JP2008137179A - 繊維強化プラスチックの製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】
本発明は、樹脂の注入可能な時間内に強化繊維基材積層体内に十分に樹脂を含浸させ、かつ、製造コストが低い成形体を得ることができるFRPの製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明に係るFRPの製造方法は、成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させるFRPの製造方法において、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とするものである。
【選択図】図1
本発明は、樹脂の注入可能な時間内に強化繊維基材積層体内に十分に樹脂を含浸させ、かつ、製造コストが低い成形体を得ることができるFRPの製造方法を提供せんとするものである。
【解決手段】
本発明に係るFRPの製造方法は、成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させるFRPの製造方法において、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とするものである。
【選択図】図1
Description
本発明は、繊維強化プラスチック(以下、FRPと言う。)製の構造体を成形する Resin Transfer Molding(以下、RTMと言う。)成形方法の改良に関し、とくに、強化繊維基材積層体内に十分に硬化樹脂を含浸させ、かつ、製造コストが低い成形体を得ることができるFRPの製造方法に関する。
FRPは種々の分野に使用されているが、FRPの製造方法としては、型内に強化繊維基材積層体を配置し、型内を減圧して未硬化の樹脂を供給、含浸後、硬化させて成形体を得る、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding)法等が知られている。
そして、強化繊維基材積層体内に未硬化の樹脂を供給、含浸させる方法としては、メッシュ状の樹脂拡散媒体を用いて樹脂を供給する方法(特許文献1参照)や、強化繊維基材積層体の端面から積層面に沿う方向に樹脂を注入して含浸させる方法(特許文献2参照)や、溝を用いて樹脂を供給する方法(特許文献3参照)等が知られている。
米国特許第5,052,906号明細書
特開2004−130599号公報
米国特許第5,721,034号明細書
しかしながら、前記特許文献1の如く、メッシュ状の樹脂拡散媒体を用いて樹脂を供給する方法では、短時間で強化繊維基材積層体上に拡散させることが出来るが、メッシュ状の樹脂拡散媒体を配置する工程と、硬化後に除去する工程が必要であり、製造コストが高くなる。また、樹脂拡散媒体や該媒体内の樹脂は最終的に廃棄するため、廃棄物の量が多くなると言う問題がある。
前記特許文献2の如く、強化繊維基材積層体の端面から積層面に沿う方向に樹脂を注入して含浸させる方法では、メッシュ状の樹脂拡散媒体を用いる方法と比較して、樹脂拡散媒体の配置、除去の手間を省くことが出来るが、強化繊維積層体の樹脂の流動抵抗が、樹脂拡散媒体などと比較して非常に高いため、樹脂の注入に時間がかかり、樹脂の注入可能時間が短い場合や強化繊維基材積層体の密度が高い場合に、樹脂の完全な含浸が困難である。
前記特許文献3の如く、成形型に樹脂拡散用の溝を用いる場合には、最終的に成形型の溝内で硬化した樹脂を除去する工程が必要となり、また、溝内で硬化した樹脂を廃棄するため、廃棄物が多いと言う問題がある。
本発明は、上記のような課題を解決し、樹脂の注入可能な時間内に強化繊維基材積層体内に十分に樹脂を含浸させ、かつ、製造コストが低い成形体を得ることができるFRPの製造方法を提供することを目的とする。
本発明は、上記課題を解決するために、次のような手段を採用するものである。すなわち、本発明に係るFRPの製造方法は、成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させるFRPの製造方法において、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とするものである。
かかるFRPの製造方法における好ましい態様は、次の通りである。すなわち、
(1) 成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させる繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
(1) 成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させる繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
(2) 前記繊維強化プラスチックが、桁材である、前記(1)に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(3) 前記強化繊維材積層体の長手方向に垂直な断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである、前記(2)に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(4) 前記強化繊維材積層体が、長手方向に交叉する断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである桁形成部分と、面状のパネル形成部分とを一体化した形状である、前記(1)に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(5) 成形型内に予成形繊維強化プラスチックパネルを配置し、その上に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させる繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
(6) 前記予成形繊維強化プラスチックパネル上に配置する強化繊維材積層体が、桁材となる、前記(5)に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(7) 前記予成形繊維強化プラスチックパネル上に配置する強化繊維材積層体の長手方向に交叉する断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである、前記(6)に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(8) 前記治具の樹脂流路が、凹凸の高低差が0.8mm以下である凹凸形状である、前記(1)〜(7)のいずれかにに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
(9) 前記治具の少なくとも前記強化繊維材積層体と接する部分が、離型性を有する材質で構成されているものである、前記(1)〜(8)のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
本発明によれば、強化繊維基材積層体内に、安定して迅速に、かつ、確実・十分に樹脂を含浸させることができるので、安価な製造コストでFRPを提供することができる。
本発明は、前記課題、つまり、強化繊維基材積層体内に、安定して迅速に、かつ、確実・十分に樹脂を含浸させることができるFRPの製造方法について、鋭意検討し、成形型内で、かつ、該強化繊維材積層体の上に、樹脂通路となる凹凸形状を有する治具を配置してみたところ、かかる課題をみごとに解決することを究明したものである。
本発明に係るFRPの製造方法においては、注入された樹脂は、強化繊基材積層体上に配置された治具に形成された凹凸によって強化繊維基材積層体上に拡散させることができる。したがって、樹脂拡散媒体の配置、除去の手間を省くことができる上に、低コスト化につながる。また、注入された樹脂は、まず、強化繊基材積層体上に配置された治具に形成された凹凸を流れ、その後、強化繊維基材積層体の積層方向に含浸させるので、樹脂の供給が迅速に行われ、含浸時間が短くなる。
以下に、本発明の望ましい実施の形態を、図面を参照して説明する。
図1は、本発明の一実施形態に係る製造方法の断面図である。
成形型1は、例えばアルミやステンレスなどの金属やFRPやフッ素樹脂製などで、平板状や曲面状のものである。まず、成形型1の上に、たとえば断面形状がT形の強化繊維基材積層体2を配置する。本実施形態では断面がT形のもので説明するが、平板であってもよい。かかる強化繊維基材積層体2に用いられる強化繊維としては、炭素繊維、ガラス繊維、アラミド繊維などが好ましく使用される。また、T形に形成する方法としては、事前に別の型を用いて織物を一枚ずつ積層する方法や、ブレイディングなどの手段を採用することができる。
次に、強化繊維基材積層体2の上に治具3を配置する。その治具3は凹凸形状の樹脂流路4を有する。すなわち、この治具3の少なくとも片面に、樹脂流路となる凹凸形状が形成されているものであり、該治具3の両面に強化繊維基材積層体2が配置される場合は、もちろん該治具3の両面に該凹凸形状が形成されているものである。かかる樹脂流路4は、正確には、該治具3の凹凸形状と該強化繊維材積層体面とで構成されるものであるが、主体が該治具3の凹凸形状であるから、本発明では凹凸形状の樹脂流路という。
さらに具体的に説明すると、この治具3は、成形型1と強化繊維基材積層体2の間に配置される、つまり強化繊維基材積層体2の上に配置されるものであり、しかも該強化繊維基材積層体2に樹脂を供給する樹脂流路となる凹凸形状を設けるとすれば、この凹凸形状は治具3の、該強化繊維基材積層体2と接する側の面、つまり表面に刻設・形成されている必要がある。かく構成することにより、前記強化繊維基材積層体2の上に配置される治具3の凹凸形状の樹脂流路4を介して、前記強化繊維材積層体に樹脂を、安定して迅速に、かつ、確実・十分に樹脂を含浸させることができたものである。
かかる治具3の材質としては、アルミやステンレスなどの金属やFRPやフッ素樹脂などであり、また、それらの組み合わせ、例えば、凹凸形状部分がフッ素樹脂製でそれ以外の部分が金属製であっても良い。形態としては、繊維強化基材積層体2に接する部分のみ凹凸形状が加工されたものや、全体がエンボス加工された薄板で製作されていても良い。ただし、かかる治具3の凹凸形状が製品に克明に出現することは、表面の意匠性が悪くなるだけでは無く、繊維にうねりが発生し強度低下に繋がるほか、他の部品と接着する場合に接着層厚みが不均一になる、他の部品と組み合わせる場合に公差が出ない、などの点から避けるべきであり、そのために樹脂流動を阻害しない程度に該凹凸形状を微細化するのが好ましく、該凹凸形状としては、凹凸の高低差を、好ましくは0.8mm以下、より好ましくは0.3〜0.6mmの範囲の微細な溝であれば、樹脂流路としても問題がないのでよい。また、最終的に該凹凸形状に残り、硬化した樹脂は廃棄するため、該凹凸形状を微細化することによって、樹脂の廃棄量を削減することが可能となる。
また、成形・硬化後、製品を取り出し易さの点、治具の使用ごとの離型処理工程を省く点、離型材の役割としてのピールプライ5が不要になり廃棄物を削減できる点から、かかる治具3の少なくとも該強化繊維材積層体と接する部分が、離型性を有する材質で構成されていることは好ましいことである。
次に、本発明のFRPの製造方法について、以下、図面にしたがってさらに詳細に説明する。
まず、強化繊維基材積層体2のウェブ上端部にピールプライ5を配置する。かかるピールプライ5としては、例えばナイロン製の織物が用いられる。その上には、パンチングプレート6を配置する。このパンチングプレート6は、例えばステンレス製で40メッシュのものが用いられる。さらにその上に、アルミ製のチャンネル材7aを配置する。
そして、強化繊維基材積層体2の端部11には、治具3の凹凸形状の樹脂流路4に接するようにピールプライ5、樹脂拡散媒体8を配置する。この樹脂拡散媒体8は、例えばポリプロピレン製のメッシュ状のものを用いる。次いで該樹脂拡散媒体8上にアルミ製のチャンネル材7bを配置する。これらのチャンネル材7a、7bにはチューブを接続する。このチューブは、樹脂の硬化温度に耐えうるものを用いる。さらに、チャンネル材7bに接続したチューブを真空ポンプと接続する。そして、これら全体を、シーラント9とバッグフィルム10で覆う。
その後、真空ポンプで吸引、減圧した後、成形型を硬化炉内で70℃に加熱する。かかる加熱後、熱硬化性エポキシマトリックス樹脂を注入した。この樹脂は、前記チューブ、チャンネル材7b、樹脂拡散媒体8を経由した後、治具3の凹凸形状の樹脂流路4を流れながら強化繊維基材積層体2に供給され、含浸される。この樹脂は、強化繊維基材積層体2に十分に含浸されると、余剰樹脂として、チャンネル材7aから排出されるので、該樹脂がチャンネル材7aから出てきたことを確認した後、樹脂の供給を止め、その後、130℃に加熱して2時間保持し、硬化させる。硬化終了後、室温まで冷却し、バッグフィルム10を剥がし、治具3を取り外して成形型1から成形品を取り外し、成形品を得る。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法は桁材の製造に好ましく用いられる。桁材とは、たとえば、曲げなどの荷重を負担するための強度を持った長尺の棒状の部材であり、パネルなどの上に、曲げ方向に沿うように接合して使用される。このような部材は、大量に生産させることが多く、また、複雑な形状であるため、従来技術の如くメッシュ材などの樹脂拡散媒体を配置することは難しく、作業が繁雑であり、本発明の凹凸形状の樹脂流路を有する治具を用いることにより簡易かつ安価に生産することができる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法で桁材を製造する場合は、パネル等と比較して、表面積が小さいため、メッシュ材などの樹脂拡散媒体ほど流動性を高くする必要は無く、また、他の部材との接合には接着が適用されることが多く、接着層厚みの均一化や他の部材との組み合わせの公差を満足するために、凹凸の高低差が0.8mm以下である表面性状が必要である点からも、本発明により好適であるといえる。
本発明の繊維強化プラスチックの製造方法で桁材を製造する場合の桁材の長手方向に交叉する強化繊維基材積層体の断面形状は、特に限定されず、平板形状のものの他、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかの断面形状であってもよい。L形とは、図3のaに示すとおり、例えば構造用鋼材で山形鋼やアングルなどと呼ばれるような、断面がアルファベットのLのような形状である。T形とは、図3のbに示すとおり、平板の片方の端部に鍔(つば)が付いたような、断面がアルファベットのTを逆さにしたような形状である。C形とは、図3のcに示すとおり、例えば構造用鋼材で溝形鋼やチャンネルと呼ばれるような、断面がアルファベットのCのような形状である。I形とは、図3のdに示すとおり、平板の両方の端部に鍔(つば)が付いたような、断面がアルファベットのIのような形状である。J形とは、図3のeに示すとおり、断面がアルファベットのJを逆さにしたような形状である。Z形とは、図3のfに示すとおり、断面がアルファベットのZのような形状である。ハット形とは、図3のgに示すとおり、例えば構造用鋼材で溝形鋼やチャンネルなどと呼ばれるものに鍔(つば)が付いたような形状であり、図3のhに示すような、発泡材などが充填されていてもよい。これらのような複雑な断面形状の部材に樹脂を含浸させるために、前記特許文献1の如く、メッシュ状の樹脂拡散媒体を用いて樹脂を供給する方法を用いるには、その部材面積に対しては樹脂拡散媒体の配置および除去の手間がかかりすぎ、前記特許文献2の如く、強化繊維基材積層体の端面から積層面に沿う方向に樹脂を注入して含浸させる方法を用いるには流動抵抗が大きく、樹脂が完全に含浸しない問題がある。そのため、これらのような複雑な断面形状の部材を成形するには、本発明の凹凸形状の樹脂流路を有する治具が非常に適している。
また、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法を用いると、桁材とパネルとを一体成形することもできる。すなわち、桁形成部分となる強化繊維材積層体と、パネル形成部分となる強化繊維材積層体をそれぞれ作成し、予めこれらを一体化した後成形型内に配置する、あるいは、これらを型内で成形時に一体化させる等の方法を用いることができる。これらの場合、とくに、桁形成部分は、凹凸形状を有する治具により樹脂を流して含浸させる。このような成形方法においては、桁形成部分に用いる強化繊維基材積層体には凹凸形状を有する治具を配置し、パネル形成部分に用いる強化繊維基材には凹凸形状を有する治具、または、その他の樹脂拡散媒体を配置し、桁形成部分とパネル形成部分の繊維強化基材積層体に一度の成形で樹脂を含浸させて硬化させるものである。このような成形では、前記特許文献1の如く、メッシュ状の樹脂拡散媒体を用いようとすると、桁形成部分とパネル形成部分を一度の成形で樹脂を含浸させなければならないため、桁形成部分とパネル形成部分の両方に樹脂拡散媒体を配置する必要があり、作業が非常に難しく煩雑であった。一方、本発明の凹凸形状の樹脂流路を有する治具を用いることにより、その配置が簡略化され、かつ、安定して迅速に樹脂を含浸させることができるため、簡易で安価に製造することが可能となる。
また、本発明の繊維強化プラスチックの製造方法は、成形型内に予め成形された繊維強化プラスチックパネル(予成形繊維強化プラスチックパネルと記す)を配置した後、その上に桁材となる前述の強化繊維材積層体を配置し、強化繊維材積層体の上に凹凸形状の樹脂流路を有する治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させることにより、繊維強化プラスチックパネル上に桁材を事後的に設ける方法を提供する。この場合、桁材となる強化繊維材積層体には、前述の桁材を単独で製造する場合やパネル部分と一体成形する場合と同様の凹凸形状を有する治具により樹脂を流して含浸させ、桁形成部分と予成形繊維強化プラスチックパネルとを一体化させることができる。予成形繊維強化プラスチックパネル形成部分と桁形成部分に用いる強化繊維基材積層体の間には接着強度を高めるために接着剤を配置しても良い。従来技術では、予成形繊維強化プラスチックパネルの上に強化繊維基材からなる桁形成部分を配置し、さらにパネル形成部分の上で、桁形成部分に樹脂拡散媒体などの配置を行う必要があり、非常に煩雑な作業であった。したがって、本発明の凹凸形状の樹脂流路を有する治具を用いることにより、簡易で安価に製造することが可能となる。
以下に、本発明を実施例に基づいて説明する。
[実施例1]
図1において、離型処理をした成形型1に炭素繊維織物(東レ(株)製、T800の炭素繊維を使用した織物CZ8431DP、目付;190g/m2 )を断面形状がT型になるように積層した強化繊維基材積層体2を配置し、その上に、凹凸形状の樹脂流路4を有する治具3を配置した。凹凸形状の樹脂流路は、縦ピッチ2.5mm、横ピッチ2.5mm、凹凸の高低差0.63mmの、網目状のものである。
図1において、離型処理をした成形型1に炭素繊維織物(東レ(株)製、T800の炭素繊維を使用した織物CZ8431DP、目付;190g/m2 )を断面形状がT型になるように積層した強化繊維基材積層体2を配置し、その上に、凹凸形状の樹脂流路4を有する治具3を配置した。凹凸形状の樹脂流路は、縦ピッチ2.5mm、横ピッチ2.5mm、凹凸の高低差0.63mmの、網目状のものである。
さらに、強化繊維基材積層体2の上端部にピールプライ5(RICHMOND製、B−4444)を配置し、その上にパンチングプレート6、アルミ製のチャンネル材7aを配置した。また、強化繊維基材積層体2の端部11に、治具3の凹凸形状の樹脂流路4に接するようにピールプライ5、ポリプロピレン製メッシュ材である樹脂拡散媒体8((株)東京ポリマー製、”ネトロン” (R)TSX−400P)を配置し、その上にチャンネル材7bを配置した。
チャンネル材7a、7bにはナイロン製のチューブを接続し、さらに、チャンネル材7bに接続したチューブを真空ポンプと接続した。これら全体を、シーラント9(RICHMOND製、SM5126)とバッグフィルム10(RICHMOND製、HS−800)で覆い、真空ポンプで吸引、減圧後、成形型を硬化炉内で70℃に加熱した。加熱後、熱硬化性エポキシマトリックス樹脂を注入した。
樹脂はチューブ、チャンネル材7b、樹脂拡散媒体8を経由後、治具3の凹凸形状の樹脂流路4を流れながら強化繊維基材積層体2に含浸した。含浸してチャンネル材7aから樹脂が出てきたことを確認後、樹脂の供給を止め、130℃に加熱して2時間保持し、硬化させた。その後、室温まで冷却し、バッグフィルム10を剥がし、治具3を取り外して成形型1から外し、成形品を得た。
結果、樹脂拡散媒体を使用する場合に対し、工数を約20%(樹脂拡散媒体の準備および除去作業分)、廃棄物量を約30%(樹脂拡散媒体および樹脂拡散媒体に充填された硬化樹脂分)削減することができた。
[実施例2]
図2において、離型処理をした成形型1に炭素繊維織物(東レ(株)製、T800の炭素繊維を使用した織物CZ8431DP、目付;190g/m2 )を積層した強化繊維基材積層体2を配置し、その上に、凹凸形状の樹脂流路4を有する治具3を配置した。凹凸形状の樹脂流路は、縦ピッチ2.5mm、横ピッチ2.5mm、凹凸の高低差0.63mmの、網目状のものである。
図2において、離型処理をした成形型1に炭素繊維織物(東レ(株)製、T800の炭素繊維を使用した織物CZ8431DP、目付;190g/m2 )を積層した強化繊維基材積層体2を配置し、その上に、凹凸形状の樹脂流路4を有する治具3を配置した。凹凸形状の樹脂流路は、縦ピッチ2.5mm、横ピッチ2.5mm、凹凸の高低差0.63mmの、網目状のものである。
さらに、強化繊維基材積層体2の一辺に接するようにピールプライ5(RICHMOND製、B−4444)を配置し、その上にアルミ製のチャンネル材7aを配置した。また、その反対側の一辺に、治具3の凹凸形状の樹脂流路4に接するようにピールプライ5、ポリプロピレン製メッシュ材である樹脂拡散媒体8((株)東京ポリマー製、”ネトロン” (R)TSX−400P)を配置し、その上にチャンネル材7bを配置した。
チャンネル材7a、7bにはナイロン製のチューブを接続し、さらに、チャンネル材7bに接続したチューブを真空ポンプと接続した。
これら全体を、シーラント9(RICHMOND製、SM5126)とバッグフィルム10(RICHMOND製、HS−800)で覆い、チューブを閉じ、真空ポンプで吸引、減圧後、成形型を硬化炉内で70℃に加熱した。加熱後、熱硬化性エポキシマトリックス樹脂を注入した。
樹脂はチューブ、チャンネル材7b、樹脂拡散媒体8を経由後、治具3の凹凸形状の樹脂流路4を流れながら強化繊維基材積層体2に含浸した。含浸してチャンネル材7aから樹脂が出てきたことを確認後、樹脂の供給を止め、130℃に加熱して2時間保持し、硬化させた。その後、室温まで冷却し、バッグフィルム10を剥がし、治具3を取り外して成形型1から外し、成形品を得た。
結果、樹脂拡散媒体を使用する場合に対し、工数を約20%(樹脂拡散媒体の準備および除去作業分)、廃棄物量を約30%(樹脂拡散媒体および樹脂拡散媒体に充填された硬化樹脂分)削減することができた。
1 成形型、
2 強化繊維基材積層体、
3 治具、
4 凹凸形状の樹脂流路、
5 ピールプライ、
6 パンチングプレート、
7a、b チャンネル材、
8 樹脂拡散媒体、
9 シーラント、
10 バッグフィルム
11 端部
2 強化繊維基材積層体、
3 治具、
4 凹凸形状の樹脂流路、
5 ピールプライ、
6 パンチングプレート、
7a、b チャンネル材、
8 樹脂拡散媒体、
9 シーラント、
10 バッグフィルム
11 端部
Claims (9)
- 成形型内に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させる繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記繊維強化プラスチックが、桁材である、請求項1に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記強化繊維材積層体の長手方向に垂直な断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである、請求項2に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記強化繊維材積層体が、長手方向に交叉する断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである桁形成部分と、面状のパネル形成部分とを一体化した形状である、請求項1に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 成形型内に予成形繊維強化プラスチックパネルを配置し、その上に強化繊維材積層体を配置するとともに、該強化繊維材積層体の上に治具を配置し、前記成形型内を吸引により減圧した後、該成形型内に樹脂を注入し、樹脂を前記強化繊維材積層体中に含浸させる繊維強化プラスチックの製造方法であって、前記強化繊維材積層体の上に配置される治具が凹凸形状の樹脂流路を有し、該樹脂流路を介して前記強化繊維材積層体に樹脂を含浸させることを特徴とする繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記予成形繊維強化プラスチックパネル上に配置する強化繊維材積層体が、桁材となる、請求項5に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記予成形繊維強化プラスチックパネル上に配置する強化繊維材積層体の長手方向に交叉する断面の形状が、L形、T形、C形、I形、J形、Z形、ハット形のいずれかである、請求項6に記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記治具の樹脂流路が、凹凸の高低差が0.8mm以下である凹凸形状である、請求項1〜7のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
- 前記治具の少なくとも前記強化繊維材積層体と接する部分が、離型性を有する材質で構成されているものである、請求項1〜8のいずれかに記載の繊維強化プラスチックの製造方法。
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2006
- 2006-11-30 JP JP2006323304A patent/JP2008137179A/ja active Pending
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