JP2008138080A - 空気入りタイヤ - Google Patents
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Abstract
【課題】硬度、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性及び加工性を改良した空気入りタイヤのリムクッションに使用するのに適したゴム組成物の提供。
【解決手段】(A)(1)1,3−ブタジエンとC4留分を主成分とする不活性有機溶媒との混合物の水分の濃度を調節し、(2)次いで、シス−1,4重合の触媒を前記混合物に添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、(3)次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム5〜100重量部を含むゴム成分100重量部及び(B)カーボンブラック70〜90重量部を含むゴム組成物をリムクッションに用いた空気入りタイヤ。
【選択図】図1
【解決手段】(A)(1)1,3−ブタジエンとC4留分を主成分とする不活性有機溶媒との混合物の水分の濃度を調節し、(2)次いで、シス−1,4重合の触媒を前記混合物に添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、(3)次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム5〜100重量部を含むゴム成分100重量部及び(B)カーボンブラック70〜90重量部を含むゴム組成物をリムクッションに用いた空気入りタイヤ。
【選択図】図1
Description
本発明は空気入りタイヤに関し、更に詳しくは硬度、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性及び加工性が改良されたゴム組成物をリムクッションに用いた空気入りタイヤに関する。
空気入りタイヤのリムクッション(図1参照)は、タイヤ走行中のリム擦れを防止する役割を有し、そのため、高硬度及び高耐摩耗性が要求される部位である(例えば特許文献1参照)。また、リムクッションはかなり強い屈曲を受けるため、耐屈曲亀裂性を有することも要求される。例えば、ゴム組成物の硬度や耐摩耗性を向上させるために、カーボンブラックの配合量を増量することも考えられるが、これでは耐屈曲亀裂性が低下してしまうので好ましくない。また、ゴム組成物中へのポリブタジエン配合量を増加させることにより耐摩耗性は向上するが、スウェル値が上昇してしまい加工性に劣るという問題が残る。
従って、本発明の目的は、空気入りタイヤのリムクッションに使用するのに好適な硬度、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性及び加工性を改良したゴム組成物を提供することにある。
本発明に従えば、(A)(1)1,3−ブタジエンとC4留分を主成分とする不活性有機溶媒との混合物の水分の濃度を調節し、(2)次いで、シス−1,4重合の触媒を前記混合物に添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、(3)次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム5〜100重量部を含むゴム成分100重量部及び(B)カーボンブラック70〜90重量部を含むゴム組成物をリムクッション部に用いた空気入りタイヤが提供される。
本発明によれば、前述の特定のビニル・シス−ポリブタジエン(以下、改良VCRという)を用いることにより、硬度、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性の向上ならず、スウェル値低下による加工性も向上したゴム組成物を得ることができる。
本発明者らは、前記課題を解決すべく研究を進めた結果、従来から宇部興産(株)から市販されているVCR(例えば特開2001−302730号公報参照)よりも、syn−1.2−ポリブタジエン結晶を高度に分散させた改良VCRをリムクッションに配合することで、硬度、耐摩耗性、耐屈曲亀裂性の向上だけでなく、スウェル値低下による加工性を向上させることに成功した。
かかる改良VCRは例えば特開2005−247899号公報に記載の方法で製造することができる。具体的には(1)1,3−ブタジエンとC4留分を主成分とする不活性有機溶媒(例えばn−ブタン、シス−2−ブテン、トランス−2−ブテン、ブテン−1)との混合物の水分の濃度を調節し(具体的には、水分は前記媒体中のハロゲン含有有機アルミニウム化合物1モル当たり、好ましくは0.1〜1.0モル、特に好ましくは0.2〜1.0モルの範囲である。この範囲以外では触媒活性が低下したり、シス−1,4構造含有率が低下したり、分子量が異常に低下又は高くなったり、重合時のゲルの発生を抑制することができなくなったりするおそれがあり、このため重合槽などへのゲルの付着が起ったり、更に連続重合時間を延ばすことができなくなったりするおそれがあるので好ましくない。なお水分の濃度を調節する方法は公知の方法が適用できる。多孔質濾過材を通して添加・分散させる方法(特開平4−85304号公報)も有効である。)、(2)次いで、シス−1,4重合の触媒として、一般式AlRnX3-n(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基であり、Xはハロゲン元素であり、nは1.5〜2である)で表されるハロゲン含有有機アルミニウム化合物と可溶性コバルト化合物(例えばコバルトのβ−ジケトン錯体、コバルトのβ−ケト酸エステル錯体、C6以上の有機カルボン酸のコバルト塩、ハロゲン化コバルト錯体)とを前記混合物に添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、(3)次いで、得られた重合反応混合物中に可溶性コバルト化合物と一般式AlR3(但し、Rは炭素数1〜6のアルキル基、フェニル基又はシクロアルキル基である)で表される有機アルミニウム化合物と二硫化炭素とから得られる1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させることによって得ることができる。更に詳しくは特開2005−247899号公報に記載の通りである。
本発明において使用する前記改良VCRは、ゴム成分100重量部当り、5〜100重量部、好ましくは20〜100重量部配合する。この配合量が少ないと所望の性能を得られないので好ましくない。本発明において使用する他のジエン系ゴムはリムクッションに使用することができる任意のジエン系ゴム、例えば天然ゴム(NR)、ポリイソプレンゴム(IR)、各種ポリブタジエンゴム(BR)、各種スチレン−ブタジエン共重合体ゴム、ブチルゴム(IIR)などをあげることができる。
本発明において使用するゴム組成物には、ゴム成分100重量部に対し、70〜90重量部のカーボンブラックを配合する。カーボンブラックの配合量が少な過ぎると硬度、耐摩耗性が低下、加工性が悪化するので好ましくなく、逆に多いと耐屈曲亀裂性が低下するので好ましくない。
本発明に用いるカーボンブラックはタイヤ用、特にリムクッション用ゴム組成物に配合することができる任意のカーボンブラックとすることができるが、硬度、耐摩耗性、加工性、耐屈曲亀裂性の観点から粒径が20〜50nm、好ましくは25〜40nmのHAF級などのカーボンブラックを使用するのが好ましい。
図1は典型的な空気入りタイヤの各部分の呼称を付した半断面図を示す。図1において、本発明ではリムクッションに前記ゴム組成物を使用するもので、タイヤ走行中のリム擦れを防止する作用を有する。本発明に従ったゴム組成物は従来と同様の空気入りタイヤの製造ラインにおいてリムクッションに使用することができる。
本発明に係るゴム組成物には、前記した成分に加えて、シリカなどのその他の補強剤(フィラー)、加硫又は架橋剤、加硫又は架橋促進剤、各種オイル、老化防止剤、可塑剤などのタイヤ用、その他のゴム組成物用に一般的に配合されている各種添加剤を配合することができ、かかる添加剤は一般的な方法で混練して組成物とし、加硫又は架橋するのに使用することができる。これらの添加剤の配合量は本発明の目的に反しない限り、従来の一般的な配合量とすることができる。
以下、実施例によって本発明を更に説明するが、本発明の範囲をこれらの実施例に限定するものでないことはいうまでもない。
実施例1〜7及び比較例1
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、160℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を評価した。結果は表Iに示す。
サンプルの調製
表Iに示す配合において、加硫促進剤と硫黄を除く成分を1.7リットルの密閉型ミキサーで5分間混練し、160℃に達したときに放出してマスターバッチを得た。このマスターバッチに加硫促進剤と硫黄をオープンロールで混練し、ゴム組成物を得た。このゴム組成物を用いて以下に示す試験法で未加硫物性を評価した。結果は表Iに示す。
次に得られたゴム組成物を所定の金型中で150℃で30分間加硫して加硫ゴムシートを作製し、以下に示す試験法で加硫ゴムの物性を測定した。結果は表Iに示す。
ゴム物性評価試験法
スウェル:JIS K6300に準じてダイスウェル測定を行った。剪断速度が30,100及び300(1/sec)時の値を平均し、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほどダイスウェルが小さく、結果が良好であることを示す。
硬度:JIS K6253に基づいて硬度測定を行い、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど硬度が高く、良好であることを示す。
耐摩耗性:JIS K6264に基づいてランボーン摩耗試験を行い、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど耐摩耗性が良いことを示す。
耐屈曲亀裂性:JIS K6260に基づいてクラック成長試験を行い、10000回、30000回及び50000回屈曲させた時の亀裂長を平均し、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど亀裂長が短い、つまり耐屈曲亀裂性が良いことを示す。
スウェル:JIS K6300に準じてダイスウェル測定を行った。剪断速度が30,100及び300(1/sec)時の値を平均し、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほどダイスウェルが小さく、結果が良好であることを示す。
硬度:JIS K6253に基づいて硬度測定を行い、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど硬度が高く、良好であることを示す。
耐摩耗性:JIS K6264に基づいてランボーン摩耗試験を行い、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど耐摩耗性が良いことを示す。
耐屈曲亀裂性:JIS K6260に基づいてクラック成長試験を行い、10000回、30000回及び50000回屈曲させた時の亀裂長を平均し、比較例1の値を100として指数表示した。この数値が大きいほど亀裂長が短い、つまり耐屈曲亀裂性が良いことを示す。
表I脚注
*1:天然ゴム STR−20
*2:宇部興産(株)製ポリブタジエンゴム VCR412
*1:天然ゴム STR−20
*2:宇部興産(株)製ポリブタジエンゴム VCR412
*3:以下のようにして合成した。
所定の水分を溶解した1,3−ブタジエンを32重量%濃度でシス−2−ブテンを主成分として含有するC4留分(68重量%)混合媒体(水分;2.09ミリモル/L)を毎時12.5リットル(二硫化炭素20mg/Lを含有する)を20℃に保持された容量2リットルの攪拌機付きステンレス製熟成槽に供給すると共にジエチルアルミニウムクロライド(10重量%のn−ヘキサン溶液、3.13mmol/L)を供給し、この反応槽溶液におけるジエチルアルミニウムクロライド/水モル比を1.5に調製する。得られた熟成液を40℃に保持された容量5リットルの攪拌機付きステンレス製シス重合槽に供給する。このシス重合槽にはコバルトオクトエート(コバルトオクトエート0.0117mmol/L,n−ヘキサン溶液)と分子量調節剤1,2−ブタジエン(1,2−ブタジエン8.2mmol/L;1.535mol/Lのn−ヘキサン溶液)が供給される。得られたシス重合液を内容5リットルのリボン型攪拌機付きステンレス製1,2重合槽に供給し、35℃で10時間連続重合した。この1,2重合槽にはトリエチルアルミニウム(10重量%のn−ヘキサン溶液、4.09mmol/L)を連続的に供給した。得られた重合液を攪拌機付混合槽に供給し、これに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールをゴムに対して1PHR加え、更にメタノールを少量加え重合を停止した後、未反応1,3−ブタジエン及びC4留分を蒸発除去し、常温で真空乾燥してVCR8.3kgを得た。このVCRのML=57,H.l=11.1%,H.lの融点=204.1℃,H.lのηsp/c=1.84、沸騰n−ヘキサン可溶分のML=30、沸騰n−ヘキサン可溶分のT−cp=62、沸騰n−ヘキサン可溶分のシス−1,4構造=98.5%,Mw=465,000,Mn=188,000,Mw/Mn=2.47であった。透過型電子顕微鏡観察写真から得られた短繊維結晶の長軸長さの分布は繊維長さの98%以上が0.6μm未満であり、且つ繊維長さの70%以上が0.2μm未満であった。
所定の水分を溶解した1,3−ブタジエンを32重量%濃度でシス−2−ブテンを主成分として含有するC4留分(68重量%)混合媒体(水分;2.09ミリモル/L)を毎時12.5リットル(二硫化炭素20mg/Lを含有する)を20℃に保持された容量2リットルの攪拌機付きステンレス製熟成槽に供給すると共にジエチルアルミニウムクロライド(10重量%のn−ヘキサン溶液、3.13mmol/L)を供給し、この反応槽溶液におけるジエチルアルミニウムクロライド/水モル比を1.5に調製する。得られた熟成液を40℃に保持された容量5リットルの攪拌機付きステンレス製シス重合槽に供給する。このシス重合槽にはコバルトオクトエート(コバルトオクトエート0.0117mmol/L,n−ヘキサン溶液)と分子量調節剤1,2−ブタジエン(1,2−ブタジエン8.2mmol/L;1.535mol/Lのn−ヘキサン溶液)が供給される。得られたシス重合液を内容5リットルのリボン型攪拌機付きステンレス製1,2重合槽に供給し、35℃で10時間連続重合した。この1,2重合槽にはトリエチルアルミニウム(10重量%のn−ヘキサン溶液、4.09mmol/L)を連続的に供給した。得られた重合液を攪拌機付混合槽に供給し、これに2,6−ジ−t−ブチル−p−クレゾールをゴムに対して1PHR加え、更にメタノールを少量加え重合を停止した後、未反応1,3−ブタジエン及びC4留分を蒸発除去し、常温で真空乾燥してVCR8.3kgを得た。このVCRのML=57,H.l=11.1%,H.lの融点=204.1℃,H.lのηsp/c=1.84、沸騰n−ヘキサン可溶分のML=30、沸騰n−ヘキサン可溶分のT−cp=62、沸騰n−ヘキサン可溶分のシス−1,4構造=98.5%,Mw=465,000,Mn=188,000,Mw/Mn=2.47であった。透過型電子顕微鏡観察写真から得られた短繊維結晶の長軸長さの分布は繊維長さの98%以上が0.6μm未満であり、且つ繊維長さの70%以上が0.2μm未満であった。
*4:東海カーボン(株)製HAF級カーボンブラック シーストKH(粒径:24nm)
*5:昭和シェル石油(株)製デソレックス3号
*6:大内新興化学工業(株)製ノクラック224
*7:日本油脂(株)製ビーズステアリン酸
*8:正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種
*9:大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS−P
*10:細井化学工業(株)製5%油展処理イオウ
*5:昭和シェル石油(株)製デソレックス3号
*6:大内新興化学工業(株)製ノクラック224
*7:日本油脂(株)製ビーズステアリン酸
*8:正同化学工業(株)製酸化亜鉛3種
*9:大内新興化学工業(株)製ノクセラーNS−P
*10:細井化学工業(株)製5%油展処理イオウ
本発明によれば、前述の改良VCRをリムクッション用ゴム組成物に配合することによって、硬度、耐摩耗性及び耐屈曲亀裂性を向上させるのみならずスウェル値の低下による加工性を改良することができる。
Claims (2)
- (A)(1)1,3−ブタジエンとC4留分を主成分とする不活性有機溶媒との混合物の水分の濃度を調節し、(2)次いで、シス−1,4重合の触媒を前記混合物に添加して1,3−ブタジエンをシス−1,4重合し、(3)次いで、得られた重合反応混合物中に1,2重合触媒を存在させて、1,3−ブタジエンを1,2重合させて得られたビニル・シス−ポリブタジエンゴム5〜100重量部を含むゴム成分100重量部及び(B)カーボンブラック70〜90重量部を含むゴム組成物をリムクッションに用いた空気入りタイヤ。
- 前記カーボンブラックの粒径が20〜50nmである請求項1に記載の空気入りタイヤ。
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Cited By (1)
Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
---|---|---|---|---|
WO2014020909A1 (ja) * | 2012-08-02 | 2014-02-06 | 横浜ゴム株式会社 | タイヤリムクッションまたはガムフィニッシング用ゴム組成物およびそれを用いた空気入りタイヤ |
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JP2000044633A (ja) * | 1998-07-31 | 2000-02-15 | Ube Ind Ltd | 新規なビニル・シスーブタジエンゴムの製造方法及びビ ニル・シスーブタジエンゴム組成物 |
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JP2006056978A (ja) * | 2004-08-19 | 2006-03-02 | Toyo Tire & Rubber Co Ltd | タイヤリムストリップ用ゴム組成物 |
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2006
- 2006-12-01 JP JP2006325589A patent/JP2008138080A/ja active Pending
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US9382408B2 (en) | 2012-08-02 | 2016-07-05 | The Yokohama Rubber Co., Ltd. | Rubber composition for tire rim cushion or rubber finishing and pneumatic tire using the same |
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