JP2004333201A - 溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法は、経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の表面の分光反射率を分光測色計で測定すること、測定結果にもとづいて分光反射率分布を作成すること、溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定された分光反射率分布と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる。
【選択図】 図3
Description
【発明の属する技術分野】
本発明は、溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法に関し、さらに詳しく言えば、溶融亜鉛めっきが施された構造物等のめっき皮膜の経年変化(劣化)状態を判定する方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
溶融亜鉛めっきを施された被めっき物(鋼材等からなる構造物等)のめっき皮膜には、常態では、表面に近い方からη(イータ)層と呼ばれる純亜鉛層、および亜鉛と鉄の金属間化合物であるζ(ツェータ)合金層(以下、ζ層という。)、δ1(デルタワン)合金層(以下、δ1層という。)、Γ(ガンマ)合金層(以下、Γ層という。)(図1の(A)参照)とが生成する。この鉄素地に接したΓ層は通常の溶融亜鉛めっき皮膜には認められない(図1の(A)に図示せず)。被めっき物の溶融亜鉛めっき皮膜は、時間の経過と共にそれらの層が表面から徐々に腐食する。ζ層が露出しても(図1の(B)参照)被めっき物自体の安全性が直ちに損なわれることはなく、耐食性が保たれた状態にあることはよく知られている。これは、溶融亜鉛めっき固有の耐食特性である。一方、図2に示すように、溶融亜鉛めっき皮膜の形成時、表面のη層のほとんどがζ層に成長した皮膜が形成される(これが「やけ現象」である。)ことは少なくない。この場合における耐食性もまた保たれた状態にある。
【0003】
常態の溶融亜鉛めっき皮膜の腐食の過程においてζ層が露出し、やがてδ1層が露出し、最後に鉄素地が露出した段階で溶融亜鉛めっき皮膜の耐食特性がなくなる。この過程において皮膜表面は灰色から徐々に褐色味を帯び初め、やがて赤褐色を呈し、最後には鉄錆色を呈する。これは表面のη層は純亜鉛100%に対して、ζ層はFeZn13(鉄の含有量約6%)、δ1層はFeZn7(鉄の含有量7〜11%)で表される金属間化合物なので、ζ層あるいはδ1層が表面に露出すると、層中の鉄分が酸化し変色するためである。そのため、η層が経年と共に腐食が進行し、順次ζ層、δ1層が露出し、最後に鉄素地が露出(図1の(C)参照)する過程において、補修塗装の時期が数年後に接近しているζ層なのか、δ1層あるいは鉄素地が露出しているために補修塗装が必要なのかを判断することは容易でない。このことはまた、やけ現象を生じた部分についても同様である。特に、めっき直後からζ層が表面に露出しているやけ皮膜は、常態の溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化しζ層が露出した場合よりも耐食性が優れているにもかかわらず、大気暴露中に序々に酸化し褐色を呈するため鉄錆色と誤認され塗装が施されている。
【0004】
従来、被めっき物の溶融亜鉛めっき皮膜の外観を目視により観察し、鉄錆色を呈した場合、塗装または部材の取替えを行っていた。一方、やけ皮膜もまた鉄錆色に近い色彩を呈する。従来、このやけ皮膜は、めっき皮膜厚としては十分残存し耐食性には何ら問題がないにも拘わらず、鉄錆と誤認し塗装または部材の取替えが行われていた。
【0005】
被めっき構造物の部材劣化による塗装時期の基準が明確に設定されていない場合は、部材の劣化状況に拘わらず、例えば、建設後15年経過した被めっき構造物全体を一律に塗装することもあった。
【0006】
めっき皮膜の外観をデジタルカメラで撮影し、その画像デ−タの持つRGB(Red−Green−Blue)値をデ−タ処理し、予め定めた閾値により部材の劣化状況を判定する方法もある(特許文献1参照)。この方法ではやけ皮膜という現象を考慮していないため、やけ皮膜を劣化皮膜と誤認する。
【0007】
低合金鋼の表面に生成した錆層の分光反射率を測定することにより、耐候性鋼の錆層の安定化度を診断する方法が提案されている(特許文献2参照)。この方法もまたやけ皮膜という現象を考慮していないため、やけ皮膜を劣化皮膜と誤認する。
【0008】
【特許文献1】特開2001−343226号公報
【特許文献2】特開2002−236120号公報
【0009】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は、溶融亜鉛めっきが施された構造物等において、めっき皮膜厚は十分残存し耐食性には何ら問題がないやけ皮膜と、常態皮膜が腐食した錆とを判定し、塗装または部材の取替え時期を的確に把握することを課題にしている。
【0010】
【課題を解決するための手段】
本発明者等は、溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化の過程を詳細に検討した結果、次の知見を得た。図1の模式図において、(A)図は、常態の溶融亜鉛めっき皮膜を示す。溶融亜鉛めっきを施された被めっき物(鋼材等からなる構造物等)のめっき皮膜には、亜鉛(Zn)層(η層)と合金層とが生成され、めっき加工直後は光沢のある銀白色を呈する。この合金層の表面に近い部分をツェータ(ζ)層といい、ζ層と鉄(Fe)素地との中間部分をデルタワン(δ1)層という。表面のη層は純亜鉛100%に対して、ζ層はFeZn13(鉄の含有量約6%)、δ1層はFeZn7(鉄の含有量7〜11%)で表される金属間化合物なので、ζ層あるいはδ1層が表面に露出する過程で、灰色から徐々に褐色味を帯び初め、やがて赤褐色を呈し、最後には鉄地が露出して鉄錆色を呈する。これに対し、図2に示すように、溶融亜鉛めっき皮膜の形成時、表面のη層のほとんどがζ層に変化した皮膜が形成されることは少なからず生じている。一般的に、このやけ皮膜は溶融亜鉛めっき加工条件により部材表面に部分的に発生し、めっき直後の外観は灰色、甚だしい場合は暗灰色を呈する。このやけ皮膜の表面にはめっき直後からζ層が露出しているため、大気暴露中に序々に酸化し黒灰色、甚だしい場合には褐色を呈する。
【0011】
被めっき物の常態の溶融亜鉛めっき皮膜は、時間の経過と共にそれらの層が段階的に腐食する。図1の(B)に示すように、ζ層が露出しても被めっき物自体の安全性が直ちに損なわれることはなく、耐食性は保たれた状態にある。このζ層が表面に露出すると薄褐色から褐色の色を呈する。さらに腐食が進行すると、図1の(C)に示すように、ζ層が消失されてδ1層が露出し赤褐色を、さらに鉄素地が露出し赤褐色から黒褐色の範疇の色に変色する。このことから、溶融亜鉛めっき皮膜の腐食の過程においては、常態のめっき皮膜が劣化していく過程で現れるζ層(図1の(B)参照)か、やけ現象によるζ層(図2参照)か、さらに腐食が進行したδ1層か、被めっき物の鉄素地の錆(図1の(C)参照)か、を肉眼的に判定することは困難である。このため、常態のめっき皮膜の露出またはやけ現象のζ層を、常態のめっき皮膜が腐食したδ1層または被めっき物の鉄素地の錆と誤認し、塗装または取替えが行われるのである。
【0012】
光源から放射された光が物体に当たり、その光が物体によってある量だけ反射されて目に入ることから色の知覚が生じる。色を知覚できる光は可視光線領域の光であり、この光の波長のどの部分をどれだけ吸収し、どれだけ反射するかが物体によって違うため、それぞれが固有の色を持つ。この反射される光の各波長成分に対する反射率の変動を分光反射率分布という。分光反射率分布は光を当てる対象物によって様々な分布パターンを呈する。このように色の表示を行う場合、分光反射率分布による表示とは別に色を数値化する方法があり、それらの一つにL*a*b*表色系による物体色の表示方法がある。L*a*b*表色系では明度を示す色度をL*、色相と彩度を示す色度をa*、b*で表す。本発明者等は、これらの分光反射率分布パタ−ンまたはL*a*b*表色値を用いてやけ皮膜(ζ層)と錆の判定を行うことに着目したのである。
【0013】
そこで、本発明法では、対象物の所定箇所における色彩の分光反射率分布またはL*a*b*表色値を取得し、その分光反射率分布パタ−ンまたは表色値からやけ現象のζ層と腐食が進行したδ1層あるいは被めっき物の鉄素地の錆かを判定する。
【0014】
本発明にもとづく溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法は、経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜(以下、めっき皮膜という。)の表面を分光測色計で測定すること、測定結果にもとづいて分光反射率分布を作成すること、溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定された分光反射率分布と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる。
【0015】
本発明にもとづく溶融亜鉛めっき皮膜の別の経年変化判定方法は、経年変化しためっき皮膜の表面のL*a*b*表色値を色彩色差計で直接測定するか或いは分光測色計で測定した分光反射率を演算することにより取得すること、これにより得られたL*a*b*表色値を溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定されたL*a*b*表色値と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる。
【0016】
溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法は、やけ現象のある溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩と、やけ現象が発生していない常態溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩との相違を判定することもできる。
【0017】
溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法は、分光測色計によって得られた分光反射率分布、或いは、色彩色差計によって得られたL*a*b*表色値または分光測色計によって得られた分光反射率を演算することにより得られたL*a*b*表色値を、予め定めた溶融亜鉛めっきのやけ皮膜と常態溶融亜鉛めっき皮膜を判定する閾値により、やけ皮膜と常態皮膜の色彩の相違を判定することからさらになる。
【0018】
溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法は、分光反射率分布において、波長700nm以上における反射率の変化率の平均値がゼロを超えることを条件として、塗装補修等を実施することを判定し、さらに、経年変化分析結果フローチャートにより判定した結果から塗装時期が接近していることを予知することからさらになる。
【0019】
溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法はさらに、L*a*b*表色値において、L*<90で、a*≧2かつb*≧5であり、そして4×a*−b*≧8であることを条件として、塗装補修等を実施することを判定し、さらに、経年変化分析結果フローチャートにより判定した結果から塗装時期が接近していることからなる。
【0020】
【発明の実施の形態】
【実施例1】
図3は、溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程における各代表的状態の分光反射率分布を示す。
【0021】
本実施例の判定方法においては、溶融亜鉛メッキ皮膜の経年変化を次のように定義する。次に示すのは常態の溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
a.経年変化I
(1)分光反射率分布:波長360〜740の範囲において、反射率の最小値が70%を超える。
(2)劣化状態:めっき直後のη層が表面に形成されている状態。銀白色を呈する。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
b.経年変化 II
(1)分光反射率分布:波長360〜740の範囲において、反射率の最大値マイナス(−)反射率の最小値が4〜12%の範囲内にあり、かつ、反射率の最大値が20%を超える。
(2)劣化状態:η層の劣化が進んでいるが、ζ層が全面的に残っている状態。
灰色を呈する。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
c.経年変化 III
(1)分光反射率分布: 経年変化分析結果フローチャートにより経年変化IIIと判定される。
(2)劣化状態:η層が消耗し、ζ層が全面的に露出した状態。薄褐色または褐色を呈する。
(3)塗装時期:数年以内に塗装補修等の必要あり。
d.経年変化 I V
(1)分光反射率分布: 波長700nm以上における反射率の変化率の平均値がゼロを超える。
(2)劣化状態:ζ層の劣化が進みδ1層あるいは鉄素地が露出した状態。赤褐色または黒褐色を呈する。
(3)早急に塗装補修等の必要あり。
【0022】
次に示すのはやけ現象が発生した溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
e.経年変化A
(1)分光反射率分布:反射率の最大値マイナス(−)反射率の最小値が4%未満。
(2)劣化状態:めっき直後のζ層が表面に露出しやけ現象が発生している状態。灰色あるいは暗灰色,甚だしい場合は黒灰色を呈する。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
f.経年変化B
(1)分光反射率分布:反射率の最大値が18%未満でかつsol(反射率の分布データを高次関数で近似した曲線が上に凸となるときの頂点に相当する波長)が585〜645nmの範囲内にある。
(2)劣化状態:めっき直後のζ層が表面に露出したやけ現象が発生し,表面が酸化した状態。褐色を呈する。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
g.経年変化C
(1)分光反射率分布: 波長700nm以上における反射率の変化率の平均値がゼロを超える。
(2)劣化状態:ζ層の劣化が進みδ1層あるいは鉄素地が露出した状態。赤褐色または黒褐色を呈する。
(3)早急に塗装補修等の必要あり。
【0023】
このように常態溶融亜鉛めっき皮膜の色彩は経年変化I・II・III・IVと、やけ皮膜の色彩は経年変化A・B・Cと変化する。これらの場合の色彩は厳密にいうと必ずしも均一な色彩ではないが、人間の視覚ではほぼ均一的な色彩であるという判断のもとに本研究を行った。しかし、これらの各経年変化ランクから次の経年変化ランクに腐食が進行する場合、色彩が一様でない、まだらな、あるいは斑点を呈するような場合が生じる。この場合、例えばその斑点とその周囲を個別に測定する必要がある。この各ランク間の状態は次のように定義する。
【0024】
次に示すのは常態の溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
h.経年変化 II 〜 III
(1)分光反射率分布:経年変化II及びIIIの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化II及びIIIの共存状態。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
i.経年変化 III 〜 I V
(1)分光反射率分布:経年変化III及びIVの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化III及びIVの共存状態。
(3)塗装時期:早急に塗装補修等の必要あり。
【0025】
次に示すのはやけ現象が発生した溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
j.経年変化A〜B
(1)分光反射率分布:経年変化A及びBの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化A及びBの共存状態。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
k.経年変化B〜C
(1)分光反射率分布:経年変化B及びCの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化B及びCの共存状態。
(3)塗装時期:早急に塗装補修等の必要あり。
【0026】
図4は、上記の経年変化分析結果を表したフロ−チャ−トの一例を示す。
【0027】
本発明にもとづく溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法は、原則として、経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜(以下、めっき皮膜という。)の表面の分光反射率を分光測色計で測定すること、測定結果にもとづいて分光反射率分布を作成すること、溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定された分光反射率分布と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる。
【0028】
やけ現象のある溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩と、やけ現象が発生していない常態溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩との相違を判定することもできる。分光測色計によって得られた分光反射率分布を、予め定めた溶融亜鉛めっきのやけ皮膜と常態溶融亜鉛めっき皮膜を判定する閾値と比較することにより、やけ皮膜と常態皮膜の色彩の相違を判定することからさらになる。
【0029】
溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法は、分光反射率分布において、波長700nm以上における反射率の変化率の平均値がゼロを超えることを条件として、塗装補修等を実施することを判定し、さらに、経年変化分析結果フローチャートにより判定した結果から数年以内に塗装時期が接近していることを予知することからさらになる。
【0030】
【実施例2】
図5および6は、溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程における各代表的状態のL*a*b*表色値を示す。
【0031】
本実施例の判定方法においては、溶融亜鉛メッキ皮膜の経年変化を次のように定義する。次に示すのは常態の溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。なお、各経年変化における「劣化状態」および「塗装時期」は前記実施例で述べたのと同様であるので、冗長を避けるため、各経年変化における「L*a*b*表色値」に関してのみ説明する。
a.経年変化I
L*a*b*表色値:L*の値が90以上である。
b.経年変化 II
L*a*b*表色値:L*の値が51以上90未満であり、そしてa*の値が2 未満でかつb*の値が5未満である。
c.経年変化 III
L*a*b*表色値:L*の値が45以上90未満であり、a*の値が2以上で かつb*の値が5以上であり、そして(4×a*−b*)の 値が8未満である。
d.経年変化 I V
L*a*b*表色値:L*の値が90未満であり、a*の値が2以上でかつb*の 値が5以上であり、そして(4×a*−b*)の値が8以 上である。
【0032】
次に示すのはやけ現象が発生した溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法であり、前述と同様に、各経年変化における「劣化状態」および「塗装時期」は前記実施例で述べたのと同様であるので、各経年変化における「L*a*b*表色値」に関してのみ説明する。
e.経年変化A
L*a*b*表色値:L*の値が51未満であり、そしてa*の値が2未満でか つb*の値が5未満である。
f.経年変化B
L*a*b*表色値:L*の値が45未満であり、a*の値が2以上でかつb*の 値が5以上であり、そして(4×a*−b*)の値が8未 満である。
g.経年変化C
L*a*b*表色値:L*の値が90未満であり、a*の値が2以上でかつb*の 値が5以上であり、そして(4×a*−b*)の値が8以 上である。
【0033】
前記実施例で述べたように、常態溶融亜鉛めっき皮膜の色彩は経年変化I・II・III・IVと、やけ皮膜の色彩は経年変化A・B・Cと変化する。これらの場合の色彩は厳密にいうと必ずしも均一な色彩ではないが、人間の視覚ではほぼ均一的な色彩であるという判断のもとに本研究を行った。しかし、これらの各経年変化ランクから次の経年変化ランクに腐食が進行する場合、色彩が一様でない、まだらな、あるいは斑点を呈するような場合が生じる。この場合、例えばその斑点とその周囲を個別に測定する必要がある。この各ランク間の状態は次のように定義する。
【0034】
次に示すのは常態の溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
h.経年変化 II 〜 III
(1)L*a*b*表色値:経年変化II及びIIIの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化II及びIIIの共存状態。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
i.経年変化 III 〜 I V
(1)L*a*b*表色値:経年変化III及びIVの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化III及びIVの共存状態。
(3)塗装時期:早急に塗装補修等の必要あり。
【0035】
次に示すのはやけ現象が発生した溶融亜鉛めっき皮膜の経年劣化判定方法である。
j.経年変化A〜B
(1)L*a*b*表色値:経年変化A及びBの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化A及びBの共存状態。
(3)塗装時期:塗装補修等の必要なし。
k.経年変化B〜C
(1)L*a*b*表色値:経年変化B及びCの共存状態。
(2)劣化状態:経年変化B及びCの共存状態。
(3)塗装時期:早急に塗装補修等の必要あり。
【0036】
図7は、上記の経年変化分析結果を表したフロ−チャ−トの一例を示す。
【0037】
【発明の効果】
本発明によれば、溶融亜鉛めっき構造物において、従来不要であった塗装補修等をなくし、塗装補修等の必要時期を的確に判定することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程の代表例を示す模式図である。
【図2】やけ現象の溶融亜鉛めっき皮膜の代表例を示す模式図である。
【図3】溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程における各代表的状態の分光反射率分布を示すグラフである。
【図4】図3の経年変化分析結果の一例を表したフロ−チャ−トである。
【図5】溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程における各代表的状態のa*およびb*の値を示すグラフである。
【図6】溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化過程における各代表的状態のL*の値を示すグラフである。
【図7】図5および6の経年変化分析結果の一例を表したフロ−チャ−トである。
Claims (6)
- 経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の表面の分光反射率を分光測色計で測定すること、測定結果にもとづいて分光反射率分布を作成すること、溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定された分光反射率分布と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法。
- 経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の表面のL*a*b*表色値を色彩色差計で測定するか或いは分光測色計で測定した分光反射率を演算することにより取得すること、得られたL*a*b*表色値を溶融亜鉛めっき皮膜の代表的経年変化状態ごとに予め測定されたL*a*b*表色値と比較すること、該比較結果にもとづいて経年変化した溶融亜鉛めっき皮膜の状態を判定することからなる溶融亜鉛めっき皮膜の経年変化判定方法。
- やけ現象のある溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩と、やけ現象が発生していない常態溶融亜鉛めっき皮膜が経年変化した場合の表面の色彩との相違を判定することからなる、請求項1または2に記載の方法。
- 前記得られた分光反射率分布またはL*a*b*表色値を、予め定めた溶融亜鉛めっきのやけ皮膜と常態溶融亜鉛めっき皮膜を判定する閾値により判定することからなる、請求項1または2に記載の方法。
- 分光反射率分布において、波長700nm以上における反射率の変化率の平均値がゼロを超えることを条件として、塗装補修等を実施することを判定し、さらに、経年変化分析結果フローチャートにより判定した結果から塗装時期が接近していることを予知する、請求項1に記載の方法。
- L*a*b*表色値において、L*<90で、a*≧2かつb*≧5であり、そして4×a*−b*≧8であることを条件として、塗装補修等を実施することを判定し、さらに、経年変化分析結果フローチャートにより判定した結果から塗装時期が接近していることを予知する、請求項2に記載の方法。
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