JP2008133845A - スナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造 - Google Patents

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Koji Yukimoto
浩二 行本
Tetsuya Kono
哲也 河野
Tatsuro Obata
達郎 小畑
Junichi Nishinosono
純一 西ノ園
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Abstract

【課題】スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造、を提供する。
【解決手段】スナップリングの取り付け構造は、ケース体12と、バックプレート21と、スナップリング31とを備える。ケース体12は、所定の軸を中心に延在する内周面12cを含む。ケース体12には、内周面12cから凹み、環状に延びる溝41が形成されている。バックプレート21は、ケース体12に取り付けられる。スナップリング31は、溝41に配置され、バックプレート21の軸方向の移動を規制する。スナップリング31は、基部36と、係止部37とを含む。基部36は、溝41に嵌合され、バックプレート21と接触する。係止部37は、基部36から所定の軸の軸線方向においてバックプレート21とは反対側に延出し、内周面12c上に位置決めされる。
【選択図】図2

Description

この発明は、一般的には、スナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造に関し、より特定的には、軸方向の荷重を繰り返し受けるスナップリングの取り付け構造、およびその取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造に関する。
従来のスナップリングの取り付け構造に関して、たとえば、特開2003−301861号公報には、作動中に止め輪が外れず、かつその取り付けを容易にすることを目的とした多板クラッチが開示されている(特許文献1)。特許文献1では、クラッチケース内に、セパレータ、フリクションプレートおよびバッキングプレートが移動可能に配設されている。バッキングプレートは、溝に嵌入された止め輪に圧接されている。バッキングプレートの止め輪と係合する面には、小さい段によって構成される係止部が設けられている。この係止部によって、止め輪の内径側が支持され、振動や摩擦によって止め輪が外れることを防止する。
また、実開平6−80929号公報には、ピストンの押圧力を受ける止め輪の回転を防止し、止め輪が変形したり、クラッチケースから外れることを防止するクラッチ装置が開示されている(特許文献2)。特許文献2に開示されたクラッチ装置は、クラッチケースに装着された止め輪の回転を防止する機構を備える。この機構は、クラッチケースの開口側の端面から軸方向に延びる孔と、その孔に挿入されるスプリングピンとを有する。スプリングピンは、止め輪の切り欠き部の円周方向の端面に係止している。
特開2003−301861号公報 実開平6−80929号公報
上述の特許文献に開示されるようなクラッチ構造では、油圧が作用された摩擦プレートの移動を制限するためスナップリングが用いられている。しかしながら、摩擦プレートに作用させる油圧が繰り返しスナップリングに加わると、スナップリングが溝から抜け出す方向に変形することがある。この場合、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られないおそれが生じる。
そこでこの発明の目的は、上記の課題を解決することであり、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造を提供することである。
この発明に従ったスナップリングの取り付け構造は、第1部材と、第2部材と、スナップリングとを備える。第1部材は、所定の軸を中心に延在する周面を含む。第1部材には、周面から凹み、環状に延びる溝が形成されている。第2部材は、第1部材に取り付けられる。スナップリングは、溝に配置され、第2部材の軸方向の移動を規制する。スナップリングは、基部と、係止部とを含む。基部は、溝に嵌合され、第2部材と接触する。係止部は、基部から軸方向において第2部材とは反対側に延出し、周面上に位置決めされる。
このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリングが第2部材によって軸方向に押圧された場合に、係止部が周面に当接し、スナップリングの軸方向への倒れを防ぐ。これにより、スナップリングが溝から抜ける方向に変形することを防止し、スナップリングと溝との掛かり代を十分に得ることができる。また、係止部はスナップリングに設けられるため、第1部材に対する第2部材の組み付け性を損なうことなく、上記効果を得ることができる。
また好ましくは、係止部は、基部の周方向に連続して延びるように、基部の全体に渡って設けられている。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリングの軸方向への倒れをより確実に防ぐことができる。
また好ましくは、係止部は、基部の周方向に互いに間隔を隔てて設けられている。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、係止部を設けたことに起因して、スナップリングの剛性が過剰に高くなるということを回避し、スナップリングの組み付け時、スナップリングを容易に撓ませることができる。これにより、スナップリングの組み付け性の低下を防ぐことができる。
また好ましくは、スナップリングは、一対の合口を含み、一対の合口間で分断されたリング形状を有する。係止部は、少なくとも一対の合口にそれぞれ隣接する位置に設けられている。このように構成されたスナップリングの取り付け構造によれば、溝にスナップリングを配置した場合に、一対の合口にそれぞれ隣接する位置でスナップリングと溝の底面との間に隙間が形成され易い傾向が生じる。したがって、その位置に係止部を設けることによって、スナップリングの全周でスナップリングと溝との掛かり代を十分に得ることができる。
この発明に従った摩擦係合装置の支持構造は、上述のいずれかに記載のスナップリングの取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造である。摩擦係合装置の支持構造は、軸方向に沿ってスナップリングに向けて押圧された時に摩擦により係合する摩擦プレートをさらに備える。第1部材は、摩擦プレートを収容するケース体である。第2部材は、スナップリングと摩擦プレートとの間に配置されるプレート部材である。
このように構成された摩擦係合装置の支持構造によれば、スナップリングの抜けを防ぐことで、摩擦係合装置の作動に対する信頼性を向上させることができる。
以上説明したように、この発明に従えば、スナップリングと溝との掛かり代が十分に得られるスナップリングの取り付け構造および摩擦係合装置の支持構造を提供することができる。
この発明の実施の形態について、図面を参照して説明する。なお、以下で参照する図面では、同一またはそれに相当する部材には、同じ番号が付されている。
(実施の形態1)
図1は、車両に搭載された自動変速機を示す断面図である。図中には、自動変速機の一部分が示されている。図1を参照して、自動変速機10は、複数のプラネタリギヤとしての、UD(アンダードライブ)プラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64を備える。自動変速機10は、UDプラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64の組み合わせにより、内燃機関から入力された回転を、減速または加速して出力したり、逆回転にして出力する。本実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造は、変速機としての自動変速機10に用いられる。
図2は、この発明の実施の形態1におけるスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。図中には、図1中の2点鎖線IIで囲まれた範囲が示されている。
図1および図2を参照して、自動変速機10は、摩擦係合装置としてのブレーキ11を備える。ブレーキ11は、UDプラネタリギヤ61を構成するプラネタリキャリヤ62の回転と、ラビニオ式プラネタリギヤ64を構成するサンギヤ65の回転とをロックする。ブレーキ11は、ケース体12と、ケース体12に取り付けられる、摩擦プレート13,14、バックプレート21およびスナップリング31とを備える。摩擦プレート13および摩擦プレート14は、複数ずつ設けられている。
ケース体12は、円筒形状を有する。ケース体12は、仮想軸である中心軸201を中心に延在する内周面12cを含む。中心軸201は、UDプラネタリギヤ61およびラビニオ式プラネタリギヤ64の回転中心である。
摩擦プレート13は、ケース体12に固定されている。摩擦プレート14は、プラネタリギヤ側に固定されている。摩擦プレート13および摩擦プレート14は、中心軸201の軸方向に移動可能で、かつ中心軸201を中心とする周方向に回転できないように、それぞれケース体12およびプラネタリギヤ側に固定されている。摩擦プレート13および14は、内周面12cの内側で環状に延びるリング形状を有する。摩擦プレート13と摩擦プレート14とは、中心軸201の軸方向に交互に並んで配置されている。
ブレーキ11は、ブレーキピストン15をさらに備える。ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向において摩擦プレート13および14と隣り合って配置されている。ケース体12内には、油圧室16が形成されている。油圧室16は、中心軸201の軸方向においてブレーキピストン15と隣り合って形成されている。摩擦プレート13および14と油圧室16との間に、ブレーキピストン15が配置されている。
図3は、図2中のバックプレートを示す斜視図である。図2および図3を参照して、バックプレート21は、金属から形成されている。バックプレート21は、スナップリング31と摩擦プレート13および14との間に配置されている。中心軸201の軸方向において、スナップリング31と、バックプレート21と、摩擦プレート13および14とが重なって配置されている。バックプレート21は、ケース体12に固定されている。
バックプレート21は、中心軸201を中心に環状に延びるリング形状を有する。バックプレート21は、スプライン25を含む。内周面12cに形成された図示しないスプラインと、スプライン25とが係合することにより、バックプレート21は、中心軸201の軸方向に移動可能で、かつ中心軸201を中心とする周方向に回転しないように、ケース体12に固定されている。バックプレート21は、鍔部27を含む。鍔部27は、中心軸201を中心とする半径方向に延出する。本実施の形態では、複数の鍔部27が、中心軸201を中心に所定の角度ごとに設けられている。
ブレーキ11は、リターンスプリング18をさらに備える。リターンスプリング18は、中心軸201の軸方向に延びる。リターンスプリング18は、ブレーキピストン15に接続される一方端18mと、バックプレート21に接続される他方端18nとを含む。他方端18nは、鍔部27に接続されている。複数の鍔部27に対応して、複数のリターンスプリング18が設けられている。中心軸201を中心とする半径方向において、リターンスプリング18と摩擦プレート13および14との間に、スナップリング31が配置されている。リターンスプリング18の弾性力により、ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向に沿ってバックプレート21から離れる方向に付勢される。リターンスプリング18の弾性力により、バックプレート21は、スナップリング31に対して押圧される。
油圧室16への油圧供給を行なう油圧負荷時、ブレーキピストン15は、中心軸201の軸方向にストロークし、摩擦プレート13および14を押圧する。押圧された摩擦プレート13と摩擦プレート14とは、摩擦により互いに圧着する。これにより、摩擦プレート13と摩擦プレート14とが係合し、プラネタリキャリヤ62およびサンギヤ65の回転がロックされる。
油圧室16への油圧供給を停止する油圧除荷時、リターンスプリング18の弾性力によって、ブレーキピストン15が、バックプレート21から離間する方向にストロークする。これにより、摩擦プレート13と摩擦プレート14との係合が解除され、プラネタリキャリヤ62およびサンギヤ65の回転が許容される。
図4は、図2中のスナップリングを示す斜視図である。図2および図4を参照して、ケース体12には、溝41が形成されている。溝41は、内周面12cに形成されている。溝41は、中心軸201を中心に環状に延びる。溝41は、中心軸201を中心に真円状に延びる。溝41は、内周面12cから凹む略矩形の断面形状を有する。溝41は、底面41dを含む。
溝41には、スナップリング31が配置されている。スナップリング31は、中心軸201の軸線方向におけるバックプレート21および摩擦プレート13,14の位置を規制する。スナップリング31は、ブレーキピストン15によって押圧されたバックプレート21および摩擦プレート13,14の、中心軸201の軸線方向への移動を制限する。
スナップリング31は、金属から形成されている。スナップリング31は、一対の合口33pおよび33qを含む。スナップリング31は、合口33pと合口33qとの間で分断されたリング形状を有する。スナップリング31は、C型形状を有する。合口33pと合口33qとは、スナップリング31の周方向において間隙35を設けて対向する。スナップリング31は、合口33pと合口33qとが近接し、縮径した状態で、溝41に嵌め合わされる。溝41に嵌め合わされたスナップリング31は、底面41dを押圧する力(緊縛力)を発生させる。
スナップリング31は、基部36と係止部37とを含む。基部36は、溝41に嵌め合わされ、バックプレート21と接触する。基部36は、溝41からその外側に向けて延出する。基部36は、底面41d上に位置決めされる。基部36は、中心軸201を中心にその半径方向に広がる平面で切断された場合に、略矩形の断面形状を有する。基部36は、バックプレート21および摩擦プレート13,14の、中心軸201の軸線方向の移動を制限する役割を果たす。
係止部37は、基部36から中心軸201の軸線方向に延出する。係止部37は、中心軸201の軸線方向において、バックプレート21とは反対側に延出する。係止部37は、内周面12c上に位置決めされる。基部36と係止部37とは、中心軸201の軸線方向に並ぶ。基部36と係止部37とは、一体に形成されている。係止部37は、中心軸201を中心にその半径方向に広がる平面で切断された場合に、略矩形の断面形状を有する。スナップリング31が溝41に嵌め合わされた状態で、係止部37と内周面12cとが接触する。スナップリング31が溝41に嵌め合わされた状態で、係止部37と内周面12cとの間に隙間が形成されてもよい。係止部37は、スナップリング31が溝41から抜けることを防ぐ役割を果たす。
スナップリング31は、中心軸201を中心にその半径方向に広がる平面で切断された場合に、L字状の断面形状を有する。中心軸201の軸線方向のスナップリング31の長さ、すなわちスナップリングの厚みは、溝41の内側に位置決めされる部分よりも、溝41の外側に位置決めされる部分の方が大きい。スナップリング31は、スナップリング31の、バックプレート21と対向する面の反対側の面に設けられ、ケース体12の内径側を取り囲む係止部37を含む。
係止部37は、基部36の全周に渡って設けられている。係止部37は、基部36の周方向に連続して延びるように設けられている。
続いて、比較のためのスナップリングの取り付け構造を想定し、スナップリングと溝との掛かり代が小さくなる現象のメカニズムについて説明を行なう。図5は、比較のためのスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。図6は、図5中の初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を重ねて示した断面図である。
図5および図6を参照して、溝41には、スナップリング310が配置されている。スナップリング310は、図4中のスナップリング31の基部36のみから構成されている。スナップリング310は、底面41dと対向する外周面31dを含む。バックプレート21に対向する外周面31dの部分を、角部Eと呼ぶことにする。
油圧を負荷する前の初期時、スナップリング310と溝41との掛かり代がH1であるとする。油圧負荷時、油圧室16から摩擦プレート13および14に作用させた力が、バックプレート21およびスナップリング310に伝わる。このとき、摩擦プレート13および14から力を受けたバックプレート21の内周側が、スナップリング310に向けて倒れる。スナップリング310は、バックプレート21の表面上で角部Eを滑らしながら、バックプレート21とともに中心軸201の軸方向に倒れる。これにより、角部Eの位置は見かけ上、図6中の矢印211に示す方向(スナップリング310の浮き方向と呼ぶ)に変位する。
油圧除荷時、バックプレート21は、スナップリング310とともにスナップリング310に向けて倒れた姿勢から元の姿勢に戻る。このとき、スナップリング310およびバックプレート21間に生じる摩擦力によって、角部Eがバックプレート21の表面に引きずられる。スナップリング310は、スナップリング310と溝41の側壁との間に生じる摩擦力に抗してスナップリング310の浮き方向に引き出される。その結果、スナップリング310は縮径側に変形し、油圧除荷後、スナップリング310と溝41との掛かり代がH1よりも小さいH2となる。このようなメカニズムにより、油圧負荷および油圧除荷が繰り返し行なわれることによって、スナップリング310と溝41との掛かり代が徐々に小さくなる現象が生じる。
続いて、本実施の形態における図2中のスナップリングの取り付け構造によって奏される作用について説明する。図7は、図2中のスナップリングの取り付け構造において、油圧負荷時のスナップリングの状態を示す断面図である。
図7を参照して、これに対して、本実施の形態では、油圧負荷時、スナップリング31が中心軸201の軸方向に倒れようとすると、係止部37が内周面12cに当接する。これにより、スナップリング31が係止部37によって突っ張った状態となり、スナップリング31の倒れが抑制される。この結果、図2中のスナップリングの取り付け構造にあっては、油圧負荷および油圧除荷が繰り返し行なわれても、スナップリング31と溝41との掛かり代が小さくなる現象が起こり難くなる。このため、スナップリング31と溝41との掛かり代を十分に確保することができる。
この発明の実施の形態1におけるスナップリングの取り付け構造は、第1部材としてのケース体12と、第2部材としてのバックプレート21と、スナップリング31とを備える。ケース体12は、所定の軸としての中心軸201を中心に延在する周面としての内周面12cを含む。ケース体12には、内周面12cから凹み、環状に延びる溝41が形成されている。バックプレート21は、ケース体12に取り付けられる。スナップリング31は、溝41に配置され、バックプレート21の軸方向の移動を規制する。スナップリング31は、基部36と、係止部37とを含む。基部36は、溝41に嵌合され、バックプレート21と接触する。係止部37は、基部36から中心軸201の軸線方向においてバックプレート21とは反対側に延出し、内周面12c上に位置決めされる。
このように構成された、この発明の実施の形態1におけるスナップリングの取り付け構造によれば、スナップリング31が溝41から抜けることをより確実に防止できる。これにより、ブレーキ11によるプラネタリギヤの作動を確実にし、自動変速機10の信頼性を向上させることができる。また、スナップリング31の抜け止め構造をバックプレート21に設けた場合、スナップリング31の組み付け時、その抜け止め構造とスナップリング31とが干渉するおそれがある。これに対して、本実施の形態では、抜け止め構造がスナップリング31に設けられているため、スナップリング31の組み付け時の作業性が損なわれることがない。
図8は、図2中のスナップリングの変形例を示す断面図である。図8を参照して、本変形例では、係止部37が切り欠き部38を含む。切り欠き部38は、係止部37の厚みが内周面12cから離間するに従って徐々に小さくなるように形成されている。係止部37は、中心軸201を中心にその半径方向に広がる平面で切断された場合に、三角の断面形状を有する。このような構成により、スナップリング31の軽量化や材料コストの低減を図ることができる。
なお、本実施の形態では、内径嵌めのスナップリング31を用いたブレーキ11について説明したが、外径嵌めのスナップリングを用いた構造にも本発明を適用することができる。また、本発明を、自動変速機のクラッチに適用することもできるし、無段変速機に適用することもできる。本発明は、軸方向の荷重を繰り返し受けるスナップリングの取り付け構造に好適に適用される。
(実施の形態2)
図9は、この発明の実施の形態2におけるスナップリングの取り付け構造に用いられるスナップリングを示す斜視図である。本実施の形態におけるスナップリングの取り付け構造は、実施の形態1におけるスナップリングの取り付け構造と比較して、基本的には同様の構造を備える。以下、重複する構造については説明を繰り返さない。
図9を参照して、本実施の形態では、スナップリング31が、図4中の係止部37に替えて係止部37pおよび係止部37qを含む。係止部37pと係止部37qとは、基部36の周方向に互いに間隔を隔てて設けられている。係止部37pおよび係止部37qは、それぞれ、合口33pおよび合口33qに隣接して設けられている。係止部37pと係止部37qとは、間隙35を挟んで対向する。
図10は、図9中のスナップリングが溝に嵌合された状態を示す断面図である。図9および図10を参照して、スナップリング31の剛性は、間隙35が形成される位相で相対的に小さくなり、その反対側の位相で相対的に大きくなる。これにより、溝41に嵌め合わされたスナップリング31が溝41の底面41dを押圧する力(緊縛力)は、図10中の上半分の位相で相対的に小さくなり、図10中の下半分の位相で相対的に大きくなる。
スナップリング31が備えるこのような特性により、スナップリング31を溝41に嵌め合わせると、スナップリング31の外周面31dと溝41の底面41dとは、合口33pおよび33qと、間隙35が形成される位相の反対側の位相とで密着する。一方、合口33pおよび33qに隣接する位相では、外周面31dと底面41dとの間に隙間が形成される。
本実施の形態では、係止部37pおよび係止部37qが、スナップリング31の周方向に間隔を隔てて設けられている。係止部37pおよび係止部37qは、少なくとも、外周面31dと底面41dとの間に隙間が形成される位置に設けられている。
このように構成された、この発明の実施の形態2におけるスナップリングの取り付け構造によれば、実施の形態1に記載の効果を同様に得ることができる。また、スナップリング31の周方向において係止部37pおよび37qが局所的に設けられているため、スナップリング31の剛性が極端に大きくなることを防止できる。これにより、スナップリング31を溝41に組み付ける際に、スナップリング31を容易に撓ませることができる。また、係止部37pおよび係止部37qは、外周面31dと底面41dとの間に隙間が形成され、スナップリング31と溝41との掛かり代が小さくなる位置に設けられている。したがって、本実施の形態によれば、スナップリング31の組み付け時の作業性を損なうことなく、溝41からスナップリング31が抜けることを効果的に防ぐことができる。
今回開示された実施の形態はすべての点で例示であって制限的なものではないと考えられるべきである。本発明の範囲は上記した説明ではなくて特許請求の範囲によって示され、特許請求の範囲と均等の意味および範囲内でのすべての変更が含まれることが意図される。
車両に搭載された自動変速機を示す断面図である。 この発明の実施の形態1におけるスナップリングの取り付け構造を示す断面図である。 図2中のバックプレートを示す斜視図である。 図2中のスナップリングを示す斜視図である。 比較のためのスナップリングの取り付け構造において、初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を示す断面図である。 図5中の初期時、油圧負荷時および油圧除荷後のスナップリングの状態を重ねて示した断面図である。 図2中のスナップリングの取り付け構造において、油圧負荷時のスナップリングの状態を示す断面図である。 図2中のスナップリングの変形例を示す断面図である。 この発明の実施の形態2におけるスナップリングの取り付け構造に用いられるスナップリングを示す斜視図である。 図9中のスナップリングが溝に嵌合された状態を示す断面図である。
符号の説明
10 自動変速機、11 ブレーキ、12 ケース体、12c 内周面、13,14 摩擦プレート、21 バックプレート、31 スナップリング、33p,33q 合口、36 基部、37,37p,37q 係止部、41 溝、201 中心軸。

Claims (5)

  1. 所定の軸を中心に延在する周面を含み、前記周面から凹み、環状に延びる溝が形成された第1部材と、
    前記第1部材に取り付けられる第2部材と、
    前記溝に配置され、前記第2部材の前記軸方向の移動を規制するスナップリングとを備え、
    前記スナップリングは、前記溝に嵌合され、前記第2部材と接触する基部と、前記基部から前記軸方向において前記第2部材とは反対側に延出し、前記周面上に位置決めされる係止部とを含む、スナップリングの取り付け構造。
  2. 前記係止部は、前記基部の周方向に連続して延びるように、前記基部の全体に渡って設けられている、請求項1に記載のスナップリングの取り付け構造。
  3. 前記係止部は、前記基部の周方向に互いに間隔を隔てて設けられている、請求項1に記載のスナップリングの取り付け構造。
  4. 前記スナップリングは、一対の合口を含み、前記一対の合口間で分断されたリング形状を有し、
    前記係止部は、少なくとも前記一対の合口にそれぞれ隣接する位置に設けられている、請求項3に記載のスナップリングの取り付け構造。
  5. 請求項1から4のいずれか1項に記載のスナップリングの取り付け構造が用いられた摩擦係合装置の支持構造であって、
    前記軸方向に沿って前記スナップリングに向けて押圧された時に摩擦により係合する摩擦プレートをさらに備え、
    前記第1部材は、前記摩擦プレートを収容するケース体であり、
    前記第2部材は、前記スナップリングと前記摩擦プレートとの間に配置されるプレート部材である、摩擦係合装置の支持構造。
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* Cited by examiner, † Cited by third party
Publication number Priority date Publication date Assignee Title
CN104314946A (zh) * 2014-10-14 2015-01-28 中航光电科技股份有限公司 一种弹性挡圈及使用该弹性挡圈的连接器
JP2016014472A (ja) * 2014-06-13 2016-01-28 日本精工株式会社 スナップリング

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