JP2008124106A - 多層配線基板の製造方法 - Google Patents

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Abstract

【課題】コスト増加を抑制できる多層配線基板の製造方法を提供する。
【解決手段】複数の配線層P1〜P3を積層する。複数の配線層P1〜P3をそれぞれ個別に形成する工程と、形成した各配線層P1〜P3をそれぞれ検査する工程と、各配線層P1〜P3の検査結果に応じて、各配線層P1〜P3を選択して貼り合わせる工程と、を有する。接着材を含む液滴を配線層上に塗布する工程と、塗布した接着材を含む液滴を半硬化状態にする工程と、半硬化状態の接着材を介して複数の配線層P1〜P3を貼り合わせる工程とを有する。
【選択図】図3

Description

本発明は、多層配線基板の製造方法に関するものである。
近年、回路基板(配線基板)上に実装される電子部品の小型化が進んでおり、配線基板の細密化が要求されている。このような、細密な配線構造を形成する方法として、液滴吐出法を用いて、導電性パターンを絶縁膜中に埋め込んだ状態に形成する技術がある(例えば、特許文献1参照)。
また、上記回路基板が搭載される、例えば携帯電話等の電子機器についても、近年、小型化が進行している。これに伴って、携帯電話は、回路基板(配線基板)上における電子部品の実装スペースが制限されてしまう。そのため、電子部品をより高密度で実装する方法の提供が望まれている。
そこで、基板上にチップ部品を固定し、該チップ部品の周囲に、液滴吐出法を用いて絶縁材料を塗布し、絶縁膜中にチップ部品を埋め込み、該チップ部品に接続する配線を形成することで、チップ部品が高密度で実装された配線基板が考えられる。
特開2005−327985号公報
しかしながら、上述したような従来技術には、以下のような問題が存在する。
各配線層を積層した後に検査で不良となった場合、内蔵させたICチップや受動部品が無駄になってしまい、コストが増加するという問題が生じる。
本発明は、以上のような点を考慮してなされたもので、コスト増加を抑制できる多層配線基板の製造方法を提供することを目的とする。
上記の目的を達成するために本発明は、以下の構成を採用している。
本発明の多層配線基板の製造方法は、複数の配線層を積層してなる多層配線基板の製造方法であって、複数の配線層をそれぞれ個別に形成する工程と、形成した各配線層をそれぞれ検査する工程と、前記各配線層の検査結果に応じて、各配線層を選択して貼り合わせる工程とを有し、接着材を含む液滴を前記配線層上に塗布する工程と、塗布した前記接着材を含む液滴を半硬化状態にする工程と、前記半硬化状態の前記接着材を介して前記複数の配線層を貼り合わせる工程とを有することを特徴とするものである。
従って、本発明の多層配線基板の製造方法では、検査した結果で問題のない配線層を貼り合わせて積層することにより、良品の多層配線基板を得ることができる。また、検査した結果、問題のある(不良の)配線層については、貼り合わせに用いずに除去し、問題のない配線層を用いることにより、所望の特性を有する多層配線基板を製造することが可能になる。
また、本発明の多層配線基板の製造方法では、各配線層の貼り合わせ面の平坦度が低い場合でも、半硬化状態の接着材が各配線層の接着面に倣うため、配線層の密着性を向上させることができる。
また、上記の構成では、前記複数の配線層を貼り合わせた後に、前記接着材を一括的に硬化させる工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、配線層毎に貼り合わせる工程を設ける必要が無くなり、生産性の向上に寄与できる。
また、前記配線層に電子部品と、該電子部品に接続される導電配線とが設けられる場合には、前記導電配線を介して前記電子部品を検査する工程を有することが好ましい。
従って、本発明の多層配線基板の製造方法では、例えば電子部品の端子に接触して検査することが困難な場合に、導電配線に接触することで容易に配線層における電子部品を検査することが可能になる。
また、前記配線層に電子部品と、該電子部品に接続される導電配線及び該導電配線とは異なる検査用導電配線とが設けられる場合には、前記検査用導電配線を介して前記電子部品を検査する工程を有することが好ましい。
従って、本発明の多層配線基板の製造方法では、例えば電子部品の端子に接触して検査することが困難な場合に、検査用導電配線に接触することで容易に配線層における電子部品を検査することが可能になる。この場合、多層配線基板の特性を発現する際に必要な導電配線に接触しなくても検査できるため、検査時に断線が生じる等の不具合を回避して、高品質の多層配線基板を得ることが可能になる。
また、上記の構成では、前記配線層が絶縁膜を有する場合、前記接着材が前記絶縁膜形成材料を含む構成を好適に採用できる。
これにより、本発明では、接着材用の材料を別途用意する必要が無くなり、生産性の向上に寄与できる。
前記各配線層としては、絶縁膜形成材料を含む液滴及び導電配線形成材料を含む液滴を塗布して形成される手順を好適に採用できる。
これにより、本発明では、他の成膜工程を経ることなく、液滴吐出方式により多層配線基板を製造することが可能になる。
また、本発明では、基準マークを有するベース基板を用い、前記基準マークを計測して、前記複数の配線層をそれぞれ前記ベース基板上に積層する工程を有する手順も好適に採用できる。
これにより、本発明では、同一の基準マークを基準として各配線層を積層することができるため、複数の配線層を互いに高精度に位置決めすることが可能になり、信頼性の高い多層配線基板を製造することが可能になる。
以下、本発明の多層配線基板の製造方法の実施の形態を、図1ないし図6を参照して説明する。
なお、以下の説明に用いる各図面では、各部材を認識可能な大きさとするため、各部材の縮尺を適宜変更している。
(液滴吐出装置)
まず、本発明に係る多層配線基板の製造方法において用いられる液滴吐出装置について図1及び図2を参照して説明する。
図1に示す液滴吐出装置1は、基本的にはインクジェット装置である。より具体的には、液滴吐出装置1は、液状材料111を保持するタンク101と、チューブ110と、グランドステージGSと、吐出ヘッド部(液滴吐出ヘッド)103と、ステージ106と、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、制御部112と、光照射装置140と、支持部104aと、を備えている。
吐出ヘッド部103は、ヘッド114(図2参照)を保持している。このヘッド114は、制御部112からの信号に応じて、液状材料111の液滴を吐出する。なお、吐出ヘッド部103におけるヘッド114は、チューブ110によってタンク101に連結されており、このため、タンク101からヘッド114に液状材料111が供給される。
ステージ106は基板(後述)を固定するための平面を提供している。さらにステージ106は、吸引力を用いて基板の位置を固定する機能も有する。
第1位置制御装置104は、支持部104aによって、グランドステージGSから所定の高さの位置に固定されている。この第1位置制御装置104は、制御部112からの信号に応じて、吐出ヘッド部103をX軸方向と、X軸方向に直交するZ軸方向と、に沿って移動させる機能を有する。さらに、第1位置制御装置104は、Z軸に平行な軸の回りで吐出ヘッド部103を回転させる機能も有する。ここで、本実施例では、Z軸方向は、鉛直方向(つまり重力加速度の方向)に平行な方向である。
第2位置制御装置108は、制御部112からの信号に応じて、ステージ106をグランドステージGS上でY軸方向に移動させる。ここで、Y軸方向は、X軸方向およびZ軸方向の双方と直交する方向である。
上述のように、第1位置制御装置104によって、吐出ヘッド部103はX軸方向に移動する。そして、第2位置制御装置108によって、基板はステージ106と共にY軸方向に移動する。これらの結果、基板に対するヘッド114の相対位置が変わる。より具体的には、これらの動作によって、吐出ヘッド部103、ヘッド114、またはノズル118(図2参照)は、基板に対して、Z軸方向に所定の距離を保ちながら、X軸方向およびY軸方向に相対的に移動、すなわち相対的に走査する。「相対移動」または「相対走査」とは、液状材料111を吐出する側と、そこからの吐出物が着弾する側(被吐出部)の少なくとも一方を他方に対して相対移動することを意味する。
制御部112は、液状材料111の液滴を吐出すべき相対位置を表す吐出データを外部情報処理装置から受け取るように構成されている。制御部112は、受け取った吐出データを内部の記憶装置に格納するとともに、格納された吐出データに応じて、第1位置制御装置104と、第2位置制御装置108と、ヘッド114と、を制御する。なお、吐出データとは、基板上に、液状材料111を所定パターンで付与するためのデータである。本実施例では、吐出データはビットマップデータの形態を有している。
上記構成を有する液滴吐出装置1は、吐出データに応じて、ヘッド114のノズル118(図2参照)を基板に対して相対移動させるとともに、被吐出部に向けてノズル118から液状材料111を吐出する。なお、液滴吐出装置1によるヘッド114の相対移動と、ヘッド114からの液状材料111の吐出と、をまとめて「塗布走査」または「吐出走査」と表記することもある。
光照射装置140は、基板に付与された液状材料111に紫外光を照射する装置である。光照射装置140の紫外光の照射のON・OFFは制御部112によって制御される。
図2(a)および(b)に示すように、液滴吐出装置1におけるヘッド114は、複数のノズル118を有するインクジェットヘッドである。具体的には、ヘッド114は、振動板126と、複数のノズル118と、複数のノズル118のそれぞれの開口を規定するノズルプレート128と、液たまり129と、複数の隔壁122と、複数のキャビティ120と、複数の振動子124と、を備えている。
液たまり129は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置しており、この液たまり129には、図示しない外部タンクから孔131を介して供給される液状材料111が常に充填される。また、複数の隔壁122は、振動板126と、ノズルプレート128と、の間に位置している。
キャビティ120は、振動板126と、ノズルプレート128と、一対の隔壁122と、によって囲まれた部分である。キャビティ120はノズル118に対応して設けられているため、キャビティ120の数とノズル118の数とは同じである。キャビティ120には、一対の隔壁122間に位置する供給口130を介して、液たまり129から液状材料111が供給される。なお、本実施例では、ノズル118の直径は、例えば約27μmである。
さて、複数の振動子124のそれぞれは、それぞれのキャビティ120に対応するように振動板126上に位置する。複数の振動子124のそれぞれは、ピエゾ素子124Cと、ピエゾ素子124Cを挟む一対の電極124A,124Bと、を含む。制御部112が、この一対の電極124A,124Bの間に駆動電圧を与えることで、対応するノズル118から液状材料111の液滴Dが吐出される。ここで、ノズル118から吐出される材料の体積は、0pl以上42pl(ピコリットル)以下の間で可変である。なお、ノズル118からZ軸方向に液状材料111の液滴が吐出されるように、ノズル118の形状が調整されている。
なお、吐出部127は、ピエゾ素子の代わりに電気熱変換素子を有してもよい。つまり、吐出部127は、電気熱変換素子による材料の熱膨張を利用して材料を吐出する構成を有していてもよい。
(多層配線基板)
続いて、多層配線基板について図3を参照して説明する。
図3に示す多層配線基板500は、シリコンからなる基材10上に、3つの配線層P1、P2、P3が積層されてなるものである。
なお、基材10としては、他にもガラス、石英ガラス、金属板など各種のものが挙げられる。さらに、これら各種の素材基板の表面に半導体膜、金属膜、絶縁膜、有機膜、などが下地層として形成されたものも含む。
配線層P1は、電極部20aを有するチップ部品(電子部品)20及び電極部21aを有するチップ部品(電子部品)21が絶縁膜13に埋め込まれ、この絶縁膜13上に電極部20a、21aに接続される配線15が成膜されてなるものである。配線15は、第1層間絶縁膜60に覆われており、図3中、両側に位置する配線15は、第1層間絶縁膜60を貫通するスルーホールH1、H2にそれぞれ接続されている。
前記チップ部品20、21としては、抵抗、コンデンサー、ICチップ等が挙げられ、本実施形態では、チップ部品20として抵抗を用い、チップ部品21としてコンデンサーを用いた。また、チップ部品20、21は、その電極部20a、21aを上方に向けた状態で基材10上に配置されている。
なお、実際には電極部20a、21aは、チップ部品20、21の上面と略面一であるが、ここでは、突起状に図示している。また、液滴吐出方式等を用いて導電性インクを吐出することで実際に突起を形成してもよい。
絶縁膜13、60は、上述した液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて絶縁性インク(絶縁材料)を塗布し、該絶縁性インクを硬化させることで形成されたものである。この絶縁性インクとしては、ここでは光エネルギを付与した際に硬化する光硬化性、及び熱エネルギを付与した際に硬化する熱硬化性を有する材料として、アクリル系の感光性樹脂を含んでいる。この光硬化性材料は、溶剤と、溶剤に溶解した樹脂とを含有してよい。ここで、この場合の光硬化性材料は、それ自体が感光して重合度を上げる樹脂を含有してもよいし、あるいは、樹脂と、その樹脂の硬化を開始させる光重合開始剤とを含有していてもよい。また、光硬化性材料として、光重合して不溶の絶縁樹脂を生じるモノマーと、そのモノマーの光重合を開始させる光重合開始剤とを含有してもよい。ただしこの場合の光硬化性材料は、モノマー自体が光官能基を有していれば、光重合開始剤を含有しなくてもよい。
なお、チップ部品20、21が埋め込まれる絶縁膜13としては、例えば所定の粒径のシリカを分散させた熱硬化型エポキシ系樹脂からなるモールド体としてもよい。
配線15及びスルーホールH1、H2は、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出することで形成されたものである。本実施形態では、銀微粒子を含む導電性インクを用いている(後述)。
配線層P2は、第1層間絶縁膜60上に配設され外部接続用の端子72を有するICチップ(電子部品)70と、スルーホールH1に接続される配線61と、これらICチップ70及び配線61が覆われる第2層間絶縁膜62と、配線61に接続され絶縁膜62を貫通するスルーホールH3と、同じく絶縁膜62を貫通する上述したスルーホールH2の一部とを有している。
第2層間絶縁膜62は、上述した液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて上記絶縁膜13、60と同一材料で形成されている。
また、配線61及びスルーホールH3は、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて配線15及びスルーホールH1、H2と同一材料で形成されている。
配線層P3は、絶縁膜62上に形成されICチップ70の端子72及びスルーホールH2に接続される配線63Aと、ICチップ70の端子72及びスルーホールH3に接続される配線63Bと、これら配線63A、63Bが覆われる第3層間絶縁膜64と、配線63Aに接続され絶縁膜64を貫通するスルーホールH4と、配線63Bに接続され絶縁膜64を貫通するスルーホールH5と、絶縁膜64上に設けられスルーホールH5と接続されるチップ部品(電子部品)24と、絶縁膜64上に設けられスルーホールH4と接続されるチップ部品(電子部品)25とを有している。
第3層間絶縁膜64は、上述した液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて上記絶縁膜13、60、62と同一材料で形成されている。
また、配線63A、63B、スルーホールH4、H5は、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて配線15、61及びスルーホールH1、H2、H3と同一材料で形成されている。
また、チップ部品24、25としては、ここでは、アンテナ素子及び水晶振動子がそれぞれ実装される。
(多層配線基板の製造方法)
続いて、上記多層配線基板500の製造方法について、図4乃至図6を参照して説明する。本実施形態では、上述した配線層P1〜P3をそれぞれ個別に形成し、形成した各配線層P1〜P3の検査を行った後に、これら配線層P1〜P3を貼り合わせて積層している。以下、詳細に説明する。
図4は、配線層P1形成する手順を示す工程図である。
本実施形態では、配線層P1(及び配線層P2、P3)を形成する際に、アライメントマーク(基準マーク)AMを有するベース基板BPを治具として用いている。
なお、ベース基板BPとしては、ガラス、石英ガラス、金属板など各種のものが挙げられるが、後述するように、配線層P1〜P3を形成した後に剥離させる必要があるため、例えばフッ素樹脂コーティング等を施すことが好ましい。
まず、図4(a)に示すように、アライメントマークAMを計測することにより、チップ部品20、21をベース基板BP上に位置決めして配置した後に、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて前記チップ部品20,21の周囲に、該チップ部品20,21と略同じ高さとなるように、且つ電極部20a、21aが露出するように絶縁性インク(絶縁材料)を塗布し、加熱または紫外光照射により硬化させて、絶縁膜13を形成する。
なお、以降の工程においても、絶縁膜や配線を形成する(絶縁性インクや導電性インクを塗布する)際には、ベース基板BP上のアライメントマークAMを計測が行われ、この計測結果に基づいて、処理が行われるが、その説明を省略する。
続いて、図4(b)に示すように、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出することで、絶縁膜13上に配線15をチップ部品20、21の電極部20a、21aに接続させて形成する。この配線15を形成する際にも、ベース基板BPのアライメントマークAMを計測し、その計測結果に基づいて、導電性インクを吐出する。
本実施形態では、直径10nm程度の銀微粒子が有機溶剤に分散した銀微粒子分散液の分散媒をテトラデカンで置換してこれを希釈し、濃度が60wt%、粘度が8mPa・s、表面張力が0.022N/mとなるように調整したものを導電性インクとして用いた。
具体的には、前記チップ部品20、21の電極部20a、21a上に導電性インクを吐出した後に、焼成することにより、Ag配線(導電配線)15を形成できる。
また、上記分散媒としては、銀微粒子を分散できるもので、凝集を起こさないものであれば特に限定されない。例えば、水の他に、メタノール、エタノール、プロパノール、ブタノールなどのアルコール類、n−ヘプタン、n−オクタン、デカン、ドデカン、テトラデカン、トルエン、キシレン、シメン、デュレン、インデン、ジペンテン、テトラヒドロナフタレン、デカヒドロナフタレン、シクロヘキシルベンゼンなどの炭化水素系化合物、またエチレングリコールジメチルエーテル、エチレングリコールジエチルエーテル、エチレングリコールメチルエチルエーテル、ジエチレングリコールジメチルエーテル、ジエチレングリコールジエチルエーテル、ジエチレングリコールメチルエチルエーテル、1,2−ジメトキシエタン、ビス(2−メトキシエチル)エーテル、p−ジオキサンなどのエーテル系化合物、さらにプロピレンカーボネート、γ−ブチロラクトン、N−メチル−2−ピロリドン、ジメチルホルムアミド、ジメチルスルホキシド、シクロヘキサノンなどの極性化合物を例示できる。これらのうち、微粒子の分散性と分散液の安定性、また液滴吐出法(インクジェット法)への適用の容易さの点で、水、アルコール類、炭化水素系化合物、エーテル系化合物が好ましく、より好ましい分散媒としては、水、炭化水素系化合物を挙げることができる。また、分散液の粘度は、例えば1mPa・s以上50mPa・s以下であることが好ましい。インクジェット法を用いて液体材料を液滴として吐出する際、粘度が1mPa・sより小さい場合にはノズル周囲がインクの流出により汚染されやすく、また粘度が50mPa・sより大きい場合は、ノズル孔での目詰まり頻度が高くなり円滑な液滴の吐出が困難となるからである。
なお、表面張力を調整するため、上記分散液には、基板との接触角を大きく低下させない範囲で、フッ素系、シリコーン系、ノニオン系などの表面張力調節剤を微量添加するとよい。ノニオン系表面張力調節剤は、液体の基板への濡れ性を向上させ、膜のレベリング性を改良し、膜の微細な凹凸の発生などの防止に役立つものである。上記表面張力調節剤は、必要に応じて、アルコール、エーテル、エステル、ケトン等の有機化合物を含んでもよい。
次に、図4(c)に示すように、上記絶縁膜13及び配線15を覆うように、絶縁膜13と同一の絶縁性インクを液滴吐出方式で塗布する。なお、この絶縁性インクの塗布は、スルーホールH1、H2を囲むように形成し、スルーホールH1、H2に対応する孔部を形成する。そして、紫外光照射または加熱することにより、絶縁性インクを硬化させて絶縁膜60を形成する。
この後、絶縁膜60の孔部に液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出し、上記配線15と同様の手順で焼成することで、スルーホールH1、H2を形成する。
なお、このとき、スルーホールH1、H2は先端が絶縁膜60よりも突出するように形成する。
以上の工程により、電子部品20、21が絶縁膜13に埋設され、またスルーホールH1、H2が絶縁膜60から露出する配線層P1がベース基板BP上に形成される。
次に、例えば、図示しない検査装置の接触子をコンタクトホールH1、H2に接触させて、チップ部品20、21の検査を行う。
この検査で不良が検出された場合には、この配線層P1は使用せずに、新たに配線層P1を形成し、チップ部品20、21の検査を行う。
検査の結果、チップ部品20、21が良品であると検出されると、続いて、図4(d)に示すように、絶縁膜60上に接着材として機能させるために、絶縁膜60と同一材料の絶縁性インクをスルーホールH1、H2の上面と略面一となる厚さで塗布する。この絶縁性インクに対しては、紫外域の波長を有する光を所定時間照射して所定エネルギ量を付与するか、または所定温度で所定時間加熱して熱エネルギを付与することにより、塗布した絶縁性インクを半硬化状態にして絶縁膜60aを形成する。このとき、絶縁性インクに対して付与するエネルギ量は、絶縁性インクが硬化するエネルギ量よりも小さい値に設定される。
ここで、絶縁性インクの半硬化とは、絶縁性インクに含まれる光硬化性材料の状態が、吐出時の状態と、完全な硬化状態との間の状態になることを意味する。本実施形態では、このような中間の状態が上述の半硬化状態である。なお、吐出時の状態とは、光硬化性材料がノズル118から吐出されうる粘性を有している状態である。
以上の工程により、動作に問題がなく、多層配線基板500として組み込むことが可能な配線層P1が形成される。
図5は、配線層P2形成する手順を示す工程図である。
まず、図5(a)に示すように、ベース基板BP上にICチップ70を位置決めして載置する。次に、図5(b)に示すように、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出し、上記配線15と同様の手順で焼成することで、配線61を形成する。
続いて、前記ICチップ70の周囲に配線61を覆って、該ICチップ70と略同じ高さとなるように、且つ端子72が露出するように絶縁性インク(絶縁材料)を塗布し、加熱または紫外光照射により硬化させて、絶縁膜62を形成する。また、この絶縁性インクの塗布は、スルーホールH2、H3を囲むように形成し、スルーホールH2、H3に対応する孔部を形成する。
この後、絶縁膜62の孔部に液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出し、上記配線15と同様の手順で焼成することで、スルーホールH2、H3を形成する。
なお、このときも、スルーホールH2、H3は先端が絶縁膜62よりも突出してICチップ70の端子72と略面一となるように形成する。
以上の工程により、ICチップ70が絶縁膜62に囲まれ、またスルーホールH2、H3が絶縁膜62から露出する配線層P2がベース基板BP上に形成される。
次に、配線層P1の場合と同様に、検査装置の接触子を、例えばICチップの端子72に接触させて、ICチップ72の検査を行う。
この検査で不良が検出された場合には、この配線層P2は使用せずに、新たに配線層P2を形成し、ICチップ72の検査を行う。
検査の結果、ICチップ72が良品であると検出されると、続いて、図5(c)に示すように、絶縁膜62上に接着材として機能させるために、絶縁膜62と同一材料の絶縁性インクを端子72及びスルーホールH2、H3の上面と略面一となる厚さで塗布する。この絶縁性インクに対しては、紫外域の波長を有する光を所定時間照射して所定エネルギ量を付与するか、または所定温度で所定時間加熱して熱エネルギを付与することにより、塗布した絶縁性インクを半硬化状態にして絶縁膜62aを形成する。このとき、絶縁性インクに対して付与するエネルギ量は、絶縁性インクが硬化するエネルギ量よりも小さい値に設定される。
以上の工程により、動作に問題がなく、多層配線基板500として組み込むことが可能な配線層P2が形成される。
図6は、配線層P3形成する手順を示す工程図である。
まず、、図6(a)に示すように、液滴吐出装置1による液滴吐出方式を用いてベース基板BP上に導電性インクを吐出し、上記配線15、61と同様の手順で焼成することで、配線63A、63Bを形成する。
続いて、図6(b)に示すように、前記配線63A、63Bを覆う厚さで絶縁性インク(絶縁材料)を塗布し、加熱または紫外光照射により硬化させて、絶縁膜64を形成する。また、この絶縁性インクの塗布は、スルーホールH4、H5を囲むように形成し、スルーホールH4、H5に対応する孔部を形成する。
この後、絶縁膜64の孔部に液滴吐出方式を用いて導電性インクを吐出し、上記配線63A、63Bと同様の手順で焼成することで、スルーホールH4、H5を形成する。
なお、このときは、スルーホールH4、H5は先端が絶縁膜64と略面一となるように形成する。
次に、図6(c)に示すように、スルーホールH5、H4にそれぞれ接続させてチップ部品24、25を実装する。
以上の工程により、チップ部品24、25が実装された配線層P3がベース基板BP上に形成される。
次に、配線層P1、P2の場合と同様に、検査装置の接触子を、例えばチップ部品24、25に接触させて、チップ部品24、25の検査を行う。
この検査で不良が検出された場合には、この配線層P3は使用せずに、新たに配線層P3を形成し、チップ部品24、25の検査を行う。
以上の工程により、動作に問題がなく、多層配線基板500として組み込むことが可能な配線層P3が形成される。
このようにして、動作に問題のない良品の配線層P1〜P3がそれぞれ個別に形成されると、各配線層P1〜P3をそれぞれベース基板BPから剥離させるとともに、図示しないベース基板に設けられた、図1に示した基材10上に順次載置して、絶縁膜60a、62a(図1では、便宜上、絶縁膜60a、62aは図示せず)を接着材として、プレスにより貼り合わせる。この貼り合わせについても、基材10が設けられたベース基板のアライメントマークを計測して、その計測結果に基づいて位置合わせしながら各配線層P1〜P3を貼り合わせる。
このとき、これら配線層P1〜P3は、プレス時の熱、及びその後のキュアにより絶縁膜60a、62aが一括的に硬化することにより、接着されて多層配線基板500が製造される。
なお、配線層P1と基材10との接合については、予め基材10上に、絶縁性インクを塗布し半硬化状態としてもよいし、前記チップ部品20、21の裏面に、例えば接着テープ等を設ける構成としてもよい。
以上、説明したように、本実施形態では、配線層P1〜P3をそれぞれ個別に形成し、検査した後に、動作に問題がなく所望の特性を発現する配線層を選択して貼り合わせるため、不良品のチップ部品が混在した場合のように良品のチップ部品を無駄にすることを抑制でき、コスト増加を抑えることが可能になる。
また、本実施形態では、元々多層配線基板500に設けられる配線を用いてチップ部品の検査を行っているため、別途検査用の配線等を設ける必要がなくなり、生産性の向上に寄与できる。
さらに、本実施形態では、接着材としての絶縁膜60a、62aを半硬化状態としているため、配線層P1〜P3の接着面の平坦度が低い場合であっても、絶縁膜60a、62aが接着面に倣って変形するため、より密着性が高まり、安定した接着強度を得ることが可能になる。
しかも、本実施形態では、この接着材が絶縁膜と同一の材料を用いているため、別途接着材用の材料を用意する必要がなくなり、より生産性の向上に寄与できる。
加えて、本実施の形態では、また、本実施形態では、多層配線基板500の製造工程を全て液滴吐出方式で行うことが可能であり、生産性の大幅な向上を図ることができる。
また、本実施形態では、液滴吐出方式で前記接着材を含む液滴を塗布するため、印刷法やフォトリソ法等のように、マスクやレジスト等を用いることなく、容易に接着材をパターニングすることができ、また消費する接着材に無駄が生じないため、コスト低減にも寄与できる。
以上、添付図面を参照しながら本発明に係る好適な実施形態について説明したが、本発明は係る例に限定されないことは言うまでもない。上述した例において示した各構成部材の諸形状や組み合わせ等は一例であって、本発明の主旨から逸脱しない範囲において設計要求等に基づき種々変更可能である。
例えば、上記実施形態では、元々多層配線基板500に設けられる配線を用いてチップ部品の検査を行う手順としたが、これに限定されるものではなく、例えば上記の電子部品に接続される検査用導電配線を設け、この検査用導電配線を介して電子部品の検査を行う手順としてもよい。
この場合、任意の位置に検査用導電配線を形成することが可能になるため、例えば電子部品の端子に接触して検査することが困難な場合に、検査用導電配線に接触することで容易に配線層における電子部品を検査することが可能になる。この場合、多層配線基板の特性を発現する際に必要な導電配線に接触しなくても検査できるため、検査時に断線が生じる等の不具合を回避して、高品質の多層配線基板を得ることが可能になる。
電子基板の製造に用いる液滴吐出装置の模式図である。 (a)および(b)は液滴吐出装置におけるヘッドの模式図である。 多層配線基板の概略構成を示す断面図である。 配線層を形成する手順を示す工程図である。 配線層を形成する手順を示す工程図である。 配線層を形成する手順を示す工程図である。
符号の説明
AM…アライメントマーク(基準マーク)、 BP…ベース基板、 P1〜P3…配線層、 1…液滴吐出装置、 20、21、24、25…チップ部品(電子部品)、 70…ICチップ(チップ部品)、 500…多層配線基板

Claims (7)

  1. 複数の配線層をそれぞれ個別に形成する工程と、
    形成した各配線層をそれぞれ検査する工程と、
    前記各配線層の検査結果に応じて、各配線層を選択して貼り合わせる工程とを有し、
    接着材を含む液滴を前記配線層上に塗布する工程と、
    塗布した前記接着材を含む液滴を半硬化状態にする工程と、
    前記半硬化状態の前記接着材を介して前記複数の配線層を貼り合わせる工程とを有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  2. 請求項1記載の多層配線基板の製造方法において、
    前記複数の配線層を貼り合わせた後に、前記接着材を一括的に硬化させる工程を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  3. 請求項1または2記載の多層配線基板の製造方法において、
    前記配線層には、電子部品と、該電子部品に接続される導電配線とが設けられ、
    前記導電配線を介して前記電子部品を検査することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  4. 請求項1または2記載の多層配線基板の製造方法において、
    前記配線層には、電子部品と、該電子部品に接続される導電配線及び該導電配線とは異なる検査用導電配線とが設けられ、
    前記検査用導電配線を介して前記電子部品を検査することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  5. 請求項1から4のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法において、
    前記配線層は絶縁膜を有し、
    前記接着材は、前記絶縁膜形成材料を含むことを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  6. 請求項1から5のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法において、
    前記各配線層は、絶縁膜形成材料を含む液滴及び導電配線形成材料を含む液滴を塗布して形成されることを特徴とする多層配線基板の製造方法。
  7. 請求項1から7のいずれかに記載の多層配線基板の製造方法において、
    基準マークを有するベース基板を用い、
    前記基準マークを計測して、前記複数の配線層をそれぞれ前記ベース基板上に積層する工程を有することを特徴とする多層配線基板の製造方法。
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