JP3786409B2 - 接着剤 - Google Patents

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Description

【0001】
本発明は接着剤に関する。
【0002】
【従来の技術】
エポキシ樹脂系接着剤は、高い接着強さが得られ、耐水性や耐熱性に優れることなどから、電気・電子・建築・自動車・航空機等の各種用途に多用されている。なかでも一液型エポキシ樹脂系接着剤は、主剤と硬化剤との混合が不必要であり使用が簡便なことから、フィルム状・ペースト状・粉体状等の形態で使用されている。この場合、エポキシ樹脂と硬化剤および変性剤との多様な組み合わせにより、特定の性能を得ることが一般的であり、例えば特開昭62−141083号公報の試みが知られている。
【0003】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、上記特開昭62−141083号公報に示されるフィルム状接着剤は、作業性に優れるものの耐熱性と耐湿性が不十分であるという欠点を有していた。
【0004】
この理由は、短時間硬化性(速硬化性)と貯蔵安定性(保存性)の両立により良好な作業性を得るために、常温で不活性な触媒型硬化剤を用いているために、硬化に際して十分な反応が得られない為である。すなわち、耐熱性の尺度であるガラス転移点(Tg)は最高100℃近辺であり、半導体封止レベルで多用される例えばプレッシャークッカー試験(PCT、121℃、2atm)といったより高温高湿の評価に耐性が不十分であった。なお、耐熱性用途に多用される硬化剤である酸無水物や芳香族アミン及びポリフェノールなどの重付加型の場合では、硬化に数時間以上と長時間が必要であり作業性が不十分である。
【0005】
本発明の目的は、耐熱性と耐湿性及び作業性に優れ、特に厳しい信頼性の要求される電気・電子用接着剤として好適な接着剤組成物を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明は、下記(1)〜(3)成分を必須とする、硬化物のTg(ガラス転移温度)が120℃以上である異方導電性回路接続用接着剤に関するもので、この中には必要に応じてビスフェノール型エポキシ樹脂を含有できる。
(1)フェノキシ樹脂
(2)加水分解性塩素が300ppm以下である、3官能または4官能の多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂
(3)温度活性を有する触媒型潜在性硬化剤
【0007】
また上記多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が、トリフェニルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂またはテトラフェニルグリシジルエーテルエタン型エポキシ樹脂である接着剤をむ。
【0008】
本発明に用いるフェノキシ樹脂について説明する。
【0009】
フェノキシ樹脂は、分子量が10,000以上の高分子量エポキシ樹脂に相当し、エポキシ樹脂と構造が似ていることから相溶性がよく、また接着性も良好な特徴を有する。分子量の大きいほどフィルム形成性が容易に得られ、また接続時の流動性に影響する溶融粘度を広範囲に設定できる。分子量15,000以上がより好ましい。これらの樹脂は水酸基やカルボキシル基などの極性基を含有すると、エポキシ樹脂との相溶性が向上し、均一な外観や特性を有するフィルムの得られることや、硬化時の反応促進による短時間硬化を得る点からも好ましい。
【0010】
多官能エポキシ樹脂は、1分子内に3個以上のオキシラン基を有し、例えば、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂や多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂が例示できる。
【0011】
本発明で使用する多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂としては、トリフェニルグリシジルエーテルやテトラフェニルグリシジルエーテルエタンがあり、分子内にt−ブチル基などの疎水基を導入することもできる。
【0012】
多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂は、トリグリシジルアミノフェノール、トリグリシジルイソシアヌレート、テトラグリシジルメタキシレンジアミン、テトラグリシジルアミノジフェニルメタン等がある。
【0013】
これらの中では、多官能グリシジルアミン型エポキシ樹脂は速硬化性に有利であるが保存性に難点があり、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂の方がバランスした特性を得やすく好ましい。
【0014】
これらは、3官能、4官能などであり、組成物中のエポキシ基量を多くして架橋密度を高めることができる。これらエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、CIなど)や、加水分解性塩素などを300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0015】
温度活性を有する触媒型潜在性硬化剤としては、公知の材料が適用できる。例えば、イミダゾール系、ヒドラジド系、三フッ化ホウ素−アミン錯体、アミンイミド、ポリアミンの塩、ジシアンジアミドなど、及びこれらの変性物があり、これらは単独または2種以上の混合体として使用出来る。これらはアニオン又はカチオン重合型などのいわゆるイオン重合性の触媒型硬化剤であり、速硬化性を得やすく、また化学当量的な考慮が少なくて良いことから好ましい。
【0016】
長期保存性と速硬化性という矛盾した特性の両立が要求される本発明の好ましい形態としては、これらの硬化剤を核とし、ポリウレタン系、ポリエステル系等の高分子物質や、Ni,Cu等の金属薄膜及びケイ酸カルシウム等の無機物で被覆したマイクロカプセル型であることが好ましい。カプセル型硬化剤の使用に当たって注意すべき点は、カプセルの粒径を例えばフィルム状接着剤の厚みよりも小さくして保存時のカプセル破壊を防止すことや、カプセルの被覆層の材質を組成物や溶剤などに対して耐性のあるものとすることである。
【0017】
本発明の温度活性を有する触媒型硬化剤の活性温度は、50〜200℃が好ましく70〜150℃がより好ましい。活性温度は、DSC(示差走査熱量計)を用いて、エポキシ樹脂と硬化剤の配合物を試料として、室温から10℃/分で昇温させた時の発熱ピーク温度を示す。
【0018】
本発明において、必要に応じて用いるエポキシ樹脂は、例えばエピクロルヒドリンとビスフェノールAやF、D、S等から誘導されるビスフェノール型エポキシ樹脂、エピクロルヒドリンとフェノールノボラックやクレゾールノボラックから誘導されるエポキシノボラック樹脂が代表的であり、その他グリシジルアミン、グリシジルエステル、グリシジルエーテル、ビフェニル、ナフタレン、脂環式、塩素環式などの1分子内に2個以上のオキシラシ基を有する各種のエポキシ化合物が適用できる。これらは単独又は2種以上混合して用いることが可能である。これらエポキシ樹脂は、不純物イオン(Na、Clなど)や、加水分解性塩素などを300ppm以下に低減した高純度品を用いることが、エレクトロンマイグレーション防止のために好ましい。
【0019】
上記したエポキシ樹脂の中では、ビスフェノール型エポキシ樹脂が分子量の異なるグレードが広く入手可能で、接着性や反応性などを任意に設定できることから好ましい。なかでもビスフェノールF型エポキシ樹脂は、粘度が特に低いことから高分子量のフェノキシ樹脂との組み合わせで流動性を広範囲に設定できることや、液状であり粘着性も得やすいことから特に好ましい。
【0020】
上記で得た接着剤組成物中には、通常の添加物などとして例えば、充填剤、軟化剤、促進剤、老化防止剤、着色剤、難燃化剤、チキソトロピック剤、カップリング剤およびメラミン樹脂、イソシアネート類などの硬化剤などを含有することも出来る。これらの中では、導電粒子やシリカなどの充填剤及びシラン、チタン、クロム、ジルコニウム、アルミニウム、などの各系のカップリング剤が特に有用である。
【0021】
導電粒子としては、Au,Ag、Ni,Cu、はんだ等の金属粒子やカーボン等があり、これら及び非導電のガラス、セラミック、プラスチック等に前記した導電層を被覆などにより形成したものでも良い。これらは0.01〜30体積%の広範囲で用途により使い分けられる。例えば全方向に導電性を必要とする導電塗料などでは15体積%以上、回路接続用に有用な異方導電性接着剤などでは15体積%以下がそれぞれ用いられる。
【0022】
カップリング剤としては、アミノ基やエポキシ基含有物が、接着性の向上や充填剤などの分散性向上の点からとくに好ましい。
【0023】
本発明の接着剤組成物は、一液型接着剤として、塗料、積層材料、含浸材料、成形材料などに適用できるが、ICチップと基板との接着や電気回路相互の接着用のフィルム状接着剤として特に有用である。
【0024】
この場合例えば、上記で得た接着剤組成物を溶剤あるいはエマルジョンの場合の分散液などとして液状化して、離形紙などの剥離性基材上に形成し、あるいは不織布等の基材に前記配合液を含浸させて剥離性基材上に形成し、硬化剤の活性温度以下で乾燥し、溶剤あるいは分散液等を除去すればよい。
【0025】
この時、用いる溶剤は芳香族炭化水素系と含酸素系の混合溶剤が、材料の溶解性を向上させるため好ましい。ここに含酸素系溶剤のSP値は8.1〜10.7の範囲とすることが温度活性を有する触媒型潜在性硬化剤の保護上好ましく、酢酸エステル類がより好ましい。また溶剤の沸点は150℃以下が適用できる。沸点が150℃を超すと乾燥に高温を要し潜在性硬化剤の活性温度に近いことから潜在性の低下を招き、低温では乾燥時の作業性が低下する。このため沸点が、60〜150℃が好ましく、70〜130℃がより好ましい。
【0026】
本発明で得た接着剤組成物を用いた電極の接続について説明する。
【0027】
この方法は、接着剤組成物の硬化物Tgが120℃以上である接着剤組成物を、基板上の相対峙する電極間に形成し、加熱加圧により両電極の接触と基板間の接着をえる電極の接続方法である。ここに硬化物のTgは、動的粘弾性(引っ張りモード、10Hz)によるTanδのピーク温度とする。Tgが120℃以上である理由は、信頼性評価の高次の目標温度と略一致させるためである。Tg以下の温度下では弾性率等の物性変化は比較的少ない。
【0028】
電極間を形成する基板としては、半導体、ガラス、セラミックなどの無機物、ポリイミド、ポリカーボネートなどの有機物、ガラス/エポキシなどのこれら複合体の各組合わせが適用できる。
【0029】
本発明で得た接着剤組成物を用いた接着剤付金属箔について説明する。接着剤付金属箔は、銅やアルミニウムなどの金属箔と前記した基板との接着に用いられ、例えば印刷回路板等として多用されている。
【0030】
本発明で得た接着剤組成物を用いた接着剤付金属箔によれば、速硬化性と保存性の両立が可能なことから基板との接着に連続積層法が適用できるなど、作業性が向上する。また、Tgの向上と耐高温高湿性を得ることが可能であり特性が向上する。金属箔に接着剤組成物を形成する方法としては、塗布やフィルム状接着剤とすれば良く、形成面は片面もしくは両面でもよい。
【0031】
本発明においては、フェノキシ樹脂と多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び温度活性を有する潜在性硬化剤とを含有することにより、速硬化性と保存性の両立を得ながら、Tgの向上と耐高温高湿性を得ることが可能である。この理由は、フェノキシ樹脂中の水酸基の存在が多官能エポキシ樹脂の硬化反応を促進して速硬化性を可能とし、フェノキシ樹脂が高分子量で粘度が高い事から常温域ではエポキシ樹脂が潜在性硬化剤と接触しにくいことにより、良好な保存性が得られるものと各々推定できる。
【0032】
フェノキシ樹脂は分子鎖が長くエポキシ樹脂と構造が似ており、高架橋密度の組成物中で可とう性材料として作用し、高靭性を付与するので高強度でありながらタフネスな組成物が得られる。
【0033】
多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂は、硬化により組成物中の架橋密度を高めてTgの向上を得る。高温高湿性の向上機構については、架橋密度の向上による高温時の高弾性率保持に加えて、多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂のエーテル構造の導入による吸水性の低下や界面接着性の向上が考えられる。これらの作用は、フェノキシ樹脂との併用による相乗効果として、一層有効に得られる。
【0034】
また、ビスフェノール型エポキシ樹脂は、流動性、粘着性、接着性、反応性などを任意に調節するのに有効である。
【0035】
本発明におけるフィルム状接着剤は、用いる接着剤がフェノキシ樹脂と多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び温度活性を有する潜在性硬化剤を含有し、温度活性を有する潜在性硬化剤の活性温度以下で乾燥するため、硬化剤の劣化がなく安定した保存性が得られる。
【0036】
本発明における電極の接続体は、用いる接着剤がフェノキシ樹脂と多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び温度活性を有する潜在性硬化剤を含有することにより、硬化物のTgが120℃以上であるため接続部の耐熱性及び耐高温高湿性に優れ、極めて良好な接続信頼性を得ることができる。
【0037】
本発明で得た接着剤組成物を用いた接着剤付金属箔によれば、速硬化性と保存性の両立が得られ、製造時の作業性が向上する。また、Tgの向上と耐高温高湿性を得ることが可能であり特性が向上する。
【0038】
【実施例】
参考例1)PKHA(フェノキシ樹脂、分子量25,000,水酸基6%、ユニオンカーバイト社製商品名)と、EPPN501H(トリフェニルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量176、日本火薬株式会社製商品名、EPPNと略)とを、50g対50gで秤量しいずれも試薬特級のトルエン(沸点110.6℃、SP値8.90)/酢酸エチル(沸点77.1、SP値9.10)=50/50(重量%)の混合溶剤に溶解して40%溶液を得た。この溶液250gに、温度活性を有する潜在性硬化剤A(平均粒径10μmの1−シアノエチル−2−ウンデシル・トリメリテートイミダゾリウム、略号C11Z−CNS、の粉体表面に厚み約0.2μmの銅めっき層を有するマイクロカプセル型、活性温度128℃)20gを混合した。上記で得た混合液を、銅箔105μm粗化面に塗布後、100℃、10分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが15μmの接着剤付銅箔を得た。
【0039】
この接着剤付き銅箔および、この接着剤付銅箔を50℃、240時間の保存処理したものとを用いて、銅箔105μm粗化面とITO表面処理ガラス1.1mmとの接続を160℃−20kg/mm−30秒で行い、高温高湿処理(PCT−121℃、2atm)前後の引張りせん断接着強さ(JIS、K−6850、但し接着面積3×1mm、5個の平均)を求めた。評価結果を表1に示すが、良好な短時間接続性と保存性及び高温高湿性を示した。
【0040】
(参考例2〜7)参考例1と同様であるが、PKHAを除く他の成分の材料及び量を変更し、接着剤組成物100部に対し0.5部のγ−グリシドキシプロピルトリメトキシシランを加えた。フェノキシ樹脂と多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂及び温度活性を有する潜在性硬化剤(便宜上エポキシ樹脂も含めて表示)の比は、固形分比で40/30/30とし、トルエン/酢酸エチル(いずれも試薬特級)=70/30の混合溶剤に溶解して40%溶液を得た。
【0041】
ここに新しく用いた材料は、多官能型エポキシ樹脂が、エピコート1032(トリフェニルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量176、加水分解性塩素270ppm、油化シェルエポキシ株式会社製商品名、1032と略)、ESX−220(3官能構造にt−ブチル基を導入したグリシジルエーテル型エポキシ樹脂、エポキシ当量220、住友化学工業株式会社製商品名、ESXと略)、及びエピコート1031(テトラフェニルグリシジルエーテルエタン型エポキシ樹脂、エポキシ当量176、油化シェルエポキシ株式会社製商品名、1031と略)である。
【0042】
温度活性を有する潜在性硬化剤は、ノバキュア3748(イミダゾール変性体を核とし、その表面をポリウレタンで被覆してなる平均粒径5μmのマイクロカプセル型硬化剤を液状ビスフェノールA型エポキシ樹脂中に分散してなるマスタバッチ型硬化剤、活性温度132℃、旭化成工業株式会社製商品名、3748と略)、及びノバキュア3941(3748と同様だが液状ビスフェノールF型エポキシ樹脂中に分散、活性温度125℃、以下旭化成工業株式会社製商品名、3941と略)である。
【0043】
参考例1と同様に評価した結果を表1に示すが、シランカップリング剤を含有したこともあり良好な短時間接続性と保存性及び高温高湿性を示した。
【0044】
(実施例参考例5の溶液を、2軸延伸ポリプロピレンフィルム(OPP)と略)上にロールコータを用いて塗布後、100℃、10分の熱風乾燥により、接着剤層の厚みが25μmのフィルム状接着剤を得た。
【0045】
このフィルムは、室温で十分な柔軟性を有しており、連続的に巻重が可能であった。このフィルムおよび、このフィルムを50℃、240時間の保存処理したものとを用いて、銅箔105μm粗化面とITO表面処理ガラス1.1mmとの接続を160℃−20kg/mm−30秒で行い、高温高湿処理(PCT−121℃、2atm)前後の引張りせん断接着強さを求めた。評価結果を表1に示すが、良好な短時間接続性と保存性及び高温高湿性を示した。
【0046】
この接着剤を200℃、10分気中で加熱し、粘弾性測定装置(レオスペクトラDVE−V4,レオロジ株式会社製商品名)により、引っ張りモード、10Hz、5℃/分によるTanδのピーク温度を求めたところ180℃以上であった。
【0047】
また、上記硬化物を純水中に浸積し、100℃−10h後の抽出水を、イオンクロマトグラフィーで分析したところ、Na 5.2ppm、C1 3.5ppmであった。
【0048】
参考例8、9、10、実施例2及び比較例1)実施例と同様であるが、PKHAの可とう化品であるPKHM−30を用い、温度活性を有する潜在性硬化剤は前述のノバキュア3941を40%とした。フェノキシ樹脂と多官能型エポキシ樹脂との量比は、PKHM−30/エピコート1032=0/60(比較例1)、5/55(参考例8)、30/30(参考例9)、55/5(実施例)、60/0(比較例)である。実施例と同様に求めたTanδのピーク温度は、参考例8、参考例9はいずれも180℃以上であった。同様に参考例9は154℃、実施例は123℃、比較例は85℃であった。参考例10はフェノキシ樹脂を含有しないので、フィルムの形成性に劣り試験不能であった。
【0049】
引張りせん断接着強さの評価結果を表1に示す。参考例8、9及び実施例2は、フェノキシ樹脂と多官能型エポキシ樹脂との量比を変動させたが、いずれも良好な引張りせん断接着強さであった。一方、参考例10は試験不能であった。比較例は、多官能型エポキシ樹脂を含有しないので、耐熱性がなく高温高湿処理後に剥離した。
【0050】
(比較例参考例6と同様であるがエピコート1032の30部に対し、硬化剤を芳香族アミン系のジアミノジフェニルスルホン12部とした。この場合上記実施例の硬化条件の160℃−30秒では硬化不可能であり、引き剥がし強さが発現しなかった。
【0051】
(実施例3〜5)実施例のフィルム状接着剤(実施例)及び、この接着剤に対して1体積%の導電粒子として、平均粒径3μmのニッケル(実施例)、平均粒径5μmの表面に金属薄層を有するプラスチック粒子(実施例)を含有するフィルム状接着剤を用意した。
【0052】
一方、ガラス板上に半導体チップ(3×10mm、高さ0.5mm、主面の4辺周囲にバンプと呼ばれる50μm角、高さ20μmの金属突起電極を形成)のバンプ配置と対応した接続端子を有するITO回路を形成した配線板を用意した。半導体チップのバンプ面と、配線板の回路との間に前記フィルム状接着剤を載置した。この時実施例の各フィルムは、室温で粘着性を有しており半導体チップのバンプ面に簡単に仮接着できた。この後OPP(セパレータ)を剥離し、ガラス回路とバンプの位置合わせを行い、170℃−30g/バンプ−20秒の加熱加圧を行い、ガラス回路と半導体チップを接続した。
【0053】
上記接続品は接続部への気泡混入がなかった。接続品の導通チェックを行ったところ、いずれも良好な接続であった。更にPCT−121℃、2atm−200h後も、各実施例ともに良好な接続であった。
【0054】
接続部の断面を走査型電子顕微鏡で観察したところ、実施例では一部のバンプが変形して平坦性を得て接続端子と良く接触していた。同様に実施例ではニッケルがバンプにつきささるように、実施例ではプラスチック粒子が加圧方向に潰されるように変形して、それぞれ導電粒子を介して接続端子と良く接触していた。これらのことから、実施例では電極面の酸化層を突き破り、実施例ではバンプ高さのバラツキにそれぞれ対応可能な事がわかった。
【0055】
【表1】
Figure 0003786409
【0056】
(実施例及び比較例)実施例及び比較例のフィルム状接着剤を用いて、実施例と同様な評価を行った。実施例のフィルムを用いた接続品(実施例)は良好な接続であった。比較例のフィルムを用いた接続品(比較例)ではPCT後に接続オープンが多数発生した。評価温度である121℃に対して、実施例は123℃、比較例は85℃であった硬化物のTgが大きく影響したと考えられる。評価の最高温度よりも接着剤硬化物のTgを高くすることで、接続信頼性の向上が可能であった。
【0057】
【発明の効果】
以上詳述したように本発明によれば、エレクトロンマイグレーション防止、耐熱性と耐湿性及び作業性に優れ、特に厳しい信頼性の要求される電気・電子用接着剤として好適な接着剤組成物を提供することができる。

Claims (2)

  1. 下記成分を必須とする、硬化物のTg(ガラス転移温度)が120℃以上である異方導電性回路接続用接着剤
    (1)フェノキシ樹脂
    (2)加水分解性塩素が300ppm以下である、3官能または4官能の多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂
    (3)温度活性を有する触媒型潜在性硬化剤
  2. 前記多官能グリシジルエーテル型エポキシ樹脂が、トリフェニルグリシジルエーテル型エポキシ樹脂またはテトラフェニルグリシジルエーテルエタン型エポキシ樹脂である請求項1に記載の異方導電性回路接続用接着剤
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