JP2008128960A - 鉄系構造物の腐食評価方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】被測定部の表面状態によらず鉄系構造物の腐食度合を評価できる腐食評価方法を提供する。
【解決手段】サインポール1の画像データに基づいて錆が発生していない部位を基準表面として選択するステップ3と、この基準表面に対する被測定部の明度Lと色度a、bの差ΔL*、Δa*、Δb*に基づいて色差ΔE*abを算出して色差ΔE*abがしきい値を超える部位に錆部分抽出ウィンドゥを設定するステップ4と、色差ΔE*abから明度Lの成分を除いた色度差△abを算出して色差ΔE*abと色度差Δabとの比較に基づいて錆の進行状態を分類するステップ6と、錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabデータおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方に基づいて腐食度合を評価するステップ7,8とを含む。
【選択図】図2

Description

本発明は、鉄系構造物の腐食を画像解析によって評価する方法に関するものである。
広告や交通標識のサインポール(支柱)などの鉄系構造物は、風雨にさらされる環境で使用されるため、塗料の劣化等に起因して腐食が進行する可能性がある。そこで、技術者が鉄系構造物の腐食度合いを点検するだけでなく、画像解析によって鉄系構造物の腐食度合いを自動的に評価することが望まれている。
従来、この種の鉄系構造物の腐食評価方法として、例えば特許文献1に開示されたものは、予め設けられる専用カラーサンプルと鉄系構造物の塗膜劣化部をデジタルカメラ等を使用して同時に撮影し、この画像データをコンピュータに取り込み、カラー画像解析により腐食箇所の各画素の明度、彩度、色相をそれぞれしきい値と比較することで、薄錆、赤錆、鉄錆(黒錆)の有無を評価し、薄錆、赤錆、鉄錆の面積を求め、この面積率等により、腐食状態を評価するようになっている。
特開2001−266121
ところで、鉄系構造物の腐食状態には塗装膜の内側で錆が発生して塗装面にこぶ状の凹凸が発生することがある。この場合、錆の表面は外部に露出しておらず、上記従来の腐食評価方法によっては腐食状態を正確に評価できないという問題点があった。
また、鉄系構造物に施された塗装の色が錆の色に近い場合には錆の進行を正確に評価できないという問題点があった。
本発明は上記の問題点に鑑みてなされたものであり、被測定部の表面状態によらず鉄系構造物の腐食度合を評価できる腐食評価方法を提供することを目的とする。
本発明は、鉄系構造物の画像データを取り込むステップと、この画像データに基づいて錆が発生していない部位を基準表面として選択するステップと、この基準表面に対する被測定部の明度L、色度a、bの差ΔL*、Δa*、Δb*に基づいて色差ΔE*abを算出してこの色差ΔE*abがしきい値を超える部位に錆部分抽出ウィンドゥを設定するステップと、色差ΔE*abから明度Lの成分を除いた色度差△abを算出して、色差ΔE*abと色度差Δabとの比較に基づいて錆の進行状態を分類するステップと、錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabデータおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方に基づいて腐食度合を評価するステップとを含むことを特徴とする。
本発明は、基準表面に対する被測定部の色度差である△abおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方を用いて鉄系構造物の腐食度合を評価するものである。錆が塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出しない場合には、塗装面にこぶ状の凹凸が発生する。本発明によれば、基準表面に対するこぶ状の凹凸の色差ΔE*abを算出することによって、こぶ状の錆の進行状態及び腐食度合を評価することができる。
また、塗装の色が錆の色に近い場合でも、本発明によれば、基準表面である塗装の色に対する錆の色度差△abを算出するものであるため、錆の腐食度合を評価することができる。
以下、本発明の実施の形態を添付図面に基づいて説明する。
図1において、1は広告や交通標識のサインポールであり、このサインポール1は鋼管によって形成される鉄系構造物であり、その表面に塗装が施される。
サインポール1に発生する腐食の多くは、劣化した塗装や外的要因により塗装が剥離した部分を通じた水分との接触により生じる。この錆を通じて毛細管現象により水分が塗装の内側に侵入し、こぶ状の錆が発生することで構造物の表面に凹凸が生じ、さらに腐食が進行すると塗装面が剥離して錆の表面が露出する。鋼材に生じる錆は、色領域がばらつくものの茶褐色に変色する。こぶ状の錆が発生した段階で錆の表面は外部に露出しておらず、凹凸面としてのみ存在し模様として視認されるため、色領域のみではなく模様についても評価する必要がある。また、錆の表面が外部に露出した場合には塗装面に茶褐色のスポットが点在し、このスポットは錆の進行が進むほど広がりを持ち、さらに進行すると構造物の肉厚が減少し、凹凸面が発生する点についても着目する必要がある。以上のように、錆の進行と視覚的特徴には以下の関係がある。
錆発生の第1段階 … こぶ状の錆による凹凸の発生。
錆発生の第2段階 … 塗装の剥離により茶褐色のスポット面の発生。
錆発生の第3段階 … 茶褐色のスポットの広範囲化。
錆発生の第4段階 … 腐食の進行による肉厚の減少に伴う凹凸化。
図1に示す測定装置は塗装された鉄系構造物の腐食度合いを自動的に評価するものであり、この場合に対象となるサインポール1を撮像する撮像手段としてこのサインポール1を撮影するデジタルカメラ2を用い、コンピュータ3にデジタルカメラ2の画像データを取り込み、この画像データを処理して腐食度合いを評価する。なお、撮像手段としてCCDカメラ等を用いても良い。
デジタルカメラ2によって撮影された画像は、図1に示すように、サインポール1において塗装が剥離して茶褐色の錆が露出した部位と、塗装の内側に発生した錆により塗装面にこぶ状の凹凸が発生した部位と、錆が発生せず塗装面が平滑に保たれている部位とがある。
図2はデジタルカメラ2とコンピュータ3を用いてサインポール1の腐食度合いを評価する過程を示すフローチャートであり、以下これについて説明する。
まず、ステップ1として、デジタルカメラ2によってサインポール1を撮影し、デジタルカメラ2によって撮影した画像データをコンピュータ3に取り込む。RGB画像データはRed、Green、Blueの3軸に対する色ベクトルによって表示される。
続くステップ2として、コンピュータ3に取り込まれた画像データを基にRed、Green、Blueの3軸に対する色ベクトルの分布を図3に示すように表示する。
図3の色ベクトルの分布図において、サインポール1の塗装箇所の色ベクトルは所定範囲に分布するのに対して、塗装が剥離した錆部分の色ベクトルはこれより広い範囲に分布し、Red成分の変化量が多い特徴がある。したがって、このRGB画像データを基に塗装が剥離して茶褐色の錆が露出した部位の判定はできるが、塗装の内側に発生した錆により塗装面にこぶ状の凹凸が発生した部位の判定は難しい。
続くステップ3として、コンピュータ3に取り込まれた画像データを図4に示すように複数のウィンドゥに分割し、オペレータがモニタ上にて錆が発生せず塗装面が平滑に保たれている部位のウィンドゥを基準表面として選択する。
なお、コンピュータ3に予め基準表面の画像データを記憶させておき、コンピュータ3がその画像データを基準表面のウィンドゥとして自動的に選択するようにしてもよい。
ステップ4以降では、コンピュータ3にて取り込んだRGBデータをLab画像データに変換し、そのLab画像データに基づいて腐食度合いを評価する。このLab表色系は、明度をL、色相と彩度を示す色度をa、bで表す。a、bは、色の方向を示しており、aは赤方向、−aは緑方向、そしてbは黄方向、−bは青方向を示し、数値が大きくなるのにしたがって色あざやかになる。
まず、次式を用いてRGBデータはXYZデータに変換される。

次に、次式を用いてXYZデータはLabデータに変換される。

ただし、X0 = 0.95045、Y0 = 1.0、Z0 = 1.08892とし、これらは標準照明D65(6500度の色温度照明)における白基準値を表す。**0.333は1/3乗を表す。
次に、上記基準表面として選択されたウィンドゥ(塗装面)のL、a、bと被測定部の各ウィンドゥのL、a、bとの差ΔL*、Δa*、Δb*に基づいて色差ΔE*abを次式により算出する。
そして、色差ΔE*ab画像を図5に示しように表示するとともに、色差ΔE*abが所定のしきい値を超えるウィンドゥ、つまり、基準表面と被測定部との色差ΔE*abが所定以上であるウィンドゥを錆部分抽出ウィンドゥとして自動的に選択する(ステップ4)。
色差ΔE*ab画像は、図5に示すように、色差ΔE*abが大きい程明るい濃度で表される。塗装が剥離して茶褐色の錆が露出した部位は基準表面に対する色度a、bの差が大きいため色差ΔE*abが大きくなる。また、塗装が剥離していない部位についても、陰影部位は基準表面に対する明度Lの差が大きいため色差ΔE*abが大きくなる。そして、この陰影部位には、塗装膜の内側で発生する錆によって発生する塗装面のこぶ状の凹凸に起因する陰影部位と、構造物によって光が遮られることに起因する錆とは無関係な陰影部位とが存在する。
このように、錆部分抽出ウィンドゥとして選択されたものの中には、錆と共に構造物の陰影部位も含まれることになる。したがって、錆の進行状態を正確に把握するためには、明度Lの成分によって色差ΔE*abを補正する必要がある。
次に、ステップ5として、色差ΔE*abから明度Lの成分を除いた△abを次式により算出し、色差Δab画像を図6に表示する。△ab画像は、陰影部が除かれ色度a、bの差のみ表示されるものであり、Δabが大きい程明るい濃度で表される。便宜上、色差ΔE*abから明度Lの成分を除いた△abを色度差△abと定義する。
色度差△abの具体的な算出方法は、色差ΔE*abの算出方法と同様であり、基準表面として選択されたウィンドゥ(塗装面)のa、bと被測定部の各ウィンドゥのa、bとの差Δa*、Δb*に基づいて次式により算出する。
ここで、図5に示す色差ΔE*ab画像と図6に示す色差Δab画像とを比較してみる。
図5に示す色差ΔE*ab画像と図6に示す色差Δab画像とも明るく表示される部位は、塗装が剥離して錆が露出した部位である可能性が高い。
また、図5に示す色差ΔE*ab画像には明るく表示されるが、図6に示す色差Δab画像には明るく表示されない部位は、構造物の陰影部である可能性が高い。しかし、塗装が剥離していないこぶ状の凹凸の場合、凹凸によって塗装表面に陰影部が現れることがある。このため、その陰影部は、図5に示す色差ΔE*ab画像には明るく表示されるに対して、明るさを考慮しない図6に示す色差Δab画像には明るく表示され難い。したがって、色差ΔE*ab画像には明るく表示されるが、色差Δab画像には表示され難い部位は、塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生している部位である可能性もある。
このように、色差ΔE*abと色度差Δabとを比較することによって、塗装が剥離して錆が露出した部位(錆発生の第2段階以降)と、塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生している部位(錆発生の第1段階)とに分類することが可能となる。つまり、錆の進行状態を分類することが可能となる。
そこで、ステップ6として、色差ΔE*abと色度差Δabとの差に基づいて各錆部分抽出ウィンドゥにおける錆の進行状態を分類する。ここでは、色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値以下となる第一錆部分サンプルと、色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値を超える第二錆部分サンプルとに分ける。
色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値以下となる第一錆部分サンプルは、色差ΔE*ab画像と色差Δab画像とも明るく表示されているということになるため、前述のように塗装が剥離して錆が露出した部位である可能性が高い。これに対して、色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値を超える第二錆部分サンプルは、色差ΔE*ab画像には明るく表示されるが、色差Δab画像には明るく表示され難い(暗く表示される)ということになるため、前述のように塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生している部位であるか、又は構造物の陰影部である可能性が高い。
以上のステップでは、色差ΔE*abと色度差Δabとの差を算出して評価することによって、錆の進行状態を分類することができた。以降のステップでは、各錆部分抽出ウィンドゥの錆の腐食度合を色度差Δabデータに基づいて具体的に評価する。
ステップ7では、各錆部分抽出ウィンドゥ内の各画素の色度差Δabデータを離散フーリエ変換である次式を用いて、各画素の色度差Δab、色差ΔE*abが変化する空間周波数をそれぞれ算出し、u、v座標における空間周波数のパワースペクトル画像を求める。
錆が露出した部位であると判定された場合には錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabの空間周波数のパワースペクトル画像に基づいて腐食度合を評価する。一方、塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出していないこぶ状の錆であると判定された場合には、錆の表面が外部に露出していないため、色度差Δab画像では評価しにくい。したがって、その場合には、錆部分抽出ウィンドゥ内の色差ΔE*abの空間周波数のパワースペクトル画像に基づいて腐食度合を評価する。
図7は、各錆部分サンプルの原画像と、それに対応するパワースペクトル画像とを示している。図7において、(a)図は錆のない塗装箇所として選択された前記基準表面であり、(b)図は塗装の内側に発生した錆により塗装面にこぶ状の凹凸が発生した箇所であり、(c)図は塗装が一部剥離して茶褐色の錆が部分的に露出した箇所であり、(d)図は塗装が全部剥離して茶褐色の錆が完全に露出した箇所である。
図7に示す各パワースペクトル画像は、原画像における色度差Δabの変化を2次元の画像に変換されるものであり、パワースペクトル画像の原点は、原画像の中心と一致する。原画像の中心から各方向への色度差Δabの変化(振幅)が大きい程、パワースペクトル画像は明るい濃度を示す。また、パワースペクトル画像は原点から遠い程、Δabの変化が大きい高周波成分が多いことを示している。
(a)図の場合には、色度a、bの変化がなく均一であるため、パワースペクトル画像は単一の成分のみとなっている。
また、(b)図の場合には、原画像からわかるように、こぶ状の錆が均一に散乱し、その錆の密度は低い。したがって、パワースペクトル画像は、全周方向に伸びると共に、原点からの高周波成分の増加はそれ程大きくない。
また、(c)図の場合には、原画像からわかるように、図中斜め方向に塗装の剥離した錆が点在している。したがって、パワースペクトル画像も、斜め方向に高周波の成分が増加している。
また、(d)図の場合には、原画像からわかるように、錆が完全に露出すると共にその錆は全体に亘って発生している。したがって、パワースペクトル画像は、高周波成分が全周方向に広く分散している。
以上のように、被測定部のパワースペクトル画像を求め、基準表面のパワースペクトル画像と比較することによって、錆の腐食度合を評価することが可能となる。つまり、パワースペクトル画像は、錆の腐食度合を視覚的に表現するものであるため、一目で錆の腐食度合を確認することができる。
また、パワースペクトル画像の評価を視覚的なものに頼らずに、つまり、評価する人に依らずに画一的に評価するようにすることもできる。具体的には、高周波成分の含有率及びそのばらつき具合を評価することによって錆の進行により発生した模様の評価、つまり腐食の度合を評価することができる。
例えば、図8に示すように、パワースペクトル画像の原点から所定のΔvの幅を持った円弧状部分のパワースペクトルの平均値を求め、その平方根より得られる方向依存性のない1次元の周波数スペクトルをG(ξ)とする。パワースペクトル画像の原点から等しい円弧状部分は、同一の周波数成分を表すため、パワースペクトル画像の原点から順番にΔvにおけるG(ξ)を求め、横軸をv、縦軸をG(ξ)としてグラフに表せば、G(ξ)の形状によって錆の進行度合いを評価できる。また、パワースペクトルの評価はG(ξ)の形状のみならず、G(ξ)を光学系におけるMTFを用いた鮮鋭度指標を利用したしきい値と比較して評価しても良い。
次に、ステップ8として、各錆部分サンプルにおいて、各画素の色度差Δab、色差ΔE*abのデータに基づくフラクタルパターンの次元解析によって錆の腐食度合を評価する。
錆により発生する模様はランダム性を有しているが、同時にフラクタルの特徴である自己相似性を有している。したがって、錆に関する特徴的な次元をしきい値として定めた上で、色度差Δab、色差ΔE*abにより抽出した錆の発生箇所についてフラクタル次元を求め、そのフラクタル次元をしきい値と比較することによって腐食度合を評価することができる。
錆が露出した部位であると判定された場合には錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabのフラクタルパターンの次元解析に基づいて腐食度合を評価する。一方、塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出していないこぶ状の錆であると判定された場合には、錆の表面が外部に露出していないため、色度差Δab画像では評価しにくい。したがって、その場合には錆部分抽出ウィンドゥ内の色差ΔE*abのフラクタルパターンの次元解析に基づいて腐食度合を評価する。
図9は、図6における錆発生箇所のフラクタル次元を、ボックスカウント法により算出する場合の概要を示す。図9において、εは錆発生箇所のΔab画像のピクセルサイズであり、(a)図は、ε=1/32、1/16、1/8、1/4と変えた場合のΔab画像と、そのΔab画像を白色と黒色の2色のみにて表した二値画像とを示している。Δab画像から二値画像への変換は、各ピクセルの色度差Δabが所定のしきい値を超えた場合には白色、それ以外は黒色として行う。
次に、(b)図に示す表について説明する。N(ε)は、それぞれのεにおける二値画像中の白色のピクセル数である。ここで、対象がフラクタル性を有する場合、フラクタル次元Dは画像の解像度の変化によらず、
N(ε)〜ε−D
の関係を有する。したがって、N(ε)とεの対数をとったグラフの傾きは−Dとなり直線性を示す。
本実施の形態においても(b)図に示すようにN(ε)とεの対数をとり、各数値を(c)図に示すように縦軸をlogN(ε)、横軸をlog(ε)としてプロットすると、グラフは直線性を示すと共に、フラクタル次元Dは1.8と算出される。
したがって、このフラクタル次元1.8と予め定められた錆に関する特徴的な次元とを比較することによって、被測定個所が錆であるか否かの判定、及び錆である場合には、その錆が錆発生の何段階に属するのか等の錆の腐食度合の評価を行うことが可能となる。
このように、基準表面である塗装の色に対する錆の色度差△abに基づいてフラクタル次元を算出し腐食度合を評価することによって、腐食状態を数値化することができるため、塗装が剥離して茶褐色の錆が露出した部位の腐食度合を評価することができると共に、塗装の色が錆の色に近い場合でも、腐食度合を評価することができる。
また、従来は評価が難しかった塗装膜の内側で発生するこぶ状の錆についても、こぶ状の凹凸の色差ΔE*abに基づいてフラクタル次元を算出し腐食度合を評価することができる。
続くステップ9、10として、評価マップを作成し、錆部分の定量化、錆の検出が行われる。この評価マップとしては、色差ΔE*ab、色度差Δab、パワースペクトル画像、フラクタル次元Dを複合的に評価し、各錆部分抽出ウィンドゥごとに錆の進行度合いが異なる色で表されるようにサインポール1の画像をグラフィック表示したり、各錆部分抽出ウィンドゥごとに錆の進行状態、腐食度合を数値化したりするものが考えられる。
本発明によれば、色差ΔE*abと色度差Δabとを比較することによって、錆の進行状態を、塗装が剥離して錆が露出した部位(錆発生の第2段階以降)と、塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生している部位(錆発生の第1段階)とに分類することが可能となる。
また、さらなるステップとして基準表面である塗装に対する錆の色度差△abまたは色差ΔE*abに基づいて錆の腐食度合を評価することによって、各被測定部における錆の腐食度合を正確に評価することができる。
また、上記の錆の進行状態の分類において、塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生していると判定された部位の中には、構造物の陰影部も含まれる。しかし、基準表面である塗装の色に対する錆の色差ΔE*abに基づいて錆の腐食度合を評価することによって、塗装が剥離せずこぶ状の凹凸(錆)が発生している部位と構造物の陰影部とを正確に判別することもできる。
なお、上記実施の形態では、錆が露出した部位であると判定された場合には色度差Δabに基づいて腐食度合を評価し、塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出していないこぶ状の錆であると判定された場合には色差ΔE*abに基づいて腐食度合を評価した。しかし、錆の腐食度合は、錆が露出した部位と錆が露出していない部位のそれぞれを色度差Δabおよび色差ΔE*abの双方に基づいて評価してもよいし、錆の腐食度合に応じて色度差Δabおよび色差ΔE*abのいずれか一方に基づいて評価するようにしてもよい。
本発明は上記の実施の形態に限定されずに、その技術的な思想の範囲内において種々の変更がなしうることは明白である。
本発明の実施の形態を示し、腐食度合いを自動的に評価する測定装置の構成図である。 同じく腐食度合いを評価する過程を示すフローチャートである。 同じく色ベクトルの分布を示す図である。 同じくウィンドゥに分割した画像を示す図である。 同じく色差ΔE*ab画像を示す図である。 同じく色度差Δab画像を示す図である。 同じく各部位の原画像とパワースペクトル画像をそれぞれ示す図である。 同じく1次元の周波数ベクトルG(ξ)の測定方法を示す図である。 同じく錆発生箇所におけるフラクタル次元のボックスカウント法による算出の概要を示す図である。
符号の説明
1 サインポール
2 デジタルカメラ
3 コンピュータ

Claims (5)

  1. 鉄系構造物の画像データを取り込むステップと、
    この画像データに基づいて錆が発生していない部位を基準表面として選択するステップと、
    この基準表面に対する被測定部の明度L、色度a、bの差ΔL*、Δa*、Δb*に基づいて色差ΔE*abを算出してこの色差ΔE*abがしきい値を超える部位に錆部分抽出ウィンドゥを設定するステップと、
    色差ΔE*abから明度Lの成分を除いた色度差△abを算出して、色差ΔE*abと色度差Δabとの比較に基づいて錆の進行状態を分類するステップと、
    錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabデータおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方に基づいて腐食度合を評価するステップと、
    を含むことを特徴とする鉄系構造物の腐食評価方法。
  2. 前記錆の進行状態を分類するステップにおいて、
    色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値以下となる場合には、錆が露出した部位であると判定し、
    色差ΔE*abと色度差Δabとの差が所定値を超える場合には、塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出していないこぶ状の錆であると判定することを特徴とする請求項1に記載の鉄系構造物の腐食評価方法。
  3. 錆が露出した部位であると判定された場合には錆部分抽出ウィンドゥ内の色度差Δabデータに基づいて腐食度合を評価し、
    塗装膜の内側で発生し表面が外部に露出していないこぶ状の錆であると判定された場合には錆部分抽出ウィンドゥ内の色差ΔE*abデータに基づいて腐食度合を評価することを特徴とする請求項2に記載の鉄系構造物の腐食評価方法。
  4. 前記錆部分抽出ウィンドゥの各画素の色度差Δabデータおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方をフーリエ変換して各画素の色度差Δab、色差ΔE*abが変化する空間周波数を算出し、この空間周波数のパワースペクトル画像に基づいて腐食度合を評価することを特徴とする請求項1に記載の鉄系構造物の腐食評価方法。
  5. 前記錆部分抽出ウィンドゥの各画素の色度差Δabデータおよび色差ΔE*abデータの少なくとも一方に基づくフラクタルパターンの次元解析によって腐食度合を評価することを特徴とする請求項1に記載の鉄系構造物の腐食評価方法。
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