JP6548157B2 - 劣化診断装置及び劣化診断方法 - Google Patents

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Description

本開示は、劣化診断装置及び劣化診断方法に関する。
送電設備の保守点検者は、安定して電力伝送するために、経年変化等により発生する送電設備が備える鋼材の劣化箇所を点検し、劣化度に応じて修理や交換を行う。
従来、鋼材の劣化度を評価する方法として、鋼材表面を撮像した画像を用いて、鋼材表面の劣化度を画像処理によって評価する劣化度評価システムが知られている(例えば、特許文献1参照。)この劣化度評価システムは、SOM(Self−organizing maps)を用いて、鋼材の劣化度を評価する。
特開2003−344270号公報
特許文献1に記載された技術を送電設備の保守点検等の整備に適用すると、画像処理により送電設備の鋼材の劣化度を評価可能であるが、鋼材の劣化度を評価した後に、劣化度を加味した整備スケジュールを立案することが困難である。
本開示は、上記事情に鑑みてなされたものであり、鋼材の劣化度を加味した整備スケジュールを容易に立案できる劣化診断装置及び劣化診断方法を提供する。
本開示の劣化診断装置は、鋼材を含む撮像画像を取得するインタフェースと、プロセッサと、を備え、前記プロセッサは、前記撮像画像に含まれる前記鋼材の劣化度を評価し、前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値に基づいて、前記鋼材の劣化特性を導出し、前記劣化特性に基づいて、前記鋼材の整備スケジュールを生成し、前記プロセッサは、前記撮像画像又は撮像画像から抽出された鋼材の画像の色相と彩度とによりピクセル位置毎に生成された入力ヒストグラムと、所定の劣化度に応じた複数の基準画像の色相と彩度とによりそれぞれ生成された複数の基準ヒストグラムと、の間の相関情報を導出し、前記相関情報が各前記ピクセル位置にマッピングされた相互相関画像を、前記鋼材の劣化度を示す画像として生成する。
本開示によれば、鋼材の劣化度を加味した整備スケジュールを容易に立案できる。
実施形態における劣化診断システムの構成例を示す模式図 サーバの構成例を示すブロック図 撮像画像から送電設備を抽出することを説明する模式図 金属構造上の劣化の分析及び可視化を説明する模式図 ヒストグラムの一例を示す模式図 比較処理の詳細を示す模式図 各劣化レベル検出画像を融合してグレースケール画像を生成する一例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第1例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第2例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第3例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第4例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第5例を示す模式図 鋼材の劣化特性の第6例を示す模式図 サーバの動作例を示すフローチャート
以下、適宜図面を参照しながら、実施形態を詳細に説明する。但し、必要以上に詳細な説明は省略する場合がある。例えば、既によく知られた事項の詳細説明や実質的に同一の構成に対する重複説明を省略する場合がある。これは、以下の説明が不必要に冗長になることを避け、当業者の理解を容易にするためである。尚、添付図面及び以下の説明は、当業者が本開示を十分に理解するために提供されるものであり、これらにより特許請求の範囲に記載の主題を限定することは意図されていない。
(本開示の一形態を得るに至った経緯)
多くの大規模金属構造(例えば金属パイプ、送電線構造)は、屋外環境下で劣化(例えば腐食)を受け易い。これらの金属構造は、非常に大規模であり、劣化診断(腐食診断)を困難にする。
例えば、送電設備の架線等は鋼材により形成され、雨風等の影響を受け、経年劣化により溶融亜鉛メッキが剥がれて鋼材が劣化する。鋼材の劣化が進行すると、架線が脱落し、停電が発生することがある。
送電設備は、例えば山間部に設置される。そのため、送電設備を整備する場合、ヘリコプタ等により送電設備が設置された上空に向かい、カメラにより、送電設備周辺を撮像(空撮)する。または、山間部に設置された送電設備へ地上から向かい、整備者が送電設備の鉄塔に上り、カメラにより送電設備周辺を撮像する。従って、送電設備を撮像することは、大変な労力を要する。
整備者は、カメラで撮像した画像と色見本とを目視で比較し、鋼材の劣化具合を診断する。つまり、劣化診断は、一般に目視に基づいて実施される。目視による劣化診断では、診断結果の客観性が不十分である。
また、特許文献1の劣化度評価システムでは、目視による診断結果よりも客観性が高くなるが、鋼材の劣化度を評価した後の具体的な対応(例えば整備計画や整備作業の実施時期の検討)が不十分である。そのため、大変な労力を要する送電設備の空撮等が必要な時期を把握することが困難である。
以下、鋼材の劣化度を加味した整備スケジュールを容易に立案できる劣化診断装置及び劣化診断方法について説明する。
(第1の実施形態)
[構成等]
図1は、劣化診断システム10の構成例を示す模式図である。劣化診断システム10は、サーバ100、カメラ200、PC(Personal Computer)300、及びタブレット端末400を備える。サーバ100、PC300、及びタブレット端末400は、例えば無線ネットワークを介して接続され、更にカメラ200が無線ネットワークを介して接続されてもよい。
サーバ100は、カメラ200又はタブレット端末400のカメラ機能により撮像された画像(撮像画像)を基に、撮像画像に含まれる送電設備50の劣化具合(劣化度)を解析する。送電設備50は、鋼材51を含む。サーバ100は、解析された劣化具合を基に、整備スケジュールを生成する。整備スケジュールは、例えば、送電設備50の次回の保守点検時期、送電設備50に含まれる部品の交換時期や修理時期の情報を含む。整備は、例えば、保守、点検、修理、交換、維持管理を含む。画像は、動画像又は静止画像を含む。つまり、サーバ100は、劣化診断機能及び整備スケジュール生成機能を有する。
カメラ200は、鋼材51を含む送電設備50を撮像し、撮像画像を得る。カメラ200は、通信インタフェースを有しても有しなくてもよい。カメラ200により撮像された画像(撮像画像)は、サーバ100又はPC300へ送信されてもよい。撮像画像は、外部メモリ(例えばSDカード)に記憶され、外部メモリを介してサーバ100又はPC300へ送られてもよい。
尚、鋼材51は、例えば、溶融亜鉛メッキが塗布される。溶融亜鉛メッキが塗布された鋼材51は、例えば、十分に経年変化が進むと、溶融亜鉛メッキが剥がれ、鋼材51が錆びる。尚、鋼材51は、溶融亜鉛メッキが塗布されず、劣化診断により鋼材51自体の摩耗が検出されてもよい。
PC300は、不図示であるが、通信インタフェース、プロセッサ、メモリ、モニタ、UI(User Interface)、等を有する。PC300は、UIにより、ユーザによる劣化診断や整備スケジュール生成のための入力を受け付け、通信インタフェースにより、サーバ100へ入力情報を送信する。また、PC300は、通信インタフェースにより、劣化診断の結果や整備スケジュール生成の結果を受け取り、モニタに出力する。つまり、PC300が、サーバ100による鋼材の劣化診断や整備スケジュールの生成を操作(例えば遠隔操作)してもよい。
尚、PC300が、サーバ100が有する劣化診断機能や整備スケジュール生成機能を有してもよい。この場合、サーバ100との連携は不要であり、カメラ200から直接、撮像画像を取得してもよい。
タブレット端末400は、例えば整備者が送電設備の整備時に所持し、整備作業に用いる。タブレット端末400は、不図示であるが、イメージセンサ、通信インタフェース、プロセッサ、メモリ、モニタ、UI、等を有する。タブレット端末400は、イメージセンサにより送電設備50を撮像し、通信インタフェースにより撮像画像をサーバ100又はPC300へ送信する。タブレット端末400は、UIにより、ユーザによる劣化診断や整備スケジュール生成のための入力を受け付け、通信インタフェースにより、サーバ100へ入力情報を送信してもよい。また、タブレット端末400は、通信インタフェースにより、劣化診断の結果や整備スケジュール生成の結果を受け取り、モニタに出力してもよい。尚、タブレット端末400が、サーバ100が有する劣化診断機能や整備スケジュール生成機能を有してもよい。この場合、サーバ100やPC300との連携は不要である。
タブレット端末400によれば、整備者が整備現場において劣化診断結果や診断結果を加味した整備スケジュールを確認できる。
[サーバの構成]
図2は、サーバ100の構成例を示す模式図である。サーバ100は、インタフェース101、プロセッサ150、及びメモリ160を備える。
プロセッサ150は、メモリ160と協働して、各種処理や制御を行う。具体的には、プロセッサ150は、メモリ160に保持されたプログラムを実行することで、以下の各部の機能を実現する。この各部は、領域抽出部102、劣化判定部103、統合部104、及びスケジュール推定部105を含む。
メモリ160は、例えば、各種データ、情報、プログラムを記憶する。メモリ160は、プロセッサ150に内蔵されてもよい。メモリ160は、一次記憶装置とともに、二次記憶装置を含んでもよい。一時記憶装置は、例えば、RAM(Random Access Memory)、ROM(Read Only Memory)を含む。二次記憶装置は、例えば、HDD(Hard Disk Memory)、SSD(Solid State Drive)を含む。
また、メモリ160は、画像データベース(画像DB)160Aを備える。画像データベース160Aは、カメラ200又はタブレット端末400から取得された撮像画像60(図3参照)や、撮像画像60から抽出された送電設備50の画像を蓄積する。
インタフェース101は、例えば、通信インタフェースや外部メモリインタフェースを含む。通信インタフェースは、外部の通信装置(例えばカメラ200、PC300、タブレット端末400)と、有線回線又は無線回線を介して通信する。外部メモリインタフェースは、外部メモリと接続し、外部メモリから各種データを読み込み、又は外部メモリへ各種データを書き込む。外部メモリは、例えばSDカードを含む。
例えば、インタフェース101は、送電設備50を含む撮像画像60を取得する。
領域抽出部102は、インタフェース101により取得された撮像画像60から、劣化判定の対象となる鋼材51を含む送電設備50を抽出する。図3は、撮像画像60から送電設備50を抽出することを説明する模式図である。撮像画像60における画像抽出の範囲は、例えば、PC300のUIを介してユーザによる指示を受け付けてもよいし、特徴抽出等によりユーザ操作なく抽出されてもよい。
また、送電設備50と背景とが同色系の場合や同程度の周波数成分を有する場合、撮像画像60として動画像を用いると、領域抽出部102は、動画像の視差を用いて送電設備50と背景55との分離を容易化できる。
劣化判定部103は、撮像画像60又は抽出された送電設備50の画像(入力画像)を色見本サンプル(基準画像)と比較し、画素毎に相関情報を生成する。例えば、劣化判定部103は、入力画像から入力ヒストグラムを生成し、基準画像から基準ヒストグラムを生成する(図6参照)。劣化判定部103は、入力ヒストグラムと基準ヒストグラムとを対比して、相互相関を算出する。尚、画素毎の相互相関は、例えば、相互相関画像として示される。
ヒストグラム(入力ヒストグラム、基準ヒストグラムを含む)は、例えば、色情報に含まれる色相(H:Hue)、彩度(S:Saturation)、明度(V:Value)又は輝度(L:Lightness)のうち、色相及び彩度を用いて生成される。つまり、色相及び彩度がヒストグラムの特徴量として用いられる。一方、ヒストグラムは、明度や輝度に依存しない。送電設備50が屋外に設置されるが、ヒストグラムが明度や輝度に依存しないことで、撮像画像の送電設備50の色情報に対する天候、季節、時間帯等による影響を低減できる。尚、彩度は、色の飽和度とも称される。
つまり、劣化判定部103は、画像解析により、送電設備50の画像に含まれる画素毎の色と色見本で示される色との類似性を判定することで、鋼材51の劣化レベルを推定する。類似性は、例えば相互相関の値を用いて示される。
また、劣化レベルは、例えば多段階で示されることが好ましい。これにより、整備者が目視で劣化レベルを分類(例えば5段階で分類)することと比較すると、劣化レベルを詳細に分類できる。
統合部104は、各劣化レベルに応じて生成された各相関情報に対して重み付けし、重み付けされた各相関情報を加算する。各相関情報の加算結果は、劣化診断の評価値(劣化評価値)となる。統合部104は、劣化評価値を、例えば、グレースケール画像の値0〜値255として示す。各相関情報に対して相関情報毎に重み付けすることで、鋼材51の劣化具合が強調される。
尚、劣化判定部103及び統合部104の構成及び動作については、後述もする。
スケジュール推定部105は、サーバ100による劣化診断が実施された劣化診断の評価時期と、劣化評価値と、基づいて、整備スケジュールを生成する。
劣化診断の評価時期は、例えば、送電設備50における鋼材51の使用開始時期からの経過時間を示す。この場合、スケジュール推定部105は、例えば、サーバ100のRTC(Real Time Clock)(不図示)により取得する現在時刻の情報と、メモリ160に保持された鋼材の使用開始時刻の情報と、の差により、劣化診断の評価時期(例えば10年目、20年目)を算出する。鋼材51の使用開始時期は、送電設備50が建造された時点でもよいし、送電設備50のパーツ毎の前回の交換時点でもよい。
スケジュール推定部105は、例えば、今回得られた劣化診断の評価時期及び劣化評価値に基づいて、劣化診断対象の鋼材の劣化特性を生成する。また、スケジュール推定部105は、今回得られた劣化診断の評価時期及び劣化評価値と、過去に得られた劣化診断の評価時期及び劣化評価値と、に基づいて、劣化診断対象の鋼材51の劣化特性を生成してもよい。また、スケジュール推定部105は、過去に得られた劣化診断の評価時期及び劣化評価値に基づいて、劣化診断対象の鋼材51の劣化特性を生成してもよい。
尚、送電設備50を整備時に、カメラ200及びサーバ100等を用いて劣化診断され、劣化診断の評価時期と劣化評価値が得られる。劣化診断の評価時期と劣化評価値とは、毎回、メモリ160に蓄積される。スケジュール推定部105は、過去に得られた劣化診断の評価時期及び劣化評価値の情報を、メモリ160から取得する。
尚、具体的な劣化特性の導出方法及び整備スケジュールの生成方法については後述する。
インタフェース101は、生成された整備スケジュールの情報を、レポートとして出力する。出力は、例えば、印刷、送信、記録媒体への記録、を含む。また、インタフェース101は、撮像画像、送電設備50の画像、特定の鋼材に係る劣化特性の情報を、レポートとして出力してもよい。レポートの出力により、整備者は、鋼材51の劣化特性や整備スケジュールを認識でき、必要十分な整備作業を実施できる。
[劣化判定部及び統合部の構成及び動作例]
劣化判定部103は、最初に、被検査金属構造の高分解能のデジタル・カラー画像を分析のために取得する。デジタル・カラー画像は、撮像画像60又は撮像画像60から送電設備50が抽出された画像である。
金属の劣化(腐食)に係る色は、通常、青みがかった緑色から始まり、劣化レベル(腐食レベル)の増加に従って、茶色、最終的に赤茶色(即ち錆色)へと変化する。金属の劣化は、この色によって容易に見分けられる。
図4は、金属構造上の劣化の分析及び可視化を説明する模式図である。最初に、劣化の多様な段階における金属(例えば鋼材51)のN個の画像が、比較のための基準画像110として使用される。
劣化判定部103は、基準画像110を、一般に、予め撮像された劣化標本画像から獲得する。例えば、劣化判定部103は、N個(例えば5つ)の劣化レベルの基準画像110を選択する。基準画像110は、劣化レベル毎に色が異なる。劣化レベル1〜劣化レベル5の色を、以下に例示する。基準画像110は、例えばメモリ160に保持される。また、劣化標本画像がメモリ160に保持されてもよい。
劣化レベル1:青みがかった緑色
劣化レベル2:茶色を伴う青みがかった緑色
劣化レベル3:茶色
劣化レベル4:赤茶色
劣化レベル5:わずかに赤茶色を伴う暗灰色
劣化レベル1が最も軽微な劣化を示し、劣化レベル5が最も深刻な劣化を示す。例えば、劣化レベル1の基準画像110は、青みがかった緑色の画像である。
劣化判定部103は、N個の各基準画像110に対して、色空間モデルを用いて色空間変換する(T111)。ここでは、処理を容易にするために、色空間変換された画像に色の明瞭さがもたらされてもよい。
色空間モデルとして、例えばHSV色空間モデル又はHSL色空間モデルが用いられる。HSV色空間モデルは、色相(H:Hue)、彩度(S:Saturation)、及び明度(V:Value)の3つの色成分を含む。HSL色空間モデルは、色相(H:Hue)、彩度(S:Saturation)、及び輝度(L:Lightness)の3つの色成分を含む。但し、ここではV:明度やL:輝度は用いられない。HSV色空間モデル(明度を除く)やHSL色空間モデル(輝度を除く)を用いることで、YCbCr色空間モデル等と比較すると、サーバ100は、色相及び彩度成分が色の処理を容易化できる。
異なる劣化レベルは、色相成分において明瞭なピークを形成する。また、異なる劣化レベルでの色の深度も、それぞれの色で異なる。色の深度は、彩度成分に含まれる。色相及び彩度の双方の情報が、ヒストグラム210に含まれ得る。
図5は、ヒストグラム210の一例を示す模式図である。ヒストグラム210は、例えば、色相と正規化された彩度平均値とにより生成される。図5では、横軸が色相を示し、縦軸が正規化された彩度平均値を示す。
ヒストグラム210は、形状及び色の分布パターン等に依存せず、色、質感の情報を含むので、色相及び彩度の情報が使用される。例えば、劣化判定部103は、異なる劣化レベルのためのN個(例えば5つ)の基準ヒストグラムを、それぞれの基準画像110から生成し、正規化する(T112)。ヒストグラムの正規化により、スケール依存を低減できる。
尚、T112で得られる基準ヒストグラムは、予めメモリ160に保持されていてもよい。つまり、予め基準ヒストグラムが用意されていてもよい。
劣化判定部103は、劣化判定部103の入力端において、分析のために選択された入力画像120、又は、ビデオ(動画像)の場合であればフレームから抽出された入力画像120を取得する。入力画像120は、例えば前述のデジタル・カラー画像である。劣化判定部103は、基準画像110に対する前述の処理T111,T112と同様に、入力画像120に対して、色空間変換し(T121)、ヒストグラム生成し、正規化する(T122)。尚、入力画像120を基に生成されるヒストグラムを、「入力ヒストグラム」とも称する。
尚、入力画像120に対して前処理されてもよい。この前処理は、例えば、被分析金属構造に無関係の背景55を除外するセグメント化を含む。このセグメント化は、領域抽出部102による領域抽出に相当する。
劣化判定部103は、入力画像120とN個の基準画像110とに基づいて、比較処理する(T131)。
図6は、比較処理T131の詳細を示す模式図である。劣化判定部103は、比較処理において、T121における色空間変換により生成された色相画像312及び彩度画像313を入力し、使用する。劣化判定部103は、例えば、注目エリア内のピクセル(x,y)位置310毎に、入力ヒストグラム321を生成する。注目エリアは、色相画像312及び彩度画像313の全体でもよいし、一部でもよい。尚、注目エリアは、例えば、UIを介してユーザにより指定されてもよいし、ユーザによる指定を介さずに、劣化判定部103により指定されてもよい。
劣化判定部103は、入力画像120から生成された入力ヒストグラム321と、選択された劣化レベルの基準画像110から生成された基準ヒストグラム331と、の間の正規化された相互相関341を導出(例えば算出)する。
劣化判定部103は、正規化された相互相関341を、色相画像312及び彩度画像313でのピクセル(x,y)位置に対応する劣化レベル検出画像351でのピクセル(x,y)位置350のピクセル値に、割り当てる。劣化レベル検出画像351は、N個生成される。ここでは、入力画像120の位置におけるラスタ・スキャン314と、劣化レベル検出結果の画像の位置におけるラスタ・スキャン354とが、両画像の関係性を示すために使用されている。尚、劣化レベル検出画像351は、相互相関の情報が各ピクセル位置にマッピングされた相互相関画像に相当する。
劣化判定部103は、色相画像312及び彩度画像313におけるウィンドウ311内の各ピクセルのピクセル値を、そのピクセル(x,y)位置での入力ヒストグラム321の計算及び生成に使用する。ウィンドウ311は、例えばUI等を用いてユーザにより定義される。尚、ウィンドウ311は、例えば、UIを介してユーザにより指定されてもよいし、ユーザによる指定を介さずに、劣化判定部103により指定されてもよい。
統合部104は、N個の各劣化レベル検出画像351を融合し(T132)、1つのグレースケール画像130を形成する。グレースケール画像130は、金属構造又はその金属構造の下位構成要素の寿命見積等の分析のために使用され得る。尚、グレースケール画像130は、劣化診断の評価値を示す評価画像の一例であり、出力結果の一例である。出力結果は、更なる処理(例えば整備スケジュールの判定、生成)や表示に用いられる。
なお、劣化判定部103は、入力ヒストグラム321と基準ヒストグラム331との間の正規化された相互相関のみならず、入力ヒストグラム321と基準ヒストグラム331との間の類似性を各ピクセルについて求め、求められた類似性に対応する情報をピクセル位置(x、y)に対応するピクセル値として割り当てることにより、劣化レベル検出画像351を生成しても良い。
融合は、基本的に、図7に示されている通り、2段階の処理を含む。最初に、統合部104は、各劣化レベル検出画像351におけるピクセル値の範囲を、融合結果の画像(融合画像、グレースケール画像130に相当)における所定のピクセル値の範囲に、リマップする(T133)。
例えば、統合部104は、劣化レベルに依存する割り当て済みの(所定の)重みWを、各劣化レベル検出画像351における各ピクセル値に乗ずることで、リマップする。この重みW1〜W5は、例えば以下に示される値である。
劣化レベル1:W1=(0.2/3.0)
劣化レベル2:W2=(0.4/3.0)
劣化レベル3:W3=(0.6/3.0)
劣化レベル4:W4=(0.8/3.0)
劣化レベル5:W5=(1.0/3.0)
つまり、上記の重みWは、劣化レベルに応じた色相係数(例えば、劣化レベル1の場合には「0.2」)に各劣化レベルの色相係数の合計値(ここでは「3.0」)で除した値である。
そして、統合部104は、図7に示すように、リマップ後、各劣化レベルでのリマップ結果を合計する(T134)。
つまり、統合部104は、各劣化レベルに対する各相互相関値に対して重み付けし、重み付けされた各相互相関値を加算することで、劣化診断の評価値を得る。
金属構造は、異なるタイプの金属を使用して建造されることがある。また、金属構造の多様な部分は、日光や雨の劣化環境(腐食環境)に対してどのように露出されているかが異なることがある。そのため、金属構造内の劣化レベルは、金属構造毎に異なる可能性がある。
また、統合部104は、T132で融合されたグレースケール画像130からカラー画像140を生成してもよい(T141)。言い換えると、劣化判定部103は、グレースケール画像130内の各値に色を割り当て、カラー画像140を生成してもよい。カラー画像140は、例えば表示に用いられる。カラー画像140を用いることで、ユーザは、劣化の発生個所及び深刻度を視覚的に容易に識別できる。カラー画像140は、カラーマッピングされた出力画像の一例である。
カラーマップ141として、例えば、JETスタイルのカラーマップが使用される。JETスタイルのカラーマップは、青色で開始し、劣化に伴って、緑色、黄色、橙色、赤色へと変化する。最低位の劣化レベルがカラーマップの青色端にマップされ、最高位の劣化が赤色端にマップされる。
[劣化特性及び整備スケジュールの導出例]
送電設備50を構成する鋼材としては、ナット、AH(アークホーン)、連結金具又はボルト、ヨーク等が存在する。
劣化特性は鋼材によって異なる。例えば、ナットは劣化し易く、ヨークは劣化し難い。つまり、図3における両端の連結金具81が劣化し易く、特に結合部分は劣化し易い。これは、ナット82及びナット82周辺の応力がかかる部分が錆び易いことに起因する。
劣化特性は、送電設備50の設置場所、向き、気候等により変化する。送電設備50の整備を高精度に行うためには、鋼材51の劣化特性を高精度に把握することが必要である。
以下に、劣化特性の生成例を示す。尚、図8〜図13では、劣化評価値が値0、且つ劣化評価時期としての経過年数が0である点を原点Oとする。
図8は、劣化特性の第1例を示す模式図である。図8では、スケジュール推定部105は、今回が送電設備50の設置後初めての劣化診断である場合、原点Oと今回の劣化診断に係る点P1の2点の情報を取得する。スケジュール推定部105は、この2点を接続する直線L1を劣化特性として生成する。
図9は、劣化特性の第2例を示す模式図である。図9では、スケジュール推定部105は、今回が送電設備50の設置後、3回目の劣化診断である場合、原点Oと今回までの3回の劣化診断に係る3点P11〜P13の情報を取得する。スケジュール推定部105は、原点Oと3点P11〜P13を接続する直線L2を劣化特性として生成する。尚、直線L2では、原点Oと上記3点P11〜P13とが1直線上に並んでいる。
図10は、劣化特性の第3例を示す模式図である。スケジュール推定部105は、例えば、今回が送電設備50の設置後、3回目の劣化診断である場合、原点Oと今回までの3回の劣化診断に係る3点P21〜P23の情報を取得する。スケジュール推定部105は、原点Oと3点P21〜P23に基づいて、直線L3を劣化特性として生成する。直線L3は、例えば、原点Oと3点P21〜P23を用いた最小二乗法により算出される。尚、最小二乗法以外の近似手法を用いて劣化特性を導出してもよい。
図11は、劣化特性の第4例を示す模式図である。スケジュール推定部105は、例えば、今回が送電設備50の設置後、3回目の劣化診断である場合、原点Oと今回までの3回の劣化診断に係る3点P31〜P33の情報を取得する。スケジュール推定部105は、原点Oと3点P31〜P33に基づいて、曲線L4を劣化特性として生成する。曲線L4は、例えば、原点と3点P31〜P33を用いた非線形の最小二乗法により算出される。尚、最小二乗法以外の近似手法を用いて劣化特性を導出してもよい。
図12は、劣化特性の第5例を示す模式図である。スケジュール推定部105は、例えば、今回が送電設備50の設置後、3回目の劣化診断である場合、原点Oと今回までの3回の劣化診断に係る3点P41〜P43の情報を取得する。スケジュール推定部105は、3回の劣化診断に係る複数の点P41〜P43を平均した点(平均点A1)を導出する。つまり、スケジュール推定部105は、劣化診断の診断時期の平均時期と劣化評価値の平均値とを示す点を平均点A1として導出してもよい。そして、スケジュール推定部105は、原点Oと平均点A1とを接続する直線L5を劣化特性として生成してもよい。
図13は、劣化特性の第6例を示す模式図である。スケジュール推定部105は、例えば、今回が送電設備50の設置後、3回目の劣化診断である場合、原点Oと今回までの3回の劣化診断に係る3点P51〜P53の情報を取得する。スケジュール推定部105は、3点P51〜P53から1点を選択してもよい。例えば、安全性を考慮して、最低の劣化特性となる点P52を選択して、原点Oと点P52とを接続する直線L6を劣化特性として生成してもよい。
スケジュール推定部105は、生成された劣化特性に基づいて、劣化診断対象の鋼材51の整備スケジュールを生成する。図8〜図13では、劣化評価値が値255の時点で最も劣化した状態と推定される。そのため、スケジュール推定部105は、例えば、生成された劣化特性において、劣化評価値が値200となる時点で、ナットを点検するという整備スケジュールを生成する。また、スケジュール推定部105は、劣化評価値が値240となる時点で、ナットを交換するという整備スケジュールを生成する。
[動作等]
図14は、サーバ100の動作例を示す模式図である。
まず、インタフェース101は、撮像画像を取得する。プロセッサ150は、デジタル・カラー画像としての入力画像120を取得する(S11)。入力画像120は、撮像画像又は撮像画像から送電設備50が抽出された画像である。
プロセッサ150は、入力画像120に対して色空間変換する(S12)。
プロセッサ150は、メモリ160から、劣化レベルNの基準ヒストグラム331を取得する(S13)。
プロセッサ150は、ウィンドウ311内における所定のピクセル位置において、正規化された入力ヒストグラム321を生成する(S14)。
プロセッサ150は、入力ヒストグラム321と基準ヒストグラム331との相互相関341を算出し、相互相関341を正規化する。プロセッサ150は、所定のピクセル位置へ、正規化された相互相関341の値を割り当て、劣化レベル検出画像351を生成する(S15)。
プロセッサ150は、注目エリア内の全てのピクセル位置に対して、正規化された相互相関341を導出したか否かを判定する(S16)。相互相関341を未導出のピクセル位置が存在する場合、S14に進む。
相互相関341を未導出のピクセル位置が存在しない場合、プロセッサ150は、N個全ての劣化レベルの基準ヒストグラム331を用いて、相互相関341が導出したかを判定する(S17)。相互相関341を未導出の基準ヒストグラム331が存在する場合、S13に進み、プロセッサ150は、残りの基準ヒストグラム331を用いて相互相関341を算出する。
相互相関341を未導出の基準ヒストグラム331が存在しない場合、プロセッサ150は、導出された全ての正規化後の相互相関341の値を融合する(S18)。融合では、プロセッサ150は、劣化レベルに応じて予め設定された重みWを劣化レベル毎の相互相関341の値に乗算し、乗算された各相互相関341の値を加算する。これにより、鋼材51の劣化度を加味したグレースケール画像130が得られる。
プロセッサ150は、グレースケール画像130が示す劣化診断の評価値と、劣化診断時期とに基づいて、劣化特性を生成する。そして、プロセッサ150は、劣化特性に基づいて、劣化診断対象の鋼材51の整備スケジュールを生成する(S19)。
プロセッサ150は、得られたグレースケール画像130に対して、視覚的な強化が必要か否かを判定する(S20)。つまり、プロセッサ150は、グレースケール画像130をカラー化する必要があるか否かを判定する。視覚的な強化が必要ない場合、サーバ100は、図14の処理を終了する。
視覚的な強化が必要な場合、プロセッサ150は、融合後の結果をカラー結果にマップする(S21)。つまり、プロセッサ150は、グレースケール画像130をカラー画像140に変換する。S21の終了後、サーバ100は、図14の処理を終了する。
このように、劣化診断システム10は、金属構造上の劣化の検出、分析、及び可視化を行う。まず、被分析デジタル・カラー画像が入力される。デジタル・カラー画像は、色空間のサブ画像を獲得する色情報抽出のために異なる色空間に変換される。その色空間のサブ画像がピクセル毎でスキャンされる。スキャンされた各ピクセル位置において、そのピクセルおよびその周囲のピクセルの色情報が使用されて正規化されたヒストグラムが生成される。スキャンされた各ピクセル位置において生成された正規化済みヒストグラムは、その後、予め定義済みの異なる劣化レベルの正規化済みヒストグラムと比較される。この比較から、生成された正規化済みヒストグラムと予め定義済みの正規化済みヒストグラムの間の類似性に基づいて、異なる劣化レベルについてのマップが生成される。これらのマップが各マップに対する異なる重みの適用および重み付け後のマップの合計によって融合され、検出分析のための融合済み劣化マップが獲得される。融合済み劣化マップは、劣化の深刻度の可視化のために使用できる。可視化は、さらに、JETスタイルのカラーマップ等のカラー・スタイルを使用するカラー・リマップによって強化できる。
[効果等]
劣化診断システム10によれば、送電設備50の画像を一度撮像し、撮像画像に対して画像処理することで、次回以降の整備スケジュールを生成する。つまり、次回以降の整備時期を予測し、計画し、又は送電設備50毎や部品毎の整備優先度(プライオリティ)を決定できる。そのため、整備者の感覚に頼って送電設備50の整備スケジュールを生成しなくて済むので、客観性を向上できる。
また、同じ材料で形成された送電設備50でも、設置場所、設置向き等により、劣化の進行度合いが異なる。従って、送電設備50の整備スケジュールを一律に決定(例えば5年毎に全数検査)することを抑制でき、定量的に劣化レベルを評価できるので、送電設備50毎や部品毎により適した整備計画を立案し、実施できる。
また、サーバ100は、過去の整備履歴を参照し、整備時期やその整備時期での劣化レベルを基に、所定の劣化レベルとなる時期を推測でき、次回以降の整備スケジュールを生成できる。鋼材の劣化の仕方は、経過時間と比例関係にあることが多いが、劣化特性が非線形である場合、又は過去の劣化レベルの診断精度が不十分であった場合でも、サーバ100は、複数のプロットを基に劣化特性を決定して、整備スケジュールの生成精度を向上できる。
このように、劣化診断システム10は、鋼材の劣化度を加味した整備スケジュールを容易に立案できる。
また、領域抽出部102は、送電設備50における特定の鋼材の部品(例えばナット、アーク、ボルト)の領域を抽出してもよい。これにより、サーバ100は、例えば整備者が特定の部品を選択し、その部品の整備時期を示すことができる。
また、劣化判定部103によるこの特定の部品の劣化評価値が所定値以上である場合、つまり劣化が深刻である場合に、サーバ100は、撮像画像における特定の部品の箇所に対して、劣化が深刻である旨を表示(例えばハイライト)させてもよい。この表示の情報は、例えばPC300やタブレット端末400へ送られ、PC300やタブレット端末400により表示される。これにより、整備者は、劣化が深刻である特定の部品を容易に視認でき、整備作業をし易くなる。
(他の実施形態)
以上のように、本開示における技術の例示として、第1の実施形態を説明した。しかし、本開示における技術は、これに限定されず、変更、置き換え、付加、省略などを行った実施形態にも適用できる。
第1の実施形態では、劣化診断システム10は、少なくとも一部の装置が省略されてもよい。例えば、カメラ200及びタブレット端末400のいずれか一方が省略されてもよい。また、サーバ100が省略されてもよい。サーバ100が省略される場合、PC300又はタブレット端末400が、サーバ100が有する劣化診断機能及び整備スケジュール生成機能を有する。また、PC300が省略されてもよい。PC300が省略される場合、サーバ100がユーザの指示を入力するためのUIを有する。また、タブレット端末400が省略されてもよい。
第1の実施形態では、鋼材51を含む設備として送電設備50を例示した。尚、第1の実施形態は、鋼材51を含む配電設備に適用されてもよい。更に、第1の実施形態は、鋼材51を含む電車関連設備、通信関連設備、その他の鋼材を含む設備に適用されてもよい。例えば、配電設備に適用された場合、整備者が市街地の電柱に登ってカメラ200等で撮像し、サーバ100等が配電設備を劣化診断する。これにより、劣化診断システム10は、整備者が目視で主観的に劣化診断するよりも、客観性を向上できる。
第1の実施形態では、スケジュール推定部105は、劣化診断をした直後に、この劣化診断に係る劣化診断時期及び劣化評価値を用いて、整備スケジュールを生成することを例示した。尚、スケジュール推定部105は、メモリ160に蓄積された1つ以上の劣化診断時期及び劣化評価値の情報を用いて、整備スケジュールを生成してもよい。つまり、整備スケジュールの生成タイミングは、劣化診断のタイミングとずれていてもよい。
第1の実施形態では、図9〜図13において、複数の劣化診断として3回の劣化診断が実施されることを例示したが、劣化診断が2回でも4回以上でもよい。
第1の実施形態では、プロセッサ150は、物理的にどのように構成してもよい。また、プログラム可能なプロセッサ150を用いれば、プログラムの変更により処理内容を変更できるので、プロセッサ150の設計の自由度を高めることができる。プロセッサ150は、1つの半導体チップで構成してもよいし、物理的に複数の半導体チップで構成してもよい。複数の半導体チップで構成する場合、第1の実施形態の各制御をそれぞれ別の半導体チップで実現してもよい。この場合、それらの複数の半導体チップで1つのプロセッサ150を構成すると考えることができる。また、プロセッサ150は、半導体チップと別の機能を有する部材(コンデンサ等)で構成してもよい。また、プロセッサ150が有する機能とそれ以外の機能とを実現するように、1つの半導体チップを構成してもよい。
第1の実施形態では、図2においてサーバ100の構成を示したが、サーバ100の各構成は、ハードウェアにより実現されてもよいし、ソフトウェアにより実現されてもよい。
(本開示の一態様の概要)
本開示の一態様の劣化診断装置は、鋼材51を含む撮像画像60を入力するインタフェース101と、プロセッサ150と、を備える。プロセッサ150は、撮像画像60に含まれる鋼材の劣化度を評価し、劣化度の評価時点及び劣化度の評価値に基づいて、鋼材51の劣化特性を導出し、劣化特性に基づいて、鋼材51の整備スケジュールを生成する。
劣化診断装置は、例えばサーバ100である。劣化度の評価時点は、例えば劣化評価時期である。劣化度の評価値は、例えば劣化評価値である。
これにより、劣化診断装置は、画像処理を用いて鋼材51を劣化診断し、劣化特性を推定し、整備スケジュールを生成できる。従って、例えば整備者が目視で劣化診断する場合よりも劣化診断結果の客観性を向上できる。また、劣化診断装置は、整備スケジュールを生成することで、労力を要する鋼材51の撮像タイミングを容易に認識でき、整備者の負担を低減できる。また、劣化診断装置は、同一の設備において各部品の劣化具合が異なる場合でも、部品毎に劣化診断でき、部品毎に整備スケジュールを立案できる。
本開示の一態様の劣化診断装置は、プロセッサ150が、撮像画像60から鋼材51を抽出し、抽出された鋼材51の劣化度を評価してもよい。
これにより、劣化診断装置は、撮像画像60に含まれる背景55等の影響を低減して、鋼材51の劣化度を判定できる。
また、本開示の一態様の劣化診断装置は、プロセッサ150により劣化度を評価された鋼材51の劣化度の評価時点及び劣化度の評価値の情報を保持するメモリ160を備えてもよい。プロセッサ150は、メモリ160に保持された劣化度の評価時点及び劣化度の評価値の情報に基づいて、整備スケジュールを生成してもよい。
これにより、劣化診断装置は、過去の劣化診断の結果を用いて、任意のタイミングで整備スケジュールを生成できる。
また、本開示の一態様の劣化診断装置は、プロセッサ150が、撮像画像60又は抽出された鋼材51の画像と、所定の劣化度に応じた複数の基準画像110とに基づいて、色相及び彩度に基づく複数の相関情報を導出し、複数の相関情報に基づいて、鋼材51の劣化度を評価してもよい。相関情報は、例えば相互相関である。
これにより、劣化診断装置は、明度や輝度に依存せずに相関情報を生成できる。よって、劣化診断装置は、撮像画像60の送電設備50の色情報に対する天候、季節、時間帯等による影響を低減できる。
また、本開示の一態様の劣化診断装置は、プロセッサ150は、複数の相関情報に対して、所定の劣化度に応じた重みWを乗算することで、劣化度の評価値を示す評価画像を生成してもよい。評価画像は、例えばグレースケール画像130である。
これにより、劣化診断装置は、重み付けにより鋼材51の劣化具合を強調した評価画像を生成できる。
また、本開示の一態様の劣化診断方法は、劣化診断装置における劣化診断方法である。この方法では、鋼材51を含む撮像画像60を入力し、撮像画像60に含まれる鋼材51の劣化度を評価し、劣化度の評価時点及び劣化度の評価値に基づいて、鋼材51の劣化特性を導出し、劣化特性に基づいて、鋼材51の整備スケジュールを生成する。
これにより、劣化診断装置は、画像処理を用いて鋼材51を劣化診断し、劣化特性を推定し、整備スケジュールを生成できる。従って、例えば整備者が目視で劣化診断する場合よりも劣化診断結果の客観性を向上できる。また、劣化診断装置は、整備スケジュールを生成することで、労力を要する鋼材51の撮像タイミングを容易に認識でき、整備者の負担を低減できる。また、劣化診断装置は、同一の設備において各部品の劣化具合が異なる場合でも、部品毎に劣化診断でき、部品毎に整備スケジュールを立案できる。
また、本開示の一態様の腐食解析方法は、
構造上の腐食レベルの分析および可視化する腐食解析方法であって、
(a)被分析構造のデジタル・カラー画像を読み取り、
(b)HSVまたはHSLいずれかの色空間モデルを使用してデジタル・カラー画像を色空間変換済みサブ画像に色空間変換し、
(c)色空間変換済みサブ画像の正規化後ヒストグラムと、あらかじめ選択された対応する色空間変換済み基準腐食レベル画像の正規化後ヒストグラムと、比較し、比較結果画像を生成し、
(d)すべてのユーザ定義数の基準腐食レベルが比較済みとなるまで異なる基準腐食レベルの画像を使用して(c)を反復し、
(e)(c)及び(d)から比較の結果としてもたらされる画像のそれぞれに対して、所定重みを割り当てて重み付き比較結果画像を生成し、
(f)複数の重み付き比較結果画像を結合して、腐食レベル分析結果画像を生成する、腐食解析方法である。
また、本開示の一態様の腐食解析方法は、(c)の比較において、
色空間変換済みサブ画像内の所定の注目エリア内の各ピクセル位置について、ピクセル位置が色空間変換済みサブ画像の縁であるとき、比較の前に行なわれるミラー・パディングを用いて、比較を実行し、
比較結果画像内の対応するピクセル位置に結果の値を生成する相互相関の使用を含む数学アルゴリズムを使用して、比較が行なわれ、
注目エリア外の位置が存在する場合には、比較結果画像内の対応するピクセル値がユーザによって定義される。
尚、ミラー・パディングとは、画像の処理対象画素が画像の縁にあるときは、処理ウィンドウ内に画素が存在しない部分を含むことになるので、画素が存在しない部分を、近傍画素で埋める操作を意味する。したがって、ピクセル位置がサブ画像の縁である場合、ミラー・パディングによって、処理ウィンドウ内の画素が存在しない部分は、上述した比較の前に近傍画素によって埋められることになる。
また、本開示の一態様の腐食解析方法は、(c)のヒストグラム生成において、
色空間変換済みサブ画像の1つ又は複数の組合せ内のピクセル値を使用し、
ユーザ定義窓サイズを用いる比較の下におけるピクセル位置をカバーするピクセル値を使用する。
また、本開示の一態様の腐食解析方法は、
構造上の腐食レベルの分析および可視化の方法であって、
(a)被分析構造の表面を含むデジタル・カラー画像を読み取り、
(b)HSVまたはHSLいずれかの色空間モデルを使用してデジタル・カラー画像を色空間変換済みサブ画像に色空間変換し、
(c)色空間変換済みサブ画像の正規化後ヒストグラムと、あらかじめ選択された色空間変換済み基準腐食レベル画像の正規化後ヒストグラムと、を比較し、比較結果画像を生成し、
(d)すべてのユーザ定義数の基準腐食レベルが比較済みとなるまで異なる基準腐食レベルの画像を使用して(c)を反復し、
(e)(c)及び(d)から比較の結果としてもたらされる画像のそれぞれに対してユーザ定義重みを割り当てて重み付き比較結果画像を生成し、
(f)重み付き比較結果画像を結合して腐食レベル分析結果画像を生成し、
(g)腐食レベル分析結果画像内の異なるピクセル値に対して異なる色を割り当てることによる腐食レベル視覚的強化を行う。
本開示は、鋼材の劣化度を加味した整備スケジュールを容易に立案できる劣化診断装置及び劣化診断方法等に有用である。
10 劣化診断システム
100 サーバ
101 インタフェース
102 領域抽出部
103 劣化判定部
104 統合部
105 スケジュール推定部
150 プロセッサ
160 メモリ
200 カメラ
300 PC
400 タブレット端末
110 基準画像
120 入力画像
130 グレースケール画像
140 カラー画像
312 色相画像
313 彩度画像
321 入力ヒストグラム
331 基準ヒストグラム

Claims (9)

  1. 鋼材を含む撮像画像を取得するインタフェースと、
    プロセッサと、
    を備え、
    前記プロセッサは、
    前記撮像画像に含まれる前記鋼材の劣化度を評価し、
    前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値に基づいて、前記鋼材の劣化特性を導出し、
    前記劣化特性に基づいて、前記鋼材の整備スケジュールを生成し、
    前記プロセッサは、
    前記撮像画像又は前記撮像画像から抽出された鋼材の画像の色相と彩度とによりピクセル位置毎に生成された入力ヒストグラムと、所定の劣化度に応じた複数の基準画像の色相と彩度とによりそれぞれ生成された複数の基準ヒストグラムと、の間の相関情報を導出し、
    前記相関情報が各前記ピクセル位置にマッピングされた相互相関画像を、前記鋼材の劣化度を示す画像として生成する、劣化診断装置。
  2. 請求項1に記載の劣化診断装置であって、更に、
    前記プロセッサより劣化度を評価された鋼材の前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値の情報を保持するメモリを備え、
    前記プロセッサは、前記メモリに保持された前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値の情報に基づいて、前記整備スケジュールを生成する、劣化診断装置。
  3. 請求項に記載の劣化診断装置であって、
    前記メモリは、前記鋼材の使用開始時刻の情報をさらに保持し、
    前記プロセッサは、現在時刻の情報と、前記鋼材の使用開始時刻の情報と、の差により、前記劣化度の評価時点を算出する、劣化診断装置。
  4. 請求項に記載の劣化診断装置であって、
    前記プロセッサは、今回の前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値の情報に基づいて、前記鋼材の劣化特性を導出する、劣化診断装置。
  5. 請求項に記載の劣化診断装置であって、
    前記プロセッサは、今回の前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値の情報と、過去に得られた前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値の情報と、に基づいて、前記鋼材の劣化特性を導出する、劣化診断装置。
  6. 請求項1〜のいずれか1項に記載の劣化診断装置であって、
    前記プロセッサは、
    前記撮像画像又は抽出された鋼材の画像と、所定の劣化度に応じた複数の基準画像とに基づいて、色相及び彩度に基づく複数の相関情報を導出し、
    前記複数の相関情報に基づいて、前記鋼材の劣化度を評価する、劣化診断装置。
  7. 請求項1または6に記載の劣化診断装置であって、
    前記プロセッサは、前記複数の相関情報に対して、前記所定の劣化度に応じた重みを乗算することで、前記劣化度の評価値を示す評価画像を生成する、劣化診断装置。
  8. 請求項1〜のいずれか1項に記載の劣化診断装置であって、
    前記鋼材は、送電設備又は配電設備に含まれる、劣化診断装置。
  9. 劣化診断装置における劣化診断方法であって、
    鋼材を含む撮像画像を入力するステップと、
    前記撮像画像に含まれる前記鋼材の劣化度を評価するステップと、
    前記劣化度の評価時点及び前記劣化度の評価値に基づいて、前記鋼材の劣化特性を導出するステップと、
    前記劣化特性に基づいて、前記鋼材の整備スケジュールを生成するステップと、
    を有し、
    前記鋼材の劣化度を評価するステップは、
    前記撮像画像又は前記撮像画像から抽出された鋼材の画像の色相と彩度とによりピクセル位置毎に生成された入力ヒストグラムと、所定の劣化度に応じた複数の基準画像の色相と彩度とによりそれぞれ生成された複数の基準ヒストグラムと、の間の相関情報を導出し、
    前記相関情報が各前記ピクセル位置にマッピングされた相互相関画像を、前記鋼材の劣化度を示す画像として生成する、劣化診断方法。
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