JP2004180574A - 容器詰緑茶飲料 - Google Patents

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Abstract

【課題】カテキン類を高濃度に含有し、かつ長期保存時の沈殿の抑制された風味の良好な飲料の提供。
【解決手段】次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非重合体カテキン類0.05〜0.5重量%、
(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分、
(C)アルミニウムイオン
を含有し、成分(B)と成分(C)の重量比率〔(B)/(C)〕が0.5〜10である容器詰緑茶飲料。
【選択図】 なし

Description

【0001】
【発明の属する技術分野】
本発明は非重合体カテキン類を高濃度に含有し、かつ長期保存時の沈殿を抑制した風味の良好な容器詰緑茶飲料に関する。
【0002】
【従来の技術】
カテキン類の効果としては、コレステロール上昇抑制作用やαアミラーゼ活性阻害作用などが報告されている(例えば、特許文献1、2参照)。このような生理効果を発現させるためには、成人一日あたり4〜5杯のお茶を飲むことが必要であることから、より簡便に大量のカテキン類を摂取するために、飲料にカテキン類を高濃度配合する技術が望まれていた。この方法の一つとして、緑茶抽出物の濃縮物(例えば、特許文献3参照)などを利用して、カテキン類を飲料に溶解状態で添加する方法がある。
【0003】
一方、緑茶の容器詰飲料には長期保存中にペクチンやヘミセルロース等の高分子成分を原因とする沈殿の析出の課題があり、これに対するいろいろな解決方法が報告されている(例えば、特許文献4、5参照)。
しかしながら、緑茶抽出液を限外濾過膜で濾過して高分子成分を除去する方法では、茶の滋味成分が濾過剤に吸着してしまい、沈殿の防止はされるものの、茶特有の風味が乏しくなるという欠点がある。また、緑茶を酸性域に調整した後、急冷して濁りを促進させ、遠心分離によってこの濁りを除去し、上澄液にケイソウ土を添加して濾過した後、pHを中性域に再調整する方法では、ケイソウ土濾過時に茶の香気成分が同時に除去されてしまい、得られる緑茶の香りが弱くなるという欠点がある。
【0004】
【特許文献1】
特開昭60−156614号公報
【特許文献2】
特開平3−133928号公報
【特許文献3】
特開昭59−219384号公報
【特許文献4】
特開平4−45744号公報
【特許文献5】
特開平4−311348号公報
【0005】
【発明が解決しようとする課題】
本発明は非重合体カテキン類を高濃度に含有し、かつ長期保存時の沈殿を抑制した風味の良好な容器詰緑茶飲料を提供することにある。
【0006】
【課題を解決するための手段】
本発明者は、高濃度のカテキン類を含有する容器詰緑茶飲料の長期保存時の沈殿生成を抑制すべく検討した結果、特定の緑茶葉から得られた抽出液を使用することによって、0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分とアルミニウムイオンの比率をコントロールし、長期保存時の沈殿生成を抑制でき、かつ風味の良好な容器詰緑茶飲料が得られることを見出した。
【0007】
すなわち、本発明は次の成分(A)、(B)及び(C):
(A)非重合体カテキン類0.05〜0.5重量%、
(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分、
(C)アルミニウムイオン
を含有し、成分(B)と成分(C)の重量比率〔(B)/(C)〕が0.5〜10である容器詰緑茶飲料を提供するものである。
【0008】
また本発明は、(A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5重量%含有する容器詰緑茶飲料中の(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分と(C)アルミニウムイオンの重量比率〔(B)/(C)〕を0.5〜10に調整することを特徴とする当該容器詰緑茶飲料の沈殿抑制方法を提供するものである。
【0009】
【発明の実施の形態】
本発明で(A)非重合体カテキン類とは、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレートなどの非エピ体カテキン類及びエピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート、エピガロカテキンガレートなどのエピ体カテキン類をあわせての総称である。
【0010】
本発明の容器詰緑茶飲料中には、非重合体であって水に溶解状態にある(A)非重合体カテキン類を、0.05〜0.5重量%、好ましくは0.092〜0.5重量%、より好ましくは0.1〜0.4重量%、更に好ましくは0.11〜0.3重量%、特に好ましくは0.12〜0.3重量%含有する。非重合体カテキン類含量が0.05重量%未満では一度に多量の非重合体カテキン類を容易に取り難い。一方、0.5重量%を超える濃度では苦渋味の改善が不可能である。
【0011】
本発明の(A)非重合体カテキン類の濃度は、カテキン、ガロカテキン、カテキンガレート、ガロカテキンガレート、エピカテキン、エピガロカテキン、エピカテキンガレート及びエピガロカテキンガレートの合計8種の合計量に基づいて定義される。
【0012】
本発明の容器詰緑茶飲料の(A1)非エピ体カテキン類と(A2)エピ体カテキン類の重量比率〔(A1)/(A2)〕は、保存時の色相変化を抑制する点から、好ましくは0.54〜9.0、より好ましくは0.55〜9.0、更に好ましくは0.67〜9.0、特に好ましくは1.0〜9.0である。
【0013】
本発明で用いる(A)非重合体カテキン類はエピガロカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンとガロカテキンからなるガロ体と、エピカテキンガレートとカテキンガレートとエピカテキンとカテキンからなる非ガロ体の比率が、天然の緑茶葉の組成を維持している方が好ましい。
【0014】
また、本発明で用いる非重合体カテキン類中のカテキンガレートとエピカテキンガレートとガロカテキンガレートとエピガロカテキンガレートからなるガレート体の全非重合体カテキン類中での割合が45重量%以上が、非重合体カテキン類の生理効果の有効性上好ましい。
【0015】
本発明おける(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分とは、容器詰緑茶飲料を0.8μmのメンブランフィルターを通過させた後、0.2μmのメンブランフィルター上に残った水不溶性の分散体及び固形物をいう。
【0016】
本発明の容器詰緑茶飲料は、長期保存時の沈殿物生成を抑制する点で(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分と(C)アルミニウムイオンの重量比率〔(B)/(C)〕が0.5〜10であることが必要であり、好ましくは1〜9、更に好ましくは1〜8、特に好ましくは1〜7.5である。
【0017】
本発明の容器詰緑茶飲料は長期保存時の沈殿物生成を抑制する点で、アルミニウムイオン濃度が好ましくは5mg/kg以上、より好ましくは6mg/kg以上、更に好ましくは7mg/kg、特に好ましくは8mg/kg以上が良い。
【0018】
本発明の容器詰緑茶飲料の製造法は、成分(A)、(B)及び(C)が前記組成になるように調整すればよく、特に制限されないが、高濃度非重合体カテキン類を含有する緑茶飲料の長期保存時の沈殿抑制効果の点で、緑茶抽出液中のアルミニウム存在量が5.5mg/kg以上となる緑茶葉を用いるのが好ましい。より詳細には、茶葉濃度0.9重量%、抽出温度65℃、抽出時間5分の条件で抽出したときの緑茶抽出液中のアルミニウムイオン存在量が、5.5mg/kg〜30mg/kg、好ましくは6.0mg/kg〜30mg/kg、更に好ましくは、7.0mg/kg〜30mg/kg、特に好ましくは8.0mg/kg〜30mg/kgとなる緑茶葉が良い。
【0019】
本発明に使用する緑茶としては、Camellia属、例えばC. sinensis、C. assamica及びやぶきた種、又はそれらの雑種から得られる茶葉から製茶された茶葉が挙げられる。当該製茶された茶葉としては煎茶が特に好ましく、例えば鹿児島秋番茶、静岡4番茶、奈良4番茶、京都・奈良2番茶、中国緑茶などが茶葉からのアルミニウムイオンの抽出量が多く好ましい。
【0020】
本発明の容器詰緑茶飲料は、前記緑茶抽出液に緑茶抽出物を添加することにより製造するのが好ましい。ここで添加する茶抽出物は、緑茶葉からの抽出液でもよいが、茶抽出物の濃縮物を水に溶解して用いても、緑茶葉からの抽出液と茶抽出物の濃縮物とを併用しても良い。ここでいう茶抽出物の濃縮物とは、茶葉を熱水もしくは水溶性有機溶媒により抽出された抽出物を濃縮したものであって、特開昭59−219384号公報、特開平4−20589号公報、特開平5−260907号公報、特開平5−306279号公報、特願2002−114355、特願2002−020415などに詳細に例示されている方法で調製したものをいう。市販品としては、三井農林(株)「ポリフェノン」、伊藤園(株)「テアフラン」、太陽化学(株)「サンフェノン」などが挙げられる。そのほか、カラム精製品及び化学合成品でも使用できる。ここでいう茶抽出物の濃縮物の形態としては、固体、水溶液、スラリー状など種々のものが挙げられる。
【0021】
本発明の容器詰緑茶飲料は、苦味抑制剤を配合すると、服用しやすくなり、好ましい。用いる苦味抑制剤は特に限定はないが、サイクロデキストリンが好ましい。サイクロデキストリンとしては、α−、β−、γ−サイクロデキストリン及び分岐α−、β−、γ−サイクロデキストリンが使用できる。サイクロデキストリンは本発明飲料中に0.01〜0.5重量%、特に0.01〜0.3重量%含有するのが好ましい。
【0022】
飲料のpHは、25℃で2〜7、好ましくは3〜7、より好ましくは5〜7とするのが非重合体カテキン類の化学的安定性の点で好ましい。
【0023】
本発明の容器詰緑茶飲料には、茶由来の成分にあわせて、酸化防止剤、香料、各種エステル類、有機酸類、有機酸塩類、無機酸類、無機酸塩類、無機塩類、色素類、乳化剤、保存料、調味料、pH調整剤、品質安定剤などの添加剤を単独、あるいは併用して配合しても良い。
【0024】
無機酸類、無機酸塩類としてはリン酸、リン酸二ナトリウム、メタリン酸ナトリウム、ポリリン酸ナトリウムなどが挙げられる。本発明飲料中に0.01〜0.5重量%、特に0.01〜0.3重量%含有するのが好ましい。
【0025】
本発明の容器詰緑茶飲料に使用される容器は、一般の飲料と同様にポリエチレンテレフタレートを主成分とする成形容器(いわゆるPETボトル)、金属缶、金属箔やプラスチックフィルムと複合された紙容器、瓶などの通常の形態のものが使用できる。ここでいう容器詰飲料とは希釈せずに飲用できるものをいう。
【0026】
また本発明の容器詰緑茶飲料は、例えば、金属缶のように容器に充填後、加熱殺菌できる場合にあっては食品衛生法に定められた殺菌条件で製造される。PETボトル、紙容器のようにレトルト殺菌できないものについては、あらかじめ上記と同等の殺菌条件、例えばプレート式熱交換器などで高温短時間殺菌後、一定の温度迄冷却して容器に充填する等の方法が採用される。また無菌下で、充填された容器に別の成分を配合して充填してもよい。また非エピ体カテキン類とエピ体カテキン類の比率を調整する為に、これらの殺菌工程の前に加熱処理を施しても良く、また添加する緑茶抽出物を加熱処理して使用しても構わない。
【0027】
【実施例】
カテキン類の測定
フィルター(0.8μm)でろ過し、次いで蒸留水で希釈した容器詰めされた飲料を、島津製作所製、高速液体クロマトグラフ(型式SCL−10AVP)を用い、オクタデシル基導入液体クロマトグラフ用パックドカラム L−カラムTM ODS(4.6mmφ×250mm:財団法人 化学物質評価研究機構製)を装着し、カラム温度35℃でグラジエント法により行った。移動相A液は酢酸を0.1mol/L含有の蒸留水溶液、B液は酢酸を0.1mol/L含有のアセトニトリル溶液とし、試料注入量は20μL、UV検出器波長は280nmの条件で行った。
【0028】
0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分の測定
使用前後のメンブランフィルターの重量増から0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分量を求めた。具体的には予め孔径0.2μmのメンブランフィルターを105℃/3時間以上乾燥させ、恒量値を求めた。その後評価サンプルをこのメンブランフィルターで濾過し、再び同様の条件で乾燥させ、濾過後のメンブランフィルター重量を求めた。この前後の重量差分より捕らえた0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分重量を求め、評価サンプル中に存在した0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分濃度を算出した。評価サンプルは0.2μmメンブランフィルターで濾過する前に0.8μmで前処理濾過を施した。
沈殿の目視評価
50mLバイアル瓶に入っている評価サンプルをイルミネーター上で内容物の状態を観察し、沈殿の観察された時点を沈殿発生日とした。
【0029】
アルミニウムイオンの測定
評価サンプル中のアルミニウムイオン濃度については、ICP分析により定量化した。
(装置)ICP発光分光装置:セイコーインスツルメンツ(株)(SPS3000)
(高周波誘導波結合プラズマ発光分析法の測定条件)
高周波:1.2KW、反射波:>2W、
プラズマガス流量:18L/分、キャリアガス圧:2kgf/cm
補助ガス:1.2L/分、チャンバーガス:0.6L/分
測高高さ:L/R分光器12mm、測定波長アルミニウムイオン(396.152nm)
トーチ:水系、ネブライザー:水系、チャンバー:スコット型(アルミニウム標準液)
和光純薬(株)原子吸光分析用アルミニウムイオン(1000mg/L)標準液
【0030】
風味の評価
保存5日後時点での容器詰飲料についてパネラー3名による飲用試験を実施した。その結果、いずれの非重合体カテキン類を高濃度で配合した飲料においても、良好な緑茶風味を示すことが判った。
【0031】
実施例1〜5、比較例1〜4
各乾燥茶葉を茶葉濃度0.9重量%、65℃、5分の条件で抽出して抽出液を得た。次にこれらの抽出液にポリフェノンHG(緑茶抽出物の濃縮物:東京フードテクノ製:非重合体カテキン類含有量33.70重量%、アルミニウムイオン916.7mg/kg)が0.36重量%の濃度になるように添加して高濃度のカテキン類を含有する緑茶飲料を得た。ここで実施例5は実施例4の調製液を用いてカテキン含有量で0.07重量%となるようにイオン交換水にて希釈した。次にこれらを缶に充填後、オートクレーブにおいて121℃、10分の加熱処理を行った。但し、比較例4のみは加熱処理を実施しなかった。得られた容器詰緑茶飲料の組成、長期保存時の沈殿発生日及び風味の評価結果を表1に示す。
【0032】
【表1】
Figure 2004180574
【0033】
表1から明らかなように、長期保存を想定した加速試験として55℃雰囲気下で沈殿の発生を目視で観察した。その結果、製品中の0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分/アルミニウムイオン比が0.5〜10のときに、目標となる55℃、5日(常温保存9ヶ月相当)以上まで沈殿の発生を遅らせることができることが判った。
また、得られた本発明容器詰緑茶飲料は風味も良好であった。
【0034】
【発明の効果】
本発明によれば、0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分とアルミニウムイオンの比率をコントロールすることによって、長期保存時の沈殿生成が抑制され、かつ風味の良好な容器詰緑茶飲料が得られる。

Claims (6)

  1. 次の成分(A)、(B)及び(C):
    (A)非重合体カテキン類0.05〜0.5重量%、
    (B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分、
    (C)アルミニウムイオン
    を含有し、成分(B)と成分(C)の重量比率〔(B)/(C)〕が0.5〜10である容器詰緑茶飲料。
  2. (C)アルミニウムイオンの含有量が5mg/kg以上である請求項1記載の容器詰緑茶飲料。
  3. (A)非重合体カテキン類中の(A1)非エピ体カテキン類と(A2)エピ体カテキン類の重量比率〔(A1)/(A2)〕が0.54〜9.0である請求項1又は2記載の容器詰緑茶飲料。
  4. 緑茶抽出液中のアルミニウムイオン存在量が5.5mg/kg以上となる緑茶葉を使用することにより得られるものである請求項1〜3のいずれか1項記載の容器詰緑茶飲料。
  5. 緑茶抽出液に緑茶抽出物を添加することにより得られるものである請求項1〜4のいずれか1項記載の容器詰緑茶飲料。
  6. (A)非重合体カテキン類を0.05〜0.5重量%含有する容器詰緑茶飲料中の(B)0.2μm〜0.8μmの茶葉由来の水不溶性固形分と(C)アルミニウムイオンの重量比率〔(B)/(C)〕を0.5〜10に調整することを特徴とする当該容器詰緑茶飲料の沈殿抑制方法。
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