JP2008117655A - 非水電解質二次電池用負極集電体及び非水電解質二次電池 - Google Patents
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Abstract
【課題】電池充放電に対し安定で良好な非水電解質二次電池用負極集電体、及びこれを用いた非水電解質二次電池を提供する。
【解決手段】非水電解質二次電池の負極に用いられる負極集電体である。銅箔と、銅箔表面に形成された防錆層を備える。防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウム等の金属元素を含有する。金属元素が水酸化物として防錆層に含まれる。不活性ガス中で熱処理を施されて成る。非水電解質二次電池1は、正極活物質と正極集電体11を有する正極9と、負極活物質と負極集電体14を有する負極10と、セパレータ7,8と、非水電解液と、電池缶2とを備える。負極集電体14が銅箔と、銅箔表面に形成された防錆層とを備える。防錆層がニッケル、クロム、亜鉛及びインジウム等の金属元素を含有する。
【選択図】図1
【解決手段】非水電解質二次電池の負極に用いられる負極集電体である。銅箔と、銅箔表面に形成された防錆層を備える。防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウム等の金属元素を含有する。金属元素が水酸化物として防錆層に含まれる。不活性ガス中で熱処理を施されて成る。非水電解質二次電池1は、正極活物質と正極集電体11を有する正極9と、負極活物質と負極集電体14を有する負極10と、セパレータ7,8と、非水電解液と、電池缶2とを備える。負極集電体14が銅箔と、銅箔表面に形成された防錆層とを備える。防錆層がニッケル、クロム、亜鉛及びインジウム等の金属元素を含有する。
【選択図】図1
Description
本発明は、非水電解質二次電池に用いられる負極集電体に係り、更に詳細には、充放電に対する安定性に優れる負極集電体、及びこれを用いた非水電解質二次電池に関する。
従来、亜鉛を含む銅合金の箔の表面に亜鉛酸化物を含む銅酸化物から成る不動態被膜を形成した負極集電体であって、非水電解液二次電池の過放電特性を向上させ得る二次電池用負極集電体が提案されている(例えば、特許文献1参照)。
特開2003−249226号公報
しかしながら、このような従来技術おいては、防錆不動態膜の形態についての記載や、クロメート他のメタル種を含有する防錆層や熱処理について、電池反応への影響を詳細検討したものは見当たらない。
本発明は、このような従来技術の有する課題に鑑みてなされたものであり、その目的とするところは、電池充放電に対し安定で良好な非水電解質二次電池用負極集電体、及びこれを用いた非水電解質二次電池を提供することにある。
本発明者らは、上記目的を達成すべく、電池初回充電後の負極集電体表面の変化とその他の負極電池部材への影響について鋭意検討を重ねた結果、所定の金属元素を含有する防錆層を銅箔表面に形成することにより、上記目的が達成できることを見出し、本発明を完成するに至った。
即ち、本発明の非水電解質二次電池用負極集電体は、非水電解質二次電池の負極に用いられる負極集電体において、
銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする。
銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする。
一方、本発明の非水電解質二次電池は、リチウムを吸蔵・放出可能な正極活物質と正極集電体を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極活物質と負極集電体を有する負極と、この正極と負極との間に配置されたセパレータと、非水電解質組成物と、これらを収容する外装部材と、を備える非水電解質二次電池において、
上記負極集電体が、銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする。
上記負極集電体が、銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする。
また、本発明の非水電解質二次電池の好適形態は、上記負極が、不活性ガス中で熱処理を施されて成ることを特徴とする。
本発明によれば、所定の金属元素を含有する防錆層を銅箔表面に形成することにしたため、電池充放電に対し安定で良好な非水電解質二次電池用負極集電体、及びこれを用いた非水電解質二次電池を提供することができる。
以下、本発明の非水電解質二次電池用負極集電体につき詳細に説明する。なお、本明細書において、濃度、含有量及び配合量などのついての「%」は、特記しない限り質量百分率を表すものとする。
上述の如く、本発明の非水電解質二次電池用負極集電体は、銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層とを有する。そして、この防錆層が、ニッケル(Ni)、クロム(Cr)、亜鉛(Zn)、インジウム(In)又はこれらの任意の組み合わせに係る金属元素を含有するものである。
なお、銅箔としては、通常、幅600mm×厚み10μm程度のものが使用される。
なお、銅箔としては、通常、幅600mm×厚み10μm程度のものが使用される。
本発明においては、上記少なくとも1種の金属元素が、少なくとも水酸化物として上記防錆層に含有されていることが好ましい。
このことは、本発明者らが、銅箔の防錆処理又はその後の空気中熱処理によって生じる酸化物被膜は、電池の初回充電に対して基本的に悪影響を持ち、特に酸性度の高い電解液中では、より顕著な影響として現れることと、この一方、水酸化物被膜の方は還元側において安定であることを見出したことに基づく。
このことは、本発明者らが、銅箔の防錆処理又はその後の空気中熱処理によって生じる酸化物被膜は、電池の初回充電に対して基本的に悪影響を持ち、特に酸性度の高い電解液中では、より顕著な影響として現れることと、この一方、水酸化物被膜の方は還元側において安定であることを見出したことに基づく。
このように、水酸化物を含有させることにより、酸化物主体の防錆膜に比べて広範なpH領域で安定なパッシベーションとしの機能が向上する。つまり、防錆効果もあり且つ耐還元性も高い、即ち電気化学的に安定な集電体(銅箔)を提供することが可能となり、充放電に伴う電池品質への影響をなくすことができる。
防錆層中の上記金属水酸化物の含有割合は、特に限定されるものではないが、上述の理由から大きい方が好ましく、代表的には、防錆層の質量に対して20%以上とすることが望ましい。
20%未満では、電気化学的な作用の耐久試験となる繰り返し充放電、即ちサイクル特性などにおいて特性劣化することがある。
20%未満では、電気化学的な作用の耐久試験となる繰り返し充放電、即ちサイクル特性などにおいて特性劣化することがある。
なお、防錆層が、上述の金属元素のうちでもZnとInの双方を含有する場合には、これらが水酸化物として含有されず、酸化物として含有されていても、電気化学的に安定な集電体を得ることができる。
また、本発明の負極集電体としては、不活性ガス中で熱処理を施されたものであることが好ましい。この熱処理は100〜350℃で行うことが好ましく、使用する不活性ガスとしては、特に限定されるものではないが、窒素ガス、ヘリウムガス、アルゴンガスなどの非酸化性ガスを挙げることができる。
熱処理温度が100℃未満では、熱処理によるアニール、即ち焼鈍し効果が得られないことがあり、350℃を超えると、過剰焼鈍で強度低下することがある。
熱処理温度が100℃未満では、熱処理によるアニール、即ち焼鈍し効果が得られないことがあり、350℃を超えると、過剰焼鈍で強度低下することがある。
このような熱処理を施す理由は、本発明者らの下記知見に基づくものである。
即ち、特開2004−79523号公報などに記載の技術では、空気中熱処理を主に銅箔材の銅の結晶化を促進させ機械的な引っ張り強度(伸び率)を上げる目的から行うが、空気酸化が進むため、酸化物が増えた防錆膜では還元時の安定性が悪くなる。
そして、初回の充電で酸化膜が剥がれるのに伴い、接続してある電池缶から電子引き抜きが行われるため鉄イオンなどの缶材溶出につながる。とくに酸性度が上がりやすい電解液下であれば、より酸化膜遊離しやすいため缶材溶出性も高まる。
即ち、特開2004−79523号公報などに記載の技術では、空気中熱処理を主に銅箔材の銅の結晶化を促進させ機械的な引っ張り強度(伸び率)を上げる目的から行うが、空気酸化が進むため、酸化物が増えた防錆膜では還元時の安定性が悪くなる。
そして、初回の充電で酸化膜が剥がれるのに伴い、接続してある電池缶から電子引き抜きが行われるため鉄イオンなどの缶材溶出につながる。とくに酸性度が上がりやすい電解液下であれば、より酸化膜遊離しやすいため缶材溶出性も高まる。
よって、本発明においては、好ましくは水酸化物を含む防錆層を形成するとともに、熱処理によって銅の結晶化による集電体(箔)の機械特性向上を両立させるべく、不活性ガス中での熱処理を施すことが望ましい。
これにより、銅の結晶化による機械的特性の向上を図り、且つ防錆層の酸化物化を阻止することが両立できるため、充放電に伴う電池品質への影響もなくサイクル特性を向上させることが可能となる。
これにより、銅の結晶化による機械的特性の向上を図り、且つ防錆層の酸化物化を阻止することが両立できるため、充放電に伴う電池品質への影響もなくサイクル特性を向上させることが可能となる。
なお、かかる熱処理は、防錆層を形成した集電体(銅箔)に施してもよいが、電極状態、即ち負極集電体に負極活物質を含む層を形成した後に施してもよい。
また、かかる熱処理は、防錆層がZnとInの双方を含有する場合にも、銅の機械的特性の改善やパッシベーションとしての電気化学的安定性を確保できるので有効である。
また、かかる熱処理は、防錆層がZnとInの双方を含有する場合にも、銅の機械的特性の改善やパッシベーションとしての電気化学的安定性を確保できるので有効である。
次に、本発明の非水電解質二次電池について図面を参照して説明する。
上述の如く、本発明の非水電解質二次電池は、以上に説明した本発明の負極集電体を用いた負極を備えるものである。
上述の如く、本発明の非水電解質二次電池は、以上に説明した本発明の負極集電体を用いた負極を備えるものである。
図1は、本発明の非水電解質二次電池の一実施形態を示す部分切欠斜視図であり、いわゆる巻回式の円筒型電池を示している。
図1においては、電池1は、外装部材の一例である上面が開放された円柱状の電池缶2の内部に、巻回体3がセンターピン4(図示せず)を中心として配置され、電池蓋5によって封止された構成を有する。
ここで、電池缶2は、例えばニッケルめっきされた鉄缶により構成されており、巻回体3は、電解質を含む巻回されたセパレータ7及び8を介して、同様に巻回された正極9及び負極10が対向配置された構成を有する。
図1においては、電池1は、外装部材の一例である上面が開放された円柱状の電池缶2の内部に、巻回体3がセンターピン4(図示せず)を中心として配置され、電池蓋5によって封止された構成を有する。
ここで、電池缶2は、例えばニッケルめっきされた鉄缶により構成されており、巻回体3は、電解質を含む巻回されたセパレータ7及び8を介して、同様に巻回された正極9及び負極10が対向配置された構成を有する。
電池蓋5には、内側に熱感抵抗素子(Positive Temperature Coefficient;PTC素子)とともに安全弁機構18が設けられており、電池蓋5は、電池缶2に対してガスケット6を介してかしめられることにより取り付けられている。即ち、電池缶2及び電池蓋5によって、電池缶1の内部は密閉された構成とされる。
安全弁機構18は、熱感抵抗素子19を介して電池蓋5と電気的に接続されており、内部短絡又は外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合には、例えば内蔵するディスク板が反転して電池蓋5と巻回体3との電気的接続が切断される。ここで、熱感抵抗素子19は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限して大電流による異常な発熱を防止するものである。
安全弁機構18は、熱感抵抗素子19を介して電池蓋5と電気的に接続されており、内部短絡又は外部からの加熱などにより電池の内圧が一定以上となった場合には、例えば内蔵するディスク板が反転して電池蓋5と巻回体3との電気的接続が切断される。ここで、熱感抵抗素子19は、温度が上昇すると抵抗値の増大により電流を制限して大電流による異常な発熱を防止するものである。
図2は、図1に示す巻回体3の断面構造を模式的に示す断面図である。
本実施形態において、巻回体3は、帯状(薄板状)の正極9及び負極10が、電解質を含むセパレータ7及び8を介して対向配置され、これらが巻回された構成を有する。
巻回体3の正極9及び負極10には、例えばアルミニウムによる正極リード及び例えばニッケルなどによる負極リード(図示せず)がそれぞれ接続されており、正極リードは安全弁機構18に溶接されて電池蓋5と電気的に接続され、負極リードは電池缶2に直接溶接されて電気的に接続されている。
本実施形態において、巻回体3は、帯状(薄板状)の正極9及び負極10が、電解質を含むセパレータ7及び8を介して対向配置され、これらが巻回された構成を有する。
巻回体3の正極9及び負極10には、例えばアルミニウムによる正極リード及び例えばニッケルなどによる負極リード(図示せず)がそれぞれ接続されており、正極リードは安全弁機構18に溶接されて電池蓋5と電気的に接続され、負極リードは電池缶2に直接溶接されて電気的に接続されている。
ここで、正極9は、例えば、巻回構造における内面となる第1主面11aと外面となる第2主面11bとを有する正極集電体11において、第1主面11a側に内面正極活物質層12が、第2主面11b側に外面正極活物質層13が、それぞれ形成されている。
内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13は、後述するようなリチウムのドープ/脱ドープが可能とされた材料によって、目的とする電池構成や特性に応じて選定して構成されることが好ましい。また、必ずしも内面及び外面に両方設けられなくともよい。正極集電体11は、例えば、アルミニウム,ニッケル又はステンレスなどによることができる。
内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13は、後述するようなリチウムのドープ/脱ドープが可能とされた材料によって、目的とする電池構成や特性に応じて選定して構成されることが好ましい。また、必ずしも内面及び外面に両方設けられなくともよい。正極集電体11は、例えば、アルミニウム,ニッケル又はステンレスなどによることができる。
また、内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13は、正極活物質を含み、必要に応じて炭素質材料などの導電助剤及びポリフッ化ビニリデンなどの結着剤を含んでいてもよい。
正極活物質としては、例えば、十分な量のリチウム(Li)を含んだ例えば一般式LixMO2で表されるリチウムと遷移金属から成るリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であるとともに、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることが可能だからである。なお、Mは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト,ニッケル及びマンガンから成る群のうちの少なくとも1種が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。
このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2又はLiNiO2などが挙げられる。なお、正極活物質には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
正極活物質としては、例えば、十分な量のリチウム(Li)を含んだ例えば一般式LixMO2で表されるリチウムと遷移金属から成るリチウム含有金属複合酸化物が好ましい。リチウム含有金属複合酸化物は、高電圧を発生可能であるとともに、高密度であるため、二次電池の更なる高容量化を図ることが可能だからである。なお、Mは1種類以上の遷移金属であり、例えばコバルト,ニッケル及びマンガンから成る群のうちの少なくとも1種が好ましい。xは電池の充放電状態によって異なり、通常0.05≦x≦1.10の範囲内の値である。
このようなリチウム含有金属複合酸化物の具体例としては、LiCoO2又はLiNiO2などが挙げられる。なお、正極活物質には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
また、正極9の内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13は、定常状態(例えば5回程度充放電を繰り返した後)で負極炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容量相当分のLiを含むことが必要で、300mAh以上の充放電容量相当分のLiを含むことが望ましく、330mAh以上の充放電容量相当分のLiを含むことがより好ましい。
なお、Liは必ずしも内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13から全て供給される必要はなく、例えば後述する溶媒中において、電池系内に炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容量相当分のLiが存在すればよい。このLiの量は、電池の放電容量を測定に応じて適宜選定されるものである。
なお、Liは必ずしも内面正極活物質層12及び外面正極活物質層13から全て供給される必要はなく、例えば後述する溶媒中において、電池系内に炭素質材料1g当たり250mAh以上の充放電容量相当分のLiが存在すればよい。このLiの量は、電池の放電容量を測定に応じて適宜選定されるものである。
一方、負極10を構成する内面負極活物質層15及び外面負極活物質層16を構成する材料としては、リチウムをドープ/脱ドープ(吸脱蔵)可能な炭素質材料、又はリチウムと合金を形成可能な金属又はその金属を含む合金化合物が挙げられる。
炭素質材料としては、例えば、難黒鉛化性炭素、人造黒鉛や天然黒鉛等のグラファイト類、熱分解炭素類、コークス類(ピッチコークス、ニードルコークス、石油コークス等)、ガラス状炭素類、有機高分子化合物焼成体(フェノール樹脂、フラン樹脂等を適当な温度で焼成し炭素化したもの)、活性炭、繊維状炭素等の炭素質材料を、少なくとも1種類以上使用することができる。また、充放電に寄与しない材料を含んでいても構わない。
合金化合物としては、リチウムと合金可能な金属を少なくとも1種類含むものが挙げられる。具体的には、リチウムと合金形成可能な金属元素をMとしたとき、化学式MxM’yLiz(M’はLi元素及びM元素以外の1つ以上の金属元素、x>0,y≧0,z≧0)の組成を有する化合物として挙げることができる。なお、本明細書中では、半導体元素であるB,Si,As等の元素も金属元素に含めることとする。
このような金属及び金属化合物としては、例えば、Mg,B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Cd,Ag,Zn,Hf,Zr,Yの各金属とそれらの合金化合物、Li−Al,Li−Al−M(M:2A,3B,4B,遷移金属元素のうち1つ以上から成る)、AlSb,CuMgSb等が挙げられる。
このような金属及び金属化合物としては、例えば、Mg,B,Al,Ga,In,Si,Ge,Sn,Pb,Sb,Bi,Cd,Ag,Zn,Hf,Zr,Yの各金属とそれらの合金化合物、Li−Al,Li−Al−M(M:2A,3B,4B,遷移金属元素のうち1つ以上から成る)、AlSb,CuMgSb等が挙げられる。
特に、リチウムと合金形成可能な元素としては4B族典型元素を用いるのが好ましく、更にSi又はSnがより好ましく、例えばMxSi,MxSn(Mは各々、Si又はSnを除く1つ以上の金属元素)で表される化合物を挙げることができる。具体的には、SiB4,SiB6,Mg2Si,Mg2Sn,Ni2Si,TiSi2,MoSi2,CoSi2,NiSi2,CaSi2,CrSi2,Cu5Si,FeSi2,MnSi2,NbSi2,TaSi2,VSi2,WSi2,ZnSi2等がこれに当たる。
また、本実施形態の電池においては、1つ以上の非金属元素を含む、炭素以外の4B族化合物によって、内面負極活物質層15及び外面負極活物質層16を構成することもできる。具体的には、例えば、SiC,Si3N4,Si2N2O,Ge2N2O,SiOx(0<x≦2),SnOx(0<x≦2),LiSiO,LiSnO等によることができる。
また、本実施形態の電池においては、1つ以上の非金属元素を含む、炭素以外の4B族化合物によって、内面負極活物質層15及び外面負極活物質層16を構成することもできる。具体的には、例えば、SiC,Si3N4,Si2N2O,Ge2N2O,SiOx(0<x≦2),SnOx(0<x≦2),LiSiO,LiSnO等によることができる。
なお、これらの材料による負極活物質層の作製方法としては、例えば、メカニカルアロイニング法、原料化合物を混合して不活性雰囲気下加熱処理する方法、メルトスピニング法、ガスアトマイズ法、水アトマイズ法などが挙げられるが、これに限定されるものではない。また、各材料は粉砕されていても、されていなくても良いし、2種以上の材料を混合しても構わない。
また、負極活物質層上記材料へのリチウムのドープは、電池作製後に電池内で電気化学的に行われてもよいし、電池作製後又は電池作製前に、正極又は正極以外のリチウム源から供給され電気化学的にドープされてもよく、材料合成の際にリチウム含有材料として合成され、電池作製時に負極に含有されてもよい。
また、負極活物質層上記材料へのリチウムのドープは、電池作製後に電池内で電気化学的に行われてもよいし、電池作製後又は電池作製前に、正極又は正極以外のリチウム源から供給され電気化学的にドープされてもよく、材料合成の際にリチウム含有材料として合成され、電池作製時に負極に含有されてもよい。
なお、負極集電体14としては、上述した本発明の負極集電体が用いられており、第1主面14aと第2主面14bに、図示しない上記所定の防錆層を有している。
セパレータ7及び8は、リチウムイオンを通過させつつ、正極9と負極10との物理的接触による短絡を防止すためのものであり、例えば、ポリエチレンフィルム又はポリプロピレンフィルムなどの微孔性ポリオレフィンフィルムなどにより構成されている。
このセパレータ7及び8は、安全性確保のために所定の温度(例えば120℃)以上で熱溶融により孔を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を有することが好ましい。
このセパレータ7及び8は、安全性確保のために所定の温度(例えば120℃)以上で熱溶融により孔を閉塞して抵抗を上げ、電流を遮断する機能を有することが好ましい。
また、セパレータ7及び8には、非水電解質組成物の一例である電解液(図示せず)が含浸されている。本実施形態における電解液は、例えば、非水溶媒と、この溶媒に溶解された電解質塩であるリチウム塩とを含んでおり、必要に応じて各種添加剤を含んでいてもよい。
非水溶媒としては、例えば、プロピレンカーボネート、エチレンカーボネート、ジエチルカーボネート、メチルエチルカーボネート、1,2−ジメトキシエタン、1,2−ジエトキシエタン、γ−ブチロラクトン、テトラヒドロフラン、2−メチルテトラヒドロフラン、1,3−ジオキソラン、4−メチル−1,3−ジオキソラン、ジエチルエーテル、スルホラン、メチルスルホラン、アセトニトリル、プロピルニトリル、アニソール、酢酸エステル又はプロピオン酸エステルが挙げられる。
なお、溶媒としては、これらのいずれか1種を用いてもよいが、2種類以上を混合して用いてもよい。
混合して用いる場合は特に、エチレンカーボネートを主溶媒として、メチルエチルカーボネートやメチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状炭酸エステルを第2成分として添加した構成が好適である。更に、メチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒とすることもできる。この場合、混合する体積比率は、エチレンカーボネート:第2成分溶媒=7:3〜3:7の範囲とすることが好ましい。また、第2成分溶媒として前述の混合溶媒を用いる場合、体積比率はメチルエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=2:8〜9:1の範囲とすることが好ましい。
第2成分の添加により、主溶媒の分解が抑制されるとともに、導電率が向上して電流特性が改良される、電解液の凝固点が低下して低温特性が改善される、リチウム金属との反応性が低下して安全性が改善されるなどの効果が得られる。
混合して用いる場合は特に、エチレンカーボネートを主溶媒として、メチルエチルカーボネートやメチルプロピルカーボネート等の非対称鎖状炭酸エステルを第2成分として添加した構成が好適である。更に、メチルエチルカーボネートとジメチルカーボネートとの混合溶媒とすることもできる。この場合、混合する体積比率は、エチレンカーボネート:第2成分溶媒=7:3〜3:7の範囲とすることが好ましい。また、第2成分溶媒として前述の混合溶媒を用いる場合、体積比率はメチルエチルカーボネート:ジメチルカーボネート=2:8〜9:1の範囲とすることが好ましい。
第2成分の添加により、主溶媒の分解が抑制されるとともに、導電率が向上して電流特性が改良される、電解液の凝固点が低下して低温特性が改善される、リチウム金属との反応性が低下して安全性が改善されるなどの効果が得られる。
電解質としてはLiPF6が好適であるが、この種の電池に用いられるものであればいずれも使用可能であり、例えば、リチウム塩として、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2、LiN(C4F9SO2)(CF3SO2)、LiCl又はLiBrが挙げられる。このうち、LiClO4、LiAsF6、LiPF6、LiBF4、LiCH3SO3、LiCF3SO3、LiN(CF3SO2)2、LiN(C2F5SO2)2又はLiN(C4F9SO2)(CF3SO2)が好ましく、中でも、LiPF6又はLiBF4は特に好ましい。リチウム塩には、いずれか1種を用いてもよいが、2種以上を混合して用いてもよい。
次に、このような電池の製造方法について説明する。
本実施形態では、活物質層の主成分を黒鉛として負極を製造する。
まず、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を使用して天然黒鉛の粉砕加工を行って、最終的に電池の活物質層の主成分となる黒鉛粒子を得る。具体的には、例えばハンマーミルを用いる場合、回転速度は4000〜5000min−1で20分以上粉砕加工を行うことが好ましい。なお、天然黒鉛の供給及び黒鉛粒子の排出は、黒鉛粒子を気流に巻き込む手法によって行うことが望ましい。
本実施形態では、活物質層の主成分を黒鉛として負極を製造する。
まず、ハンマーミル、ピンミル、ボールミル、ジェットミル等の粉砕機を使用して天然黒鉛の粉砕加工を行って、最終的に電池の活物質層の主成分となる黒鉛粒子を得る。具体的には、例えばハンマーミルを用いる場合、回転速度は4000〜5000min−1で20分以上粉砕加工を行うことが好ましい。なお、天然黒鉛の供給及び黒鉛粒子の排出は、黒鉛粒子を気流に巻き込む手法によって行うことが望ましい。
得られた黒鉛粒子に結着材としてスチレンブタジエンゴム(SBR)を加え、増粘材としてカルボキシルメチルセルロース(CMC)を混合して負極合剤を調製し、溶剤となるN−メチル−2−ピロリドン(NMP)に分散させてペースト状の混練体(スラリー)を得る。このようにして、混練体調製工程を行う。
その後、得られた混練体を、薄板状(帯状)で上記所定の防錆層を有する銅箔集電体、即ち防錆層にNi、Cr、Zn及びInの少なくとも1種を含有し、防錆層の主形態が水酸化物又は酸化物になるよう電析調整又は酸化処理した銅箔集電体上に塗布し、その後、スプレードライヤーにより、例えば温度80℃〜110℃で、窒素又は不活性ガス下で乾燥する焼成処理を行い、混練体を乾燥して結着材を焼き飛ばして集電体上に活物質層が形成された負極を得る。必要に応じて、目的とする体積密度に応じてプレス成型しても良い。
このようにして、塗布乾燥工程を行う。
このようにして、塗布乾燥工程を行う。
本実施形態では、以上の手順により、負極の製造を行う。
続いて、炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルを混合し、900℃の空気中で5時間焼成してLiCoO2を得た後、このLiCoO2を粉砕し、レーザ回折法によって得られる50%累積粒径が15μmのLiCoO2粉末を作製した。その後、LiCoO2粉末95重量部と炭酸リチウム粉末5重量部からなる混合物を91重量部、導電剤としてグラファイト6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量部を混合して正極合剤を調製し、溶剤(N−メチルピロリドン)に分散させてスラリー(ペースト状)にした。この正極合剤スラリーを、最終的に正極集電体となる厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥及び圧縮成型して薄板状の正極を作製した。
なお、必要に応じて、負極と同様に、溶剤に対してアルカリ金属による処理を行う。
続いて、炭酸リチウム0.5モルと炭酸コバルト1モルを混合し、900℃の空気中で5時間焼成してLiCoO2を得た後、このLiCoO2を粉砕し、レーザ回折法によって得られる50%累積粒径が15μmのLiCoO2粉末を作製した。その後、LiCoO2粉末95重量部と炭酸リチウム粉末5重量部からなる混合物を91重量部、導電剤としてグラファイト6重量部、結着剤としてポリフッ化ビニリデン3重量部を混合して正極合剤を調製し、溶剤(N−メチルピロリドン)に分散させてスラリー(ペースト状)にした。この正極合剤スラリーを、最終的に正極集電体となる厚さ20μmの帯状のアルミニウム箔の両面に均一に塗布し、乾燥及び圧縮成型して薄板状の正極を作製した。
なお、必要に応じて、負極と同様に、溶剤に対してアルカリ金属による処理を行う。
その後、作製した負極及び正極と、厚さ25μmの微多孔性ポリプロピレンフィルムより成るセパレータとを、負極、セパレータ、正極、セパレータの順に積層してから多数回巻回し、外径18mmの渦巻型巻回体を作製した。
この渦巻型巻回体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納し、渦巻式電極上下両面には絶縁板を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から導出して電池蓋に、ニッケル製負極リードを負極集電体から導出して電池缶底に、それぞれ溶接した。
この渦巻型巻回体を、ニッケルめっきを施した鉄製電池缶に収納し、渦巻式電極上下両面には絶縁板を配設し、アルミニウム製正極リードを正極集電体から導出して電池蓋に、ニッケル製負極リードを負極集電体から導出して電池缶底に、それぞれ溶接した。
その後、この巻回体が収納された電池缶の中に、非水溶媒(例えばエチレンカーボネートとジエチルカーボネートの等容量混合溶媒)にLiPF6を1mol/dm3の割合で溶解した電解液組成物を注入して、正極及び負極とセパレータとに、電解液組成物を含浸させた。
続いて、アスファルトで表面をコーティングした絶縁封口ガスケットを介して電池蓋をかしめることにより、電流遮断機能を有する安全弁機構、PTC素子、並びに電池蓋を固定し、内部が気密的に封止された電池を得る。
続いて、アスファルトで表面をコーティングした絶縁封口ガスケットを介して電池蓋をかしめることにより、電流遮断機能を有する安全弁機構、PTC素子、並びに電池蓋を固定し、内部が気密的に封止された電池を得る。
以下、本発明を実施例及び比較例により更に詳細に説明するが、本発明はこれら実施例に限定されるものではない。
(実施例1〜20)
上述の電池製造方法に従って、各例の非水電解質二次電池を得た。電池サイズはJIS C8711に記載されているICR18650で、電池容量が2500mAhの電池である。各例の電池の仕様などを表1に示す。
上述の電池製造方法に従って、各例の非水電解質二次電池を得た。電池サイズはJIS C8711に記載されているICR18650で、電池容量が2500mAhの電池である。各例の電池の仕様などを表1に示す。
[性能評価]
各例の電池について、初回充電後や45℃下でエージングを行った後、以下の評価を行い、得られた結果を表1及び図3に示す。
(1)初回充電による負極集電子と缶との接続箇所からの缶材溶出有無評価(表1)
(2)電池電圧不良(開回路電圧不良)(表1)
(3)サイクル特性(図3)
各例の電池について、初回充電後や45℃下でエージングを行った後、以下の評価を行い、得られた結果を表1及び図3に示す。
(1)初回充電による負極集電子と缶との接続箇所からの缶材溶出有無評価(表1)
(2)電池電圧不良(開回路電圧不良)(表1)
(3)サイクル特性(図3)
表1及び図3に示したように、防錆層にNi、Cr、Zn及びInの少なくとも1種を含有し、銅箔又は電極の状態で空気中の熱処理を行ったものについては、初回充電時の缶と負極集電子リードとの接続箇所において缶材溶出痕がみられ開回路電圧不良上昇傾向にあった。
それに対し、熱処理を行わなかったものについては、上記缶底の溶出痕は見られず、開回路電圧不良に対しても悪影響を与えなかったが、サイクル特性については劣化傾向にあった。
それに対し、熱処理を行わなかったものについては、上記缶底の溶出痕は見られず、開回路電圧不良に対しても悪影響を与えなかったが、サイクル特性については劣化傾向にあった。
不活性ガス中の熱処理を行ったものについては、上記缶底の溶出痕は見られず、開回路電圧不良に対しても悪影響を与えず、サイクル特性についても良好な傾向であった。
初回充電時をはじめ負極電位が卑な側にシフトする場合に、負極集電体であるCu又は防錆層(Ni、Cr、Zn及びInの少なくとも1種含有)は電気化学的にメタルの状態で存在しようとするため、防錆層のパッシベーションとしての安定性が重要となる。缶と負極集電子リードとの接続箇所において缶材溶出痕がみられ、Feをはじめとする缶材イオンの溶解拡散と析出によって正負極間にブッリッジ形成する箇所が発生し開回路電圧不良の原因に至ることが示された。
初回充電時をはじめ負極電位が卑な側にシフトする場合に、負極集電体であるCu又は防錆層(Ni、Cr、Zn及びInの少なくとも1種含有)は電気化学的にメタルの状態で存在しようとするため、防錆層のパッシベーションとしての安定性が重要となる。缶と負極集電子リードとの接続箇所において缶材溶出痕がみられ、Feをはじめとする缶材イオンの溶解拡散と析出によって正負極間にブッリッジ形成する箇所が発生し開回路電圧不良の原因に至ることが示された。
サイクル特性については、熱処理による電極の機械的な伸縮性向上により、充放電に伴う合剤層の膨張・収縮に対しても集電体との間の密着性及び追従性が増すことや、防錆層としての電気化学的安定性が損なわれていないため、相対的な効果も含め良化していると考えられる。
初回充電過程で負極電位が卑な側に操作されるに伴い、強い還元作用を受けるため負極集電体銅箔酸化膜による防錆層は破壊され、もとのメタルの状態に戻ろうとする作用が働く。集電体銅箔の防錆膜が水酸化物層である場合には、還元に対し強固であるため問題はないが、酸化物膜である場合には、還元に対し弱く、もとのメタルの状態に戻ろうとするため、外部から電子を引き抜こうとする。(M2OX+ne−→M+xO2−)このとき必要とされる電子は銅箔集電体と繋がれている缶材のうち最も電気化学的に溶解しやすい元素を溶出させることになる。
よって、非水電解液リチウム二次電池において、一般的に用いられている缶材は鉄にNiメッキを施したものであるため、負極集電体リードと缶との溶接箇所などNiメッキが部分的に剥がれている箇所から鉄イオンを溶出させることになる。Feをはじめとする缶材イオンの溶解拡散と析出によって正負極間にブッリッジ形成する箇所が発生し開回路電圧不良の原因に至ると考えられる。
初回充電過程で負極電位が卑な側に操作されるに伴い、強い還元作用を受けるため負極集電体銅箔酸化膜による防錆層は破壊され、もとのメタルの状態に戻ろうとする作用が働く。集電体銅箔の防錆膜が水酸化物層である場合には、還元に対し強固であるため問題はないが、酸化物膜である場合には、還元に対し弱く、もとのメタルの状態に戻ろうとするため、外部から電子を引き抜こうとする。(M2OX+ne−→M+xO2−)このとき必要とされる電子は銅箔集電体と繋がれている缶材のうち最も電気化学的に溶解しやすい元素を溶出させることになる。
よって、非水電解液リチウム二次電池において、一般的に用いられている缶材は鉄にNiメッキを施したものであるため、負極集電体リードと缶との溶接箇所などNiメッキが部分的に剥がれている箇所から鉄イオンを溶出させることになる。Feをはじめとする缶材イオンの溶解拡散と析出によって正負極間にブッリッジ形成する箇所が発生し開回路電圧不良の原因に至ると考えられる。
サイクル特性については、充放電に伴う合剤層の膨張・収縮に対し集電体との間の密着性及び追従性が図られることによって、負極板としての集電効果が維持されることや、上述した防錆層の電気化学的な安定性が損なわれることによる缶材溶出又は主反応であるLiイオンの授受にが減少することもなく、負極板としての電気化学反応量の低下が生じないため、そのことを可能にする箔又は電極状態での熱処理が有効であることが示された。
但し、銅箔が酸化すること又は防錆層が酸化物であることによる電池品質への悪影響については上記した通りであり、両者を両立するための方策として不活性ガス中での熱処理が有効であることが示された。箔又は電極状態での熱処理であるが、より望ましくは電極状態熱処理である。
但し、銅箔が酸化すること又は防錆層が酸化物であることによる電池品質への悪影響については上記した通りであり、両者を両立するための方策として不活性ガス中での熱処理が有効であることが示された。箔又は電極状態での熱処理であるが、より望ましくは電極状態熱処理である。
このことは、箔状態で熱処理したものを用いる場合には、負極板作製時に行うプレス時に負極板又は箔が延ばされるため、熱処理によって付与された伸縮性が一部失われることによる(伸び代が無くなる)ものと思われる。これに対し、電極状態で熱処理したものについては、電池構成する直前の負極板に新たに伸縮性が付与される(伸び代が発生)ため、作製された電池においてより多くの充放電に対する電極伸縮性が確保されることになる。
防錆層に含有される元素及び形態については、Ni、Cr、Zn、Inを含む水酸化物が望ましいことが分かった。但し、Zn、In双方を含有する系においては、酸化物であっても電池品質への影響が少なく、サイクル特性も良好であることが示された。
防錆層に含有される元素及び形態については、Ni、Cr、Zn、Inを含む水酸化物が望ましいことが分かった。但し、Zn、In双方を含有する系においては、酸化物であっても電池品質への影響が少なく、サイクル特性も良好であることが示された。
以上のように、本発明の範囲に属する実施例においては、電池品質並びに開回路電圧不良、サイクル特性において向上がみられ、より信頼性の高い非水電解液リチウム二次電池を得ることができた。
具体的には以下に示す通りである。
(1)負極集電子と缶体溶接部分(缶底)での缶材溶出性において改善効果が見られた。
(2)開回路電圧不良において改善効果が見られた。
(3)不活性ガス中の熱処理を箔又は電極に施すことによって上記(1)、(2)の改善効果を損なうことなくサイクル特性を改善することができた。
具体的には以下に示す通りである。
(1)負極集電子と缶体溶接部分(缶底)での缶材溶出性において改善効果が見られた。
(2)開回路電圧不良において改善効果が見られた。
(3)不活性ガス中の熱処理を箔又は電極に施すことによって上記(1)、(2)の改善効果を損なうことなくサイクル特性を改善することができた。
1…電池、2…電池缶、3…巻回体、4…センターピン、5…電池蓋、6…ガスケット、7、8…セパレータ、9…正極、10…負極、11…正極集電体、12,13…正極活物質層、14…負極集電体、15,16…負極活物質層、17…正極リード、18…安全弁機構、19…熱感抵抗素子、20…絶縁板
Claims (5)
- 非水電解質二次電池の負極に用いられる負極集電体において、
銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする非水電解質二次電池用負極集電体。 - 上記少なくとも1種の金属元素が、少なくとも水酸化物として上記防錆層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極集電体。
- 上記少なくとも1種の金属元素が、亜鉛とインジウムから成り、少なくともこれらの酸化物として上記防錆層に含有されていることを特徴とする請求項1に記載の非水電解質二次電池用負極集電体。
- リチウムを吸蔵・放出可能な正極活物質と正極集電体を有する正極と、リチウムを吸蔵・放出可能な負極活物質と負極集電体を有する負極と、この正極と負極との間に配置されたセパレータと、非水電解質組成物と、これらを収容する外装部材と、を備える非水電解質二次電池において、
上記負極集電体が、銅箔と、この銅箔の表面に形成された防錆層と、を備え、
上記防錆層が、ニッケル、クロム、亜鉛及びインジウムから成る群より選ばれた少なくとも1種の金属元素を含有することを特徴とする非水電解質二次電池。 - 上記負極が、不活性ガス中で熱処理を施されて成ることを特徴とする請求項4に記載の非水電解質二次電池。
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-
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- 2006-11-06 JP JP2006300019A patent/JP2008117655A/ja active Pending
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