JP2008094717A - ゼオライト、及び該ゼオライトを含む水蒸気吸着材 - Google Patents
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Abstract
【解決手段】 40℃の水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.05での吸着量が0.1g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.05以上、0.10以下の範囲で相対蒸気圧が0.05変化したときに水の吸着量変化が0.15g/g以上の相対蒸気圧域を有するか、55℃の水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.03での吸着量が0.1g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.03以上、0.20以下の範囲で相対蒸気圧が0.07変化したときに水の吸着量変化が0.15g/g以上の相対蒸気圧域を有するゼオライトとすることにより、上記課題を解決する。
【選択図】なし
Description
ゼオライトの製造方法
本発明のゼオライトの製造方法は、水熱合成に用いるテンプレートの種類に特徴を有するものである。その他の製造条件は特に限定されず、公知の水熱合成方法によって製造できる。通常、アルミニウム源、ケイ素源、リン源およびテンプレートを混合した後、水熱合成し、テンプレートを除去してゼオライトを得る。以下、製造方法の一例を説明する。
アルミニウム源
アルミニウム源は特に限定されず、通常、擬ベーマイト、アルミニウムイソプロポキシド、アルミニウムトリエトキシド等のアルミニウムアルコキシド、水酸化アルミニウム、アルミナゾル、アルミン酸ナトリウムなどであって、擬ベーマイトが好ましい。
ケイ素源
ケイ素源は特に限定されず、通常、fumedシリカ、シリカゾル、コロイダルシリカ、水ガラス、ケイ酸エチル、ケイ酸メチルなどであって、fumedシリカが好ましい。
リン源
リン源は通常リン酸であるが、リン酸アルミニウムを用いてもよい。
テンプレート
テンプレートは(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物、(2)シクロアルキルアミン、および(3)アルキルアミン、の3つの群のうち、2つ以上の群から各群につき1種以上の化合物を選択して用いる。
(1)ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物
ヘテロ原子として窒素を含む脂環式複素環化合物の複素環は通常5〜7員環であって、好ましくは6員環である。複素環に含まれるヘテロ原子の個数は通常3個以下、好ましくは2個以下である。ヘテロ原子の種類は窒素以外は特に限定されないが、窒素に加えて酸素を含むものが好ましい。ヘテロ原子の位置は特に限定されないが、ヘテロ原子が相互に隣り合わないものが好ましい。また、分子量で通常、250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
(2)シクロアルキルアミン
シクロアルキルアミンのシクロアルキル基の個数はアミン1分子に2以下であって、好ましくは1である。また、シクロアルキル基の炭素数は通常5〜7で、好ましくは6である。シクロアルキルのシクロ環の数は特に限定されないが、通常1が好ましい。また、シクロアルキル基がアミン化合物の窒素原子と結合しているのが好ましい。また、分子量で通常、250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
(3)アルキルアミン
本発明のアルキルアミンのアルキル基は鎖式アルキル基であって、アミン1分子に何個入っていてもよいが、3個が特に好ましい。アルキル基の炭素数は4以下が好ましく、1分子中の全アルキル基の炭素数の合計が10以下がより好ましい。また、分子量で通常、250以下、好ましくは200以下、さらに好ましくは150以下である。
(1)〜(3)のテンプレートの好ましい組み合わせ
好ましい組み合わせとしては、モルホリン、トリエチルアミンおよびシクロヘキシルアミンから2種以上、中でもモルホリン、トリエチルアミンを含む場合がより好ましい。これらのテンプレート各群の混合比率は、条件に応じて選択する必要がある。2種のテンプレートを混合させるときは、通常、混合させる2種のテンプレートのモル比が1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。3種のテンプレートを混合させるときは、通常、3種目のテンプレートのモル比は、上記のモル比で混合された2種のテンプレートに対して1:20から20:1、好ましくは1:10から10:1、さらに好ましくは1:5から5:1である。
水熱合成によるゼオライトの合成
上述のケイ素源、アルミニウム源、リン源、テンプレートおよび水を混合して水性ゲルを調合する。混合順序は制限がなく、用いる条件により適宜選択すればよいが、通常は、まず水にリン源、アルミニウム源を混合し、これにケイ素源、テンプレートを混合する。
テンプレートを含有したゼオライト
水熱合成後、生成物を分離するが、生成物の分離方法は特に限定されない。通常、濾過またはデカンテーション等により分離し、水洗、室温から150℃以下の温度で乾燥して生成物であるテンプレートを含有したゼオライトを得ることができる。
本発明の製造方法により得られるゼオライト
そして、テンプレートを含有したゼオライトからテンプレートを除去するが、その方法は特に限定されない。通常、空気または酸素含有の不活性ガス、あるいは不活性ガスの雰囲気下に400℃から700℃の温度で焼成したり、エタノール水溶液、HCl含有エーテル等の抽剤による抽出等の方法により、含有する有機物を除去することができる。
0.001≦x≦0.3 ・・・(I)
(式中、xは骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するケイ素のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 ・・・(II)
(式中、yは骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するアルミニウムのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・(III)
(式中、zは骨格構造のケイ素とアルミニウムとリンの合計に対するリンのモル比を示す)
以上説明した本発明の製造方法によれば、骨格構造のアルミニウム、リン、およびケイ素の合計に対するケイ素のモル比を30%以下で制御でき、これまでアミン類のテンプレートでは難しかったケイ素のモル比が9%以下、好ましくは8.7%以下、さらに好ましくは8.5%以下のゼオライトも合成可能である。
0.001≦x≦0.09 ・・・(IV)
(式中、xは上記と同義である)で表されるゼオライトであり、中でも下記式(V)
0.005≦x≦0.087 ・・・(V)
(式中、xは上記と同義である)で表されるゼオライトであり、中でも下記式(VI)
0.01≦x≦0.085 ・・・(VI)
(式中、xは上記と同義である)で表されるゼオライトを製造でき、これは後述する水蒸気吸着材において特に好適に用いられるものである。
本発明のゼオライトを含む水蒸気吸着材
本発明によって製造された上記の構造を有するゼオライトは、水蒸気吸着材として優れた性能を示すが、水蒸気吸着剤として用いる場合にはシリカ、アルミナ、チタニア等の金属酸化物や粘土等のバインダー成分や、熱伝導性の高い成分と共に使用することができる。このとき、ゼオライトの含有量が水蒸気吸着剤全体の60重量%以上であって、70%以上が好ましく、80%以上がより好ましい。
水30gに85%リン酸12.9gおよび擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)9.52gをゆっくりと加え、攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)0.84g、モルホリン6.1g、トリエチルアミン7.1g、水40gを混合した液を調製した。これをA液にゆっくりと加えて、3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.2SiO2:Al2O3:0.8P2O5:1モルホリン:1トリエチルアミン:60H2O
該水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、回転させながら200℃で24時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。その後560℃で空気気流下焼成を行い、テンプレートを除去した。
実施例2
水180gに85%リン酸87.1gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)57.2gをゆっくりと加え、3時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)5.04g、モルホリン36.6g、水240gを混合した液を調製した。これをA液にゆっくりと加えた。さらにトリエチルアミン47.0gを加え、これを3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.2SiO2:Al2O3:0.9P2O5:1モルホリン:1.1トリエチルアミン:60H2O
こうして得られた混合物をフッ素樹脂内筒の入った1lのステンレス製オートクレーブに仕込み、100rpmで攪拌しながら190℃で60時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。
実施例3
水30gに85%リン酸16.1gおよび擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)9.52gをゆっくりと加え、攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)2.52g、モルホリン6.1g、トリエチルアミン7.1g、水40gを混合した液を調製した。これをA液にゆっくりと加えて、3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.6SiO2:Al2O3:1P2O5:1モルホリン:1トリエチルアミン:60H2O
該水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、回転させながら、190℃で24時間反応させた後200℃に昇温して24時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。このゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造であった。XRDの結果を図4に示す。
実施例4
水15gに85%リン酸6.46gおよび擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)4.76gをゆっくりと加え、攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)0.63g、モルホリン5.18g、シクロヘキシルアミン1.04g、水20gを混合した液を作り、これをA液にゆっくりと加えて、3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを調製した。
0.3SiO2:Al2O3:0.8P2O5:1.7モルホリン:0.3シクロヘキシルアミン:60H2O
該水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、回転させながら200℃で72時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥してゼオライトを得た。このゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造であった。XRDの結果を図5に示す。
比較例1
水105.8gに85%リン酸57.7gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)34.0gをゆっくりと加え、3時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)3.01g、モルホリン48.6g、水147.4gを混合した液を作り、これをA液にゆっくりと加え、7時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.3SiO2:Al2O3:0.8P2O5:2モルホリン:60H2O
該水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った0.5lのステンレス製オートクレーブに仕込み、100rpmで攪拌しながら190℃で48時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。こうして得られた沈殿物を水で洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。このゼオライトのXRDを測定したところ、CHA構造とデンス成分であるトリジマイト相の混合物であった。XRDの結果を図6に示す。
比較例2
水15gに85%リン酸8.07gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)4.76gをゆっくりと加え、2時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)0.42g、トリエチルアミン7.14g、水20gを混合した液を作り、これをA液にゆっくりと加えて、3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.2SiO2:Al2O3:1P2O5:2トリエチルアミン:60H2O
該水性ゲルをフッ素樹脂内筒の入った200ccのステンレス製オートクレーブに仕込み、200℃で24時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。このゼオライトのXRDを測定したところ、ほとんどがフレームワーク密度の大きいAFI構造(フレームワーク密度=17.3T/1,000Å 3 )であった。XRD結果を図7に示す。
比較例3
水15gに85%リン酸8.07gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)4.76gをゆっくりと加え、2時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)0.84g、シクロヘキシルアミン6.9g、水20gを混合した液を作り、これをA液にゆっくりと加え、3時間攪拌して以下の組成を有するゲル状の混合物を得た。
0.4SiO2:Al2O3:P2O5:2シクロヘキシルアミン:60H2O
該混合物をフッ素樹脂内筒の入った0.2lのステンレス製オートクレーブに仕込み、回転させながら200℃で24時間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。こうして得られた沈殿物を水で洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。このゼオライトのXRDを測定したところ、層状物質状のXRDパターンを示し、CHA構造は見られなかった。XRD結果を図8に示す。
実施例5
水15gに85%リン酸7.25gを加え、これに擬ベーマイト(25%水含有、コンデア製)4.76gをゆっくりと加え、3時間攪拌した。これをA液とした。A液とは別にfumedシリカ(アエロジル200)0.63g、水20gを混合した液を調製した。これをA液にゆっくりと加えた。さらにジイソプロピルエチルアミン4.5gを加えさらにモルホリン3.0gを加えた。これを3時間攪拌し、以下の組成を有する水性ゲルを得た。
0.3SiO2:Al2O3:0.9P2O5:1モルホリン:1ジイソプロピルエチルアミン:60H2O
こうして得られた混合物をフッ素樹脂内筒の入った0.1lのステンレス製オートクレーブに仕込み、静置状態で170℃で7日間反応させた。反応後冷却して、デカンテーションにより上澄みを除いて沈殿物を回収した。沈殿物を水で3回洗浄した後濾別し、120℃で乾燥した。
Claims (11)
- ゼオライトが、40℃の水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.05での吸着量が0.1g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.05以上、0.10以下の範囲で相対蒸気圧が0.05変化したときに水の吸着量変化が0.15g/g以上の相対蒸気圧域を有することを特徴とするゼオライト。
- ゼオライトが、55℃の水蒸気吸着等温線において相対蒸気圧0.03での吸着量が0.1g/g以下であり、かつ相対蒸気圧0.03以上、0.20以下の範囲で相対蒸気圧が0.07変化したときに水の吸着量変化が0.15g/g以上の相対蒸気圧域を有することを特徴とするゼオライト。
- ゼオライトが、ケイ素、アルミニウムおよびリンの原子の存在割合が下記式(I)、(II)および(III)で表されるゼオライトである請求項1又は2に記載のゼオライト。
0.001≦x≦0.3 ・・・(I)
(式中、xは骨格構造のアルミニウム、リン、およびケイ素の合計に対するケイ素のモル比を示す)
0.3≦y≦0.6 ・・・(II)
(式中、yは骨格構造のアルミニウム、リン、およびケイ素の合計に対するアルミニウムのモル比を示す)
0.3≦z≦0.6 ・・・(III)
(式中、zは骨格構造のアルミニウム、リン、およびケイ素の合計に対するリンのモル比を示す) - ゼオライトが、ケイ素の割合が下記式(IV)で表されるゼオライトである請求項3に記載のゼオライト。
0.001≦x≦0.09 ・・・(IV)
(式中、xは骨格構造のアルミニウム、リン、およびケイ素の合計に対するケイ素のモル比を示す) - ゼオライトがInternational ZeoliteAssociation(IZA)が定めるゼオライト構造においてフレームワーク密度が10.0以上16.0T/1000Å 3 以下である請求項1〜4のいずれか1項に記載のゼオライト。
- ゼオライトがInternational ZeoliteAssociation(IZA)が定めるゼオライト構造においてCHAである請求項1〜5のいずれか1項に記載のゼオライト。
- 請求項1〜6のいずれか1項に記載のゼオライトを含む水蒸気吸着材。
- ゼオライトの含有量が水蒸気吸着材全体の60重量%以上である請求項7に記載の水蒸気吸着材。
- ヒートポンプ用である請求項7又は8に記載の水蒸気吸着材。
- デシカント用である請求項7又は8に記載の水蒸気吸着材。
- 除湿用である請求項7又は8に記載の水蒸気吸着材。
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