JP2007263923A - 送電用架線金具の腐食劣化診断方法 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】架線金具の腐食状況を推定する予測式をサンプリングデータから求める際に、影響因子として、標高と海岸距離と濡れ時間とを用いる。濡れ時間とは、湿度が80%以上で、かつ気温が0℃以上である状態の継続時間である。また、腐食状況を腐食速度として把握し、この腐食速度から特定の架線金具の余寿命を推定する。送電設備が表示される地図画面上に、推定された余寿命を表示する。
【選択図】図1
Description
腐食による劣化の診断を行う場合、サンプリング調査を行って、単年度当たりの腐食量の実測データを検出することになるが、この実測データを得る方法としては、架線金具をカメラ等の撮影機器を使用することによる画像処理によるもの、測定ゲージ等を使用することによって、腐食寸法を測定するもの等がある。上記実測データを画像処理にて得るものでは、腐食状態を複数の腐食ランク(腐食量)に分類し、写し出されている画像から架線金具がそのいずれの腐食ランク(腐食量)に入るかを調べることで実測データを得ることができる。例えば、架線金具の亜鉛めっき層の変色を観察することで腐食ランク(腐食量)が把握できる。具体的には、図1に示すように、架線金具が、母材(鋼又は鉄)1上に第1の合金層2と第2の合金層3とが設けられ、さらに、この第2の合金層3上に亜鉛層4が設けられている場合の上記腐食ランクとしては、次のように決定することができる。すなわち、A:亜鉛層4の下層である第2の合金層3が露出していないが、亜鉛層4が変色している状態の腐食ランク(亜鉛めっき層は約0〜30%腐食)、B:亜鉛層4がなくなり、第2の合金層3が露出した状態(斑点状錆が発生している状態)の腐食ランク(亜鉛めっき層は約40〜70%腐食)、C:第2の合金層3がなくなり、第1の合金層2が露出してこの第1の合金層2に腐食孔が形成されて、この腐食孔に腐食生成物5が溜まっている状態(赤褐色錆が発生している状態)の腐食ランク(亜鉛めっき層は約80〜90%腐食)、D:母材1に小さな腐食孔が形成されると共に、母材に腐食生成物5が溜まっている状態(黒褐色錆が発生している状態)の腐食ランク(亜鉛めっき層は約100%腐食)、E:母材1に大きな腐食孔が形成され、母材に大量の腐食生成物5が溜まっている状態(いわゆる錆こぶが発生している状態)の腐食ランク(亜鉛めっき層は約100%腐食)、という5種類の腐食ランク(腐食量)である。架線金具の取替えの目安としては、上記C、Dランクが現実的であり、上記Eランクに達している場合には、機械的強度の低下を招いていることが予想されることから、できるだけ早急に架線金具の取替えが必要である。なお、この際、画像処理において、デジタル画像の色情報を数値化することによって、腐食ランクを決定することになる。すなわち、各ランクの割合を求め、これに基づいてこの架線金具等の腐食ランクを決定するのである。また、画像処理によるものに代えて、測定ゲージ等を使用することによって、腐食寸法を測定すれば、一段と高精度に腐食量の把握が可能である。さらに、サンプリング金具の残存亜鉛めっき付着量の測定データから単年度当たりの腐食量を求めても良く、このようにすればさらに高精度に腐食量を把握することが可能である。
本発明者等は、上記腐食量の調査の結果、以下のような知見を得た。それは、以下に列挙するような環境では、腐食劣化が生じ易い傾向があるということである。
1.標高高地域であること
これは、風の集束が強いことに加えて、気温差が大きいため、霧の発生、金具の結露の発生頻度が高く、降水量も多いことから、濡れ時間が長くなるためと考えられる。一般に、金属の大気腐食の環境としては、濡れ大気腐食(肉眼で見えるような結露水の膜が存在する場合)、湿り大気腐食(肉眼で見えないような薄い液膜が存在する場合)、乾き大気腐食(金属表面に液膜が存在しない場合)に大別され、この中で「湿り大気腐食」が最も腐食の進行が早いといわれており、標高高地域にこの現象の発生頻度が高くなっているものと考えられる。
2.海岸からの距離が近いこと
腐食促進因子である海塩粒子の付着量が多いためと考えられる。
3.河川や湖、貯水湖等の水源が近いこと
大気中への水分の補給が容易であり、相対湿度が高くなり易いので、上記同様に、「湿り大気腐食」の発生頻度が高くなっているためと考えられる。
亜鉛めっき消失量=(A1*X1)+(A2*X2)+(A3*X3)+(A0定数)
として与えられる。
上記予測式(腐食予測式)から、この上記各腐食ランクに達する時期を算出することができる。このため、腐食に対する限界量として、例えば、使用寿命を上記腐食ランクCとすれば、何年後(又は何月後)に各架線金具がこの腐食ランクCに達するのかを判断することができ、この架線金具の交換時期を推定することができる。また、予測式(腐食予測式)から、各ランクに達する時期を把握して、この時期に対応して実際に点検するようにすることも可能であって、点検周期を決定することができる。
Claims (4)
- 架線金具の腐食状況を推定する予測式をサンプリングデータから求める際に、影響因子として、少なくとも標高と海岸距離とを用いることを特徴とする送電用架線金具の腐食劣化診断方法。
- さらに濡れ時間を影響因子として用いることを特徴とする請求項1の送電用架線金具の腐食劣化診断方法。
- 上記腐食状況を腐食速度として把握し、この腐食速度から特定の架線金具の余寿命を推定することを特徴とする請求項1又は請求項2の送電用架線金具の腐食劣化診断方法。
- 送電設備が表示される地図画面上に、上記推定された余寿命を表示することを特徴とする請求項3の送電用架線金具の腐食劣化診断方法。
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