JP2008103103A - アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極 - Google Patents
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Abstract
【課題】本発明は、より一層低コストで、円筒型等の捲回構造にも使用できる、アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極を提供することを目的とする。
【解決手段】本発明のアルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に、水素吸蔵合金が充填されてなることを特徴とする。
【選択図】なし
【解決手段】本発明のアルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に、水素吸蔵合金が充填されてなることを特徴とする。
【選択図】なし
Description
本発明は、新規なアルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極に関する。
一次電池とともに二次電池が携帯用、移動用、産業用など様々な分野に用いられている。二次電池としては、鉛電池、アルカリ電池、リチウムイオン電池などが広く使われている。このうち、アルカリ電池は、信頼性が高く、寿命が長く、リチウムイオン電池より安価であり、さらに小型軽量化が可能であるため特に広く使われている。
アルカリ二次電池には、ニッケル−水素電池が代表として挙げられる。このニッケル−水素電池は、正極に焼結式ニッケル正極又は発泡状ニッケル正極を、負極に水素吸蔵合金負極を有する。
この水素吸蔵合金負極としては、例えば、特許文献1に代表されるように、水素吸蔵合金の粉末を、フッ素樹脂などの結着剤を用いて、発泡状ニッケル、パンチングメタル等の集電支持体に保持させた水素吸蔵合金負極が提供されている。この方式はペースト式(又はプラスチックボンデッドタイプ)と呼ばれている。このような集電支持体を用いた水素吸蔵合金としては、その他にも、例えば特許文献2〜4などに提案されている。
このペースト式水素吸蔵合金負極において、集電支持体(集電体)に発泡状ニッケルを使用した場合、高価なニッケルを多量に使用してしまう上、発泡状ニッケルの製造に複雑な工程を要することから、非常にコストがかかる問題が生じている。
そこで、近年、低コスト化を図るため、ペースト式負極において、集電支持体に、発泡状ニッケルではなく、パンチングメタル等の二次元構造の集電体を使用したペースト式負極が主として使用されている。
このような二次元構造集電体を使用した負極としては、例えば、ニッケル金属又はニッケルメッキした金属からなるパンチングメタル、エキスパンドメタル、金属箔から選択されるいずれかの集電体と水素吸蔵合金とで構成される負極(特許文献5)、複数の貫通孔が、芯材の長手方向に沿って平行する直線状に設けられており、各貫通孔が、それぞれ、10mm2以下の開口面積であって、少なくとも2組以上の平行な対辺を有する集電体を有する負極(特許文献6)、パンチングメタル基材上に、水素吸蔵合金粉末を活物質とする電極合剤層を、非穴開け部に電極合剤層のない基材露出部が生じるように設けたのち、長手方向に沿ってロール加圧し、裁断して、幅方向周縁に基材露出部を有する水素吸蔵合金負極(特許文献7)などが提供されている。
しかしながら、二次元構造集電体に代表されるパンチングメタルは、鉄板に孔を開けて製造されるため、当該孔を開ける工程が必要なことはもちろん、くり抜かれた鉄板(通常使用する鉄板の半分程度)が無駄になるため当該鉄板のリサイクル工程も必要となる。さらに、パンチングメタル、エキスパンドメタル等は、耐電解液性を持たせるため、その表面にニッケルめっきを施す必要がある。したがって、二次元集電体を使用した負極は、発泡状ニッケルを使用した場合よりは低コストになるものの、より一層改良の余地がある。
そこで、このような集電支持体を持たない水素吸合金極、いわゆる加圧式といわれる水素吸蔵合金負極も提案されている。
特許文献8及び9には、水素吸蔵合金粉末を乾式造粒法、半乾式造粒法又は湿式造粒法を用いて造粒した後、成形加工してなる集電支持体を含有しない水素吸蔵合金成形体に、バインダ溶液を含浸させた後、乾燥により溶媒を取り除き、成形体内部にバインダを含有させることを特徴とする水素吸蔵合金成形体の製造方法が提案されている。
しかしながら、この加圧式電極では、工程上、電極の厚さを薄くすることに限界があり、また、支持体を有していないため折り曲げ強度等が弱い問題が生じている。従って、円筒型では通常採用される正極、セパレータと電極群を構成しての捲回工程が、極めて困難である。
特開平5-062671号公報
特開平11-003705号公報
特開2003-151540号公報
特開平5-166506号公報
特開2002-334695号公報
特開2002-343366号公報
特開2002-319395号公報
特開2002-158003号公報
特開2001-351618号公報
したがって、より一層低コストで、円筒型等の捲回構造にも使用できる、アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極の提供が求められている。
本発明者らは、上記従来技術に鑑み、鋭意研究を重ねた結果、特定の構造を有する負極を採用することにより、上記問題点を解決するに至った。すなわち、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布を、水素吸蔵合金負極の骨格に採用することにより、予想外にも、金属からなる導電性集電支持体を有していないにもかかわらず、当該集電支持体を用いた負極と同様の充放電特性、電池寿命等を有することを見出した。これにより、優れた放電特性を有しながら、低コスト及び軽量化でき、さらに捲回構造にも耐えうる強度を有する水素吸蔵合金負極を開発するに至った。
すなわち、本発明は、以下の水素吸蔵合金負極及びアルカリ二次電池に関する。
項1.ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に、水素吸蔵合金が充填されてなる、アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極。
項2.さらに導電剤を含有する、項1に記載の負極。
項3.前記導電剤が、カーボンブラック、活性炭及びニッケル粉末からなる群から選択された少なくとも1種である、項2に記載の負極。
項4.前記導電剤の含有量が水素吸蔵合金100重量部に対して5重量部以下である、項2又は3に記載の負極。
項5.前記不織布があらかじめ交絡処理されてなる、項1〜4のいずれかに記載の負極。
項6.負極表面の少なくとも一方面に多孔性ニッケル板が圧着されてなる、項1〜5のいずれかに記載の負極。
項7.前記多孔性ニッケル板が負極表面の両面に圧着されてなる、項6に記載の負極。
項8.前記多孔性ニッケル板が発泡状ニッケル又はニッケルメッキ処理された不織布である項6又は7に記載の負極。
項9.項1〜5のいずれかに記載の負極の一部が電槽と直接接触してなる、アルカリ二次電池。
項10.項1〜8のいずれかに記載の負極を具備する、アルカリ二次電池。
本発明のアルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極は、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に、水素吸蔵合金が充填されてなることを特徴とする。ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布を水素吸蔵合金負極の骨格に採用することにより、従来のパンチングメタル、焼結ニッケル等の金属からなる導電性集電支持体を有する負極よりも低コスト化及び軽量化できる。また、不織布である骨格を有しているため、捲回構造にも十分耐えうる強度を有する。しかも、金属からなる導電性集電支持体を有していないにもかかわらず、予想外にも、金属支持体と同程度の充放電特性、電池寿命等を有する。
本発明で使用される水素吸蔵合金は限定的でなく、アルカリ二次電池の負極として一般的に使用されているものを使用すればよい。例えば、Mm(ミッシュメタル(La、Ce、Nd、Pr))−Ni系合金、Ti−Ni系合金、(Ti2-XZrXV4-yNiy)1-zCrz系合金(x=0〜1.5、y=0.6〜3.5、z=0.2以下)、Ti−Mn−Ni系合金、Zr−Mn−Ni系合金等の水素吸蔵合金を好適に用いることができる。特に、Mm(La、Ce、Nd、Pr)−Ni系合金が好ましい。これらの水素吸蔵合金は、平均粒径が100μm程度以下(特に5〜30μm程度)であることが好ましい。
不織布は、ポリオレフィン系樹脂を主成分として構成されるが、このような不織布は公知又は市販のものを使用することができる。不織布中、ポリオレフィン系樹脂が60重量%程度以上(好ましくは80重量%程度以上)含有されていればよいが、本発明の不織布は、実質的にポリオレフィン系樹脂から構成されることが好ましい。ポリオレフィン系樹脂を使用することにより、耐電解液性、すなわち耐アルカリ性に優れる。なお、上記以外の樹脂等の使用も考えられるが、例えば、ポリアミド系樹脂等を用いると、電解液とポリアミド系樹脂との反応により、樹脂の強度が弱くなり、電池性能が劣る。また、当該反応により、窒素化合物等の不純物が発生し、その結果、自己放電、電池寿命等に悪影響を及ぼす。これに対し、本発明は、ポリオレフィン系樹脂を負極骨格の主成分とすることにより、当該不純物の発生を抑制又は解消することができ、良好な電池寿命等を発揮できる。
当該不織布を構成するポリオレフィン系樹脂も、公知又は市販のものを使用できる。このようなポリオレフィン系樹脂としては、例えば、ポリエチレン樹脂、ポリプロピレン樹脂、ポリブテン樹脂等のオレフィン単独共重合体からなる繊維、エチレン−プロピレン共重合体、エチレン−ブテン共重合体、プロピレン−ブテン共重合体等のオレフィン共重合体からなる繊維、これらの繊維の混合物等が好ましく挙げられる。また、2種以上の樹脂成分を有する芯鞘型複合繊維であってもよい。
この中でも、特にポリエチレン樹脂繊維とポリプロピレン樹脂繊維との混合物が好ましく挙げられる。すなわち、ポリオレフィン系樹脂繊維がポリエチレン樹脂繊維及びポリプロピレン樹脂繊維から選ばれた繊維のうち少なくとも1種であることが好ましい。そのほか、ポリプロピレン樹脂繊維を芯成分とし、ポリエチレン樹脂を鞘成分とした芯鞘型複合繊維も好ましい。ポリエチレン樹脂繊維(又は鞘成分):ポリプロピレン樹脂繊維(芯成分)の重量割合は、通常20〜100:80〜0程度とすればよく、好ましくは60〜90:40〜10である。特にポリエチレン樹脂とポリプロピレン系樹脂の混合物又は芯鞘型複合繊維を使用することが好ましい理由としては、交絡処理を行って不織布の強度を向上させる場合に、樹脂同士がより強固に結合するため、より一層不織布の強度を向上させることができるからである。
樹脂繊維の平均繊維径は、通常9〜50μm程度、好ましくは12〜40μm程度である。平均繊維長は、通常5〜100mm程度、好ましくは30〜70mm程度である。
ポリオレフィン系樹脂繊維を構成するポリオレフィン系樹脂の分子量及び密度は特に限定されず、不織布の融点等に応じて適宜決定すればよい。
例えば、ポリエチレン樹脂を使用する場合は、低密度ポリエチレン、線状低密度ポリエチレン、中密度ポリエチレン、高密度ポリエチレンのいずれも採用できるが、低密度ポリエチレン及び線状低密度ポリエチレンが特に好ましい。これら低密度ポリエチレン等は融点が低いため、容易に溶融・結合できる。このため、不織布に熱処理(交絡処理)を施すことにより不織布の強度を向上させる際、当該ポリエチレン樹脂同士(又は当該ポリエチレン樹脂と他の樹脂)がより強固に結合することができ、不織布の強度をより向上させることができる。
ポリエチレン樹脂の分子量(重量平均分子量)については限定的でないが、1000〜30000程度であることが好ましく、密度は0.91〜0.93g/m3程度であることが好ましい。
ポリプロピレン樹脂を使用する場合、分子量(重量平均分子量)は限定的でないが、好ましくは1000〜30000程度であり、密度は好ましくは0.90〜0.92g/m3程度である。
本発明の不織布は三次元構造であれば良い。換言すれば、この骨格内に不織布内部に水素吸蔵合金が充填され得る空孔が存在する構造を有する、すなわち、多孔質体であればよい。
不織布の目付け重量は限定的でなく、通常15〜80g/m2程度、好ましくは、20〜70g/m2程度とすればよい。この範囲とすることにより、不織布の強度を向上させることができ、円筒型等の捲回構造にしても破損しない。
なお、不織布は、公知の乾式法及び湿式法のいずれかで製造されるが、本発明ではいずれの方法で製造されたものでもよい。乾式法としては、具体的には、カート法、エアレイ法、メルトブロー法、スパンボンド法等が挙げられる。湿式法は、単繊維を水中に分散し網状のネット上に漉き上げて生成する方法等が挙げられる。本発明では、目付及び厚みのばらつきが小さく、厚みが均一な集電体を製造できる観点から、湿式法により得られた不織布を使用することが好ましい。
本発明の不織布は、交絡処理が施されたものを使用することが好ましい。これらの処理を施すことにより、不織布の各繊維間の結合を強固なものとし、不織布(ひいては負極)の機械的強度を高めることができる。
本発明の交絡処理は、常法に従って行うことができ、例えば、ニードルパンチ法、水流交絡法等の従来行われている交絡方法のほか、熱処理等も挙げられる。これらの処理は1種単独でも2種以上組み合わせて行っても良い。
交絡処理のための熱処理は、不織布を構成する低融点の樹脂繊維が軟化する程度までの温度範囲で加熱すればよく、例えば、ポリエチレン樹脂を使う場合は通常90〜140℃程度(好ましくは100〜130℃程度)とすればよい。熱処理雰囲気は、通常、窒素雰囲気等の不活性雰囲気下、または大気中等で行えばよい。
本発明の負極は、水素吸蔵合金粉末が実質的に不織布中に包まれている状態(内包されている状態)であることが好ましい。水素吸蔵合金は、充放電過程で膨潤(充電)及び収縮(放電)を繰り返し微粉化して、その結果、膨潤により合金粉末の結合が弱まるが、上記状態にすることにより、この膨潤による合金粉末の結合の低下を抑えることができる。つまり、不織布(骨格)が、負極を支える骨格の役割だけでなく、吸蔵合金同士を結着させるバインダの役割も果たすことができるため、電池寿命等をより向上させることができる。
また、不織布には適宜公知の結合剤を含んでいてもよい。この結合剤は、例えば、後述する結着剤に例示するものが挙げられる。
水素吸蔵合金100重量部に対して不織布は通常1〜7重量部程度、好ましくは2〜5重量部程度とすればよい。
本発明の負極は、不織布及び水素吸蔵合金のほか、必要に応じて、導電剤、結着剤、増粘剤等の添加物を含有していてもよい。
導電剤は、通常アルカリ二次電池用負極に使用されているものが挙げられる。例えば、アセチレンブラック等のカーボンブラック、活性炭、ニッケル粉末などが好適に挙げられる。含有量は、水素吸蔵合金100重量部に対して、通常5重量部以下、好ましくは0.5〜3重量部程度である。
結着剤(バインダ)としては、水素吸蔵合金を結着できる機能を有するものであれば、特に制限なく使用できる。例えば、ポリフルオロエチレン、ポリテトラフルオロエチレン等のフッ素系樹脂、ポリビニルアルコール、ポリアクリル酸、ポリエチレンオキサイド、ポリビニルピロリドン、スチレンブタジエン樹脂(SBR)等が挙げられ、特に、フッ素系樹脂又はSBRが好ましい。これらの含有量は限定的でないが、水素吸蔵合金100重量部に対して、通常7重量部(固形分)程度以下、好ましくは0.5〜3重量部(固形分)程度である。
増粘剤としては特に限定されず、例えば、メチルセルロース、カルボキシメチルセルロース(CMC)、キサンタンガム、グァーガム、ペプチン等が挙げられ、好ましくは、CMC等が挙げられる。なお、これら増粘剤は、通常、水分散体の形態で添加される。これらの含有量は限定的でないが、水素吸蔵合金100重量部に対して、通常3重量部(固形分)程度以下、好ましくは0.3〜1重量部(固形分)程度である
本発明の負極の厚さはアルカリ二次電池の用途、形態等により適宜決定されるが、通常200〜700μm程度、好ましくは300〜600μm程度とすればよい。
アルカリ二次電池
本発明のアルカリ二次電池は、負極として本発明の水素吸蔵合金負極を使用しているものであれば限定的でなく、例えばニッケル−水素電池等が挙げられる。
本発明のアルカリ二次電池は、負極として本発明の水素吸蔵合金負極を使用しているものであれば限定的でなく、例えばニッケル−水素電池等が挙げられる。
本発明のアルカリ二次電池を構成するニッケル正極、セパレータ及び電槽は限定的でなく、公知又は市販のものを使用することができる。
本発明の負極を、単三型電池、単四型電池等の小型電池に使用する場合、負極の一部を電槽と直接接触させることが好ましい。これにより、電槽が電槽本来の役割に加え負極端子の役割も兼ねることにより、別途新たに負極端子を使用する必要がなくなり、端子取出しを不要とできる。また、充放電特性、寿命等の点においても、従来のパンチングメタル等の金属集電支持体を用いた水素吸蔵合金負極と同程度以上の性能を発揮することができる。
なお、角型電池の場合、電槽が樹脂からなる場合があるが、そのような場合は、必要に応じて端子を取り出せばよく、また、適宜電槽を金属めっき等により導電性を付与してもよい。
一方、単一型電池、単二型電池、SubC型電池等の中型、大型電池(高容量型電池)に使用する場合、通常負極にリード板等のリード端子を設けることが好ましい。
リード板を設けるにあたって、あらかじめ本発明の負極に多孔性ニッケル板等の導電性金属板を圧着させた負極(金属板付き負極)を使用すればよい。多孔性ニッケル板等の金属板を圧着させた負極を用いて、当該金属板(端子取付け部)にリード板を溶接することにより、当該金属板を介して本発明負極にリード板を強固に設ける(結合させる)ことができる。
また、前記金属板は負極の少なくとも一方面に設けられていればよいが、負極の両面に設けられていることが特に好ましい。負極の両面から金属板が固定することにより、より強固に当該金属板が固定されることとなる。
前記金属板は多孔性ニッケル板が好ましく、より具体的には発泡状ニッケル、ニッケルメッキ処理された不織布(ニッケルめっき不織布)等が挙げられる。これら多孔性ニッケル板を用いることにより、超音波溶接のほか、スポット溶接等が可能になり、容易に負極表面に設けることができる。これら発泡状ニッケル及びニッケルめっき不織布は、公知又は市販のものを使用すればよい。
水素吸蔵合金負極の製造方法
本発明の負極は、例えば、水素吸蔵合金を含有するペースト組成物を、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に充填した後、必要に応じて乾燥し、次いで、ペースト組成物充填不織布を加圧成形することにより得られる。
本発明の負極は、例えば、水素吸蔵合金を含有するペースト組成物を、ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に充填した後、必要に応じて乾燥し、次いで、ペースト組成物充填不織布を加圧成形することにより得られる。
水素吸蔵合金及び不織布は上記したものである。なお、充填される前の不織布は、空孔率が、通常85〜98%、好ましくは90〜96%程度であるのものを使用すればよい。この範囲とすることにより、不織布に水素吸蔵合金を多く充填することができ、負極の充填密度を向上させることができる。なお、この空孔率は、不織布の面積、厚さ及び密度から計算して導くことができる。
ペースト組成物は、水素吸蔵合金及び溶媒を含有している限り限定的でなく、その他の添加物として、上記した導電剤、結合剤、増粘剤等を含んでいてもよい。また、ペースト組成物を不織布により一層充填しやくするため、公知の界面活性剤を適宜添加してもよい。
ペースト組成物の溶媒は限定的でないが、通常は水等を用いればよい。
ペースト組成物中に含まれる水素吸蔵合金、溶媒、その他の添加物の含有量は限定的でなく、水素吸蔵合金及び添加物は上記負極の配合割合となるように適宜調製すればよい。
例えば、水素吸蔵合金100重量部に対して、溶媒は15〜30重量部程度、必要に応じて、導電剤0.3〜3重量部程度、結着剤(固形分)0.1〜3重量部程度、増粘剤(固形分)0.1〜0.5重量部とすればよい。
ペースト組成物を不織布に充填した後、ペースト組成物充填不織布を加圧成形する。これにより、水素吸蔵合金粉末間の結合性及び接触面積が高まり、より優れた導電性が発揮される。
加圧方法は、例えば、上下加圧式による加圧方法、ローラプレス機による加圧方法などが挙げられ、本発明では、多量生産できる観点から、特にローラプレス機による加圧方法が好ましい。
上記加圧成形する場合、加圧後の不織布の厚さと加圧前の不織布の厚さとの比が1:1.2〜1.8倍程度となるように、加圧成形することが好ましい。加圧が不十分であり、加圧成形後の厚さが厚い(すなわち、加圧前の厚さ/加圧後の厚さが1.2を下回る)と、ペースト組成物を均一に不織布中に充填することが困難になる。一方、加圧を過度に行い、加圧成形後の厚さを薄くし過ぎる(すなわち、加圧前の厚さ/加圧後の厚さが1.8を上回る)と、不織布中の空孔が閉塞することにより、不織布の表面上にペースト組成物(水素吸蔵合金粉末)が表出することになる。この結果、表出した水素吸蔵合金粉末は、不織布中に包まれていないため、充放電時による膨潤(ふくれ)が促進されて、電池寿命が劣化するおそれがある。
なお、不織布骨格中に水素吸蔵合金粉末をペースト状にして充填するが、当該合金粉末の不織布表面への付着は、できるだけ避けることが好ましい。これにより、水素吸蔵合金粉末が実質的に不織布中に包まれている状態(内包されている状態)にすることができる。
必要に応じて、ペースト組成物を充填後、加圧成形前に乾燥処理を行えばよい。乾燥処理は限定的でないが、通常は室温(30〜90℃)程度の範囲で一定時間放置することに行われる。
さらに必要に応じて、不織布骨格に水素吸蔵合金粉末を充填後に不織布を構成しているポリオレフィン樹脂繊維を熱処理してもよい。これにより、当該樹脂繊維軟化(溶融)させて水素吸蔵合金粉末と繊維との接触強度を上げ、より強固な負極を製造することができる。熱処理温度はポリオレフィン樹脂繊維を溶融できる温度である限り特に限定されない。
本発明の水素吸蔵合金負極によれば、負極用の支持体としてポリオレフィン系樹脂三次元構造不織布を用いるため、パンチングメタル、発泡状ニッケル等の金属を集電支持体として用いた負極よりも、軽量であり、かつ低コストである。低コストに関しては、従来の支持体よりも数分の一の価格とすることができる。特に高出力を連続的に必要としない一般用又は小型用(単三型電池、単四型電池等)では、充放電特性、電池寿命等において、パンチングメタル、発泡状ニッケル等を支持体として用いた負極と同等程度以上の特性を発揮する。すなわち、本発明の負極は、負極の大部分を占める支持体をポリオレフィン系不織布としたことにより、従来の負極と同等程度の充放電特性、電池寿命等を維持しながら、軽量化でき、かつ数分の一という価格で製造できる。これらから、本発明の負極は、ニッケル−水素電池用水素吸蔵合金負極として工業的価値が非常に高いものである。
また、単一型電池、単二型電池等以上の高容量型の電池に使用する場合でも、上記導電性の金属板を必要に応じて設けた負極を使用すれば、小型用電池と同様の効果が得られ、工業的価値に非常に優れる。
本発明の負極を用いたアルカリ二次電池は、電動工具用、デジタルカメラ、ビデオカメラ、小型オーディオ、シェーバー、電動歯ブラシ、各種玩具、ノート型パソコン、メモリーバックアップ用等の一般用電池;ハイブリッド車、電気自動車用、据え置き用等の高容量用電池等に幅広く用いることができる。
以下に実施例及び比較例を示し、本発明をより詳細に説明する。なお、本発明は、下記の実施例に限定されるものではない。
実施例1(単三型電池)
ポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維(ポリエチレン樹脂:ポリプロピレン樹脂の重量比が7:3)を用い、これを水中に分散させ、布状に交絡させた後、大気雰囲気中80℃の条件下で15分間加熱及び乾燥した。次いで、さらに大気雰囲気中130℃の条件下で15分間加熱することにより当該繊維の交差部を融着させて、実施例1の不織布を得た。
ポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維(ポリエチレン樹脂:ポリプロピレン樹脂の重量比が7:3)を用い、これを水中に分散させ、布状に交絡させた後、大気雰囲気中80℃の条件下で15分間加熱及び乾燥した。次いで、さらに大気雰囲気中130℃の条件下で15分間加熱することにより当該繊維の交差部を融着させて、実施例1の不織布を得た。
実施例1の不織布は、平均厚さ0.70mm、多孔度92%、孔径15〜170μm、平均繊維径15μm、目付け重量45g/m2、ポリエチレン:ポリプロピレンの重量比が7:3であった。
次いで、Mm、Ni、Mn、Al及びCoを、MmNi4.1Mn0.3Al0.3Co0.35 となるようにアーク溶解炉で溶解して水素吸蔵合金を製造した。この合金を不活性雰囲気中で粒度300メッシュ以下に粉砕して、粉末状にした。
得られた粉末状合金にCMC0.5重量%水溶液(増粘剤)、アセチレンブラック(導電剤)、SBR水性エマルジョン(固形分50重量%)を添加し、ペースト組成物を調製した。調製は、ペースト組成物中の各配合割合が、粉末状合金82重量%、CMC(固形分)0.15重量%、アセチレンブラック1.0重量%、SBR(固形分)1.5重量%、その残りが水となるように行った。
このペースト組成物15gを上記不織布0.31g内に圧入した。なお、ペースト組成物にさらに0.2g程度の界面活性剤を用いると充填はより一層容易になった。
このペースト組成物充填不織布(厚さ平均800μm)を、長さ140mm、幅45mmに裁断し、ローラ間(ローラの直径:300mm、スリット:100μm)に100cm/分の速さで通過させることにより、加圧して、実施例1の水素吸蔵合金負極を得た。これを負極aとした。負極aの厚さは平均390μmであった。
対極の正極には、発泡状ニッケル集電体に、正極活物質としてオキシ水酸化コバルトで表面を被覆した水酸化ニッケルを主とするペースト組成物を充填することにより得られた電極(長さ110mm、幅45mm、600μm)を用いた。水酸化ニッケルの充填量から公称容量は2.0 Ahであった。
セパレータには、親水性処理したポリプロピレン不織布(厚さ130μm)を用いた。電解液には、水酸化リチウムを30g/l溶解した30重量%水酸化カリウム水溶液を用いた。
これら実施例1の負極、正極、セパレータ及び電解液を用いて、単三型の円筒形ニッケル−水素電池を作製し、これを実施例1の電池Aとした。
比較例1
実施例1で作製したペースト組成物同量を、ニッケルめっき処理された鉄製のパンチングメタル集電体(厚さ80μm、開孔度50%、孔径400μm、ニッケルめっき厚さ平均3μm、約13g/m2)に塗着することにより、比較例1の水素吸蔵合金負極を作製した。この負極をbとした。この負極bを用いた以外は実施例1と同様にして単三型の円筒形ニッケル−水素電池を作製し、これを比較例2の電池Bとした。
実施例1で作製したペースト組成物同量を、ニッケルめっき処理された鉄製のパンチングメタル集電体(厚さ80μm、開孔度50%、孔径400μm、ニッケルめっき厚さ平均3μm、約13g/m2)に塗着することにより、比較例1の水素吸蔵合金負極を作製した。この負極をbとした。この負極bを用いた以外は実施例1と同様にして単三型の円筒形ニッケル−水素電池を作製し、これを比較例2の電池Bとした。
比較例2
実施例1で作製したペースト組成物同量を、発泡状ニッケル集電体(ニッケル目付け重量350g/m2、多孔度95%)に充填することにより、比較例2の水素吸蔵合金負極cを作製した。この負極cを用いた以外は実施例1と同様にして単三型の円筒形ニッケル−水素電池を作製し、これを比較例2の電池Cとした。
実施例1で作製したペースト組成物同量を、発泡状ニッケル集電体(ニッケル目付け重量350g/m2、多孔度95%)に充填することにより、比較例2の水素吸蔵合金負極cを作製した。この負極cを用いた以外は実施例1と同様にして単三型の円筒形ニッケル−水素電池を作製し、これを比較例2の電池Cとした。
なお、これら実施例1、比較例1〜2の電池(A,B,C)は、ニッケル極(正極)による放電容量を同一にするために、いずれのニッケル極も同一の大きさ及び厚さ(長さ110mm、幅45mm、厚さ600μm)とし、また、負極と正極の計算容量比(N/P比)を1.6程度になるように設計した。具体的には、本発明の電池Aでは1.65、比較例の電池Bでは1.59、電池Cでは1.58であった。
なお、本発明の電極aは、不織布を骨格としていることにより加圧により圧縮されやすく、比較例の負極b,cよりも、負極中の水素吸蔵合金の充填密度を高くすることができた。また、比較例b,cの負極を、比較例b,cを本発明の負極aと同様の充填密度になるように圧縮すると、比較例b,cのニッケル骨格が破損した。
試験例(充放電特性、電池寿命試験)
電池A、電池B及び電池Cについて、0.1Cで容量の140%充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電、0.2Cで120%の充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電を2回、0.5Cで115%の充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を2回行って化成とした。
電池A、電池B及び電池Cについて、0.1Cで容量の140%充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電、0.2Cで120%の充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電を2回、0.5Cで115%の充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を2回行って化成とした。
その後、各電池を0.5Cで−ΔV(3mV)方式の電流で充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を室温25℃で繰返した。15サイクル後に25℃で充電後に周囲温度を35℃にして0.5、1及び1.5C放電を終止電圧0.8Vとして行った。表1に各電池の放電時の10セルの平均中間電圧の値を示す。
正極、セパレータ及び電解液は各電池とも同じであるため、表1の放電電圧の差は水素吸蔵合金負極の特性の差を示すこととなる。表1から明らかなように、本発明の電池Aは、汎用のパンチングメタルを負極集電体とした電池B及び発泡状ニッケルを負極集電体とした電池Cと比較して、ほぼ同じ程度の放電電圧を示している。このため、本発明の電池Aは、実用的に問題がないことが分かった。なお、放電容量に関しても、各電池(A、B、C)は、ニッケル極律即であり、0.5C放電で利用率約98%、1C放電で約96%、1.5C放電で約95%であり、各電池間に差は認められなかった。
次に、各電池について、0.5Cで−ΔV(3mV)方式の電流で充電及び1Cで0.9Vまでの放電を、25℃で1300サイクル繰返した。充放電サイクル初期である4サイクルで、いずれの電池も、公称容量の102%程度であったので、これを100%として、充放電サイクルによる利用率の変化(%)を求めた。その結果、いずれの電池も300サイクルまでは、100%を維持し、500サイクルで98%、700サイクルで92%であり、各電池間に差はなかった。これは、正極律即であることを証明したものであり、いずれの電池も負極に問題がなかった。
一方、1200サイクルになると電池AとCは86%であったが、電池Bでは、80%に低下した。その原因としては、電池Bの集電体はパンチングメタルを用いた二次元構造であり、三次元構造中に水素吸蔵合金が保持されていない。このため、合金の充放電による繰返しの結果で生ずる微粉化が促進される。それに伴い電解液を吸収し、結果としてセパレータ中の電解液の枯渇化が他の電池A,Cよりも促進したことが原因であると推察される。
以上の結果から、本発明の水素吸蔵合金負極は、水素吸蔵合金の持つ導電性能及び三次元構造を有する不織布による保持等により、比較例のパンチングメタル集電体又は発泡状ニッケル集電体を用いた負極と同程度又はそれ以上の特性を持つことが分かった。
軽量化については、本発明の支持体はポリオレフィン不織布であり、その目付重量は45g/m2であり、ポリオレフィン不織布の目付重量は、最大が80g/cm2程度であるのが通常である(なお、本発明で使用するポリオレフィン不織布の目付重量が80 g/cm2以下であることに限定するものではない)。それに対して、使用されるパンチングメタルは通常250〜500g/m2程度であり、比較例では300g/m2のパンチングメタルを使用した。比較例2の発泡状ニッケルは350g/m2である。なお、市販の発泡状ニッケルは強度の観点から通常350g/cm2程度が下限である。したがって、本発明の支持体の重量は、パンチングメタルの約1/3以下、発泡状ニッケルの約1/4以下とすることができることが分かる。
負極自体で比較すると、実施例1の負極aと比較例1の負極b及び比較例2の負極cとの重量を比較すると、負極aの重量は負極b又は負極cの重量よりも10%以上低減していた。
さらに、本発明は不織布を支持体とするため、発泡状ニッケル、パンチングメタル等を支持体にした負極に比べて、非常に低廉化できる。
実施例2(SubC型電池)
ポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維(ポリエチレン樹脂:ポリプロピレン樹脂の重量比が6:4)を用い、これを水中に分散させ、布状に交絡させた後、大気雰囲気中80℃の条件下で15分間加熱及び乾燥した。次いで、さらに、大気雰囲気中130℃の条件下で15分間加熱することにより当該繊維の交差部を融着させて、実施例2の不織布を得た。
ポリプロピレンを芯成分としポリエチレンを鞘成分とした芯鞘型複合繊維(ポリエチレン樹脂:ポリプロピレン樹脂の重量比が6:4)を用い、これを水中に分散させ、布状に交絡させた後、大気雰囲気中80℃の条件下で15分間加熱及び乾燥した。次いで、さらに、大気雰囲気中130℃の条件下で15分間加熱することにより当該繊維の交差部を融着させて、実施例2の不織布を得た。
実施例2の不織布は、平均厚さ0.90mm、多孔度92%、孔径15〜200μm、平均繊維径20μm、目付け重量50g/m2、ポリエチレン樹脂:ポリプロピレン樹脂の重量比が6:4であった。
この不織布を長さ250mm、幅32mmに裁断した。この中央部に発泡状ニッケル(幅6mm、厚さ1.0mm、長さ30mm、多孔度95%、ニッケル目付重量350g/m2)を両側から加圧することにより一体化した。当該ニッケルが加圧された箇所をリード板取り出し部とした。これを図1に示す。
次いで、この不織布に、実施例1で作製した水素吸蔵合金ペースト組成物26gを充填した。その後、このペースト組成物充填不織布を、ローラ間(ローラの直径:300mm、スリット:100μm)に50cm/分の速さで通過させることにより、加圧して、実施例2の水素吸蔵合金負極を得た。これを負極iとした。負極iの厚さは平均480μmであった。
次いで、この得られた負極にニッケルリード板(幅5mm、厚さ120μm)をスポット溶接により取り付け、この負極を実施例1で用いた正極及びセパレータとともに捲回した後に、リード板を電槽底部に溶接した。これにより得られたSubC型電池を実施例2の電池Iとした。なお、水素吸蔵合金負極の末端部分(最外部分から約30mmの間)は電槽缶に接触させた。
比較例3
実施例1で作製したペースト組成物を実施例2とほぼ同量の重量で用いて、ニッケルめっき処理された鉄製のパンチングメタル集電体(厚さ150μm、開孔度50%、孔径400μm、ニッケルめっき厚さ平均5μm、約22g/cm2)に塗着することにより、比較例3の水素吸蔵合金負極iiを作製した。厚さは平均480μmとした。次いで、電極中央部の合金を幅6mm、長さ30mmにわたって充填した水素吸蔵合金を剥がしてパンチングメタルを露出させて、この露出部をリード板取り付け部とした。
実施例1で作製したペースト組成物を実施例2とほぼ同量の重量で用いて、ニッケルめっき処理された鉄製のパンチングメタル集電体(厚さ150μm、開孔度50%、孔径400μm、ニッケルめっき厚さ平均5μm、約22g/cm2)に塗着することにより、比較例3の水素吸蔵合金負極iiを作製した。厚さは平均480μmとした。次いで、電極中央部の合金を幅6mm、長さ30mmにわたって充填した水素吸蔵合金を剥がしてパンチングメタルを露出させて、この露出部をリード板取り付け部とした。
この負極iiを用いた以外は実施例2と同様にしてSubC型電池を作製し、これを比較例3の電池IIとした。
比較例4
実施例1で作製したペースト組成物を、実施例とほぼ同量の重量で用いて発泡状ニッケル集電体(ニッケル目付け重量400g/m2、多孔度95%)に充填することにより、比較例4の水素吸蔵合金負極iiiを作製した。なお、ペースト組成物充填前に集電体中央部に幅6mm、長さ30mmの部分を加圧しておき、リード取付け部とした。
実施例1で作製したペースト組成物を、実施例とほぼ同量の重量で用いて発泡状ニッケル集電体(ニッケル目付け重量400g/m2、多孔度95%)に充填することにより、比較例4の水素吸蔵合金負極iiiを作製した。なお、ペースト組成物充填前に集電体中央部に幅6mm、長さ30mmの部分を加圧しておき、リード取付け部とした。
この負極iiiを用いた以外は実施例2と同様にしてSubC型電池を作製し、これを比較例4の電池IIIとした。
なお、これら実施例2、比較例3〜4の電池(I,II,III)は、ニッケル極(正極)による放電容量を同一にするために、いずれのニッケル極も同一の大きさ及び厚さ(長さ200mm、幅32mm、厚さ670μm)とし、また、負極と正極の計算容量比(N/P比)をほぼ1.6になるように設計した。具体的には本発明の電池Iでは1.64、比較例の電池IIでは1.59、電池IIIでは1.57であった。また、いずれの電池も水酸化ニッケルの充填量から公称容量は3.5Ahであった。
試験例(充放電特性、電池寿命試験)
電池I、電池II及び電池IIIについて、0.1Cで容量の130%充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電を1回、0.2Cで120%の充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電、0.5Cで115%の充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を各2回行って化成とした。
電池I、電池II及び電池IIIについて、0.1Cで容量の130%充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電を1回、0.2Cで120%の充電、0.2Cで終止電圧0.9Vまでの放電、0.5Cで115%の充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を各2回行って化成とした。
その後、各電池を0.5Cで−ΔV(5mV)方式の電流で充電、0.5Cで0.9Vまでの放電を常温(25℃)で繰返した。15サイクル後に25℃で充電後に周囲温度を35℃にして、0.5、1及び1.5C放電を終止電圧0.8Vにして行った。表2に各電池の放電時の10セルの平均中間電圧の値を示す。
正極、セパレータ及び電解液は各電池とも同じであるので、表2の放電電圧の差は水素吸蔵合金負極の特性の差を表している。表2から明らかなように、本願の電池Iは、パンチングメタルを集電体とした電池II、発泡状ニッケルを集電体とした電池IIIとほぼ同程度の放電電圧を示し、実用的に問題がないことが分かった。
次いで、各電池を、0.5Cで−ΔV(3mV)方式の電流で充電、1Cで0.9Vまでの放電を25℃で1300サイクル繰返した。充放電サイクル初期である8サイクルで、いずれの電池も、公称容量の103%程度であったので、これを100%として、充放電サイクルによる利用率の変化(%)を求めた。
その結果、いずれの電池も300サイクルまでは、100%を維持し、500サイクルで98%、700サイクルで93%であり、各電池間に差はなかった。これは、正極律即であることを証明したものであり、いずれの電池も負極に問題がなかった。一方、1200サイクルになると電池A及びCは87%であったが、電池Bは83%に低下した。その原因としては、電池Bの集電体はパンチングメタルである二次元構造であり、三次元構造中に合金が保持されていないため、合金の充放電による繰返しの結果で生ずる微粉化が促進される。それに伴い電解液を吸収し、結果としてセパレータ中の電解液の枯渇化が他の電池A及びCよりも促進したことが原因であると推察される。
以上の結果から、本発明の水素吸蔵合金負極は、水素吸蔵合金の導電性能と不織布の三次元骨格構造とが相乗的に発揮されるため、比較例のパンチングメタル集電体又は発泡状ニッケル集電体を用いた負極と同程度又はそれ以上の特性を持つことが分かった。
また、実施例2及び比較例3、4の支持体から、実施例1の負極は比較例3及び4の負極よりも軽量化、低廉化できることが分かる。
1.不織布
2.発泡状ニッケル
2.発泡状ニッケル
Claims (10)
- ポリオレフィン系樹脂を主成分とする三次元構造を有する不織布に、水素吸蔵合金が充填されてなる、アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極。
- さらに導電剤を含有する、請求項1に記載の負極。
- 前記導電剤が、カーボンブラック、活性炭及びニッケル粉末からなる群から選択された少なくとも1種である、請求項2に記載の負極。
- 前記導電剤の含有量が水素吸蔵合金100重量部に対して5重量部以下である、請求項2又は3に記載の負極。
- 前記不織布があらかじめ交絡処理されてなる、請求項1〜4のいずれかに記載の負極。
- 負極表面の少なくとも一方面に多孔性ニッケル板が圧着されてなる、請求項1〜5のいずれかに記載の負極。
- 前記多孔性ニッケル板が負極表面の両面に圧着されてなる、請求項6に記載の負極。
- 前記多孔性ニッケル板が発泡状ニッケル又はニッケルメッキ処理された不織布である請求項6又は7に記載の負極。
- 請求項1〜5のいずれかに記載の負極の一部が電槽と直接接触してなる、アルカリ二次電池。
- 請求項1〜8のいずれかに記載の負極を具備する、アルカリ二次電池。
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JP2006282557A JP2008103103A (ja) | 2006-10-17 | 2006-10-17 | アルカリ二次電池用水素吸蔵合金負極 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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JP2008293915A (ja) * | 2007-05-28 | 2008-12-04 | Univ Of Fukui | 水素吸蔵合金含有シート、その製造方法、及びニッケル水素電池 |
-
2006
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