JP2008106132A - 粉体塗料 - Google Patents

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Abstract

【課題】表面平滑性、光沢及び被塗装物との密着性に優れた粉体塗料を提供する。
【解決手段】熱硬化性樹脂粒子と、該熱硬化性樹脂粒子100重量部に対して10〜50重量部の熱可塑性樹脂粒子とを含有してなり、該熱可塑性樹脂粒子が0.950〜0.995の平均円形度を有するものであることを特徴とする粉体塗料。この粉体塗料は、表面に粘着層を有する被塗装物に、皮膜形成媒体を用いて又は用いずに、粉体塗料を付着させた後、熱処理を行なうことによって粉体塗料皮膜を形成する皮膜形成方法に好適に使用することができる。
【選択図】なし

Description

本発明は、新規な粉体塗料に関する。更に詳しくは、熱硬化性樹脂と特定の熱可塑性樹脂とを含有してなり、表面平滑性、光沢及び被塗装物との密着性に優れた粉体塗料に関する。
機械部品、電気・電子部品等の工業部品、事務機器部品、家具、建材、装飾用品、玩具等には、その表面性能を改善し、また、外観を向上させるために、その表面に、所望により着色した、塗料皮膜が形成されることが多い。
このための塗料としては、従来、溶剤系塗料が用いられてきたが、環境に対する影響が大きい有機溶剤が規制されるようになり、脱溶剤型塗料として粉体塗料が有力候補となっている。
粉体塗料は、省資源型であること、作業環境に優れること、塗膜強度に優れること等に加えて、ワンコートでの厚膜形成、未塗着塗料の回収が可能であること等、コスト的にも有利である。
しかしながら、粉体塗料は、溶剤系塗料に比べて、塗装性が十分ではなく、また、得られる塗膜の表面平滑性に劣る等の問題点を有している。
特許文献1には、8〜20μmの平均粒径を有する熱硬化性樹脂からなる不定形粒子と、これより小粒径の球形熱硬化性樹脂粒子とを特定の比率で使用してなる粉体塗料組成物を用いた静電塗装が開示されている。しかしながら、この方法によると、静電塗装時の粒子間の反発が起こりやすいため、球状粒子の塗着効率が低下してその含有比率を所定のものとすることが困難で、その結果、塗膜の平滑性が不十分となってしまう。
特許文献2には、熱硬化性粉体塗料に特定の融点を有する高級モノアルコールを配合してなる熱硬化性粉体塗料が開示されている。しかしながら、有機溶剤を用いないという観点からは、好ましいものではない。
特許文献3には、10〜50μmの平均粒径を有する熱可塑性樹脂粉体の表面に、これより小さい平均粒径の熱硬化性樹脂粉体と粉体状硬化剤及び粉体状添加剤を複合化して被覆せしめ、更に、この複合化粉体表面の少なくとも一部を更に小粒径の粉体状添加剤により被覆した粉体塗料が開示されている。この粉体塗料の調製方法は、非常に複雑であって、工業的に有利とはいいがたい。
ところで、粉体塗料塗装の一方法として、「バレルペインティング」と称される方法が提案されている(特許文献4)。この方法は、被塗装物の表面に液状未硬化樹脂からなる粘着層を形成し、この被塗装物を、粉体塗料、及び金属球等の「インパクトメディア(皮膜形成媒体)」と共に容器に入れて、振動を加え、上記未硬化樹脂層に粉体塗料を埋め込んで粉体塗料層を形成し、その後、この粉体塗料を形成した被塗装物を加熱して、未硬化樹脂と粉体塗料とを硬化して塗料皮膜を形成させるというものである。
この塗装方法については、インターメタリックス社の一連の研究があり、粉体塗料の構成の観点からも、特定の粒径を有するものの比率の特定、塗料への扁平粉体の導入、特定の軟化点を有する非結晶性樹脂粒子の使用、硬化剤粒子の併用、導電性粒子の導入、等々の種々の手法が提案されている。
しかしながら、いずれの方法も、粉体塗料の上記問題点を根本的に解決できるものではない。
特開平10−17792号公報 特開平9−291229号公報 特開平8−311372号公報 特開平5−302176号公報
従って、本発明の課題は、従来の粉体塗料では達成できなかった、表面平滑性、光沢及び被塗装物との密着性に優れた粉体塗料を提供することにある。
本発明者らは、上記目的の達成のために鋭意研究を進めた結果、粉体塗料を熱硬化性樹脂と熱可塑性樹脂とで構成する際、熱可塑性樹脂として、特定の形状を有するものを特定量使用すれば上記課題を解決できることを見出して、この知見に基づき、本発明を完成するに至った。
かくして、本発明によれば、粉体塗料であって、熱硬化性樹脂粒子と、該熱硬化性樹脂粒子100重量部に対して10〜50重量部の熱可塑性樹脂粒子とを含有してなり、該熱可塑性樹脂粒子が0.950〜0.995の平均円形度を有するものであることを特徴とする粉体塗料が提供される。
本発明の粉体塗料は、表面に粘着層を有する被塗装物に、皮膜形成媒体を用いて又は用いずに、粉体塗料を付着させた後、熱処理を行なうことによって粉体塗料皮膜を形成する皮膜形成方法に好適に使用することができる。
本発明の粉体塗料において、熱可塑性樹脂粒子が1〜20μmの体積平均粒径を有するものであることが好ましい。
また、本発明の粉体塗料において、熱可塑性樹脂粒子がコア/シェル型構造を有するものであることが好ましい。
また、本発明の粉体塗料において、熱可塑性樹脂粒子が55%以上の流動性を有するものであることが好ましい。
また、本発明の粉体塗料において、熱可塑性粒子が熱可塑性樹脂粒子が水系媒体中における重合によって得られるものであることが好ましい。
更に、上記重合が懸濁重合であることが好ましい。
本発明の粉体塗料は、合成が容易であり、これを用いて得られる塗膜は、表面平滑性、光沢及び被塗装物との密着性に優れているので、機械部品、工業部品を始め各種分野の用品の塗装に有用である。
本発明の粉体塗料は、熱硬化性樹脂粒子と熱可塑性樹脂粒子とを含有してなる。
熱硬化性樹脂は、粉体塗料に通常用いられるものであれば、特に限定されない。その具体例としては、エポキシ樹脂、ポリエステル樹脂、エポキシ−ポリエステル樹脂、アクリル樹脂、アクリル−ポリエステル樹脂、フェノール樹脂、フラン樹脂、ウレタン樹脂、ポリイミド樹脂、メラミン樹脂、尿素樹脂、フッ素樹脂等を挙げることができる。
これらの熱硬化性樹脂は、硬化剤と反応して架橋構造を形成するための各種官能基を含んでいてもよい。官能基としては、水酸基、カルボキシ基、酸無水物基、エポキシ基、アミノ基等を示すことができるが、これらに限定されない。
熱硬化性樹脂粒子の大きさは、特に限定されないが、その体積平均粒径は、通常、5〜80μmであり、好ましくは8〜50μmである。体積平均粒径が5μm未満であると、粉体流動性が低下し、塗装作業性が低下する恐れがあり、80μmを超えると、塗膜の平滑性が低下する恐れがある。
熱硬化性樹脂は、通常、硬化剤と併用される。
硬化剤は、上記の官能基と適切な条件下に反応する成分であり、その具体例としては、ジシアンジアミド、酸ヒドラジド等のアミド化合物;アジピン酸や、ピメリン酸、スベリン酸、セバシン酸、1,10−デカンジカルボン酸、1,12−ドデカンジカルボン酸、1,20−エイコサンジカルボン酸、ヘキサヒドロフタル酸、マレイン酸、フタル酸、シクロヘキセン1,2−ジカルボン酸等の二塩基酸;これらの酸無水物;グリシジル化合物;アミノプラスト樹脂;イソホロンジイソシアネートブロック体等のブロックイソシアネート等を挙げることができる。
本発明の粉体塗料においては、熱硬化性樹脂粒子に特定形状の熱可塑性樹脂粒子を併用することが必須である。
本発明において、熱可塑性樹脂粒子は、0.950〜0.995の平均円形度を有することが必要である。平均円形度は、好ましくは0.960〜0.995である。
平均円形度が0.950未満であると、塗料粒子の流動性が低下し、得られる塗膜の平滑性及び光沢が劣る
本発明において、円形度は、粒子像と同じ投影面積を有する円の周囲長を、粒子の投影像の周囲長で除した値として定義される。また、本発明における平均円形度は、粒子の形状を定量的に表現する簡便な方法として用いたものであり、粒子の凹凸の度合いを示す指標であり、平均円形度は、熱可塑性粒子が完全な球形の場合に1を示し、表面形状が複雑になるほど小さな値となる。
平均円形度は、1μm以上の円相当径の粒子群について測定された各粒子の円形度(Ci)を、n個の粒子について、式(1)よりそれぞれ求め、次いで、式(2)より平均円形度(Ca)を求める。
円形度(Ci)=粒子の投影面積に等しい円の周囲長/粒子投影像の周囲長 (1)
Figure 2008106132
式(2)において、fiは円形度Ciの粒子の頻度である。
円形度及び平均円形度は、シスメックス社製フロー式粒子像分析装置「FPIA−1000」又は「FPIA−2000」を用いて測定することができる。
上記範囲の平均円形度を有する熱可塑性樹脂粒子は、乳化重合法、懸濁重合法等を用いることにより、比較的容易に得ることができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂粒子は、その流動性が55%以上であることが好ましい。流動性がこの範囲にあることにより、得られる粉体塗料が均一付着性に優れたものとなる。
流動性は、以下の方法により求めることができる。即ち、目開きが各々150μm、75μm及び45μmの3種の篩をこの順に上から重ね、一番上の篩上に測定する熱可塑性樹脂粒子を4g精秤して乗せる。次いで、この重ねた3種の篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製;商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛4の条件で、15秒間振動した後、各篩上に残った熱可塑性樹脂粒子の重量を測定する。各測定値から、以下の式(3)、(4)及び(5)により、流動性の値を算出する。
a=〔(150μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100 (3)
b=〔(75μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100×0.6 (4)
c=〔(45μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100×0.2 (5)
流動性(%)=100−(a+b+c)
熱可塑性樹脂の量は、熱硬化性樹脂粒子100重量部に対して10〜50重量部であることが必要であり、20〜40重量部であることが好ましい。熱可塑性樹脂の量が少なすぎると、得られる塗膜の平滑性及び光沢が劣るという問題がある。逆に、熱可塑性樹脂粒子の量が前記範囲より多いと、塗膜の強度が低下するという問題がある。
本発明で使用する熱可塑性樹脂粒子は、その体積平均粒径が1〜20μmであることが好ましく、5〜15μmであることがより好ましく、6〜11μmであることが更に好ましい。
体積平均粒径が、上記下限を下回ると、静電塗装時に粒子間の反発が起こりやすく塗料粒子の塗着効率が低下することがある。他方、上記上限を上回ると、得られる塗膜表面の平滑性及び光沢が劣ることがある。
また、体積平均粒径(Dv)と個数平均粒径(Dp)の比である粒径分布(Dv/Dp)が1.0〜1.3であると好ましく、1.0〜1.2であると更に好ましい。
熱可塑性樹脂としては、ポリアミド樹脂やポリエステル樹脂も使用することができるが、下記ビニル単量体の重合体及び共重合体が好ましい。
ビニル単量体としては、スチレン、ビニルトルエン、α−メチルスチレン等の芳香族ビニル単量体;(メタ)アクリル酸;例えば、(メタ)アクリル酸メチル、(メタ)アクリル酸エチル、(メタ)アクリル酸プロピル、(メタ)アクリル酸ブチル、(メタ)アクリル酸2−エチルヘキシル、(メタ)アクリル酸ジメチルアミノエチル等の(メタ)アクリル酸エステル;(メタ)アクリロニトリル、(メタ)アクリルアミド等の(メタ)アクリル酸誘導体;エチレン;プロピレン、ブテン等のα−オレフィン;塩化ビニル、塩化ビニリデン、臭化ビニル、フッ化ビニル等のハロゲン化ビニル;酢酸ビニル、プロピオン酸ビニル等のカルボン酸ビニルエステル;ビニルメチルエーテル、ビニルエチルエーテル等のビニルエーテル;ビニルメチルケトン、メチルイソプロぺニルケトン等のビニルケトン;2−ビニルピリジン、4−ビニルピリジン、N−ビニルピロリドン等の含窒素ビニル化合物;等を例示することができる。
これらは、それぞれ単独で又は2種以上を組み合わせて使用することができる。
これらのビニル系単量体と共に、架橋性単量体、例えば、ジビニルベンゼン、ジビニルナフタレン、及びこれらの誘導体等の芳香族ジビニル化合物;エチレングリコールジメタクリレート、ジエチレングリコールジメタクリレート、トリエチレングリコールジメタクリレート、トリメチロールプロパントリアクリレート、1,3−ブタンジオールジメタクリレート等のジ−又はトリ−エチレン性不飽和カルボン酸エステル;N,N−ジビニルアニリン、ジビニルエーテル、ジビニルサルファイド、ジビニルスルホン等のジビニル化合物、及び3個以上のビニル基を有する化合物を1種又は2種以上を組み合わせて用いることができる。
これらの架橋性単量体は、ビニル系単量体を含む全重合性単量体中、通常、10重量%以下、好ましくは5重量%以下、更に好ましくは2重量%以下の割合で使用される。
架橋性単量体を併用することにより、塗膜の密着性がより改善される。
また、上記ビニル系単量体にマクロモノマーを併用してもよい。マクロモノマーの併用により、粉体塗料の保存安定性及び塗布時の流動性が向上するという効果が得られる。
マクロモノマーは、分子鎖の末端にビニル重合性官能基を有する、数平均分子量が、通常、1,000〜30,000のオリゴマー又はポリマーである。マクロモノマー分子鎖の末端に有するビニル重合性官能基としては、アクリロイル基、メタクリロイル基等を挙げることができ、共重合のしやすさの観点からメタクリロイル基が好適である。マクロモノマーは、前記モノビニル系単量体を重合して得られる重合体のガラス転移温度よりも高いガラス転移温度を有するものが好適である。なお、マクロモノマーのガラス転移温度は、通常の示差熱計(DSC)等の測定機器で測定される値である。
用い得るマクロモノマーの具体例としては、スチレン、スチレン誘導体、メタクリル酸エステル、アクリル酸エステル、アクリロニトリル、メタクリロニトリル等を単独で又は2種以上を重合して得られる重合体、ポリシロキサン骨格を有するマクロモノマー、特開平3−203746号公報の第4頁〜第7頁に開示されているもの等を挙げることができる。これらマクロモノマーのうち、特にスチレン、メタクリル酸エステル又はアクリル酸エステルを単独で又はこれらを組み合わせて重合して得られる重合体が好適である。
マクロモノマーを使用する場合、その量は、モノビニル系単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好適には0.03〜5重量部、更に好適には0.05〜1重量部である。
本発明においては、熱可塑性樹脂粒子は、コア粒子とこれを被覆するシェルとからなるコア/シェル型(カプセル型)構造を有する粒子であることが好ましい。コア粒子のガラス転移温度は、80℃以下が好ましく、10〜70℃がより好ましく、20〜60℃が更に好ましい。シェルのガラス転移温度は、コア粒子のガラス転移温度より高いものであることが好ましい。シェルのガラス転移温度は、50〜120℃、より好ましくは60〜115℃、更に好ましくは80〜110℃である。
コア粒子のガラス転移温度とシェルのガラス転移温度とは、10℃以上の差があることが好ましく、この差は、20℃以上が好ましく、30℃以上がより好ましい。
コア粒子及びシェルのガラス転移温度は、それぞれに用いる単量体の組成により、適宜調整することができる。
このようなガラス転移温度を有するコア/シェル型粒子を用いることにより、塗布前の保存安定性及び流動性と塗布時の皮膜形成性及び塗布後の光沢とのバランスに優れる粉体塗料を得ることができる。
コア粒子の体積平均粒径は1〜20μm、好ましくは5〜15μm、更に好ましくは6〜11μmである。
コア/シェル型粒子のコア粒子(「コア層」ということもある。)とシェル層との重量比率は特に限定されないが、通常、80/20〜99.9/0.1である。シェル層の重量比率が過小であると、保存性改善効果が小さく、逆に、過大であると、密着性の改善効果が小さくなる。
シェル層の平均厚みは、通常0.001〜1.0μm、好ましくは0.003〜0.5μm、より好ましくは0.005〜0.2μmである。厚みが大きくなると密着性が低下し、小さくなると保存性が低下する恐れがある。
なお、コア/シェル型の粒子を形成するコア粒子のすべての表面がシェル層で覆われている必要はなく、コア粒子の表面の少なくとも一部がシェルで覆われていればよい。
コア/シェル型粒子のコア粒径及びシェル層の厚み並びにその比は、コア粒子及びシェル層の形成に、それぞれ、用いる単量体の量及びその比により調整することができる。
本発明で用いる熱可塑性樹脂粒子の製造方法は、特に限定されず、乳化重合、懸濁重合、析出重合、ソープフリー重合等のいずれによってもよいが、水系媒体中において重合性単量体を重合することが好ましい。
中でも、懸濁重合法で調製するのが、樹脂粒子中に着色剤等の各種配合剤を容易に導入することができるので、好ましい。
コア/シェル型粒子の懸濁重合は、通常、分散剤を含有する水系分散媒体中で行なう。
具体的には、先ず、コア粒子用重合性単量体(ビニル系単量体、架橋性単量体、マクロモノマー等)及びその他の添加剤を混合し、ビーズミル等により均一に分散させて重合性単量体組成物(混合液)を調製し、次いで、この混合液を、分散剤を含有する水系分散媒体中に投入し、混合攪拌した後、ラジカル重合開始剤を添加し、高せん断力を有する混合装置を用いて分散して微小な液滴に造粒した後、通常、30〜200℃の温度で懸濁重合して、コア粒子を調製する。
本発明に用いる分散剤は、難水溶性金属化合物のコロイドを含有するものが好適である。
難水溶性金属化合物としては、硫酸バリウム、硫酸カルシウム等の硫酸塩;炭酸バリウム、炭酸カルシウム、炭酸マグネシウム等の炭酸塩;リン酸カルシウム等のリン酸塩;酸化アルミニウム、酸化チタン等の金属酸化物;水酸化アルミニウム、水酸化マグネシウム、水酸化第二鉄等の金属水酸化物;等を挙げることができる。
これらのうち、難水溶性の金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤は、重合体粒子の粒径分布を狭くすることができ、表面平滑性が向上するので好適である。
難水溶性金属水酸化物のコロイドを含有する分散剤は、その製法による制限はないが、水溶性多価金属化合物の水溶液のpHを7以上に調整することによって得られる難水溶性の金属水酸化物のコロイド、特に水溶性多価金属化合物と水酸化アルカリ金属塩との水相中の反応により生成する難水溶性の金属水酸化物のコロイドを用いることが好ましい。
本発明に用いる難水溶性金属化合物のコロイドは、個数粒径分布D50(個数粒径分布の50%累積値)が0.5μm以下で、D90(個数粒径分布の90%累積値)が1μm以下であることが好ましい。コロイドの粒径が大きくなると、重合の安定性が崩れ、また、表面平滑性が低下する。
分散剤は、コア粒子用重合性単量体組成物100重量部に対して、通常、0.1〜20重量部の割合で使用する。この割合が0.1重量部より少ないと、十分な重合安定性を得ることが困難であり、重合凝集物が生成し易くなる。逆に、20重量部を超えると、水系媒体の粘度が大きくなって、重合安定性が低くなる。
本発明においては、必要に応じて、水溶性高分子を含有する分散剤を用いることができる。水溶性高分子としては、ポリビニルアルコール、メチルセルロース、ゼラチン等を例示することができる。
本発明においては、界面活性剤を使用する必要はないが、懸濁重合を安定に行なうために、粉体塗料特性の環境依存性が大きくならない範囲で使用することができる。
ラジカル重合開始剤としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド、2,2’−アゾビス(2,4−ジメチルバレロニトリル)、2,2’−アゾビスイソブチロニトリル、1,1’−アゾビス(1−シクロヘキサン−1−カルボニトリル)等のアゾ化合物;メチルエチルパーオキシド、ジ−t−ブチルパーオキシド、アセチルパーオキシド、ジクミルパーオキシド、ラウロイルパーオキシド、ベンゾイルパーオキシド、t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート、ジ−イソプロピルパーオキシジカーボネート、ジ−t−ブチルパーオキシイソフタレート等の過酸化物類;等を例示することができる。
また、これら重合開始剤と還元剤とを組み合わせたレドックス開始剤を挙げることができる。
これらのラジカル重合開始剤の中でも、油溶性ラジカル開始剤が好ましく、10時間半減期の温度が60〜85℃、好ましくは65〜80℃で、かつ、分子量が250以下の有機過酸化物から選択される油溶性ラジカル開始剤が特に好ましい。
重合開始剤の使用量は、重合性単量体100重量部に対して、通常、0.01〜20重量部、好ましくは0.1〜10重量部である。また、重合開始剤の量は、水系媒体基準で、通常0.001〜3重量%である。この量が0.001重量%未満では、重合速度が遅く、3重量%を超えると、粒径1μm未満の粒子が副生する傾向にある。
本発明においては、更に必要に応じて、分子量調整剤等の各種添加剤を、コア用重合性単量体と混合して用いることができる。分子量調整剤としては、例えば、t−ドデシルメルカプタン、n−ドデシルメルカプタン、n−オクチルメルカプタン等のメルカプタン類;四塩化炭素、四臭化炭素等のハロゲン化炭化水素類;等を挙げることができる。
これらの分子量調整剤は、重合開始前、又は重合途中に添加することができる。
分子量調整剤は、単量体100重量部に対して、通常、0.01〜10重量部、好ましくは0.1〜5重量部の割合で用いられる。
本発明で使用する熱可塑性樹脂粒子は、着色剤を含有していてもよい。
着色剤は、特に限定されない。その具体例としては、カーボンブラック、チタンホワイト、ニグロシンベース、アニリンブルー、カルコオイルブルー、クロムイエロー、ウルトラマリンブルー、オリエントオイルレッド、フタロシアニンブルー、マラカイトグリンオクサレート等の有機染顔料類;四三酸化鉄、酸化鉄マンガン等の磁性粒子;等を挙げることができる。
これらの着色剤は、コア粒子を構成する重合体成分に対して、通常、0.1〜20重量部、好ましくは1〜10重量部となるような割合で用いられる。
コア粒子の調製に際して、軟化剤として多官能エステル化合物を併用してもよい。多官能エステル化合物の使用により、均一溶融性に優れ、更には、表面平滑性と光沢とに優れた粉体塗料を得ることができる。
多官能エステル化合物は、2官能以上、好ましくは4官能以上の多価アルコールとカルボン酸とから形成されたエステルである。
多官能エステル化合物としては、ペンタエリスリトールやグリセリン等の多価アルコールと長鎖脂肪酸とのエステルが好ましく、その具体例としては、ペンタエリスリトールテトラステアレート、ペンタエリスリトールテトラミリステート、グリセロールトリアラキン酸等を挙げることができる。多官能エステル化合物は、コア用重合性単量体に容易に溶解するものが好ましい。
多官能エステル化合物は、コア粒子を構成する重合体成分100重量部に対して、通常1〜30重量部、好ましくは2〜25重量部、より好ましくは3〜20重量部となるような割合で使用する。
多官能エステル化合物の使用割合が少なすぎると、その効果が小さく、多すぎるとコア粒子を形成することが困難となり、保存性も低下する。
コア粒子の調製に際して、必要に応じて、その他の軟化剤を併用してもよい。
離型剤としては、低分子量ポリエチレン、低分子量ポリプロピレン、低分子量ポリブチレン等の低分子量ポリオレフィン類;石油系パラフィンワックス:等を例示することができる。
更に、オレイン酸、ステアリン酸等の滑剤;シラン系又はチタン系カップリング剤等の分散助剤;等を使用してもよい。
コア粒子を得るための重合は、重合転化率を、通常、80%以上、好ましくは85%以上、より好ましくは90%以上とする。重合転化率が80%未満の場合には、未反応の重合性単量体が多量に残存しているので、これにシェル用重合性単量体を添加して重合したとき、得られるシェル層の重合体組成が、本来目的とするものとは異なるものとなることがある。
コア粒子の調製の後、このコア粒子の存在下にシェル用単量体を重合してシェル層を形成する。
シェル層の形成は、コア粒子を得るために行なった重合反応の反応系にシェル用単量体を添加して継続的に行なってもよく、別途重合して得たコア粒子を使用して、これにシェル用単量体を添加して重合してもよい。
シェル用単量体は反応系中に一括して添加してもよく、連続的又は断続的に添加してもよい。
シェル用単量体を重合に際して、水溶性のラジカル開始剤を添加すると、コア/シェル型の重合体粒子が得やすくなるので好ましい。シェル用単量体の重合時に水溶性ラジカル開始剤が存在すると、シェル用単量体が存在するコア粒子の外表面近傍に水溶性ラジカル開始剤が進入し、コア粒子表面にシェル重合体を形成しやすくなるからであると考えられる。
水溶性ラジカル開始剤は、特に限定されないが、その具体例としては、過硫酸カリウム、過硫酸アンモニウム等の過硫酸塩;4,4’−アゾビス(4−シアノ吉草酸)、2,2’−アゾビス(2−アミジノプロパン)二塩酸塩、2,2’−アゾビス{2−メチル−N−[1,1−ビス(ヒドロキシメチル)−2−ヒドロキシエチル]プロピオンアミド}等のアゾ系開始剤;クメンパーオキシド等の油溶性開始剤とレドックス触媒の組合せ;等を挙げることができる。
水溶性ラジカル開始剤の量は、水系媒体基準で、通常、0.001〜10重量%である。
本発明で使用する熱可塑性樹脂粒子は、そのままで粉体塗料に使用することができるが、必要に応じて、流動化剤等の各種添加剤(外添剤)を加えてもよい。
添加剤は、通常、熱可塑性樹脂粒子の表面に付着している。
外添剤としては、通常、流動性を向上させる目的で使用され、無機粒子や有機樹脂粒子が挙げられる。例えば、無機粒子としては、シリカ、酸化アルミニウム、酸化チタン、酸化亜鉛、酸化錫、炭酸カルシウム、燐酸カルシウム、及び酸化セリウム等が挙げられ、有機樹脂粒子としては、メタクリル酸エステル重合体、アクリル酸エステル重合体、スチレン−メタクリル酸エステル共重合体、スチレン−アクリル酸エステル共重合体、メラミン樹脂、及びコアがスチレン重合体でシェルがメタクリル酸エステル重合体で形成されたコア/シェル型粒子等が挙げられる。これらのうち、疎水化処理されたシリカやチタン化合物が好ましい。
外添剤の添加量は、特に限定されないが、熱可塑性樹脂粒子100重量部に対して、通常、0.1〜6重量部である。
外添剤を熱可塑性樹脂粒子に付着させるには、通常、外添剤と熱可塑性樹脂粒子とをヘンシェルミキサー等の混合器に仕込み、攪拌する。
本発明の粉体塗料は、熱硬化性粒子と熱可塑性樹脂粒子とを混合することによって得ることができる。
混合の方法は、特に限定されないが、通常、ミキサー(ヘンシェルミキサー、フラッシュブレンダー、ミキシングシェーカー等)を使用して行なえばよい。
混合時の温度、加熱の有無、回転数、雰囲気等の混合の条件は、粉体塗料の組成等に応じて適宜設定することができる。
本発明の粉体塗料には、目的に応じ、硬化触媒、顔料、流動調整剤、チクソ剤(チクソトロピー調整剤)、帯電調整剤、表面調整剤、光沢付与剤、ブロッキング防止剤、可塑剤、紫外線吸収剤、ワキ防止剤(脱ガス剤)、酸化防止剤、充填剤、増量剤等の添加剤を配合してもよい。またクリアコートとして使用する場合に少量の顔料を配合し、完全に隠ぺい性の発現しない程度に着色していてもよい。
本発明の粉体塗料は、コロナ印加方式、摩擦帯電方式、ハイブリッド方式等の各種の静電塗装機により鉄材、鋳鉄、鋼板類、ステンレス、アルミ材、アルミダイカスト、燒結金属、ガラス、コンクリート、特殊樹脂等広い分野の基材に塗装できる。また、これらの基材にプライマー処理やその他の下地処理を施して塗装することもできる。
塗装膜厚は、特に制限されないが、通常、20〜80μm、好ましくは20〜60μmの範囲が好適である。
本発明の粉体塗料は、特に、表面に粘着層を有する被塗装物に、皮膜形成媒体を用いて又は用いずに、粉体塗料を付着させた後、熱処理を行なうことによって粉体塗料皮膜を形成する皮膜形成方法に好適に使用される。
この皮膜形成方法においては、被塗装物の表面に予め粘着層を形成する。
粘着層の形成には、粘着剤を用いる。粘着剤は特に限定されないが、熱処理時に溶融した粉体塗料との相溶性が良好であるとともに、被塗装物との密着性に優れているものが好適である。また、粘着剤中にカップリング剤等の各種添加剤を適宜添加してもよい。
粘着剤としては、エポキシ樹脂、アクリル樹脂、ポリエステル樹脂又はフェノール樹脂等の一般的な未硬化状態の液状若しくは半液状の樹脂のほか、アミン類、エーテル類、グリコール類、タール類、及びスチレン系、アクリル系、フェノール系、イソシアネート系の化合物等のモノマー、オリゴマー若しくはポリマー等の一般的な液状又は半液状物質を用いることもできる。
被塗装物の表面に粘着層を形成する方法としては、被塗装物を粘着剤中に浸漬する方法、粘着剤をスプレー等により被塗装物に吹き付ける方法、刷毛やローラー等により粘着剤を被塗装物に塗布する方法等を示すことができる。粘着剤が高粘度であるときは、エーテル類、アルコール類、ケトン類、芳香族化合物等の一般的な希釈剤を添加して希釈して使用してもよい。
次に、表面に粘着層を形成した被塗装物を粉体塗料中に浸漬して、被塗装物上に粉体塗料を付着させた後、その被塗装物を塗装機より取り出し、所定温度で所要時間、熱処理することにより成膜が形成される。
被塗装物に粉体塗料を付着させるに際し、被塗装物と粉体塗料とを接触・衝突させるために、振動、回転、落下等の外力を加えることが好ましい。塗装機としては、被塗装物と粉体塗料とを収容できる容器を有するものが好ましい。外力を加える方法としては、塗装機を振動させる、容器内に振動体を配置する等の方法を採用すればよい。
また、被塗装物に粉体塗料を付着させるに際し、被塗装物と粉体塗料とを収容した容器内に皮膜形成媒体を存在させることが好ましい。皮膜形成媒体を用いることにより、密着性に優れる塗膜を得ることができる。
皮膜形成媒体は、粉体塗料と共に振動されて、粉体塗料粒子を被塗装物の表面に搬送し、打撃力を発生して皮膜形成の媒介を行なう機能を有する粒状物である。その形状は、特に限定されず、球状、楕円状、立方体、三角柱、円柱、円錐、三角錐、四角錐、菱面体、不定型体等の各種形状のいずれであってもよいが、球状や楕円状のものが、割れ、欠落、摩耗等の恐れが小さいので、好ましい。皮膜形成媒体の大きさは、得られる塗膜の平滑性、塗膜への混入防止等の観点から、被塗装物よりも実質的に小さく、かつ、粉体粒子よりは実質的に大きいことが好ましい。また、皮膜形成媒体の材質は、特に限定されず、鉄、炭素鋼、その他の合金鋼、銅鉱及び銅合金、アルミニウム及びアルミニウム合金、その他の各種金属;Al、SiO、TiO、ZrO、SiC等のセラミックス;ガラス;各種プラスチック;等が用いられる。
被塗装物の表面に粉体塗料を付着させた後、金網等の網状の物を用いて、被塗装物と皮膜形成媒体とを分離する。次いで、被塗装物を熱処理することにより、粉体塗料皮膜が被塗装物上に形成される。
以下、実施例により本発明を更に具体的に説明するが、本発明の範囲はこれらの実施例に限定されるものではない。
なお、本実施例において、「部」及び「%」は、特に断りのない限り、質量基準である。
熱可塑性樹脂粒子、粉体塗料及び粉体塗料皮膜の各特性の評価は、以下のように行なった。
〔熱可塑性樹脂粒子の体積平均粒径と粒径分布〕
マルチサイザー(ベックマン・コールター社製)により測定する。このマルチサイザーによる測定は、アパーチャー径:100μm、媒体:イソトンII、濃度10%、測定粒子個数:100,000個の条件で行なう。
〔平均円形度〕
容器中に、予めイオン交換水10mlを入れ、その中に分散安定剤としての界面活性剤(アルキルベンゼンスルホン酸)0.02gを加え、更に測定試料0.02gを加え、超音波分散機で60W、3分間分散処理を行なう。測定時の粒子濃度を3,000〜10,000個/μLとなるように調整し、1μm以上の円相当径の粒子が5,000個以上となる条件において、フロー式粒子像分析装置(シスメックス社製、商品名「FPIA−2100」)を用いて得た測定値を平均する。
〔流動性〕
目開きが各々150μm、75μm及び45μmの3種の篩をこの順に上から重ね、一番上の篩上に測定する熱可塑性樹脂粒子を4g精秤して乗せる。次いで、この重ねた3種の篩を、粉体測定機(ホソカワミクロン社製;商品名「パウダーテスター」)を用いて、振動強度目盛4の条件で、15秒間振動した後、各篩上に残った熱可塑性樹脂粒子の重量を測定する。各測定値から、以下の式(3)、(4)及び(5)により、流動性の値を算出する。
a=〔(150μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100 (3)
b=〔(75μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100×0.6 (4)
c=〔(45μm篩に残った粉体塗料重量(g))/4g〕×100×0.2 (5)
流動性(%)=100−(a+b+c)
〔粉体塗料皮膜の形成〕
粉体塗料を、容器に入れて加振し、次いで、表面に粘着層を形成したリン酸亜鉛処理鋼板を入れて加振することによって、粉体塗料をリン酸亜鉛処理鋼板の表面に付着させ、200℃にて20分間焼き付けを行なって、70μmの塗料膜厚を有する試料とする。なお、リン酸亜鉛処理鋼板としては、液状エポキシ樹脂(東都化成社製、商品名「YD−127」)と硬化剤(四国化成社製、商品名「C11Z」)とを95:1の割合で混合して作成した粘着剤をアセトンで5重量%に希釈した溶液中に浸漬した後、ドライヤーの温風で30秒間乾燥することによって、表面に粘着層を形成したものを用いる。
〔粉体塗料皮膜の表面平滑性〕
表面粗さ測定器(小坂研究所製、商品名「SE−30H」)を用いて、中心線平均粗さ(以下、「Ra」と記す。単位:μm)を測定する。Raの数字が大きいほど表面平滑性が低いことを示す。
〔粉体塗料皮膜の光沢度〕
光沢計(日本電色工業社製、商品名「PG−1M」)を用いて、60°鏡面光沢値(単位:%)を測定する。
〔粉体塗料皮膜の密着性〕
JIS K5400 8.5.2.の碁盤目テープ法に従って測定する。
〔製造例1〕
(熱硬化性樹脂粒子(A1)の製造例)
エポキシ樹脂(商品名:エピコート1002、油化シェルエポキシ社製)95.2重量%
硬化剤(ジシアンジアミド) 3.0重量%
硬化促進剤(イミダゾール) 0.3重量%
流展剤(ポリアクリル酸ブチルエステル) 1.0重量%
発泡防止剤(ベンゾイン) 0.5重量%
上記の配合比からなる原料をスーパーミキサーで混合した後、110℃においてニーダーで溶融混練し、生成した混練物を冷却し、次に気流式の粉砕機を用いて粉砕した。その後、気流式の分級機を用いて粒径の大きな粒子を除去することにより樹脂粒子(A1)を得た。この樹脂粒子は、フロー軟化点が79℃であり、体積平均粒径は9.5μmであった。
〔製造例2〕
(熱可塑性樹脂粒子(B1)の製造例)
(i)コア用重合性単量体組成物及びシェル用重合性単量体の水分散液の調製工程
スチレン80.5部及びn−ブチルアクリレート19.5部からなる重合性単量体(これらの単量体の共重合体の計算Tgは、55℃である。)、ポリメタクリル酸エステルマクロモノマー(東亜合成化学工業社製、商品名「AA6」、Tg=94℃)0.3部、ジビニルベンゼン0.5部、t−ドデシルメルカプタン1.2部、カーボンブラック(三菱化学社製、商品名「#25B」)7部及び帯電制御剤(保土ヶ谷化学社製、商品名「スピロンブラックTRH」)1部を、メディア型湿式粉砕機を用いて湿式粉砕し、コア用重合性単量体組成物を得た。
一方、メタクリル酸メチル1部及び水100部を混合してシェル用重合性単量体の水分散液を得た。
(ii)水系媒体の調製工程
イオン交換水250部に塩化マグネシウム(水溶性多価金属塩)9.8部を溶解した水溶液に、イオン交換水50部に水酸化ナトリウム(アルカリ金属水酸化物)6.9部を溶解した水溶液を攪拌下で徐々に添加して、水酸化マグネシウムコロイド(難水溶性の金属水酸化物コロイド)分散液を調製した。
(iii)液滴の形成工程
工程(ii)で調製した水酸化マグネシウムコロイドを含有する水系媒体に、工程(i)で調製したコア用重合性単量体混合物を投入し、そこに重合開始剤t−ブチルパーオキシ−2−エチルヘキサノエート(日本油脂社製、商品名「パーブチルO」)6部を投入し、インライン型乳化・分散機(荏原製作所社製、商品名「マイルダー」)を用いて15,000rpmの回転数で8分間高剪断攪拌して、コア用重合性単量体混合物の液滴を形成した。
(iv)重合工程
コア用重合性単量体組成物の液滴が分散した水分散液を、撹拌翼を装着した反応器に入れ、85℃に昇温して重合反応を開始させた。重合反応は、重合転化率がほぼ100%に達した時に前記シェル用重合性単量体の水分散液、及び蒸留水10部に溶解した2,2’−アゾビス[2−メチル−N−(2−ヒドロキシエチル)−プロピオンアミド](和光純薬工業社製、商品名「VA−086」)0.1部を反応器に入れた。シェル用重合性単量体を添加してから更に重合反応を4時間継続した後、反応を停止し、pH9.5のコア/シェル型熱可塑性粒子の水分散液を得た。
(v)洗浄工程
熱可塑性樹脂粒子の水分散液を撹拌しながら硫酸を加えて酸洗浄(25℃、10分間)を行ない、水分散液のpHを4.5以下に調整した。次に、水分散液を連続式ベルトフィルター(住友重機械工業社製、商品名「イーグルフィルター」)を用いて脱水及び水洗を行ない、次いで、湿潤状態の固形分を分離した。洗浄水としては、25℃に制御したイオン交換水を用い、36kg/時間の割合でベルト上のウエットケーキ上方から散布した。なお、洗浄水の合計は、熱可塑性樹脂粒子の3倍量である。
(vi)回収工程
洗浄工程で得られた湿潤状態の固形分(含水率=約25%)を乾燥機を用いて45℃で1昼夜乾燥した。回収した熱可塑性樹脂粒子100部に、疎水化処理した平均粒径14nmのシリカ(日本アエロジル社製、商品名「RX202」)0.8部を添加し、へンシェルミキサーを用いて混合して、体積平均粒径Dvが9.5μmで、平均円形度が0.980の熱可塑性樹脂粒子(B1)を得た。
〔製造例3〕
(熱可塑性樹脂粒子(B2)の製造例)
工程(iii)において、インライン型乳化・分散機(荏原製作所社製、商品名「マイルダー」)を用いて15,000rpmの回転数で4分間高剪断攪拌して、コア用重合性単量体混合物の液滴を形成したこと以外は、製造例2と同様にして、体積平均粒径Dvが15μmで、平均円形度が0.975の熱可塑性樹脂粒子(B2)を得た。
〔製造例4〕
(熱可塑性樹脂粒子(B3)の製造例)
ポリエステル樹脂100部(酸価=25mgKOH/g、水酸基価=26mgKOH/g、ガラス転移点=74℃、重量平均分子量=18万)、カーボンブラック4部、クロム・アゾ錯体1.5部及び低分子量ポリプロピレン・ワックス2部からなる組成物を予備混合し加圧ニーダーで混練した後、粉砕分級して体積平均粒径Dvが9.0μmで、平均円形度が0.945の熱可塑性樹脂粒子(B3)を得た。
〔実施例1〕
製造例1で得た熱硬化性樹脂粒子(A1)100部に、製造例2で得た熱可塑性樹脂粒子(B1)30部を乾式混合することにより、粉体塗料1を得た。
粉体塗料1を容積2.8リットル、深さ150mmの容器に入れて加振塗装機を用いて加振した。次いで、表面に粘着層が形成されたリン酸亜鉛処理鋼板を容器に投入して、2分間加振し、粉体塗料1を鋼板の表面に付着させた。この鋼板を取り出し、熱風乾燥機に入れて、200℃で20分間熱処理を行なって塗料皮膜を形成させた。この粉体塗料皮膜の特性を評価した。結果を表1に示す。
なお、加振塗装機は、加振装置上に配置された容器に、表面に粘着層が形成された被塗装物と粉体塗料とを入れ、加振装置により容器に振動を与えて被塗装物の表面に皮膜を形成するものである。
その具体的な構造を図1に示す。
上記の容器Cは、金属からなっており、上部に開口部c1を有する碗状に形成されており、また、その底部c2の中央部を上方に膨出させることにより、開口部c1と同程度の高さに到達する柱状部c3が突設されている。加振装置Vは、機台Fの上に振動板f3が配置されているものであり、その機台Fにはコイルスプリングf1及びf2を設けて振動板f3と連結されている。振動板f3の中央部から上部に突設して設けられた垂直軸f4の上端部に、容器Cの柱状部c3が取着されている。また、振動板f3の中央部から下部にはモーターf5が取着され、そのモーターf5の出力軸f6には、重錘f7が偏心して取着されている。従って、モーターf5を回転させることにより、偏心した重錘f7が回転されて、振動板f3上に取着された垂直軸f4を介して容器Cが加振されるように設定されている。
〔比較例1〕
熱可塑性樹脂粒子(B1)の量を5部とするほかは、実施例1と同様にして粉体塗料C1を得、これから、粉体塗料皮膜を作成して、その特性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例2〕
製造例1で得た熱硬化性樹脂粒子(A1)100部に、製造例3で得た熱可塑化性樹脂粒子(B2)70部を乾式混合することにより、粉体塗料C2を得、これから、粉体塗料皮膜を作成して、その特性を評価した。結果を表1に示す。
〔比較例3〕
製造例1で得た熱硬化性樹脂粒子(A1)100部に、製造例4で得た熱可塑性樹脂粒子(B3)30部を乾式混合することにより、粉体塗料C3を得、これから、粉体塗料皮膜を作成して、その特性を評価した。結果を表1に示す。
Figure 2008106132
表1の結果から、以下のことが分る。
熱可塑性樹脂粒子の配合量が本発明で規定する範囲より少ないと、表面平滑性及び光沢度の点で劣る(比較例1)。また、熱可塑性樹脂粒子の配合量が本発明で規定する範囲より多いと、密着性の点で劣る(比較例2)。
熱可塑性樹脂粒子の平均円形度が0.950未満であると、流動性が悪く、表面平滑性及び光沢度の点で著しく劣る(比較例3)。
これに対し、本発明によれば塗膜表面の平滑性に優れ、ムラの少ない良好な塗膜を得ることができる粉体塗料を得ることができる。
本発明の粉体塗料を用いて皮膜形成を行なうための塗装機の一例の概略断面図である。
符号の説明
C…容器、c1…開口部、c2…底部、c3…柱状部、V…加震装置、F…機台、f1及びf2…コイルスプリング、f3…振動板、f4…垂直軸、f5…モーター、f6…出力軸、f7…重錘、T…混合体、W…被塗装物。

Claims (7)

  1. 熱硬化性樹脂粒子と、該熱硬化性樹脂粒子100重量部に対して10〜50重量部の熱可塑性樹脂粒子とを含有してなり、該熱可塑性樹脂粒子が0.950〜0.995の平均円形度を有するものであることを特徴とする粉体塗料。
  2. 表面に粘着層を有する被塗装物に、皮膜形成媒体を用いて又は用いずに、粉体塗料を付着させた後、熱処理を行なうことによって粉体塗料皮膜を形成する皮膜形成方法に使用される粉体塗料である請求項1に記載の粉体塗料。
  3. 熱可塑性樹脂粒子が1〜20μmの体積平均粒径を有するものである請求項1又は2に記載の粉体塗料。
  4. 熱可塑性樹脂粒子がコア/シェル型構造を有するものである請求項1〜3のいずれか1項に記載の粉体塗料。
  5. 熱可塑性樹脂粒子が55%以上の流動性を有するものである請求項1〜4のいずれか1項に記載の粉体塗料。
  6. 熱可塑性樹脂粒子が水系媒体中における重合によって得られるものである請求項1〜5のいずれか1項に記載の粉体塗料。
  7. 熱可塑性樹脂粒子が懸濁重合によって得られるものである請求項6に記載の粉体塗料。
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