JP2004325358A - 鋳鉄成分比率測定装置及びその測定方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】鋳鉄のパーライト率、フェライト率を精度良く測定すること。
【解決手段】鋳鉄の研磨面をピクリン酸によりエッチングしてパーライトだけを酸化させる。この処理をした研磨面の画像を撮像する。顕微鏡10の頭部にモノクロCCDカメラ11を設け、その後段に複数の閾値を設定する閾値設定装置12、画像分類装置13、成分率演算装置14、画像表示装置15を設ける。鋳鉄の各成分はその成分に特有の輝度で反射し、モノクロCCDカメラ11で撮像される。よって、閾値設定装置12がその特性に基づいて複数の閾値を設定し、画像分類装置13がその複数の閾値を用いて濃淡画像を多値画像(例えば3値画像)に変換する。そして、成分率算出装置14が同一輝度(同一成分)の面積を求め、その面積占有率を算出する。最後に、画像表示装置15がその面積占有率を試料の各成分率として表示する。
【選択図】図1
【解決手段】鋳鉄の研磨面をピクリン酸によりエッチングしてパーライトだけを酸化させる。この処理をした研磨面の画像を撮像する。顕微鏡10の頭部にモノクロCCDカメラ11を設け、その後段に複数の閾値を設定する閾値設定装置12、画像分類装置13、成分率演算装置14、画像表示装置15を設ける。鋳鉄の各成分はその成分に特有の輝度で反射し、モノクロCCDカメラ11で撮像される。よって、閾値設定装置12がその特性に基づいて複数の閾値を設定し、画像分類装置13がその複数の閾値を用いて濃淡画像を多値画像(例えば3値画像)に変換する。そして、成分率算出装置14が同一輝度(同一成分)の面積を求め、その面積占有率を算出する。最後に、画像表示装置15がその面積占有率を試料の各成分率として表示する。
【選択図】図1
Description
【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳鉄におけるパーライト率とフェライト率を高精度を測定できる装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋳鉄製品おいては、パーライト率とフェライト率と黒鉛球状化率がその製品の品質を評価するのに重要な役割を果たしている。特に、薄い鋳鉄品を製造する場合には、精確なパーライト率とフェライト率を知る必要があった。ここで黒鉛球状化率は、鋳鉄に含まれる黒鉛の球状化率を意味し、パーライト率はフェライトとセメンタイト(Fe3C) が交互に重なり合って構成された層状組織率を意味し、フェライト率はα鉄が炭素や他の成分を固溶して結晶化した結晶組織化率を意味する。特にパーライト率は鋳鉄の強度を表す指標となっている。
【0003】
従来これらの成分率は、以下のような画像処理で求められていた。先ず、切り出し研磨する。そしてその研磨表面を撮像顕微鏡で撮像し画像処理する。図7(a)がその濃淡画像(原画像)である。黒色が黒鉛成分であり、黒色の周囲が概ねフェライト成分、他はパーライト成分である。又、図7(b)は図7(a)の濃淡画像を2値化処理した画像である。成分率の算出に当たっては、先ず2値化画像において黒色(黒鉛)のみの面積を例えば画素数で計数しSk とする。次に、円形粒子(球状黒鉛)をピックアップしその面積を計数しSc とする。これにより、黒鉛球状化率(Sc /Sk )を算出する。
【0004】
又、パーライト率、フェライト率は以下のように算出する。先ず鋳鉄をピクリン酸等でエッチング処理する。これにより、パーライト領域が酸化して赤茶色に変色する。この状態で顕微鏡で撮像し2値画像に処理すると、赤褐色のパーライト部も黒色に変換されて図7(c)の画像が得られる。ここで、黒色(酸化パーライト領域+黒鉛領域)の面積を計数しSW とする。そして、エッチング前に算出した黒鉛の面積Sk を差し引いて、パーライト領域のみの面積を算出する。即ち、Sp =Sw −Sk を演算してパーライトの面積とする。又、図7(c)の2値画像において白色はフェライト領域であるので、その面積を計数しSf とする。そしてパーライト率(rp =Sp /(Sp +Sf ))、フェライト率(rf =Sf /(Sp +Sf ))をそれぞれ算出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来方法においては図7(c)のエッチング画像を得るため、一旦、顕微鏡から試料を取り外す必要がある。そして、エッチング後再び顕微鏡に搭載し、そのエッチング面を撮像する。この時、試料の回転、位置ずれ等によって同一箇所を撮像することはほとんど不可能である。即ち、エッチング前の画像とエッチングの画像とが同一領域の画像ではなかった。このために、エッチング後の画像において黒色で分類された画像は、黒鉛部分を含んでいるが、この黒鉛部分の面積はエッチング前の画像において求められた領域の面積からもとめているので、エッチング後の黒色画像から正確に黒鉛部分の画像を除去するものではナカッタ。この結果、パーライトの全視野に占める割合に明らかな誤差を含み、パーライト率は誤差を含むと共に、その結果としてフェライト率も誤差を含むものであった。従来は、鋳鉄が厚いものであったので、この誤差はそれほど問題ではなかった。しかし、最近、薄膜鋳鉄製品が供給されるようになると、薄膜鋳鉄製品の強度性能を評価するには、パーライト率やフェライト率の正確な値が必要となってきた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は鋳鉄のパーライト率やフェライト率を精度良くしかも1回の撮像で簡単に求めることである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の作用効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載の画像処理装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面においてフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理をして、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、前記研磨面を濃淡画像で撮像する撮像装置と、前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定する閾値設定手段と、前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類する画像分類手段と、前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積と前記第2ランクに属する画像の面積とから、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴とする鋳鉄成分比率測定装置である。
【0008】
例えば、直径25mmφ、長さ180mmの円錐形状に鋳鉄を加工し、その軸に垂直に高さの中央部で切断する。その切断面を研磨する。次に、この研磨面において、フェライトとパーライトとで、輝度(変色の結果輝度が変化する場合も含む)が異なるように処理をする。この処理としては、例えば、研磨面を腐食液で処理することでパーライトだけを酸化させて、フェライトと異なる輝度、又は、変色させることで結果として濃淡画像における輝度(明度と同一意味)をパーライトとフェライトとで異なるように処理することがあげられる。腐食液としては、ナイタールやピクラール、ピクリン酸(トリニトロフェノール)など、フェライトは酸化させずに、パーライトだけを酸化させるその他の酸を用いることができる。また、フェライトとパーライトのいずれか一方を変色又は着色させる物質で処理しても良い。このように処理された鋳鉄の研磨面を、通常の場合には、顕微鏡によって拡大し、その顕微鏡像を撮像装置によって撮像して、試料を構成する各成分が濃淡画像で観察される。この時、例えば、黒鉛成分aは成分aに特有の輝度a’を有し、パーライト成分bは成分bに特有の輝度b’を、フェライト成分cは成分cに特有の輝度c’を有する。閾値設定手段は、その濃淡画像に対して各成分が容易に判別できるよう第1閾値、第2閾値、第3閾値を設定する。輝度a’<輝度b’<輝度c’とする時、各成分が分離されるように、上記の3つの閾値を設定する。例えば、第1閾値を(a’+b’)/2に、第2閾値を(b’+c’)/2に設定する。通常は、成分が微小であるので、通常は、顕微鏡やレンズ系等の光像拡大装置、電子像拡大装置等の光、電子系の拡大装置が用いられるが、撮像装置の画素分解能が十分であれば、これらの拡大装置は必要でなくなる場合もある。これは、以下のカラー画像を処理する発明、方法発明の場合において同様である。
【0009】
そして、画像分類手段は、それらの3つの閾値により濃淡画像を第1閾値よりも低い輝度を有した第1ランク、第1閾値と第2閾値との間の輝度を有した第2ランク、第3閾値よりも高い輝度を有した第3ランクの3つのランクに分類する。具体的な分類の方法としては、例えば、第1閾値(a’+b’)/2以下の輝度を有する第1ランクの画像に対して、輝度a’に変換し、第2閾値(b’+c’)/2よりも大きい輝度を有する第3ランクの画像に対して、輝度c’に変換する。又、第1閾値と第2閾値との間に属する画像に対して、輝度b’に変換する。このように3つのランクを表す3つの輝度の何れかに、各画素の輝度が変換されて、濃淡画像は3ランクに分類される。尚、黒鉛成分は輝度が最も低いので第閾値より低い画像である第1ランクで分類でき、パーライトだけを酸化させて褐色にする場合には、処理後のフェライトの輝度よりも低いので、パーライトが第2ランクの画像、フェライトが最も明るい第3ランクの画像として分類できる。しかし、これと逆に、フェライトに対して輝度の低下又は変色の処理をする場合には、フェライトは第2ランクの画像に分類され、パーライトが最も明るい第3ランクの画像に分類される。
【0010】
そして、成分率演算手段は、画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、第2ランクに属する画像の面積と第3ランクに属する画像の面積からパーライト率とフェライト率を演算する。パーライトを酸化させて褐色にする処理を採用した場合には、第2ランクに属する画像の面積からパーライト率を演算し、第3ランクに属する画像の面積からフェライト率を演算する。パーライト率、フェライト率は、第2ランク及び第3ランクに属する画像の総面積に対する、第2ランクに属する画像の面積率、第3ランクに属する画像の面積率で、それぞれ、演算される。
【0011】
このように、本件発明では、研磨面を処理した後の撮像画像だけで、パーライト率とフェライト率を求めており、研磨面を処理する前の画像を用いていないので、極めて正確なそられの値を得ることができる。
【0012】
又、請求項2に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1に記載の発明において、第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに設けたことを特徴とする。黒鉛の輝度は最も低いので、黒鉛の画像は第1ランクに分類される。その第1ランクの画像から黒鉛の球状化率が測定される。球状化率は次のように演算される。1画像視野において、黒鉛の総面積が演算される。次に、垂直な2方向において半径の等しい球形の画像を抽出し、この画像の面積を求める。総面積に対する球状黒鉛の面積に割合により黒鉛球状化率が算出される。黒鉛球状化率、パーライト率、フェライト率の3種類のパラーメータにより鋳鉄における特性の把握や品質管理を容易に行うことが可能となる。尚、成分比率の用語は、パーライト率、フェライト率のように成分の割合を意味するものの他、黒鉛球状化率のように特性に関係する比率の意味でも使用しており、各成分の特性に関与するパラメータの広い意味で使用している。したがって、成分比率は、下記の黒鉛の粒数、平均粒径、面積率をも含む意味である。
【0013】
又、請求項3に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項2に記載の発明において、第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。第1ランクに属する画像の、例えば、輪郭の解析により、粒子を分離して認識することが可能となる。これにより、粒子数の計数や粒径の測定、さらには、1画像視野において黒鉛が占める面積の割合(面積率)を演算する。これらのパラメータがさらに把握できることにより、鋳鉄の特性と品質のより精密を把握が可能となる。
【0014】
又、請求項4に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項2に記載の発明において、撮像装置により得られた濃淡画像、画像分類手段により分類された画像、成分率演算手段により演算された結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。撮像装置により得られた濃淡画像と画像分類手段により分類されか画像を表示する結果、閾値の設定が正確であって、画像の分類が正確に行われており、黒鉛、パーライト、フェライトが正確に分類されているかを作業者は容易に認識できる。又、演算結果も同時に表示されることから、画像を見と比較することで、その結果に対する信頼性の評価を作業者は与えることができる。
【0015】
又、請求項5に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、閾値設定手段は、第1閾値、第2閾値を、表示手段により表示された画像に応じて、可変的に設定する手段であることを特徴とする。即ち、第1閾値、第2閾値は可変的に設定可能としたので、分類前の濃淡画像と分類後の画像とを対比して、正確な分類が可能なように2つの閾値を設定することができ、成分比率をより正確に求めることが可能となる。
【0016】
又、請求項6に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、閾値設定手段は、第1閾値、第2閾値を、濃淡画像のヒストグラム処理結果から算出することを特徴とする。濃淡画像は様々な輝度を有する画素から構成されている。よって、横軸に輝度をとり縦軸にその度数をとれば、例えば図3に示すヒストグラムが得られる。このヒストグラムを用いて閾値を設定する。例えばヒストグラムの極小値を閾値とする。図3のように、輝度a’、輝度b’、輝度c’を中心に輝度が分布する場合、このヒストグラムの極小値の輝度p’、q’を第1閾値、第2閾値に、それぞれ、設定する。このようにすれば自動的に、的確に閾値を設定することができる。これにより、各成分率を精度よく算出することができる。
【0017】
又、請求項7に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、前記研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、前記カラー画像を色相で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、前記カラー画像を色相に関する前記閾値によって分類した画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴する鋳鉄成分比率測定装置である。
【0018】
この請求項に係る発明は、鋳鉄の研磨面を処理した後、その研磨面のカラー画像を得て、カラー画像の色相により画像を分類したことが特徴である。鋳鉄の研磨面を顕微鏡等で撮像する場合、構成成分の色相が異なっていても、輝度の差が小さく、輝度による分類が困難な場合がある。即ち、モノクロ用の撮像装置では正確に各成分率を算出できない場合がある。このような場合に対して、本発明では試料をカラー画像撮像装置で撮像する。色相は、例えば、6バイトのRGB指標で表現される。先頭の2バイトでR成分の輝度を表し、中間の2バイトでG成分の輝度を表し、最後尾の2バイトでB成分の輝度を表す。
【0019】
R成分、G成分、B成分に対してそれぞれ所定の閾値を設定し、その所定の閾値より大であれば、その成分を主勢と判定し第1所定値A1 を付与する。逆に、所定の閾値より小であれば、その成分を劣勢と判定し第2所定値A2 (A1 >A2 )を付与する。即ち、8種類の色相で濃淡画像を分類する。そして、このようにランクに分類された画像に対して、各画素のRGBをランクを代表する具体的な値とする。例えば、白、黒、赤、黄等の色を各画素に与える。次に、成分率演算手段により、色相に関して分類された画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率が演算される。この請求項の発明では、濃淡画像では、明確に画像を分類できない場合に、有効である。よって、成分比率をより正確に求めることが可能となる。
【0020】
又、請求項8に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、カラー画像を色相で分類するための閾値と、カラー画像の輝度で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、カラー画像を閾値によって分類された画像と、カラー画像の輝度に関する閾値により分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴する。
【0021】
又、請求項9の発明は、請求項8の発明において、パーライト率は、カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、フェライト率は前記輝度により分類された画像から前記パーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする。
【0022】
請求項8、9の発明は、カラー画像を色相で分類し、かつ、輝度でも分類するものである。例えば、鋳鉄の研磨面を酸化処理した場合にはパーライトの画像は褐色を呈するので、この褐色部分を色相による分類で抽出する。又、黒鉛の画像は黒色、フェライトの画像は白色となる。よって、色相による分類でパーライトの画像が抽出され、そのパーライトの画像を除去して(請求項9の発明)、残りのカラー画像を輝度によって2つに分類することで、黒鉛とフェライトとを分離することが可能となる。このように、本件発明によれば、黒鉛の画像、フェライトの画像、パーライトの画像を極めて正確に分離できるので、フェライト率、パーライト率を極めて正確に求めることが可能となる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項7の発明において、カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする。又、請求項11の発明は、請求項7の発明において、カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする。又、請求項12の発明は、請求項10又は請求項11の発明において、黒鉛成分演算手段は、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。
【0024】
これらの構成を採用することにより、黒鉛球状化率、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率を測定することができ、鋳鉄の特性と品質をさらに詳しく知ることができる。
【0025】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項12の何れか1項の発明において、鋳鉄の研磨面の処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする。この構成により、パーライトだけを褐色に変色させることができるので、カラー画像において褐色の色相のランクを有する画素を抽出することで、パーライトを他の黒鉛やフェライトと正確に分離して抽出することが可能となる。
【0026】
請求項14の発明は、請求項1の装置発明に対応する方法発明である。即ち、請求項14の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理し、その処理された研磨面を濃淡画像で撮像し、前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定し、前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類し、前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積からフェライト率を演算し、前記第2ランクに属する画像の面積からパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
この方法は発明は、請求項1の発明の説明で記載した作用と効果を奏し、この方法を用いることによって、鋳鉄のフェライト率とパーライト率を極めて正確に測定することができる。
【0027】
請求項15の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、前記カラー画像を色相に関して分類し、色相により分類された画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
この方法発明は、請求項7の装置発明に対応するものである。カラー画像における色相により画像を分類することで、黒鉛、パーライト、フェライトを正確に分類することができ、その結果、パーライト率とフェライト率を極めて正確に測定することが可能となる。
【0028】
又、請求項16の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、前記カラー画像を色相によって分類された画像と、前記カラー画像を輝度によって分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
【0029】
又、請求項17の発明は、請求項16の発明において、パーライト率は、カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、フェライト率は輝度により分類された画像からパーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする。
【0030】
請求項16の発明は、請求項8の装置発明に対応する方法発明であり、請求項17の発明は、請求項9の装置発明に対応する方法発明である。この方法を実施することにより、パーライト率、フェライト率を極めて正確に求めることができ、鋳鉄の特性と品質を正確に把握することが可能となる。
【0031】
請求項18の発明は、請求項14の発明において、第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を、さらに演算することを特徴とする。又、請求項19の発明は、請求項18の発明において、第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。さらに、請求項20の発明は、請求項15の発明において、カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする。又、請求項21の発明は、請求項16の発明において、カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする。請求項22の発明は、請求項20又は請求項21の発明において、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。又、請求項23の発明は、請求項14乃至請求項22の何れか1項の発明において、鋳鉄の前記研磨面の前記処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする。
【0032】
請求項18の発明は、請求項2の装置発明に対応する方法発明であり、請求項19の発明は、請求項3の装置発明に対応する方法発明であり、請求項20の発明は、請求項10の装置発明に対応する方法発明であり、請求項21の発明は、請求項11の装置発明に対応する発明であり、請求項22の発明は、請求項12の装置発明に対応する方法発明であり、請求項23の発明は、請求項13の装置発明に対応する方法発明である。
【0033】
これらの方法発明は、上記の対応する装置発明の説明で記述したように作用し、効果を有する。この結果、鋳鉄の特性や品質を精度良く把握することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例について図を用いて説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
図1に本発明の鋳鉄成分比率測定装置を示す。図は装置の構成図である。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は鋳鉄試料における黒鉛球状化率、パーライト率、フェライト率等の成分率を測定する装置である。
【0035】
まず、資料は次のように準備される。Yブロック、ノックオフ型の鋳鉄を作成される。これを、直径25mmφ、長さ180mmの円錐形状に加工し、その軸に垂直に高さの中央部で切断する。その切断面を研磨する。次に、この研磨面において、フェライトとパーライトとで、輝度(変色の結果輝度が変化する場合も含む)が異なるように処理をする。この処理の具体例として、研磨面を腐食液で処理することでパーライトだけを酸化させて、フェライトと異なる輝度、又は、変色させた。この結果として濃淡画像における輝度(明度と同一意味)をパーライトとフェライトとで異なるように処理する。腐食液には、ナイタールやピクラール、ピクリン酸(トリニトロフェノール)など、フェライトは酸化させずに、パーライトだけを酸化させるその他の酸を用いることができる。本実施例ではピクリン酸を用いて、鋳鉄の研磨面を腐食処理して酸化させた。この腐食処理によりパーライトだけを褐色に変色させることができた。
【0036】
研磨面に対してこの処理を施した鋳鉄2をテーブル1の上において、研磨面1aを顕微鏡10で拡大し、研磨面1aの画像を撮像する。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は、顕微鏡10の頭部に設置された撮像装置であるモノクロCCDカメラ11、閾値設定手段である閾値設定装置12、濃淡画像を3つの輝度ランクに分類する画像分類手段である画像分類装置13、パーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等を求める成分率演算手段である成分率演算装置14、そして撮像した状態の濃淡画像、濃淡画像を分類した後の分類画像、分類画像から求めたパーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等をディスプレイ等に表示する表示手段である画像表示装置15から構成される。尚、閾値設定装置12、画像分類装置13、成分率演算装置14、画像表示装置15は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O装置、ハードディスク装置、及びハードディスク装置に書かれたプログラムからなる例えばパーソナルコンピュータ装置で構成される。
【0037】
本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は図2に示すフローチャートによって動作する。よって、フローチャートに従って上記各構成要素の機能を説明する。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は図示しないスイッチによってステップs10から開始する。先ず、ステップs10において、モノクロCCDカメラ11によって顕微鏡画像を取り込む。鋳鉄の研磨面1aをエッチングして顕微鏡で拡大しその像を撮像すると、通常、試料を構成する各成分に応じた輝度を有した濃淡画像で観察される。濃淡画像とは輝度が例えば256段階にA/D変換された画素の集合であり、例えば512×512のフレームメモリ内に記憶される。
【0038】
この濃淡画像において、鋳鉄を構成する黒鉛は黒鉛に特有の輝度を示し、パーライトはパーライトに特有の輝度を、フェライトはフェライトに特有の輝度を示す。即ち、上記のピクリン酸による腐食処理によりパーライトだけが酸化されて褐色に変色する結果、フェライトの輝度よりも輝度が低下するが、黒鉛の黒色の輝度よりは低下しない。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置はこの現象を利用する。即ち、ステップs11に移行し、濃淡画像の各成分が容易に判別できるように処理する。具体的には、閾値設定装置12によってヒストグラムをとり、それに基づいて複数の閾値を設定する。横軸に輝度をとり縦軸にその度数をとれば、例えば鋳鉄の3成分に起因する図3に示すヒストグラムが得られる。そして、例えばヒストグラムの複数の極小値を複数の閾値とする。図3に示すヒストグラムのように、輝度a’、輝度b’、輝度c’を中心に輝度分布a、輝度分布b、輝度分布cが存在する場合、このヒストグラムの極小値の輝度p’を第1閾値に設定し、他の極小値の輝度q’を第2閾値に設定する。このようにすれば、自動的に、又的確に複数の閾値を設定することができる。又、この閾値は、画像表示装置15に表示された撮像されたままの濃淡画像と、第1閾値と第2閾値とを用いて3ランクに分類された分類画像を、作業者が見て、適正に分類されているか否かを確認して、適正でない場合には、これらの閾値を可変設定することができるようになっている。
【0039】
そして、次にステップs12に移行する。ステップs12では、上記の第1閾値と第2閾値を用いて画像分類装置13が濃淡画像を多値画像に変換する。例えば、輝度0〜輝度p’(第1閾値)の画素を全て輝度a’に変換する。又、輝度p’〜輝度q’(第2閾値)の画素を全て輝度b’に変換し、輝度q’(第3閾値)以上の画素を全て輝度c’に変換する。これにより、図4(a)に示した濃淡画像は、図4(b)に示す多値画像(3値画像)に変換される。即ち、黒鉛20の黒色、フェライト21の白色、そしてパーライト22の灰色の3値画像に変換される。このようにして撮像した状態の濃淡画像は、黒、灰色、白の3つの輝度に対応した3ランクの画像に分類される。鋳鉄の3成分は多値化された各輝度に対応されるので互いに容易に判別可能となる。
【0040】
次に、ステップs13に移行し成分率演算装置14によって、分類画像において同一ランク(輝度)に属する画像の総画素面積を算出して、各成分の割合を算出する。即ち、パーライト率、フェライト率、黒鉛面積率等を算出する。試料を構成する各成分の成分率は、各成分の面積占有率に比例する。よって、本実施例では成分率演算装置14によって多値画像の同一輝度(各成分)の面積を求める。これは、同一輝度の画素数を計数することで容易に求められる。そして、全体画素(例えば、512×512)に対する割合を求める。例えば、黒鉛面積率rk は黒色画素数/全体画素数、パーライト率rp は灰色画素数/(灰色画素数+白色画素数)、フェライト率rf は白色画素数/(灰色画素数+白色画素数)で求められる。勿論、パーライト率rp を灰色画素数/全体画素数、フェライト率rf は白色画素数/全体画素数として定義して求めても良い。
【0041】
そして、最後にステップs14に移行し、その結果を画像表示装置15によって例えば分類画像(多値画像)と各成分率を表示する。即ち、多値画像である図4(b)の3値画像と、各成分率である例えばパーライト率rp 、フェライト率rf 等を表示する。尚、黒鉛球状化率は、黒色球体の画素数/黒色画素数で算出する。又、同時に、黒鉛の粒数、平均粒径も演算して表示する。これらは、黒色画像の輪郭を抽出する画像処理により実行することができる。輪郭から粒子を認識でき、輪郭に関して垂直な2方向の距離を測定することで、球状粒子か否かを判定することができる。
【0042】
本発明によれば、濃淡画像に対して、少なくとも2つの閾値を設定し、分類画像(多値画像即ち3値画像)で各成分の割合を算出するので、1度の撮像で各成分率が算出される。即ち、従来のようにエッチング前とエッチング後で画像処理する必要がない。従って、検査効率に優れた画像処理装置となる。又、同一画像を用いているので、極めて精度良くパーライト率、フェライト率を算出することができる。
【0043】
(第2実施例)
第1実施例は、試料の濃淡画像を複数の閾値で多値画像化し、その多値画像から各成分率を算出する例であった。本実施例では、画像の色相により画像を分類し、その分類画像から成分比率を演算する装置である。本実施例では試料をカラー画像撮像装置で撮像して各成分を色相で分類し、分類された分類画像(多色画像)を用いて各成分率を算出する。
【0044】
そのため、本実施例では図5の構成図に示すように、モノクロCCDカメラ11に代えてカラー画像撮像装置であるカラーCCDカメラ31を備え、閾値設定手段である閾値設定装置32、色相により画像を分類する画像分類装置33、分類画像からパーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等を演算する成分率演算手段である成分率演算装置34を備えている。尚、カラーCCDカメラ31は内部にビデオデコーダを備えており、画像出力はRGBで出力されるものとする。又、本実施例においても閾値設定装置32、画像分類装置33、成分率演算装置34,画像表示装置35は第1実施例同様、例えばパーソナルコンピュータとそのハードディスクに書かれたプログラムによって構成される。
【0045】
図6に本実施例の鋳鉄成分比率測定装置のフローチャートを示す。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は、先ずステップs20においてカラーCCDカメラ31によって顕微鏡画像をカラー画像で取り込む。鋳鉄の研磨面1aを上記したようにピクリン酸でエッチングして顕微鏡で拡大し、その像をカラーCCDカメラ31で撮像すると、各成分がカラー画像で観察される。例えば、黒鉛は略黒色、フェライトは略白色、パーラーイトは酸化されて略赤褐色で観察される。
【0046】
本実施例では、カラー画像で示された各成分をより容易に判別できるように処理する。そのためステップs21に移行し、閾値設定装置32で設定された閾値を用いて、カラー画像を複数の色相に分類する。例えば、カラーCCDカメラ31の図示しないビデオエンコーダ装置から送出された信号を色相で表現すると、各画素は6バイトのRGB指標で表現される。先頭の2バイトでR成分の輝度を表し、中間の2バイトでG成分の輝度を表し、最後尾の2バイトでB成分の輝度を表す。色相分類装置32は、先ずR成分、G成分、B成分に対してそれぞれ所定の閾値を設定する。
【0047】
そして、カラー画像の各画素を探索し、各画素の色相を分類する。例えば、色相成分Rにおいてその輝度が所定の閾値より大であれば、その成分を主勢と判定し第1所定値A1 を付与する。逆に、所定の閾値より小であれば、その成分を劣勢と判定し第2所定値A2 (A1 >A2 )を付与する。色相成分G、色相成分Bの輝度に対しても同様の作業をする。即ち、カラー画像を8種類の色相で表現する。例えば、ある画素のRGBの成分が(A1 、A1 、A1 )に分類されれば、この画素は白色を意味する。又、RGBの成分が(A1 、A2 、A2 )であれば赤色を意味し、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )であれば黒色を意味する。このように分類した後、ステップs22に移行する。
【0048】
ステップs22ではこのような色相により分類し、各画素のRGB成分にに具体的な所定値(例えば、A1 =100、A2=10)を与える。即ち、各画素の色相を8色うちの何れかの色相に変換する。これにより、カラー画像が8色の多色画像に変換される。例えば、黒鉛20の略黒色は黒色に、フェライト21の略白色は白色に、そしてパーライト22の略赤褐色は赤色に変換される。鋳鉄試料の3成分は各色相に対応されるので容易に判別可能となる。そして、ステップs23に移行する。
【0049】
ステップs23では、成分率演算装置34にによって同一色で表された各成分の割合を算出する。即ち、パーライト率、フェライト率等を算出する。試料の各成分の成分率は、その各成分の面積占有率に比例する。よって、本実施例では多色画像の同一色の各成分の面積を求める。これは、同一色の画素数を計数することで容易に求められる。そして、面積を比較することにより各成分の割合を求める。例えば、黒鉛率rk は黒色画素数/全体画素数、パーライト率rp は赤色画素数/(赤色画素数+白色画素数)、フェライト率rf は白色画素数/(赤色画素数+白色画素数)で求めることができる。パーライト率rp を赤色画素数/全体画素数、フェライト率rf を白色画素数/全体画素数として求めても良い。
【0050】
そして、最後にステップs24に移行し、その結果を画像表示装置35によって表示する。即ち、多色画像と各成分率を表示する。本実施例によれば、試料表面をカラー画像で捉え色相で分類しているので、異なる成分の同一輝度の画素に対しても確実にそれらを分離することができる。よって、より精度良く各成分率を算出することができる。又、第1実施例同様、1度の撮像で各成分率を算出することができる。よって、試料を効率よく検査することができる。
【0051】
R,G,Bの各値を2値化する閾値は、画像表示装置35に表示された分類する前のカラー画像、分類後の分類画像を作業者が見て、適正な分類画像が得られるように可変的に変更することができるようになっている。
上記の実施例では、色相により8分類された分類画像から3つのランクの画像、白、黒、赤を抽出して分類しているので、3つのランクに分けられない画素もあり得るが、8分類の全てを3つのランクの何れかに属するように分類しても良い。これは、閾値をR,G,Bの値の最低値、又は最大値にすることで、8分類を3分類とすることができる。
又、RGBの成分が(A1 、A1 、A1 )に分類された白色のランク、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )に分類された黒色のランク、その他を赤色のランクとして3ランクに分類しても良い。さらに、RGBの成分が(A1 、A1 、A1 )又は(A1 、A1 、A2 )である白色のランクでフェライトの画像、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )又は(A2 、A2 、A1 )を黒色のランクで黒鉛の画像、RGBの成分が(A2 、A1 、A1 )又は(A1 、A2 、A1 )又は(A1 、A2 、A2 又は(A2 、A1 、A2 )を褐色のランクでパーライト画像と分類しても良い。
【0052】
(変形例)
本発明は、他にも様々な形態で実施することができる。例えば、第1実施例では濃淡画像のヒストグラムを作製し、その複数の極小値を複数の閾値としたが、他の方法でもよい。例えば、ヒストグラムにおいて輝度分布aの中央値a’、輝度分布bの中央値b’、輝度分布cの中央値c’を用いて、第1閾値を(a’+b’)/2に設定し、第2閾値を(b’+c’)/2に設定してもよい。そして、画像分類装置13によって、(a’+b’)/2以下の輝度の全てを輝度a’に変換し、(b’+c’)/2以上の輝度を全て輝度c’に変換する。又、両者に含まれない他の輝度を全て輝度b’に変換してもよい。同等の効果が得られる。又、これらの複数の閾値は勿論、観察者が任意に設定してもよい。様々な、試料に対して柔軟に閾値が設定でき、柔軟に対応することができる。
【0053】
又、第1実施例、第2実施例では顕微鏡画像を対象としたが、勿論、顕微鏡画像に限定するものではない。本実施例の画像処理装置及び画像処理方法は、通常のカメラ画像、赤外線画像に対しても適用することが可能である。撮像カメラで撮像可能なあらゆる画像に対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の構成図。
【図2】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の動作手順を示したフローチャート。
【図3】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置における閾値設定の方法を説明するための濃淡画像のヒストグラム。
【図4】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置により分類された分類画像を示した平面図。
【図5】本発明の第2実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の構成図。
【図6】本発明の第2実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の動作手順を示したフローチャート。
【図7】従来の鋳鉄成分比率を測定する方法を示するための説明図。
【符号の説明】
10…顕微鏡
11…モノクロCCDカメラ
12…閾値設定装置
13…画像分類装置
14、34…成分率演算装置
15、35…画像表示装置
31…カラーCCDカメラ
32…閾値設定装置
33…画像分類装置
【発明の属する技術分野】
本発明は鋳鉄におけるパーライト率とフェライト率を高精度を測定できる装置及び測定方法に関する。
【0002】
【従来の技術】
従来より、鋳鉄製品おいては、パーライト率とフェライト率と黒鉛球状化率がその製品の品質を評価するのに重要な役割を果たしている。特に、薄い鋳鉄品を製造する場合には、精確なパーライト率とフェライト率を知る必要があった。ここで黒鉛球状化率は、鋳鉄に含まれる黒鉛の球状化率を意味し、パーライト率はフェライトとセメンタイト(Fe3C) が交互に重なり合って構成された層状組織率を意味し、フェライト率はα鉄が炭素や他の成分を固溶して結晶化した結晶組織化率を意味する。特にパーライト率は鋳鉄の強度を表す指標となっている。
【0003】
従来これらの成分率は、以下のような画像処理で求められていた。先ず、切り出し研磨する。そしてその研磨表面を撮像顕微鏡で撮像し画像処理する。図7(a)がその濃淡画像(原画像)である。黒色が黒鉛成分であり、黒色の周囲が概ねフェライト成分、他はパーライト成分である。又、図7(b)は図7(a)の濃淡画像を2値化処理した画像である。成分率の算出に当たっては、先ず2値化画像において黒色(黒鉛)のみの面積を例えば画素数で計数しSk とする。次に、円形粒子(球状黒鉛)をピックアップしその面積を計数しSc とする。これにより、黒鉛球状化率(Sc /Sk )を算出する。
【0004】
又、パーライト率、フェライト率は以下のように算出する。先ず鋳鉄をピクリン酸等でエッチング処理する。これにより、パーライト領域が酸化して赤茶色に変色する。この状態で顕微鏡で撮像し2値画像に処理すると、赤褐色のパーライト部も黒色に変換されて図7(c)の画像が得られる。ここで、黒色(酸化パーライト領域+黒鉛領域)の面積を計数しSW とする。そして、エッチング前に算出した黒鉛の面積Sk を差し引いて、パーライト領域のみの面積を算出する。即ち、Sp =Sw −Sk を演算してパーライトの面積とする。又、図7(c)の2値画像において白色はフェライト領域であるので、その面積を計数しSf とする。そしてパーライト率(rp =Sp /(Sp +Sf ))、フェライト率(rf =Sf /(Sp +Sf ))をそれぞれ算出していた。
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
しかしながら、従来方法においては図7(c)のエッチング画像を得るため、一旦、顕微鏡から試料を取り外す必要がある。そして、エッチング後再び顕微鏡に搭載し、そのエッチング面を撮像する。この時、試料の回転、位置ずれ等によって同一箇所を撮像することはほとんど不可能である。即ち、エッチング前の画像とエッチングの画像とが同一領域の画像ではなかった。このために、エッチング後の画像において黒色で分類された画像は、黒鉛部分を含んでいるが、この黒鉛部分の面積はエッチング前の画像において求められた領域の面積からもとめているので、エッチング後の黒色画像から正確に黒鉛部分の画像を除去するものではナカッタ。この結果、パーライトの全視野に占める割合に明らかな誤差を含み、パーライト率は誤差を含むと共に、その結果としてフェライト率も誤差を含むものであった。従来は、鋳鉄が厚いものであったので、この誤差はそれほど問題ではなかった。しかし、最近、薄膜鋳鉄製品が供給されるようになると、薄膜鋳鉄製品の強度性能を評価するには、パーライト率やフェライト率の正確な値が必要となってきた。
【0006】
本発明は上記課題を解決するために成されたものであり、その目的は鋳鉄のパーライト率やフェライト率を精度良くしかも1回の撮像で簡単に求めることである。
【0007】
【課題を解決するための手段及び発明の作用効果】
上記課題を解決するため請求項1に記載の画像処理装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面においてフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理をして、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、前記研磨面を濃淡画像で撮像する撮像装置と、前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定する閾値設定手段と、前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類する画像分類手段と、前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積と前記第2ランクに属する画像の面積とから、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴とする鋳鉄成分比率測定装置である。
【0008】
例えば、直径25mmφ、長さ180mmの円錐形状に鋳鉄を加工し、その軸に垂直に高さの中央部で切断する。その切断面を研磨する。次に、この研磨面において、フェライトとパーライトとで、輝度(変色の結果輝度が変化する場合も含む)が異なるように処理をする。この処理としては、例えば、研磨面を腐食液で処理することでパーライトだけを酸化させて、フェライトと異なる輝度、又は、変色させることで結果として濃淡画像における輝度(明度と同一意味)をパーライトとフェライトとで異なるように処理することがあげられる。腐食液としては、ナイタールやピクラール、ピクリン酸(トリニトロフェノール)など、フェライトは酸化させずに、パーライトだけを酸化させるその他の酸を用いることができる。また、フェライトとパーライトのいずれか一方を変色又は着色させる物質で処理しても良い。このように処理された鋳鉄の研磨面を、通常の場合には、顕微鏡によって拡大し、その顕微鏡像を撮像装置によって撮像して、試料を構成する各成分が濃淡画像で観察される。この時、例えば、黒鉛成分aは成分aに特有の輝度a’を有し、パーライト成分bは成分bに特有の輝度b’を、フェライト成分cは成分cに特有の輝度c’を有する。閾値設定手段は、その濃淡画像に対して各成分が容易に判別できるよう第1閾値、第2閾値、第3閾値を設定する。輝度a’<輝度b’<輝度c’とする時、各成分が分離されるように、上記の3つの閾値を設定する。例えば、第1閾値を(a’+b’)/2に、第2閾値を(b’+c’)/2に設定する。通常は、成分が微小であるので、通常は、顕微鏡やレンズ系等の光像拡大装置、電子像拡大装置等の光、電子系の拡大装置が用いられるが、撮像装置の画素分解能が十分であれば、これらの拡大装置は必要でなくなる場合もある。これは、以下のカラー画像を処理する発明、方法発明の場合において同様である。
【0009】
そして、画像分類手段は、それらの3つの閾値により濃淡画像を第1閾値よりも低い輝度を有した第1ランク、第1閾値と第2閾値との間の輝度を有した第2ランク、第3閾値よりも高い輝度を有した第3ランクの3つのランクに分類する。具体的な分類の方法としては、例えば、第1閾値(a’+b’)/2以下の輝度を有する第1ランクの画像に対して、輝度a’に変換し、第2閾値(b’+c’)/2よりも大きい輝度を有する第3ランクの画像に対して、輝度c’に変換する。又、第1閾値と第2閾値との間に属する画像に対して、輝度b’に変換する。このように3つのランクを表す3つの輝度の何れかに、各画素の輝度が変換されて、濃淡画像は3ランクに分類される。尚、黒鉛成分は輝度が最も低いので第閾値より低い画像である第1ランクで分類でき、パーライトだけを酸化させて褐色にする場合には、処理後のフェライトの輝度よりも低いので、パーライトが第2ランクの画像、フェライトが最も明るい第3ランクの画像として分類できる。しかし、これと逆に、フェライトに対して輝度の低下又は変色の処理をする場合には、フェライトは第2ランクの画像に分類され、パーライトが最も明るい第3ランクの画像に分類される。
【0010】
そして、成分率演算手段は、画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、第2ランクに属する画像の面積と第3ランクに属する画像の面積からパーライト率とフェライト率を演算する。パーライトを酸化させて褐色にする処理を採用した場合には、第2ランクに属する画像の面積からパーライト率を演算し、第3ランクに属する画像の面積からフェライト率を演算する。パーライト率、フェライト率は、第2ランク及び第3ランクに属する画像の総面積に対する、第2ランクに属する画像の面積率、第3ランクに属する画像の面積率で、それぞれ、演算される。
【0011】
このように、本件発明では、研磨面を処理した後の撮像画像だけで、パーライト率とフェライト率を求めており、研磨面を処理する前の画像を用いていないので、極めて正確なそられの値を得ることができる。
【0012】
又、請求項2に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1に記載の発明において、第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに設けたことを特徴とする。黒鉛の輝度は最も低いので、黒鉛の画像は第1ランクに分類される。その第1ランクの画像から黒鉛の球状化率が測定される。球状化率は次のように演算される。1画像視野において、黒鉛の総面積が演算される。次に、垂直な2方向において半径の等しい球形の画像を抽出し、この画像の面積を求める。総面積に対する球状黒鉛の面積に割合により黒鉛球状化率が算出される。黒鉛球状化率、パーライト率、フェライト率の3種類のパラーメータにより鋳鉄における特性の把握や品質管理を容易に行うことが可能となる。尚、成分比率の用語は、パーライト率、フェライト率のように成分の割合を意味するものの他、黒鉛球状化率のように特性に関係する比率の意味でも使用しており、各成分の特性に関与するパラメータの広い意味で使用している。したがって、成分比率は、下記の黒鉛の粒数、平均粒径、面積率をも含む意味である。
【0013】
又、請求項3に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項2に記載の発明において、第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。第1ランクに属する画像の、例えば、輪郭の解析により、粒子を分離して認識することが可能となる。これにより、粒子数の計数や粒径の測定、さらには、1画像視野において黒鉛が占める面積の割合(面積率)を演算する。これらのパラメータがさらに把握できることにより、鋳鉄の特性と品質のより精密を把握が可能となる。
【0014】
又、請求項4に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項2に記載の発明において、撮像装置により得られた濃淡画像、画像分類手段により分類された画像、成分率演算手段により演算された結果を表示する表示手段を有することを特徴とする。撮像装置により得られた濃淡画像と画像分類手段により分類されか画像を表示する結果、閾値の設定が正確であって、画像の分類が正確に行われており、黒鉛、パーライト、フェライトが正確に分類されているかを作業者は容易に認識できる。又、演算結果も同時に表示されることから、画像を見と比較することで、その結果に対する信頼性の評価を作業者は与えることができる。
【0015】
又、請求項5に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、閾値設定手段は、第1閾値、第2閾値を、表示手段により表示された画像に応じて、可変的に設定する手段であることを特徴とする。即ち、第1閾値、第2閾値は可変的に設定可能としたので、分類前の濃淡画像と分類後の画像とを対比して、正確な分類が可能なように2つの閾値を設定することができ、成分比率をより正確に求めることが可能となる。
【0016】
又、請求項6に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の発明において、閾値設定手段は、第1閾値、第2閾値を、濃淡画像のヒストグラム処理結果から算出することを特徴とする。濃淡画像は様々な輝度を有する画素から構成されている。よって、横軸に輝度をとり縦軸にその度数をとれば、例えば図3に示すヒストグラムが得られる。このヒストグラムを用いて閾値を設定する。例えばヒストグラムの極小値を閾値とする。図3のように、輝度a’、輝度b’、輝度c’を中心に輝度が分布する場合、このヒストグラムの極小値の輝度p’、q’を第1閾値、第2閾値に、それぞれ、設定する。このようにすれば自動的に、的確に閾値を設定することができる。これにより、各成分率を精度よく算出することができる。
【0017】
又、請求項7に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、前記研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、前記カラー画像を色相で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、前記カラー画像を色相に関する前記閾値によって分類した画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴する鋳鉄成分比率測定装置である。
【0018】
この請求項に係る発明は、鋳鉄の研磨面を処理した後、その研磨面のカラー画像を得て、カラー画像の色相により画像を分類したことが特徴である。鋳鉄の研磨面を顕微鏡等で撮像する場合、構成成分の色相が異なっていても、輝度の差が小さく、輝度による分類が困難な場合がある。即ち、モノクロ用の撮像装置では正確に各成分率を算出できない場合がある。このような場合に対して、本発明では試料をカラー画像撮像装置で撮像する。色相は、例えば、6バイトのRGB指標で表現される。先頭の2バイトでR成分の輝度を表し、中間の2バイトでG成分の輝度を表し、最後尾の2バイトでB成分の輝度を表す。
【0019】
R成分、G成分、B成分に対してそれぞれ所定の閾値を設定し、その所定の閾値より大であれば、その成分を主勢と判定し第1所定値A1 を付与する。逆に、所定の閾値より小であれば、その成分を劣勢と判定し第2所定値A2 (A1 >A2 )を付与する。即ち、8種類の色相で濃淡画像を分類する。そして、このようにランクに分類された画像に対して、各画素のRGBをランクを代表する具体的な値とする。例えば、白、黒、赤、黄等の色を各画素に与える。次に、成分率演算手段により、色相に関して分類された画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率が演算される。この請求項の発明では、濃淡画像では、明確に画像を分類できない場合に、有効である。よって、成分比率をより正確に求めることが可能となる。
【0020】
又、請求項8に記載の鋳鉄成分比率測定装置は、鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、カラー画像を色相で分類するための閾値と、カラー画像の輝度で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、カラー画像を閾値によって分類された画像と、カラー画像の輝度に関する閾値により分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段とを備えたことを特徴する。
【0021】
又、請求項9の発明は、請求項8の発明において、パーライト率は、カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、フェライト率は前記輝度により分類された画像から前記パーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする。
【0022】
請求項8、9の発明は、カラー画像を色相で分類し、かつ、輝度でも分類するものである。例えば、鋳鉄の研磨面を酸化処理した場合にはパーライトの画像は褐色を呈するので、この褐色部分を色相による分類で抽出する。又、黒鉛の画像は黒色、フェライトの画像は白色となる。よって、色相による分類でパーライトの画像が抽出され、そのパーライトの画像を除去して(請求項9の発明)、残りのカラー画像を輝度によって2つに分類することで、黒鉛とフェライトとを分離することが可能となる。このように、本件発明によれば、黒鉛の画像、フェライトの画像、パーライトの画像を極めて正確に分離できるので、フェライト率、パーライト率を極めて正確に求めることが可能となる。
【0023】
請求項10の発明は、請求項7の発明において、カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする。又、請求項11の発明は、請求項7の発明において、カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする。又、請求項12の発明は、請求項10又は請求項11の発明において、黒鉛成分演算手段は、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。
【0024】
これらの構成を採用することにより、黒鉛球状化率、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率を測定することができ、鋳鉄の特性と品質をさらに詳しく知ることができる。
【0025】
請求項13の発明は、請求項1乃至請求項12の何れか1項の発明において、鋳鉄の研磨面の処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする。この構成により、パーライトだけを褐色に変色させることができるので、カラー画像において褐色の色相のランクを有する画素を抽出することで、パーライトを他の黒鉛やフェライトと正確に分離して抽出することが可能となる。
【0026】
請求項14の発明は、請求項1の装置発明に対応する方法発明である。即ち、請求項14の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理し、その処理された研磨面を濃淡画像で撮像し、前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定し、前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類し、前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積からフェライト率を演算し、前記第2ランクに属する画像の面積からパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
この方法は発明は、請求項1の発明の説明で記載した作用と効果を奏し、この方法を用いることによって、鋳鉄のフェライト率とパーライト率を極めて正確に測定することができる。
【0027】
請求項15の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、前記カラー画像を色相に関して分類し、色相により分類された画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
この方法発明は、請求項7の装置発明に対応するものである。カラー画像における色相により画像を分類することで、黒鉛、パーライト、フェライトを正確に分類することができ、その結果、パーライト率とフェライト率を極めて正確に測定することが可能となる。
【0028】
又、請求項16の発明は、鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、前記カラー画像を色相によって分類された画像と、前記カラー画像を輝度によって分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法である。
【0029】
又、請求項17の発明は、請求項16の発明において、パーライト率は、カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、フェライト率は輝度により分類された画像からパーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする。
【0030】
請求項16の発明は、請求項8の装置発明に対応する方法発明であり、請求項17の発明は、請求項9の装置発明に対応する方法発明である。この方法を実施することにより、パーライト率、フェライト率を極めて正確に求めることができ、鋳鉄の特性と品質を正確に把握することが可能となる。
【0031】
請求項18の発明は、請求項14の発明において、第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を、さらに演算することを特徴とする。又、請求項19の発明は、請求項18の発明において、第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。さらに、請求項20の発明は、請求項15の発明において、カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする。又、請求項21の発明は、請求項16の発明において、カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする。請求項22の発明は、請求項20又は請求項21の発明において、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする。又、請求項23の発明は、請求項14乃至請求項22の何れか1項の発明において、鋳鉄の前記研磨面の前記処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする。
【0032】
請求項18の発明は、請求項2の装置発明に対応する方法発明であり、請求項19の発明は、請求項3の装置発明に対応する方法発明であり、請求項20の発明は、請求項10の装置発明に対応する方法発明であり、請求項21の発明は、請求項11の装置発明に対応する発明であり、請求項22の発明は、請求項12の装置発明に対応する方法発明であり、請求項23の発明は、請求項13の装置発明に対応する方法発明である。
【0033】
これらの方法発明は、上記の対応する装置発明の説明で記述したように作用し、効果を有する。この結果、鋳鉄の特性や品質を精度良く把握することが可能となる。
【0034】
【発明の実施の形態】
以下、本発明の具体的な実施例について図を用いて説明する。尚、本発明は以下の実施例に限定されるものではない。
(第1実施例)
図1に本発明の鋳鉄成分比率測定装置を示す。図は装置の構成図である。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は鋳鉄試料における黒鉛球状化率、パーライト率、フェライト率等の成分率を測定する装置である。
【0035】
まず、資料は次のように準備される。Yブロック、ノックオフ型の鋳鉄を作成される。これを、直径25mmφ、長さ180mmの円錐形状に加工し、その軸に垂直に高さの中央部で切断する。その切断面を研磨する。次に、この研磨面において、フェライトとパーライトとで、輝度(変色の結果輝度が変化する場合も含む)が異なるように処理をする。この処理の具体例として、研磨面を腐食液で処理することでパーライトだけを酸化させて、フェライトと異なる輝度、又は、変色させた。この結果として濃淡画像における輝度(明度と同一意味)をパーライトとフェライトとで異なるように処理する。腐食液には、ナイタールやピクラール、ピクリン酸(トリニトロフェノール)など、フェライトは酸化させずに、パーライトだけを酸化させるその他の酸を用いることができる。本実施例ではピクリン酸を用いて、鋳鉄の研磨面を腐食処理して酸化させた。この腐食処理によりパーライトだけを褐色に変色させることができた。
【0036】
研磨面に対してこの処理を施した鋳鉄2をテーブル1の上において、研磨面1aを顕微鏡10で拡大し、研磨面1aの画像を撮像する。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は、顕微鏡10の頭部に設置された撮像装置であるモノクロCCDカメラ11、閾値設定手段である閾値設定装置12、濃淡画像を3つの輝度ランクに分類する画像分類手段である画像分類装置13、パーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等を求める成分率演算手段である成分率演算装置14、そして撮像した状態の濃淡画像、濃淡画像を分類した後の分類画像、分類画像から求めたパーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等をディスプレイ等に表示する表示手段である画像表示装置15から構成される。尚、閾値設定装置12、画像分類装置13、成分率演算装置14、画像表示装置15は、図示しないCPU、ROM、RAM、I/O装置、ハードディスク装置、及びハードディスク装置に書かれたプログラムからなる例えばパーソナルコンピュータ装置で構成される。
【0037】
本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は図2に示すフローチャートによって動作する。よって、フローチャートに従って上記各構成要素の機能を説明する。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は図示しないスイッチによってステップs10から開始する。先ず、ステップs10において、モノクロCCDカメラ11によって顕微鏡画像を取り込む。鋳鉄の研磨面1aをエッチングして顕微鏡で拡大しその像を撮像すると、通常、試料を構成する各成分に応じた輝度を有した濃淡画像で観察される。濃淡画像とは輝度が例えば256段階にA/D変換された画素の集合であり、例えば512×512のフレームメモリ内に記憶される。
【0038】
この濃淡画像において、鋳鉄を構成する黒鉛は黒鉛に特有の輝度を示し、パーライトはパーライトに特有の輝度を、フェライトはフェライトに特有の輝度を示す。即ち、上記のピクリン酸による腐食処理によりパーライトだけが酸化されて褐色に変色する結果、フェライトの輝度よりも輝度が低下するが、黒鉛の黒色の輝度よりは低下しない。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置はこの現象を利用する。即ち、ステップs11に移行し、濃淡画像の各成分が容易に判別できるように処理する。具体的には、閾値設定装置12によってヒストグラムをとり、それに基づいて複数の閾値を設定する。横軸に輝度をとり縦軸にその度数をとれば、例えば鋳鉄の3成分に起因する図3に示すヒストグラムが得られる。そして、例えばヒストグラムの複数の極小値を複数の閾値とする。図3に示すヒストグラムのように、輝度a’、輝度b’、輝度c’を中心に輝度分布a、輝度分布b、輝度分布cが存在する場合、このヒストグラムの極小値の輝度p’を第1閾値に設定し、他の極小値の輝度q’を第2閾値に設定する。このようにすれば、自動的に、又的確に複数の閾値を設定することができる。又、この閾値は、画像表示装置15に表示された撮像されたままの濃淡画像と、第1閾値と第2閾値とを用いて3ランクに分類された分類画像を、作業者が見て、適正に分類されているか否かを確認して、適正でない場合には、これらの閾値を可変設定することができるようになっている。
【0039】
そして、次にステップs12に移行する。ステップs12では、上記の第1閾値と第2閾値を用いて画像分類装置13が濃淡画像を多値画像に変換する。例えば、輝度0〜輝度p’(第1閾値)の画素を全て輝度a’に変換する。又、輝度p’〜輝度q’(第2閾値)の画素を全て輝度b’に変換し、輝度q’(第3閾値)以上の画素を全て輝度c’に変換する。これにより、図4(a)に示した濃淡画像は、図4(b)に示す多値画像(3値画像)に変換される。即ち、黒鉛20の黒色、フェライト21の白色、そしてパーライト22の灰色の3値画像に変換される。このようにして撮像した状態の濃淡画像は、黒、灰色、白の3つの輝度に対応した3ランクの画像に分類される。鋳鉄の3成分は多値化された各輝度に対応されるので互いに容易に判別可能となる。
【0040】
次に、ステップs13に移行し成分率演算装置14によって、分類画像において同一ランク(輝度)に属する画像の総画素面積を算出して、各成分の割合を算出する。即ち、パーライト率、フェライト率、黒鉛面積率等を算出する。試料を構成する各成分の成分率は、各成分の面積占有率に比例する。よって、本実施例では成分率演算装置14によって多値画像の同一輝度(各成分)の面積を求める。これは、同一輝度の画素数を計数することで容易に求められる。そして、全体画素(例えば、512×512)に対する割合を求める。例えば、黒鉛面積率rk は黒色画素数/全体画素数、パーライト率rp は灰色画素数/(灰色画素数+白色画素数)、フェライト率rf は白色画素数/(灰色画素数+白色画素数)で求められる。勿論、パーライト率rp を灰色画素数/全体画素数、フェライト率rf は白色画素数/全体画素数として定義して求めても良い。
【0041】
そして、最後にステップs14に移行し、その結果を画像表示装置15によって例えば分類画像(多値画像)と各成分率を表示する。即ち、多値画像である図4(b)の3値画像と、各成分率である例えばパーライト率rp 、フェライト率rf 等を表示する。尚、黒鉛球状化率は、黒色球体の画素数/黒色画素数で算出する。又、同時に、黒鉛の粒数、平均粒径も演算して表示する。これらは、黒色画像の輪郭を抽出する画像処理により実行することができる。輪郭から粒子を認識でき、輪郭に関して垂直な2方向の距離を測定することで、球状粒子か否かを判定することができる。
【0042】
本発明によれば、濃淡画像に対して、少なくとも2つの閾値を設定し、分類画像(多値画像即ち3値画像)で各成分の割合を算出するので、1度の撮像で各成分率が算出される。即ち、従来のようにエッチング前とエッチング後で画像処理する必要がない。従って、検査効率に優れた画像処理装置となる。又、同一画像を用いているので、極めて精度良くパーライト率、フェライト率を算出することができる。
【0043】
(第2実施例)
第1実施例は、試料の濃淡画像を複数の閾値で多値画像化し、その多値画像から各成分率を算出する例であった。本実施例では、画像の色相により画像を分類し、その分類画像から成分比率を演算する装置である。本実施例では試料をカラー画像撮像装置で撮像して各成分を色相で分類し、分類された分類画像(多色画像)を用いて各成分率を算出する。
【0044】
そのため、本実施例では図5の構成図に示すように、モノクロCCDカメラ11に代えてカラー画像撮像装置であるカラーCCDカメラ31を備え、閾値設定手段である閾値設定装置32、色相により画像を分類する画像分類装置33、分類画像からパーライト率、フェライト率、黒鉛球状化率等を演算する成分率演算手段である成分率演算装置34を備えている。尚、カラーCCDカメラ31は内部にビデオデコーダを備えており、画像出力はRGBで出力されるものとする。又、本実施例においても閾値設定装置32、画像分類装置33、成分率演算装置34,画像表示装置35は第1実施例同様、例えばパーソナルコンピュータとそのハードディスクに書かれたプログラムによって構成される。
【0045】
図6に本実施例の鋳鉄成分比率測定装置のフローチャートを示す。本実施例の鋳鉄成分比率測定装置は、先ずステップs20においてカラーCCDカメラ31によって顕微鏡画像をカラー画像で取り込む。鋳鉄の研磨面1aを上記したようにピクリン酸でエッチングして顕微鏡で拡大し、その像をカラーCCDカメラ31で撮像すると、各成分がカラー画像で観察される。例えば、黒鉛は略黒色、フェライトは略白色、パーラーイトは酸化されて略赤褐色で観察される。
【0046】
本実施例では、カラー画像で示された各成分をより容易に判別できるように処理する。そのためステップs21に移行し、閾値設定装置32で設定された閾値を用いて、カラー画像を複数の色相に分類する。例えば、カラーCCDカメラ31の図示しないビデオエンコーダ装置から送出された信号を色相で表現すると、各画素は6バイトのRGB指標で表現される。先頭の2バイトでR成分の輝度を表し、中間の2バイトでG成分の輝度を表し、最後尾の2バイトでB成分の輝度を表す。色相分類装置32は、先ずR成分、G成分、B成分に対してそれぞれ所定の閾値を設定する。
【0047】
そして、カラー画像の各画素を探索し、各画素の色相を分類する。例えば、色相成分Rにおいてその輝度が所定の閾値より大であれば、その成分を主勢と判定し第1所定値A1 を付与する。逆に、所定の閾値より小であれば、その成分を劣勢と判定し第2所定値A2 (A1 >A2 )を付与する。色相成分G、色相成分Bの輝度に対しても同様の作業をする。即ち、カラー画像を8種類の色相で表現する。例えば、ある画素のRGBの成分が(A1 、A1 、A1 )に分類されれば、この画素は白色を意味する。又、RGBの成分が(A1 、A2 、A2 )であれば赤色を意味し、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )であれば黒色を意味する。このように分類した後、ステップs22に移行する。
【0048】
ステップs22ではこのような色相により分類し、各画素のRGB成分にに具体的な所定値(例えば、A1 =100、A2=10)を与える。即ち、各画素の色相を8色うちの何れかの色相に変換する。これにより、カラー画像が8色の多色画像に変換される。例えば、黒鉛20の略黒色は黒色に、フェライト21の略白色は白色に、そしてパーライト22の略赤褐色は赤色に変換される。鋳鉄試料の3成分は各色相に対応されるので容易に判別可能となる。そして、ステップs23に移行する。
【0049】
ステップs23では、成分率演算装置34にによって同一色で表された各成分の割合を算出する。即ち、パーライト率、フェライト率等を算出する。試料の各成分の成分率は、その各成分の面積占有率に比例する。よって、本実施例では多色画像の同一色の各成分の面積を求める。これは、同一色の画素数を計数することで容易に求められる。そして、面積を比較することにより各成分の割合を求める。例えば、黒鉛率rk は黒色画素数/全体画素数、パーライト率rp は赤色画素数/(赤色画素数+白色画素数)、フェライト率rf は白色画素数/(赤色画素数+白色画素数)で求めることができる。パーライト率rp を赤色画素数/全体画素数、フェライト率rf を白色画素数/全体画素数として求めても良い。
【0050】
そして、最後にステップs24に移行し、その結果を画像表示装置35によって表示する。即ち、多色画像と各成分率を表示する。本実施例によれば、試料表面をカラー画像で捉え色相で分類しているので、異なる成分の同一輝度の画素に対しても確実にそれらを分離することができる。よって、より精度良く各成分率を算出することができる。又、第1実施例同様、1度の撮像で各成分率を算出することができる。よって、試料を効率よく検査することができる。
【0051】
R,G,Bの各値を2値化する閾値は、画像表示装置35に表示された分類する前のカラー画像、分類後の分類画像を作業者が見て、適正な分類画像が得られるように可変的に変更することができるようになっている。
上記の実施例では、色相により8分類された分類画像から3つのランクの画像、白、黒、赤を抽出して分類しているので、3つのランクに分けられない画素もあり得るが、8分類の全てを3つのランクの何れかに属するように分類しても良い。これは、閾値をR,G,Bの値の最低値、又は最大値にすることで、8分類を3分類とすることができる。
又、RGBの成分が(A1 、A1 、A1 )に分類された白色のランク、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )に分類された黒色のランク、その他を赤色のランクとして3ランクに分類しても良い。さらに、RGBの成分が(A1 、A1 、A1 )又は(A1 、A1 、A2 )である白色のランクでフェライトの画像、RGBの成分が(A2 、A2 、A2 )又は(A2 、A2 、A1 )を黒色のランクで黒鉛の画像、RGBの成分が(A2 、A1 、A1 )又は(A1 、A2 、A1 )又は(A1 、A2 、A2 又は(A2 、A1 、A2 )を褐色のランクでパーライト画像と分類しても良い。
【0052】
(変形例)
本発明は、他にも様々な形態で実施することができる。例えば、第1実施例では濃淡画像のヒストグラムを作製し、その複数の極小値を複数の閾値としたが、他の方法でもよい。例えば、ヒストグラムにおいて輝度分布aの中央値a’、輝度分布bの中央値b’、輝度分布cの中央値c’を用いて、第1閾値を(a’+b’)/2に設定し、第2閾値を(b’+c’)/2に設定してもよい。そして、画像分類装置13によって、(a’+b’)/2以下の輝度の全てを輝度a’に変換し、(b’+c’)/2以上の輝度を全て輝度c’に変換する。又、両者に含まれない他の輝度を全て輝度b’に変換してもよい。同等の効果が得られる。又、これらの複数の閾値は勿論、観察者が任意に設定してもよい。様々な、試料に対して柔軟に閾値が設定でき、柔軟に対応することができる。
【0053】
又、第1実施例、第2実施例では顕微鏡画像を対象としたが、勿論、顕微鏡画像に限定するものではない。本実施例の画像処理装置及び画像処理方法は、通常のカメラ画像、赤外線画像に対しても適用することが可能である。撮像カメラで撮像可能なあらゆる画像に対して有効である。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の構成図。
【図2】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の動作手順を示したフローチャート。
【図3】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置における閾値設定の方法を説明するための濃淡画像のヒストグラム。
【図4】本発明の第1実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置により分類された分類画像を示した平面図。
【図5】本発明の第2実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の構成図。
【図6】本発明の第2実施例に係る鋳鉄成分比率測定装置の動作手順を示したフローチャート。
【図7】従来の鋳鉄成分比率を測定する方法を示するための説明図。
【符号の説明】
10…顕微鏡
11…モノクロCCDカメラ
12…閾値設定装置
13…画像分類装置
14、34…成分率演算装置
15、35…画像表示装置
31…カラーCCDカメラ
32…閾値設定装置
33…画像分類装置
Claims (23)
- 鋳鉄を研磨し、その研磨面においてフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理をして、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、
前記研磨面を濃淡画像で撮像する撮像装置と、
前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定する閾値設定手段と、
前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類する画像分類手段と、
前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積と前記第2ランクに属する画像の面積とから、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段と
を備えたことを特徴とする鋳鉄成分比率測定装置。 - 前記第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする請求項1に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記黒鉛成分演算手段は、前記第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする請求項2に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記撮像装置により得られた前記濃淡画像、前記画像分類手段により分類された画像、前記成分率演算手段により演算された結果を表示する表示手段を有することを特徴とする請求項1乃至請求項3の何れか1項に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記閾値設定手段は、前記第1閾値、前記第2閾値を、前記表示手段により表示された画像に応じて、可変的に設定する手段であることを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記閾値設定手段は、前記第1閾値、前記第2閾値を、前記濃淡画像のヒストグラム処理結果から算出することを特徴とする請求項1乃至請求項4の何れか1項に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、
前記研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、
前記カラー画像を色相で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、
前記カラー画像を色相に関する前記閾値によって分類した画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段と
を備えたことを特徴する鋳鉄成分比率測定装置。 - 鋳鉄を研磨し、その研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面を撮像し、撮像された画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定装置において、
前記研磨面をカラー画像で撮像するカラー画像撮像装置と、
前記カラー画像を色相で分類するための閾値と、前記カラー画像の輝度で分類するための閾値を設定する閾値設定手段と、
前記カラー画像を前記閾値によって分類された画像と、前記カラー画像の輝度に関する閾値により分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する成分率演算手段と
を備えたことを特徴する鋳鉄成分比率測定装置。 - 前記パーライト率は、前記カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、前記フェライト率は前記輝度により分類された画像から前記パーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする請求項8に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を演算する黒鉛成分演算手段をさらに有することを特徴とする請求項7に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記黒鉛成分演算手段は、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする請求項10又は請求項11に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 前記鋳鉄の前記研磨面の前記処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする請求項1乃至請求項12の何れか1項に記載の鋳鉄成分比率測定装置。
- 鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、
前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる輝度を示すように処理し、その処理された研磨面を濃淡画像で撮像し、
前記濃淡画像における輝度に対して、少なくもと、第1閾値と、その第1閾値よりも輝度の高い第2閾値を設定し、
前記濃淡画像の輝度に対して、前記第1閾値よりも小さい第1ランク、前記第1閾値と前記第2閾値との間の第2ランク、前記第2閾値よりも大きい第3ランクの3つのランクに分類し、
前記画像分類手段により分類された各ランクの画像に基づいて、少なくとも、前記第3ランクに属する画像の面積からフェライト率を演算し、前記第2ランクに属する画像の面積からパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法。 - 鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、
前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、
前記カラー画像を色相に関して分類し、色相により分類された画像から、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算する
ことを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法。 - 鋳鉄を研磨し、その研磨面を撮像し、その画像から鋳鉄の成分比率を測定する鋳鉄成分比率測定方法において、
前記研磨面をフェライトとパーライトとで異なる色相を示すように処理し、その処理された研磨面をカラー画像で撮像し、
前記カラー画像を色相によって分類された画像と、前記カラー画像を輝度によって分類された画像とから、少なくとも、フェライト率とパーライト率を演算することを特徴とする鋳鉄成分比率測定方法。 - 前記パーライト率は、前記カラー画像の色相により分類された画像の面積から演算し、前記フェライト率は前記輝度により分類された画像から前記パーライトの画像を除去した画像の面積から演算することを特徴とする請求項16に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- 前記第1ランクに属する画像から、黒鉛球状化率を、さらに演算することを特徴とする請求項14に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- 前記第1ランクに属する画像から、さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする請求項18に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- 前記カラー画像の色相に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする請求項15に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- 前記カラー画像の輝度に関して分類された画像から、黒鉛球状化率を、さらに、演算することを特徴とする請求項16に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- さらに、黒鉛の粒数、平均粒径、面積率のうち少なくもと1つを演算することを特徴とする請求項20又は請求項21に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
- 前記鋳鉄の前記研磨面の前記処理は、研磨面を腐食液により酸化させる処理であることを特徴とする請求項14乃至請求項22の何れか1項に記載の鋳鉄成分比率測定方法。
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