JP2001239156A - ヒートポンプ用吸着剤並びにこれを用いたヒートポンプ - Google Patents

ヒートポンプ用吸着剤並びにこれを用いたヒートポンプ

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JP2001239156A JP2000056253A JP2000056253A JP2001239156A JP 2001239156 A JP2001239156 A JP 2001239156A JP 2000056253 A JP2000056253 A JP 2000056253A JP 2000056253 A JP2000056253 A JP 2000056253A JP 2001239156 A JP2001239156 A JP 2001239156A
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Abstract

(57)【要約】 【課題】 合成ゼオライトを用いて極めて効率よく熱交
換をするヒートポンプ用吸着剤を提供する。 【解決手段】 本発明は、合成ゼオライト中の交換可能
な総電荷の33.3%以上を他の金属イオンで置換した
金属置換合成ゼオライトからなるヒートポンプ用吸着剤
である。置換する他の金属イオンは2価の金属イオンか
らなり、例えばMg2+、Ca2+、Ba2+、Sr
2+、Mn2+、Co2+、Ni2+、Cu 2+、Cd
2+、Zn2+、Ge2+、Sn2+又はPb2+から
選ばれた少なくとも1種の金属イオンである。あるい
は、他の金属イオンがK又はAgの1価の金属イオ
ンからなるヒートポンプ用吸着剤である。

Description

【発明の詳細な説明】
【0001】
【発明の属する技術分野】本発明は、ヒートポンプ用吸
着剤に関し、特に合成ゼオライト中の交換可能な総電荷
の33.3%以上を他の金属イオンで置換してなる金属
置換合成ゼオライトをヒートポンプ用吸着剤として提供
するものである。
【0002】
【従来の技術】COP3において、我が国は、室温ガス
排出量の削減目標を、2012年までに90年レベルの6%減
と設定した。その後、既に1990年当時より約15%エネル
ギー消費が増加しており、目標として掲げた2012年まで
の残り11年間で20%に及ぶ排出削減を行わなければなら
ない。先進国はそれでも、エネルギー消費の伸びは抑え
てきているが、中国などのエネルギー消費は、急上昇し
ている。削減目標は、地球的には達成が困難で、環境の
悪化は深刻な事態になる可能性がある。これらの解決方
法としては、例えば化石燃料を用いない自然エネルギー
等を利用する技術開発を行うことである。これらは、太
陽光、熱、風力、温度差発電、核融合など種々の試みが
なされている。また、蓄熱などの熱の有効利用などがあ
る。
【0003】それらに対して1978年、Tchernevにより太
陽熱ゼオライトヒートポンプが提唱(D.I.Tchernev,The
use of zeolites for solar cooling.Proc.5th Int. Co
nf.on Zeolite.Rees,L.B.Sand and F.A.Mumpton eds.,P
ergamon,Oxford,479,1978)され、以後多くのこの種研究
がなされいる。例えば、ヒートポンプ(特開昭50-10374
4号公報)、太陽熱を利用のゼオライト製氷冷蔵装置
(特開昭59-56068号公報)、ケミカルヒートポンプの熱
媒の排気方法(特開昭59-129360号公報)、ケミカルヒ
ートポンプの製造方法(特開昭59-129362号公報)、給
湯器(特開昭60-20052号公報)、ケミカルヒートポンプ
式給湯器の作動方法(特開昭60-99966号公報)、ケミカ
ルヒートポンプ式給湯器(特開昭60-99967号公報)、ケ
ミカルヒートポンプの駆動方法(特開昭60-126562号公
報)、ケミカルヒートポンプ(特開昭60-226674号公
報)、低品位の熱源によって作動されるヒートポンプ
(特開昭61-502008号公報)、可逆冷熱発生器(特開平1
-277180号公報)、ヒートポンプ式空気調和機(特開平2
-217729号公報)、吸着式ヒートポンプ(特開平4-22576
2号公報)、サーモサイフォンを利用した回転モジュー
ル型吸着式ヒートポンプ(特開平4-309760号公報)、吸
着式ヒートポンプ(特開平5-322364号公報)、熱の貯蔵
及び利用ないし冷気の調製法、並びに吸着装置(特開平
5-196318号公報)、化学蓄熱型ヒートポンプ(特開平6-
117724号公報)、ヒートポンプ装置(特開平6-331233号
公報)、固体吸収体を使用した冷却及び加熱装置(特開
平7-120100号公報)、化学的ヒートポンプ用の吸着剤ブ
ロックとその製造方法(特表平7-504360号公報)、ケミ
カルヒートポンプ(特開平9-152222号公報)、化学蓄熱
式吸気冷却装置(特開平10-89798号公報)、蒸気吸放出
材料(特開平11-114410号公報)等である。
【0004】これらに使用されている吸着剤は、ゼオラ
イト、モレキュラーシーブ、セピオライト、シリカゲ
ル、活性炭、吸着性粘土鉱物、活性アルミナ、多孔性炭
素繊維、金属多孔体、メソ多孔体などが提案されてい
る。それらの中で、ゼオライト系ヒートポンプが多く開
発され提案されている。
【0005】係るゼオライト−水系ヒートポンプのメリ
ットは、100〜200℃付近の低温の熱源と室温付近の熱
源の2つのみで動く。基本的に電力などの他の熱源が
要らない。蓄熱容量が大きい。ゼオライトと水とい
う環境問題的に安全で安価な物質で構成できる。蓄熱
のための断熱装置が要らない。吸着材として、非晶質
物質に比べて、熱膨張性が無く、何度でも繰り返し使用
でき、耐久性が高くメンテナンスが簡単であるなどの特
徴を有している。
【0006】
【発明が解決しようとする課題】しかしながら、上記の
様にゼオライト−水系ヒートポンプの多くの特徴がある
にも係わらず未だに実用化されていないのが現状であ
る。今までに実用化に至らなかった理由としては、幾つ
か考えられるが、その一つはゼオライト水のエントロピ
ー状態やゼオライトの脱水挙動など十分に且つ正しく議
論されてこなかったことによると考えられる。従って、
前記の開発の殆どがナトリウムタイプのゼオライトのみ
を使用して研究されているのが現状である。
【0007】本発明者らは、上記問題に鑑み鋭意検討を
した結果、ヒートポンプ用吸着剤として、合成ゼオライ
ト中のナトリウムイオンをイオン交換により他の金属イ
オンで33.3%以上置換してなる金属置換合成ゼオラ
イトをヒートポンプ用として使用することにより極めて
効率よく熱交換をすることを知見するに至り、本発明を
完成させた。
【0008】
【課題を解決するための手段】すなわち、本発明は、合
成ゼオライト中の交換可能な総電荷の33.3%以上を
他の金属イオンで置換してなる金属置換合成ゼオライト
からなることを特徴とするヒートポンプ用吸着剤に係る
ものである。
【0009】また、本発明は、他の金属イオンが2価の
金属イオンからなる前記のヒートポンプ用吸着剤に係る
ものである。更にまた、本発明は、2価の金属イオンと
してはMg2+、Ca2+、Ba 、Sr2+、Mn
2+、Co2+、Ni2+、Cu2+、Cd2+、Zn
2+、Ge2+、Sn2+又はPb2+から選ばれた少
なくとも1種の金属イオンである前記のヒートポンプ用
吸着剤に係るものである。また、本発明は、他の金属イ
オンがK又はAgの1価の金属イオンからなる前記
のヒートポンプ用吸着剤に係るものである。
【0010】更にまた、本発明は、金属置換合成ゼオラ
イトの平均粒子径は0.1〜10μmである前記のヒー
トポンプ用吸着剤に係るものである。また、本発明の金
属置換合成ゼオライトは、顆粒状に造粒したものである
前記のヒートポンプ用吸着剤に係るものである。更にま
た、本発明の合成ゼオライトは、A型ゼオライト、X型
ゼオライト、Y型ゼオライト又はP型ゼオライトから選
ばれた少なくとも1種の合成ゼオライトである前記のヒ
ートポンプ用吸着剤に係るものである。また、本発明
は、前記のヒートポンプ用吸着剤を用いることを特徴と
するヒートポンプに係るものである。
【0011】
【発明の実施の形態】以下、本発明を更に詳細に説明す
る。本発明のヒートポンプ用吸着剤は、合成ゼオライト
中の交換可能な総電荷の33.3%以上を他の金属イオ
ンで置換してなる金属置換合成ゼオライトからなること
を特徴とするものである。
【0012】係る合成ゼオライトとは、ゼオライト構造
を有しそのカチオンが交換可能なものである。このイオ
ン交換前の原体である合成ゼオライトは、例えばA型、
X型、Y型又はP型ゼオライトが好ましい。その他とし
てモルデナイト、アナルサイム、ソーダライト、クリノ
プチロライト、エリオナイト又はチャバサイト等が使用
可能である。前記イオン交換前の原体の合成ゼオライト
において、カチオンは、ナトリウム、カリウムその他の
場合もあるが、通常ナトリウムである。
【0013】本発明に使用するヒートポンプ用吸着剤
は、合成ゼオライト中のカチオンであるナトリウムイオ
ンが他の金属イオンとイオン交換された金属置換型ゼオ
ライトを用いている。この交換率は、合成ゼオライト中
の交換性の電荷の33.3%以上、好ましくは40%以
上としている。
【0014】交換する他の金属イオンとしては、K
はAgの1価の金属イオン、又は2価の金属イオンで
ある。交換する2価の金属イオンとしてはMg2+、C
2+、Ba2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、N
2+、Cu2+、Cd2+、Zn2+、Ge2+、S
2+又はPb2+から選ばれた少なくとも1種の金属
イオンである。この中で、K、Mg2+、Co2+
特に好ましい。 Mg2+、Co2+が好ましい理由
は、後述又は実施例に記載した様に、置換後に含まれる
含水量が高いことによる。また、 K置換合成ゼオラ
イトは、200〜300℃程度の高温でも結晶構造が壊
れることなく安定であるため、好ましい。
【0015】合成ゼオライトのイオン交換体は、容易に
調製することができる。例えばA型ゼオライトとイオン
交換すべき金属の可溶性塩水溶液と充分に接触させるこ
とにより得られ、 金属塩としては塩化物、硝酸塩、硫
酸塩又は有機酸塩等が挙げられる。本発明のヒートポン
プ用吸着剤としての金属置換合成ゼオライトは、平均粒
子径0.1〜20μm、好ましくは1〜10μm、更に
好ましくは2〜8μmである。
【0016】これは、金属置換合成ゼオライトの粒径が
微細すぎると、真空ポンプでヒートポンプ系内を真空に
する際にゼオライトが飛散してしまい好ましくない。ま
た、大粒径のゼオライトにおいては、原体の合成が困難
である。以上の理由により、粒径の範囲が決められる。
【0017】また、本発明のヒートポンプ用吸着剤とし
ての金属置換合成ゼオライトは、顆粒状に造粒したもの
であってもよい。この時の造粒の大きさは、平均で10
〜100μm、好ましくは10〜30μmまで造粒した
ものである。造粒の方法は、通常工業的に行われている
方法でよい。
【0018】次に、ゼオライト−水系ヒートポンプにつ
いて説明する。このゼオライト−水系ヒートポンプは使
用する合成ゼオライトのNaイオンを他の金属イオンで
置換する置換率を高くすることにより、極めて効率のよ
いヒートポンプを設計することができる。
【0019】ここで、置換率を高くすると、何故ヒート
ポンプとして使用する場合好ましいかを説明する。合成
時、A型ゼオライトはNaAlSiO・nHOの組
成を持っている。このゼオライト結晶構造中の珪酸塩フ
レームワーク中の空隙には、NaイオンとHO分子が
詰まっている。この水分子の着・脱により熱交換が行わ
れる。この熱交換が、本ヒートポンプシステムの原理で
ある。その場合A型ゼオライトでは、水分子1モルあた
り60−67kJ程度の熱交換(以後、水和エンタルピ
ー、ΔH、とする)が可能であり、この値は、交換性陽
イオンの種類には余り依存しない。すなわち、熱交換の
総量は、空隙内の水分子の数に依存するところが大き
い。
【0020】そこで、熱交換を評価するためのQ値(熱
交換能)を表現すると、熱交換能Qは下記の式になる。 Q=ΔH×Δm [式中、Q:熱交換能( kJ/kg(ゼオライ
ト))、ΔH:水和エンタルピー (kJ/mol
(水)),Δm:水和量 (モル(水)/kg(ゼオ
ライト))]
【0021】すなわち,ゼオライト1000gあたりの
熱交換容量Qは、ゼオライト中の有効な水分量をW%と
すると、 Q=ΔH・(W/100)・(1000/18) =0.55・ΔH・W (k
J/kg) と与えられる。
【0022】前述の理由から、ヒートポンプ用のゼオラ
イトとしての能力が高いものは、水和エンタルピーの絶
対値が大きく、かつ、水の含有量の高いものということ
が出来る。このとき、水和エンタルピーの値は、組成に
よっては大きくは変わらないので、ヒートポンプ用のゼ
オライトの能力は主として含水量に依存する。従って含
水量を増すことが重要である。ゼオライトは、交換性陽
イオンを容易に置換できるので、1価の陽イオン(Naな
ど)を2価の陽イオンで置換すると、陽イオンの数が半
分になり、水の入る余地を増加させ,含水量を増すこと
が出来る。
【0023】3価の陽イオンなど、より多価の陽イオン
を導入すればさらに良いはずであるが、一般に3価以上
の陽イオンを導入することは困難である。従って、ここ
においては,2価の陽イオン、例えば、Mg2+、Ca
2+、Ba2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni
2+、Cu2+、Cd2+、Zn2+、Ge2+、Sn
2+又はPb2+等の金属イオンである。この中で、K
、Mg2+、Co が適している。
【0024】このように、陽イオン(金属イオン)の置
換率を高くすることにより、よりゼオライト内の水分の
含有量を多くさせることができる。このようにして構成
する水分量の多いゼオライトをヒートポンプ用吸着剤と
して用いると、例えば1kg当たりの交換可能な熱量が
多くなり、従来にない効率のよいヒートポンプを作成す
ることができるものである。
【0025】次に、図面を参照して、本発明に係るヒー
トポンプ(装置)を説明する。図1は本発明の吸着剤を
用いたヒートポンプの構成説明図である。ヒートポンプ
10は加熱用ヒータ15を設置した水槽11内に複数本
のゼオライトベッド13を配設している。そして、ゼオ
ライトベッド13と水受け20とを連絡するパイプ2
1、および真空ポンプ30に連絡するパイプ23により
ヒートポンプ系を形成している。なお、パイプ23途上
には真空ゲージ33を配設している。また、符号1から
6はパイプ開閉用のコックである。ヒートポンプ10
は、金属置換合成ゼオライト粉末をガラス管に充填し
て、ゼオライトべッド13を形成する。複数のゼオライ
トべッド13をヒータ15を設置した水槽11に入れ水
溜に接続する。まず、真空ポンプ30によりヒートポン
プ系内を真空排気する。
【0026】次に、ヒータ15により水槽11ないの水
を温め、ゼオライトベッド13を湯の中で加熱する。加
熱によりゼオライトベッド13内の金属置換合成ゼオラ
イト粉末は脱水する。この時、ゼオライトから脱水した
水蒸気は、パイプ21通過途上室温で冷やされて、水受
け20の中で凝縮し水として貯えられる。脱水の後、水
受け20に連絡するコック2を閉じ、水槽11の湯を除
き、室温の水に取り替え、ゼオライトを室温に冷却す
る。冷却後、コック2を開くと、超真空状態になってい
るゼオライトは、水溜まりの水を蒸発させて、吸収し始
める。この時、水溜まりの水の上部は急速な蒸発によ
り、蒸発熱を奪われ数分後に凍り始める。それからはゆ
っくり冷えて、過冷却状態になる。そして、−12℃ま
で冷却したとき、一瞬にして、水溜全体が凍った。
【0027】この実施の形態はヒートポンプ系内を真空
排気した場合を示しているが、ヒートポンプ系内は、常
圧でもよい。例えば、100℃の低温でゼオライトを脱
水する場合は、真空が好ましい。また、160℃の高温
でゼオライトを脱水する場合は、ヒートポンプ系内を必
ずしも真空にする必要はなく、常圧でもよい。これは、
ゼオライトの脱水量に関係があり、低温(100℃以
下)で脱水する場合は、ヒートポンプ系内を真空にしな
ければ、十分な水分量(約15〜17wt%)の脱水を
することができないのに対し、高温(160℃)で脱水
する場合は、ヒートポンプ系内が必ずしも真空でなくと
も十分な水分量(約15〜17wt%)の脱水をするこ
とができるからである。
【0028】以上説明した本発明のヒートポンプ用吸着
剤並びにこれを用いたヒートポンプは、様々な分野に使
用することができる。例えばコンピュータのIC基盤等
の冷却、寒冷地の温熱利用、ドライフラワー、低温乾
燥、住宅の冷暖房等である。
【0029】(実施例)以下、実施例を示し本発明をさ
らに具体的に説明する。この実施例における陽イオン交
換率(電荷交換率)の測定法は、原子吸光法によりアル
カリ、アルカリ土類金属、Al、Siを定量分析し、交
換を行った金属Mn+およびNaのモル比をそれぞれ
、mNaとすると、陽イオン交換率は n×m/( n×m+ mNa)×100(%) となる。また、含水量の測定方法として、含水量は、熱
重量分析(TG)により800℃における脱水率として
求めた。
【0030】実施例1 (1) 合成ゼオライトの化学分析と陽イオン交換率
(電荷交換率)、含水量(wt%)を表1に示す。
【表1】
【0031】この結果によると、MgとCoを置換した
合成ゼオライト(サンプルMg−A,Co−A)が含水
量が高いことが分かる。これは、 MgとCoを置換し
た合成ゼオライトは、大量の水分を含み、ヒートポンプ
用吸着剤として使用する場合、高い熱交換能を有するこ
とを示している。
【0032】(2) 次いで、表2に表1のサンプルを
大気中(常圧下)で加熱した時の脱水率(wt%)を示す。
加熱方法は、上記表1のサンプルを磁製ルツボ中に秤量
し、電気炉で昇温して所望温度になったところで、1時
間保った後、デシケータ中で放冷しサンプル重量を測定
した。
【表2】
【0033】この結果より、 MgとCoを置換した合
成ゼオライト(サンプルMg−A,Co−A)は比較的
低温(25〜200℃)からの脱水率が高いことが分かる。こ
れは、ヒートポンプ用吸着剤として使用する場合、低温
での加熱で高い熱交換能を持つことを示している。
【0034】(3) 脱水温度毎のQ値(熱交換能)の
関係を表3に示す。
【表3】
【0035】また、上記関係を図2のグラフに示してい
る。なお、サンプルK-Aは熱安定性が良いので350℃
までのデータを示している。
【0036】実施例2(Mg置換合成ゼオライトの置換
率による含水率の特性測定) Na−A型合成ゼオライトを、Mgイオンで置換した。
その結果を表4に示す。脱水温度は100℃で、1時間
ロータリーポンプで真空引きして行った。
【表4】
【0037】これによると、Mg置換37.73%合成
ゼオライトに対し、 Mg置換67.85%合成ゼオラ
イトの含水率(水分量)の差は、2.19wt%であ
る。さらに、水の全量との比率にすると8.1wt%の
増加となり、Mgの置換が多いほど、高い熱交換能を有
することがわかる。
【0038】実施例3 実施例1のMg置換A型ゼオライト(サンプル名:Mg
−A)(日本化学工業(株)製、商品名「ゼオスターGA
−100P」)350gを6本の外径3cmのガラス管
(13)に入れ、水が入っている水槽(11)に接続し
た。・・図1参照
【0039】次いで、ヒートポンプ系内を真空排気し、
真空状態をゲージ33で確認した。次いで、水槽11の
ヒータ15で約100℃まで加熱した。この時、ガラス
管内のゼオライトは脱水され、ゼオライトから脱水した
水蒸気は、パイプ21通過途上室温で冷やされ、水受け
20中で凝縮し水として貯えられる。脱水の後、コック
2を閉じ、水槽11の湯を除き、室温の水に取り替え
る。脱水されたMg置換A型ゼオライトは室温まで冷却
される。
【0040】冷却後、コック2を開くと、真空状態にな
っているゼオライトは、水溜まりの水を蒸発させて、吸
収し始める。この時、水溜まりの水の上部は急速な蒸発
により、蒸発熱を奪われ数分後に凍り始める。ゆっくり
冷えて、過冷却状態になり、−12℃になって一瞬にし
て、水溜全体が凍った。
【0041】実施例4〜6 実施例3のMg置換A型ゼオライト(サンプル名:Mg
−A)の代わりに下記表5の金属置換合成ゼオライトを
使用した他は、実施例3と同様に行った結果、実施例3
と同様に水を凍らせることができた。
【表5】
【0042】比較例1 実施例2のMg置換A型ゼオライト(サンプル名:Mg
−A)の代わりに実施例1の表1に示されているサンプ
ルNa-Aを使用して、実施例3と同様の実験を行った。そ
の結果、水を凍らせるのに非常に時間がかかり、効率が
悪いことがわかった。
【0043】
【発明の効果】以上説明したように、本発明のヒートポ
ンプ用吸着剤は、合成ゼオライトを金属置換したもので
あるが、ゼオライト中に含まれる含水量が多いため、そ
の水和エンタルピーの絶対値が大きく、熱交換能が極め
て高い。よって、従来無い効率の高いヒートポンプを作
成することができる。これにより、本発明のヒートポン
プ用吸着剤を用いれば、広い分野でヒートポンプを実際
に使用することが可能となり、エネルギー資源の節約に
寄与することができる。
【図面の簡単な説明】
【図1】ヒートポンプの構成説明図。
【図2】脱水温度と熱交換能との関係を示すグラフ。
【符号の説明】
1,2,3,4,5,6 コック 10 ヒートポンプ 11 水槽 13 ゼオライトベッド 15 ヒータ 20 水受け 30 真空ポンプ 33 真空ゲージ
───────────────────────────────────────────────────── フロントページの続き (72)発明者 輿水 仁 大阪府大阪市中央区北浜1丁目5番5号大 阪平和ビル 日本化学工業株式会社大阪化 学品部内 (72)発明者 三田 宗雄 東京都江東区亀戸9丁目11番1号 日本化 学工業株式会社研究開発本部内 Fターム(参考) 3L093 NN04 RR03 4G066 AA62B BA09 BA20 CA43 EA20 FA26 GA01 4G073 BA05 BA10 BA11 BA12 BA13 BA32 BA40 BA44 BA48 BA49 BA52 BA53 BA64 BA65 BA66 BD21 CZ02 CZ04 CZ05 CZ26 FD08 FD26 GA11 GA39 UA06

Claims (8)

    【特許請求の範囲】
  1. 【請求項1】 合成ゼオライト中の交換可能な総電荷の
    33.3%以上を他の金属イオンで置換してなる金属置
    換合成ゼオライトからなることを特徴とするヒートポン
    プ用吸着剤。
  2. 【請求項2】 前記他の金属イオンが2価の金属イオン
    からなる請求項1記載のヒートポンプ用吸着剤。
  3. 【請求項3】 前記2価の金属イオンがMg2+、Ca
    2+、Ba2+、Sr2+、Mn2+、Co2+、Ni
    2+、Cu2+、Cd2+、Zn2+、Ge 2+、Sn
    2+又はPb2+から選ばれた少なくとも1種の金属イ
    オンである請求項2記載のヒートポンプ用吸着剤。
  4. 【請求項4】 前記他の金属イオンがK又はAg
    1価の金属イオンからなる請求項1記載のヒートポンプ
    用吸着剤。
  5. 【請求項5】 前記金属置換合成ゼオライトの平均粒子
    径は0.1〜10μmである請求項1乃至4のいずれか
    の項に記載のヒートポンプ用吸着剤。
  6. 【請求項6】 前記金属置換合成ゼオライトは顆粒状に
    造粒したものである請求項1乃至5のいずれかの項に記
    載のヒートポンプ用吸着剤。
  7. 【請求項7】 合成ゼオライトは、A型ゼオライト、X
    型ゼオライト、Y型ゼオライト又はP型ゼオライトから
    選ばれた少なくとも1種の合成ゼオライトである請求項
    1乃至6のいずれかの項に記載のヒートポンプ用吸着
    剤。
  8. 【請求項8】 請求項1乃至7のいずれかの項に記載の
    ヒートポンプ用吸着剤を用いることを特徴とするヒート
    ポンプ。
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