JP2014162017A - 複合材料の製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】VaRTM工法において、簡単な手段により、しわ、うねりの発生を防止することが可能な複合材料の製造方法を提供する。
【解決手段】成形型と複数積層した繊維基材を密封する真空バッグフィルムとを具備し、真空バッグフィルム内に繊維基材を密封した状態で真空バッグフィルム内を吸引して、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して複合材を製造する複合材料の製造方法に関する。複合材料の製造方法は、成形型に繊維基材を積層する工程と、繊維基材の少なくとも一部に磁性体により張力を与える工程と、真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して前記繊維基材に含浸させ、硬化する工程と、を具備する。
【選択図】図1
【解決手段】成形型と複数積層した繊維基材を密封する真空バッグフィルムとを具備し、真空バッグフィルム内に繊維基材を密封した状態で真空バッグフィルム内を吸引して、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して複合材を製造する複合材料の製造方法に関する。複合材料の製造方法は、成形型に繊維基材を積層する工程と、繊維基材の少なくとも一部に磁性体により張力を与える工程と、真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して前記繊維基材に含浸させ、硬化する工程と、を具備する。
【選択図】図1
Description
本発明は、複合材料の製造方法に関し、特には様々な運輸機械を始め、風力発電等のブレード等、大型構造部材に適した、複合材料の製造方法に関するものである。
近年、航空機、自動車などのあらゆる産業分野において樹脂系複合材料(FRP)が用いられるようになってきており、省エネ要求の背景から、特に大型構造部材への適用が促進されつつある。
FRPの成形方法としては、ハンドレイアップ(ウェットレイアップ)、ワインディング、オートクレープ(プリプレグ)、RTM(Resin Transfer Molding)など、様々な方法が用いられている。
例えばオートクレープとして、特許文献1の技術が知られている。すなわち特許文献1は、プリプレグを金型に重ね、このプリプレグ上に離型用フィルム、通気用繊維、真空バックフィルムをこの順に重ね、真空バックフィルムの内側を真空引きすることにより加圧成形し、オートクレーブで更に加圧し、加熱、硬化成形する装置である。そして特許文献1では、成形用型板を離型用フィルムと通気用繊維の間に挿入することにより屈曲部の肉厚の減少を緩和している。
FRPの成形方法としては、ハンドレイアップ(ウェットレイアップ)、ワインディング、オートクレープ(プリプレグ)、RTM(Resin Transfer Molding)など、様々な方法が用いられている。
例えばオートクレープとして、特許文献1の技術が知られている。すなわち特許文献1は、プリプレグを金型に重ね、このプリプレグ上に離型用フィルム、通気用繊維、真空バックフィルムをこの順に重ね、真空バックフィルムの内側を真空引きすることにより加圧成形し、オートクレーブで更に加圧し、加熱、硬化成形する装置である。そして特許文献1では、成形用型板を離型用フィルムと通気用繊維の間に挿入することにより屈曲部の肉厚の減少を緩和している。
また平面板複合材の成形では特許文献2の技術が知られている。すなわち特許文献2では、成形型の材質をグラファイトとし、オートクレーブ硬化過程で、プリプレグ積層体の層間のガスの吸引排出機能を改善し品質改善を図っている。
さらに、RTM工法を大型FRP構造体に対応させた、VaRTM(Vacuum assisted Resin Transfer Molding:真空含浸工法)がある。
VaRTM工法では、成形型の上に積層した強化繊維基材(ガラス繊維やカーボン繊維の織物など)を、真空バッグフィルムに密封して真空吸引した後に液状樹脂を注入・含浸して硬化させる工法である。
かかる工法では、強化繊維基材と成形型あるいは真空バッグフィルムの間には、樹脂を拡散しやすくするための樹脂拡散用網状シート(パスメディア)や表面性状を整えるための剥離シート(ピールプライ)を介在させている。
かかるVaRTM工法によれば、オートクレープ(圧力釜)などの大掛かりな設備が不要であること、大型構造物の一体成形が容易であること、および有機溶剤の揮発が少なく、作業環境などがよい。
また、ハンドレイアップ工法と比較すると、繊維含有率が高くボイド含有率が低い高品質の成形が可能である。
VaRTM工法では、成形型の上に積層した強化繊維基材(ガラス繊維やカーボン繊維の織物など)を、真空バッグフィルムに密封して真空吸引した後に液状樹脂を注入・含浸して硬化させる工法である。
かかる工法では、強化繊維基材と成形型あるいは真空バッグフィルムの間には、樹脂を拡散しやすくするための樹脂拡散用網状シート(パスメディア)や表面性状を整えるための剥離シート(ピールプライ)を介在させている。
かかるVaRTM工法によれば、オートクレープ(圧力釜)などの大掛かりな設備が不要であること、大型構造物の一体成形が容易であること、および有機溶剤の揮発が少なく、作業環境などがよい。
また、ハンドレイアップ工法と比較すると、繊維含有率が高くボイド含有率が低い高品質の成形が可能である。
しかしながら、オートクレープ(プリプレグ)を用いた特許文献1および特許文献2は、前述のように、オートクレープ(圧力釜)などの大掛かりな設備が必須のものとなる。
また、上述のVaRTM工法では、強化繊維基材を積層する際、しわがあると、圧縮強度が低下する。したがって、製品の軽量化に当たり、しわ発生による強度低下の問題を克服すべく強度確保のための手段が必要である。
しかしながら、繊維基材にしわが発生しないように積層するには、高度な技術と時間を要し、かかる不都合を克服するための具体的な手段が求められている。
本発明は以上の技術的課題を解消するために提案されたものであって、VaRTM工法において、簡単な手段により、しわ、うねりの発生を防止することが可能な複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
また、上述のVaRTM工法では、強化繊維基材を積層する際、しわがあると、圧縮強度が低下する。したがって、製品の軽量化に当たり、しわ発生による強度低下の問題を克服すべく強度確保のための手段が必要である。
しかしながら、繊維基材にしわが発生しないように積層するには、高度な技術と時間を要し、かかる不都合を克服するための具体的な手段が求められている。
本発明は以上の技術的課題を解消するために提案されたものであって、VaRTM工法において、簡単な手段により、しわ、うねりの発生を防止することが可能な複合材料の製造方法を提供することを目的とする。
上記した技術的課題を解消するために、請求項1に記載の本発明では、成形型と複数積層した繊維基材を密封する真空バッグフィルムとを具備し、真空バッグフィルム内に繊維基材を密封した状態で真空バッグフィルム内を吸引して、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して複合材を製造する複合材料の製造方法であって、成形型に繊維基材を、繊維基材の少なくとも一部に磁性体により張力を与えつつ複数積層する工程と、真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と、真空バッグフィルム内に樹脂を注入して繊維基材に含浸させ、硬化する工程と、を具備することを特徴とする。
これにより、磁性体の重さと摩擦力でそれぞれの強化繊維基材を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態とすることができる。したがって繊維の伸直度が高くなり、FRPの圧縮強度が向上する。また、繊維のしわを低減でき、製品の品質安定性が向上する。
また請求項2に記載の本発明では、成形型に繊維基材を複数積層する工程において、繊維基材を繊維方向が互い違いにずれるように積層する、ことを特徴とする。
これにより、繊維方向を角度的にずらして成形がなされるので、オートクレープ等、加圧加熱装置を用いることなく、しわの抑制と耐圧縮力の向上が期待できる。
また請求項3に記載の本発明では、真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と共に、磁性体に対し、真空バックフィルムを介して磁力を作用させて、繊維基材に緊張力を与える工程を具備する、ことを特徴とする。
これにより、強化繊維基材に、物理的に引き伸ばす方向へ緊張力を与えることで、強化繊維基材の伸直性をもたらして、圧縮強度が向上する。また、圧縮強度が向上することで、製品を軽量化することができ、信頼性も向上する。
また請求項4に記載の本発明では、磁性体は、繊維基材間に設けられた金属または磁性金属を含む樹脂で構成されたものである、ことを特徴とする。
これにより、磁性体の重さと摩擦力でそれぞれの繊維基材を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態とすることができる。
また請求項5に記載の本発明では、磁性体は、平滑表面を有するものである、ことを特徴とする。
これにより、繊維基材に対して、適宜な緊張力を与えることができるので、繊維のしわを低減でき、製品の品質安定性が向上する。
さらに請求項6に記載の本発明では、前記磁性体は、凹凸表面を有するものである、ことを特徴とする。
これにより、繊維基材に対して、適宜な緊張力を与えることができるので、繊維のしわを低減でき、製品の品質安定性が向上する。
本発明によれば、オートクレープ方式のように、大掛かりな設備は不要であり、強化繊維基材を積層の際に、物理的に引き伸ばす方向へ緊張力を与えることで、繊維基材の伸直性をもたらして、圧縮強度が向上する。
また、圧縮強度が向上することで、製品を軽量化することができ、信頼性も向上する。
さらに、繊維基材のしわの発生を抑制することができる。したがって、製品の品質安定性も高まる。
繊維基材にしわが発生する場合、FRP強度は低下するが、張力が付加されたことで、しわの発生を低減でき、圧縮強度の低下を抑制することができる。
また、圧縮強度が向上することで、製品を軽量化することができ、信頼性も向上する。
さらに、繊維基材のしわの発生を抑制することができる。したがって、製品の品質安定性も高まる。
繊維基材にしわが発生する場合、FRP強度は低下するが、張力が付加されたことで、しわの発生を低減でき、圧縮強度の低下を抑制することができる。
以下、本発明にかかる複合材料の製造方法を実施するための第1実施形態を示し、添付された図面に基づいて、説明する。
(第1実施形態)
図1に第1実施形態の複合材料の製造方法を実施する製造工程のうちの一工程を示す。すなわち、図1は、VaRTM工法における一工程進行時の模式図を示している。
ここでの工程では、成形型1に複数積層した強化繊維基材2を真空バッグフィルム3で密封し、真空バッグフィルム3内を真空吸引部(後述)により吸引する状態を示している。
成形型1は、ここでは複数積層した強化繊維基材2を載置する上面が平坦面としているが、上面に製品外形をなす凹凸状製品形成部が形成されていてもよい。
強化繊維基材2には、例えばガラス繊維やカーボン繊維等の織物が用いられる。
真空バッグフィルム3は縁部3eにシール部材4を介して成形型1に封止されることで強化繊維基材2を密封するようにしている。
また、縁部3e近傍には、真空バッグフィルム3内の密封空間を吸引して減圧する真空吸引部5と、真空バッグフィルム3中央部には、液状樹脂を真空バッグフィルム3内に注入する注入部6とを備えている。真空吸引部5は、真空ポンプ(図示省略)につながり、注入部6は、液状樹脂供給部(図示省略)につながっている。
真空吸引部5は、ドーム型の吸引口5cを有し、一方、注入部6においても、ドーム型の注入口6cを有している。
(第1実施形態)
図1に第1実施形態の複合材料の製造方法を実施する製造工程のうちの一工程を示す。すなわち、図1は、VaRTM工法における一工程進行時の模式図を示している。
ここでの工程では、成形型1に複数積層した強化繊維基材2を真空バッグフィルム3で密封し、真空バッグフィルム3内を真空吸引部(後述)により吸引する状態を示している。
成形型1は、ここでは複数積層した強化繊維基材2を載置する上面が平坦面としているが、上面に製品外形をなす凹凸状製品形成部が形成されていてもよい。
強化繊維基材2には、例えばガラス繊維やカーボン繊維等の織物が用いられる。
真空バッグフィルム3は縁部3eにシール部材4を介して成形型1に封止されることで強化繊維基材2を密封するようにしている。
また、縁部3e近傍には、真空バッグフィルム3内の密封空間を吸引して減圧する真空吸引部5と、真空バッグフィルム3中央部には、液状樹脂を真空バッグフィルム3内に注入する注入部6とを備えている。真空吸引部5は、真空ポンプ(図示省略)につながり、注入部6は、液状樹脂供給部(図示省略)につながっている。
真空吸引部5は、ドーム型の吸引口5cを有し、一方、注入部6においても、ドーム型の注入口6cを有している。
また、真空バッグフィルム3内に密封されている積層された複数の強化繊維基材2には、各強化繊維基材2の両端部近傍に、重りおよび摩擦支持手段としての磁性体7(Feなど強磁性金属)を介装するようにしている。複数の強化繊維基材2を一枚、一枚成形型1の上面に載置して積層する際に、磁性体7を介装することで、磁性体7の重さと摩擦力でそれぞれの強化繊維基材2を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態とすることができる。
磁性体7には、図2(a)に示すように、表面平坦な方形片、あるいは図2(b)に示すように表面凹凸状の方形片、図2(c)に示すように、表面に細かいドット状の多数の突起部を有する方形片が可能である。
さらには、図3に示すように、全ての強化繊維基材2に対し、貫通して強化繊維基材2を引き広げた状態で保持する鎹状の磁性体7も可能である。
さらには、図3に示すように、全ての強化繊維基材2に対し、貫通して強化繊維基材2を引き広げた状態で保持する鎹状の磁性体7も可能である。
また、この工程において、真空バッグフィルム3内の密封空間に、後述する液状樹脂を拡散しやすくするための樹脂拡散用網状シート8(パスメディア8)と、表面性状を整えるための剥離シート9(ピールプライ9)を介在させている。パスメディア8は、真空バッグフィルム3の真空吸引部5の吸引口5cの位置まで広がっており、ピールプライ9は、複数の強化繊維基材2全体を取り囲むように、強化繊維基材2の下端部の位置まで広がっている。
さらに、上述の複数の強化繊維基材2をパスメディア8とピールプライ9とを介して取り囲んで真空バッグフィルム3内に密封した状態で、各強化繊維基材2の両端部近傍に、重りとして介装された磁性体7の位置に対応する真空バッグフィルム3外側の上面には、磁性体7を磁力により拘束する電磁石10が緩衝材11を介して配置されている。
電磁石10を図中、真空バッグフィルム3外側の側方に移動させることで、各強化繊維基材2の両端部近傍に介装された磁性体7を介し、各強化繊維基材2に対し、さらに緊張した状態で拡張する方向に保持するようになっている。
電磁石10を図中、真空バッグフィルム3外側の側方に移動させることで、各強化繊維基材2の両端部近傍に介装された磁性体7を介し、各強化繊維基材2に対し、さらに緊張した状態で拡張する方向に保持するようになっている。
そして、かかる状態で複数の強化繊維基材2を密封した真空バッグフィルム3内を、真空吸引部5を介して真空引きし、注入部6を介して液状樹脂を注入・含浸して硬化させるようにしている。
なお、液状樹脂としては、含浸時間を短縮化できる低粘度樹脂が好ましい。
また、強化繊維基材2としては、必要な材料強度を有し、かつVaRTM工法での成形が可能な熱硬化性樹脂、およびガラス繊維基材が好ましい。
熱硬化性樹脂には、経済性、作業性および生産性の観点から、汎用の不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂が好ましい。
なお、液状樹脂としては、含浸時間を短縮化できる低粘度樹脂が好ましい。
また、強化繊維基材2としては、必要な材料強度を有し、かつVaRTM工法での成形が可能な熱硬化性樹脂、およびガラス繊維基材が好ましい。
熱硬化性樹脂には、経済性、作業性および生産性の観点から、汎用の不飽和ポリエステル樹脂やビニルエステル樹脂が好ましい。
次に、以上のようなVaRTM工法において実施される、第1実施形態にかかる成形工程は以下のとおりである。
先ず、成形すべき強化繊維基材2を一枚、一枚成形型1の上面に載置して積層する際に、各強化繊維基材2の両端部近傍に、磁性体7を介装する。
これにより、磁性体7の重さと摩擦力でそれぞれの強化繊維基材2を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態とすることができる。
先ず、成形すべき強化繊維基材2を一枚、一枚成形型1の上面に載置して積層する際に、各強化繊維基材2の両端部近傍に、磁性体7を介装する。
これにより、磁性体7の重さと摩擦力でそれぞれの強化繊維基材2を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態とすることができる。
次いで、積層された複層の強化繊維基材2に、ピールプライ9およびパスメディア8を被せ、さらにその上に、真空バッグフィルム3を被せて、複層の強化繊維基材2を密封することができる。ここで、真空ポンプを作動させて、真空バッグフィルム3の縁部3e近傍の真空吸引部5の吸引口5cを介して真空バッグフィルム3内の密封空間を予備的に吸引し、減圧する。
すると、真空バッグフィルム3内の密封空間の圧力と大気圧との差圧で、積層された複層の強化繊維基材2は、成形型1の上面、密封空間中心に向けて退縮力が作用するものの、強化繊維基材2を覆う、真空吸引部5の吸引口5cの位置まで広がっているパスメディア8によって保持され、複数の強化繊維基材2全体を取り囲むピールプライ9、および各強化繊維基材2の両端部近傍に介装された磁性体7により強化繊維基材2を張った状態で保持することができる。
さらに、真空バッグフィルム3の縁部3e近傍の真空吸引部5の吸引口5cを介して真空バッグフィルム3内の密封空間を最終的に吸引し、減圧する。
強化繊維基材2には、成形型1の上面、密封空間中心に向けてさらに大きな退縮力が作用するものの、このとき、同時に、真空バッグフィルム3外側の上面の電磁石10を、真空バッグフィルム3外側の側方に移動させるので、各強化繊維基材2は、繊維にしわが生じるようなことはなく、介装された磁性体7を介しさらに緊張した状態で拡張する方向に保持することができる。
強化繊維基材2には、成形型1の上面、密封空間中心に向けてさらに大きな退縮力が作用するものの、このとき、同時に、真空バッグフィルム3外側の上面の電磁石10を、真空バッグフィルム3外側の側方に移動させるので、各強化繊維基材2は、繊維にしわが生じるようなことはなく、介装された磁性体7を介しさらに緊張した状態で拡張する方向に保持することができる。
そして、減圧された真空バッグフィルム3内の密封空間に対し、真空バッグフィルム3中央部の注入部6を通じて、液状樹脂供給部から高圧の液状樹脂を注入すれば、網状シートであるパスメディア8によって、液状樹脂が拡散し、各強化繊維基材2に速やかに含浸が進行して、硬化し、FRPを得ることができる。
以上のように第1実施形態によれば、オートクレープ方式のように、大掛かりな設備は不要であり、強化繊維基材2を積層の際に、物理的に引き伸ばす方向へ緊張力を与えることで、強化繊維基材2の伸直性をもたらして、圧縮強度が向上する。
また、圧縮強度が向上することで、製品を軽量化することができ、信頼性も向上する。
さらに、強化繊維基材2のしわの発生を抑制することができる。したがって、製品の品質安定性も高まる。
また、圧縮強度が向上することで、製品を軽量化することができ、信頼性も向上する。
さらに、強化繊維基材2のしわの発生を抑制することができる。したがって、製品の品質安定性も高まる。
本発明にかかる複合材料の製造方法は、以下の第2実施形態によっても実施することができる。
(第2実施形態)
この第2実施形態においては、図4に示すように、成形すべき強化繊維基材2を一枚、一枚成形型1の上面に載置して積層する際に、各強化繊維基材2の繊維方向が互いに異なる方向に指向するように、強化繊維基材2を互い違いに載置して積層し、互い違いに積層された強化繊維基材2を真空バッグフィルム3内に密封し、真空吸引部5を介して真空引きし、注入部6を介して液状樹脂を注入・含浸して硬化させ、FRP製品を得ることができる。
この場合、それぞれの各強化繊維基材2には、四隅に磁性体7が取着されている。
(第2実施形態)
この第2実施形態においては、図4に示すように、成形すべき強化繊維基材2を一枚、一枚成形型1の上面に載置して積層する際に、各強化繊維基材2の繊維方向が互いに異なる方向に指向するように、強化繊維基材2を互い違いに載置して積層し、互い違いに積層された強化繊維基材2を真空バッグフィルム3内に密封し、真空吸引部5を介して真空引きし、注入部6を介して液状樹脂を注入・含浸して硬化させ、FRP製品を得ることができる。
この場合、それぞれの各強化繊維基材2には、四隅に磁性体7が取着されている。
各強化繊維基材2が、四隅に磁性体7が取着された状態で互い違いに積層されると、磁性体7の重さによりそれぞれの強化繊維基材2を弛まないようにある程度緊張力を付加した状態に保持することができる。
なお、各強化繊維基材2の四隅に磁性体7が取着されることにより、各強化繊維基材2の中央部位を製品エリアとして確保でき、四隅を含む周縁部はトリミング加工により除去されるだけで、中央部製品エリアを狭めるようなことはない。
以上のように、第2実施形態における積層工程によれば、繊維方向を角度的にずらして成形がなされるので、オートクレープ等、加圧加熱装置を用いることなく、しわの抑制と耐圧縮力の向上が期待できる。
なお、各強化繊維基材2の四隅に磁性体7が取着されることにより、各強化繊維基材2の中央部位を製品エリアとして確保でき、四隅を含む周縁部はトリミング加工により除去されるだけで、中央部製品エリアを狭めるようなことはない。
以上のように、第2実施形態における積層工程によれば、繊維方向を角度的にずらして成形がなされるので、オートクレープ等、加圧加熱装置を用いることなく、しわの抑制と耐圧縮力の向上が期待できる。
本発明にかかる複合材料の製造方法は、以下の第3実施形態によっても実施することができる。
(第3実施形態)
図5に第3実施形態を実施するためのVaRTM工法の一成形工程における模式図を示す。
すなわち第3実施形態では、積層される複数の強化繊維基材2のうち、一部の強化繊維基材2に対し、寸法を長くして、長くした強化繊維基材2の端部側に重りおよび摩擦支持手段としての磁性体7を介装することもできる。
なお、第3実施形態を実施するに当たり、FRP製造部1に対する強化繊維基材2のセッティング工程、真空バッグフィルム3内に密封し、真空吸引部5を介して真空引きし、注入部6を介して液状樹脂を注入・含浸して硬化させ、FRP製品を得る工程は、前述の第1実施形態に準ずるものであるので、ここではそれらの説明は省略するものとする。
(第3実施形態)
図5に第3実施形態を実施するためのVaRTM工法の一成形工程における模式図を示す。
すなわち第3実施形態では、積層される複数の強化繊維基材2のうち、一部の強化繊維基材2に対し、寸法を長くして、長くした強化繊維基材2の端部側に重りおよび摩擦支持手段としての磁性体7を介装することもできる。
なお、第3実施形態を実施するに当たり、FRP製造部1に対する強化繊維基材2のセッティング工程、真空バッグフィルム3内に密封し、真空吸引部5を介して真空引きし、注入部6を介して液状樹脂を注入・含浸して硬化させ、FRP製品を得る工程は、前述の第1実施形態に準ずるものであるので、ここではそれらの説明は省略するものとする。
以上のような第3実施形態において、積層される複数の強化繊維基材2のうち、一部の強化繊維基材2に対し、寸法を長くして、長くした強化繊維基材2の端部側に重りおよび摩擦支持手段としての磁性体7を介装することで、しわの発生しやすい層に優先的に緊張力を付加することができるので、繊維の真直度が高くなり、FRPの圧縮強度が向上する。
以上、本発明にかかる複合材料の製造方法について、第1〜第3実施形態を挙げ、説明した。かかる実施形態において図示したVaRTM工法における一工程は、一例に過ぎず、例えば成形型1における、強化繊維基材2の載置面が平坦面に限らず、成形型1全体が湾曲形状のものでもよい。成形型1上において強化繊維基材2を載置して密封する真空バッグフィルム3と、真空バッグフィルム3に真空吸引部5と注入部6とを設けたものであれば、どのような配置構造でもよい。
本発明による複合材料の製造方法は、FRPを素材とする、特には、風力発電用ブレード、FRP動翼、航空機部材等、大型の強度を必要とするあらゆる製品を製造する際に有効である。
1 成形型
2 強化繊維基材
3 真空バッグフィルム
3e 淵部
4 シール部材
5 真空吸引部
5c 吸引口
6 注入部
6c 注入口
7 磁性体
8 パスメディア
9 ピールプライ
10 電磁石
11 緩衝材
2 強化繊維基材
3 真空バッグフィルム
3e 淵部
4 シール部材
5 真空吸引部
5c 吸引口
6 注入部
6c 注入口
7 磁性体
8 パスメディア
9 ピールプライ
10 電磁石
11 緩衝材
Claims (6)
- 成形型と複数積層した繊維基材を密封する真空バッグフィルムとを具備し、該真空バッグフィルム内に前記繊維基材を密封した状態で前記真空バッグフィルム内を吸引して、前記真空バッグフィルム内に樹脂を注入して複合材を製造する複合材料の製造方法であって、
前記成形型に前記繊維基材を、前記繊維基材の少なくとも一部に磁性体により張力を与えつつ複数積層する工程と、
前記真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と、
前記真空バッグフィルム内に樹脂を注入して前記繊維基材に含浸させ、硬化する工程と、
を具備することを特徴とする複合材料の製造方法。 - 前記成形型に前記繊維基材を複数積層する工程において、前記繊維基材を繊維方向が互い違いにずれるように積層する、ことを特徴とする請求項1に記載の複合材料の製造方法。
- 前記真空バッグフィルム内を真空吸引する工程と共に、
前記磁性体に対し、真空バックフィルムを介して磁力を作用させて、前記繊維基材に緊張力を与える工程を具備する、
ことを特徴とする請求項1または2に記載の複合材料の製造方法。 - 前記磁性体は、前記繊維基材間に設けられた金属または磁性金属を含む樹脂で構成されたものである、
ことを特徴とする請求項1から3のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。 - 前記磁性体は、平滑表面を有するものである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
- 前記磁性体は、凹凸表面を有するものである、ことを特徴とする請求項1から4のいずれか1項に記載の複合材料の製造方法。
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CN108177359A (zh) * | 2018-03-06 | 2018-06-19 | 核工业理化工程研究院 | 一种缠绕成型复合材料真空旋转固化装置及固化方法 |
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2013
- 2013-02-21 JP JP2013032342A patent/JP2014162017A/ja active Pending
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