JP2008133745A - ターボ圧縮機のロータ - Google Patents
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Abstract
【解決手段】羽根車21と羽根車21を支持する回転軸12からなるターボ圧縮機のロータ17であって、羽根車21及び回転軸12のそれぞれの端面に形成された機械式継手71と、羽根車21の回転中心に形成された貫通穴に挿通されるテンションボルト74と、テンションボルト74の一端に形成された第一オネジ77に螺合する締付ナット80と、回転軸12の端面に形成されてテンションボルト74の伸張部75の一部を収容する収容穴78と、収容穴78の底面に形成されてテンションボルト74の他端に形成された第二オネジ76に螺合するメネジ79と、からなる締結機構70を備えた。
【選択図】図4
Description
回転軸の一端にのみ羽根車を接続したものや、回転軸の両端にそれぞれ羽根車を接続したもの、或いはこのような回転軸を複数備えるものがある。いずれも場合も、回転軸と羽根車との結合継手にはカービック・カップリングが使用され、この継手の締結機構には、テンションボルトが用いられている。テンションボルトの軸力により回転軸と羽根車とを結合するカービック・カップリングに高い押し付け力を発生させ、激しい温度変化によるゆるみ発生を防止している。
テンションボルトによる軸力は、大きいほうが望ましいが、その材質の弾性限界が存在する。また、テンションボルトの緩み防止などから定まる軸力の下限値も存在する。このため、テンションボルトの引張力はこの下限値と上限値の間に管理される必要がある。
しかしながら、テンションボルトの伸び量は、ごく僅かなため、目標伸び量を得るために何度も繰り返して作業することになり、作業効率が低下するという問題がある。
第一の発明は、羽根車と該羽根車を支持する回転軸からなるターボ圧縮機のロータであって、前記羽根車及び前記回転軸のそれぞれの端面に形成された機械式継手と、前記羽根車の回転中心に形成された貫通穴に挿通されるテンションボルトと、前記テンションボルトの一端に形成された第一オネジに螺合する締付ナットと、前記回転軸の端面に形成されて前記テンションボルトの伸張部の一部を収容する収容穴と、前記収容穴の底面に形成されて前記テンションボルトの他端に形成された第二オネジに螺合するメネジと、からなる締結機構を備えたことを特徴とする。
前記収容穴の深さは、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする。
前記突出部の突出量は、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする。
前記羽根車と前記締付ナットとの間に前記テンションボルトの一端に嵌合する座金を有し、前記突出量及び前記座金の厚みを合わせた長さは、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする。
本発明に係るターボ圧縮機のロータでは、回転軸の一端に羽根車を締結する締結機構において、テンションボルトの全長を長くすることができるので、組立時におけるテンションボルトの伸び量の管理幅(伸び量の上限値−下限値)を増大でき、調整作業を容易化することができる。したがって、組立の作業性・作業効率の向上が図られる。
図1は、本実施形態に係るターボ圧縮機1の概略構成を示す上面図である。
図2は、本発明の実施形態に係るロータ17,18を含むターボ圧縮機1の主要部を示す断面図である。
このガス流路には、第一段圧縮機6で圧縮されたガスAを冷却する第一インタクーラ41、第二段圧縮機7で圧縮されたガスAを冷却する第二インタクーラ43、第三段圧縮機8で圧縮されたガスAを冷却するアウタクーラ45が設けられている。
また、ターボ圧縮機1は、歯車装置10の潤滑させるオイルRを収容する不図示のオイル貯溜室も備えている。
第一歯車14は、第二回転軸12に設けられた小径の第二歯車15及び第三回転軸13に設けられた小径の第三歯車16がそれぞれ噛合されている。そして、この歯車装置10により、駆動モータ2の出力軸3の回転が増速されて、第二回転軸12及び第三回転軸13に伝達されるようになっている。
第二回転軸12は、歯車装置10の両側面側に延びるように支持されており、反駆動モータ側の端部に第一羽根車21が、駆動モータ側の端部に第二羽根車22が、それぞれ配置されている。
第三回転軸13は、歯車装置10の両側面側に延びるように支持されており、反駆動モータ側の端部に第三羽根車23が、駆動モータ側の端部に第四羽根車24が、それぞれ配置されている。
なお、第二回転軸12、第一羽根車21及び第二羽根車22を第一ロータ17、第三回転軸13、第三羽根車23及び第四羽根車24を第二ロータ18という。
なお、ギアケース5は、水平断面で上下に分割可能となっており、上部蓋を取り外すことで、第一〜第三回転軸11〜13、第一〜第3歯車14〜16等が可能となっている。
締結機構70は、第一ロータ17の第二回転軸12と第一羽根車21,第二羽根車22とを締結するものである。また、第二ロータ18の第三回転軸13と第三羽根車23,第四羽根車24とを締結するものである。
以下、第二回転軸12と第一羽根車21とを締結する締結機構70について説明する。
テンションボルト74は、両端に形成されたオネジ76,77と、オネジ76,77の間の伸張部75とからなる。
オネジ76,77のネジサイズは、例えば、M12〜M22程度であり、伸張部75の長さは、第一羽根車21の長さに応じて規定されるが、例えば、150mm程度である。
したがって、第二回転軸12の端面12a側に形成された収容穴78にテンションボルト74のオネジ76を挿入し、更にオネジ76をメネジ79に螺合させると、テンションボルト74が第二回転軸12の端面12aに対して垂直に立設するようになっている。
なお、収容穴78とメネジ79の合計深さは、テンションボルト74のオネジ76の長さよりも長くなっている。したがって、テンションボルト74のオネジ76をメネジ79に羅合すると、テンションボルト74の伸張部75のうちのオネジ76近傍は、必然的に収容穴78内に収容されるようになっている。
そして、このオネジ77に締付ナット80を螺合させることで、第一羽根車21が第二回転軸12の端面12aに締結される。
上述したように、テンションボルト74は、第二回転軸12の端面12aに形成された収容穴78に挿入され、更にテンションボルト74のオネジ76を収容穴78の底面に形成されたメネジ79に螺合される。
次に、第二回転軸12の端面12aに立設するテンションボルト74に対して、第一羽根車21を挿入して、第二回転軸12の端面12aに形成されたカービック歯部72と第一羽根車21の裏面中央端面21aに形成されたカービック歯部73とを噛合させる。
次いで、締付ナット80を締め付けて固定する際には、テンションボルト74のオネジ77に油圧式引張装置(不図示)を連結して、テンションボルト74に対して、所望の引張力を与える。そして、引張力が付加された状態で、テンションボルト74に対して締付ナット80を本締めする。
引張力が所望の値であるか否かは、テンションボルト74(伸張部75)の伸び量を計測して間接的に判断する。テンションボルト74(伸張部75)の伸び量は、ノギス、マイクロメータ或いはダイヤルゲージ85により計測される。なお、ダイヤルゲージ85の測定分解能は、0.01mmである。
つまり、テンションボルト74(伸張部75)の伸び量が所定範囲内となった際に、テンションボルト74に対して締付ナット80を螺合する。
そして、油圧式引張装置による引張処理を停止し、テンションボルト74から油圧式引張装置を取り外す。
締結機構70では、テンションボルト74の全長が従来例に比べて長くなっている。正確には、伸張部75の長さLが従来例の長さL1に比べて長くなっている(オネジ76,77の長さは同一)。
このため、テンションボルト74と従来例のテンションボルトを、油圧式引張装置により、同一の力で引っ張った場合には、テンションボルト74の方が、伸張部75が長い分だけ、伸び量が大きくなる。
なお、テンションボルト74のオネジ76,77の一部も、伸張部75と一体となって伸張する。つまり、オネジ76,77のうち、メネジ79や締付ナット80に螺合されていない部分は伸張する。したがって、正確には、オネジ76,77のうちメネジ79や締付ナット80に螺合されていない部分と伸張部75を合わせた部分が、実質的な伸張部となる。
引張力の上限値は、テンションボルト74の降伏力に応じて規定される。一方、下限値は、テンションボルト74のオネジ76,77の緩み防止やテンションボルト74により第一羽根車21を第二回転軸12に向けて押し付ける力に応じて規定される。
具体的には、テンションボルト74に与える引張力は、テンションボルト74の降伏応力σyの0.5〜0.7となる(上限値0.7σy、下限値0.5σy)。
したがって、ダイヤルゲージ85を用いることで、テンションボルト74(伸張部75)の伸び量を高い精度で管理することが可能である。
したがって、テンションボルト74の組立の際に、伸び量の管理に要する注意力が従来よりも低減されるので、組立の作業性・作業効率の向上が図られる。
言い換えれば、従来のテンションボルトの伸張部の長さL1(例えば、135mm)に対して、テンションボルト74の伸張部75の長さL(例えば、150mm)は、10%以上長くなっている。
テンションボルト74の伸張部75のうち、収容穴78に収容されている部位(例えば、15mm)は、組立の際に油圧式引張装置により引張力を与えられると、0.01mm以上の伸び量となる。0.01mm以上の伸び量であれば、ダイヤルゲージ85の測定分解能以上となるので、ダイヤルゲージ85により確実にその伸び量分も測定することが可能となる。
したがって、回転軸の危険速度が低下せず、安定した運転が可能である。また、他の部材の形状変更が不要であり、コスト上昇も殆どないという利点がある。
テンションボルト74のオネジ77には、座金81を介して締付ナット80を螺合させるようにしてもよい。これにより、テンションボルト74の伸張部75の長さLを更に増やすことができる。つまり、座金81の厚みの分だけ、伸張部75の長さLを増やすことができる。
したがって、より組立の作業性・作業効率の向上が図られる。
図6は、第二実施形態に係る締結機構90の断面図(a)及び従来例(b)である。
締結機構90は、第一実施形態に係る締結機構70と同様に、第二回転軸12の両端部と第一羽根車21,第二羽根車22とを締結するものである。
以下、第一実施形態に係る締結機構70と異なる部分についてのみ説明し、同一の部分については同一の符号を付してその説明を省略する。
オネジ76,77のネジサイズは、例えば、M12〜M22程度であり、伸張部75の長さは、第一羽根車21の長さに応じて規定されるが、例えば、150mm程度である。
第一羽根車21の長さ(裏面中央端面21aから表面中央端面21bまでの距離)は、第二回転軸12の端面12aから突出している伸張部75の長さよりもやや長く形成されている。したがって、第二回転軸12の端面12aに垂直に立設するテンションボルト74に第一羽根車21の貫通穴21cを挿通すると、テンションボルト74のオネジ77が第一羽根車21の表面中央端面21bから突出するようになっている。
そして、このオネジ77に座金81を嵌合させ、更に締付ナット80を螺合させることで、第一羽根車21が第二回転軸12の端面12aに締結される。
なお、座金81がない場合であってもよい。
また、テンションボルト74の一部が第一羽根車21の裏面中央に突出する突出部21fに収容され、その分だけ第二回転軸12の長さを短くすることで、テンションボルト74の全長が従来よりも長くなっていても、第二回転軸12に第一羽根車21,第二羽根車22を締結したユニットの全長は、従来の場合と同一にすることができる。したがって、他の部材の形状変更が不要であり、コスト上昇も殆どないという利点がある。
これらのいずれの形式であっても、ロータの回転軸と羽根車とを締結する手段として、締結機構70,90を用いることができる。
11…第一回転軸
12…第二回転軸
12a…端面
17…第一ロータ
18…第二ロータ
21…第一羽根車
21a…裏面中央端面
21c…貫通穴
21f…突出部
70,90…締結機構
71…カービックカップリング(機械式継手)
74…テンションボルト
75…伸張部
76…オネジ(第二オネジ)
77…オネジ(第一オネジ)
78…収容穴
78a…底面
79…メネジ
80…締付ナット
81…座金
85…ダイヤルゲージ
Claims (8)
- 羽根車と該羽根車を支持する回転軸からなるターボ圧縮機のロータであって、
前記羽根車及び前記回転軸のそれぞれの端面に形成された機械式継手と、
前記羽根車の回転中心に形成された貫通穴に挿通されるテンションボルトと、
前記テンションボルトの一端に形成された第一オネジに螺合する締付ナットと、
前記回転軸の端面に形成されて前記テンションボルトの伸張部の一部を収容する収容穴と、
前記収容穴の底面に形成されて前記テンションボルトの他端に形成された第二オネジに螺合するメネジと、
からなる締結機構を備えたことを特徴とするターボ圧縮機のロータ。 - 前記収容穴の深さは、前記テンションボルトの伸び量に応じて規定されることを特徴とする請求項1に記載のターボ圧縮機のロータ。
- 前記収容穴の深さは、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項2に記載のターボ圧縮機のロータ。
- 前記羽根車と前記締付ナットとの間に前記テンションボルトの一端に嵌合する座金を有し、
前記収容穴の深さ及び前記座金の厚みを合わせた長さは、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項2に記載のターボ圧縮機のロータ。 - 羽根車と該羽根車を支持する回転軸からなるターボ圧縮機のロータであって、
前記羽根車及び前記回転軸のそれぞれの端面に形成された機械式継手と、
前記羽根車の回転中心に形成された貫通穴に挿通されるテンションボルトと、
前記テンションボルトの一端に形成された第一オネジに螺合する締付ナットと、
前記回転軸の端面に形成されて前記テンションボルトの他端に形成された第二オネジに螺合するメネジと、
前記羽根車の裏面中央部に突出して形成されて前記テンションボルトの伸張部の一部を収容する突出部と、
からなる締結機構を備えたことを特徴とするターボ圧縮機のロータ。 - 前記突出部の突出量は、前記テンションボルトの伸び量に応じて規定されることを特徴とする請求項5に記載のターボ圧縮機のロータ。
- 前記突出部の突出量は、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載のターボ圧縮機のロータ。
- 前記羽根車と前記締付ナットとの間に前記テンションボルトの一端に嵌合する座金を有し、
前記突出量及び前記座金の厚みを合わせた長さは、前記伸張部の長さの10%以上であることを特徴とすることを特徴とする請求項6に記載のターボ圧縮機のロータ。
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