JP3438538B2 - アルカリ蓄電池とその電極の製造法 - Google Patents

アルカリ蓄電池とその電極の製造法

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JP3438538B2 JP19670697A JP19670697A JP3438538B2 JP 3438538 B2 JP3438538 B2 JP 3438538B2 JP 19670697 A JP19670697 A JP 19670697A JP 19670697 A JP19670697 A JP 19670697A JP 3438538 B2 JP3438538 B2 JP 3438538B2
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Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明はアルカリ蓄電池とそ
の電極の製造法に関するものである。
【0002】
【従来の技術】アルカリ蓄電池はその利用機器である通
信機、パーソナルコンピュータなどの携帯化が進むにつ
れて市場規模を拡大してきた。これらの分野においては
最近では軽量かつ高容量な電池への需要が急激に伸びて
いる。また、電動工具、自転車用補助動力など大電流で
の充放電が必要な用途においても、アルカリ蓄電池の需
要は高まっている。
【0003】アルカリ蓄電池用電極の製造法は大別し
て、パンチングメタルなどの導電性芯材にニッケル粉末
と増粘剤とを混練したペーストを塗着し、これを焼結し
た基板に活物質を含浸することによって得られる焼結式
と、発泡メタルやニッケル不織布などの金属多孔体ある
いはパンチングメタル、エキスパンドメタルなどの導電
性芯材に、活物質を含むペーストを充填または塗着して
得られるペースト式とがある。
【0004】ペースト式電極の基板としては、活物質の
導電性が低いニッケル極では発泡メタルやニッケル不織
布などの金属多孔体が使用されている。これらの基板
は、基板中央部に導電性芯材が通っている焼結式基板と
比較して、活物質から電流出入口としての電極端子まで
の集電経路が長いため、大電流での充放電特性が劣る。
また、焼結式基板と比較して総じて基板の空孔径が大き
いため基板強度や活物質の保持力も劣る。ニッケル極に
おいては充放電を繰り返すと活物質の体積が大きく変化
し、電解液を吸収して極板が膨潤する。その際、活物質
の保持力が低いと、基板と活物質粒子との接触性が低下
しやすく、集電能力の劣化が大きい。
【0005】一方、活物質の導電性が比較的高いカドミ
ウム極、水素吸蔵合金極では基板としてパンチングメタ
ルなどの二次元の導電性芯材を使用し、さらに導電性を
補うためにカーボン粉末あるいはその繊維などの導電
材、活物質保持力を補うための結着剤などを添加した電
極が普及している。しかし、導電材の添加によっても大
電流で充放電する場合には集電能力が不足する場合があ
る。
【0006】なお、ニッケル極についても電極製造コス
トの低廉化のため、パンチングメタルなどの二次元の導
電性芯材を使用した電極の検討が従来からなされている
が、適当な導電材、結着剤が得られていないため、充放
電特性、充放電の繰り返し寿命特性が劣るため、まだ実
用化されていない。
【0007】焼結式電極は大電流での充放電特性はペー
スト式より優れているが、ペースト式で用いられている
基板と比べて空孔率が低く、また多孔体の厚みを厚くす
ることが困難であるため単位体積当たりの電池容量はペ
ースト式より低い。さらに焼結式の空孔径はペースト式
のそれより小さいため、必要量の活物質を充填するため
には溶液の含浸を数回くり返す必要があるなど、製法が
繁雑であるという課題もある。
【0008】そこで、従来のペースト式電極と同等の電
池容量を維持するとともに、活物質保持力、集電機能が
改善された、優れた充放電特性をもった電極として、特
開平8−298124号公報において金属板またはネッ
ト等の多孔性素材からなる導電性芯材と、この導電性芯
材の両表面より起毛しているニッケル繊維とが一体化し
た基板(以下、植毛型基板という)を用いた電極が提案
されている。この基板は基板中央部に導電性芯材が配さ
れているため、発泡メタル等の従来のペースト式電極基
板と比較して基板抵抗が低く、優れた充放電特性が得ら
れる。
【0009】これに類似したものとしては、先に公開さ
れた特開昭61−293618号公報で、ステンレス鋼
網に繊維状ニッケルを植毛し、これを圧延して、焼結し
た基板が提案されている。これは、上述したような焼結
式極板において焼結されたニッケル基板の亀裂発生や、
基板厚みの制御が不可能となるといった不都合を解決す
るものである。
【0010】また、特開平8−144153号公報で
は、炭素繊維を含む糸条からなる基布層と基布層より起
毛した立毛部からなる炭素繊維パイル布帛が提案されて
いる。これは、二次電池、特にナトリウム−硫黄電池の
電極導電材(基板)として使用することをねらいとした
ものであり、アルカリ蓄電池用電極基板としては使用で
きない。
【0011】
【発明が解決しようとする課題】植毛型基板は導電性芯
材の両面に接着剤を塗布した後、樹脂繊維を静電植毛な
どにより植毛したものにニッケルを被覆し、続いて樹脂
繊維、接着剤を熱分解除去してから焼結する方法、ある
いはニッケル繊維またはニッケル粉末と樹脂とを混練、
成型して得られた繊維をあらかじめ接着剤が塗布されて
いる導電性芯材に植毛し、続いて繊維成型用樹脂、接着
剤を熱分解除去してから焼結する方法などによって得ら
れる。
【0012】しかし、このようにして得られた基板には
導電性芯材とニッケル繊維との間に接着剤が存在してい
た部分が空孔として残るため、ニッケル繊維と導電性芯
材とが実質的に結合している面積が小さくなり、基板抵
抗が高くなる。また機械的強度も低いため、電極を作製
する際、あるいは電極を捲回して電池を構成する際に活
物質保持層が導電性芯材から剥離することがある。
【0013】本発明は、このような課題を解決するもの
で、植毛型基板の導電性芯材とニッケル繊維との結合を
強固にすることにより集電機能、活物質保持力が改善さ
れた優れた充放電特性をもった電極を提供するものであ
る。
【0014】
【課題を解決するための手段】上記課題を解決するため
に、本発明では金属板またはネット等の多孔性素材から
なる導電性芯材と、この芯材の両表面より起毛している
ニッケル繊維とが一体化していて、かつ導電性芯材の表
面およびニッケル繊維の芯材との接合界面近傍部分には
ニッケルとリンの合金が存在する基板を用いた電極と、
これを用いたアルカリ蓄電池を提供するものである。
【0015】また、この電極の製造法は、ニッケル−リ
ン合金で表面が被覆された導電性芯材の両面に接着剤を
塗布してから樹脂繊維を静電植毛などにより植毛する工
程と、導電性芯材および樹脂繊維の表面に例えば無電解
メッキや電気メッキによって所望の厚みまでニッケルを
被覆する工程と、次いで樹脂繊維と接着剤を熱分解除去
し、導電性芯材の表面および樹脂繊維表面を被覆してい
るニッケルを880℃以上の温度で焼結する工程から得
られた基板に活物質を充填する工程とからなるものであ
る。
【0016】この電極の別の製造法は、ニッケル−リン
合金で表面が被覆された導電性芯材の両面に接着剤を塗
布してからニッケル粉末と樹脂とを混練、成型してなる
繊維を静電植毛などにより植毛する工程と、樹脂と接着
剤を熱分解除去し、導電性芯材とニッケル繊維を880
℃以上の温度で焼結する工程から得られた基板に活物質
を充填する工程とからなるものである。
【0017】
【発明の実施の形態】請求項1に記載の発明は、アルカ
リ蓄電池について規定したものであり、正極と負極とセ
パレータとアルカリ電解液とからなるアルカリ蓄電池で
あって、正・負極のうちの少なくとも一方の電極は、導
電性芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛している
ニッケル繊維とが一体化していて、導電性芯材の表面お
よびニッケル繊維の芯材との接合界面近傍部分にはニッ
ケルとリンの合金が存在する基板に活物質が充填されて
いるものである。
【0018】請求項2に記載の発明は、アルカリ蓄電池
について規定したものであり、正・負極のうちの少なく
とも一方の電極は、導電性芯材と、この導電性芯材の両
表面より起毛しているニッケル繊維とが一体化し、かつ
リンを含有していて、基板中のリンの含有量は導電性芯
材表面が最も高く、導電性芯材表面からニッケル繊維先
端に向かうに従って連続的に低くなっている基板に活物
質が充填されているものである。
【0019】請求項3に記載の発明は、アルカリ蓄電池
について規定したものであり、正・負極のうちの少なく
とも一方の電極は、導電性芯材と、この導電性芯材の両
表面より起毛している中空のニッケル繊維とが一体化し
ていて、導電性芯材表面と中空のニッケル繊維の内壁面
部分にはニッケルとリンの合金が含まれている基板に活
物質が充填されているものである。
【0020】請求項4に記載の発明は、アルカリ蓄電池
について規定したものであり、正・負極のうちの少なく
とも一方の電極は、導電性芯材と、この導電性芯材の両
表面より起毛しているニッケル繊維とが一体化してい
て、このニッケル繊維は導電性芯材との接合界面近傍で
は中実であり、その先端近傍では中空または多孔体であ
る基板に活物質が充填されているものである。
【0021】請求項5に記載の発明は、アルカリ蓄電池
について規定したものであり、正・負極のうちの少なく
とも一方の電極は、導電性芯材と、この導電性芯材の両
表面より起毛しているニッケル繊維とが一体化してい
て、かつニッケル繊維の直径が繊維先端と比較して導電
性芯材と一体化した付け根部近傍の方が太い基板に活物
質が充填されているものである。
【0022】請求項6に記載の発明は、アルカリ蓄電池
について規定したものであり、正・負極のうちの少なく
とも一方の電極は、導電性芯材と、この導電性芯材の両
表面より起毛している中空のニッケル繊維とが一体化し
ていて、この中空のニッケル繊維の内径は導電性芯材と
一体化した付け根部近傍では小さくなっている基板に活
物質が充填されているものである。
【0023】また、請求項7,8に記載の発明は、この
電極の製造法について規定したものである。
【0024】樹脂繊維およびニッケル粉末と樹脂を混
練、成型して得られた繊維は静電気を利用した静電植毛
工法によって、接着剤が塗布されているパンチングメタ
ルなどの導電性芯材表面に、ほぼ当間隔をおいて直立し
た構造に植毛される。しかし、この作製方法では導電性
芯材とニッケル繊維との間の接着剤が存在していた部分
が焼結後に空隙として残る。そのため、基板抵抗の上
昇、基板の機械的強度の低下といった問題が懸念され
る。
【0025】そこで導電性芯材としてパンチングメタル
の表面にニッケル−リンの合金を被覆したものを用い
て、これに繊維を植毛した後、ニッケル−リン合金の共
融温度である880℃以上に加熱して、基板の一部を溶
融させつつ焼結を行うと、ニッケル繊維と導電性芯材と
の間の空隙が消失して強固に焼結させることができる。
このようにして得られた基板を用いると、基板の電気抵
抗が大幅に低下するため電極としての充放電特性が向上
する。
【0026】また基板の機械的強度が向上するため電極
の活物質保持力が改善される。そのため活物質の膨潤の
影響も抑制されて、寿命特性が向上する。
【0027】焼結後に得られる基板形状は生成する液相
の量、ニッケル繊維の形成方法によって異なる。
【0028】樹脂繊維を植毛した後、メッキ等によって
ニッケル被覆する場合については、生成した融液量が多
い場合、樹脂繊維を熱分解除去してできた空孔に融液が
毛管力によって吸い上げられて中空ニッケル繊維の内部
にニッケル−リン合金からなる芯を形成する。融液量が
少ない場合は芯を形成しないで中空ニッケル繊維の内壁
面を這い上がってニッケル繊維とパンチングメタルとが
焼結される。
【0029】ニッケル粉末と樹脂とを混練したのち成型
して得られた繊維を植毛する場合、繊維中の樹脂が熱分
解除去されてできた空孔に融液が毛管力によって吸い上
げられる。そのため得られる基板のニッケル繊維は、そ
の先端部分は多孔体となり導電性芯材近傍では中実とな
る。
【0030】なお溶融するニッケル−リン合金の量はメ
ッキ厚、リンの含有量、焼結温度によって左右される。
パンチングメタル表面のニッケル−リン合金被膜の厚み
は0.05〜5μmであるのが好ましい。0.05μm
未満の場合は焼結時にニッケル−リン合金が溶融しても
接着剤が除去されてできた空隙を満たすことができない
ためニッケル繊維と導電性芯材との焼結強度の向上は見
られない。また5μmより厚い場合は焼結時に生成する
溶融相の量が多すぎるためニッケル繊維も溶融して繊維
状の形状を維持することができなくなる。
【0031】またパンチングメタル表面のニッケル−リ
ン合金被膜に含まれるリンの含有量は1〜10重量%で
あるのが好ましい。1重量%未満では共融点〜1000
℃付近で焼結した場合、生成する液相が少ないため焼結
強度の向上は見られない。また10重量%より高い場合
は電気抵抗が高くなるため好ましくない。
【0032】
【実施例】
(実施例1)導電性芯材として厚さ60μm、パンチン
グ孔径1mm、開孔率42%の鉄製パンチングメタルの
表面を厚さ2μmのニッケルメッキで被覆し、さらに厚
さ2μmのニッケル−8重量%リン合金メッキで被覆し
たものを用意した。このパンチングメタルの両面にフェ
ノール系接着剤(固形分20重量%)を、その塗布量が
50g/m2になるようにスプレーで塗布した。続い
て、接着剤が乾燥する前に、直径30μm、長さ2mm
のレーヨン繊維を電極を備えたふるいから振り落としつ
つ、ふるい内の電極とパンチングメタルとの間に70k
Vの電圧を印加してレーヨン繊維を帯電させて静電植毛
を行った。
【0033】次いで接着剤を硬化させるため120℃で
10分間乾燥させた後、無電解メッキによりレーヨン繊
維およびパンチングメタルの表面に厚さ0.5μmのニ
ッケル−リン合金を被覆した。その後、電気メッキ用ワ
ット浴中で電流密度10A/dm2でニッケルメッキ重
量が300g/m2になるように電気ニッケルメッキを
施した。
【0034】この後、先のフェノール系接着剤とレーヨ
ン繊維とを熱分解して除去するために大気中で700℃
で5分間の熱処理をおこなった。続いて、窒素−水素気
流中において1000℃に加熱して一部に液相を生じさ
せつつパンチングメタルとニッケル繊維の焼結を行い、
本発明による基板aを作製した。得られた基板aの厚み
は4mmであった。
【0035】図1はこの基板aの拡大概略図である。図
中1はパンチングメタルであり、2はコアであるレーヨ
ン繊維が熱分解して中空となったニッケル繊維を示して
いる。また3はニッケル−リン合金の融液が毛管力によ
ってニッケル繊維の中空部分に吸いあげられて芯を形成
した部分である。
【0036】なお融液量が少ない場合は芯を形成しない
で中空ニッケル繊維の内壁面を這い上がってニッケル繊
維とパンチングメタルとが焼結される。
【0037】次に得られた基板aを加圧して厚さ1.4
mmに調整した後、所定の位置に5mm四方の金型で厚
さ約0.2mmまで圧縮して活物質が充填されないリー
ド取付部分を形成した。
【0038】続いて市販の水酸化ニッケル90部と水酸
化コバルト10部にペースト中の水分率が30%となる
量の水を加えて混練したペーストを基板aに充填し、9
0℃で30分間乾燥した後、加圧して厚さ0.7mmに
調整した。このようにして得られたニッケル電極を幅3
5mm、長さ110mmに裁断した。このニッケル電極
の容量は約1600mAhである。そして活物質が充填
されていない所定の位置にニッケルリード板をスポット
溶接してニッケル極4とした。
【0039】負極には水素吸蔵合金極を用いた。これは
MmNi3.55Mn0.4Al0.3Co0. 75からなる組成の水
素吸蔵合金を粉砕して50μm以下の粉末を用意し、こ
れを80℃の31%濃度のKOH水溶液に1時間入れ
て、合金粉末表面の酸化被膜を取り除く活性化処理を行
った。この粉末に1.5wt%カルボキシメチルセルロ
ース水溶液を加えたペーストを発泡状ニッケル板に充填
し、90℃で30分間乾燥した後、加圧して厚さ0.4
mmに調整した。その後5重量%のフッ素樹脂ディスパ
ージョンでコーティングし、乾燥した後、幅35mm、
長さ145mmに裁断して水素吸蔵合金極5とした。
【0040】このニッケル電極と水素吸蔵合金極との間
にスルホン化処理したポリプロピレン製不織布セパレー
タ6を介在させて渦巻状に捲回し、4/5Aサイズの電
池ケース7に収納した。その後、比重1.30の水酸化
カリウム水溶液に30g/lの水酸化リチウムを溶解し
た電解液を所定量注入し、正極端子を固定した封口板8
でケース開口部を封口して図2に示すような密閉型ニッ
ケル−水素蓄電池を構成した。このようにして本発明の
電池Aを作製した。
【0041】(実施例2)導電性芯材として厚さ60μ
m、パンチング孔径1mm、開孔率42%の鉄製パンチ
ングメタルの表面を厚さ2μmのニッケルメッキで被覆
し、さらに厚さ2μmのニッケル−8重量%リン合金メ
ッキで被覆したものを用意した。
【0042】また植毛用繊維は次のようにして作製し
た。粒径1μmのニッケル粉末80重量%とポリビニル
アセタール樹脂20重量%とを混練してペレットを作製
する。これを加熱してポリビニルアセタール樹脂を溶融
させながら、口径50μmのノズルから押し出してニッ
ケル長繊維を作製した。この長繊維を長さ2mmに裁断
して植毛用繊維とした。
【0043】導電性芯材の両面にフェノール系接着剤
(固形分20重量%)を、その塗布量が50g/m2
なるようにスプレーで塗布した。続いて、接着剤が乾燥
する前に、用意したニッケル繊維を電極を備えたふるい
から振り落としつつ、ふるい内の電極とパンチングメタ
ルとの間に70kVの電圧を印加してニッケル繊維を帯
電させて静電植毛を行った。
【0044】次いで基板内に含まれる樹脂成分を除去す
るため、大気中で700℃で5分間の熱処理を行った。
続いて、窒素−水素気流中において1000℃に加熱し
て一部に液相を生じさせつつパンチングメタルとニッケ
ル繊維の焼結を行い、本発明による基板bを作製した。
得られた基板bの厚みは4mmであった。
【0045】図3はこの基板bの拡大概略図である。図
中9はニッケル粉末を押出成型して得られた多孔質のニ
ッケル繊維を示している。
【0046】以下は実施例1と同様にして本発明の電池
Bを作製した。
【0047】(比較例)導電性芯材として厚さ60μ
m、パンチング孔径1mm、開孔率42%の鉄製パンチ
ングメタルの表面に2μmのニッケルメッキで被覆した
ものを用意した。以下は実施例1と同様にして電池Cを
作製した。
【0048】次に電池A,B,Cの放電特性を評価し
た。1CmAで72分間充電した後、放電電流を0.2
CmA,1CmA,3CmAとして1.0Vまで放電し
たときのそれぞれの電池の放電容量を(表1)に示す。
【0049】
【表1】
【0050】(表1)の結果に示すように、実施例によ
る電池A,Bは電池Cに比較して活物質利用率、放電平
均電圧ともに大幅に向上した。
【0051】次に、電池A,B,Cの各3セルについ
て、20℃で0.5CmAで3時間充電し、1CmAで
0.9Vまで放電するサイクル寿命試験を行い、放電容
量が初期容量の60%まで低下したときのサイクル数を
(表2)に示す。
【0052】
【表2】
【0053】(表2)の結果に示すように実施例による
電池A,Bは電池Cに比較して、充放電の繰り返し寿命
特性が大幅に向上した。これは活物質の保持力と集電機
能が良好であることによる。
【0054】なお、実施例では導電性芯材にパンチング
メタルを使用したが、開孔部のない金属板、金網、エキ
スパンドメタルなどを使用しても同様な効果が得られ
る。樹脂繊維についてもレーヨン繊維以外にアクリル、
ナイロンなどの樹脂繊維を使用してもよい。
【0055】また、実施例では植毛型基板をニッケル極
に使用した場合について述べたが、カドミウム極、水素
吸蔵合金極に使用した場合についても同様な効果が得ら
れる。
【0056】
【発明の効果】本発明によれば、アルカリ蓄電池および
その電極において、基板の集電性、電極としての活物質
保持力が改善されるため、充放電特性、充放電の繰り返
し寿命特性が向上する。
【図面の簡単な説明】
【図1】本発明の実施例における基板aの拡大模式図
【図2】本発明の実施例における電池Aの断面概略図
【図3】本発明の実施例における基板bの拡大模式図
【符号の説明】
1 ニッケルメッキした鉄製パンチングメタル 2 中空のニッケル繊維 3 ニッケル−リン合金相 4 ニッケル極 5 水素吸蔵合金極 6 セパレータ 7 電池ケース 8 封口板 9 多孔質のニッケル繊維
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 杉本 一茂 大阪府門真市大字門真1006番地 松下電 器産業株式会社内 (56)参考文献 特開 平8−298124(JP,A) 特開 平8−130025(JP,A) 特開 昭61−295304(JP,A) 特開 平6−77511(JP,A) (58)調査した分野(Int.Cl.7,DB名) H01M 4/66 H01M 4/74 H01M 4/80 H01M 10/30

Claims (10)

    (57)【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛しているニッ
    ケル繊維とが一体化した基板に活物質を充填したもので
    あって、前記導電性芯材の表面および前記ニッケル繊維
    の芯材との接合界面近傍部分にはニッケルとリンの合金
    が存在しているアルカリ蓄電池。
  2. 【請求項2】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛しているニッ
    ケル繊維とが一体化し、かつリンを含有した基板に活物
    質を充填したものであって、基板中のリンの含有量は前
    記導電性芯材表面が最も高く、導電性芯材表面からニッ
    ケル繊維の先端に向かうに従って連続的に低くなってい
    るアルカリ蓄電池。
  3. 【請求項3】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛している中空
    のニッケル繊維とが一体化した基板に活物質を充填した
    ものであって、前記導電性芯材の表面部分および前記ニ
    ッケル繊維の内壁面部分にはニッケルとリンの合金が含
    まれているアルカリ蓄電池。
  4. 【請求項4】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛しているニッ
    ケル繊維とが一体化した基板に活物質を充填したもので
    あって、前記ニッケル繊維は導電性芯材との接合界面近
    傍においては中実であり、その先端近傍においては中空
    または多孔体であるアルカリ蓄電池。
  5. 【請求項5】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛しているニッ
    ケル繊維とが一体化した基板に活物質を充填したもので
    あって、前記ニッケル繊維の直径は繊維先端と比較して
    前記導電性芯材と一体化した付け根部近傍の方が太いア
    ルカリ蓄電池。
  6. 【請求項6】正極と負極とセパレータとアルカリ電解液
    とからなり、正・負極のうちの少なくとも一方の電極
    は、金属板またはネット等の多孔性素材からなる導電性
    芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛している中空
    のニッケル繊維とが一体化した基板に活物質を充填した
    ものであって、このニッケル繊維の内径が前記導電性芯
    材と一体化した付け根部近傍において小さくなっている
    アルカリ蓄電池。
  7. 【請求項7】金属板またはネット等の多孔性素材からな
    る導電性芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛して
    いるニッケル繊維とが一体化し、かつ前記導電性芯材の
    表面および前記ニッケル繊維の芯材との接合界面近傍部
    分にはニッケルとリンの合金が含まれている基板に活物
    質を充填したものであって、この電極は、表面にニッケ
    ル−リン合金を被覆した導電性芯材の両面に接着剤を塗
    布してから樹脂繊維を植毛する工程と、次いで前記導電
    性芯材および樹脂繊維の表面を所望の厚みのニッケルで
    被覆する工程と、前記樹脂繊維と接着剤を熱分解除去
    し、前記導電性芯材および樹脂繊維の表面を被覆してい
    るニッケルと前記導電性芯材とを880℃以上の温度で
    焼結する工程より得た基板に、活物質を充填して得られ
    たものであるアルカリ蓄電池用電極の製造法。
  8. 【請求項8】金属板またはネット等の多孔性素材からな
    る導電性芯材と、この導電性芯材の両表面より起毛して
    いるニッケル繊維とが一体化し、かつ前記導電性芯材の
    表面および前記ニッケル繊維の芯材との接合界面近傍部
    分にはニッケルとリンの合金が含まれている基板に活物
    質を充填したものであって、この電極は、表面にニッケ
    ル−リン合金を被覆した導電性芯材の両面に接着剤を塗
    布してから金属ニッケル粉末、酸化ニッケル粉末のいず
    れか、あるいはその混合粉末と樹脂とを混練、成型して
    なる繊維を植毛する工程と、前記接着剤と樹脂を熱分解
    除去し、前記導電性芯材および樹脂繊維の表面を被覆し
    ているニッケルと前記導電性芯材とを880℃以上の温
    度で焼結する工程より得た基板に、活物質を充填して得
    られたものであるアルカリ蓄電池用電極の製造法。
  9. 【請求項9】前記導電性芯材の表面を被覆しているニッ
    ケル−リン合金の厚みは0.05〜5μmである請求項
    7または8記載のアルカリ蓄電池用電極の製造法。
  10. 【請求項10】前記導電性芯材の表面を被覆しているニ
    ッケル−リン合金に含まれるリンの含有量は1〜10重
    量%である請求項7または8記載のアルカリ蓄電池用電
    極の製造法。
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