JP2003169415A - 地図情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理システム - Google Patents

地図情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理システム

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JP2003169415A JP2001365732A JP2001365732A JP2003169415A JP 2003169415 A JP2003169415 A JP 2003169415A JP 2001365732 A JP2001365732 A JP 2001365732A JP 2001365732 A JP2001365732 A JP 2001365732A JP 2003169415 A JP2003169415 A JP 2003169415A
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Norio Masaoka
典夫 正岡
Takeo Tsushima
健夫 対馬
Fuminori Fukuyama
史記 福山
Shoichi Sato
正一 佐藤
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 亜鉛めっき送電鉄塔の経年劣化管理におい
て、地図情報システムを活用し、地形条件,周辺環境,
劣化診断結果等を地図上で確認することで、地域特性を
考慮した経年劣化の進行予測を短期間に精度良く行える
ようにする。 【解決手段】 送電鉄塔の画像診断システム1と地図情
報システム2を利用して各地に建設されている送電鉄塔
の所在地と劣化診断結果を地図上に色分けしたマーカー
により表示し、地図情報による鉄塔の建設地の地形条件
・周辺環境または鉄塔の気候データ・環境測定データを
用いて腐食環境がほぼ同一とみなせる鉄塔を選定し、選
定した鉄塔の劣化診断結果と経過年数から選定地域の腐
食速度を統計処理により算出し、この各選定地域の腐食
速度を用いて、腐食環境に応じて地域が色分けされた腐
食マップを作成し、補修時期の評価を行う。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、亜鉛めっきされた
送電鉄塔等のめっき構造物の経年劣化を地図情報システ
ムを利用して予測し管理するめっき構造物の経年劣化管
理システムに関するものである。
【0002】
【従来の技術】例えば送電鉄塔の経年劣化を管理するた
めには、現状の劣化状況の適正な把握と、劣化進行
予測による補修時期の設定が必要となる。の劣化状態
の適正な把握方法については、カラー画像解析による亜
鉛めっきの劣化度合評価手法(以下、画像診断システム
と記載)を確立してきた(特願平8−41005号、特
願平9−300707号、特願平11−173858
号、特願平11−362882号など)。そして、次に
送電鉄塔の経年劣化管理に求められることは、の劣化
進行予測による補修時期の設定方法となる。
【0003】現状の保守では、設備管理台帳等の帳票類
に記載されている送電鉄塔の経過年数や塩害汚損区分等
を参考に計画されている。塩害汚損区分は、海岸からの
距離・飛来塩分量で定義されている。
【0004】
【発明が解決しようとする課題】送電鉄塔の亜鉛めっき
の腐食速度に大きく影響を及ぼす因子(腐食因子)は、
SOX , NOX ,海塩粒子量等が支配的となり、これら
は送電鉄塔が建設されている環境により異なる。従っ
て、送電鉄塔の亜鉛めっきの経年劣化には鉄塔建設地の
地域特性(鉄塔建設地の環境条件・地形条件・気候条件
等によるばらつき)が表れることが考えられ、単純な経
過年数のみによる経年劣化の管理は困難となる。また、
前述の塩害汚損区分のみによる地域特性分類は、海岸か
らの距離・飛来塩分量のみで定義されているため、地域
特性を考慮して適正な時期に補修することは困難であっ
た。
【0005】また、精度の高い送電鉄塔の亜鉛めっきの
劣化進行予測は、図8に示すように、同一鉄塔の亜鉛め
っきの劣化状況を長期間にわたり調べ、腐食速度を算出
することで可能となる。ここで、腐食速度は、亜鉛めっ
きの劣化状況を示すパラメータ(例えば、画像診断シス
テムによる亜鉛めっき劣化度合、亜鉛めっき残存膜厚な
ど)を経過年数で除して算出することができる(以下、
実測による腐食速度算出法と記載)。しかし、この実測
による腐食速度算出法の場合、ある鉄塔の亜鉛めっき腐
食速度を算出する際に、精度の高い腐食速度の算出が可
能であり、適正な時期に補修することが可能となるが、
非常に長期間の追跡調査が必要となり、近年の課題であ
る設備の適正管理(ファシリティーマネジメント)への
迅速な対応は難しい。
【0006】そこで、送電鉄塔の亜鉛めっき腐食速度を
短期間で把握する方法として、劣化進行予測対象鉄塔を
複数基選定し、地域特性を考慮した統計的手法により算
出することが考えられている。この統計的手法による腐
食速度算出方法(以下、統計的腐食速度算出法と記載)
は、次のような手順で行っている。 対象鉄塔を、比較的同一とみなせる腐食環境に置か
れ、経過年数(建設年)が異なっている鉄塔を複数基選
定する。 選定した鉄塔に対して、劣化度基準(数値的な尺度に
基づく基準)をもとに、亜鉛めっき劣化状態の数値評価
(画像診断等)を行う。 図9に示すように、診断結果と経過年数との関係をグ
ラフ化して近似線を求め、近似線の傾き等を腐食速度と
して算出する。これら工業地域や山間地域等の地域単位
の腐食速度を用い、腐食環境がほぼ同一の地域毎に補修
時期等を決定する。
【0007】しかし、通常、調査対象鉄塔に関するデー
タ類は台帳等で保管されており、台帳に記載されている
データとしては、対象鉄塔の設置年月,設置場所,補修
履歴等であることが多く、建設地の地形条件・周辺環境
についての記録はない。経年劣化を管理する場合、前述
したように、地形条件・周辺環境等を考慮する必要があ
り、台帳に記載されているデータのみで評価を行うこと
は難しい。
【0008】本発明は、前述のような問題を解決すべく
なされたもので、地図情報システムを活用し、地形条件
・周辺環境等を地図上で確認することで、地域特性を考
慮した経年劣化の進行予測を短期間に精度良く行うこと
のできるめっき構造物の経年劣化管理システムを提供す
ることにある。
【0009】
【課題を解決するための手段】本発明の請求項1は、各
地に建設されているめっき構造物(亜鉛めっき送電鉄塔
など)の経年劣化の進行を管理するめっき構造物の経年
劣化管理システムであり、めっき構造物の所在地と劣化
診断結果(劣化度,残存膜厚,減耗量等)を地図上に表
示する手段と、地図情報によるめっき構造物の所在地条
件および/またはめっき構造物の各種データを用いて腐
食環境がほぼ同一とみなせるめっき構造物を選定する手
段と、選定しためっき構造物の劣化診断結果と経過年数
から選定地域の劣化進行速度を算出する手段と、各選定
地域の劣化進行速度から補修時期の評価を行う手段を有
することを特徴とする地図情報を利用しためっき構造物
の経年劣化管理システムである。めっき構造物の所在地
は、○などのマーカーで、劣化診断結果は、劣化状態に
応じてマーカーを色分けするなどして、地図情報システ
ムの地図上に表示する。
【0010】本発明の請求項2は、請求項1に記載のシ
ステムにおいて、地図情報によるめっき構造物の所在地
条件は、めっき構造物の建設地の地形条件・周辺環境で
あることを特徴とする経年劣化管理システムである。前
記地形条件・周辺環境は、例えば、海岸地域に建設され
ている、工業地域に建設されている、都市地域に建設さ
れている、田園地域に建設されている、山間地域に建設
されている、海岸との距離は近いが海岸線までに遮蔽物
や山などがある、海岸からの距離は遠いが平野に建設さ
れているため海風が当りやすい、重工業地域に隣接して
いる住宅地に建設されている、NOX 濃度値等が高いな
どであり、これらの各地域単位でその地域特性を有する
めっき構造物を選定する。
【0011】本発明の請求項3は、請求項1または2に
記載のシステムにおいて、めっき構造物の各種データ
は、めっき構造物の建設地の気候データ,環境測定デー
タ,既に実施された劣化診断データであることを特徴と
する経年劣化管理システムである。前記気候データは、
主風向・風速等であり、環境測定データは、SOX , N
X ,海塩粒子量等であり、劣化診断データは、各鉄塔
の劣化状況,めっき膜厚,めっき減耗量,腐食速度等で
ある。画像診断システム等においては、調査・診断した
めっき構造物の劣化状況,構造物情報(建設地・経過年
数等),気候データ,環境測定データがデータベースに
格納されており、必要に応じて、この気候データ,環境
測定データ,劣化診断データと、地図情報システムの前
記地形条件・周辺環境を組合せ、腐食環境が比較的同一
とみなすことができる地域単位毎にめっき構造物を選定
する。
【0012】本発明の請求項4は、請求項1、2または
3に記載のシステムにおいて、各選定地域の劣化進行速
度は、経過年数の異なる複数基のめっき構造物の劣化診
断結果と経過年数の関係から統計処理により得られる腐
食速度であることを特徴とする経年劣化管理システムで
ある。即ち、前記選定工程で選定されためっき構造物の
経過年数と、対応する劣化度,残存膜厚または減耗量等
の劣化を示すパラメータでグラフ化し、統計処理により
各プロットの近似線を求めて各選定地域毎に腐食速度を
算出する。これを劣化の進行予測線として、各選定地域
毎に補修時期の評価を行う。
【0013】本発明の請求項5は、請求項1、2、3ま
たは4に記載のシステムにおいて、各地域毎の劣化進行
速度を用いて、ほぼ同一の腐食環境とみなせる地域に区
分した腐食マップを作成し、前記地域毎に補修時期の評
価を行うことを特徴とする経年劣化管理システムであ
る。腐食マップは、劣化状態に応じて地域を色分けする
等により表示する。
【0014】以上のような構成において、地図情報シス
テムを利用してめっき構造物の所在地と劣化診断結果を
地図上に表示し、地形条件・周辺環境等を地図上で確認
することで、めっき構造物を腐食環境が比較的同一とみ
なすことができる地域に区分けし、このような同一腐食
環境の地域毎に劣化進行速度を予測するため、地域特性
を考慮した適正な時期に補修を行うことが可能となる。
また、地図情報システムのめっき構造物建設地の地形条
件,周辺環境あるいは画像診断システム等の気候デー
タ,環境測定データ,劣化診断データを利用することに
より、地域特性をより精密に抽出することができ、精度
の高い劣化進行予測が可能となる。さらに、地域毎に各
めっき構造物の劣化診断結果から統計処理により腐食速
度を算出するため、従来の長期間にわたる実測による腐
食速度算出法と比較して経年劣化の進行予測を短期間に
行うことができる。また、腐食マップを使用すること
で、補修時期の把握が容易となる。
【0015】次に、本発明の請求項6は、各地に建設さ
れているめっき構造物の経年劣化の進行を管理するめっ
き構造物の経年劣化管理システムであり、各めっき構造
物の劣化診断結果と経過年数から腐食速度を算出する手
段と、各めっき構造物の腐食速度を地図上に表示し連続
した腐食速度分布を得る手段と、この腐食速度分布から
補修時期の評価を行う手段を有することを特徴とする地
図情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理システム
である。即ち、前述の各地域毎に劣化進行速度を算出す
る方法では、各めっき構造物に対して設定する劣化進行
速度が粗くなる場合もあるため、より精度の良い劣化進
行速度の予測ができるように、各めっき構造物の現状の
劣化度を経過年数で単純に除して各めっき構造物の腐食
速度を算出し、結果を、劣化状態に応じて色分けした○
などのマーカーなどを用いて、地図情報システムの地図
上に表示する。
【0016】本発明の請求項7は、請求項6に記載のシ
ステムにおいて、調査を行っためっき構造物の腐食速度
の分布から未調査めっき構造物の腐食速度を補間するこ
とを特徴とする経年劣化管理システムである。即ち、調
査しためっき構造物の腐食速度の分布図を作成し、この
分布図から補間線を求め、この補間線から未調査めっき
構造物の腐食速度を得る。
【0017】本発明の請求項8は、請求項6または7に
記載のシステムにおいて、同一めっき構造物を追跡調査
した劣化診断結果を用いて腐食速度を算出することを特
徴とする経年劣化管理システムである。
【0018】以上のような構成において、各めっき構造
物の腐食速度が地図上に表示され、地形条件・周辺環境
等に対応した連続した腐食速度分布が得られ、さらにこ
の腐食速度分布から精度の高い緻密な腐食マップを作成
することができ、より精度の良い経年劣化の進行予測・
補修時期の評価が可能となる。また、得られた腐食速度
分布を補間することで、未調査めっき構造物の腐食速度
も詳細に設定することが可能となる。さらに、同一めっ
き構造物を追跡調査した結果を基に腐食速度を算出する
ことにより、めっき初期膜厚のばらつきを排除した、よ
り精度の高い経年劣化の進行予測・補修時期の評価が可
能となる。
【0019】
【発明の実施の形態】以下、本発明を図示する実施形態
に基づいて説明する。この実施形態は、亜鉛めっき送電
鉄塔の経年劣化管理に本発明を適用した例である。図1
は本発明の経年劣化管理システムの構成例を示したもの
である。図2〜図7は本発明の経年劣化管理システムに
よる予測方法の各工程を示したものである。
【0020】本発明においては、前述した統計的腐食速
度算出法を利用しており、地域特性に応じた腐食速度を
統計的に求めるためには、予め複数基の調査対象鉄塔を
選定する必要がある。そこで、調査対象鉄塔の選定作業
(以下、サンプリングと記載)と調査結果表示とを地図
上で実現することで、地域別の腐食速度設定が容易とな
る。また、地域特性を考慮した腐食速度を設定すると、
腐食速度分布地図(以下、腐食マップと記載)を作成す
ることができ、送電鉄塔の腐食速度設定を腐食マップに
基づいて行うことで、送電鉄塔の経年劣化管理を地域単
位で行うことが可能となる。さらに、各鉄塔を複数回に
わたり劣化診断することで、腐食マップの精度向上を行
うことも可能となる。このようなサンプリング・腐食マ
ップの作成・腐食マップの更新を目的として地図情報シ
ステムを活用する。
【0021】[A]劣化診断 送電鉄塔の亜鉛めっきの劣化診断は、図1に示すカラー
画像解析による画像診断システム1あるいはその他の診
断方法で行う。画像診断システム1は、前述したように
確立された技術であり、鉄塔をカラー画像で撮影し、亜
鉛めっきの経年劣化に伴う変色をカラー画像解析により
定量的に評価するシステムである。即ち、明るい灰色の
亜鉛めっき層(劣化度I)、黄色みを帯びた薄い錆の合
金層(劣化度II:ζ層)、赤色を帯びた合金層(劣化度
III :ζ層とδ1 層)、赤色と黒色の合金層(劣化度I
V:δ1 層と鉄地層)、黒色の鉄地層(劣化度V)を、
明度と彩度と色相角による画像解析を組み合わせ、それ
ぞれしきい値処理を行うことで、確実に分離できるよう
にしている。さらに、屋外の日照条件の変化に対して
は、自動ホワイトバランス調整による色温度補正、カラ
ーサンプルによるしきい値補正を行うことで、対処する
ことができる。各層の面積率から亜鉛めっき劣化度や亜
鉛めっき残存膜厚(換算減耗量)等が得られる。
【0022】[B]地図情報システム 図1に示すように、送電鉄塔の地形条件・周辺環境等を
確認できる地図を表示可能な地図情報システム2を使用
する。この地図情報システム2は、データベースに格納
されているデータの読み込み、データベースのデータ入
力、地図上への表示が可能である。
【0023】[C]サンプリング方法 (1) 先ず、劣化診断では、図1に示すように、劣化診断
結果・鉄塔建設地等の基本情報は、全てデータベース上
に登録されている。このデータベース上に登録されてい
るデータを地図情報システム側のアプリケーションでロ
ードし、地図上に鉄塔所在地を展開する。また、図2に
示すように、診断対象鉄塔をマーカー(色分けした○)
で表示すると共に、送電線路を黒線で結ぶ。
【0024】マーカーの示す色は、劣化診断を行った各
鉄塔の劣化状況を示している。1例として図3では、青
(劣化なし)→緑→黄(劣化が軽微)→橙→赤(塗装時
期)→茶→黒(劣化が深刻)の順序となっている。マー
カーの形状,色,表示方法などはオペレータが識別でき
るものである。なお、図3では、マーカーは色分けした
○であり、図の中央の山間部では、青,緑,黄が殆どで
あり、海岸線沿いでは、橙,赤が多く、図の左上の工業
地域では黒が見られる。また、図の中央上部の海岸から
離れた平野部に赤が見られ、海岸線沿いでも緑が見られ
る。
【0025】(2) 送電鉄塔は様々な時期に建設されてお
り、しかも建設地の周辺環境も異なるため、図3に例示
したように、現状の劣化状況は、ばらついている。その
ため、統計的腐食速度を算出するために、比較的同一の
腐食環境と考えられる送電鉄塔を複数基選定する。選定
にあたっては、地図に表示されている地形条件、例え
ば、工業地帯に建設されている、山間部に建設されてい
る、海岸線に囲まれている、海岸線沿いであるが山等に
より海岸と遮蔽されている、海岸からの距離はあるが平
野に建設されているため海風に対する遮蔽がない等、を
考慮して選定する。選定した例(工業地域・山間地域・
海岸地域)を図3中に□で示す。
【0026】この選定作業においては、地図情報システ
ムにより表示されている地図上のマーカーを任意の領域
あるいは個別に指定することなどにより、自動的にデー
タベースにアクセスして、必要とするデータを取り出す
ことができる。データベースには、送電鉄塔の劣化状況
(亜鉛めっき劣化度・亜鉛めっき残存膜厚(換算減耗
量))、鉄塔情報(鉄塔建設地・経過年数等)、鉄塔建
設地の気候条件(主風向・風速等)、環境測定データ
(SOX , NOX ,海塩粒子量等)が格納されている。
【0027】[D]統計的腐食速度算出 図4に示すように、前記工程で選定したそれぞれの地域
内に建設されている送電鉄塔の現在の劣化状況と各鉄塔
の建設後の経過年数との関係をグラフ化して近似線を求
め、これらの近似線の係数(例えば、傾き)を、選定し
た地域の腐食速度として設定する。このような作業を腐
食マップ作成対象の地域内で繰り返していく。なお、こ
の図4によっても、各地域毎の補修計画時期,補修時
期,特殊補修時期,部材交換時期(図9参照)を予測す
ることができる。
【0028】[E]腐食マップの作成 表1に示す日本亜鉛需要協会の提示する環境別亜鉛めっ
き腐食速度に基づいた環境区分を、選定した領域内を対
象にして行う。環境区分結果を図5に示す。この図5の
例では、海岸地域aを水色、工業地域bを白、都市地域
cを赤、田園地域dを橙、山間地域eを緑で表示してい
る。このようにして作成された環境区分結果を腐食マッ
プとして活用し、地域単位の劣化進行予測につなげるこ
とが可能となる。これらの地域区分は地図情報システム
が表示する地図を利用して行う。なお、表1において、
重工業地域,都市地域,海岸地域については腐食速度が
同一となっているが、図5では異なる腐食速度を設定し
表示している。このような腐食マップにより、各地域毎
の補修計画時期,補修時期,特殊補修時期,部材交換時
期(図9参照)を容易に予測することができる。
【0029】
【表1】
【0030】[F]腐食マップの精度向上 図5で設定した腐食マップでは、各鉄塔に対して設定す
る腐食速度が粗くなり、実際の腐食速度とのばらつきが
大きくなることも考えられる。そこで、さらに精度良く
腐食速度を設定する方法を以下に示す。
【0031】(1) 各鉄塔の現状の劣化状況を経過年数で
単純に除して各鉄塔の腐食速度を算出し、図6に示すよ
うに、結果を地図上にマーカーで表示する。各マーカー
の示す色は腐食速度の大きさを表しており、大きさは、
図3と同様に、黒(腐食速度が著しく大きい)→茶→赤
(腐食速度が大きい)→橙→黄(腐食速度が小さい)→
緑→青(腐食速度が極小)のように分けられる。実際に
は、各マーカー単位に腐食速度が細かく設定されてお
り、地形条件・周辺環境に対応した連続的な腐食速度分
布となり(図6、図7(a) 参照)、亜鉛めっきの初期膜
厚のばらつきが含まれるが、地形条件・周辺環境とマー
カーとの対応は良好となる。図6、図7(a) の例では、
海岸部・工業地域で腐食速度が高くなっており、山間部
では低い値を示す傾向があることが分かる。このマーカ
ーの分布状況(変色状況=腐食速度分布状況)を利用す
ることで、精度の高い、緻密な腐食マップを作成するこ
とが可能になる。
【0032】(2) さらに、同一鉄塔を追跡調査した結果
を基にして腐食速度を算出することにより、亜鉛めっき
初期膜厚のばらつきを排除した、さらに精度の高い腐食
速度を求めることができる。
【0033】[G]未調査鉄塔への腐食速度設定 図7(a) は、図6中の黒線で示した線路のA地点からB
地点までの間の腐食速度分布を線路方向に示したもので
ある。図6で示すマーカーは劣化診断された鉄塔をプロ
ットしている。このため、診断されていない鉄塔の腐食
速度を詳細に設定する方法が必要となる。前述の[D]
統計的腐食速度算出で述べた方法による設定も可能であ
るが、詳細に設定する方法を以下に示す。
【0034】サンプリングされた鉄塔(サンプル鉄
塔)の腐食速度を算出。 サンプル鉄塔の腐食速度を線路方向で調べ、図7(a)
の分布図を作成。 図7(b) に示すように、各サンプル鉄塔間の補間線を
求める。 劣化診断を実施していない鉄塔の位置情報に対応する
腐食速度を補間線から求める。 この方法により、未調査鉄塔に対する腐食速度設定を詳
細に行うことが可能になる。さらに、追跡調査を行った
結果から得られる腐食速度を反映することで腐食マップ
の精度向上が可能となる。
【0035】なお、以上は送電鉄塔の亜鉛めっきの劣化
診断に適用した例について説明したが、これに限らず、
その他のめっき構造物の劣化診断にも本発明を適用でき
ることはいうまでもない。
【0036】
【発明の効果】本発明は以上のような構成からなるの
で、次のような効果を奏する。 (1) 地図情報システムを利用してめっき構造物の所在地
と劣化診断結果を地図上に表示し、地形条件,周辺環
境,劣化診断結果等を地図上で確認することで、めっき
構造物を腐食環境が比較的同一とみなすことができる地
域に区分けし、このような同一腐食環境の地域毎に劣化
進行速度を予測するため、地域特性を考慮した適正な時
期に補修を行うことが可能となる。
【0037】(2) 地図情報システムのめっき構造物建設
地の地形条件・周辺環境あるいは画像診断システム等の
気候データ,環境測定データ,劣化診断データを利用す
ることにより、地域特性をより精密に抽出することがで
き、精度の高い劣化進行予測が可能となる。
【0038】(3) 地域毎に各めっき構造物の劣化診断結
果から統計処理により腐食速度等を算出するため、従来
の長期間にわたる実測による腐食速度算出法と比較して
経年劣化の進行予測を短期間に行うことができる。
【0039】(4) 腐食マップを使用することで、補修時
期の把握が容易となる。
【0040】(5) 各めっき構造物の腐食速度を地図上に
表示することにより、地形条件・周辺環境等に対応した
連続した腐食速度分布が得られ、さらにこの腐食速度分
布から精度の高い緻密な腐食マップを作成することがで
き、より精度の良い経年劣化の進行予測・補修時期の評
価が可能となる。
【0041】(6) 得られた腐食速度分布を補間すること
で、未調査めっき構造物の腐食速度も詳細に設定するこ
とが可能となる。
【0042】(7) 同一めっき構造物を追跡調査した結果
を基に腐食速度を算出することにより、めっき初期膜厚
のばらつきを排除した、より精度の高い経年劣化の進行
予測・補修時期の評価が可能となる。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の経年劣化管理システムの構成例を示し
た図である。
【図2】本発明の劣化診断結果と鉄塔所在地を地図上に
展開した例を示す図である。
【図3】図2の地図における鉄等の選定作業を示す図で
ある。
【図4】本発明の統計的腐食速度の算出例を示すグラフ
である。
【図5】本発明の腐食速度による腐食マップの作成例を
示す図である。
【図6】本発明の各鉄塔の腐食速度算出結果の1例を示
す図である。
【図7】本発明の各鉄塔の腐食速度を示すグラフであ
り、(a) は実測した腐食速度の分布の1例、(b) は未調
査鉄塔の腐食速度設定の1例を示す。
【図8】実測による腐食速度算出法の例を示すグラフで
ある。
【図9】統計的手法による腐食速度算出例を示すグラフ
である。
【符号の説明】
1…画像診断システム 2…地図情報システム
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 福山 史記 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式会 社巴コーポレーション内 (72)発明者 佐藤 正一 東京都中央区銀座6丁目2番10号 株式会 社巴コーポレーション内 Fターム(参考) 2C032 HB07 HC22 HC27 5G367 AA01 AD13

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 各地に建設されているめっき構造物の経
    年劣化の進行を管理するめっき構造物の経年劣化管理シ
    ステムであり、めっき構造物の所在地と劣化診断結果を
    地図上に表示する手段と、地図情報によるめっき構造物
    の所在地条件および/またはめっき構造物の各種データ
    を用いて腐食環境がほぼ同一とみなせるめっき構造物を
    選定する手段と、選定しためっき構造物の劣化診断結果
    と経過年数から選定地域の劣化進行速度を算出する手段
    と、各選定地域の劣化進行速度から補修時期の評価を行
    う手段を有することを特徴とする地図情報を利用しため
    っき構造物の経年劣化管理システム。
  2. 【請求項2】 請求項1に記載のシステムにおいて、地
    図情報によるめっき構造物の所在地条件は、めっき構造
    物の建設地の地形条件,周辺環境であることを特徴とす
    る地図情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理シス
    テム。
  3. 【請求項3】 請求項1または2に記載のシステムにお
    いて、めっき構造物の各種データは、めっき構造物の建
    設地の気候データ,環境測定データ,既に実施された劣
    化診断データであることを特徴とする地図情報を利用し
    ためっき構造物の経年劣化管理システム。
  4. 【請求項4】 請求項1、2または3に記載のシステム
    において、各選定地域の劣化進行速度は、経過年数の異
    なる複数基のめっき構造物の劣化診断結果と経過年数の
    関係から統計処理により得られる腐食速度であることを
    特徴とする地図情報を利用しためっき構造物の経年劣化
    管理システム。
  5. 【請求項5】 請求項1、2、3または4に記載のシス
    テムにおいて、各地域毎の劣化進行速度を用いて、ほぼ
    同一の腐食環境とみなせる地域に区分した腐食マップを
    作成し、前記地域毎に補修時期の評価を行うことを特徴
    とする地図情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理
    システム。
  6. 【請求項6】 各地に建設されているめっき構造物の経
    年劣化の進行を管理するめっき構造物の経年劣化管理シ
    ステムであり、各めっき構造物の劣化診断結果と経過年
    数から腐食速度を算出する手段と、各めっき構造物の腐
    食速度を地図上に表示し連続した腐食速度分布を得る手
    段と、この腐食速度分布から補修時期の評価を行う手段
    を有することを特徴とする地図情報を利用しためっき構
    造物の経年劣化管理システム。
  7. 【請求項7】 請求項6に記載のシステムにおいて、調
    査を行っためっき構造物の腐食速度の分布から未調査め
    っき構造物の腐食速度を補間することを特徴とする地図
    情報を利用しためっき構造物の経年劣化管理システム。
  8. 【請求項8】 請求項6または7に記載のシステムにお
    いて、同一めっき構造物を追跡調査した劣化診断結果を
    用いて腐食速度を算出することを特徴とする地図情報を
    利用しためっき構造物の経年劣化管理システム。
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