圧して、幅1.5mmにわたり接続した。この時、上記と同様にITOガラスに仮接続を行った。
(接続抵抗の測定)
回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値、及びFPC/ITOの隣接回路間の抵抗値をマルチメータで測定した。抵抗値は、初期、及び、プレッシャークッカー試験(PCT)(試験条件:120℃、1atm、85%RH、12時間)後でそれぞれ測定を行い、隣接回路間の抵抗150点の平均で示した。得られた結果を表2に示す。
回路の接続後、上記接続部を含むFPCの隣接回路間の抵抗値、及びFPC/ITOの隣接回路間の抵抗値をマルチメータで測定した。抵抗値は、初期、及び、プレッシャークッカー試験(PCT)(試験条件:120℃、1atm、85%RH、12時間)後でそれぞれ測定を行い、隣接回路間の抵抗150点の平均で示した。得られた結果を表2に示す。
表2に示されるように、実施例1〜8の回路接続材料によれば、短時間の加熱加圧によって接続抵抗が十分小さい良好な回路接続を達成できることが確認された。一方、レゾルシン系エポキシ樹脂を含まず、エポキシ樹脂としてビスフェノール型エポキシ樹脂のみを用いた比較例1の回路接続材料の場合、実施例のものに比べて初期の接続抵抗が高い。これは、硬化反応が不十分であるため接着状態が悪くなったためと考えられる。
Claims (8)
- フェノキシ樹脂、ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子と、を含有する回路接続材料。
- 前記フェノキシ樹脂の重量平均分子量(Mw)が10000以上である、請求項1に記載の回路接続材料。
- 前記ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂の含有量が、前記接着剤組成物全量を基準として10〜80質量%である、請求項1または2に記載の回路接続材料。
- 前記ジヒドロキシベンゼンから誘導されたエポキシ樹脂が、レゾルシン系エポキシ樹脂である、請求項1〜3のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- フェノキシ樹脂、レゾルシン系エポキシ樹脂及び潜在性硬化剤を含む接着剤組成物と、導電性粒子と、を含有する回路接続材料。
- 前記導電性粒子の平均粒径が2〜18μmである、請求項1〜5のいずれか一項に記載の回路接続材料。
- 前記導電性粒子の含有量が、前記接着剤組成物100体積部に対して、0.1〜30体積部である、請求項1〜6のいずれか一項に記載の回路用接続材料。
- フィルム状に形成されている、請求項1〜7のいずれか一項に記載の回路接続材料。
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- 2007-10-31 JP JP2007284204A patent/JP2008138182A/ja active Pending
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