JP2008125426A - 容器詰中性茶飲料のフロック発生抑制剤 - Google Patents

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Abstract

【課題】特別な装置を必要とせず、既存の製造設備を利用して長期間にわたりフロックの発生が抑制された容器詰中性茶飲料およびフロック発生抑制剤、並びにフロック抑制方法およびフロックの発生が抑制された容器詰中性茶飲料の製造方法を提供すること。
【解決手段】フィチン酸および/又はその塩を有効成分とするフロック発生抑制剤を中性茶飲料に添加する。
【選択図】なし

Description

本発明は、茶を主原料とする密封容器詰液体中性茶飲料(以下、「中性茶飲料」という。)の保存時の二次的な綿状浮遊物および/又は沈殿物(以下、「フロック」という。)の発生を抑制するフロック発生抑制剤、および当該抑制剤によるフロック発生抑制方法、並びに当該抑制剤が添加された中性茶飲料およびその製造方法に関する。
ペットボトルなどの容器詰中性茶飲料には、飲料製造直後から析出する一次的な沈殿とは別に、長期間保存中にフロック(二次的な綿状浮遊物および/又は沈殿物)が発生することが知られている。フロックは、時間の経過と共にその大きさと量を増し、最終的には数mm程度の巨大分子に成長して目視観察が可能な状態となり、好ましくない濁りを有する外観を与える。
中性茶飲料におけるフロックの発生は製造後の製品内で徐々に起こるため、従来主流であった缶詰飲料では内容物の目視ができないため大きな問題とはならなかったが、近年、容器形態の主流がペットボトルなどの透明容器に移行したことで、フロックの発生が問題となってきた。透明容器中でフロックが発生すると、視覚的な商品価値を著しく損なうだけでなく、その形状から微生物による汚染と誤認され易く、クレームの対象ともなり得る。
フロックの発生原因や構成成分については未解明な部分が多く、例えば、フロックの本体は分子量が2万以上の水溶性多糖成分であるとの報告(非特許文献1参照)や、茶成分の一つであるストリクチニンが加熱によってエラグ酸に分解され、このエラグ酸がタンパク質等と結合することによってフロックが形成されるとの報告(特許文献1参照)もあり、その他にもポリフェノール、カフェイン、タンパク質、有機酸、金属イオン等の他成分の関与も推定されるなど様々な見解がある。
一方、フロックの発生を抑制する中性茶飲料の製造方法としては、これまでに次の様な方法が開示されている。
緑茶の温水抽出液を通常の遠心分離又は濾過による清澄化処理を行った液にアスコルビン酸又はその塩を添加し、ヘミセルラーゼ活性を有する酵素でフロックの発生原因物質と考えられている成分を分解する緑茶飲料の製造方法(特許文献2参照)、緑茶又は生鮮乃至乾燥茶葉を抽出して得た水溶性茶成分を限外濾過法により分画し、分子量約1万以上の高分子成分をほぼ除去することによる清澄緑茶飲料の製造方法(特許文献3参照)、タンニンおよびアミノ酸を含有する茶類抽出液を、ポリビニルポリピロリドン樹脂と接触させ、茶類抽出液中のタンニンを吸着させて除去することにより、アミノ酸/タンニン比を0.2〜3.0に設定する茶類飲料の製造方法(特許文献4参照)、緑茶を温水抽出した抽出液にアスコルビン酸を加えて酸性域に調整し、これを急冷して沈殿を積極的に析出させ、遠心分離により抽出液を濾過し、この抽出液を濾過助剤により濾滓濾過を行って清澄化させ、その後、この抽出液のpHを中性域に調整する緑茶飲料の製造方法(特許文献5参照)、容器詰緑茶飲料中のアルミニウムイオンと水不溶性固形分の量を調整する方法(特許文献6参照)、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンとケイ素イオンの含量を調整する方法(特許文献7参照)、製造工程の何れかの段階で有効量のアルミニウムを添加して溶解せしめることを特徴とする容器詰茶飲料のフロック発生抑制方法(特許文献8参照)などがある。また、このような方法とは別に、原因物質の一つであるストリクチニンに着目し、茶葉中のストリクチニンを指標に茶葉を選定して茶飲料中のストリクチニン含量を制限することにより製造後に発生するフロックを未然に防止する方法(特許文献1参照)も提案されている。
一方、フィチン酸を茶飲料に添加する技術としては、フィチン酸を茶飲料に添加してpHを低下させることにより加熱殺菌条件を緩和させ、風味を保持する方法(特許文献9参照)、緑茶抽出液および/又は緑茶抽出物を配合し、カテキン含量とフィチン酸又はその塩の含有率を調製したpH2〜4の容器詰飲料がカテキンの安定性に優れる(特許文献10参照)ことが開示されている。
特開2003−235451号公報 特開平8−228684号公報 特開平4−45744号公報 特開平9−220053号公報 特開平4−311348号公報 特開2004−180574号公報 特開2004−159665号公報 特開2005−143331号公報 特開平5−317013号公報 特開2006−166770号公報 竹尾忠一、ソフトドリンクス技術資料、1号、1993年、p85
中性茶飲料のフロックの発生を抑制する方法に関しては、上記のような様々な方法が開示されている。しかし、これらの方法は少なくとも次のような欠点を有する。例えば、限外濾過処理や沈殿発生誘発後の濾過処理など、特別な製造工程を設ける方法では、新規な製造設備が必要となるのに加え、工程が煩雑になる。
また、酵素処理によって内容成分を変化させる方法、濾過処理等によって特定の内容成分を除去する方法は茶浸出液が本来有している成分のバランスを乱すことになるため、飲感や風味への影響が避けられない。特に、高分子多糖類はフロックの原因となる可能性がある一方で、茶飲料のボディー感を構成する重要な働きを持っており、これを分解または除去する方法では茶飲料独特ののど越しを著しく損ない、さらさらとした飲感とさせるため、保存安定性を付与する目的を達成しても本格的な茶とは異なるものになってしまうという問題がある。
また、酵素処理による方法は、酵素反応に必要不可欠な反応時間が生産性に大きな障害を与えるだけでなく、香気成分の損失やカテキンなどの酸化による着色など、好ましくない内容成分の変化を引き起こす原因となる。
また、アルミニウムを添加する方法では、多量にアルミニウムを添加すると余剰のアルミニウムがカテキン等のポリフェノール成分と結合体を形成して沈殿を引き起こす原因となる恐れがある。
容器詰茶飲料中のアルミニウムイオン濃度と水不溶性固形分の濃度をコントロールする方法、容器詰緑茶飲料中の非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率、並びにアルミニウムイオンとケイ素イオンの含量をコントロールする方法では、これら成分間の濃度関係をコントロールするのが非常に困難であり、工業的に連続生産される容器詰茶飲料においては、簡便且つ確実な方法とは言い難い。
また、ストリクチニン含量を指標に茶葉を選定する方法では、必然的に使用できる茶葉が限定されてしまうため、風味を主眼においた茶葉の選択ができず、風味豊かな茶飲料を提供することが困難となる。また、製造工程中にHPLC等の分析機器を使用して成分測定を行うことは生産性に大きな支障を与えることになる。
一方、フィチン酸を茶飲料に添加する方法は従来に開示があるものの、これらはフィチン酸を添加してpHを低下せしめ、加熱殺菌条件を緩和させることにより、加熱時の風味劣化を防止する、或いはpH2〜4の酸性飲料に使用してカテキンの安定性を向上するために用いるものであって、茶飲料本来のpH域、すなわちpH4.6〜7.0の中性域下で高温加熱処理した際に限って発生するフロックに対する抑制作用については何ら開示されていなかった。
以上のように、従来開示されている中性茶飲料のフロックの発生を抑制する方法では、フロック発生の抑制と茶本来の風味を保持するという二点を十分に満足させ得るものではない。従って、本発明は上記のような欠点を克服できる、中性茶飲料のフロック発生抑制剤および簡便且つ効果的なフロックの発生抑制方法、並びにフロックの発生が抑制された中性茶飲料およびその製造方法を提供することを目的とするものである。
本発明者らは上記目的を達成すべく鋭意検討を重ねた結果、意外にもフィチン酸および/又はその塩が優れたフロック発生抑制作用を有し、さらには、フィチン酸および/又はその塩とタンニンとの含有重量比率をある一定の範囲となるようにフィチン酸および/又はその塩を添加してpHを中性域に調整し、加熱殺菌された容器詰茶飲料を保存した際にフロックの発生が抑制されている効果を初めて見出し、本発明を完成するに至った。しかも本発明によれば、単にフロックの発生を抑制するだけでなく、特定の茶成分を除去したりすることがないため、茶本来の風味を有した茶飲料を提供することができる。
即ち、上記の知見に基づいて完成された本発明の容器詰中性茶飲料のフロック発生抑制剤は請求項1記載のとおり、フィチン酸および/又はその塩を有効成分とする。
また、本発明の容器詰中性茶飲料のフロック発生抑制方法は請求項2記載のとおり、フィチン酸および/又はその塩を有効量添加することを特徴とする。
また、本発明の容器詰中性茶飲料の製造方法は請求項3記載のとおり、次の成分(A)フィチン酸および/又はその塩並びに(B)タンニンを含有する容器詰中性茶飲料の製造方法であって、それらの含有重量比率(B)/(A)が0.5〜40となるようにフィチン酸および/又はその塩を添加することを特徴とする。
また、本発明の容器詰中性茶飲料は請求項4記載のとおり、次の成分(A)フィチン酸および/又はその塩並びに(B)タンニンを含有する容器詰中性茶飲料であって、それらの含有重量比率(B)/(A)が0.5〜40であることを特徴とする。
また、請求項5記載の容器詰中性茶飲料は、請求項4記載の容器詰中性茶飲料において、さらに(C)アルミニウムを含有する容器詰中性茶飲料であって、(A)フィチン酸および/又はその塩との含有重量比率(C)/(A)が0.01〜10であることを特徴とする。
また、請求項6記載の容器詰中性茶飲料は、請求項4又は5記載の容器詰中性茶飲料において、120℃で4分相当(致死値F=3.1)以上の加熱殺菌を施すことを特徴とする。
本発明におけるフロック発生抑制剤を添加した容器詰中性茶飲料は、フロックの発生が長期間抑制されたものとなる。また、本発明のフロック発生抑制方法によれば、特別な装置を必要とせず、既存の製造設備を利用してフロックの発生が抑制された容器詰中性茶飲料を製造することができるため、生産性、製造コストに対する効果が非常に大きい。また、フロックの原因となる高分子成分やストリクチニンを除去することなくフロックの発生を抑制できるため、各種茶成分を保持し茶本来の風味に優れた容器詰中性茶飲料を提供することができる。
以下において、本発明を詳細に説明する。本発明における中性茶飲料のフロック発生抑制剤は、フィチン酸および/又はその塩を有効成分とする。フィチン酸は以下に示す一般式で表されるイノシトールヘキサリン酸であり、米糠、小麦糠など穀類の糠や大豆などの食物に含まれる。
フィチン酸および/又はその塩としては、例えば、フィチン酸、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム等が挙げられるが、溶解操作における作業性の点から、フィチン酸、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウムが好ましい。これらは、上記した米糠、小麦糠など穀類の糠や大豆などの食物を抽出等して得てもよいし、また、市販の精製品または製剤を用いてもよい。また、本発明においては、これら成分を単独で用いてもよいし、2種以上を所望とする比率で混合して用いても構わない。
本発明における中性茶飲料とは、pHを中性域に調整した茶飲料を意味し、25℃でのpHが4.6〜7.0、好ましくは5.0〜6.8、より好ましくは5.5〜6.5となるものをいう。フロックの発生は中性域で高温加熱された後に限って観察される現象であり、pH4.6未満の茶飲料ではフロックは発生しない。このため、本発明においてはpH4.6未満の茶飲料は本発明が対象とする範囲には含まれない。
上記のフロック発生抑制剤を用いて一般的な方法により中性茶飲料を製造すれば、保存中におけるフロックの発生を抑制することができる。本発明における中性茶飲料とは、茶葉を冷水、温水又は熱水で抽出し、調合、密封容器に充填したものである。茶葉としては、緑茶、ウーロン茶、紅茶等を含む茶葉全般を用いることができ、これらから選ばれる茶葉を1種類又は2種類以上併用しても良い。
中性茶飲料の一般的な製造方法としては、まず原料とする茶葉を20〜50倍重量の温水又は熱水にて抽出する。抽出時間、温度は使用する茶の種類や目的により適宜調整するが、通常は45℃以上85℃以下で3〜30分の抽出を行い、必要に応じて抽出中に撹拌を行う。次いで茶殻等の固形成分を濾過や遠心分離により固液分離することにより茶抽出液を得る。これに水を加えて茶飲料に適した濃度に希釈して調合液とする。この際、必要に応じてアスコルビン酸又はその塩等を添加し、炭酸水素ナトリウム等によりpH4.6〜7.0、好ましくは5.0〜6.8、さらに好ましくは5.5〜6.5の間に調整する。最後にこの調合液を缶やペットボトルなどの密封容器に充填して製品化する。
また、これら工程中には必要に応じた殺菌処理が含まれる。食品衛生法においては、pH4.6以上の清涼飲料の加熱殺菌条件は120℃で4分相当(致死値F=3.1)以上と定められているため(食品、添加物等の規格基準、厚生省告示第三百七十号を参照)、本発明の中性茶飲料もこれに準じた殺菌条件により処理するのが好ましい。本発明のフロック発生抑制剤は上記工程中の何れの段階でも添加することができるが、茶抽出液を希釈して調合液とする段階で添加するのが作業効率上好適である。
本発明のフロック発生抑制剤の中性茶飲料に対する添加量は、原料茶葉の種類や使用量、抽出方法、および最終製品の形態、フロック発生抑制剤の種類によって有効量となるように適宜調節する必要があるが、フィチン酸を例に挙げると、飲用時の濃度換算で飲料100mL当たり1.0mg以上130mg以下が好ましく、3.0mg以上100mg以下がより好ましく、7.0mg以上60mg以下が更に好ましい。1.0mg/100mLより低い濃度で添加した場合、十分なフロック発生抑制効果が期待できず、130mg/100mLを超える濃度の添加ではフロックの発生を促進し、さらには過剰量のフィチン酸により茶飲料の風味が消失されてしまい官能的にも好ましくない。また、フィチン酸ナトリウム、フィチン酸カリウム、フィチン酸カルシウム等のフィチン酸塩を用いる場合には、フィチン酸濃度に換算して添加すればよい。なお、フィチン酸および/又はその塩の添加によりpHが低下する場合があるが、炭酸水素ナトリウム等を用いて調合する際に最終的にpHを前記の中性域に調整することによってフィチン酸および/又はその塩による酸味の発生を抑えることができる。
さらに本発明における中性茶飲料は、(A)フィチン酸および/又はその塩と(B)タンニンとの含有重量比[(B)/(A)]が0.5〜40となるように調製するものである。フィチン酸および/又はその塩はフロックの発生を抑制する効果があるが、茶飲料へ応用する際には、その添加量が多すぎても、少なすぎてもフロック発生の抑制効果は減少してしまう。また、(B)タンニンは中性茶飲料の呈味性に関する主要成分であるため、(A)フィチン酸および/又はその塩と(B)タンニンとのバランスが重要となってくる。そこで、中性茶飲料中の主要成分であるタンニン濃度を指標に用いて、(A)フィチン酸および/又はその塩と(B)タンニンとの含有重量比[(B)/(A)]を前記の範囲に調整することが重要となる。(A)フィチン酸および/又はその塩と(B)タンニンとの含有重量比[(B)/(A)]が0.5未満では、フロックの発生を抑制する効果が発揮されにくいだけでなく、風味に影響する場合がある。一方、[(B)/(A)]が40を超えるとフロックの発生を抑制する効果が発揮されにくいため好ましくない。さらに[(B)/(A)]は、好ましくは0.8〜10、より好ましくは1.0〜8.0、最も好ましくは2.0〜6.0に調整することにより、フロックの発生がより効果的に抑制乃至防止され風味の優れた茶飲料とすることができる。
また、本発明のフロック発生抑制効果をより効果的に発揮させるためには、中性茶飲料中の(C)アルミニウムと(A)フィチン酸および/又はその塩の含有重量比率[(C)/(A)]を、好ましくは0.01〜10、より好ましくは0.03〜2となるように調整すればよい。
本発明のフロック発生抑制剤を用いた茶飲料のフロック発生抑制方法は、単独で行っても十分な効果が得られるが、フロックや沈殿の発生を抑制する公知の従来技術、例えば酵素処理により高分子多糖類を分解する方法、限外濾過やケイ藻土濾過などの精密濾過を行う方法、沈殿物の発生を促した後にこれを除去する方法等と併用するとより効果が得られる。
以下に実施例を挙げ、本発明をさらに詳しく説明する。ただし、本発明はこれに限定されるものではない。
なお、タンニン濃度の測定は、日本食品分析センター編、「五訂 日本食品標準成分分析マニュアルの解説」、中央法規、2001年7月、p.252に記載の公定法(酒石酸鉄試薬法)に従った。
アルミニウム濃度およびフィチン酸濃度の測定は、以下の方法を用いた。
(アルミニウム濃度の測定法)
各試験溶液を0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;アドバンテック(株)製)でろ過した後、アルミニウム含有量を誘導結合プラズマ発光分光分析(ICP−AES)により次の条件で定量した。
装置:ICP−AES CIROS CCD−M(リガク)、
プラズマ電力:1400W、
ポンプ流量:1mL/min
プラズマガス流量:Ar,13.0L/min、
補助ガス流量:Ar,1.0L/min、
ネブライザーガス流量 :Ar,1.0L/min、
分析線:396.152nm、
アルミニウム標準液:関東化学製化学分析用標準液を使用
(フィチン酸濃度の測定法)
各試験溶液を0.45μmメンブランフィルター(DISMIC−13HP;アドバンテック(株)製)でろ過した後、フィチン酸含有量をHPLCにより次の条件で定量した。
カラム: Shodex Asahipak GS−220 HQ、(内径7.6mm×長さ300mm)×2(昭和電工株式会社)
溶離液:10mM HClO
流速:0.6mL/min
検出器:Shodex RI
カラム温度:40℃
サンプル:20μL
本発明1〜15および比較例1〜9の調製
液体飲料用にブレンドした緑茶葉(A)450gを85℃に加温した熱水4.5Lに加え、撹拌しながら5分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、抽出液を得た。抽出液をロータリーエバポレーターで約1Lまで濃縮した後、凍結乾燥機により乾燥させ、茶抽出物として90.9gの収量を得た。この茶抽出物のタンニン濃度を酒石酸鉄試薬法にて測定した結果、31.1%であった。
さらに、緑茶葉(B)、ジャスミン茶葉(C)、ジャスミン茶葉(D)およびジャスミン茶葉(E)についても同様の抽出・乾燥操作を行い、それぞれ(B):収量89.1g、タンニン濃度33.2%、(C):収量101.25g、タンニン濃度34.1%、(D)収量95.0g、タンニン濃度32.9%および(E):収量116.4g、タンニン濃度33.2%の茶抽出物を得た。
次いで、これら茶抽出物を使用して茶飲料のフロック発生抑制試験を行った。茶飲料のフィチン酸、タンニン濃度、カリミョウバン、アスコルビン酸の配合量、調合pH、殺菌条件は表1、2の通りである。調製にあたっては、茶抽出物をイオン交換水で溶解し、この溶液にL−アスコルビン酸、場合によりフィチン酸および/又はカリミョウバンを加え、炭酸水素ナトリウムで所定のpHに調整して茶調合液を作製した。この調合液を耐熱性ガラス容器に50gずつ充填して密封後、レトルト殺菌機又は湯浴中で加熱殺菌処理を行って容器詰茶飲料(本発明1〜15および比較例1〜9)とした。
以上で得られた茶飲料を35℃のインキュベーター内に保存し、その間の経時的なフロックの発生を目視観察した。その結果を表1および表3に示す。表中には茶飲料製造後、何日間フロックの発生を抑制したかを示し、さらにパネリスト25名による官能評価試験をおこなった。
評価基準は、以下のとおりとする。
◎:茶本来の風味が顕著に感じられる
○:茶本来の風味が感じられる
×:茶本来の風味が感じられない
またフロック発生抑制評価と官能評価をあわせ、総合評価した。
評価基準は、以下のとおりとする。
◎:フロック発生抑制期間が10日以上でありかつ官能評価が◎又は○
○:フロック発生抑制期間が5日以上9日以下でありかつ官能評価が◎又は○
△:フロック発生抑制期間が3日以上4日以下でありかつ官能評価が◎又は○
×:フロック発生抑制期間が1日以上2日以下であるもしくは官能評価が×
本発明16〜22および比較例10の調製
液体飲料用にブレンドした緑茶葉(F)100gを60℃に加温した熱水3.0Lに加え、撹拌しながら5分間抽出を行い、100メッシュのステンレスフィルターで茶葉を分離した。続いて濾紙(No.26、アドバンテック(株)製)を用いて濾過し、2700gの抽出液を得た。
この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、この溶液にL−アスコルビン酸、場合によりフィチン酸および/又はカリミョウバンを加え、炭酸水素ナトリウムで所定のpHに調整して茶調合液を作製した。この調合液を耐熱性ガラス容器に50gずつ充填して密封後、レトルト殺菌機又は湯浴中で加熱殺菌処理を行って容器詰茶飲料(本発明16〜22および比較例10)とした。茶飲料のフィチン酸、タンニン濃度、カリミョウバン、アスコルビン酸の配合量、調合pH、殺菌条件は表2、3の通りである。
そして得られた緑茶飲料を用いて実施例1と同様の方法によりフロック発生抑制試験および官能試験をおこなった。結果を表2および表3に示す。
本発明23〜25の調製
実施例2において用いた茶葉について、緑茶葉(F)をジャスミン茶葉(G)に変えた以外は、実施例2と同様の方法で抽出をおこなった。得られたジャスミン茶抽出液2800gをイオン交換水で希釈し、この溶液にL−アスコルビン酸、場合によりフィチン酸および/又はカリミョウバンを加え、炭酸水素ナトリウムで所定のpHに調整して茶調合液を作製した。この調合液を耐熱性ガラス容器に50gずつ充填して密封後、レトルト殺菌機又は湯浴中で加熱殺菌処理を行って容器詰茶飲料(本発明23〜25)とした。茶飲料のフィチン酸、タンニン濃度、カリミョウバン、アスコルビン酸の配合量、調合pH、殺菌条件は表2の通りである。
そして、得られたジャスミン茶飲料を用いて実施例1と同様の方法によりフロック発生抑制試験および官能試験をおこなった。結果を表2に示す。
本発明26〜30および比較例11の調製
実施例2において用いた茶葉について、緑茶葉(F)を緑茶葉(H)に変えた以外は、実施例2と同様の方法で抽出をおこなった。この緑茶抽出液をイオン交換水で希釈し、この溶液にL−アスコルビン酸、場合によりフィチン酸および/又はカリミョウバンを加え、炭酸水素ナトリウムで所定のpHに調整して茶調合液を作製した。この調合液を耐熱性ガラス容器に50gずつ充填して密封後、レトルト殺菌機又は湯浴中で加熱殺菌処理を行って容器詰茶飲料(本発明26〜30および比較例11)とした。茶飲料のフィチン酸、タンニン濃度、カリミョウバン、アスコルビン酸の配合量、調合pH、殺菌条件は表2、3の通りである。
そして、得られた緑茶飲料を用いて実施例1と同様の方法によりフロック発生抑制試験および官能試験をおこなった。結果を表2および表3に示す。
表1および表2に示すように、本発明品1〜30はフロックの発生が抑制された。目的の抑制効果を得るには最適範囲があり、[(B)タンニン/((A)フィチン酸および/又はその塩)]が2.0〜6.0である本発明品4、5、11、12、14、18、19、23および28は18日間以上フロックの発生が抑制されており、本発明品の中でも特に顕著な効果を示した。さらに、カリミョウバンを、中性茶飲料中の成分含有重量比率[(C)アルミニウム/((A)フィチン酸および/又はその塩)]が0.01〜10、特に0.03〜2となるように中性茶飲料へ添加することにより、フロックの発生が効果的に抑制された。
また、本発明品1〜30について官能検査を行なったところ、茶本来の風味が感じられ大変美味しく飲用できた。
一方、表3に示すように、pH4.6未満である比較品3および4はフロックの発生がみられなかったため本発明のフロック発生抑制効果を検証するに至らなかったが、官能評価においては酸味が強く感じられ、茶本来の風味が著しく損なわれていた。
また、pHが中性域で所定の高温加熱処理を行い、かつ[(B)タンニン/((A)フィチン酸および/又はその塩)]が本発明範囲の0.5〜40を満たしていない比較例1、2、5〜11では、保存開始から僅か1〜2日間でフロックの発生が確認され、明らかに保存安定性が劣っていた。
本発明のフロックの発生が抑制された容器詰中性茶飲料は、前記のとおり、特別な装置を必要とせず、既存の設備を利用して簡便に、フロックの発生が長期間にわたり抑制され、茶本来の成分を保持した茶飲料として提供できる。

Claims (6)

  1. フィチン酸および/又はその塩を有効成分とする容器詰中性茶飲料のフロック発生抑制剤。
  2. フィチン酸および/又はその塩を有効量添加することを特徴とする容器詰中性茶飲料のフロック発生抑制方法。
  3. 次の成分(A)フィチン酸および/又はその塩並びに(B)タンニンを含有する容器詰中性茶飲料の製造方法であって、それらの含有重量比率(B)/(A)が0.5〜40となるようにフィチン酸および/又はその塩を添加することを特徴とする容器詰中性茶飲料の製造方法。
  4. 次の成分(A)フィチン酸および/又はその塩並びに(B)タンニンを含有する容器詰中性茶飲料であって、それらの含有重量比率(B)/(A)が0.5〜40である容器詰中性茶飲料。
  5. さらに(C)アルミニウムを含有する容器詰中性茶飲料であって、(A)フィチン酸および/又はその塩との含有重量比率(C)/(A)が0.01〜10である請求項4記載の容器詰中性茶飲料。
  6. 120℃で4分相当(致死値F=3.1)以上の加熱殺菌を施すことを特徴とする請求項4又は5に記載の容器詰中性茶飲料。
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