JP2008128365A - スナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造 - Google Patents

スナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造 Download PDF

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達郎 小畑
Tetsuya Kono
哲也 河野
Junichi Nishinosono
純一 西ノ園
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Abstract

【課題】スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造、を提供する。
【解決手段】スナップリングの取り付け構造は、所定の軸を中心に環状に延びる溝が形成されたケース体と、溝に嵌合され、軸方向に作用する力を支持するスナップリング31とを備える。スナップリング31は、端部33pおよび端部33qを含む。スナップリング31は、端部33pと端部33qとの間で分断されたリング形状を有する。スナップリング31が溝に嵌合された状態で、端部33pと端部33qとが周方向において重なり合う。端部33pおよび端部33qは、互いに向い合い、接触する対向面をそれぞれ有する。これら対向面の少なくともいずれか一方が、凹凸形状に形成されている。
【選択図】図4

Description

この発明は、一般的には、スナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造に関し、より特定的には、軸方向の荷重を繰り返し受けるスナップリングの取り付け構造、およびその取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造に関する。
従来のスナップリングの取り付け構造に関して、たとえば、特開平9−229035号公報には、取り外し時の作業性を向上させることを目的としたスナップリングが開示されている(特許文献1)。特許文献1に開示されたスナップリングは、自動変速機の湿式多板クラッチに適用されている。特許文献1では、スナップリングの合口の一端側および他端側に、それぞれ、スナップリングがスナップリング溝に取り付けられた状態で周方向に互いに重なり合う内周幅狭部および外周幅狭部が設けられている。
また、特開平8−170624号公報には、装着状態において内周溝に対する張力が小さい場合であっても、容易に外れることのないスナップリングが開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示されたスナップリングは、原形では、円周方向の両端が互いに離間した略C字型を有する。スナップリングの外周長さを、筒状体の内周面の円周長さよりも長く、かつその内周面に形成された円周溝の溝底の円周長さ以下とする。スナップリングが円周溝に縮径した状態で装着された時に、スナップリングの円周方向の両端が、互いに衝合または近接対向する。
特開平9−229035号公報 特開平8−170624号公報
上述の特許文献1に開示されるように、自動変速機のクラッチ構造では、油圧が作用された摩擦プレートの移動を制限するためスナップリングが用いられている。しかしながら、摩擦プレートに作用させる油圧が繰り返しスナップリングに加わると、スナップリングが溝から抜け出す方向に変形することがある。この場合、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られないおそれが生じる。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造を提供することである。
この発明に従ったスナップリングの取り付け構造は、被取り付け部材と、スナップリングとを備える。被取り付け部材には、所定の軸を中心に環状に延びる溝が形成されている。スナップリングは、溝に嵌合され、軸方向に作用する力を支持する。スナップリングは、第1端部および第2端部を含む。スナップリングは、第1端部と第2端部との間で分断されたリング形状を有する。スナップリングが溝に嵌合された状態で、第1端部と第2端部とが軸を中心とする周方向において重なり合う。第1端部および第2端部は、互いに向い合い、接触する第1対向面および第2対向面をそれぞれ有する。第1対向面および第2対向面の少なくともいずれか一方が、凹凸形状に形成されている。
このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、第1対向面および第2対向面の少なくともいずれか一方を凹凸形状に形成することにより、第1対向面と第2対向面との間の摩擦係数を増大させる。これにより、スナップリングが受ける軸方向の力に起因して、スナップリングが溝から抜け出す方向に変形することを抑制できる。これにより、スナップリングと溝との掛かり代を十分に得ることができる。
また好ましくは、スナップリングは、溝に嵌合された状態で溝の側壁と接触する側面を有する。凹凸形状に形成された第1対向面および第2対向面の少なくともいずれか一方の表面粗さは、側面の表面粗さよりも大きい。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、側面と比較して表面粗さが大きくなるように、第1対向面および第2対向面の少なくともいずれか一方が凹凸形状に形成される。
また好ましくは、スナップリングは、第1端部と第2端部との間で軸方向に撓む。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリングが軸方向に撓むことによって、第1対向面と第2対向面との接触面圧を増大させることができる。これにより、第1対向面と第2対向面との間に生じる摩擦力を増大させ、スナップリングの変形をより効果的に抑制することができる。
また好ましくは、第1対向面および第2対向面は、軸に直交する平面内で延在する。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリングが受ける軸方向の力によって、第1対向面と第2対向面との間により大きい摩擦力を発生させることができる。
この発明に従った摩擦係合装置の支持構造は、上述のいずれかに記載のスナップリングの取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造である。摩擦係合装置の支持構造は、スナップリングにより軸方向の位置が規制され、軸方向に沿ってスナップリングに向けて押圧された時に摩擦により係合する摩擦プレートと、摩擦プレートとスナップリングとの間に配置され、スナップリングに対して押圧されるプレート部材とを備える。
このように構成された摩擦係合装置の支持構造によれば、スナップリングの抜けを防ぐことで、摩擦係合装置の作動に対する信頼性を向上させることができる。
以上説明したように、この発明に従えば、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
図1は、車両に搭載された自動変速機を示す断面図である。図中には、自動変速機の一部分が示されている。図1を参照して、自動変速機10は、複数のプラネタリギヤとしての、UD(アンダードライブ)プラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64を備える。自動変速機10は、UDプラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64の組み合わせにより、内燃機関から入力された回転を、減速または加速して出力したり、逆回転にして出力する。本実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造は、変速機としての自動変速機10に適用される。
図2は、この発明の実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。図中には、図1中の2点鎖線IIで囲まれた範囲が示されている。
図1および図2を参照して、自動変速機10は、摩擦係合装置としてのブレーキ11を備える。ブレーキ11は、UDプラネタリギヤ61を構成するプラネタリキャリヤ62の回転と、ラビニオ式プラネタリギヤ64を構成するサンギヤ65の回転とをロックする。ブレーキ11は、ケース体12と、ケース体12に取り付けられる、摩擦プレート13,14、バックプレート21およびスナップリング31とを備える。摩擦プレート13および摩擦プレート14は、複数ずつ設けられている。
ケース体12は、円筒形状を有する。ケース体12は、仮想軸である中心軸201を中心に延在する内周面12cを含む。中心軸201は、UDプラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64の回転中心である。
摩擦プレート13は、ケース体12に固定されている。摩擦プレート14は、プラネタリギヤ側に固定されている。摩擦プレート13および摩擦プレート14は、中心軸201の軸方向に移動可能で、かつ中心軸201を中心とする周方向に回転できないように、それぞれケース体12およびプラネタリギヤ側に固定されている。摩擦プレート13および14は、内周面12cの内側で環状に延びるリング形状を有する。摩擦プレート13と摩擦プレート14とは、中心軸201の軸方向に交互に並んで配置されている。
ブレーキ11は、ブレーキピストン15をさらに備える。ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向において摩擦プレート13および14と隣り合って配置されている。ケース体12内には、油圧室16が形成されている。油圧室16は、中心軸201の軸方向においてブレーキピストン15と隣り合って形成されている。摩擦プレート13および14と油圧室16との間に、ブレーキピストン15が配置されている。
図3は、図2中のバックプレートを示す斜視図である。図2および図3を参照して、バックプレート21は、金属から形成されている。バックプレート21は、スナップリング31と摩擦プレート13および14との間に配置されている。中心軸201の軸方向において、スナップリング31と、バックプレート21と、摩擦プレート13および14とが重なって配置されている。バックプレート21は、ケース体12に固定されている。
バックプレート21は、中心軸201を中心に環状に延びるリング形状を有する。バックプレート21は、スプライン25を含む。内周面12cに形成された図示しないスプラインと、スプライン25とが係合することにより、バックプレート21は、中心軸201の軸方向に移動可能で、かつ中心軸201を中心とする周方向に回転しないように、ケース体12に固定されている。バックプレート21は、鍔部27を含む。鍔部27は、中心軸201を中心とする半径方向に延出する。本実施の形態では、複数の鍔部27が、中心軸201を中心に所定の角度ごとに設けられている。
ブレーキ11は、リターンスプリング18をさらに備える。リターンスプリング18は、中心軸201の軸方向に延びる。リターンスプリング18は、ブレーキピストン15に接続される一方端18mと、バックプレート21に接続される他方端18nとを含む。他方端18nは、鍔部27に接続されている。複数の鍔部27に対応して、複数のリターンスプリング18が設けられている。中心軸201を中心とする半径方向において、リターンスプリング18と摩擦プレート13および14との間に、スナップリング31が配置されている。リターンスプリング18の弾性力により、ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向に沿ってバックプレート21から離れる方向に付勢される。リターンスプリング18の弾性力により、バックプレート21は、スナップリング31に対して押圧される。
油圧室16への油圧供給を行なう油圧負荷時、ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向にストロークし、摩擦プレート13および14を押圧する。押圧された摩擦プレート13と摩擦プレート14とは、摩擦により互いに圧着する。これにより、摩擦プレート13と摩擦プレート14とが係合し、プラネタリキャリヤ62およびサンギヤ65の回転がロックされる。
油圧室16への油圧供給を停止する油圧除荷時、リターンスプリング18の弾性力によって、ブレーキピストン15が、バックプレート21から離間する方向にストロークする。これにより、摩擦プレート13と摩擦プレート14との係合が解除され、プラネタリキャリヤ62およびサンギヤ65の回転が許容される。
図2を参照して、ケース体12には、溝41が形成されている。溝41は、内周面12cに形成されている。溝41は、中心軸201を中心に環状に延びる。溝41は、中心軸201を中心に真円状に延びる。溝41は、内周面12cから凹む略矩形の断面形状を有する。溝41は、底面41dと、側壁41eとを含む。底面41dは、内周面12cから最も深くに位置する溝41の内壁により形成されている。側壁41eは、底面41dから内周面12cに向けて延在する。側壁41eは、中心軸201の軸方向に直交する平面内で延在する。
溝41には、スナップリング31が配置されている。スナップリング31は、中心軸201の軸線方向におけるバックプレート21および摩擦プレート13,14の位置を規制する。スナップリング31は、ブレーキピストン15によって押圧されたバックプレート21および摩擦プレート13,14の、中心軸201の軸線方向への移動を制限する。
図4は、図2中のスナップリングを示す斜視図である。図中の左側には、溝41に嵌め合わされる前のスナップリング31の原形が示され、図中の右側には、溝41に嵌め合わされたスナップリング31の形状が示されている。
図4を参照して、スナップリング31は、金属から形成されている。スナップリング31は、端部33pおよび端部33qを含む。溝41に嵌め合わされる前、スナップリング31は、端部33pと端部33qとの間で分断されたリング形状を有する。スナップリング31は、C型形状の原形を有する。端部33pと端部33qとは、スナップリング31の周方向において間隙35を設けて対向する。
スナップリング31は、溝41に嵌め合わされると、縮径側に変形することによって底面41dを押圧する力(緊縛力)を発生させる。このとき、端部33pと端部33qとが、中心軸201を中心とする周方向において重なり合う。溝41に嵌め合わされたスナップリング31は、中心軸201の軸方向から見て、部分的に分断されることのない完全なリング形状をなす。端部33pと端部33qとは、中心軸201の軸方向にずれた状態で重なり合う。端部33pおよび端部33qは、溝41の側壁41eとバックプレート21とによって挟持される。
なお、スナップリング31は、端部33pと端部33qとが重なり合うリング形状の原形を有しても良い。この場合、スナップリング31が溝41に嵌合されることによって、端部33pと端部33qとが重なり合う長さが大きくなる。
図5は、図4中の矢印Vに示す方向から見たスナップリングを示す図である。図6は、図5中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を拡大して示す図である。図2、図5および図6を参照して、端部33pおよび端部33qは、それぞれ、対向面31mおよび対向面31nを含む。対向面31mおよび31nは、中心軸201に交差する平面内で延在する。対向面31mおよび31nは、中心軸201に直交する平面内で延在する。対向面31mと対向面31nとは、互いに向い合い、接触する。
対向面31mおよび対向面31nの少なくともいずれか一方が、凹凸形状に形成されている。対向面31mおよび対向面31nの少なくともいずれか一方が、粗面状に形成されている。対向面31mおよび対向面31nの少なくともいずれか一方が、梨地状に形成されている。本実施の形態では、対向面31mおよび対向面31nが、凹凸形状に形成されている。対向面31mの表面粗さと対向面31nの表面粗さとは、同程度である。
スナップリング31は、側面31aおよび側面31bを含む。側面31aは、側壁41eと向い合い、接触する。側面31bは、バックプレート21と向い合い、接触する。対向面31mおよび31nの表面粗さは、側面31aおよび31bの表面粗さよりも大きい。表面粗さは、たとえば算術平均粗さRaである。スナップリング31は、外周面31dを含む。外周面31dは、溝41の底面41dと対向する。
スナップリング31は、端部33pと端部33qとの間で中心軸201の軸方向に撓む。これにより、スナップリング31は、中心軸201の軸方向に縮もうとする弾性力を発生させる。
図7は、図5中に示すスナップリングの変形例を示す図である。図7を参照して、本変形例では、端部33pおよび端部33qに段差が形成されている。スナップリング31は、中心軸201の軸方向に撓まない状態で溝41に嵌め合わされる。このような構成によれば、中心軸201の軸周りの全周において、スナップリング31と、側壁41eおよびバックプレート21とが密着する。
続いて、比較のためのスナップリングの取り付け構造を想定し、スナップリングと溝との掛かり代が小さくなる現象のメカニズムについて説明を行なう。図8は、比較のためのスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。図8を参照して、スナップリング310が溝41に嵌め合わされている。比較のためのスナップリングの取り付け構造では、スナップリング310が溝41に嵌め合わされた状態で、端部33pと端部33qとが離間する。
図9は、比較のためのスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。図10は、図9中の初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を重ねて示した断面図である。
図9および図10を参照して、バックプレート21に対向する外周面31dの部分を、角部Eと呼ぶことにする。
油圧を負荷する前の初期時、スナップリング310と溝41との掛かり代がH1であるとする。油圧負荷時、油圧室16から摩擦プレート13および14に作用させた力が、バックプレート21およびスナップリング310に伝わる。このとき、摩擦プレート13および14から力を受けたバックプレート21の内周側が、スナップリング310に向けて倒れる。スナップリング310は、バックプレート21の表面上で角部Eを滑らしながら、バックプレート21とともに中心軸201の軸方向に倒れる。これにより、角部Eの位置は見かけ上、図10中の矢印211に示す方向(スナップリング310の浮き方向と呼ぶ)に変位する。
油圧除荷時、バックプレート21は、スナップリング310とともに、スナップリング310に向けて倒れた姿勢から元の姿勢に戻る。このとき、スナップリング310およびバックプレート21間に生じる摩擦力によって、角部Eがバックプレート21の表面に引きずられる。スナップリング310は、スナップリング310と側壁41eとの間に生じる摩擦力に抗してスナップリング310の浮き方向に引き出される。その結果、スナップリング310は縮径側に変形し、油圧除荷後、スナップリング310と溝41との掛かり代がH1よりも小さいH2となる。このようなメカニズムにより、油圧負荷および油圧除荷が繰り返し行なわれることによって、スナップリング310と溝41との掛かり代が徐々に小さくなる現象が生じる。
続いて、本実施の形態における図2中のスナップリングの取り付け構造によって奏される作用について説明する。図11は、図2中のスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。
図11を参照して、これに対して、本実施の形態では、対向面31mおよび対向面31nが凹凸形状に形成されているため、対向面31mと対向面31nとの間の摩擦係数が増大する。また、対向面31mと対向面31nとの接触面圧は、中心軸201の軸方向に縮もうとするスナップリング31自身の弾性力によって増大する。このため、油圧除荷時に、対向面31mと対向面31nとの間により大きい摩擦力を発生させ、この摩擦力によってスナップリング31が縮径側に変形することを抑制できる。油圧除荷後、スナップリング31は初期時の元の位置に戻る。結果、油圧負荷および油圧除荷が繰り返し行なわれても、スナップリング31と溝41との掛かり代を十分に確保することができる。
また、本実施の形態では、対向面31mおよび31nの表面粗さが、側面31aおよび31bの表面粗さよりも大きい。言い換えれば、側面31aおよび31bが、対向面31mおよび31nと比較して滑らかな表面に仕上げられている。この場合、ブレーキ11の組み立て時、スナップリング31を溝41により円滑に挿入することができる。これにより、スナップリング31と底面41dとの間に過大な隙間が形成されることを防止できる。また、油圧除荷時、溝41内のスナップリング31を、中心軸201を中心に積極的に回転させることで、スナップリング31が縮径側に変形することをより効果的に抑制できる。
この発明の実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造は、所定の軸としての中心軸201を中心に環状に延びる溝41が形成された被取り付け部材としてのケース体12と、溝41に嵌合され、中心軸201の軸方向に作用する力を支持するスナップリング31とを備える。スナップリング31は、第1端部としての端部33pおよび第2端部としての端部33qを含む。スナップリング31は、端部33pと端部33qとの間で分断されたリング形状を有する。スナップリング31が溝41に嵌合された状態で、端部33pと端部33qとが中心軸201を中心とする周方向において重なり合う。端部33pおよび端部33qは、互いに向い合い、接触する第1対向面としての対向面31mおよび第2対向面としての対向面31nをそれぞれ有する。対向面31mおよび対向面31nの少なくともいずれか一方が、凹凸形状に形成されている。
このように構成された、この発明の実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリング31が溝41から抜けることをより確実に防止できる。これにより、ブレーキ11によるプラネタリギヤの作動を確実にし、自動変速機10の信頼性を向上させることができる。
なお、本実施の形態では、内径嵌めのスナップリング31を用いたブレーキ11について説明したが、外径嵌めのスナップリングを用いた構造にも本発明を適用することができる。また、本発明を、自動変速機のクラッチに適用することもできるし、無段変速機に適用することもできる。本発明は、軸方向の荷重を繰り返し受けるスナップリングの取り付け構造に好適に適用される。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
車両に搭載された自動変速機を示す断面図である。 この発明の実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。 図2中のバックプレートを示す斜視図である。 図2中のスナップリングを示す斜視図である。 図4中の矢印Vに示す方向から見たスナップリングを示す図である。 図5中の2点鎖線VIで囲まれた範囲を拡大して示す図である。 図5中に示すスナップリングの変形例を示す図である。 比較のためのスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。 比較のためのスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。 図9中の初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を重ねて示した断面図である。 図2中のスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。
符号の説明
10 自動変速機、11 ブレーキ、12 ケース体、13,14 摩擦プレート、21 バックプレート、31 スナップリング、31a,31b 側面、31m,31n 対向面、33p,33q 端部、41 溝、201 中心軸。

Claims (5)

  1. 所定の軸を中心に環状に延びる溝が形成された被取り付け部材と、
    前記溝に嵌合され、前記軸方向に作用する力を支持するスナップリングとを備え、
    前記スナップリングは、第1端部および第2端部を含み、前記第1端部と前記第2端部との間で分断されたリング形状を有し、
    前記スナップリングが前記溝に嵌合された状態で、前記第1端部と前記第2端部とが前記軸を中心とする周方向において重なり合い、
    前記第1端部および前記第2端部は、互いに向い合い、接触する第1対向面および第2対向面をそれぞれ有し、
    前記第1対向面および前記第2対向面の少なくともいずれか一方が、凹凸形状に形成されている、スナップリングの取り付け構造。
  2. 前記スナップリングは、前記溝に嵌合された状態で前記溝の側壁と接触する側面を有し、
    凹凸形状に形成された前記第1対向面および第2対向面の少なくともいずれか一方の表面粗さは、前記側面の表面粗さよりも大きい、請求項1に記載のスナップリングの取り付け構造。
  3. 前記スナップリングは、前記第1端部と前記第2端部との間で前記軸方向に撓む、請求項1または2に記載のスナップリングの取り付け構造。
  4. 前記第1対向面および前記第2対向面は、前記軸に直交する平面内で延在する、請求項1から3のいずれか1項に記載のスナップリングの取り付け構造。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のスナップリングの取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造であって、
    前記スナップリングにより前記軸方向の位置が規制され、前記軸方向に沿って前記スナップリングに向けて押圧された時に摩擦により係合する摩擦プレートと、
    前記摩擦プレートと前記スナップリングとの間に配置され、前記スナップリングに対して押圧されるプレート部材とを備える、摩擦係合装置の支持構造。
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