JP2008131730A - 半導体装置、モータ駆動装置、及び空調機 - Google Patents

半導体装置、モータ駆動装置、及び空調機 Download PDF

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Abstract

【課題】CPUの処理速度を向上させることなく、多相モータの回転子に対する位置推定の精度を向上させる。
【解決手段】本発明に係る半導体装置は、モータ3を駆動するインバータ2の制御を行うパルス幅変調信号を生成する半導体装置10であって、比較値x、y及びzを保持するコンペアレジスタ16a〜16cと、補正値α、β及びγを保持する出力タイミング制御バッファ11a〜11cと、通常用バイナリカウンタ15と、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、補正値α、β又はγ分時間的に進んだ、又は遅れた値をカウントする補正用バイナリカウンタ12a〜12cと、通常用バイナリカウンタ15又は補正用バイナリカウンタ12a〜12cのカウント値を選択するセレクタ部13a〜13cと、選択されたカウント値と、比較値x、y及びzとが一致するタイミングで論理値が切り替わるパルス幅変調信号を生成するPWM制御部18とを備える。
【選択図】図1

Description

本発明は、半導体装置、モータ駆動装置、及び空調機に関し、特に多相モータを駆動するインバータ回路の制御を行うパルス幅変調信号を生成する半導体装置に関する。
近年、消費電力の低減などの観点から、ブラシレスモータのような、高効率の電動機を任意の周波数で駆動するインバータなどが広く一般に使用されている。ブラシレスモータのインバータ制御において、モータの回転子の位置を検出する必要がある。従来、位置センサを用いて、モータの回転子の位置を検出する方法が知られている。位置センサを用いて回転子の位置を検出する場合、位置センサの取り付け場所が必要となるという問題がある。また、コストが増加するという問題がある。
この問題を解決するために、位置センサを用いずに、複数の相電流を1つの電流検出器で順次検出してAD変換を行い、そのAD変換結果に基づいて、回転子の位置を推定する技術が提案されている(例えば、特許文献1参照。)。
回転子の位置推定においては、電流検出器によって検出された電流のAD変換を行う必要があるため、各相電流の通電タイミングを調整してAD変換に必要な時間(AD変換時間とも称する)を確保しなければならない。図6は、従来の3相モータ駆動装置におけるキャリア信号と相電流U、V及びWのPWM(Pulse Width Modulation:パルス幅変調)制御との関係を示す。相電流U、V及びWを制御する信号u、v及びwは、キャリア信号と相電流U、V及びWに対応する比較値x、y及びzのそれぞれとの比較結果に基づいて生成される。図6の例では、最初にU相を制御する信号uのパルスが立ち上がり、次いでV相、W相を制御する信号v、wのパルスが立ち上がっている。
1つの電流検出器でU相及びW相に通電される電流の大きさを順次検出するには、U相のみが通電されている期間に電流検出器で検出された電流と、W相のみが通電されている期間、すなわち、信号u及びvのパルスのみがオンとなっている期間に電流検出器で検出された電流とをそれぞれAD変換する必要がある。このため、上記2つのAD変換に必要な時間を確保するために、マイクロコンピュータによって信号v及びwのパルスの立ち上がり及び立ち下がりタイミングが調整される。
マイクロコンピュータは、V相及びW相のPWM制御のパルスの立ち上がりをずらすことにより、キャリア信号の前半周期にU相及びW相のAD変換を行い、このAD変換結果に基づいて回転子の位置推定演算を行う。そして、次のカウント周期の比較値x、y及びzの設定及びAD変換開始時間の修正を行う。また、前半周期にパルスの立ち上がりをずらした分のデューティを調整するために、キャリア信号の後半周期の最初に割り込み処理によって比較値x、y及びzの再設定を行う。
特開2003−189670号公報
しかしながら、従来の3相モータ駆動装置は、回転子の位置推定により高い精度を求めると、マイクロコンピュータによるソフトウエア処理が複雑化し、キャリア信号の1周期内に、AD変換時間確保の処理、回転子の位置推定演算、次のカウント周期の比較値設定及び割り込み処理の全てを完了させることができなくなる。このため、従来の3相モータ駆動装置では、回転子の位置推定の精度を上げにくいといった問題がある。また、CPUの処理速度を向上させることによって、上記問題は解決されるであろうが、コストの増大につながってしまう。
上記問題に鑑み、本発明は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させるモータ駆動装置、及び、多相モータのPWM制御を行う半導体装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明に係る半導体装置は、N相モータを駆動するインバータ回路の制御を行うN相のパルス幅変調信号を生成する半導体装置であって、前記N相のパルス幅変調信号がアクティブとなる区間を決定するための値であり、前記各パルス変調信号に対応するN個の値を保持する第1のレジスタと、前記各パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値であり、前記各パルス幅変調信号に対応するN個の補正値を保持する補正用バッファと、カウント周期毎に、第1のカウント値から第2のカウント値まで所定の時間毎にアップカウントを行い、前記第2のカウント値までアップカウントを行った後、前記第2のカウント値から前記第1のカウント値まで所定の時間毎にダウンカウントを行う第1のカウンタと、前記前記N相のパルス幅変調信号にそれぞれ対応し、第1のカウンタのカウント値に対して、対応する前記補正値分時間的に進んだ、又は遅れた値をカウントするN個の第2のカウンタと、対応する前記パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、対応する前記パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行う場合に対応する前記第2のカウンタのカウント値を選択するN個のセレクタと、前記各セレクタにより選択された前記第1のカウンタ又は前記第2のカウンタのカウント値と、対応する前記第1のレジスタが保持する値とが一致するか否かを判定するN個の比較手段と、前記比較手段が一致すると判定したタイミングで論理値が切り替わる前記N相のパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調制御手段とを備える。
この構成によれば、補正が必要な場合には、パルス幅変調信号(以下、PWM信号と記す。)のアクティブとなる区間(以下、オン区間と記す。)をシフトさせる。よって、オンデューティの変更なしに、例えば、AD変換を行う時間を確保することができる。よって、従来のインバータ制御用半導体装置で必要であった比較値を再設定するための割り込み処理が不要となり、CPUリソースを回転子の位置推定演算に集中させることができる。すなわち、本発明に係る半導体装置は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させることができる。
また、前記半導体装置は、さらに、前記インバータ回路の電流値をデジタル信号に変換するAD変換手段と、前記AD変換手段が変換したデジタル信号に基づき、前記N相のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を演算する演算手段とを備え、前記第1のレジスタは、前記演算手段が演算した前記N相のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値を保持し、前記補正は、前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理の時間を確保するための補正であってもよい。
この構成によれば、AD変換手段がAD変換を行う時間を確保するための補正が必要な場合には、PWM信号のオン区間をシフトさせる。よって、オンデューティの変更なしに、AD変換を行う時間を確保することができる。よって、従来のインバータ制御用半導体装置で必要であった比較値を再設定するための割り込み処理が不要となり、CPUリソースを回転子の位置推定演算に集中させることができる。すなわち、本発明に係る半導体装置は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させることができる。なお、演算手段は、CPUと、CPU上で実行されるプログラムを格納したROM等の記憶手段とを備え、CPU上で記憶手段からのプログラムを実行することで前記演算をおこなってもよい。また、演算手段は、CPUを備えるマイコン等であり、外部からプログラムを読み出し、前記演算を行ってもよい。すなわち、演算手段は、CPUのみで構成されてもよい。
また、前記N相のパルス幅変調信号は、第1のパルス幅変調信号と、前記第1のパルス幅変調信号の直前及び直後のいずれか一方で論理値が変更される第2のパルス幅変調信号とを含み、前記第1のレジスタは、前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第1の値と、前記第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第2の値とを保持し、前記半導体装置は、さらに、前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理に要する時間に対応する値を保持する第2のレジスタと、前記第1の値と、前記第2の値との差分値を算出する差分算出手段と、前記差分値と、前記第2のレジスタが保持する値とを比較し、前記差分値が前記第2のレジスタが保持する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが保持する値と前記差分値との差分を算出し、算出した差分を前記補正値として前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記補正用バッファに保持し、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記セレクタに前記第2のカウンタのカウント値を選択させる比較演算手段とを備えてもよい。
この構成によれば、演算手段が演算したオン区間のPWM信号では、AD変換手段によるAD変換の時間が確保できない場合には、第2のレジスタが保持するAD変換に必要な時間と、演算手段が演算したPWM信号のオン区間を決定する値との差分値を、補正用バッファに格納する。これにより、通常(補正を行わない場合)のオン区間に対して、AD変換に必要な時間と、演算手段が演算したPWM信号のオン区間を決定する値との差分値分、時間的に進んだ、又は遅れたオン区間のPWM信号を生成することができる。
また、前記比較演算手段は、前記差分値が前記第2のレジスタが保持する値より大きい場合に、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記補正用バッファに「0」を保持し、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記セレクタに前記第1のカウンタのカウント値を選択させてもよい。
この構成によれば、演算手段が演算したオン区間のPWM信号で、AD変換手段によるAD変換の時間が確保できる場合には、補正を行わない。また、CPU等は、補正用バッファが格納する値を確認することで、補正が行われたか否かを判断することができる。
また、前記半導体装置は、さらに、前記補正が行われたパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が、前記第1のカウンタの前記カウント周期の範囲を越えるか否かを判定し、前記補正が行われたパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が、前記第1のカウンタの前記カウント周期の範囲を越える場合に、第1のフラグを設定する第1のフラグ制御手段を備えてもよい。
この構成によれば、CPU等は、第1のフラグを参照することにより、補正状態を判別し、補正状態に応じた後処理を行うことができる。例えば、CPUは、第1のフラグを監視し、オン区間が次のカウント周期にずれこんでいるPWM信号については、次のカウント周期での補正を制限することができる。
また、前記半導体装置は、さらに、前記パルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該パルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なるか否かを判定し、前記パルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該パルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なる場合に、第2のフラグを設定する第2のフラグ制御手段を備えてもよい。
この構成によれば、CPU等は、第2のフラグを参照することにより、PWM信号のオン区間の重なりを判別し、これに応じた後処理を行うことができる。例えば、CPUは、第2のフラグをCPUにより監視し、オンデューティが一時的に短くなった信号については、次のカウント周期でその短くなった分を補償するようにオンデューティを長くすることができる。
また、前記比較演算手段は、算出した前記第2のレジスタが保持する値と前記差分値との差分に基づき、前記AD変換手段がデジタル信号への変換処理を開始するタイミングを制御してもよい。
この構成によれば、補正後のPWM信号の区間に合わせて、AD変換手段は、AD変換処理を開始することができる。
また、前記半導体装置は、3相モータを駆動するインバータ回路の制御を行う3相のパルス幅変調信号を生成する半導体装置であって、前記3相のパルス幅変調信号は、3相のパルス幅変調信号の中で最もアクティブとなる区間の広い第1のパルス幅変調信号と、3相のパルス幅変調信号の中で2番目にアクティブとなる区間の広い第2のパルス幅変調信号と、3相のパルス幅変調信号の中で最もアクティブとなる区間の狭い第3のパルス幅変調信号とを含み、前記第1のレジスタは、第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第1の値と、第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第2の値と、第3のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第3の値とを保持し、前記補正用バッファは、前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第1の補正値と、前記第3のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第3の補正値とを保持し、前記N個の第2のカウンタは、前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第1の補正値分時間的に進んだ値をカウントする第3のカウンタと、前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第3の補正値分時間的に遅れた値をカウントする第4のカウンタとを含み、前記N個のセレクタは、前記第1のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第1のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第3のカウンタのカウント値を選択する第1のセレクタと、前記第3のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第3のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第4のカウンタのカウント値を選択する第2のセレクタとを含み、前記半導体装置は、さらに、前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理に要する時間に対応する値を格納する第2のレジスタと、前記第1の値と前記第2の値との差分である第1の差分値、及び、前記第2の値と前記第3の値の差分である第2の差分値を算出する差分算出手段と、前記第1の差分値と、前記第2のレジスタが格納する値とを比較し、前記第1の差分値が前記第2のレジスタが格納する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが格納する値と前記第1の差分値との差分である第3の差分値を算出し、前記第3の差分値を前記第1の補正値として前記補正用バッファに格納し、前記第1のセレクタに前記第3のカウンタのカウント値を選択させ、前記第2の差分値と、前記第2のレジスタが格納する値とを比較し、前記第2の差分値が前記第2のレジスタが格納する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが格納する値と前記第2の差分値との差分である第4の差分値を算出し、前記第4の差分を前記第3の補正値として前記補正用バッファに格納し、前記第2のセレクタに前記第4のカウンタのカウント値を選択させる比較演算手段とを備えてもよい。
この構成によれば、3相のPWM信号のうち、最もオン区間の長いPWM信号(第1のパルス幅変調信号)と、最もオン区間の短いPWM信号(第3のパルス幅変調信号)とに補正を行う。これにより、2つのAD変換に必要な期間に対する補正を独立して行うことができ、処理量を低減することができる。例えば、第1及び第2のパルス幅変調信号のみがオンする区間に行われるAD変換の時間に対する補正を、第2のパルス幅変調信号のオン区間を変更することで補正した場合には、第2のパルス幅変調信号のオン区間を変更することで第1のパル幅変調信号のみがオンする区間が変更される。これにより、再度、第1のパルス幅変調信号に対する補正値を算出する必要が生じ、処理が複雑化する。一方、第1及び第2のパルス幅変調信号のみがオンする区間に行われるAD変換の時間に対する補正を、第3のパルス幅変調信号のオン区間を変更することで補正した場合には、第3のパルス幅変調信号のオン区間を変更することで、第1のパル幅変調信号のみがオンする区間は変更されない。よって、処理量を低減することができる。
また、前記補正用バッファは、さらに、前記第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第2の補正値を保持し、前記N個の第2のカウンタは、さらに、前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第2の補正値分時間的に遅れた値をカウントする第5のカウンタを含み、前記N個のセレクタは、さらに、前記第2のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第2のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第5のカウンタのカウント値を選択する第3のセレクタを含み、前記半導体装置は、さらに、前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なるか否かを判定する区間判定手段を備え、前記比較演算手段は、前記区間判定手段により第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なると判定された場合に、前記第3の差分値を前記第2の補正値として前記補正用バッファに保持し、前記第3のセレクタに前記第5のカウント値を選択させ、前記第1のセレクタに前記第1のカウント値を選択させてもよい。
この構成によれば、補正により、所定のPWM信号のオン区間が、所定のPWM信号の直前のカウント周期のオン区間と重なる場合には、他のPWM信号のオン区間をずらすことで、オン区間の重なりを回避することができる。
また、本発明に係るモータ駆動装置は、モータの駆動制御を行うモータ駆動装置であって、直流電圧をN相交流電圧に変換してモータを駆動するインバータ回路と、前記インバータ回路の電流値を検出する電流検出手段と、前記インバータ回路の制御を行うN相のパルス幅変調信号を生成する前記半導体装置とを備え、前記AD変換手段は、前記電流検出手段が検出した電流値をデジタル信号に変換する。
この構成によれば、AD変換手段がAD変換を行う時間を確保するための補正が必要な場合には、PWM信号のオン区間をシフトさせる。よって、オンデューティの変更なしに、AD変換を行う時間を確保することができる。よって、従来のモータ駆動装置で必要であった比較値を再設定するための割り込み処理が不要となり、CPUリソースを回転子の位置推定演算に集中させることができる。すなわち、本発明に係るモータ駆動装置は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させることができる。
また、本発明に係る空調機は、冷媒を圧縮する圧縮機と、前記圧縮機が圧縮した冷媒を断熱膨張させる熱変換器と、前記圧縮機を駆動するモータの駆動制御を行う前記モータ駆動装置とを備える。
この構成によれば、モータ駆動装置において、AD変換手段がAD変換を行う時間を確保するための補正が必要な場合には、PWM信号のオン区間をシフトさせる。よって、オンデューティの変更なしに、AD変換を行う時間を確保することができる。よって、従来のモータ駆動装置で必要であった比較値を再設定するための割り込み処理が不要となり、CPUリソースを回転子の位置推定演算に集中させることができる。すなわち、本発明に係る空調機のモータ駆動装置は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させることができる。
本発明は、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させるモータ駆動装置、及び、多相モータのPWM制御を行う半導体装置を提供することができる。
以下、本発明に係るインバータ制御用半導体装置の実施の形態について、図面を参照しながら詳細に説明する。
(第1の実施の形態)
本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置は、PWM制御においてAD変換時間を確保するための補正が必要な場合に、パルス幅を変更せずにパルスのオン区間をシフトさせる。これにより、割り込み処理を行う必要がないので、CPUの処理負荷を低減することができる。
まず、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置の構成を説明する。
図1は、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置を含むモータ装置の構成を示す図である。図1に示すモータ装置100は、電流検出器1と、インバータ2と、モータ3と、インバータ制御用半導体装置10と、コンバータ24と、交流電圧源25とを備える。モータ3は、例えば、3相DCブラシレスモータである。インバータ2は、交流電圧源25からの交流電圧をコンバータ24で整流した直流電圧を3相交流電圧(U相、V相及びW相)に変換してモータ3を駆動する。電流検出器1は、インバータ2の母線に接続され、インバータ2の電流値を検出する。
インバータ制御用半導体装置10は、モータ3を駆動するインバータ2の制御を行う3相のPWM信号を生成する半導体装置である。インバータ制御用半導体装置10は、AD変換部4と、制御部5と、補正制御部6と、オーバーフラグレジスタ22と、エラーフラグレジスタ23と、位置推定部26とを備える。
AD変換部4は、電流検出器1により検出されたインバータ2の電流値をデジタル信号にAD変換する。
位置推定部26は、AD変換部4が変換したデジタル信号に基づき、3相のPWM信号のパルス幅を演算する。具体的には、位置推定部26は、AD変換部4が変換したデジタル信号、すなわちインバータ2の母線に流れる電流値から、モータ3の相電流を算出する。さらに、位置推定部26は、算出した相電流からモータ3の誘起電圧を推定する。さらに、位置推定部26は、推定した誘起電圧からモータ3の回転子の位置及び速度を推定する。さらに、位置推定部26は、推定した回転子の速度が、外部より与えられた目標速度になるように、3相のPWM信号のパルス幅を算出する。ここで、位置推定部26は、CPUと、CPU上で実行されるプログラムを格納したROM等の記憶部とを備え、位置推定部26は、CPU上で、ROM等からのプログラムを実行することで実現される。なお、位置推定部26は、CPUを備えるマイコンであり、外部からプログラムを読み出し、上記処理を行ってもよい。
制御部5は、位置推定部26が算出した3相のPWM信号のパルス幅に基づき、インバータ2を制御するPWM信号u、ub、v、vb、w及びwbを生成する。制御部5は、通常用バイナリカウンタ15と、出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cと、補正用バイナリカウンタ12a、12b及び12cと、セレクタ部13a、13b及び13cと、比較部14a、14b及び14cと、コンペアレジスタ16a、16b及び16cと、コンペアレジスタバッファ17a、17b及び17cと、PWM制御部18とを備える。
出力タイミングバッファ11a、11b及び11cは、PWM信号u、ub、v、vb、w及びwbのオン区間の補正を行うための値である補正値を保持する。ここで、出力タイミングバッファ11a、11b及び11cが保持する補正値を用いる補正は、AD変換部4によるデジタル信号への変換処理の時間を確保するためのPWM信号u、ub、v、vb、w及びwbのオン区間の補正である。出力タイミング制御バッファ11aは、U相のPWM信号u及びubの補正を行うための値である補正値αを格納する。出力タイミング制御バッファ11bは、V相のPWM信号v及びvbの補正を行うための値である補正値βを格納する。出力タイミング制御バッファ11cは、W相のPWM信号w及びwbの補正を行うための値である補正値γを格納する。
通常用バイナリカウンタ15は、アップカウント及びダウンカウントを行う。具体的には、通常用バイナリカウンタ15は、カウント周期毎に、カウント開始値からカウント終了値まで所定の時間毎にアップカウントを行い、カウント終了値までアップカウントを行った後、カウント終了値からカウント開始値まで所定の時間毎にダウンカウントを行う。
補正用バイナリカウンタ12a、12b及び12cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、それぞれ出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cが格納する補正値を加算又は減算したカウント値をカウントする。すなわち、補正用バイナリカウンタ12a、12b及び12cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、補正値分時間的に進んだ、又は遅れた値をカウントする。例えば、補正用バイナリカウンタ12aは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値から、出力タイミング制御バッファ11aの格納する補正値α分、時間的に進んだカウント値をカウントする。補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値から、出力タイミング制御バッファ11bの格納する補正値β分、時間的に進んだカウント値をカウントする。補正用バイナリカウンタ12cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値から、出力タイミング制御バッファ11cの格納する補正値γ分、時間的に遅れたカウント値をカウントする。なお、補正用バイナリカウンタ12a及び12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、それぞれ出力タイミング制御バッファ11a及び11bが格納する補正値分、時間的に遅れたカウント値をカウントしてもよい。また、補正用バイナリカウンタ12cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、出力タイミング制御バッファ11cが格納する補正値分、時間的に進んだカウント値をカウントしてもよい。
セレクタ部13aは、U相のPWM信号のパルス幅に補正を行わない場合に通常用バイナリカウンタ15のカウント値を選択し、U相のPWM信号のパルス幅に補正を行う場合に補正用バイナリカウンタ12aのカウント値を選択する。セレクタ部13bは、V相のPWM信号のパルス幅に補正を行わない場合に通常用バイナリカウンタ15のカウント値を選択し、V相のPWM信号のパルス幅に補正を行う場合に補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。セレクタ部13cは、W相のPWM信号のパルス幅に補正を行わない場合に通常用バイナリカウンタ15のカウント値を選択し、W相のPWM信号のパルス幅に補正を行う場合に補正用バイナリカウンタ12cのカウント値を選択する。ここで、選択されたカウント値は、キャリア信号として三角波を生成するものである。
コンペアレジスタ16aは、U相に通電する電流のパルス幅を決定するための値である比較値xを格納する。コンペアレジスタ16bは、V相に通電する電流のパルス幅を決定するための値である比較値yを格納する。コンペアレジスタ16cは、W相に通電する電流のパルス幅を決定するための値である比較値zを格納する。
コンペアレジスタバッファ17a、17b及び17cは、コンペアレジスタ16a、16b及び16cのバッファであり、次のカウント周期のパルス幅を決定するための比較値x’、y’及びz’を格納する。ここで、比較値x’は、位置推定部26が演算したU相のPWM信号のパルス幅を決定するための値であり、比較値y’は、位置推定部26が演算したV相のPWM信号のパルス幅を決定するための値であり、比較値z’は、位置推定部26が演算したZ相のPWM信号のパルス幅を決定するための値である。
比較部14aは、コンペアレジスタ16aに格納されている比較値xと、セレクタ部13aが選択したカウント値との大小関係を比較し、一致するか否かを判定する。比較部14bは、コンペアレジスタ16bに格納されている比較値yと、セレクタ部13bが選択したカウント値との大小関係を比較し、一致するか否かを判定する。比較部14cは、コンペアレジスタ16cに格納されている比較値zと、セレクタ部13cが選択したカウント値との大小関係を比較し、一致するか否かを判定する。
PWM制御部18は、インバータ2を制御するPWM信号u、ub、v、vb、w及びwbを生成する。なお、信号ubは信号uの反転信号であり、信号vbは信号vの反転信号であり、信号wbは信号wの反転信号である。PWM制御部18は、比較部14aが、比較値xと、セレクタ部13aが選択したカウント値とが一致したと判定したタイミングで信号u及びubの論理を反転させる。PWM制御部18は、比較部14bが、比較値yと、セレクタ部13bが選択したカウント値とが一致したと判定したタイミングで信号v及びvbの論理を反転させる。PWM制御部18は、比較部14cが、比較値zと、セレクタ部13cが選択したカウント値とが一致したと判定したタイミングで信号w及びwbの論理を反転させる。ここで、信号uはインバータ2を構成するスイッチ素子2aを制御し、信号vはスイッチ素子2bを制御し、信号wはスイッチ素子2cを制御し、信号ubはスイッチ素子2dを制御し、信号vbはスイッチ素子2eを制御し、信号wbはスイッチ素子2fを制御する。また、PWM制御部18は、信号uと信号ubとの信号間、信号vと信号vbと信号間、及び信号wと信号wbとの信号間にデッドタイムと呼ばれる共に非アクティブな区間を挿入することもある。
補正制御部6は、出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cに格納される補正値α、β及びγを生成する。補正制御部6は、AD変換時間格納レジスタ21と、差分算出部19と、比較演算部20を備える。
差分算出部19は、比較値x’と、比較値y’と差分である差分値s、及び比較値y’と比較値z’との差分である差分値tを算出する。
AD変換時間格納レジスタ21は、AD変換時間を示す設定値rを格納する。例えば、設定値rは、AD変換部4が1相の電流のAD変換の処理に要する時間に対応する。
比較演算部20は、差分値sと設定値rとを比較し、差分値sと設定値rとの大小関係を判定する。比較演算部20は、差分値sが設定値rより小さい場合に、設定値rと差分値sとの差分を算出し、算出した差分を出力タイミング制御バッファ11aに格納し、かつセレクタ部13aに補正用バイナリカウンタ12aを選択する切換信号を出力する。また、比較演算部20は、差分値sが設定値rより大きい場合に、出力タイミング制御バッファ11aに「0」を格納し、かつセレクタ部13aに通常用バイナリカウンタ15を選択する切換信号を出力する。
さらに、比較演算部20は、差分値tと設定値rとを比較し、差分値tと設定値rとの大小関係を判定する。比較演算部20は、差分値tが設定値rより小さい場合に、設定値rと差分値tとの差分を算出し、算出した差分を出力タイミング制御バッファ11cに格納し、かつセレクタ部13cに補正用バイナリカウンタ12cを選択する切換信号を出力する。また、比較演算部20は、差分値tが設定値rより大きい場合に、出力タイミング制御バッファ11cに「0」を格納し、かつセレクタ部13cに通常用バイナリカウンタ15を選択する切換信号を出力する。
また、比較演算部20は、補正を行った場合(補正値α、β及びγに「0」以外の値を設定した場合)に、補正が行われたPWM信号のオン区間が、通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越えるか否かを判定する。比較演算部20は、補正が行われたPWM信号のオン区間が、通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越える場合に、これを示すフラグであるオーバーフラグをオーバーフラグレジスタ22に設定する。
また、比較演算部20は、補正を行った場合(補正値α、β及びγに「0」以外の値を設定した場合)に、補正が行われたPWM信号のオン区間が直前のカウント周期の該PWM信号のオン区間と重なるか否かを判定する。比較演算部20は、PWM信号のオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越えた場合であり、かつPWM信号のオン区間が直前のカウント周期の該PWM信号のオン区間と重なる場合に、これを示すフラグであるエラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定する。また、比較演算部20は、補正を行わない場合(補正値α、β及びγに「0」の値を設定した場合)でも、前周期の補正値α、β及びγが大きすぎるために、直前のPWM信号のオン区間と重なるときは、これを示すフラグとしてエラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定する。
次に、モータ装置100の動作を説明する。一例として、相電流U、V及びWのPWM制御を行う信号u、v及びwのパルスにおいて、U相のパルス幅が最大で、W相のパルス幅が最小の場合、つまりパルス幅を決定するための比較値x、y及びzの関係が、x<y<zの場合を前提に説明する。
まず、所定のカウント周期におけるAD変換部4、位置推定部26及び補正制御部6による次のカウント周期の比較値設定の動作を説明する。
AD変換部4は、電流検出器1で検出された電流値(U相及びW相の電流)をAD変換する。位置推定部26は、AD変換部4によりAD変換された電流値に基づき、次のカウント周期の比較値x’、y’及びz’を算出する。位置推定部26は、算出した次のカウント周期の比較値x’、y’及びz’をそれぞれコンペアレジスタバッファ17a、17b及び17cに格納する。
差分算出部19は、比較値x’と、比較値y’との差分値sを算出する。また、差分算出部19は、比較値y’と比較値z’との差分値tを算出する。ここで、差分値sは、U相のPWM信号のみがオンする区間、すなわちU相の相電流のAD変換に用いられる時間に対応する。また、差分値tは、U相及びV相のPWM信号がオンする区間、すなわちW相の相電流のAD変換に用いられる時間に対応する。
比較演算部20は、差分値sと設定値rとを比較し、差分値sと設定値rとの大小関係を判定する。比較演算部20は、差分値sが設定値rより小さい場合に、設定値rから差分値sを引いた値を出力タイミング制御バッファ11aに格納し、かつセレクタ部13aに補正用バイナリカウンタ12aを選択する切換信号を出力する。また、比較演算部20は、差分値sが設定値rより大きい場合に、出力タイミング制御バッファ11aに「0」を格納し、かつセレクタ部13aに通常用バイナリカウンタ15を選択する切換信号を出力する。
さらに、比較演算部20は、差分値tと設定値rとを比較し、差分値tと設定値rとの大小関係を判定する。比較演算部20は、差分値tが設定値rより小さい場合に、設定値rから差分値tを引いた値を出力タイミング制御バッファ11cに格納し、かつセレクタ部13cに補正用バイナリカウンタ12cを選択する切換信号を出力する。また、比較演算部20は、差分値tが設定値rより大きい場合に、出力タイミング制御バッファ11cに「0」を格納し、かつセレクタ部13cに通常用バイナリカウンタ15を選択する切換信号を出力する。なお、比較演算部20は、出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cへのデータの格納と、セレクタ部13a、13b及び13cの切り替えとを、例えば、1周期が終了したタイミングで行う。また、1周期が終了したタイミングで、コンペアレジスタバッファ17a、17b及び17cが格納している比較値x’、y’及びz’が、比較値x、y及びzとしてコンペアレジスタ16a、16b及び16cに格納される。
次に、所定のカウント周期の次のカウント周期における制御部5によるPWM信号生成の動作を説明する。
図2は、PWM信号の1周期におけるキャリア信号と相電流U、V及びWのPWM信号との関係の一例を示す図である。図2に示す例において差分値sは設定値rよりも小さく、差分値tは設定値rよりも大きい。よって、比較演算部20は、次のカウント周期の開始時に、補正値αとして設定値rから差分値sを引いた値を出力タイミング制御バッファ11aに格納する(補正値α=設定値r−差分値s)。また、比較演算部20の制御により、セレクタ部13aは、補正用バイナリカウンタ12aのカウント値を選択する。また、差分値tが設定値r以上であるため、比較演算部20は、出力タイミング制御バッファ11cに「0」を格納する(補正値γ=0)。また、セレクタ部13cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値を選択する。また、比較演算部20は、出力タイミング制御バッファ11bに「0」を格納し(補正値β=0)、セレクタ部13bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値を選択する。
通常用バイナリカウンタ15は、PWM信号の1周期(カウント周期)において、カウント開始値(例えば、「0」)からカウント終了値(例えば、「255」)まで所定の時間毎にアップカウントを行い、カウント終了値(例えば、「255」)までアップカウントを行った後、カウント終了値(例えば、「255」)からカウント開始値(例えば、「0」)まで所定の時間毎にダウンカウントを行う。例えば、通常用バイナリカウンタ15は、インバータ制御用半導体装置10の内部、又は外部で生成されたクロックにより、アップカウント及びダウンカウントを行う。これにより、図2に示す三角波であるキャリア信号27が生成される。
補正用バイナリカウンタ12aは、通常用バイナリカウンタ15と同様に、PWM信号の1周期において、カウント開始値(例えば、「0」)からカウント終了値(例えば、「255」)まで所定の時間毎にアップカウントを行い、カウント終了値(例えば、「255」)までアップカウントを行った後、カウント終了値(例えば、「255」)からカウント開始値(例えば、「0」)まで所定の時間毎にダウンカウントを行う。例えば、補正用バイナリカウンタ12aは、インバータ制御用半導体装置10の内部、又は外部で生成されたクロックにより、アップカウント及びダウンカウントを行う。さらに、補正用バイナリカウンタ12aは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して、補正値α分時間的に進んだ値をカウントする。これにより、図2に示す三角波であるキャリア信号28が生成される。
PWM制御部18は、補正用バイナリカウンタ12aのカウント値と、比較値xが一致したタイミングT1で、信号uのパルスを立ち上げる。次いで、PWM制御部18は、通常用バイナリカウンタ15のカウント値と、比較値yが一致したタイミングT3で、信号vのパルスを立ち上げる。次いで、PWM制御部18は、通常用バイナリカウンタ15のカウント値と、比較値zが一致したタイミングT4で、信号wのパルスを立ち上げる。
また、1周期の後半(通常用バイナリカウンタ15及び補正用バイナリカウンタ12aのダウンカウント時)において、通常用バイナリカウンタ15のカウント値と、比較値zが一致したタイミングT5で、信号wのパルスを立ち下げる。次いで、PWM制御部18は、通常用バイナリカウンタ15のカウント値と、比較値yが一致したタイミングT6で、信号vのパルスを立ち下げる。次いで、PWM制御部18は、補正用バイナリカウンタ12aのカウント値と、比較値xが一致したタイミングT7で、信号uのパルスを立ち下げる。
このように、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、相電流Uのオンデューティを一定に保ったまま、補正値αに相当する時間だけ通電タイミングをずらす。これにより、相電流Uにおける通電時間を変化させず、AD変換の時間を確保することができる。よって、PWM制御に悪影響を与えずにAD変換の時間を確保することができる。
また、図示していないが、差分値tが設定値rよりも小さい場合には、比較演算部20は、次のカウント周期の開始時に、設定値rから差分値tを引いた値を補正値γとして出力タイミング制御バッファ11cに格納する(補正値γ=設定値r−差分値t)。補正用バイナリカウンタ12cは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して出力タイミング制御バッファ11cが格納する補正値γ分遅れたカウント値をカウントする。セレクタ13cは、比較演算部20の制御により、補正用バイナリカウンタ12cのカウント値を選択する。比較部14cは、補正用バイナリカウンタ12cのカウント値と、コンペアレジスタ16cが格納する比較値zとの一致を判定する。PWM制御部18は、補正用バイナリカウンタ12cのカウント値と、比較値zが一致したタイミングで論理値が切り替わるPWM信号w及びwbを生成する。すなわち、差分値tが設定値rよりも小さい場合には、インバータ制御用半導体装置10は、補正前のPWM信号に対してオン区間を補正値γ分遅らしたPWM信号w及びwbを出力する。これにより、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、相電流Wのオンデューティを一定に保ったまま、補正値γに相当する時間だけ通電タイミングをずらす。これにより、相電流Wにおける通電時間を変化させず、AD変換の時間を確保することができる。よって、PWM制御に悪影響を与えずにAD変換の時間を確保することができる。
なお、差分値tが設定値rよりも小さい場合の処理について、比較演算部20は、設定値rから差分値tを引いた値を補正値βとして出力タイミング制御バッファ11bに格納し(補正値β=設定値r−差分値t)、出力タイミング制御バッファ11cに「0」を格納してもよい。この場合、補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して出力タイミング制御バッファ11bが格納する補正値β分時間的に進んだカウント値をカウントする。セレクタ13bは、比較演算部20の制御により、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。比較部14bは、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値と、コンペアレジスタ16bが格納する比較値yとの一致を判定する。PWM制御部18は、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値と、比較値yが一致したタイミングで論理値が切り替わるPWM信号v及びvbを生成する。すなわち、インバータ制御用半導体装置10は、補正前のPWM信号に対してオン区間を補正値β分進ませたPWM信号v及びvbを出力してもよい。
さらに、差分値sが設定値rよりも小さい場合の処理について、比較演算部20は、設定値rから差分値tを引いた値を補正値βとして出力タイミング制御バッファ11bに格納し(補正値β=設定値s−差分値t)、出力タイミング制御バッファ11aに「0」を格納してもよい。この場合、補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して出力タイミング制御バッファ11bが格納する補正値β分時間的に遅れたカウント値をカウントする。セレクタ13bは、比較演算部20の制御により、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。比較部14bは、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値と、コンペアレジスタ16bが格納する比較値yとの一致を判定する。PWM制御部18は、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値と、比較値yが一致したタイミングで論理値が切り替わるPWM信号v及びvbを生成する。すなわち、インバータ制御用半導体装置10は、補正前のPWM信号に対してオン区間を補正値β分遅らせたPWM信号v及びvbを出力してもよい。
なお、V相のPWM信号に対して補正を行う場合は、2相の電流値に対するAD変換に必要な2つの期間の補正のための処理の順序に応じて、第1の補正後の期間に対して第2の補正を行う必要がある。具体的には、差分値sが設定値rより小さい場合に、V相のPWM信号に対して補正を行うと、補正後のV相のPWM信号の立上りとW相のPWM信号の立上りの差分を差分値tとして求める必要がある(差分値t=比較値z’−比較値y’−補正値β)。よって、処理を簡略化するためにも、3相のPWM信号のうち、最もオン区間の長いU相のPWM信号と、最もオン区間の短いW相のPWM信号とに補正を行うことが好ましい。すなわち、U相及びW相に補正を行うことで、2つのAD変換に必要な期間に対する補正を独立して行うことができ、比較演算部20の処理量を低減することができる。
なお、上記説明において、所定のカウント周期でAD変換部4、位置推定部26及び補正制御部6の次のカウント周期の比較値設定の動作を説明し、所定のカウント周期の次のカウント周期で制御部5のPWM信号生成の動作を説明したが、各カウント周期において、制御部5は、前周期で設定された比較値に基づきPWM信号の生成を行い、AD変換部4、位置推定部26及び補正制御部6は、次のカウント周期の比較値設定を行う。
ここで、相電流Uの通電タイミングを早めた場合、U相に通電する電流のAD変換の開始タイミングの変更が必要となる。図3は、信号u、v及びwのタイミングと、AD変換開始のタイミングとを示す図である。図3に示すように、比較演算部20の出力タイミングに合わせて、AD変換を開始すればよい。例えば、比較演算部20は、補正が行われない場合のAD変換の開始のタイミングに対して、算出した補正値αの値に基づきAD変換の開始のタイミングを変更し、変更したタイミングの制御信号をAD変換部4に送り、AD変換部4のAD変換の開始のタイミングを制御すればよい。
また、補正値α及びβが大きすぎると、PWMのオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越える場合がある。以下、オーバーフラグ及びエラーフラグの設定動作について説明する。
図4は、PWM信号の出力の例を示す図である。図4(A)は、補正が行われない場合のPWM信号の一例を示す図である。図4(B)及び図4(E)は、補正によりオン区間を遅らしたPWM信号の一例を示す図である。図4(C)及び図4(D)は、補正によりオン区間を進ませたPWM信号の一例を示す図である。例えば、図4(A)、図4(C)及び図4(D)に示すPWM信号は、上述したU相のPWM信号に対応し、図4(B)及び図4(E)に示すPWM信号は、上述したW相のPWM信号に対応する。なお、説明の便宜上、図4に示す3つのカウント周期のうち最初のカウント周期を第1周期、2番目のカウント周期を第2周期、3番目のカウント周期を第3周期と記す。すなわち、図4(B)〜図4(E)では、第2周期においてPWM信号のオン区間の補正が行われる。また、図4において実線の三角波50は、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に基づくキャリア信号であり、破線の三角波51は、補正用バイナリカウンタ12aのカウント値に基づくキャリア信号であり、破線の三角波52は、補正用バイナリカウンタ12cのカウント値に基づくキャリア信号である。
図4(A)に示すように、補正が行われない場合には、比較演算部20は、オーバーフラグ及びエラーフラグを設定しない(オーバーフラグ=「0」、エラーフラグ=「0」)。
図4(B)に示すように、補正値γが大きすぎるため、第2周期のPWMのオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期T10の範囲を超えてしまう場合、比較演算部20は、オーバーフラグをオーバーフラグレジスタ22に設定する(オーバーフラグ=「1」、エラーフラグ=「0」)。
図4(C)に示すように、補正値αが大きすぎるため、第2周期のPWMのオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を超えてしまう場合、比較演算部20は、オーバーフラグをオーバーフラグレジスタ22に設定する(オーバーフラグ=「1」、エラーフラグ=「0」)。
このようにオーバーフラグレジスタ22にオーバーフラグを設定することで、CPUは、補正状態を判別でき、これに応じた後処理が可能となる。
オーバーフラグがセットされているときは、PWM信号のオン区間は、通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越えている。すなわち、出力されるPWM信号のパルス幅が通常とるべきキャリア信号の範囲を越えていることを示す。そこで、比較演算部20によってセットされたオーバーフラグをCPUなどにより監視し、キャリア信号の次のカウント周期での補正を制限すれば良い。例えば、図4(B)に示すように、PWMのオン区間が次のカウント周期にずれこんでいる信号については、ずれこんでいる相の次のカウント周期での補正を制限すればよい。
さらに、補正値α、βが大きすぎると、PWMのオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越えて、且つ前後のPWMのオン区間と重なる場合がある。
図4(D)に示すように、補正値αが大きすぎるため、第2周期のPWMのオン区間が、通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を超えて、且つ直前の第1周期のPWMのオン区間と重なる場合、比較演算部20は、エラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定する。
図4(E)に示すように、第3周期のPWMのオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を越えない場合でも、第2周期の補正値γが大きすぎるために、第2周期のPWMのオン区間と第3周期のPWMのオン区間とが重なる場合、比較演算部20は、エラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定する。
このようにエラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定することで、CPUは、補正状態を判別でき、これに応じた後処理が可能となる。
エラーフラグレジスタ23にエラーフラグがセットされているときは、出力されるPWM信号のデューティ比において、キャリア信号のある周期において設定していた通りのデューティが出ていないことを示す。そこで、比較演算部20によってセットされたエラーフラグをCPUなどにより監視し、キャリア信号の次のカウント周期でPWM信号のデューティ比を調整すればよい。例えば、オンデューティが一時的に短くなった信号については、次のカウント周期でその短くなった分を補償するようにオンデューティを長くすればよい。
また、図4(D)に示すように、前周期のPWM信号とオン区間が重なる場合には、以下の処理を行ってもよい。
比較演算部20は、所定のカウント周期のU相のPWM信号のオン区間が直前のカウント周期のU相のPWM信号のオン区間と重なると判定した場合(エラーフラグ=「1」)に、算出した設定値rと差分値sとの差分を補正値βとして出力タイミング制御バッファ11bに格納し、出力タイミング制御バッファ11aに「0」を格納してもよい。この場合、補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して補正値β分を減算したカウント値をカウントし、セレクタ部13bは、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。すなわち、インバータ制御用半導体装置10は、U相のPWM信号のオン区間を進める補正を行わず、V相のPWM信号のオン区間を遅らす補正を行う。これにより、U相のPWM信号のオン区間が直前のカウント周期のオン区間と重なることを回避することができる。なお、比較演算部20は、図4(C)に示すようにU相のPWM信号のオン区間が直前の通常用バイナリカウンタ15のカウント周期にずれ込む場合(オーバーフラグ=「1」)に、同様の処理を行ってもよい。
また、比較演算部20は、図4(B)に示すようにW相のPWM信号のオン区間が直後の通常用バイナリカウンタ15のカウント周期にずれこむ場合(又は所定のカウント周期のW相のPWM信号のオン区間が直後のカウント周期のW相のPWM信号のオン区間と重なる場合)に、設定値rと差分値tとの差分を補正値βとして出力タイミング制御バッファ11bに格納し、出力タイミング制御バッファ11cに「0」を格納してもよい。この場合、補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して補正値β分を加算したカウント値をカウントし、セレクタ部13bは、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。すなわち、インバータ制御用半導体装置10は、W相のPWM信号のオン区間を遅らす補正を行わず、V相のPWM信号のオン区間を進める補正を行う。これにより、W相のPWM信号のオン区間が直後のカウント周期のオン区間と重なることを回避することができる。
さらに、比較演算部20は、所定のカウント周期のU相のPWM信号のオン区間が直前のカウント周期のU相のPWM信号のオン区間と重なると判定した場合に、算出した設定値rと差分値sとの差分を補正値αと補正値βとに分割して出力タイミング制御バッファ11a及び11bに格納してもよい(設定値r−差分値s=補正値α+補正値β)。この場合、補正用バイナリカウンタ12aは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して補正値α分を加算したカウント値をカウントし、補正用バイナリカウンタ12bは、通常用バイナリカウンタ15のカウント値に対して補正値β分を減算したカウント値をカウントし、セレクタ部13aは、補正用バイナリカウンタ12aのカウント値を選択し、セレクタ部13bは、補正用バイナリカウンタ12bのカウント値を選択する。すなわち、インバータ制御用半導体装置10は、U相のPWM信号のオン区間が直前のカウント周期のU相のPWM信号のオン区間と重ならない程度にU相のPWM信号のオン区間を進める補正を行い、AD変換に必要な時間が確保できるようにV相のPWM信号のオン区間を遅らす補正を行ってもよい。さらに、同様に、比較演算部20は、所定のカウント周期のW相のPWM信号のオン区間が直後のカウント周期のW相のPWM信号のオン区間と重なると判定した場合に、算出した設定値rと差分値tとの差分を補正値βと補正値γとに分割して出力タイミング制御バッファ11b及び11cに格納してもよい(設定値r−差分値t=補正値β+補正値γ)。
以上より、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、専用のハードウエアにより相電流の通電タイミングの補正を行う。また、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、相電流のオンデューティを一定に保ったまま、出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cに格納される補正値に相当する時間だけ通電タイミングをずらす。これにより、相電流における通電時間を変化させず、AD変換の時間を確保することができる。よって、PWM制御に悪影響を与えずにAD変換の時間を確保することができる。すなわち、図6に示したような従来のインバータ制御におけるキャリア信号の後半周期に行われていた、比較値x、y及びzの再設定を行う為の割り込み処理をなくすことができる。これにより、CPUリソースを回転子の位置推定演算に集中させることができる。例えば、キャリア信号の後半周期に発生さしていた割込み処理をなくすことにより、約100μsの処理が削減される。このため、特にCPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定演算の精度を高めることが可能となる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、3相のPWM信号のうち、最もオン区間の長いU相のPWM信号と、最もオン区間の短いW相のPWM信号とに補正を行う。これにより、2つのAD変換に必要な期間に対する補正を独立して行うことができ、比較演算部20の処理量を低減することができる。
また、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、PWM信号のオン区間が通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を超えてしまう場合、オーバーフラグをオーバーフラグレジスタ22に設定する。これにより、CPU等は、オーバーフラグを参照することにより、補正状態を判別し、補正状態に応じた後処理を行うことができる。例えば、オーバーフラグをCPUにより監視し、次のカウント周期でPWM信号の補正を制限する。具体的には、PWMのオン区間が次のカウント周期にずれこんでいる信号については、ずれこんでいる相の次のカウント周期での補正を制限すればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、PWM信号のオン区間が、通常用バイナリカウンタ15のカウント周期の範囲を超え、且つ直前のカウント周期のPWM信号のオン区間と重なる場合、エラーフラグをエラーフラグレジスタ23に設定する。これにより、CPU等は、エラーフラグを参照することにより、PWM信号のオン区間の重なりを判別し、これに応じた後処理を行うことができる。例えば、エラーフラグをCPUにより監視し、次のカウント周期でPWM信号のデューティ比を調整すればよい。具体的には、オンデューティが一時的に短くなった信号については、次のカウント周期でその短くなった分を補償するようにオンデューティを長くすればよい。
また、本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置10は、補正により、所定のPWM信号のオン区間が、他のカウント周期の所定のPWM信号のオン区間と重なる場合には、他のPWM信号のオン区間をずらす。これにより、PWM信号のオン区間の重なりを低減することができる。
なお、上記説明において、制御部5は、3つの出力タイミング制御バッファ11a、11b及び11cと、3つの補正用バイナリカウンタ12a、12b及び12cと、3つのセレクタ部13a、13b及び13cとを備えるとしたが、2相の相電流の通電タイミングのみを調整するのであれば、それぞれ2つを備えればよい。例えば、相電流U及びWの通電タイミングのみ調整するのであれば、出力タイミング制御バッファ11b、補正用バイナリカウンタ12b及びセレクタ部13bは備えていなくてもよい。
また、本発明は、上記の実施の形態に限定されるものではなく、3相モータ以外のモータの制御に適用できることは言うまでもない。
(第2の実施の形態)
本発明の第2の実施の形態では、空調機に上述したインバータ制御用半導体装置を適用した実施例について説明する。
図5は、本発明の第2の実施の形態に係る空調機の構成を示す図である。図5に示す空調機200は、エアコン室内機30と、エアコン室外機40とを備える。
室外機40は、圧縮機45と、熱交換器41と、ファン42と、四方弁44と、膨張弁43と、同期モータ制御装置46とを備える。圧縮機45は、冷媒を圧縮する。圧縮機45は、モータ3を備える。熱交換器41は、圧縮した冷媒を断熱膨張させて吸熱させる、又は圧縮して発熱した冷媒を放熱させる。ファン42は、熱交換器41の熱を室外へ放熱する。四方弁44は、冷媒の流れを制御する。膨張弁43は、冷媒を制御する。同期モータ制御装置46は、圧縮機45の駆動源であり、圧縮機45を駆動するモータ3の駆動制御を行う。同期モータ制御装置46は、インバータ2と、電流検出器1と、インバータ制御用半導体装置10と、交流電圧源25と、コンバータ24とを備える。例えば、インバータ制御用半導体装置10は、第1の実施の形態において説明したインバータ制御用半導体装置である。インバータ制御用半導体装置10は、AD変換部4と、制御部5とを備える。なお、インバータ2、電流検出器1、インバータ制御用半導体装置10、交流電圧源25、及びコンバータ24の構成は、上述した第1の実施の形態と同様であり詳細な説明は省略する。
エアコン室内機30は、空調を行う室内に設置され、熱交換器31と、ファン32を備える。熱交換器31は、圧縮機45が圧縮した冷媒を断熱膨張させて吸熱させる、又は圧縮して発熱した冷媒を放熱させる。ファン32は、熱交換器31の熱を室内へ放熱する。
以上より、本発明の第2の実施の形態に係る空調機200は、インバータ制御用半導体装置10を含む同期モータ制御装置46を空調機の駆動源として使用し、AD変換部4にて相電流を検出し、制御部5にてPWM信号を補正する。これにより、PWM信号のパルスの補正に係るCPUの割り込み処理をなくすことができ、CPUの処理速度を向上させることなく、回転子の位置推定の精度を向上させることができる。これにより、モータ電流センサレス駆動の安定した空調機を実現することができる。
本発明は、モータを駆動するインバータの制御を行う半導体装置、及びモータ装置に適用でき、特に、空調機に用いられるブラシレスモータ等の高効率の電動機の駆動装置に適用できる。
本発明の第1の実施の形態に係るインバータ制御用半導体装置を含むモータ装置の構成を示す図である。 キャリア信号と相電流U、V及びWのPWM制御との関係の一例を示す図である。 AD変換開始タイミングの補正を示す図である。 キャリア信号とPWM制御との関係の別例を示す図である。 本発明の第2の実施の形態に係る空調機の構成を示す図である。 従来のモータ駆動装置に係るキャリア信号と相電流U、V及びWのPWM制御との関係を示す図である。
符号の説明
1 電流検出器
2 インバータ
3 モータ
4 AD変換部
5 制御部
6 補正制御部
10 インバータ制御用半導体装置
11a 出力タイミング制御バッファ(U相)
11b 出力タイミング制御バッファ(V相)
11c 出力タイミング制御バッファ(W相)
12a 補正用バイナリカウンタ(U相)
12b 補正用バイナリカウンタ(V相)
12c 補正用バイナリカウンタ(V相)
13a、13b、13c セレクタ部
14a、14b、14c 比較部
15 通常用バイナリカウンタ
16a、16b、16c コンペアレジスタ
17a、17b、17c コンペアレジスタバッファ
18 PWM制御部
19 差分算出部
20 比較演算部
21 AD変換時間格納レジスタ
22 オーバーフラグレジスタ
23 エラーフラグレジスタ
24 コンバータ
25 交流電圧源
26 位置推定部
30 室内機
31 熱交換器
32 ファン
40 室内機
41 熱交換器
42 ファン
43 膨張弁
44 四方弁
45 圧縮機
46 同期モータ制御装置
100 モータ装置
200 空調機

Claims (11)

  1. N相モータを駆動するインバータ回路の制御を行うN相のパルス幅変調信号を生成する半導体装置であって、
    前記N相のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値であり、前記各パルス変調信号に対応するN個の値を保持する第1のレジスタと、
    前記各パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値であり、前記各パルス幅変調信号に対応するN個の補正値を保持する補正用バッファと、
    カウント周期毎に、第1のカウント値から第2のカウント値まで所定の時間毎にアップカウントを行い、前記第2のカウント値までアップカウントを行った後、前記第2のカウント値から前記第1のカウント値まで所定の時間毎にダウンカウントを行う第1のカウンタと、
    前記N相のパルス幅変調信号にそれぞれ対応し、前記第1のカウンタのカウント値に対して、対応する前記補正値分時間的に進んだ、又は遅れた値をカウントするN個の第2のカウンタと、
    対応する前記パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、対応する前記パルス変調信号のアクティブとなる区間の補正を行う場合に対応する前記第2のカウンタのカウント値を選択するN個のセレクタと、
    前記各セレクタにより選択された前記第1のカウンタ又は前記第2のカウンタのカウント値と、対応する前記第1のレジスタが保持する値とが一致するか否かを判定するN個の比較手段と、
    前記比較手段が一致すると判定したタイミングで論理値が切り替わる前記N相のパルス幅変調信号を生成するパルス幅変調制御手段とを備える
    ことを特徴とする半導体装置。
  2. 前記半導体装置は、さらに、
    前記インバータ回路の電流値をデジタル信号に変換するAD変換手段と、
    前記AD変換手段が変換したデジタル信号に基づき、前記N相のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を演算する演算手段とを備え、
    前記第1のレジスタは、前記演算手段が演算した前記N相のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値を保持し、
    前記補正は、前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理の時間を確保するための補正である
    ことを特徴とする請求項1記載の半導体装置。
  3. 前記N相のパルス幅変調信号は、
    第1のパルス幅変調信号と、
    前記第1のパルス幅変調信号の直前及び直後のいずれか一方で論理値が変更される第2のパルス幅変調信号とを含み、
    前記第1のレジスタは、
    前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第1の値と、
    前記第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第2の値とを保持し、
    前記半導体装置は、さらに、
    前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理に要する時間に対応する値を保持する第2のレジスタと、
    前記第1の値と、前記第2の値との差分値を算出する差分算出手段と、
    前記差分値と、前記第2のレジスタが保持する値とを比較し、前記差分値が前記第2のレジスタが保持する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが保持する値と前記差分値との差分を算出し、算出した差分を前記補正値として前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記補正用バッファに保持し、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記セレクタに前記第2のカウンタのカウント値を選択させる比較演算手段とを備える
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
  4. 前記比較演算手段は、前記差分値が前記第2のレジスタが保持する値より大きい場合に、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記補正用バッファに「0」を保持し、前記第1のパルス幅変調信号又は前記第2のパルス幅変調信号に対応する前記セレクタに前記第1のカウンタのカウント値を選択させる
    ことを特徴とする請求項3記載の半導体装置。
  5. 前記半導体装置は、さらに、
    前記補正が行われたパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が、前記第1のカウンタの前記カウント周期の範囲を越えるか否かを判定し、前記補正が行われたパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が、前記第1のカウンタの前記カウント周期の範囲を越える場合に、第1のフラグを設定する第1のフラグ制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項2、3又は4記載の半導体装置。
  6. 前記半導体装置は、さらに、
    前記パルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該パルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なるか否かを判定し、前記パルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該パルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なる場合に、第2のフラグを設定する第2のフラグ制御手段を備える
    ことを特徴とする請求項2、3、4又は5記載の半導体装置。
  7. 前記比較演算手段は、算出した前記第2のレジスタが保持する値と前記差分値との差分に基づき、前記AD変換手段がデジタル信号への変換処理を開始するタイミングを制御する
    ことを特徴とする請求項3〜6のいずれか1項に記載の半導体装置。
  8. 前記半導体装置は、3相モータを駆動するインバータ回路の制御を行う3相のパルス幅変調信号を生成する半導体装置であって、
    前記3相のパルス幅変調信号は、3相のパルス幅変調信号の中で最もアクティブとなる区間の広い第1のパルス幅変調信号と、3相のパルス幅変調信号の中で2番目にアクティブとなる区間の広い第2のパルス幅変調信号と、3相のパルス幅変調信号の中で最もアクティブとなる区間の狭い第3のパルス幅変調信号とを含み、
    前記第1のレジスタは、第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第1の値と、第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第2の値と、第3のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間を決定するための値である第3の値とを保持し、
    前記補正用バッファは、前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第1の補正値と、前記第3のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第3の補正値とを保持し、
    前記N個の第2のカウンタは、
    前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第1の補正値分時間的に進んだ値をカウントする第3のカウンタと、
    前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第3の補正値分時間的に遅れた値をカウントする第4のカウンタとを含み、
    前記N個のセレクタは、
    前記第1のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第1のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第3のカウンタのカウント値を選択する第1のセレクタと、
    前記第3のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第3のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第4のカウンタのカウント値を選択する第2のセレクタとを含み、
    前記半導体装置は、さらに、
    前記AD変換手段によるデジタル信号への変換処理に要する時間に対応する値を格納する第2のレジスタと、
    前記第1の値と前記第2の値との差分である第1の差分値、及び、前記第2の値と前記第3の値の差分である第2の差分値を算出する差分算出手段と、
    前記第1の差分値と、前記第2のレジスタが格納する値とを比較し、前記第1の差分値が前記第2のレジスタが格納する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが格納する値と前記第1の差分値との差分である第3の差分値を算出し、前記第3の差分値を前記第1の補正値として前記補正用バッファに格納し、前記第1のセレクタに前記第3のカウンタのカウント値を選択させ、前記第2の差分値と、前記第2のレジスタが格納する値とを比較し、前記第2の差分値が前記第2のレジスタが格納する値より小さい場合に、前記第2のレジスタが格納する値と前記第2の差分値との差分である第4の差分値を算出し、前記第4の差分を前記第3の補正値として前記補正用バッファに格納し、前記第2のセレクタに前記第4のカウンタのカウント値を選択させる比較演算手段とを備える
    ことを特徴とする請求項2記載の半導体装置。
  9. 前記補正用バッファは、さらに、前記第2のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間の補正を行うための値である第2の補正値を保持し、
    前記N個の第2のカウンタは、さらに、
    前記第1のカウンタのカウント値に対して、前記第2の補正値分時間的に遅れた値をカウントする第5のカウンタを含み、
    前記N個のセレクタは、さらに、
    前記第2のパルス幅変調信号の補正を行わない場合に前記第1のカウンタのカウント値を選択し、前記第2のパルス幅変調信号の補正を行う場合に前記第5のカウンタのカウント値を選択する第3のセレクタを含み、
    前記半導体装置は、さらに、
    前記第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なるか否かを判定する区間判定手段を備え、
    前記比較演算手段は、前記区間判定手段により第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間が直前のカウント周期の該第1のパルス幅変調信号のアクティブとなる区間と重なると判定された場合に、前記第3の差分値を前記第2の補正値として前記補正用バッファに保持し、前記第3のセレクタに前記第5のカウント値を選択させ、前記第1のセレクタに前記第1のカウント値を選択させる
    ことを特徴とする請求項8記載の半導体装置。
  10. モータの駆動制御を行うモータ駆動装置であって、
    直流電圧をN相交流電圧に変換してモータを駆動するインバータ回路と、
    前記インバータ回路の電流値を検出する電流検出手段と、
    前記インバータ回路の制御を行うN相のパルス幅変調信号を生成する請求項2〜9のいずれか1項に記載の半導体装置とを備え、
    前記AD変換手段は、前記電流検出手段が検出した電流値をデジタル信号に変換する
    ことを特徴とするモータ駆動装置。
  11. 冷媒を圧縮する圧縮機と、
    前記圧縮機が圧縮した冷媒を断熱膨張させる熱変換器と、
    前記圧縮機を駆動するモータの駆動制御を行う請求項10記載のモータ駆動装置とを備える
    ことを特徴とする空調機。
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