JP2008131686A - 駆動装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】電動機の回転軸線に沿った方向おける大型化を抑制することの可能な駆動装置を提供する。
【解決手段】電動機MG2と、電動機MG2の動力が伝達される経路に設けられた変速機25とを有しており、電動機MG2の出力軸17の回転状態を検出するセンサ101が設けられている駆動装置において、センサ101は、相対回転する第1の構成要素102および第2の構成要素103を有しているとともに、その第1の構成要素102および第2の構成要素103の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、第1の構成要素102を、変速機25を構成する部品100に設け、第2の構成要素103を、電動機MG2から動力が伝達される動力伝達部材29に設けたことを特徴とする。
【選択図】図1
【解決手段】電動機MG2と、電動機MG2の動力が伝達される経路に設けられた変速機25とを有しており、電動機MG2の出力軸17の回転状態を検出するセンサ101が設けられている駆動装置において、センサ101は、相対回転する第1の構成要素102および第2の構成要素103を有しているとともに、その第1の構成要素102および第2の構成要素103の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、第1の構成要素102を、変速機25を構成する部品100に設け、第2の構成要素103を、電動機MG2から動力が伝達される動力伝達部材29に設けたことを特徴とする。
【選択図】図1
Description
この発明は、電動機の動力が変速機に伝達される構成の駆動装置に関するものである。
従来、車両、産業機械、工作機械などにおいて、電動機を動力源として用いる場合、この電動機の回転状態、例えば、回転数、回転角度、停止位置などをセンサにより検出するとともに、その検出された回転状態に基づいて、前記電動機を制御する駆動装置が知られており、このような駆動装置の一例が、特許文献1に記載されている。
この特許文献1に記載されているサーボ・アクチュエータ並びにその位置検出装置においては、サーボ・アクチュエータ(サーボ・モータ)と減速ギヤ部とが同軸上に配置されている。前記サーボ・アクチュエータは、回転軸を持った回転子の周囲に、固定子が円周方向に配置されている。そして、回転子にはリング状の回転子マグネットが取り付けられている。また、回転位置センサを有する制御回路基板が設けられており、制御回路基板の開口部に前記回転軸が挿入されている。これらの回転子マグネットおよび制御回路基板は、前記サーボ・アクチュエータと、前記減速ギヤ部との間に配置されている。前記回転位置センサは、磁極位置の原点位置に磁束密度の大きさを検出する素子(ホール素子)で構成されている。なお、前記減速ギヤ部は、複数の遊星ギヤにより構成されている。そして、前記固定子への通電によって回転子が回転するとともに、回転子のトルクが前記減速ギヤ部に伝達され、回転速度が減速される。また、前記回転位置センサの信号が駆動回路に入力され、前記回転子の絶対位置が検出される。なお、この他に電動機を有する駆動装置の一例は、下記の特許文献2ないし6にも記載されている。
しかしながら、上記の特許文献1に記載されているサーボ・アクチュエータ並びにその位置検出装置においては、サーボ・アクチュエータの絶対位置を検出する構成である制御回路基板および回転位置センサが、回転軸の軸線方向に沿って配置されている。このため、これらの部品を配置するスペースが必要であり、装置全体が回転軸線方向に沿って長くなり、大型化する虞があった。
この発明は上記の事情を背景としてなされたものであり、電動機の回転軸線に沿った方向における大型化を抑制することの可能な駆動装置を提供することを目的としている。
上記の目的を達成するために、請求項1の発明は、電力が供給されて動力を発生する電動機と、この電動機の動力が伝達される経路に設けられた変速機と、前記電動機の出力軸の回転状態を検出するセンサが設けられている駆動装置において、前記センサは、相対回転する第1の構成要素および第2の構成要素を有しているとともに、その第1の構成要素および第2の構成要素の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方を前記変速機に設け、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか他方を、前記電動機の出力軸または、その出力軸から動力が伝達される動力伝達部材に設けたことを特徴とするものである。
請求項2の発明は、請求項1の構成に加えて、前記変速機は、同軸上に配置された内側要素および外側要素と、この内側要素および外側要素に接触する中間要素を保持する保持部材とを備えた遊星機構を有しており、前記変速機は、前記遊星機構のいずれか2つの要素が入力要素および出力要素であり、かつ、残りの要素が固定要素であり、前記固定要素に、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方が設けられていることを特徴とするものである。
請求項3の発明は、電力が供給されて動力を発生する電動機と、この電動機の動力が伝達される経路に設けられた変速機と、前記電動機の出力軸の回転状態を検出するセンサが設けられている駆動装置において、前記変速機は、回転可能な入力要素および出力要素と、回転しない固定要素とを有しており、前記センサは、相対回転する第1の構成要素および第2の構成要素を有しているとともに、前記第1の構成要素および第2の構成要素の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方を、前記固定要素に設け、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか他方を、前記出力要素に設けたことを特徴とするものである。
請求項4の発明は、請求項3の構成に加えて、前記センサの検出信号を、前記変速機の入力要素と出力要素との間における変速比に基づいた値で補正することにより、前記電動機の出力軸の回転状態を検出する回転状態検出手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項5の発明は、請求項4の構成に加えて、前記電動機に電力を供給する電力供給装置が設けられており、前記電力供給装置から前記電動機に電力が供給されない場合は、前記電動機から前記変速機に至る経路に設けられたセンサで検出された推定値と、前記電動機に電力が供給されなくなる前に前記変速機に設けられたセンサで検出された値との差に基づいて、前記電動機の出力軸の回転状態を検出する基準となる原点を求める原点決定手段を備えていることを特徴とするものである。
請求項6の発明は、請求項5の構成に加えて、前記原点決定手段は、前記原点を求める制御を開始後、予め定められた時間が経過した場合は、前記第2の構成要素を新たな原点として決定し、その原点に基づいて前記回転要素の回転状態を検出する制御をおこなう手段を含むことを特徴とするものである。
請求項7の発明は、請求項1ないし4のいずれかの構成に加えて、前記電動機は、電力が供給されるコイルを有しており、前記電動機の出力軸と、前記変速機の入力要素および出力要素とが同一の回転軸線上に配置されているとともに、前記回転軸線を中心とする半径方向で、前記コイルの内側に前記変速機が配置されていることを特徴とするものである。
請求項8の発明は、請求項7の構成に加えて、前記回転軸線に沿った方向で異なる2箇所に、前記コイルのエンド部がそれぞれ配置されており、前記変速機は、前記回転軸線に沿った方向で異なる位置に配置された第1変速部および第2変速部を含み、この第1変速部および第2変速部はそれぞれ入力要素および出力要素を有しており、前記回転軸線を中心とする半径方向で、一方のエンド部の内側に前記第1変速部が配置され、他方のエンド部の内側に前記第2変速部が配置されているとともに、前記第1の構成要素または第2の構成要素の何れか一方が、前記第1変速部または第2変速部の何れか一方に設けられていることを特徴とするものである。
請求項9の発明は、請求項8の構成に加えて、前記電動機のトルクが前記第1変速部を経由して前記第2変速部に伝達されるように連結されていることを特徴とするものである。
請求項10の発明は、請求項7ないし9のいずれかの構成に加えて、前記第2変速部の出力要素から出力された動力が伝達される被駆動部材が設けられており、この被駆動部材に伝達する動力を出力する動力源が設けられているとともに、差動回転可能な第2入力要素および反力要素および第2出力要素を有する動力分配装置が設けられており、前記動力源と前記第2入力要素とが動力伝達可能に接続され、モータ・ジェネレータと前記反力要素とが動力伝達可能に連結されており、前記第2変速部の第2出力要素、および前記動力分配装置の第2出力要素が、前記被駆動部材に対して動力伝達可能に連結されており、前記動力源および前記電動機および前記モータ・ジェネレータおよび前記第1変速部および第2変速部の各回転要素が、前記回転軸線を中心として回転可能に配置されていることを特徴とするものである。
請求項1の発明によれば、電動機の出力軸の回転状態をセンサにより検出することができる。また、回転軸線方向で、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素の配置スペースを、変速機の配置スペース、および前記電動機の出力軸または動力伝達部材の配置スペースと重ならせることができる。したがって、前記回転軸線方向で、前記第1の構成要素および第2の構成要素を配置するための専用のスペースを設けずに済み、回転軸線に沿った方向で駆動装置をコンパクト化できる。
請求項2の発明によれば、請求項1の発明と同様の効果を得られる他に、遊星機構の要素のうち固定される要素に、第1の構成要素または第2の構成要素のいずれか一方が設けられている。このため、変速機の回転状態の検出精度が向上する。
請求項3の発明によれば、電動機の出力軸の回転状態をセンサにより検出することができる。また、回転軸線方向で、前記第1の構成要素および前記第2の構成要素の配置スペースを、変速機の固定要素および出力要素の配置スペースと重ならせることができる。したがって、前記回転軸線方向で、前記第1の構成要素および第2の構成要素を配置するための専用のスペースを設けずに済み、駆動装置が回転軸線に沿った方向でコンパクト化できる。
請求項4の発明によれば、請求項3の発明と同様の効果を得られる他に、前記検出信号を、前記変速機の入力要素と出力要素との間における変速比に基づいた値で補正して、電動機の回転状態を検出できる。
請求項5の発明によれば、請求項4の発明と同様の効果を得られる他に、電力供給装置から前記電動機に電力が供給されない場合は、電動機と変速機との間に設けられたセンサで検出された推定値と、前記電動機に電力が供給されなくなる前に前記変速機に設けられたセンサで検出された値との差に基づいて、電動機の出力軸の回転状態を検出する原点を求めることができる。したがって、回転している電動機が停止し、再度電動機が回転する場合でも、前記原点を基準として、前記電動機の回転要素の回転状態を検出することができる。
請求項6の発明によれば、請求項5の発明と同様の効果を得られる他に、前記原点を求める制御を開始後、予め定められた時間が経過した場合は、前記第2の構成要素を新たな原点とし、その原点に基づいて出力軸の回転状態を検出することができる。したがって、先に決定されていた原点のデータが、何らかの理由で初期化された場合でも、第2の構成要素を原点として用いることができる。
請求項7の発明によれば、請求項1ないし4のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、回転軸線を中心とする半径方向で、電動機のコイルの内側に変速機が配置されている。したがって、前記回転軸線に沿った方向で、前記変速機の配置領域と、前記コイルの配置スペースと、前記センサの配置スペースとを重ならせることができ、駆動装置を一層コンパクト化できる。
請求項8の発明によれば、請求項7の発明と同様の効果を得られる他に、第1変速部または第2変速部のいずれか一方に、第1の構成要素または第2の構成要素を設けることができ、第1の構成要素または第2の構成要素を配置する個所の設計(選択)自由度が向上する。
請求項9の発明によれば、請求項8の発明と同様の効果を得られる他に、前記電動機の動力が第1変速部を経由して第2変速部に伝達される。したがって、第1変速部および第2変速部の2段階で変速をおこなうことができ、トータルでの変速比、すなわち、第1変速部の入力要素から第2変速部の出力要素に至る経路における変速比を、可及的に大きくすることが可能である。
請求項10の発明によれば、請求項7ないし9のいずれかの発明と同様の効果を得られる他に、動力源のトルクを動力分配装置の第2入力要素に伝達し、モータ・ジェネレータで反力を受けるとともに、このモータ・ジェネレータの回転数を制御することにより、動力分配装置の第2入力要素と第2出力要素との変速比を無段階に制御可能である。そして、前記動力源の動力および電動機の動力を、前記動力分配装置を経由して被駆動部材に伝達することが可能である。
この発明における駆動装置は、車両、産業機械、運搬機械などに用いることが可能である。また、車両には、乗用車、運搬車、トラック、バスなどが含まれる。また、車両には、単数の動力源が搭載された車両の他に、動力の発生原理が異なる複数種類の動力源を有するハイブリッド車も含まれる。この発明において、電動機および動力源は、被駆動部材に伝達する動力を出力する装置である。駆動装置を車両に用いる場合、電動機および動力源の動力が車輪に伝達されるように構成され、電動機から車輪に至る経路に変速機が配置される。この発明の駆動装置を車両、運搬機械に用いる場合、被駆動部材には車輪が含まれる。また、変速機から車輪に至る動力伝達経路に配置される動力伝達装置、例えば、変速機、差動装置、歯車、チェーン、プーリ、ベルト、スプロケットなども、被駆動部材に含まれる。この発明の駆動装置を産業機械、例えば工作機械に用いる場合、工具や刃物、または加工対象物を保持するチャックが被駆動部材となる。前記電動機は電気エネルギを運動エネルギに変換する装置である。また、電動機として、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備したモータ・ジェネレータを用いることも可能である。この発明において、変速機とは、入力要素の回転数と出力要素の回転数とを異ならせることの可能な動力伝達装置であり、入力要素の回転数と、出力要素の回転数との比、すなわち、変速比が固定されているもの、または変速比を変更可能なもののいずれでもよい。さらに、変速機は、変速比が「1」を越える値のみに設定される減速機、変速比が「1」未満の値のみに設定される増速機、変速比を「1」以上の値および「1」以下の値で変更可能なものであってもよい。また、この発明の変速機における動力伝達原理は、歯車同士の噛み合い力により動力伝達をおこなう変速機、またはトラクション伝動により動力伝達をおこなう変速機のいずれでもよい。
さらに、この発明において電動機は出力軸が回転運動をおこなう構成である。さらに、前記電動機は、直流電動機または交流電動機のいずれでもよく、交流電動機としては、例えば、誘導電動機、同期電動機、整流子電動機などが挙げられる。この発明の電動機は、コイルへの通電によって出力軸が回転するように構成されている。一方、動力源としては、エンジン、フライホイールシステム、油圧モータなどが挙げられる。エンジンは、熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置であり、例えば内燃機関を挙げることができる。内燃機関は、燃料を燃焼させて熱エネルギを発生させる装置であり、例えば、ガソリンエンジン、ディーゼルエンジン、LPGエンジンなどが挙げられる。前記油圧モータは、流体(圧油)のエネルギ(圧力・流量)を、機械的エネルギ(トルク・回転数)に変換する動力装置である。フライホイールシステムは、運動エネルギを蓄積し、かつ、放出する動力装置である。この発明において、出力軸、入力要素、出力要素、反力要素などの構成は、何れもトルク伝達に関与する部材であり、例えば、ギヤ、ローラ、コネクティングドラム、キャリヤ、プーリ、回転軸などの部品が挙げられる。また、この発明においては、動力源および電動機およびモータ・ジェネレータの各回転要素を、同一の回転軸線を中心として回転可能に配置することができる。また、この発明において「同軸上」とは、同一の回転軸線を中心として回転可能に配置することである。さらに、この発明において回転軸線に沿った方向とは、回転軸線を含む方向、もしくは回転軸線と平行な方向である。さらに、この発明において、回転軸線方向における部品の配置領域(配置スペース)が重なる場合、少なくとも一部が重なっていればよい。すなわち、全部でもよいし、一部でもよい。
つぎに、電動機および変速機を有する駆動装置の具体例を、図面を参照しながら具体的に説明する。図1は、車両1のパワートレーンの構成例を示すスケルトン図である。図1に示された車両1は、F・F(フロントエンジン・フロントドライブ;エンジン前置き前輪駆動)形式のハイブリッド車である。図1に示された車両1では、内燃機関の一種であるエンジン2およびモータ・ジェネレータMG1およびモータ・ジェネレータMG2が、動力源として搭載されている。この動力源は、車輪(前輪)45に伝達する動力を出力する動力装置である。前記エンジン2は、燃料を燃焼させてその熱エネルギを運動エネルギに変換する動力装置である。このエンジン2は、吸排気装置、燃料噴射装置などを有する公知のものであり、例えば、電子スロットルバルブの開度、燃料噴射量、燃料噴射時期などを制御することによりエンジン出力、すなわち、エンジン回転数およびエンジントルクを制御することが可能である。また、モータ・ジェネレータMG1,MG2は、電気エネルギを運動エネルギに変換する力行機能と、運動エネルギを電気エネルギに変換する回生機能とを兼備した回転装置である。
これらの、エンジン2およびモータ・ジェネレータMG1,MG2が動力伝達可能に連結された動力分配装置3が設けられている。前記モータ・ジェネレータMG1,MG2および動力分配装置3は、ケーシングK1の内部に配置されている。このケーシングK1は金属材料、たとえばアルミニウム、アルミニウム合金などにより構成されている。前記動力分配装置3は、前記エンジン2の動力を、前記モータ・ジェネレータMG1および車輪45に分配する装置であり、この動力分配装置3は、シングルピニオン式の遊星歯車機構により構成されている。具体的に説明すると、動力分配装置3は、サンギヤ4と、このサンギヤ4と同軸上に配置され、かつ、このサンギヤ4の周囲を取り囲むように配置されたリングギヤ5と、前記サンギヤ4および前記リングギヤ5に噛合されたピニオンギヤ6と、このピニオンギヤ6を自転可能、かつ、公転可能に支持するキャリヤ7とを有している。このように、3つの回転要素、すなわち、前記サンギヤ4および前記リングギヤ5および前記キャリヤ7が、相互に差動回転可能に構成されている。なお、前記サンギヤ4およびリングギヤ5および前記キャリヤ6は、いずれもはすば歯車により構成されている。
また、前記動力分配装置3の回転要素に対する前記エンジン2および前記モータ・ジェネレータMG1の連結構造を説明する。まず、前記キャリヤ7と、前記エンジン2のクランクシャフト(図示せず)とが動力伝達可能に連結されている。具体的には、前記エンジン2と前記キャリヤ7とが、インプットシャフト8により接続されている。前記インプットシャフト8の回転軸線A1に沿った方向で、前記エンジン2と動力分配装置3との間に、前記モータ・ジェネレータMG1が設けられている。なお、前記エンジン2からインプットシャフト8に至る動力伝達経路には、伝達トルクを制御するクラッチ機構が設けられていてもよい。このクラッチ機構には、摩擦式クラッチ、電磁式クラッチ、流体式クラッチなどが含まれる。クラッチ機構として摩擦式クラッチまたは電磁式クラッチを用いる場合、トルク変動を吸収するダンパ機構を併用することも可能である。一方、前記モータ・ジェネレータMG1は、ステータ91およびロータ10を有しており、前記ステータ9がケーシングK1に固定されている。そして、前記ロータ10と前記サンギヤ4とが動力伝達可能に接続されている。この図1の構成例では、前記ロータ10と前記サンギヤ4とが一体回転するように連結されている。前記ロータ10は前記回転軸線A1を中心とする円周上に配置された円筒部11を有しており、その円筒部11が前記インプットシャフト8の外周側に配置されている。
つぎに、前記モータ・ジェネレータMG2の構成について説明する。前記ケーシングK1には、前記エンジン2から最も離れた箇所にエンドカバー14が取り付けられており、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記ケーシングK1内に設けられた動力分配装置3とエンドカバー14との間に前記モータ・ジェネレータMG2が配置されている。言い換えれば、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記エンジン2と前記モータ・ジェネレータMG2との間に、前記モータ・ジェネレータMG1および前記動力分配装置3が配置されている。このモータ・ジェネレータMG2は、ステータ16およびロータ17を有している。まず、ステータ16について説明すると、ステータ16は複数枚を積層した電磁鋼板18と、積層された電磁鋼板18に巻き付けられたコイル19とを有する。そして、前記回転軸線A1に沿った方向の異なる位置に、コイル19のエンド部19B,19Cが設けられている。エンド部19B,19Cとは、前記回転軸線A1と平行な方向で前記コイル19を断面化した場合に、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記電磁鋼板18の両側に位置する部分を意味する。このエンド部19B,19Cは前記回転軸線A1に沿った方向で、所定の配置領域(配置スペース)を有する
一方、前記ロータ17は、前記回転軸線A1を中心として回転可能に配置されており、出力軸(図示せず)の外周に電磁鋼板(図示せず)を積層して構成されている。また、前記回転軸線A1を中心とする半径方向で、前記ロータ17は前記ステータ16の内周側に配置されている。また、前記回転軸線A1に沿った方向、もしくは前記回転軸線A1と平行な方向(回転軸線方向)において、前記ロータ17の配置スペース(配置領域、配置範囲)の位置および長さは、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記電磁鋼板18の配置スペースの位置および長さと略同じとなっている。つまり、前記回転軸線A1を中心とする半径方向で、前記コイル19のエンド部19B,19Cの内側の空間には、前記ロータ17は配置されていない。なお、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記エンド部18Cは前記エンド部19Bよりも前記動力分配装置3に近い位置に配置されている。
そして、モータ・ジェネレータMG2のロータ17から前記動力分配装置3に至る動力伝達経路には、第1減速機および第2減速機が設けられている。この第1減速機および第2減速機は、入力回転数に対して出力回転数を低下させて(減速させて)トルクを増幅するものである。まず、第1減速機は、遊星ローラ機構25により構成されている。この遊星ローラ機構25は、前記回転軸線A1を中心として同軸上に配置されたサンローラ26およびリングローラ27と、前記サンローラ26およびリングローラ27に接触するピニオンローラ28を自転・公転可能に支持するキャリヤ29とを有している。前記サンローラ26の外側に前記リングローラ27が配置されている。このリングローラ27は、前記回転軸線A1を中心とする環状に構成されており、このリングローラ27は、前記ケーシングK1に固定されて回転不可能に構成されている。具体的には、ケーシングK1に接続された保持部材100により保持されている。この保持部材100としては、ケーシングK1と一体成形された隔壁、またはケーシングK1とは別部材で構成され、かつ、ケーシングK1に取り付けたフレームなどが挙げられる。前記サンローラ26は、前記モータ・ジェネレータMG2のロータ17と一体回転するように連結されており、前記サンローラ26リングローラ27およびリングローラ27は全て金属材料により構成されている。さらに、リングローラ27は前記サンローラ26の外側に配置されており、前記サンローラ26とリングローラ27との間に前記ピニオンローラ28が配置されている。
このように構成された前記遊星ローラ機構25は、前記回転軸線A1を中心とする半径方向で、前記コイル19の内側に配置されている。具体的には、前記エンド部19Cの内側の空間に、前記遊星ローラ機構25の大半が配置されている。なお、前記遊星ローラ機構25の取付時に、前記リングローラ27を外側に弾性変形させてから、前記ピニオンローラ28の周囲に配置されている。このため、前記リングローラ27の弾性復元力により縮径し、前記ピニオンローラ28の外周面が、前記リングローラ27の内周面および前記サンローラ26の外周面に押し付けられている。そして、前記ピニオンローラ28が、前記リングローラ27および前記サンローラ26に接触する部分にはトラクションオイルが介在されている。
さらに、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記モータ・ジェネレータMG1と前記遊星ローラ機構25との間に第2減速機が設けられている。この第2減速機は、図1の構成例ではシングルピニオン式の遊星歯車機構33により構成されている。この遊星歯車機構33は、サンギヤ34と、このサンギヤ34と同軸上に配置され、かつ、このサンギヤ34の周囲を取り囲むように配置されたリングギヤ35と、前記サンギヤ34および前記リングギヤ35に噛合されたピニオンギヤ36と、このピニオンギヤ36を自転可能、かつ、公転可能に支持するキャリヤ37とを有している。このように、3つの回転要素、すなわち、前記サンギヤ34および前記リングギヤ35および前記キャリヤ37が、相互に差動回転可能に構成されている。そして、前記キャリヤ37がケーシングK1に固定されており、キャリヤ37の回転が不可能に構成されている。さらに、前記サンギヤ34と前記キャリヤ29とが、一体回転可能に連結されている。そして、前記リングギヤ5,35が内周側に形成されたコネクティングドラム38が設けられている。このコネクティングドラム38は、前記回転軸線A1を中心とする円筒形状を有している。そして、このコネクティングドラム38が、図示しないラジアル軸受により保持されて回転可能となっている。
以上のように、図1に示された車両1においては、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記エンジン2とモータ・ジェネレータMG2との間に前記動力分配装置3が配置されている。この動力分配装置3と前記エンジン2との間に前記モータ・ジェネレータMG1が配置されている。さらに、前記動力分配装置3とモータ・ジェネレータMG2との間に遊星歯車機構33が配置されている。そして、前記エンジン2および前記モータ・ジェネレータMG1,MG2および動力分配装置3および遊星歯車機構33および遊星ローラ機構25は、全て同軸上に配置されている。さらに、前記コネクティングドラム38から車輪(前輪)45に至る動力伝達経路には歯車伝動装置が設けられている。具体的に説明すると、コネクティングドラム38の外周にはカウンタドライブギヤ46が形成されており、前記インプットシャフト8と平行なカウンタシャフト47が設けられている。このカウンタシャフト47にはカウンタドリブンギヤ48が形成されており、カウンタドライブギヤ46とカウンタドリブンギヤ48とが噛合されている。さらに、前記カウンタシャフト47と前記車輪45との間には終減速機49が設けられている。
つぎに、前記車両1における制御系統を、図9のブロック図に基づいて説明する。前記モータ・ジェネレータMG1,MG2に電力を供給する電力供給装置200が設けられている。この電力供給装置200としては、二次電池、すなわち、バッテリまたはキャパシタを用いることが可能である。また、電力供給装置200からモータ・ジェネレータMG1,MG2に至る経路にはインバータ201が設けられている。そして、前記モータ・ジェネレータMG1,MG2で発生した電力を二次電池に充電することも可能である。なお、特に図示しないが、モータ・ジェネレータMG1とモータ・ジェネレータMG2との間で、電力供給装置202を経由することなく、電力の授受をおこなうような電気回路を構成することも可能である。さらに、前記電力供給装置200として、燃料電池を用いることも可能である。さらに、コントローラとしての電子制御装置202が設けられており、この電子制御装置202には、各種のセンサやスイッチなどの検知信号、例えば、加速要求、制動要求、エンジン回転数、モータ・ジェネレータMG1,MG2の回転数などが入力される一方、この電子制御装置202からは、エンジン2を制御する信号、モータ・ジェネレータMG1,MG2を制御する信号などが出力される。さらに、前記モータ・ジェネレータMG2の回転状態を検出するセンサ101が設けられている。このモータ・ジェネレータMG2の回転状態には、回転軸線A1を中心とする円周方向の位相や位置などのパラメータが含まれる。このモータ・ジェネレータMG2の回転状態には、具体的には、回転数(回転速度)、原点を基準とする回転角度、回転角速度、停止位置などが含まれる。このセンサ101は接触式センサ、または非接触式センサのいずれでもよく、センサ101の信号が電子制御装置202に入力される。
具体的には、非接触式センサとしては、光式センサ(ロータリエンコーダ)、磁気式センサ(レゾルバ)、電磁ピックアップセンサ、磁気抵抗素子センサなどを用いることが可能である。前記センサ101として、何れのセンサを用いる場合も、前記モータ・ジェネレータMG2のトルクにより相対回転する2部材に、別々に設けられる第1の構成要素102および第2の構成要素103を有する。図1の構成例では、モータ・ジェネレータMG2からトルクが出力されると、前記保持部材100と、前記キャリヤ29とが相対回転するように構成されており、前記保持部材100に第1の構成要素102が設けられ、前記キャリヤ29に第2の構成要素が設けられる。つまり、前記第1の構成要素102は保持部材100に取り付けられて(固定されて)おり、その第1の構成要素102は回転しない。これに対して、第2の構成要素103は前記キャリヤ29に設けられ(形成され)ているため、そのキャリヤ29および前記第2の構成要素103が一体回転する。そして、前記センサ101は、前記回転軸線A1を中心とする円周上における前記第1の構成要素102と第2の構成要素103との相対位置関係に基づいて、前記第1の構成要素102が検出信号を発生するように構成されている。このセンサ101の検出信号が前記電子制御装置202で処理されて、ロータ17の回転状態が算出される。
前記光センサとして、発光部および受光部と、切欠きまたはスリットとを有するものを用い、発光部から出力された光が、前記切欠またはスリットを通過して受光部に到達して、検出信号を出力するように構成可能である。また、切欠またはスリットに代えて、反射部(白色部)を設けることも可能である。すると、発光部の光が反射部により反射されて受光部に至り、検出信号を発生する。このような光センサを前記センサ101として用いる場合、前記発光部および前記受光部が、前記第1の構成要素102に相当し、前記スリットまたは切欠または反射部が、前記第2の構成要素103に相当する。前記磁気式センサとして、例えば、複数の電磁コイル、および磁性体により構成されたロータを有するレゾルバを用いることが可能である。このロータは楕円形に構成されている。そして、いずれかの電磁コイルに交流電流を流すと、他の電磁コイルにはロータの位置に応じた出力信号が発生する。このようなレゾルバを前記センサ101として用いる場合、前記複数の電磁コイルが前記第1の構成要素102に相当し、前記ロータが前記第2の構成要素103に相当する。
前記磁気抵抗素子センサは、磁気抵抗素子(MRE素子)と、磁石とを有する。そして、磁気抵抗素子は、磁界の方向によって抵抗値が変化する磁気異方性効果を持つ素子であり、予めパターン化されたMRE素子で抵抗ブリッジ回路を組み、その抵抗回路を、回転要素に設けられた磁石に対向させておく。回転要素の回転により、MRE素子が出力信号を発生する。このような、磁気抵抗素子センサを前記センサ101として用いる場合、前記磁気抵抗素子が前記第1の構成要素102に相当し、前記磁石が前記第2の構成要素103に相当する。前記電磁ピックアップセンサは、ソレノイドと、凹凸部を設けた磁性体とを有する。そして、ソレノイドと磁性体との間に隙間を設け、磁性体が回転すると、ソレノイドのコイルには交流電圧(検出信号)が発生し、その交流電圧の周波数を測定することで、回転速度(回転数)を検出できる。この電磁ピックアップセンサを前記センサ101として用いる場合、前記ソレノイドが前記第1の構成要素102に相当し、前記磁性体が前記第2の構成要素103に相当する。
図1に示す車両1において、エンジン2が運転されて、そのエンジントルクが動力分配装置3のキャリヤ7に入力されるとともに、モータ・ジェネレータMG1でエンジントルクの反力を受け持つ制御が実行される。このモータ・ジェネレータMG1は正回転で回生制御されるか、または逆回転で力行制御されて、エンジントルクの反力を受け持つ。そして、前記動力分配装置3においては、エンジントルクの反力を受け持つモータ・ジェネレータMG1の回転数を制御すると、前記サンギヤ4およびリングギヤ5およびキャリヤ7の差動作用により、エンジン回転数と、前記動力分配装置3の出力要素であるリングギヤ5の回転数との比、すなわち変速比を、無段階(連続的)に制御することが可能である。このように、前記動力分配装置3は、電気的制御により変速比を変更可能な電気的無段変速機として機能する。そして、前記コネクティングドラム38に伝達されたトルクが、前記カウンタシャフト47および終減速機49を経由して車輪45に伝達されて駆動力が発生する。
一方、前記エンジン2の運転状態、またはエンジン2の停止状態において、モータ・ジェネレータMG2を電動機として駆動させ、そのトルクを前記車輪45に伝達することも可能である。前記モータ・ジェネレータMG2のトルクが前記遊星ローラ機構25に伝達されると、各ローラにより加圧されたトラクションオイルがガラス遷移化し、トラクション伝動の原理により動力伝達がおこなわれる。具体的には、前記モータ・ジェネレータMG2のトルクが前記サンローラ26に伝達されると、前記リングローラ27が反力要素となり、前記キャリヤ29が出力要素となる。このとき、前記サンローラ26の回転速度よりも前記キャリヤ29の回転速度の方が低速となる。すなわち、前記遊星ローラ機構25が減速機として機能し、伝達トルクが増幅される。なお、前記遊星ローラ機構25における減速比は一定(固定)である。
前記キャリヤ29に伝達されたトルクは、前記遊星歯車機構33の入力要素であるサンギヤ34に伝達される。すると、遊星歯車機構33のキャリヤ37が反力要素となり、前記リングギヤ35からトルクが出力される。この遊星歯車機構33では、前記サンギヤ34の回転速度に対して、前記リングギヤ35の回転速度の方が低速となるように構成されている。すなわち、前記遊星歯車機構33は減速機として機能し、その減速比は一定である。なお、前記車両1を前進させる向きのトルクを発生させる場合は、前記モータ・ジェネレータMG1が逆回転され、前記車両1を後退させる向きのトルクを発生させる場合は、前記モータ・ジェネレータMG2が正回転される。なお、正回転とは、エンジン2の回転方向と同じ回転方向であり、逆回転とは、エンジン2の回転方向とは逆向きの回転方向である。さらに、車両1を後退させる場合は、前記エンジン2は停止され、かつ、前記モータ・ジェネレータMG1は無負荷で正回転(空転)する。以上のように、前記車両1は、エンジン2またはモータ・ジェネレータMG2の動力を車輪45に伝達することの可能なハイブリッド車である。
上記図1で説明した構成例によれば、前記センサ101の検出信号を前記電子制御装置で処理することにより、前記モータ・ジェネレータMG2のロータ17の回転状態を検出し、その実際の回転状態を目標の回転状態に近づける制御を実行可能である。この図1においては、前記遊星ローラ機構25が減速機として機能しており、その出力要素であるキャリヤ29の回転状態を前記センサ101で検出し、その検出信号を電子制御装置により処理する構成となっている。このため、前記センサ101の検出信号を前記遊星ローラ機構25の減速比に基づいて処理もしくは補正することにより、前記モータ・ジェネレータMG2のロータ17の回転状態を間接的に検出できる。
さらに、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記第1の構成要素102および前記第2の構成要素103の配置スペースを、遊星ローラ機構25を構成するキャリヤ29および保持部材100の配置スペース、およびモータ・ジェネレータMG2のコイル19のエンド部19Cの配置スペースと重ならせることができる。したがって、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記第1の構成要素102および第2の構成要素103を配置するための専用のスペースを設けずに済み、駆動装置を回転軸線A1に沿った方向でコンパクト化できる。
また、固定されている保持部材100に第1の構成要素102が設けられている。このため、回転軸線A1を中心とする円周方向で、第1の構成要素102と第2の構成要素103との相対位置関係を検出する精度が向上する。さらに、前記回転軸線A1を中心とする半径方向で、前記コイル19のエンド部19Cの内側に遊星ローラ機構25が配置されている。したがって、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記遊星ローラ機構25の配置領域と、前記コイル19のエンド部19C配置スペースと、前記センサ101の配置スペースとを重ならせることができ、駆動装置を一層コンパクト化できる。さらに、図1の構成例では、減速機として遊星ローラ機構25を用いており、噛み合い力により動力伝達をおこなうのではなく、トラクション伝動によって動力伝達をおこなうため、駆動損失を低減でき、かつ、軸方向のスラスト力を発生することもなく、噛み合い振動やノイズも発生しない。
つぎに、駆動装置の他の構成例を、図2に基づいて説明する。図2の構成例は、車両の車輪72の内側に各々モータ・ジェネレータMG2を配置する構成、いわゆるインホイール形式の駆動装置を示す例である。すなわち、各車輪72は、ホイール51の周囲にタイヤ73を取り付けて構成されており、ホイール51毎に、それぞれモータ・ジェネレータMG2が設けられている。なお、図2の構成例において、図1の構成例と同じ構成部分については、図1と同じ符号を付してある。また、モータ・ジェネレータMG2はケーシング52の内部に配置されており、このモータ・ジェネレータMG2のロータ17は、回転軸線A2を中心として回転可能に構成されている。さらに、ステータ16はケーシング52に固定されている。なお、このケーシング52は車体、または車体に取り付けられたブラケット、あるいはフレームなどに固定されている。したがって、ケーシング52は回転しない。また、前記回転軸線A2に沿った方向における異なる位置に、前記コイル19のエンド部)19B,19Cが配置されている。さらに、前記ケーシング52の軸線方向の端部にはエンドカバー60が取り付けられており、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記1エンド部19Bは、エンド部19Cよりエンドカバー60に近い位置に配置されている。そして、前記回転軸線A2を中心とする半径方向で、前記エンド部19Bの内側に第1変速部が設けられ、前記エンド部19Cの内側に第2変速部が設けられている。
前記1変速部は遊星ローラ機構53により構成されている。この遊星ローラ機構53は、前記ケーシング52の内部に配置されており、この遊星ローラ機構53は、サンローラ54と、このサンローラ54の外周側に配置されたリングローラ55と、サンローラ54およびリングローラ55に接触するピニオンローラ56を保持するキャリヤ57とを有している。そして、前記キャリヤ57は前記ケーシング52に固定されており、したがって、キャリヤ57は回転不可能である。さらに、前記リングローラ55と中空軸63とが、コネクティングドラム58により、動力伝達可能に連結されている。すなわち、前記中空軸63と前記リングローラ55とが一体回転するように構成されている。中空軸63はステータ17の内側に配置されており、中空軸63とステータ17とが相対回転可能である。そして、中空軸63とステータ17との間にはニードルベアリング64が設けられている。また、前記ロータ17の軸端部と、前記コネクティングドラム58との間には、スラスト軸受59が設けられている。さらに、前記ケーシング52の軸線方向の端部にはエンドカバー60が取り付けられており、このエンドカバー60と、前記コネクティングドラム58との間にはスラスト軸受61が設けられている。
つぎに、前記第2変速部について説明する。前記回転軸線A2に沿った方向で、前記ロータ17とホイール51との間に、前記第2変速部が設けられている。この第2変速部は遊星ローラ機構62により構成されている。つまり、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記遊星ローラ機構53と前記遊星ローラ機構62との間に、前記ロータ17が配置されている。この遊星ローラ機構62は、前記ケーシング52の内部に配置されており、この遊星ローラ機構62は、サンローラ65と、このサンローラ65の外周側に配置されたリングローラ66と、サンローラ65およびリングローラ66に接触するピニオンローラ67を保持するキャリヤ68とを有している。前記サンローラ65は前記中空軸63の外周に形成されている。前記リングローラ66は前記ケーシング52に固定されており、したがって、リングローラ66は回転不可能である。さらに、前記キャリヤ68と前記ホイール51とが動力伝達可能に連結されている。また、前記回転軸線A2を中心とする半径方向で、前記エンド部19Cの内側に遊星ローラ機構62が配置されている。そして、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記エンド部19Cの配置スペースと、前記遊星ローラ機構62の配置スペースとが、少なくとも一部で重なっている。
このように、前記モータ・ジェネレータMG2および遊星ローラ機構25,26が回転軸線A1を中心として同軸上に配置されている。また、前記ロータ17の軸端部と、前記キャリヤ68との間には、スラスト軸受69が設けられている。さらに、前記ケーシング52の軸線方向の端部における前記ホイール51に近い箇所にはエンドカバー70が取り付けられており、このエンドカバー70と、前記キャリヤ68との間にはスラスト軸受71が設けられている。この図2に示す構成例においても、前述した電力供給装置が、モータ・ジェネレータMG2に接続される。この図2に示す構成例においても、モータ・ジェネレータMG2のロータ17の回転状態を検出するセンサ101が設けられている。
図2においては、3箇所にセンサ101Aないし101Cを設けているが、実用上は1箇所にセンサ101を設ければよい。例えば、回転軸線A2に沿った方向で、前記ロータ17とサンローラ56との間に、センサ101Aを配置することが可能である。この場合、センサ101Aの第1の構成要素102は前記キャリヤ57に設けられ、第2の構成要素103はロータ17の軸部の外周に設けられる。これに対して、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記遊星ローラ機構53とエンドカバー52との間に、センサ101Bを配置することも可能である。この場合、センサ101Bの第1の構成要素102は前記キャリヤ57に設けられ、第2の構成要素103はコネクティングドラム58に設けられる。さらに、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記遊星ローラ機構62とエンドカバー70との間に、センサ101Cを配置することも可能である。この場合、センサ101Cの第1の構成要素102は、前記リングローラ66を保持する保持部材104に設けられ、第2の構成要素103はキャリヤ68に設けられる。
図2に示す構成例の作用を説明する。前記電力供給装置200からモータ・ジェネレータMG2に電力が供給されて、このモータ・ジェネレータMG2が電動機として駆動される。また、前記遊星ローラ機構53,62には、前述したトラクションオイルが供給され、トラクションドライブ(伝動)の原理で動力伝達がおこなわれる。前記モータ・ジェネレータMG2の出力トルクが遊星ローラ機構53のサンローラ54に伝達されると、固定されている前記キャリヤ57が反力要素となり、前記リングローラ55からトルクが出力される。ここで、サンローラ54に対するリングローラ55のトルクの向きは逆であり、サンローラ52の回転数よりもリングローラ55の回転数の方が低くなり、トルクが増幅される。すなわち、遊星ローラ機構53は減速機として機能する。さらに、前記リングローラ55のトルクは中空軸63を経由して、前記遊星ローラ機構62のサンローラ65に入力される。すると、固定されているサンローラ66が反力要素となり、前記キャリヤ68からトルクが出力される。
このとき、サンローラ65およびキャリヤ68のトルクの向きは同じであり、サンローラ65の回転数よりもキャリヤの回転数の方が低くなり、トルクが増幅される。すなわち、遊星ローラ機構62が減速機として機能する。キャリヤ68のトルクは前記ホイール51に伝達され、駆動力が発生する。また、図2の構成例においては、前記センサ101Aないしセンサ101Cのうち、いずれかのセンサの検出信号に基づいて、前記モータ・ジェネレータMG2のロータ17の回転状態を検出することができる。つまり、前記センサ101Aを設けた場合は、前記ロータ17の回転状態を直接検出可能である。これに対して、前記センサ101Bの検出信号を用いる場合は、前記遊星ローラ機構53の減速比に基づく値を用いて演算処理もしくは補正処理をおこない、前記ロータ17の回転状態を間接的に検出可能である。さらに、前記センサ101Cの検出信号を用いる場合は、前記遊星ローラ機構53の減速比、および前記遊星ローラ機構62の減速比に基づく値を用いて演算処理もしくは補正処理をおこない、前記ロータ17の回転状態を間接的に検出可能である。
また、図2の構成例においては、モータ・ジェネレータMG2のトルクを車輪45に伝達する場合、2段階の減速がおこなわれる。したがって、モータ・ジェネレータMG2を半径方向に小型化できるとともに、モータ・ジェネレータMG2を高回転化できる。この図2の構成例においても、前記回転軸線A1を中心とする半径方向で、前記エンド部19Bの内側に遊星ローラ機構53が配置され、かつ、前記エンド部19Cの内側に遊星ローラ機構62が配置されている。また、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記エンド部19Bの配置スペースと、遊星ローラ機構53の配置スペースとが重なるとともに、前記エンド部19Cの配置スペースと、遊星ローラ機構62の配置スペースとが重なっている。したがって、前記回転軸線A1に沿った方向で部品の配置スペースが狭められ、駆動装置の小型化を図ることができる。
また、図2に示す構成例では、遊星ローラ機構53,62を用いているため、はすば歯車を用いた減速機に比べて、各回転要素で発生するスラスト荷重は低く、前記スラスト軸受59,61,71の小型化を図ることができる。また、スラスト軸受に代えて滑り軸受を用いることもでき、減速機構を回転軸線A1に沿った方向に一層小型化できる。また、前記中空軸63を前記軸線方向の一方でニードルベアリング64で支持し、前記軸線方向の他方でスラスト軸受59,61で支持している。すなわち、ニードルベアリング64は中空軸63の内側に配置できるため、回転軸線A1に沿った方向に一層小型化できる。なお、図2に示された構成は、左右の前輪および左右の後輪に各々設けることが可能である。すなわち、図2に示された構成例では、車輪72に動力を伝達する駆動力源としてモータ・ジェネレータMG2が設けられている。つまり、エンジンが駆動力源として設けられていない電気自動車に用いることが可能である。また、前輪に図1に示す構成例を用い、後輪に図2に示す構成例を用いて、ハイブリッド車とすることも可能である。この図2の構成を有する車両においても、図9の制御系統を適用可能である。
また、図1に示された駆動装置に代えて、図2に示された駆動装置を用い、図3の構成とすることも可能である。具体的には、前記キャリヤ68を、前記コネクティングドラム38に動力伝達可能に連結する構成である。この図3の構成例は、エンジン2の動力、およびモータ・ジェネレータMG2の動力を、前記車輪45に伝達可能なハイブリッド車のパワートレーンを形成するものである。この図3の場合、前記モータ・ジェネレータMG2のステータ16、前記リングローラ66、前記キャリヤ57は、前記ケーシングK1に固定される。また、前記ロータ17および前記中空軸63が、前記インプットシャフト8に対して同軸上に配置される。さらに、前記回転軸線A1に沿った方向で、前記ケーシングK1のエンドカバー14と、前記動力分配装置3との間に前記モータ・ジェネレータMG2が配置される。そして、図3に示されたモータ・ジェネレータMG2を電動機として駆動すると、そのトルクが前記遊星ローラ機構53および遊星ローラ機構62を経由して、前記コネクティングドラム38に伝達される。また、この図3において、図1と同様の構成部分については、図1と同様の作用効果を得られ、図2と同様の構成部分については、図2と同様の作用効果を得られる。
つぎに、駆動装置の他の構成例を、図4に基づいて説明する。この図4に示す構成例は、基本的な構成は図2に示された構成と同じであるが、第2変速部の出力側に終減速機74が連結されている点が、図2の構成と相違する。終減速機74は、前記ケーシングK2の内部に配置されたデフケース75を有しており、そのデフケース75が、前記回転軸線A2を中心として回転可能に設けられている。そして、このデフケース75に前記キャリヤ68が動力伝達可能に連結されている。このデフケース75は、前記回転軸線A2に沿った方向で、前記遊星ローラ機構62とエンドカバー70との間に配置されている。また、デフケース75の内部には、ピニオンシャフト(図示せず)に支持されたピニオンギヤ(図示せず)、このピニオンギヤ(図示せず)に噛合されたサイドギヤ(図示せず)が設けられており、このサイドギヤにアクスルシャフト76が動力伝達可能に連結されている。前記アクスルシャフト76は2本設けられており、1本のアクスルシャフト76は中空軸63内に配置されている。
そして、前記ケーシング52にはラジアル軸受77,78が設けられており、このラジアル軸受77により前記デフケース76が保持されており、前記ラジアル軸受78により、片方のアクスルシャフト76が保持されている。2本のアクスルシャフト76は、共に前記回転軸線A2を中心として回転可能である。この図4の構成例の配置レイアウトとしては、前記アクスルシャフト76を左右の前輪、または左右の後輪に連結することが可能である。この場合、前記回転軸線A2は車両の左右方向(幅方向)に沿って配置される。また他のレイアウトとしては、前記回転軸線A2を車両の前後方向に沿って配置し、一方のアクスルシャフト76を、フロントデファレンシャル(図示せず)を経由させて後輪に動力伝達可能に連結し、他方のアクスルシャフト76を、リヤデファレンシャル(図示せず)を経由させて後輪に動力伝達可能に連結する構成も可能である。この図4の構成例においては、図2の構成例と同様に、前記モータ・ジェネレータMG2のトルクが前記遊星ローラ機構62のキャリヤ68に伝達され、そのトルクが終減速機74を経由してアクスルシャフト76に伝達される。この図4の構成例においても、図2の構成と同様の構成部分については、図2の構成例と同様の効果を得られる。なお、図2ないし図4の構成例によれば、センサ101を設ける箇所を選択的に変更可能であるため、設計上の自由度が増す。なお、図4の駆動装置を有する車両においても、図9の制御系統を適用可能である。また、図2ないし4の構成例では、ロータ17と一体回転するサンローラに第2の構成要素103が設けられているが、ロータ17自体に第2の構成要素103を設けることも可能である。
つぎに、前記センサ101の信号に基づいて、前記モータ・ジェネレータMG2のロータの回転状態を検出する場合の制御を説明する。特に、センサ101B,101Cの検出信号を用いる場合、前記センサ101Aの検出信号を用いる場合とは異なる制御をおこなう必要がある。そこで。前記センサ101B,101Cの検出信号を用いる場合の制御例を、図5のフローチャートに基づいて説明する。以下の説明では、センサ101B,101Cを、センサ101と記す。なお、この図5の制御は、モータ・ジェネレータMG2のロータ17が停止している場合におこなわれる制御である。まず、通常制御、具体的には、前記センサ101の検出信号に、減速比に応じた値を乗じて、円周方向におけるロータ17の位置(位相)を認識する制御がおこなわれる(ステップS1)。このステップS1でおこなわれる処理は、後述するステップS11の処理と同じである。このステップS1についで、ロータ17が停止しているか否か、またはモータ・ジェネレータMG2へ電力を供給する電源がオフされているか否かが判断される(ステップS2)。ここで、電源がオフとは、前記の電力供給装置200と、前記モータ・ジェネレータMG2との間に形成された電気回路が遮断されていることを意味する。このステップS2の判断時点で、ロータ17が停止している場合、またはモータ・ジェネレータMG2へ電力を供給する電源がオフされている場合は、このステップS2で肯定的に判断されて、ステップS3に進む。
このステップS3では、ロータ直付時の波形からのズレ位相∫を記憶する処理をおこなう。ここで、「ロータ直付時の波形」とは、減速機の上流にセンサ101が設けられている場合を想定したセンサ101の検出信号の波形である。これは、前記センサ101Aの検出信号の波形と同じである。そして、また、「ズレ位相∫」とは、「ロータ直付時の波形」から検出される位相と、減速機の下流に設けられたセンサ101の検出信号から求められる位相との差を意味する。このステップS3についで、前記ロータ17の回転が開始されたか否か、または前記電源がオンされたか否かが判断される(ステップS4)。ここで、前記ロータ17の回転が開始された場合、または前記電源がオンされた場合は、ステップS4で肯定的に判断されて、ステップS5に進む。このステップS5では、「ロータ直付時の波形」から検出される位相(レゾルバ部の位相)に、「ズレ位相∫」を加えて前記ロータ17の原点として、ロータ17の回転数、円周方向の位置、回転角度などを検出する計算(演算処理)をスタートし、リターンされる。
なお、前記ステップS2の判断時点で、ロータ17が回転している場合、またはモータ・ジェネレータMG2へ電力を供給する電源がオンされている場合は、ステップS2で否定的に判断されて、リターンされる。また、ステップS4の判断時点で、前記ロータ17の回転が開始されていないた場合、または前記電源がオンされていない場合は、ステップS4で否定的に判断されて、リターンされる。このように、図5の制御例を用いれば、ロータ17が回転して一旦停止し、その後に再度ロータ17が回転する場合は、ステップS5の処理で求められた原点に基づいて前記ロータ17の位置の検出を開始できるため、その検出精度が向上する。
つぎに、前記ロータ17が回転している場合の制御を、図6に基づいて説明する。なお、前記図5の制御と図6の制御とを組み合わせて実行可能である。まず、常時、センサ101の検出信号に基づいて、前記モータ・ジェネレータMG2のロータ17の回転状態を検出する(ステップS11)。例えば、減速機よりも下流にセンサを配置するとともに、ロータ17の円周方向に設定された基準位置が、円周方向でどの位相に位置するかを間接的に検出する場合、検出信号の値に減速比を乗じて処理をおこなう。ステップS11の処理を、図7の波形図に基づいて説明する。図7に示すように、交流電圧の出力信号が所定の周期で発生する。図7において、上側に示されている波形が、「ロータ直付け時の波形」であり、下側に示されている波形が、減速後の波形である。図7のように、減速比分、波形の周期が変化する。このステップS11についで、前回の処理をおこなった時点の経過時間tに「1」を加える処理をおこなった値を、制御が開始されてからの経過時間tとして取り扱う処理をおこなう(ステップS12)。このステップS12の処理を式で表すと、
t=t+1
となる。
t=t+1
となる。
そして、前記経過時間tが、予め電子制御装置に記憶されている一定時間t0以上であるか否かが判断される(ステップS13)。このステップS13で肯定的に判断された場合は、前記ロータ17の回転位置を校正する処理をおこなう(ステップS14)。具体的には、前記第1の構成要素103を、原点としてリセットする処理をおこなう。すなわち、前記第1の構成要素103として、白色部などのロータマークを用いた場合において、前記遊星ローラ機構53,62で回転要素同士の滑りが生じると、モータ・ジェネレータMG2の停止時に定めた原点と、実際の原点とに位相差が生じる可能性があり、これを解消するために、ステップS13およびステップS14の処理をおこなう。また、回転要素同士の滑りの発生、あるいは他の理由により、ロータ17の位置検出に用いるデータが初期化された場合でも、ステップS13およびステップS14の処理をおこなうことにより、制御初期の原点に基づいて、ロータ17の位置検出をおこなうことが可能である。また、白色部(ロータマーク)を原点として用いるため、回転要素の円周方向に全域に亘ってスリットや溝などを設けずに済む。
このステップS14についで、リセット量が許容値を越えている場合は、その期間をワーニング期間とする処理をおこなう(ステップS15)。ここで、「リセット量」とは、円周方向におけるリセット前の原点の位置と、リセット後の原点の位置との位相差である。なお、許容値は電子制御装置202に予め記憶されている。また「ワーニング期間」とは、遊星ローラ機構53,62で、滑り量が予め定められた値以上となっていることを、警告する期間である。この警告は、車両の運転席に設けられた警告装置(図示せず)でおこなわれる。また、このステップS15では、モータ・ジェネレータMG2のトルクを低下させて、回転要素同士の滑りを抑制することも可能である。上記のステップS15の処理についで、前記経過時間tを「零」に戻す処理をおこない(ステップS16)、リターンされる。なお、ステップS13で否定的に判断された場合は、そのままリターンされる。前述したステップS14の処理に基づく制御を、図8に基づいて説明する。図8では、縦軸に出力信号が示され、横軸に時間が示されている。図8に示すように、交流電圧の出力信号が所定の周期で発生し、校正ポイントを基準として、ロータ17の回転角度の積算が再スタートされる。
ここで、各図に示された構成例と、この発明との関係を説明すると、モータ・ジェネレータMG2が、この発明の電動機に相当し、遊星ローラ機構25,53,62が、この発明の変速機および遊星機構に相当し、遊星ローラ機構25がこの発明の第1変速部に相当し、遊星ローラ機構62が、この発明の第2変速部に相当し、サンローラ26,54,65が、この発明の入力要素に相当し、キャリヤ29,68およびリングローラ55が、この発明の出力要素に相当し、ロータ17が、この発明の電動機の出力軸に相当し、前記保持部材57,100が、この発明の変速機を構成する部品および固定要素に相当し、サンローラ54およびキャリヤ29,68が、この発明の「電動機の出力軸または、その出力軸から動力が伝達される動力伝達部材」に相当し、サンローラ26,54,63が、この発明の内側要素に相当し、リングローラ27,55,66が、この発明の外側要素に相当し、ピニオンローラ28,56,67が、この発明の中間要素に相当し、キャリヤ29,58,68が、この発明の保持部材に相当し、コネクティングドラム38および車輪45および終減速機49が、この発明の被駆動部材に相当する。
また、図5および図6に示された機能的手段と、この発明の構成との対応関係を説明すると、ステップS1およびステップS11が、この発明の回転状態検出手段に相当し、図5のステップS2,S3,S4,S5、および図6のステップS13,S14が、この発明の原点決定手段に相当する。また、この発明における電動機の出力軸の回転状態は、回転軸線を中心とする円周方向の位置や位相などのパラメータであり、例えば、回転数(回転速度)、原点を基準とする回転角度、回転角速度、停止位置などが含まれる。なお、各構成例においては、遊星ローラ機構が減速機として機能するように構成されているが、変速比を「1」以下で変更可能な変速機を用いた駆動装置にも適用可能である。さらに、減速機が遊星歯車機構で構成された駆動装置にも、各構成例を適用可能である。なお、この発明において、変速機を遊星ローラ機構で構成した場合は、その変速比はサンローラとリングローラとの半径比、各要素同士の連結関係に基づいて決定される。これに対して、変速機を遊星歯車機構で構成した場合は、その変速比は、シングルピニオン式の遊星歯車機構またはダブルピニオン式の遊星歯車機構のいずれであるか、各ギヤの歯数比、各要素同士の連結関係などに基づいて決定される。
1…車両、 2…エンジン、 3…動力分配装置、 17…ロータ、 25,53,62…遊星ローラ機構、 26,54,65…サンローラ、 27,55,66…リングローラ、 28,56,67…ピニオンローラ、 29,58,68…キャリヤ、 57,100…保持部材、 38…コネクティングドラム、 45…車輪、 49…終減速機、 200…電力供給装置、 A1,A2…回転軸線、 MG1,MG2…モータ・ジェネレータ。
Claims (10)
- 電力が供給されて動力を発生する電動機と、この電動機の動力が伝達される経路に設けられた変速機と、前記電動機の出力軸の回転状態を検出するセンサが設けられている駆動装置において、
前記センサは、相対回転する第1の構成要素および第2の構成要素を有しているとともに、その第1の構成要素および第2の構成要素の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方を前記変速機に設け、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか他方を、前記電動機の出力軸または、その出力軸から動力が伝達される動力伝達部材に設けたことを特徴とする駆動装置。 - 前記変速機は、同軸上に配置された内側要素および外側要素と、この内側要素および外側要素に接触する中間要素を保持する保持部材とを備えた遊星機構を有しており、前記変速機は、前記遊星機構のいずれか2つの要素が入力要素および出力要素であり、かつ、残りの要素が固定要素であり、前記固定要素に、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方が設けられていることを特徴とする請求項1に記載の駆動装置。
- 電力が供給されて動力を発生する電動機と、この電動機の動力が伝達される経路に設けられた変速機と、前記電動機の出力軸の回転状態を検出するセンサが設けられている駆動装置において、
前記変速機は、回転可能な入力要素および出力要素と、回転しない固定要素とを有しており、
前記センサは、相対回転する第1の構成要素および第2の構成要素を有しているとともに、前記第1の構成要素および第2の構成要素の相対位置関係に基づいた検出信号を出力するように構成されており、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか一方を、前記固定要素に設け、前記第1の構成要素または前記第2の構成要素のいずれか他方を、前記出力要素に設けたことを特徴とする駆動装置。 - 前記センサの検出信号を、前記変速機の入力要素と出力要素との間における変速比に基づいた値で補正することにより、前記電動機の出力軸の回転状態を検出する回転状態検出手段を備えていることを特徴とする請求項3に記載の駆動装置。
- 前記電動機に電力を供給する電力供給装置が設けられており、
前記電力供給装置から前記電動機に電力が供給されない場合は、前記電動機から前記変速機に至る経路に設けられたセンサで検出された推定値と、前記電動機に電力が供給されなくなる前に前記変速機に設けられたセンサで検出された値との差に基づいて、前記電動機の出力軸の回転状態を検出する基準となる原点を求める原点決定手段を備えていることを特徴とする請求項4に記載の駆動装置。 - 前記原点決定手段は、前記原点を求める制御を開始後、予め定められた時間が経過した場合は、前記第2の構成要素を新たな原点として決定し、その原点に基づいて前記回転要素の回転状態を検出する制御をおこなう手段を含むことを特徴とする請求項5に記載の駆動装置。
- 前記電動機は、電力が供給されるコイルを有しており、前記電動機の出力軸と、前記変速機の入力要素および出力要素とが同一の回転軸線上に配置されているとともに、前記回転軸線を中心とする半径方向で、前記コイルの内側に前記変速機が配置されていることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の駆動装置。
- 前記回転軸線に沿った方向で異なる2箇所に、前記コイルのエンド部がそれぞれ配置されており、前記変速機は、前記回転軸線に沿った方向で異なる位置に配置された第1変速部および第2変速部を含み、この第1変速部および第2変速部はそれぞれ入力要素および出力要素を有しており、前記回転軸線を中心とする半径方向で、一方のエンド部の内側に前記第1変速部が配置され、他方のエンド部の内側に前記第2変速部が配置されているとともに、前記第1の構成要素または第2の構成要素の何れか一方が、前記第1変速部または第2変速部の何れか一方に設けられていることを特徴とする請求項7に記載の駆動装置。
- 前記電動機のトルクが前記第1変速部を経由して前記第2変速部に伝達されるように連結されていることを特徴とする請求項8に記載の駆動装置。
- 前記第2変速部の出力要素から出力された動力が伝達される被駆動部材が設けられており、この被駆動部材に伝達する動力を出力する動力源が設けられているとともに、
差動回転可能な第2入力要素および反力要素および第2出力要素を有する動力分配装置が設けられており、
前記動力源と前記第2入力要素とが動力伝達可能に接続され、モータ・ジェネレータと前記反力要素とが動力伝達可能に連結されており、
前記第2変速部の第2出力要素、および前記動力分配装置の第2出力要素が、前記被駆動部材に対して動力伝達可能に連結されており、
前記動力源および前記電動機および前記モータ・ジェネレータおよび前記第1変速部および第2変速部の各回転要素が、前記回転軸線を中心として回転可能に配置されていることを特徴とする請求項7ないし9のいずれかに記載の駆動装置。
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