JP2008131722A - パワー素子過熱保護装置 - Google Patents

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Abstract

【課題】インバータを構成する複数のパワー素子に対し、パワー素子毎に過熱から有効に保護することが可能なパワー素子過熱保護装置を提供する。
【解決手段】温度推定手段が、パワー素子毎のジャンクション温度を演算により推定し、過熱異常判定手段が、各パワー素子のジャンクション温度Tjと許容動作温度Tjmaxとを比較し、パワー素子の何れかのジャンクション温度Tjが許容動作温度Tjmaxに比べてより高いとき、パワー素子毎に過熱異常信号Bを出力する。この過熱異常信号Bにより、モータ8への電力供給が遮断される。これにより、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、パワー素子であるIGBTおよびダイオードの過熱を素子毎に保護することができる。
【選択図】図1

Description

本発明は、インバータを構成するパワー素子を過熱から保護することができるパワー素子過熱保護装置に関するものであり、特に、負荷であるモータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、IGBT(Insulated Gate Bipolar Transistor)およびダイオード等を過熱から保護することができるパワー素子過熱保護装置に関するものである。
直流を所望の交流に変換するインバータを用いて、PWM(Pulse Width Modulation)制御によって負荷例えば、モータを駆動する駆動装置として、図8に示すように、モータ制御装置101が知られている。図8は、従来のモータ制御装置を示す制御ブロック図である。モータ制御装置101は、平滑用コンデンサ2、DC−AC電力変換器(以下、インバータという。)3、モータ制御部4および電流検出器5,6,7を備える。モータ制御装置101は、例えば、3相用モータ制御装置であり、上下直列の3つのアームを構成するIGBTを交互にオン・オフ制御することにより、直流電源からモータ8に3相の交流電力を供給し、モータ8を制御するものである。
平滑用コンデンサ2は、3相の交流電源(図示せず)の出力を全波整流回路(図示せず)によって整流して直流電力に変換し、この直流電力を平滑してインバータ3に出力する。
インバータ3は、例えば、3相電圧形インバータであり、半導体スイッチング素子(以下、スイッチング素子という。)例えば、IGBTを3相のブリッジ接続すると共に、各IGBTと逆並列に還流ダイオード(以下、ダイオードという。)を接続して構成される。ここで、IGBT又はダイオードのようなパワーエレクトロニクス用半導体素子をパワー素子という。インバータ3は、直流の入力電力をスイッチング制御してUVW3相の交流電力に変換し、その変換出力によって3相のモータ8を駆動する。
また、インバータ3の出力電流例えば、U相の出力電流Iuが正であるとき、U相のP側パワーモジュールでは、IGBT(Q1)に出力電流Iuに等しいコレクタ電流Icが流れ、N側パワーモジュールでは、ダイオード(D4)に前記出力電流値Iuと同一の電流が流れる。逆に、U相の出力電流Iuが負であるとき、U相のP側パワーモジュールは、ダイオード(D1)に同一の電流が流れ、N側パワーモジュールには、IGBT(Q4)に同一の電流が流れる。
電流検出器5,6,7は、例えば、磁電変換素子であるホール素子を利用して、被測定電流を非接触で検出するセンサであり、モータ用ステータのUVW各相の巻線に実際に流れる電流信号(以下、電流フィードバック信号という。)Iu,Iv,Iwをそれぞれ検出し、モータ制御部4に出力する。
モータ制御部4は、電流制御器9、PWM変換器10およびゲートドライブ回路11を備える。以下、説明を簡単にするために、U相の制御について説明する。以下の説明は、V,W各相についても同様である。モータ制御部4は、モータ8へのU相の電流指令信号I*uと電流フィードバック信号Iuとを入力し、電流指令信号I*uと電流フィードバック信号Iuとの電流偏差がゼロになるように電流制御してモータ8を制御する。
電流制御器9は、U相の電流指令信号I*uと電流フィードバック信号Iuとを入力し、電流指令信号I*uと電流フィードバック信号Iuとの電流偏差がゼロになるように電流制御し、電圧指令信号V*uをPWM変換器10に出力する。
PWM変換器10は、電圧指令信号V*uとキャリア周波数信号(図示せず)とを入力し、例えば、電圧指令信号V*uと三角波形のキャリア周波数信号とを比較し、“1”又は“0”の信号に変換する。すなわち、U相の電圧指令信号V*uがキャリア周波数信号に比べてより大きいとき“1”の信号を、等しいとき又は小さいとき“0”の信号を、それぞれゲートドライブ回路11に出力する。
ゲートドライブ回路11は、前記“1”又は“0”の信号を入力し、“1”又は“0”の信号に基づいてIGBTのゲートをオン・オフ制御するための正の電圧又はゼロの電圧をそれぞれ生成し、IGBT(Q1)のゲートに出力する。実際上、前記“1”又は“0”の信号は、反転器(図示せず)を経て、もう一つのゲートドライブ回路(図示せず)に同時に入力され、これらのゲートドライブ回路11によってIGBT(Q1)のゲートおよびIGBT(Q4)のゲートに出力され、U相のIGBTが交互にオン・オフ制御され、その出力がモータ8にU相電流として供給される。V,W各相についても同様に供給される。
以上により、出力電流Iu,Iv,Iwがモータ8に供給され、モータ8が制御される。この場合、パワー素子は、電力の変換・制御動作によって電力損失を生じ、この電力損失によって発熱し、パワー素子の温度が上昇する。
従来、インバータ3を構成するパワー素子の過熱を保護するためのパワー素子保護装置として、モータ制御装置101に対する装置負荷率を演算し、パワー素子の過熱を保護する装置が知られている。この保護装置は、パワー素子がスイッチング素子の場合、通常の運転時におけるスイッチング素子のジャンクション温度と装置負荷率とに基づいて、通常時のジャンクション温度に装置負荷率を乗算し、得られる乗算結果のジャンクション温度と許容動作温度とを比較演算し、演算の結果により、ジャンクション温度がスイッチング素子の許容動作温度に比べてより高いとき、モータ8への電力を遮断してパワー素子の過熱を保護する。
また、スイッチング素子の近傍に取り付けたヒートシンク上に装着した温度検出器によって、ヒートシンクの温度を計測し、その温度からスイッチング素子の温度を演算し、パワー素子の過熱を保護する装置が知られている。
また、IPM(Intelligent Power Module)(図示せず)のように、IPM内部に温度検出器を埋め込んでスイッチング素子の過熱を保護する装置が知られている。この装置は、温度検出器例えば、サーミスタをスイッチング素子のジャンクション部に直に付けることができないため、それをジャンクション近傍に装着し、ジャンクション近傍の温度を計測して、その温度からスイッチング素子の温度を演算し、パワー素子の過熱を保護する。
さらに、モータがロックしているときに、スイッチング素子の過熱を保護する保護装置として、特許文献1に示すものが知られている。この装置は、図9に示すように、モータに通電するスイッチング素子の電力損失Ltから飽和温度Tjgoalを算出し、これと温度時定数τに基づいて現ジャンクション温度Tjnowを算出し、現ジャンクション温度Tjnowの温度上限値Tjmaxに対する偏差Error=Tjmax−Tjnowを算出する。モータロック時に、トルク目標値=トルク要求値×Ktの係数Ktを定める。すなわち、Errorに比例してKtを定め、これによりトルク目標値を定める。Errorが設定値K3以上のときにはKt=1に定め、Errorに比例して算出したKtが1を越えるときは1に矯正し、Error≦0ではKt=0に定める。
以下、具体的に説明する。図9に示す「トルク制限用のKtを算出」のステップ(67)において、まず、通電相の電気コイルに給電するドライバのスイッチング素子であるIGBTのチョッピング損失Qchop[W]を、次のように算出する(81)。
Qchop=電流I[A]×電圧V[V]×係数Kc
ここで、Kcは、チョッピング係数(チョッピング周波数、電流の立ち下り速度および立ち上り速度から算出する。)とする。
次に、IGBTの通電時の損失すなわちON損失Qon[W]を、次のように算出する(82)。
Qon=Vceo×電流I[A]+Ron×電流I2[A]
ここで、Vceoは、IGBTのコレクタ/エミッタ間の0アンペア時のオン電圧、Ron は、IGBTのオン抵抗とする。
次に、通電相(一相)の電気コイルに給電する何れかのドライバの総電力損失Lt[W]を、次のように算出する(83)。
Lt=(Qchop+Qon+Dloss×2)×安全係数
ここで、Dlossはダイオダイオード損失とする。
次に、現ジャンクション温度Tjnow[°C]を、次のように推定する(84)。
Figure 2008131722
Tjgoal=Lt×熱抵抗[°C/W]
ここで、Tjgoalは、電流I[A]を流し続けた場合のIGBTのジャンクションの飽和温度[°C]とする。
次に、現ジャンクション温度TjnowからIGBTの温度上限値Tjmaxまでの温度差Error=Tjmax−Tjnowを算出する(85)。このErrorは温度余裕代である。この温度差Errorが設定値K3以上である場合、温度余裕代が大きいので、トルク補正係数Ktは1とする(86,87)。温度差Errorが0以下である場合、現ジャンクション温度Tjnowが温度上限値Tjmax以上と推定されるので、トルク補正係数Ktは0(通電停止)とする(88,89)。温度差Errorが0より高く、設定値K3以下である場合、Kt=Error×K4(K4は係数)を算出し、算出値が1を越えるときにはKtを1に書き替える(90〜92)。
特開2001−69787号公報
しかしながら、パワー素子の過熱を保護するために、モータ制御装置に対し装置負荷率を演算し、パワー素子の過熱を保護する装置は、モータ制御装置全体の過熱を演算することから、パワー素子であるスイッチング素子およびダイオードの平均的な過熱しか分からない。したがって、この装置では、ジャンクション温度をパワー素子毎に的確に検出することができない。よって、この装置は、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、パワー素子毎に過熱を保護することができないという問題が生じる虞がある。何故ならば、実際上、パワー素子が例えばIGBTの場合、その熱時定数はおよそ100ミリ秒であり小さいため、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するときには、当該相のIGBTのコレクタに電流が流れると、IGBTのジャンクション温度はその流れる電流に応答して変化する。このため、実効電流が流れるときの温度よりも高くなってパワー素子が過熱することになり、過熱の演算が的確になされないからである。
また、ヒートシンク上に装着した温度検出器によって温度を計測し、パワー素子の過熱を保護する装置は、各パワー素子の急激な温度上昇を検出することができない。したがって、この装置では、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、各パワー素子の過熱をパワー素子毎に的確に保護することができないという問題が生じる虞がある。
また、IPMのように、パワーモジュール内部に温度検出器を埋め込むことにより過熱を保護する装置は、前記温度検出器による場合と同様に、各パワー素子の急激な温度上昇を検出することができない。したがって、この装置では、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、各パワー素子の過熱をパワー素子毎に的確に保護することができないという問題が生じる虞がある。
さらに、図9に示したパワー素子過熱保護装置は、モータに通電するスイッチング素子の電力損失Ltから飽和温度を算出し、これと温度時定数τに基づいて現ジャンクション温度を算出し、現ジャンクション温度の、温度上限値に対する温度差(エラー又は偏差)を算出する。モータロック時には、トルク目標値=トルク要求値×Ktの係数Ktを定める。すなわち、Errorに比例してKtを定め、これによりトルク目標値を定める。温度差Errorが0以下であると、現ジャンクション温度が温度上限値以上と推定されるので、トルク補正係数Ktは0(通電停止)としている。この装置は、IGBTのチョッピング損失および通電時の損失、さらにダイオード損失に基づいて演算した総電力損失と熱抵抗とからIGBTのジャンクションの飽和温度を演算し、これと温度時定数とに基づいて現ジャンクション温度を算出する。しかし、この総電力損失は、スイッチング素子およびダイオードからなる各相のドライバ全体の熱損失を示している。したがって、この熱損失から演算されるジャンクションの飽和温度はスイッチング素子およびダイオードそれぞれ個別のジャンクションの飽和温度を推定しているものでない。つまり、このジャンクションの飽和温度と温度時定数とに基づいて演算される現ジャンクション温度は、各スイッチング素子およびダイオードのジャンクション温度を個別的に示すものではない。したがって、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、現ジャンクション温度がパワー素子の許容動作温度に比べてより大きい場合は、スイッチング素子のゲートを遮断しても、スイッチング素子およびダイオードの過熱を各素子毎に保護することができないという問題が生じる虞がある。
そこで、本発明は、このような従来の問題点に鑑みてなされたもので、インバータを構成する複数のパワー素子に対し、パワー素子毎に過熱から有効に保護することが可能なパワー素子過熱保護装置を提供することを目的とする。
上記目的を達成するために、本発明は、直流を所望の交流に変換するインバータを用いて、PWM制御によって負荷を駆動する駆動装置に備えられ、インバータを構成する複数のパワー素子の過熱を保護するパワー素子過熱保護装置において、複数のパワー素子を被装するケースの温度を検出する温度検出手段と、パワー素子毎のジャンクション温度とケース温度との間の温度差の上昇分を演算し、得られる温度差の上昇分にケースの温度を加算し、演算の結果により、パワー素子毎のジャンクション温度を推定する温度推定手段と、パワー素子毎のジャンクション温度と、パワー素子毎の許容動作温度とをそれぞれ比較演算し、演算の結果により、ジャンクション温度が許容動作温度に比べて高いとき、パワー素子が過熱状態であると判定し、過熱異常信号を出力する過熱異常判定手段と、過熱異常判定手段から少なくとも1つの過熱異常信号を入力した場合には、パワー素子のゲートを遮断する電力遮断信号を出力する電力遮断信号出力手段と、を備えることを特徴とする。
さらに、好適には、負荷がモータであることを特徴とする。さらに、好適には、パワー素子がスイッチング素子およびダイオードであることを特徴とする。さらに、好適には、スイッチング素子がIGBTであることを特徴とする。
以上説明したように、本発明によれば、インバータを構成する複数のパワー素子に対し、パワー素子毎に過熱から有効に保護することが可能なパワー素子過熱保護装置を実現することができる。例えば、負荷がモータである場合は、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するときに、インバータを構成する複数のパワー素子に対し、パワー素子毎に過熱から保護することができる。
以下、本発明を実施するための最良の形態について、図面を参照して説明する。
〔構成〕
図1は、本発明に係るパワー素子過熱保護装置をモータ制御装置に適用した場合の例を示す制御ブロック図である。モータ制御装置1は、平滑用コンデンサ2、インバータ3、モータ制御部4、電流検出器5,6,7、温度検出器12およびパワー素子過熱保護装置13を備える。平滑用コンデンサ2、インバータ3、モータ制御部4、電流検出器5,6,7は、前述したので説明を省略する。インバータ3であるパワーモジュールは、以下の説明を簡単にするために、シックス・イン・ワン装置とする。すなわち、パワーモジュールは、インバータ3例えば、3相のインバータであれば、IGBT6個、およびこれらのIGBTと逆並列接続するダイオード6個を備える。
温度検出器12は、熱電変換素子例えば、サーミスタであり、パワー素子を被装するケース(図示せず)上に装着され、ケースの表面温度(以下、ケース温度という。)Tcを検出し、パワー素子過熱保護装置13に出力する。
パワー素子過熱保護装置13は、パワー素子情報K、インバータ3の出力電流I(UVW各相に対しそれぞれIu,Iv,Iwとする。)および出力電圧V(UVW各相に対しそれぞれVu,Vv,Vwとする。)、パワー素子の許容動作温度Tmax、並びにケース温度Tcを入力し、パワー素子による電力損失に基づいてパワー素子のジャンクション温度を演算し、過熱異常と判定したとき、電源遮断信号Aをモータ制御部4に出力する。
図2は、本発明に係るパワー素子過熱保護装置を示す制御ブロック図である。図3は、図2の続きを示す制御ブロック図である。パワー素子過熱保護装置13は、大きく分けて図2に示すIGBT用と、図3に示すダイオード用とを備える。
パワー素子過熱保護装置13は、IGBT用として、図2に示すように、IGBT情報設定器24、Q1〜Q6用損失推定演算器21−1〜21−6、Q1〜Q6用温度推定演算器22−1〜22−6および過熱異常判定器23−1〜23−6を備える。以下ではU相について説明するが、V,W各相についても同様である。
IGBT情報設定器24は、IGBTに関連する情報KQすなわち、IGBTのコレクタ電流に基づく飽和電圧VCE、IGBTとケースとの間の熱抵抗RQ、過渡熱時定数τQ、IGBTのスイッチング周波数fc、およびIGBTのスイッチング損失エネルギーEQを設定する。ここで、IGBTのスイッチング損失エネルギーEQは、ターンオン損失エネルギーとターンオフ損失エネルギーとの総和とする。
Q1用損失推定演算器21−1は、モータ用ステータのU相巻線に流れる出力電流Iu(これはコレクタ電流Icに等しい。以下の説明を簡単にするために、Ic>=0とする。)と、U相巻線の相電圧である出力電圧Vuと、IGBT用情報設定器24によるIGBTに関連する情報KQのうちのIGBTのコレクタ電流に基づく飽和電圧VCEと、IGBTのスイッチング周波数fcおよびIGBTのスイッチング損失エネルギーEQとを入力し、演算の結果により、得られるIGBT(Q1)の電力損失PQ1をQ1用温度推定演算器22−1に出力する。
Q1用温度推定演算器22−1は、IGBT(Q1)の電力損失PQ1と、IGBT情報設定器24によるIGBTに関連する情報KQのうちのIGBTとケースとの間の熱抵抗RQおよびIGBTの過渡熱時定数τQと、ケース温度Tcとを入力し、演算の結果により、得られるIGBT(Q1)のジャンクション温度Tj_Q1を過熱異常判定器23−1に出力する。
過熱異常判定器23−1は、比較器であり、IGBT(Q1)のジャンクション温度Tj_Q1と、IGBT許容動作温度設定器(図示せず)によるIGBTの許容動作温度TjQmaxとを入力し、IGBT(Q1)のジャンクション温度Tj_Q1とIGBTの許容動作温度TjQmaxとを比較演算し、演算の結果により、IGBT(Q1)のジャンクション温度Tj_Q1がジャンクションの許容動作温度TjQmaxに比べてより高いとき過熱異常信号Bとして“1”の信号を、又は、IGBT(Q1)のジャンクション温度Tj_Q1がジャンクションの許容動作温度TjQmaxに等しいとき又はより低いとき正常信号として“0”の信号を、それぞれ電源・遮断信号出力器31に出力する。
次に、パワー素子過熱保護装置13は、ダイオード用として、図3に示すように、ダイオード情報設定器30、D1〜D6用損失推定演算器27−1〜27−6、D1〜D6用温度推定演算器28−1〜28−6、過熱異常判定器29−1〜29−6および電源・遮断信号出力器31を備える。以下ではU相について説明するが、V,W各相についても同様である。
ダイオード情報設定器30は、ダイオードに関する情報KDすなわち、IGBTのコレクタ電流Icに対応するダイオードの順方向電圧VF、ダイオードとケースとの間の熱抵抗RF、およびダイオードの過渡熱時定数τFを設定する。
以下の説明を簡単にするために、IGBTの場合と同様に、Ic>=0とする。前述したように、ダイオード(D4)に出力電流Iu(コレクタ電流Icに等しい)が流れる。
D4用損失推定演算器27−4は、U相の出力電流Iu(コレクタ電流Icに等しい。)と、U相の出力電圧Vuと、ダイオード情報設定器30によるダイオードの順方向電圧VFとを入力し、演算の結果により、得られるダイオード(D4)の電力損失PF4をD4用温度推定演算器28−4に出力する。この場合、ダイオード(D1)および(D4)のうちダイオード(D4)が電力損失の対象となるのは、前述したように、U相の出力電流Iuがゼロ又は正であるとき、U相のP側パワーモジュールでは、IGBT(Q1)にインバータ3の出力電流であるコレクタ電流Icが流れるのに対し、N側パワーモジュールでは、ダイオード(D4)に前記出力電流と同一の電流が流れるからである。
D4用温度推定演算器28−4は、ダイオード(D4)の電力損失PF4と、ダイオード情報設定器30によるダイオードとケースとの間の熱抵抗RFおよびダイオードの過渡熱時定数τFと、ケース温度Tcとを入力し、演算の結果により、得られるダイオード(D4)のジャンクション温度Tj_F4を過熱異常判定器29−4に出力する。
過熱異常判定器29−4は、比較器であり、ダイオード(D4)のジャンクション温度Tj_F4と、ダイオード許容動作温度設定器(図示せず)によるダイオードの許容動作温度TjFmaxとを入力し、ダイオード(D4)のジャンクション温度Tj_F4とダイオードの許容動作温度TjFmaxとを比較演算し、演算の結果により、ダイオード(D4)のジャンクション温度Tj_F4がジャンクションの許容動作温度TjFmaxに比べてより高いとき過熱異常信号Bとして“1”の信号を、又は、ダイオード(D4)のジャンクション温度Tj_F4がジャンクションの許容動作温度TjFmaxに等しいとき又はより低いとき正常信号として“0”の信号を、それぞれ電源遮断信号出力路31に出力する。
コレクタ電流Icが負の場合であり、かつ他のVW相のときは、U相のときと同様に、過熱異常判定器23,29によってパワー素子のジャンクション温度とジャンクションの許容動作温度とを比較演算し、“1”又は“0”信号を電源遮断信号出力路31に出力する。
電源遮断信号出力器31は、論理制御回路例えば、論理和回路であり、過熱異常判定器23−1〜23−6又は過熱異常判定器29−4〜29−6による“1”又は“0”の信号を入力し、これらの信号のうちの何れかが“1”の信号であるとき、電源遮断信号Bである“1”の信号Aをモータ制御部4に出力する。
〔動作〕
次に、IGBTおよびダイオードの電力損失に基づいて、IGBTおよびダイオードの各ジャンクション温度を演算し、かつ過熱を判定する方法について説明する。図4は、本発明に係るパワー素子過熱保護装置におけるIGBTのジャンクション温度の処理手順とモータの制御動作とを示すフローチャートである。図5は、本発明に係るパワー素子過熱保護装置におけるダイオードのジャンクション温度の処理手順とモータの制御動作とを示すフローチャートである。図6は、図4および図5の続きを示す図である。
先ず、パワー素子がIGBT(Q1)の場合、以下ではU相について説明するが、V,W各相についても同様である。IGBTのジャンクション温度は、図4に示すように、以下の手順により演算される。先ず、インバータ3のU相の出力電流Iuを検出する(ステップS−1)。モータ用ステータのU相巻線にかかる相電圧である出力電圧Vuを検出する(S−2)。U相の出力電圧Vuに基づいてデューティDを演算する(S−3)。IGBT情報設定器24によるIGBTの飽和電圧VCE、スイッチング周波数fcおよび損失エネルギーEQを設定する(S−4)。
U相の出力電流Iu、飽和電圧VCE、デューティD、損失エネルギーEQおよびスイッチング周波数fcと後述する式(5)とに基づいて、IGBT(Q1)の電力損失PQ1を演算する(S−5)。予めIGBTの熱抵抗RQと熱時定数τQとを設定し、熱抵抗RQと熱時定数τQとに基づいてIGBTの過渡熱インピーダンスZQを演算する(S−6)。IGBT(Q1)の電力損失PQ1と過渡熱インピーダンスZQとを乗算し、演算の結果により、得られるIGBT(Q1)のジャンクションとケースとの間の温度差の上昇分(以下、ジャンクションとケースとの間の温度上昇分という。)Tj_cQ1を出力する(S−7)。また、ケース温度Tcを検出する(S−8)。
図6に示すように、IGBT(Q1)のジャンクションとケースとの間の温度上昇分Tj_cQ1にケース温度TCを加算し、演算の結果により、得られるIGBT(Q1)のジャンクション温度TjQ1を演算し、出力する(S−9)。IGBT(Q1)のジャンクション温度TjQ1とIGBTのジャンクションの許容動作温度TjQmaxとを入力し、ジャンクション温度TjQ1と許容動作温度TjQmaxとを比較する(S−10)。その結果により、ジャンクション温度TjQ1が許容動作温度TjQmaxより高いとき(S−11)、IGBT(Q1)のジャンクションが過熱状態であると判定し、過熱異常信号Bを出力する(S−12)。過熱異常信号Bを入力し、過熱異常信号Bに基づいて電源遮断信号Aを出力し、IGBT(Q1)のゲートをオン・オフ制御するゲート信号をオフ状態に切替えて電源を遮断する(S−13)。また、IGBT(Q1)のジャンクション温度TjQ1が許容動作温度TjQmaxに等しい又はより低いとき(S−11)、モータ制御装置3はモータ8を継続運転する(S−14)。
次に、パワー素子がダイオード(D4)の場合、IGBTの場合と同様に、以下ではU相について説明するが、V,W各相についても同様である。ダイオード(D4)のジャンクション温度は、図5に示すように、以下の手順により演算される。インバータ3のU相の出力電流であるIGBT(Q1)のコレクタ電流Icを検出する(ステップS−15)。コレクタ電流Icに対応するダイオードの順方向電圧VFを設定する(S−16)。前述したIGBT(Q1)の場合のデューティDと後述する式(8)とに基づいて、ダイオード(D4)のデューティ(1−D)を演算する(S−17)。
コレクタ電流Icと、ダイオードの順方向電圧VFと、ダイオード(D4)のデューティ(1−D)と、後述する式(6)とに基づいて、ダイオード(D4)の電力損失PF4を出力する(S−18)。予め、IGBTの場合と同様に、ダイオードの熱抵抗RFと熱時定数τFを設定し、熱抵抗RQと熱時定数τQとに基づいてダイオードの過渡熱インピーダンスZFを演算する(S−19)。ダイオード(D4)の電力損失PF4と過渡熱インピーダンスZFとを乗算し、演算の結果により、得られるダイオード(D4)のジャンクションとケース間の温度上昇分Tj_cF4を演算し、出力する(S―20)。また、ケース温度Tcを入力する(S−21)。
図6に示すように、ダイオード(D4)のジャンクションとケースとの間の温度上昇分Tj_cF4にケース温度Tcを加算し、演算の結果により、得られるダイオード(D4)のジャンクションの温度TjF4を演算し、出力する(S−22)。ダイオード(D4)のジャンクション温度TjF4とダイオードのジャンクションの許容動作温度TjFmaxとを入力し、ダイオード(D4)のジャンクション温度TjF4と許容動作温度TjFmaxとを比較する(S−23)。その結果により、ダイオード(D4)のジャンクション温度TjF4が許容動作温度TjFmaxより高いとき(S−24)、ダイオード(D4)が過熱状態であると判定し、過熱異常信号Bを出力する(S−12)。過熱異常信号Bを入力し、過熱異常信号Bに基づいて電源遮断信号Aを出力し、IGBT(Q1)のゲートをオン・オフ制御するためのゲート信号をオフ状態に切替えて、モータへの電力供給を遮断する(S−13)。また、ダイオードのジャンクション温度TjQ1が許容動作温度TjQmaxに等しい又はより低いとき(S−24)、モータへの電力供給を継続する(S−14)。
コレクタ電流Icが負の場合、コレクタ電流Icが正の場合におけるIGBT(Q1)の代わりにIGBT(Q4)を、ダイオード(D4)の代わりにダイオード(D1)を置き換えてジャンクション温度を演算する。
以上、U相の場合について説明したが、他のVおよびW相の場合についても同様である。つまり、V相について対象となるパワー素子はIGBT(Q2)とダイオード(D5)、W相について対象となるパワー素子はIGBT(Q3)とダイオード(D6)である。また、出力電流(コレクタ電流Icと同一)が負の場合、V相についてはIGBT(Q5)とダイオード(D2)、W相についてはIGBT(Q6)とダイオード(D3)である。
次に、ジャンクション温度を演算する手順と過熱異常の判定とについて詳細に説明する。IGBTおよびダイオードのジャンクション温度Tj_Q、Tj_Fは、一般的に知られているように、それぞれ
Tj_Q=PQ×ZQ+Tc (1)
Tj_F=PF×ZF+Tc (2)
となる。ここで、PQはIGBTの電力損失、PFはダイオードの電力損失、Tcはケース温度、ZQはIGBTの過渡熱インピーダンス、ZFはダイオードの過渡熱インピーダンスをそれぞれ示す。
IGBTおよびダイオードの過渡熱インピーダンスZQ ,ZFは、それぞれ
ZQ=ΣRiQ×{1−exp(-t/τiQ)} (3)
ZQ=ΣRiF×{1−exp(-t/τiF)} (4)
となる。ここで、RiQはIGBTの熱抵抗、RiFはダイオードの熱抵抗、τiQはIGBTの熱時定数、τiFはダイオードの熱時定数、Σはi=1からi=kまでの和をそれぞれ示す。
一方、IGBTおよびダイオードの電力損失PQ,PFは、一般的なインバータドライブにおけるPWM制御の場合、キャリア周波数1サイクル当たりの電力損失として、それぞれ
PQ=Psat+Psw=Ic×VCE×D+{Esw(on)+Esw(off)}×fc (5)
PF=Ic×VF×(1−D) (6)
と近似することができる。ここで、PsatはIGBTの定常損失、PswはIGBTのスイッチング損失、Icはコレクタ電流(これはIGBTのコレクタに流れる電流に等しい。)、VCEはIGBTの飽和電圧、DはIGBTのONデューティ、Esw(on)はIGBTのON損失エネルギー、Esw(off)はIGBTのOFF損失エネルギー、fcはキャリア周波数、VFはダイオードの順方向電圧をそれぞれ示す。
図7は、本発明に係るパワー素子過熱保護装置に関連するモータ制御装置における出力信号とデューティとの関係を示す図であり、横軸tが経過時間、縦軸DがIGBTのデューティおよびON状態をそれぞれ示す。図7(A)は、VuがU相の出力電圧、Vmaxが出力電圧Vuのピーク電圧値(片側)、VcがIGBTのゲートをオン・オフ制御するためのゲート制御信号を生成するためのキャリア周波数信号をそれぞれ示す。また、モータ制御装置1のU相の出力電圧Vuが最大値Vmaxを出力するときIGBTのデューティDをD=1とし、また、ゼロを出力するときD=0.5とし、さらに、負の最大値を出力するときD=0とする。
図7(B)は、横軸tが経過時間、縦軸がU相のP(正極)側IGBT(Q1)のON(オン)状態をそれぞれ示す。図7(C)は、横軸tが経過時間、縦軸がU相のN(負極)側IGBT(Q4)のON(オン)状態をそれぞれ示す。
IGBTのデューティDは、仮に、U相の出力電圧VuとデューティDとの関係が図7(A)に示すものとすれば、U相のP側IGBTおよびN側IGBTのデューティDup,Dunは、それぞれ
Dup=0.5×(1+Vu÷Vmax) (7)
Dun=1−Dup (8)
となる。ここで、Dup,Dunのサフィックスp,nは、U相のIGBTの正極側、負極側であることをそれぞれ示す。また、Vmaxは、出力電圧Vuのピーク電圧値(片側)を示す。
式(5)から式(8)によって、U相のパワーモジュールの電力損失は、モータ制御装置1のU相の出力電流Iuを前記コレクタ電流Icとおくと、Ic>=0のとき、P側パワーモジュールの電力損失すなわち、IGBT(Q1)の電力損失PQ_upは、式(5)と同一であり、N側パワーモジュールの電力損失すなわち、ダイオード(D4)の電力損失PF_unは、式(6)と同一である。
また、Ic<0のとき、P側パワーモジュールの電力損失すなわち、ダイオード(D1)の電力損失PF_upは、
PF_up=−Ic×VF×D (9)
となり、N側パワーモジュールの電力損失すなわち、IGBT(Q4)の電力損失PQ_unが、
PQ_un=−Ic×VCE×(1−D)+{Esw(on)+Esw(off)}×fc (10)
となる。
各パワーモジュールの電力損失を算出する場合、U相の出力電圧とそのデューティは、キャリア周波数に同期したサンプリング毎のフィードバック値を使用するか、又は指令値でも代用できる。また、U相の出力電流は、サンプリング時の電流フィードバック値である。例えば、あるサンプリング時のU相の出力電流Iu(コレクタ電流Icに相当する)、出力電圧Vu、出力電圧のピーク値(片側)Vmaxおよびスイッチング周波数fcをそれぞれ+400アンペア,+60ボルト,300ボルト,4KHzとすると、U相のP側IGBTのONデューティは、式(7)により、Dup=0.6であり、かつIc>=0であるから、U相のP側パワーモジュールの電力損失PQ_upは、式(5)により、PQ_up=920ワットとなる。
また、U相のN側パワーモジュールの損失PF_unは、式(6)により、PF_un=264ワットとなる。ここで、IGBTおよびダイオードの特性として、コレクタ電流Icが+400アンペアに対し、飽和電圧VCEを2.0ボルト、IGBTのONおよびOFF時の損失エネルギーの総和を110ミリジュール、ダイオードの順方向電圧VFを1.65ボルトとする。
ところで、前述した式(3)において、実際上、IGBTの過渡熱インピーダンス値ZQは、k=2として近似できる。一方、実際上の計算は、サンプリングにより演算される。そこで、IGBTのジャンクションとケース間の温度上昇分T(j-C)Q(n)を差分近似により、n回目と(n−1)回目のサンプリング点の間の離散値系の式に書き改める。すなわち、
T(j-C)Q(n)={AQ1×T1(n-1)+BQ1×PQ(n)}+{AQ2×T2(n-1)+BQ2×PQ(n)} (11)
となる。ここで、
AQ1=τ1Q/(T+τ1Q),BQ1=R1Q×T/(T+τ1Q)
AQ2=τ2Q/(T+τ2Q),BQ2=R2Q×T/(T+τ2Q)
とする。また、Tは、サンプリング時間を示す。
したがって、n回目サンプリング時におけるIGBTのジャンクションとケース間の温度上昇分T(j-C)Q(n)は、n回目サンプリング時のIGBTの電力損失PQ(n)と(n−1)回目サンプリング時における第1項目および第2項目の温度上昇分T1(n−1)およびT2(n−1)とが分かれば、式(11)によって演算することができる。実際上、初期条件として、(n−1)回のとき、温度上昇分T1(n−1)およびT2(n−1)がゼロと推定できるので、式(11)によって順次、IGBTのジャンクションとケースとの間の温度上昇分T(j-C)Q(n)を演算することができる。
例えば、τ1Q=0.01秒、R1Q=0.018摂氏度/ワット、τ2Q=0.1秒、R2Q=0.018摂氏度/ワット、T=0.001秒を、式(11)に代入して整理すると、以下の式になる。すなわち、
T(j-C)Q(n)={0.909×T1(n-1)+1.64×10-3×PQ(n)}+{9.09×T2(n-1)+1.78×10-4×PQ(n)}
となる。
よって、式(11)によるT(j-C)Q(n)とケース温度Tcとを式(1)に代入し、整理することによって、IGBTのジャンクション温度Tj_Qを演算することができる。したがって、他のIGBTについても同様な演算を行うことによって、モータ制御装置1のインバータ3を構成するすべてのIGBTのジャンクション温度を推定することができる。
また、ダイオードの場合のジャンクション温度上昇分T(j-C)F(n)についても、IGBTの場合と同様に、
T(j-C)F(n)={AF1×T1(n-1)+BF1×PF(n)}+{AF2×T2(n-1)+BF2×PF(n)} (12)
となる。ここで、
AF1=τ1F/(T+τ1F),BF1=R1F×T/(T+τ1F)
AF2=τ2F/(T+τ2F),BF2=R2F×T/(T+τ2F)
とする。
以上U相について説明したが、V,W相についても同様である。
以上により、本発明の実施の形態によれば、パワー素子毎のジャンクション温度を演算し、各パワー素子のジャンクション温度Tjと許容動作温度Tjmaxとを比較し、パワー素子の何れかのジャンクション温度Tjが許容動作温度Tjmaxに比べてより高いとき、パワー素子毎に過熱異常信号Bを出力し、モータ8への電力供給を遮断するようにした。これにより、モータがロック状態であるとき又は極低速で運転するとき、パワー素子であるIGBTおよびダイオードの過熱を素子毎に保護することができる。
前記実施の形態では、負荷がモータであるモータ制御装置について説明したが、これに制約されず、例えば、スパッタリング装置用電源装置のように、PWM制御によって交流電力を供給するインバータ装置にも適用することができる。
本発明に係るパワー素子過熱保護装置をモータ制御装置に適用した場合の例を示す制御ブロック図である。 本発明に係るパワー素子過熱保護装置を示す制御ブロック図である。 図2の続きを示す制御ブロック図である。 本発明に係るパワー素子過熱保護装置におけるIGBTのジャンクション温度の処理手順とモータの制御動作とを示すフローチャートである。 本発明に係るパワー素子過熱保護装置におけるダイオードのジャンクション温度の処理手順とモータの制御動作とを示すフローチャートである。 図4および図5の続きを示す図である。 本発明に係るパワー素子過熱保護装置に関連するモータ制御装置における出力信号とデューティとの関係を示す図である。 従来のモータ制御装置を示す制御ブロック図である。 従来の他のモータ制御装置におけるトルク補正係数を算出するフローチャートを示す図である。
符号の説明
1,101 モータ制御装置
2 平滑用コンデンサ
3 インバータ
4 モータ制御部
5 U相用電流検出器
6 V相用電流検出器
7 W相用電流検出器
8 モータ
9 電流制御器
10 PWM変換器
11 ゲートドライブ回路
12 温度検出器
13 パワー素子過熱保護装置
21−1〜21−6 各Q1〜Q6用損失推定演算器
22−1〜22−6 各Q1〜Q6用温度推定演算器
23−1〜23−6 過熱異常判定器
24 IGBT情報設定器
27−1〜27−6 各D1〜D6用損失推定演算器
28−1〜28−6 各D1〜D6用温度推定演算器
29−1〜29−6 過熱異常判定器
30 ダイオード情報設定器
31 電源遮断信号出力器
Q1〜Q6 IGBT
D1〜D6 ダイオード

Claims (4)

  1. 直流を所望の交流に変換するインバータを用いて、PWM制御によって負荷を駆動する駆動装置に備えられ、前記インバータを構成する複数のパワー素子の過熱を保護するパワー素子過熱保護装置において、
    前記複数のパワー素子を被装するケースの温度を検出する温度検出手段と、
    前記パワー素子毎のジャンクション温度と前記ケース温度との間の温度差の上昇分を演算し、得られる温度差の上昇分に前記ケースの温度を加算し、演算の結果により、前記パワー素子毎のジャンクション温度を推定する温度推定手段と、
    前記パワー素子毎のジャンクション温度と、前記パワー素子毎の許容動作温度とをそれぞれ比較演算し、演算の結果により、ジャンクション温度が許容動作温度に比べて高いとき、パワー素子が過熱状態であると判定し、過熱異常信号を出力する過熱異常判定手段と、
    前記過熱異常判定手段から少なくとも1つの過熱異常信号を入力した場合には、前記パワー素子のゲートを遮断する電力遮断信号を出力する電力遮断信号出力手段と、
    を備えることを特徴とするパワー素子過熱保護装置。
  2. 前記負荷がモータであることを特徴とする請求項1に記載のパワー素子過熱保護装置。
  3. 前記パワー素子がスイッチング素子およびダイオードであることを特徴とする請求項1又は2に記載のパワー素子過熱保護装置。
  4. 前記スイッチング素子がIGBTであることを特徴とする請求項3に記載のパワー素子過熱保護装置。
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