JP2008095301A - 橋桁止水手段、およびその製造方法 - Google Patents
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Abstract
【課題】止水性能を一層高めるとともに、橋桁31の幅方向に延在するロープによって吊り下げられる弾性袋10は取替可能であり、しかも、弾性袋10の長さ方向両端におけるシールを確実にすることのできる止水手段を提供する。
【解決手段】弾性袋10は、中空部5への加圧気体の封入下でその側面が橋桁31の端面31aに対して押圧されて取り付け固定されるとともに、中空部5内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁31から離脱可能に構成され、弾性袋10は、その外側表面に固着されたゴム部材12によりロープ11に取り付けられている。
【選択図】図3
【解決手段】弾性袋10は、中空部5への加圧気体の封入下でその側面が橋桁31の端面31aに対して押圧されて取り付け固定されるとともに、中空部5内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁31から離脱可能に構成され、弾性袋10は、その外側表面に固着されたゴム部材12によりロープ11に取り付けられている。
【選択図】図3
Description
本発明は、伸縮装置によって組み合わされた橋桁の遊間に取り付けられ、橋桁の幅方向に延在する、弾性袋とこの弾性袋を吊り下げるロープとを具えた止水手段に関し、特に、高い止水性能を確保するとともに、取替可能であり、しかも、袋内の流体の漏れを防止することができるものに関する。
橋梁、高架橋等においては、橋桁等の、温度変化に伴う伸縮、通行物の荷重によるたわみ、あるいは、経時的な寸法変化等を吸収するため、一定間隔ごとに桁遊間を設けるとともに、隣接する橋桁の相互を、桁遊間の上部で、伸縮装置を用いて組み合わせた構造が用いられており、これにより、車両の円滑な走行が可能になっている。
伸縮装置としては、非排水型のものとして、例えば、所定長さのシールゴムを橋桁幅方向に延在させたものや、排水型のものとして、例えば、隣接する橋桁から指状部材を突出させ、これらを橋桁幅方向に相互に入り組ませたフィンガージョイント等が用いられている。
伸縮装置付近に流れ込んだ雨水は、凍結防止剤等の塩化物その他の腐食性成分を含んでおり、この雨水は、排水型の伸縮装置はその隙間を通過して、また、非排水型のものであっても、伸縮装置内の継ぎ目や、舗装と伸縮装置との継ぎ目を伝わって、桁遊間に入り込み、桁端を伝わって桁下まで落下もしくは流下することになるため、桁端面その他のコンクリートが劣化されたり、橋桁を支持する橋台等の金属部分が腐食されたりすることになり、また、排水型の伸縮装置の場合には、その隙間から進入した塵埃が桁下に落下して橋台および橋脚の天端に堆積することになり、この堆積塵埃を放置すると橋桁支承部の劣化や動作不良を生じることになる。
そのため、橋桁の桁遊間に、橋桁幅方向に延在する弾性充填材や弾性袋よりなる止水手段を配置し、止水手段の上部に溜まった前記雨水を橋桁幅方向端部に設けられた排水路に導くよう構成されたものが用いられ、あるいは、提案されていて、これらのうち、弾性袋を用いた止水手段としては、特許文献1に記載されたものを例示することができ、図1は、このような止水手段を、桁遊間に設置した状態で示す橋桁端部の断面図であり、図2は、これを設置前の状態で示す断面図である。
止水手段として、橋桁幅方向に延在する弾性袋90が、隣接する一対の橋桁91の桁遊間95に配置されており、弾性袋90は、その両側面に予め塗布されていた接着剤97により、橋桁端面91Aに接着されて固定されており、この止水構造によって、舗装93や伸縮装置92上に流れ込んだ雨水は、例えば、伸縮装置92内の隙間96を通過して桁遊間95に落下もしくは流化するが、弾性袋90は橋桁端面91Aに密に接着されているので、この桁遊間95を通過して下方に向かう雨水を遮断し、代わりに、弾性袋90の上部に集水された雨水を、弾性袋90の上面を橋桁幅方向に傾斜を設けることにより、橋桁の幅方向外側に導いて排出することができる。
弾性袋90は、大気圧下では、桁遊間95より広い幅を有し、また、弾性袋90の側面には接着剤が予め塗布された接着面97が形成され、接着面97には、剥離することが容易な剥離フィルム98が貼り付けられていて、弾性袋90を桁遊間95内に設置するには、弾性袋90の袋内を予め負圧にして封止し弾性袋90を桁遊間95より狭幅の圧縮状態にしたあと桁遊間95に挿入して所定位置に固定し、次いで剥離フィルム98をはがして接着面97を露出させたあと、弾性袋90の袋内の圧力を大気圧に戻し、もしくは、加圧流体を流入させて、弾性袋90を、桁遊間95より広幅の初期状態もしくは膨張状態とすることにより、弾性袋90の側面を橋桁端面91Aに押圧し、橋桁端面91Aと弾性袋90との接着の信頼性を高め、よって、その止水性能を確実なものにすることができるとされている。
また、弾性袋90を吊り下げるためのロープ99が橋桁91の幅方向に延在する方向に張設されており、これによって、弾性袋90を桁遊間95内で保持して設置のための作業を容易にすることができる。
なお、従来技術において、弾性袋90の袋内を加圧する場合、加圧の目的は、橋桁端面91Aに凹凸があったり変形したりしていても、弾性袋90の側面を確実に橋桁端面91Aに接着することであり、したがって、弾性袋90の橋桁91への取り付け後は、内圧を大気圧に戻すことが行われる。
特開平7−207623号公報
しかしながら、この止水手段は、次のような問題点も抱えている。すなわち、第一に、その止水性能は、橋桁端面91Aと弾性袋90との接着の信頼性に依存しており、腐食性を有する雨水による化学的な腐食や橋桁の伸縮等によって、接着性能が低下し接着の剥がれた箇所を雨水が通過するという問題であり、第二には、止水性能が低下して取り替えようとした場合、弾性袋90は橋桁端面91Aに接着されているため、取り外すのが難しいという問題であり、第三には、弾性袋90内にロープ99が張り渡されていることによって、弾性袋90の長さ方向(橋桁幅方向)の端をシールするのが難しく、そのためこの構造では弾性袋90内の圧力を保持できないという問題である。
本発明は、このような問題点に鑑みてなされたものであり、止水性能を一層高めるとともに、取替可能であり、しかも、弾性袋の長さ方向端におけるシールを確実にすることのできる止水手段およびそれを製造する方法を提供することを目的とする。
<1>は、伸縮装置によって組み合わされた橋桁の桁遊間に取り付けられ、橋桁の幅方向に延在する、弾性袋とこの弾性袋を吊り下げるロープとを具えた止水手段において、
前記弾性袋は、その中空部への加圧気体の封入下でその側面が前記橋桁の端面に対して押圧されて取り付け固定されるとともに、中空部内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁から離脱可能に構成され、
前記弾性袋は、その外側表面に固着されたゴム部材により前記ロープに取り付けられていることを特徴とする橋桁止水手段である。
前記弾性袋は、その中空部への加圧気体の封入下でその側面が前記橋桁の端面に対して押圧されて取り付け固定されるとともに、中空部内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁から離脱可能に構成され、
前記弾性袋は、その外側表面に固着されたゴム部材により前記ロープに取り付けられていることを特徴とする橋桁止水手段である。
<2>は、<1>において、前記ゴム部材は、前記ロープの外周面に一体的に取り付けられていることを特徴とする止水手段である。
<3>は、<1>もしくは<2>において、取り付け状態における前記弾性袋および前記ゴム部材の外側に、橋桁の幅方向に延在する保護カバーが設けられ、この保護カバーは、前記ゴム部材によって支持されるとともに、幅方向断面において、少なくとも、弾性袋の上方から、両側の橋桁端面への被押圧部分より下方まで延在するよう構成されていることを特徴とする止水手段である。
<4>は、<3>において、前記保護カバー外側面の、弾性袋の前記被押圧部分に対応する領域には、橋桁幅方向に延在する1本もしくは複数本の突条が形成されていることを特徴とする橋桁止水手段である。
<1>によれば、前記弾性袋は、その中空部への加圧気体の封入下でその側面が前記橋桁の端面に対して押圧されて取り付け固定されているので、もし接着剤によってこれが取り付け固定されていた場合には接着剤の劣化等による止水性能の低下が生じるのを抑制することができ、中空部内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁から離脱可能に構成されているので、弾性袋を容易に取り替えることができ、また、弾性袋を吊り下げるロープは、弾性袋の外側に設けられているので、このロープが、弾性袋の両端部分を貫通してその部分でのシールを問題のないものにすることができる。
<2>によれば、前記ゴム部材は、前記ロープの外周面に一体的に取り付けられているので、ロープによる弾性袋の吊り下げを確実なものにすることができる。
<3>によれば、取り付け状態における前記弾性袋およびゴム部材の外側に、橋桁の幅方向に延在する保護カバーが設けられ、この保護カバーは、前記ゴム部材によって支持されるとともに、幅方向断面において、少なくとも、弾性袋の上方から、両側の橋桁端面への被押圧部分より下方まで延在するよう構成されているので、もし、保護カバーを設けなかった場合には、弾性袋に、中空部内の気体の漏洩を防止しその圧力を保持する機能の他に、外からの衝撃に対する耐性や耐候性を具える機能を担持させる必要があり、後者の機能が低下した時にも、弾性袋を取り替える必要があったが、このような場合、本発明の構成では、保護カバーだけを取り替えるだけで済ませることができ、そのための費用等を大幅に節減することができる。
<4>によれば、保護カバー外側面の、弾性袋の前記被押圧部分に対応する領域に、橋桁幅方向に延在する1本もしくは複数本の突条が設けられているので、突条だけを橋桁端面に当接させることにより、押圧力をこの突条だけに集中させることができ、その結果止水効果を一層高めることができる。
本発明の実施形態について、図に基づいて説明する。図3は、本発明に係る実施形態の止水手段を示す斜視図、図4は、その幅方向断面を示す断面図、そして、止水手段1は、フィンガージョイント等の伸縮装置32によって組み合わされた橋桁31の桁遊間35に取り付けられ、橋桁31の幅方向に延在する弾性袋10を具えて構成される。なお、図中33は、舗装を表す。
弾性袋10は、中空部5への加圧気体の封入下でその側面が橋桁31の端面31aに対して、直接的に、もしくは、図示のように、保護カバー21を介して間接的に、押圧されることにより取り付け固定され、橋桁端面31aと保護カバー21との間、保護カバー21と弾性袋10の側面との間、もしくは、保護カバー21を介在さずに弾性袋10を直接的に橋桁31の端面31aに押圧する場合における橋桁端面31aと弾性袋10の側面との間には、いずれも、接着剤が塗布されていない。
このように、前記それぞれの間は押圧力によってのみ密着状態に保持されており、橋桁端面31aが変形しても押圧力を低下させない限り止水性能を保持することができ、よって、接着剤によって止水した場合のその劣化等の問題を解消することができ、一方、中空部5内を大気圧にすることによって、弾性袋10や保護カバー21を容易に橋桁31から簡単に取り外すことができる。
ここで、弾性袋10の側面を橋桁端面31aに押圧したときに、弾性袋10が直接、橋桁端面31aに当接するようにすることもできるが、図示のように、弾性袋10の外側に、保護カバー21を配設し、保護カバー21に、外傷や、塩分を含んだ雨水による腐食に対する耐性、紫外線等による劣化に対する耐候性等の特性を具えされるのが好ましく、この場合、弾性袋10には、中空部5内の加圧流体の外部への漏洩を防止するとともに加圧流体の圧力に耐える機能のみを具えるように、弾性袋10と、保護カバー21とに機能分離することができ、このことによって、例えば、耐候性が低下したときには、保護カバー21だけを取り替えるようにすることができる。
このような場合、弾性袋10の材料として、例えば、ブチルゴムやクロロプレンゴム等の空気透過に対する遮断性能に優れたゴムを用い、一方、保護カバー21には、例えば、耐候性や耐衝撃性に優れるEPDMやネオプレンゴムを用いるのが好ましい。
また、中空部5の周囲には少なくともこれを一周するように有機繊維よりなる補強層4を配置するのが好ましく、このことによって、このことによって、中空部5内に高い圧力の流体を封入し、その結果得られる高い押圧力によって止水性能を高めることができる。
また、保護カバー21の外側面には、橋桁31の幅方向に延在する突起22を1本以上設けるのが好ましい。これらの突起22は、弾性袋10の側面が、保護カバー21を介して橋桁端面31aに押圧される際、保護カバー21の橋桁端面31aに当接する部分を狭い範囲に限定することにより当接部分の面圧を高め、当接部分における保護カバー21と橋桁端面31aとの隙間を完全になくし、止水性能を高めるためのものである。
したがって、突起22は、保護カバー21の外側面の、少なくとも、弾性袋10の被押圧部分に対応する領域に設けられる。
また、橋桁31の幅方向に延在するようにロープ、例えばワイヤーよりなるワイヤーロープ11を張設し、弾性袋10を、ワイヤーロープ11で吊り下げるように構成されている。弾性袋10を、ワイヤーロープ11で吊り下げることによって、弾性袋10を取り付けたり取り外したりする際の作業を容易にすることができ、また、万一中空部5の圧力が低下した場合でも止水手段1の落下を防止することができる。
ワイヤーロープ11から弾性袋10を吊り下げる構造としては、弾性袋10の外側表面の上端に、弾性袋10の長さ方向に延在するゴム部材12を一体的に取り付け固定するとともに、ゴム部材12のワイヤーロープ11への取り付けにおいて、好ましくは、ワイヤーロープ11の周囲にゴム部材12が一体的に固着されているようにするのがよく、このことによって、ワイヤーロープ11による弾性袋10の吊り下げを確実なものにすることができる。また、ワイヤーロープ11を弾性袋10の外側に配置したので、ワイヤーロープ11を弾性袋10の長さ方向両端部分を貫通させる必要がなく、その両端部分でのシール性能を確保することができる。
ゴム部材11の上部に、対をなす角状の突起13を設け、この角状突起13によって保護カバー21を支持するよう構成するのが好ましく、この構成によって、保護カバー21の移動を抑制しつつ、橋桁31の時間的な変形に対して保護カバー21を柔軟に追従させることができる。
ここで、保護カバー21は、図4に示すように、下部が繋がれていないものとすることもできるが、図5に断面図で示すように、無端状の保護カバー21Aとしてもかまわない。なお、この場合にも、橋桁31の幅方向に延在する突起22Aを、保護カバー21Aの外側面に設けるのが好ましい。
図6は、弾性袋10の長さ方向両端部分を示す斜視図であり、弾性袋の両端部分は、これを気密に圧潰封止する密封金具8を介して、対をなす橋桁31のいずれか一方の端面31aに取り付け固定され、弾性袋10に対する圧力流体の給排は、いずれか一方の密封金具に設けられた給排ノズル9を設けることによって行うことができる。なお、図6において、ゴム部材12、ワイヤーロープ11の図示は省略した。
1 止水手段
4 補強層
5 中空部
8 密封金具
9 給排ノズル
10 弾性袋
11 ワイヤーロープ
12 ゴム部材
13 ゴム部材の角状突起
21、21A 保護カバー
22、22A 突起
31 橋桁
31a 橋桁の端面
32 伸縮装置
33 舗装
35 桁遊間
4 補強層
5 中空部
8 密封金具
9 給排ノズル
10 弾性袋
11 ワイヤーロープ
12 ゴム部材
13 ゴム部材の角状突起
21、21A 保護カバー
22、22A 突起
31 橋桁
31a 橋桁の端面
32 伸縮装置
33 舗装
35 桁遊間
Claims (4)
- 伸縮装置によって組み合わされた橋桁の桁遊間に取り付けられ、橋桁の幅方向に延在する、弾性袋とこの弾性袋を吊り下げるロープとを具えた止水手段において、
前記弾性袋は、その中空部への加圧気体の封入下でその側面が前記橋桁の端面に対して押圧されて取り付け固定されるとともに、中空部内の圧力を大気圧にした自然状態では、橋桁から離脱可能に構成され、
前記弾性袋は、その外側表面に固着されたゴム部材により前記ロープに取り付けられていることを特徴とする橋桁止水手段。 - 前記ゴム部材は、前記ロープの外周面に一体的に取り付けられていることを特徴とする請求項1に記載の止水手段。
- 取り付け状態における前記弾性袋および前記ゴム部材の外側に、橋桁の幅方向に延在する保護カバーが設けられ、この保護カバーは、前記ゴム部材によって支持されるとともに、幅方向断面において、少なくとも、弾性袋の上方から、両側の橋桁端面への被押圧部分より下方まで延在するよう構成されていることを特徴とする請求項1もしくは2に記載の止水手段。
- 前記保護カバー外側面の、弾性袋の前記被押圧部分に対応する領域には、橋桁幅方向に延在する1本もしくは複数本の突条が形成されていることを特徴とする請求項3に記載の橋桁止水手段。
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Application Number | Priority Date | Filing Date | Title |
---|---|---|---|
JP2006275284A JP2008095301A (ja) | 2006-10-06 | 2006-10-06 | 橋桁止水手段、およびその製造方法 |
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Publication number | Priority date | Publication date | Assignee | Title |
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-
2006
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