以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本タンデムプレスライン(1M,10,1N等)は、図1〜図5に示す如く、複数のプレス1がX方向にタンデム配列され、かつワーク搬送装置10が第1の回動軸18を中心に回動可能に装着された第1のアーム21と、第2の回動軸28を中心に回動可能に装着された第2のアーム31と、第3の回動軸38を中心に回動可能に装着された第3のアーム41と、この第3のアーム41の先端側に設けられかつワークを吸着・解放可能な吸着手段と、第3のアームの先端側に設けたY方向に延びる第4の回動軸48を利用して吸着手段51の姿勢を調整可能な姿勢調整手段を具備し、第1のアーム21を作業用床面71よりも低い位置に設けた第1の回動軸18を中心に回動させかつ第2のアーム31を第2の回動軸28を中心に回動させるとともに第3のアーム41を第3の回動軸38を中心に回動させつつ、吸着手段51をプレス加工領域内に移動可能に形成されている。
図7に示す上部設置空間73は、従来例1A、2、3の場合に必須とされるが、本発明に係るワーク搬送装置10では必要ない。よって、プレス1の上下方向寸法を小さく(背低化)でき、構造が簡単で小型であるから頭上自由空間を大きくとれる。作業者は金型搬入・搬出等を形成する作業用床面71において金型交換作業を安全かつ迅速に作業できる。プレス構築上の負荷(荷重)を大きくする必要も無い。
しかも、この実施の形態では、X方向の上流側(プレス1M)から下流側(プレス1N)を見た側面図である図2に示すように、第1のアーム21と第2のアーム31と第3のアーム41とを含むアーム回動機構が、Y方向に離隔配設された1対からなりかつ各第1の回動軸18がエコライザ軸を形成するように一体的に連結されている。つまり、各アーム回動機構は、同期搬送動作可能に形成されている。
このように、従来例2(2つの往復直線運動と2つのリンク揺動運動との組合せ構造)および従来例3(揺動運動と往復直線運動と上下動運動と水平運動とを組合せ構造)の場合と比較して、本願発明に係る搬送駆動構造(アーム回動機構…回動運動のみでワーク搬送可能な構造)は、大幅に簡素化されていると理解される。この搬送駆動構造の簡素化は、結果としてワーク搬送速度の大幅な高速化を達成するために極めて有効である。また、構造が簡単で小型であるから、頭上の有効自由空間を大きくとれる。作業者は金型搬入・搬出等を形成する作業用床面71において金型交換に伴う調整作業等を安全かつ迅速に行なえる。プレス構築上の負荷(荷重)を大きくする必要も無い。
さて、確認的に、タンデムプレスシステムの基本的構成・機能は、図7に示した従来例の場合と同様に、複数のプレス1がX方向(ワーク搬送方向)にタンデム配列されかつワーク搬送装置10を用いて上流側プレス1Mから下流側プレス1Nにワーク57を搬送しつつ各プレス1にプレス加工させるように形成されている。
図2(側面図)、図3(平面図)、図4(一部を断面した正面図)において、第1の回動軸18は、X方向と直交するY方向(プレス前後方向)の上流側プレス1Mと下流側プレス1Nとの中間位置に設けられかつY方向に延びる。この第1の回動軸18は、X方向およびY方向に直交するZ方向(上下方向)においては、作業用床面71の低い位置に設けられる。
図2において、第1の回動軸18は、プレス前側(F)のアーム回動機構(21F等)の第1の回動軸(18F)と、プレス後側(R)のアーム回動機構(21R等)の第1の回動軸(18R)とを一体的に形成した共通軸(エコライザ軸)を形成する。同様に、詳細後記の第4の回動軸48も、プレス前側の第4の回動軸(48F)とプレス後側の第4の回動軸(48R)とを一体的に形成した共通軸(エコライザ軸)を形成する。
この第1の回動軸18は、図2に示す固定ベース11(前後1対のベース軸受17)に回転自在に装着され、減速機(図示省略)を介して連結された第1の駆動源により右回転方向および左回転方向に回動される。この第1の駆動源は、前後2台のアーム回動機構(21F、21R等)に共通でかつ固定ベース11に固着された1台の第1のモータ19を含む。
第1のアーム21Fは、下端側22が第1の回動軸18に同期回転連結具(キーやスプライン)を介して連結されている。つまり、第1の回動軸18を中心に同期回動可能に装着されている。この第1の回動軸18を中心とする回動運動により、第1のアーム21Fの上端側26を、図4に示す如く、X方向に往復移動させることができる。すなわち、第1のアーム21Fは、下端部22が回動中心とされかつ本体部24,上端側26を含む全体として、X方向に回動(あるいは揺動乃至旋回)運動可能である。第1のアーム21Rも、第1のアーム21Fの場合と同様であり、かつ第1のアーム21Fの回動運動と同期して回動運動する。
なお、「第1のアーム21が第1の回動軸18を中心として回動する。」とは、「第1の回動軸18の中心軸線を中心に回動する。」という意味である。ベース軸受17(固定ベース11)に枢着された第1の回動軸18に第1のアーム21の下端側22を被嵌しかつキー等を用いて回動方向に一体的に固定(相対回動不能)し、第1のアーム21を第1の回動軸(元側)18の回動により、それと同期回動させる、いわゆる元側回動構造である。
ただし、先側回動構造として実施することもできる。因みに、この先側回動構造は、固定ベース11に回動不能に固定された第1の回動軸18に、第1のアーム21の下端側22を回転自在に嵌装させ、第1の駆動源(19)を用いて静止側である第1の回動軸18を中心として可動側である第1のアーム21自体(先側)を回動させる構造である。
詳細後記の第2の回動軸28と第2のアーム31との関係並びに第3の回動軸38と第3のアーム41との関係も、同様な元側回動構造として構築してある。ただし、先側回動構造として実施するこができる。
第1の駆動源は、第1の回動軸18に連結された第1のサーボモータ19と、第1のモータドライバ19Dとからなる。第1のモータドライバ19Dは、図5の駆動制御装置61から出力される制御指令に基づき、第1のサーボモータ19を速度・位置(角度)制御しつつ第1の回動軸18を回動駆動することができる。サーボモータ駆動用電力は、商用電源を入力とする駆動電源生成装置(図示省略)で生成されかつ出力される。
かかる第1の駆動源(19等)や駆動電源生成装置は、図2に示す如く、作業用床面71の下方に配設される。したがって、作業用床面(71)上または上部設置空間(73)内に配設する場合に比較して、形態的、重量的、電気的な制限を厳しくしなくてもよいから、設計が楽で、コスト低減がし易い。作業用床面71の強度上も好ましく、作業用床面上の有効スペースを拡大できる。プレス(1M,1N)間のX方向距離の短縮にも役立つ。また、プレス1とワーク搬送装置10との組立て作業を同時並列的に進行させられるから、工期短縮によるコスト低減も期待できる。なお、作業用床面(71)の上方に設けても実施することができる。
さらに、作業用床面71の下方である設置床面(1階)の有効利用も兼ねて減速機等を配置することができる。つまり、第1のサーボモータ19と第1の回動軸18とを一段と減速比の大きい減速機を介して連結することができる。したがって、第1のサーボモータ19や第1のモータドライバ19Dの容量(定格)を小さくでき、ワーク搬送装置(10)全体としての負荷の軽減およびワーク搬送高速化に有効である。
先側回動構造として実施する場合には、第1のサーボモータ19側に駆動歯車,ウオーム歯車等を設けかつ第1のアーム21側に従動歯車,ウオームホイール等を設け、第1のアーム21全体を第1の回動軸18の周りにその軸線を中心として回動可能に形成すればよい。第2のアーム31、第3のアーム41、吸着手段51(52)も、先側回動構造とする場合は、同様にして構築することができる。
第1のアーム21の下端側22は、Y方向の位置を拘束した状態(Y方向の変位不能状態)で、第1の回動軸18に装着されている。
なお、第1のアーム21は、図1、図2に示すX方向に長くY方向に狭い開口部72を貫通させた状態で設置され、作業用下面71の有効スペースを拡大しつつ、作業用下面(71)上に多くの可動部が所在する場合の危険性を除去する。
第1のアーム21の下端側22が作業用床面71の下方に位置しかつ上端側26が作業用床面71の上方に位置するように配置されているから、第1のアーム21のアーム長は、プレス(1M,1N)間のX方向距離をカバーするに必要で十分な長さとして決定することができる。しかも、作業用床面71の上方(73)に全構成要素を配置する従来例2、3の場合と比較して、Z方向寸法が厳しく制限されることがない。一方において、この発明の場合は、アーム長を大きくしても、作業用床面71の上方にワーク搬送装置10を設置するための大きな上部設置空間73を確保する必要がない。
すなわち、本ワーク搬送装置10の構造は、プレスシステム全体、プレス(1M,1N)間に及ぼす影響が非常に小さいといえる。つまり、プレス強度および荷重の増大,設置スペースの拡大,駆動制御の複雑化等の弊害を与えない。
また、第1のアーム21は、金型の搬入・搬出領域と反対側に回動させておけば、金型の搬入・搬出領域(71)に侵入する心配が少なく、円滑なワーク搬送ができる。プレス停止時には、図4に示すようにX方向の一方側(プレス1M側または1N側)に傾けた状態で静止しておけば、金型の搬入・搬出および交換作業に際して邪魔にならない。したがって、第1のアーム21の形態設計に関する自由度が大幅に拡大する。例えば、アーム断面形状やその寸法を充分な剛性を担保しつつ小型・軽量化できる。この点からも、負荷軽減に伴う搬送高速化を促進で、コスト低減にも有効である。
また、従来のワーク搬送装置10Pを全体としてプレス本体の上部に担持させる構造の従来例2、3と比較すれば、本発明に係るワーク搬送装置10の場合は、駆動源(19等)がプレス(1M,1N)と構造的に直接関与するところがない。つまり、プレス1側から第1のアーム21側に伝播される振動の影響が軽微乃至皆無である。結果として、ワーク57を安定搬送でき、かつ吸着手段51の位置決め精度を向上できる。
このように、アーム(21,31,41)の回動運動のみでワーク57を搬送することができる構造(本発明)は、以下の技術的根拠および実験を通した確認事実(技術的認識)を背景として、はじめて創出(成立)するものと確信される。
すなわち、ワーク(薄板形状材)57の搬送は、所定のサイクル時間内にプレス1Mの下金型(7)上の所定位置からプレス1Nの下金型(7)上の所定位置に移動させかつ後者位置に正確に位置決めしなければならない。しかしながら、搬送速度は、常に一定(単位時間当たりの速度が一定)としなければならない理由や制約は見当たらない。その途中に、一定幅の速度変動があっても差し支えない筈である。また、前者位置から後者位置までの搬送軌跡を常に一定(例えば、下金型7の上部面から所定高の一直線状経路を維持する。)としなければならない理由・制約もない。
しかるに、従来例2、3等では、トランスファプレスの場合に多く採用されている全ステージを共通の一体的構造(例えば、3次元駆動方式のワーク搬送装置)による搬送方法や過去の慣習から、搬送中の全域(または、殆ど)において一直線状経路(軌跡)に沿いかつ一定速度で搬送するという考え方が採られている。かくして、V字形状ガイドに沿う2つのスライドを複雑な直線往復移動をさせ、あるいは格別に設けたキャリア等を用いて水平移動させる、騒音が大きく、複雑で大型な構造になっていた。
本発明においては、上記した発想の転換の下に、第1のアーム21の上端側26を円弧状軌跡R1(図4を参照)に沿って移動させかつ回動傾斜角度によってX方向の移動速度が一定範囲内で変動することを許容する。また、第3の回動軸38(第2のアーム31の先端側36)を円弧状軌跡R2に沿って移動させかつ回動角度によってX方向の移動速度が一定範囲内で変動することを許容する。さらに、第4の回動軸48(第3のアーム41の先端側46)を少しだけ円弧状の軌跡R3に沿って移動させかつ回動角度によってX方向の移動速度が一定範囲内で変動することを許容する。つまり、簡単な構造(アーム21,31,41]の回動運動でワーク57を搬送することができる。
もっとも、作業用床面71の上方に大きな上部設置空間73を設けることなくかつプレス間距離(前者位置〜後者位置)をカバーするためには、前述した通り、第1のアーム21の下端側22(回動支点18)を作業用床面71の下方に配設することが必須となる。その上方に下端側22(回動支点18)を設けたのでは、実用化できない。
さらに、この実施の形態では、プレス高さが決まっている場合における作業用床面(71)上のZ方向の自由空間を拡大するために、第1のアーム21の上端側26に第2、3のアーム31,41を設け、この第3のアーム41の先端側46に吸着手段51を設けてある。すなわち、図3、図4において、第1のアーム21の上端側26には、Y方向に延びる第2の回動軸28が第2の軸受27を介して回転自在に装着され、この第2の回動軸28に第2のアーム31の基端部32が固着されている。また、第2のアーム31の先端側36には、Y方向に延びる第3の回動軸38が第3の軸受37を介して回転自在に装着され、この第3の回動軸38に第3のアーム41の基端側42が固着されている。
しかも、第2のアーム31と第3のアーム41とで、吸着手段51のみを水平方向からスライド昇降領域内に出入りさせることができるから、従来例2、3の場合と異なり、第1のアーム21(第2のアーム31、第3のアーム41)とスライド5との干渉を一段と確実に回避させることができる。また、下金型7の上面部よりも上方において出入りさせることができるから、従来例1の場合と異なり、第1のアーム21はもとより吸着手段51との干渉も回避できる。さらに、プレス間距離が一定の場合、第1のアーム21と第2および第3のアーム31,41とを同時に回動できるから、ワーク搬送時間の短縮(搬送速度の高速化)ができる。
さらに、第1のアーム21の回動傾斜角度を小さく抑えても、ワーク搬送距離を大きく採れる。反対に、プレス間距離が狭いシステムの場合には、第1のアーム21の回動傾斜角度θを小さくすることで、適応できる。既存のプレスラインシステムへの導入も極めて簡単にできる。ボルスタ8の側壁面に接触(干渉)する事態を完全回避できる。
ここに、吸着手段51のX方向の搬送距離は、第1のアーム21の長さをLとした場合、図4に示す傾斜(角度θ)状態にある第1のアーム21のX方向長さL1(=L×Cosθ)と、水平状態にある第2のアーム31のX方向長さL2と第3のアーム41のX方向長さL3との和(=L1+L2+L3)であるが、中立状態(第1のアーム21が垂直状態)における作業用床面(71)上の高さは、第2のアーム31(または、第3のアーム41)の長さには関係なく、第1のアーム21の作業用床面(71)上の長さと第3のアーム41(または、第2のアーム31)とで決まる。つまり、ワーク搬送距離が所定値の場合において、金型交換に伴う調整作業等に有効利用可能な作業用床面(71)上のZ方向の自由空間を拡大できる。一方、作業用床面(71)上の第1のアーム21の長さ(垂直方向長さ)を一定としても、第2,第3のアーム31,41の長さを変えるだけで、大きなワーク搬送距離(プレス間距離)に対しても適応できる。
また、第1のアーム21の傾斜突っ込み移動がないので、スライド5に特異的な切欠きを設けなくても、スライド5との干渉を回避できる。つまり、従来例2、3におけるスライドの切欠加工およびこれに起因する不利(剛性低下、コスト高等)を招く心配がない。スライドガイド5Gを安定ガイド位置から上方位置に移し変える不都合(不利益)も払拭できる。しかも、図4に示す傾斜(角度θ)を小さくすることができるので、プレス間距離の短小化にも追従できる。この点からも、搬送の高速化を促進できる。
また、第1のアーム21の傾斜回動運動と第2,第3のアーム31,41の回動運動とを並行して実行させれば、ワーク搬送の高速化を一段と促進できる。なお、第4の回動軸48の回動運動をも同時的に実行させれば、ワーク着脱の迅速化を通じた搬送全工程の高速化を一段と助長できる。
図2〜図4において、第2のアーム31Fは、基端側32が第2の回動軸28に同期回転連結具(キーやスプライン)を介して連結され、第2の回動軸28を中心に回動可能に装着されている。第2の回動軸28は、第1のアーム21の上端側26に設けられかつY方向に延びる。第2の回動軸28(基端側32)を中心とする回動運動により、第2のアーム31Fの本体部34,先端側36を含む全体をX方向およびZ方向に往復移動させることができる。すなわち、第2のアーム31Fは、アーム回動機構を第1のアーム21Fのみから構築する場合と比較して、プレス間距離が一定の場合において作業用床面71の上方必要空間を狭小化できる。第2のアーム31Rも、第2のアーム31Fの場合と同様であり、かつ第2のアーム31Fの回動運動と同期して回動運動する。
第2のアーム31F(31R)用の第2の駆動源は、図4に示すごとく、第1の回動軸18の中空部を貫通する第2のエコライザ軸281に減速機(図示省略)を介して連結された第2のサーボモータ29と、第2のモータドライバ29Dとからなる。第2のモータドライバ29Dは、図5の駆動制御装置61から出力される制御指令に基づき、第2のサーボモータ29を速度・位置(角度)制御しつつ第2のエコライザ軸(281)を回動駆動することができる。
この第2のエコライザ軸281の前後(両)側にはスプロケット(図示省略)が固着され、第2の回動軸28にも対応するスプロケット(図示省略)が固着され、これらスプロケット間にはタイミングベルト(図示省略)が張設されている。したがって、第2の駆動源(第2のサーボモータ29)により第2のエコライザ軸281を回動駆動すれば、動力伝達機構(スプロケット、タイミングベルト、スプロケット)を介して第2の回動軸28を速度・位置(角度)制御しつつ、第2のアーム31Fを第2の回動軸28の軸線を中心としてかつ第2の回動軸28と一体的に回動駆動することができる。
この第2の駆動源(29等)も図2に示すように作業用床面(2階)71の下方に配設されているので、第1の駆動源(19等)を下方配設した場合の優位点[設計容易、コスト低減、作業用床面71の強度、床面上の有効スペースの拡大、工期短縮、プレス(1M,1N)間のX方向距離の短縮等]を一段と助長・促進することができる。さらに、ワーク搬送装置(10)全体としての負荷の軽減およびワーク搬送高速化に有効である。
第3のアーム41Fは、基端側42が第3の回動軸38に同期回転連結具(キーやスプライン)を介して連結され、第3の回動軸38を中心に回動可能に装着されている。第3の回動軸38は、第2のアーム31の先端側36に設けられかつY方向に延びる。第3の回動軸38(基端側42)を中心とする回動運動により、第3のアーム41Fの本体部44,先端側46を含む全体をX方向およびZ方向に往復移動させることができる。第3のアーム41Rも、第3のアーム41Fの場合と同様であり、かつ第3のアーム41Fの回動運動と同期して回動運動する。
第3のアーム41F(41R)用の第3の駆動源は、第2の駆動源の場合と同様な構造とされ、第3のサーボモータ39と、第3のモータドライバ39Dとからなる。第3のモータドライバ39Dは、図5の駆動制御装置61から出力される制御指令に基づき、第3のサーボモータ39を速度・位置(角度)制御しつつ第2のエコライザ軸を回動駆動することができる。この場合の動力伝達機構(図示省略)は、第1,第2のアーム21,31および第1の回動軸(エコライザ軸)18に沿わせて配置されたタイミングベルト等からなり、第3のアーム41F(41R)の回動用の動力を伝達する。第2のアーム31(36)を静止側として、第3の回動軸38を可動側とする。
また、第1のアーム21(第2のアーム31)は、上流(下流)のプレス1M(1N)側の金型交換作業に際しては、図4に示すようにその下流(上流)のプレス1N(1M)側に傾斜状態で待機させることができるから、交換作業を迅速、安全に行なえる。第1のアーム21を起立(第2のアーム31を垂下)させた中立状態で待機させれば、両側のプレス1M、1Nに関する諸作業等を同時的かつそれぞれを円滑に行なえる。
次に、姿勢調整手段は、吸着手段51(バキュームカップ53)の姿勢を調整する手段で、この実施の形態では、自重調整方式と強制調整方式との組合せとして構築してある。なお、自重調整方式だけまたは強制調整方式だけでも実施することができる。
ここに、「姿勢調整手段が第3のアーム41の先端側46に設けたY方向に延びる第4の回動軸48を利用して吸着手段51の姿勢を調整可能に形成されている。」中の「第4の回動軸48を利用して」とは、“第4の回動軸48(静止側)を吸着手段51(可動側)の回動中心とする。”という意味および“可動側である第4の回動軸48自体を第4の軸受47を静止側として回動させることで吸着手段51(可動側)を同期回動させる。”という意味を含む。
ここに、自重調整方式は、第3のアーム41の先端側46(第4の回動軸48)に吸着手段51を回転自在に装着しておき、アームの回動傾斜角度の大小に拘わらずに、吸着手段51の自重を利用しかつ第4の回動軸48を回動中心として相対回動を誘起させることで、一定の姿勢(例えば、吸着面55を下向きにする。)を保持する方式である。
この実施の形態では、図2、図4に示す如く、第3のアーム41の先端側46に設けたY方向に延びる第4の回動軸48に吸着手段51(53)を回転自在に装着しかつ吸着手段51の自重の働きにより吸着面55を常に下方に向けた姿勢に調整可能に形成してある。第4の回動軸48に保持された吸着手段51のみをZ方向の上・下金型6・7間に出入りさせるだけでよいと理解される。第1のアーム21(および第2のアーム31)は、スライド5(上金型6)の下方に出入りすることはない。したがって、スライド5や上金型6との干渉回避が完璧となる。また、吸着面55を下金型7に接近させた状態で、ワーク57を吸着あるいは解放することができる。
強制調整方式は、第3のアーム41の先端側46に吸着手段51を第4の回動軸48に相対回転不能に装着しておく。そして、吸着手段51を第4の回動軸48の回動に伴って同期回動させることで、強制的に吸着手段51の姿勢(例えば、吸着面55の傾斜角度)を調整可能に形成される。
この実施の形態の場合は、吸着手段51を、第3のアーム41の先端側46(第4の軸受47)に回転自在に装着(枢着)されたY方向に延びる第4の回動軸48を中心に回動不能として装着する。この第4の回動軸48の回動により、吸着手段51(吸着面55)の傾斜角度を自動的に調整できるように形成してある。
第4の回動軸48は、第4のサーボモータ49の回転により回動される。この第4のサーボモータ49は、図5に示す第4のモータドライバ49Dとともに第4の駆動源を形成する。この第4の駆動源も、図2等では図示省略したが、第3のサーボモータ39の場合と同様に作業用床面71の下方(固定ベース11)に配設されている。動力伝達機構(図示省略)は、第1,第2,第3のアーム21,31,41および第1の回動軸(エコライザ軸)18に沿わせて配置されたタイミングベルト等からなり、吸着手段51の姿勢調整用の動力を伝達する。第3のアーム41(46)を静止側として、第4の回動軸48を可動側とする。
かくして、アームの回動傾斜角度の大小に拘わらずに、例えば吸着面55のワーク57(乃至金型6,7)に対する接近(および離反)の際の傾きを設定変更できる。なお、第3,第4のサーボモータ39,49は、他のモータ19、29よりも小型・小容量なので、第2,第3のアーム31,41の先端側36,46に取付けることでも実施することができる。このように構築すれば、動力伝達機構を省略することができる。
因みに、第1,第2,第3,第4のサーボモータ19,29,39,49は、静止(ホールド)トルクの維持機能をもつ。電磁ブレーキ機能を設けることも好ましい。
なお、この実施の形態では、自重調整方式と強制調整方式とを選択的に動作できるように構成してある。第4の回動軸48と吸着手段51(52)とは、クラッチ(・ブレーキ)を介して連結されている。自重調整方式を選択する場合はクラッチをOFF状態として、両者48,51の機械的連結を相対回動可能に切換える。強制調整方式を選択する場合にはクラッチをON状態として、両者48,51の機械的連結を相対回動不能に切換える。
吸着手段51は、ワーク57を吸着解放可能な手段であり、バキュームカップや電磁マグネット等から形成される。この実施の形態では、ワーク57が図2、図3に示す薄板形状材であるから、バキュームカップ53を採用している。複数のバキュームカップ53は、図3、図4に示す如く、第4の回動軸48に固定された複数の保持部材52に相対回転不能状態で取付けられている。つまり、バキュームカップ53の吸着面55の姿勢(向き)は、第1,第2,第3のアーム21,31,41の傾斜角度の関係を踏まえかつ第4の回動軸48の傾斜角度に対応するものとして決まる。
図5において、駆動制御装置61は、制御部(CPU,ROM,RAM),シーケンス記憶部(ハードディスク装置),設定・表示部62およびセンサー部63等を含み、姿勢調整手段の駆動制御手段を形成する各モータドライバ19D・29D・39D・49Dに回転駆動制御信号を出力して当該各サーボモータ19・29・39・49を回転駆動制御する。バキュームコントローラ65に吸着・解放制御信号を出力して各バキュームキャップ53の吸着・解放を制御する。
ワーク搬送プログラムを構成する基本的な固定的情報(例えば、ワーク搬送情報、姿勢調整情報、吸着・開放情報等)はハードディスク装置(図示省略)に格納されており、選択的情報(例えば、ワーク57の種類)は表示部(62)の表示を参照しつつ設定部(62)を用いて設定変更(選択)でき、この情報もハードディスク装置に記憶される。
プレス運転に際しては、設定部(62)を用いて複数のワーク搬送プログラムの中からその1つを選択設定することができる。制御部は選択設定されたワーク搬送プログラムを実行する。なお、プレス1側の各種動作(例えば、スライド昇降動作)は、図示しないプレス運転制御盤からの信号により実行される。このプレス1側の動作は、プレス動作信号としてかつ通信線69を介して伝送され、駆動制御装置61はこのプレス動作信号を用いてタイミング同期させつつワーク搬送を行なう。
ワーク搬送運転に関しては、駆動制御指令に基づき、駆動制御装置61が、第1の回動軸18を中心とする第1のアーム21の回動運動に、第2の回動軸28を中心とする第2のアーム31の回動運動および第3の回動軸38を中心とする第3のアーム41の回動運動とを連関(例えば、連動)させつつ、吸着手段51を搬送する。これらと並行して、第4の回動軸48を中心とする吸着手段51の回動運動を連動させることで、吸着手段51(バキュームカップ53)の姿勢を所定姿勢に調整可能に駆動制御することができる。一段の搬送高速化を促進できる。
なお、第1,第2のアーム21,31および第3のアーム41の回動運動中は、自重調整方式(姿勢調整手段)のみを働かせかつ強制調整方式は休止状態とした運転を選択することができる。運用の実際は、これを選択する方が好ましい場合が多い。
これを選択した場合は、第1,第2のアーム21,31および第3のアーム41の回動運動終了直前(または直後)に強制調整方式を働かせる。この際、自重調整方式は休止状態とする。つまり、第4の回動軸48の傾斜角度を変化させることにより、ワーク57に対するバキュームカップ53の吸着面55の姿勢(向き)を微妙に調整することができる。吸着面55をワーク面に全面的に平行姿勢で接近・吸着させ、ワーク面に対して吸着面55を傾斜させた状態で部分的に接近・吸着させつつ最終的には全面的に平行姿勢で吸着させるソフトタッチ方式での運転ができる。
なお、第3のアーム41(先端側46)に対する第4の回動軸48の傾斜角度を絶対量として管理しつつ、第3のアーム41の回動運動中に強制調整方式を起動して常に吸着手段51の姿勢調整を行なえば、この点からも搬送高速化を図れる
まず、アーム回動機構の基本動作(作用)を説明する。
図4において、2点鎖線で示した垂直状態(中立状態)を基準とした場合、上流側プレス1Mに半加工品(ワーク57)を取出しに向かう取出し搬送の場合を考える。駆動制御装置61は、第1の回動軸18(第1のアーム21)を左回転方向に角度(−θ1)だけ回動させ、この角度(−θ1)に対応させて第2の回動軸28(第2のアーム31)を左回転方向に角度(−θ2)だけ回動させるとともに、第1の回動軸18(第1のアーム21)の回動角度(−θ1)および第2の回動軸28(第2のアーム31)の回動角度(−θ2)に対応させて第3の回動軸38(第3のアーム41)を右回転方向に角度(+θ3)だけ回動させる。これにより、第3のアーム41を水平状態に保持する。すると、第3のアーム41の先端側46(吸着手段51)を、プレス1Mの下金型7上に位置決めできる。これまでは、自重調整方式により吸着面55は常に下向きである。その後に、強制調整方式を働かせて、第4の回動軸48を右回転方向に角度(+θ4)[または、左回転方向に角度(−θ4)]だけ回動させつつ、吸着手段51の姿勢を予め設定された姿勢(ワーク57に対する傾斜角度)に自動調整する。
下流側プレス1Nに半加工品(57)を送り出し搬送する場合を考える。駆動制御装置61は、第1の回動軸18(第1のアーム21)を右回転方向に角度(+θ1)だけ回動させ、この角度(+θ1)に対応させて第2の回動軸28(第2のアーム31)を右回転方向に角度(+θ2)だけ回動させるとともに第1の回動軸18(第1のアーム21)の回動角度(+θ1)および第2の回動軸28(第2のアーム31)の回動角度(+θ2)に対応させて第3の回動軸38(第3のアーム41)を左回転方向に角度(−θ3)だけ回動させることで、第3のアーム41を水平状態に保持する。その後に、強制調整方式を働かせて、第4の回動軸48を左回転方向に角度(−θ4)[または、右回転方向に角度(+θ4)]だけ回動しつつ、吸着手段51の姿勢を予め設定された姿勢(ワーク57に対する傾斜角度)に自動調整する。
吸着手段51は、第3のアーム41(先端側46)の第4の回転軸48に固着された複数の保持部材52と、各保持部材52に取付けられたバキュームカップ53とからなる。図6に示すバキュームコントローラ65は、作業用床面71の下方に配設され、各バキュームカップ53とは多枝接続具(図示省略)およびチューブを介して連通されている。多枝接続具として、中空構造とした第4の回動軸48の一部から形成することもできる。
次に、プレスライン全体としての作用・動作等々を説明する。
(製造)
プレス1M、1Nに関し、従来例2、3の場合と異なり、スライド5に干渉防止用の特殊切欠加工を施したり、プレス本体上部にワーク搬送装置10の取付用支持機構等を設けなくてもよいから、コストを低減できる。スライド切欠加工に伴うスライドガイド5Gの設置高さ変更や高さ制限をする必要がないから、プレス加工精度を高く保持できる。
ワーク搬送装置10に関し、第1,第2,第3のアーム21,31,41の形態や剛性の選択自由性が広い。作業用床面(71)上の高さ寸法を大きくすることなく、第1アーム21の長大化ができる。つまり、プレス間距離の長短に対する適応性が広い。特性的には、回動用負荷が小さく、高速回動性に優れ、位置決め精度も高い。駆動制御も容易である。全体として、構造簡単で小型・軽量であるから、低コストで具現化できる。
(組立て)
プレス1M,1Nの各組立作業に並行して、ワーク搬送装置10の組立てができるから、大幅な工期短縮およびコスト低減ができる。従来例2、3の場合に比較して、作業用床面(71)上の高さ寸法を小さくでき、上部設置空間73を確保する必要もなく、ワーク搬送装置10の重量がプレス1の荷重となることもない。したがって、システム全体として、小型・軽量化を図れる。プレス間距離を小さくでき、ワーク搬送の高速化に有効である。
(プレス運転)
プレス運転のスタンバイ状態では、図4に示すように、第1のアーム21は中立位置(上向き起立状態)とされ、第2のアーム31は第2の回動軸28を支持点として上向き起立状態とされ、かつ第3のアーム41は第3の回動軸38を保持点として下向き起立(垂下)状態とされ、バキュームカップ53(吸着手段51)の吸着面55は、姿勢調整手段(自重調整方式)の働きで、下向き状態に保持されている。
図5に示す駆動制御装置61は、通信線69を通してプレス運転制御盤からプレス運転情報を受けてプレス運転を確認すると、ワーク搬送装置10を駆動制御する。まず、上流側のプレス1Mのプレス加工終了以前に、第1のアーム21が図4に示すプレス1M側に回動(左回転:−θ)し始める。上流側に傾斜する。第2のアーム31も左回転(−θ)方向に回動し始め、第3のアーム41は右回転(+θ)方向に回動し始める。つまり、第2および第3アーム31,41を水平状態に維持するように回動制御される。このようにアーム(21,31,41)の回動運動だけでよいから、搬送制御が容易である。吸着手段51は、自重調整方式の働きで、第4の回動軸48を中心として左回転(−θ)方向に回動しつつ、吸着面55を下向きに維持する。なお、例えばアーム(21,31,41)の回動終了後に、自重調整方式から強制調整方式に切換え、吸着面55の姿勢(傾き)を自動調整することができる。
スライド5の上昇に伴い、第1〜第3のアーム21,31,41等が更に回動して吸着手段51を下金型7に搬送しつつ吸着面55を下降させて下金型7に当接させる。負荷も小さく、高精度位置決めができる。これと同時的にバキュームコントローラ65が働く。つまり、上流側プレス1Mの半加工品(ワーク57)を各バキュームキャップ53で吸着する。
(ワーク搬送)
次のプレス加工のためにスライド5が下降して来る以前に、第1のアーム21は右回転(+θ)され、第2のアーム31も右回転(+θ)され、第3のアーム41は左回転(−θ)され、かつ吸着手段51は第4の回動軸48を中心として右回転(+θ)方向に回動しつつ、ワーク57をX方向の下流側プレス1Nに向けて搬送する。第1のアーム21は下流側に傾斜する。アーム(21,31,41)の回動運動だけなので、高速搬送(例えば、15〜20spm相当速度)できる。バキュームカップ53の吸着面55は下向き状態に保持されている。
各アーム(21,31)は原則としてスライド昇降領域内には立ち入らず、スライド5の昇降領域内には第3のアーム41および第4の回動軸48に保持された吸着手段51(バキュームカップ53)だけが搬入される。したがって、スライド5との干渉および金型(6,7)との干渉を確実に回避できる。
下流側プレス1Nの下金型(7)上に接近させた状態でバキュームカップ53を停止させ、ワーク57を離して下金型7にセットする。この場合も、自重調整方式から強制調整方式に切換え、吸着面55の姿勢(傾き)を自動調整することができる。第1のアーム21(第1の回動軸18)等および駆動源(19)等が作業用床面71の下方に設置され、プレス1M,1Nと直接連結さていないから、作業用床面71の上方・下方のいずれでもプレス1M,1Nの振動が伝播されない。この点からも、高精度搬送(位置決め)できる。その後、第1のアーム21が回動(左回転方向:−θ)され、第2のアーム31が左回転(−θ)方向に回動され、第3のアーム41が回動(右回転方向:+θ)される。
(プレス停止)
プレス停止では、上記のスタンバイ状態の場合と同じく、第1のアーム21は中立状態(中立位置)で上向き起立状態とされ、第2のアーム31も上向き起立状態とされ、第3のアーム41は下向き起立(垂下)状態とされる。バキュームカップ53(吸着手段51)の吸着面55は、下向き状態に保持される。
(金型交換)
金型交換作業に先立って、第1のアーム21および第2のアーム31等は、X方向の邪魔にならない位置(プレス1M側または1N側)に傾斜停止させておく。作業用床面71の殆どが空くので、金型の搬入・搬出後の金型交換に伴う調整作業を容易かつ迅速に行なえる。しかも、作業用床面(71)上に第1、第2の駆動源(19、29等)が設置されていないから、安全である。
かかる構成とされた第1の実施の形態によれば、ワーク搬送装置10が第1のアーム21と第2のアーム31と第3のアーム41と吸着手段と姿勢調整手段を具備し、第1のアーム21を作業用床面71よりも低い位置に設けた第1の回動軸18を中心に回動させかつ第2のアーム31を第2の回動軸28を中心に回動させるとともに第3のアーム41を第3の回動軸38を中心に回動させつつ、吸着手段51をプレス加工領域内に移動可能に形成されているので、金型交換作業の容易化および干渉回避性を担保しつつ、ワーク搬送速度の一段の高速化が図れ、構造簡単で生産性の高いタンデムプレスシステムを提供することができるとともに、プレス間距離を一段と短縮化できかつワーク搬送の高速化を促進できる。しかも、プレス間距離の大小に対する適応性が広く、一段と正確で安定した姿勢調整を行なえる。
また、Y方向に離隔配設された1対のアーム回動機構が同期搬送動作可能に形成されているから、構成要素(回動軸,駆動源等)や駆動制御の簡素化並びに一層のコスト低減を促進できるとともに、ワーク姿勢を正確に維持した確実かつ安定した搬送を行なえる。
さらに、第1のアーム21の回動運動に、第2,3のアーム31,41の回動運動と吸着手段51の回動運動とを連関させ、吸着手段51の姿勢を自動的に調整可能に形成されているので、制御単純化によるワーク搬送速度の高速化にも有効である。
さらに、第1のアーム21および第2のアーム31を回動運動させるための第1、第2の駆動源(19、29等)が作業用床面41よりも低い位置に配設されているので、プレスや作業用床面71に荷重や振動の影響を及ぼすことがない。
さらにまた、ワーク57が薄板形状材で、吸着手段51がバキューム吸着方式であるから、一段と確実かつ無傷で吸着搬送できる。
(第2の実施の形態)
この実施の形態は、基本的な構成・機能が第1の実施形態の場合と同様とされているが、Y方向に離隔配設された2組のアーム回動機構(第1のアーム21F,21R等々)をそれぞれに独立搬送動作可能に形成されている。
図6において、第1の回動軸18、第1のサーボモータ19(第1のモータ用ドライバ)、第2のサーボモータ29(第2のモータ用ドライバ)および第3のサーボモータ39(第3のモータ用ドライバ)は、各1対(18F,18R、19F,19R、29F,29R、39F,39R)とされ、前後(図で左右)に離隔配設されている。第4の回動軸48も1対(48F,48R)とされ、かつ吸着手段51も各回動軸48F,48Rに対応するように2分割化されている。
また、駆動制御装置61は、非同期運転モードに切換えられると、2台のアーム回動機構を構成する前側機構(19F,29F,39F,49F)と後側機構(19R,29R,39R,49R)とを、それぞれのタイミングで独立動作させる。したがって、搬送途中にワーク57の姿勢を調整して、上流側プレス1Mのワーク姿勢と下流側プレス1Nのワーク姿勢とを変えることができる。プレス加工の多様化に対する適応性を大幅に拡大できる。金型に対する適応性も広い。
(第3の実施の形態)
この実施の形態は、基本的な構成・機能が第2の実施形態の場合と同様とされているが、第2の実施形態の場合とは異なり、アーム回動機構(第1のアーム21、第2の回動軸28、第2のアーム31、第3の回動軸38、第4のアーム41、第4の回動軸48等)をプレス前後(Y方向)の一方のみに設け、ワーク搬送装置10を構築してある。
かかる実施の形態では、第4の回動軸48のY方向長さをボルスタ8の反対端面まで届くように長くする。また、カンチレバー形式となる分だけ機械剛性を高めておくのが好ましい。
なお、この構成は、図6から容易に想定できるので、図面は省略する。
かくして、この第3の実施形態によれば、小型プレス1でワーク57が小さい場合に有効である。