JP2008094454A - ガスバリア層を有するプラスチック製容器 - Google Patents

ガスバリア層を有するプラスチック製容器 Download PDF

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Abstract

【課題】酸素ガスバリア性に優れるとともに、容器内に充填された内容物中の溶存酸素量を低減させることができる、安価なプラスチック製容器を提供する。
【解決手段】ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられてなる、多層構造のプラスチック製容器であって、前記ガスバリア層が、プラスチック容器のサポートリング下から胴部にかけてのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設ける。
【選択図】図1

Description

本発明は、プラスチック製容器に関し、更に詳細には、酸素ガスバリア性を有する容器に関する。
従来、種々の物品を充填包装する包装用容器の一つとして、射出成形、押出成形、ブロー成形等の成形法によって成形される種々の形態のプラスチック製容器がある。これらプラスチック製容器は、ガラス製容器と比べ、軽量、割れにくい、安価、製造が容易、そして大量生産が可能等の種々の利点を有し、包装容器として広く用いられている。
これらプラスチック製容器は、上記のような利点を有する一方、酸素ガス等のガス遮蔽性に劣ると言った欠点がある。また、上記のプラスチック製容器においては、プラスチック組成中に含まれる可塑剤、安定剤、その他の添加剤、あるいは、残留モノマー等が溶出し、内容物の品質等に影響を与えるおそれがあるといった問題もある。上記のような問題を解決するため、種々の提案がされている。
例えば、特開2003−136057号公報(特許文献1)には、容器に、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂(以下、(ポリアミド)MXD6ともいう)、エチレン−ビニルアルコール共重合樹脂、ポリグリコール等の樹脂を中間層として樹脂中にバリア層を設けた酸素バリア性に優れるプラスチック製容器が開示されている。
また、特表平2−500846号公報(特許文献2)には、ポリエステルにナイロンとコバルト金属とを含有させた樹脂層を設けることにより、0.5cm/(m・atm・day)以下の酸素透過度を有するプラスチック製容器が開示されている。上記特許文献によれば、コバルト金属の含有量を10〜300ppmとすることで、0.5cm以下の酸素透過度を実現できるとされている。
さらに、プラスチック製容器の表面に、ガスバリア性樹脂組成物をコ−ティングしてガスバリア性樹脂膜を形成したプラスチック製容器や、プラスチック製容器本体の表面、内面に、酸化珪素薄膜を形成したプラスチック製容器(特許文献3ないし5)等が提案されている。
特開2003−136057号公報 特表平2−500846号公報 実開平5−35660号公報 特開2000−43875号公報 特開2000−117881号公報
本発明者らは、今般、プラスチック製容器全体にガスバリア層を設けなくとも、当該容器の一部分にのみガスバリア層を設けても、十分酸素ガスバリア性に優れるとともに、容器内に充填された内容物中の溶存酸素量を低減させることができる、との知見を得た。本発明はかかる知見に基づくものである。
従って、本発明の目的は、酸素ガスバリア性に優れるとともに、容器内に充填された内容物中の溶存酸素量を低減させることができるプラスチック製容器を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記のプラスチック製容器の製造に用いられる予備成形体を提供することにある。
また、本発明の別の目的は、上記の予備成形体を用いてプラスチック製容器を製造する方法を提供することにある。
本発明によるプラスチック製容器は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられてなる、多層構造のプラスチック製容器であって、
前記ガスバリア層が、プラスチック容器のサポートリング下から胴部にかけてのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、ことを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様によるプラスチック製容器の製造に用いる予備成形体は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられた多層構造を有し、
予備成形体のサポートリングから底までの距離をLとした場合に、前記ガスバリア層が、予備成形体の口部から0.50Lの距離までにのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、ことを特徴とするものである。
また、本発明の別の態様による予備成形体を用いたプラスチック製容器の製造方法は、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられてなるプラスチック製容器を製造する方法であって、
上記の予備成形体を予備加熱する工程、および
加熱された前記予備成形体を2軸延伸ブロー成形に付す工程、
を含んでなることを特徴とするものである。
本発明によれば、ガスバリア層を、プラスチック製容器のサポートリング下から胴部にかけてのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けることによって、十分に酸素ガスバリア性に優れ、かつ、容器内容物中の溶存酸素量を低減させる多層プラスチック容器を実現することができる。また、ガスバリア層を容器全体に設けていないため、多層構造のプラスチック製容器を製造する上で製造コストが低減できる。
プラスチック製容器
図1は、本発明によるプラスチック製容器側面の断面図の一例を示したものであり、円中の図AおよびBは、当該断面の拡大図を模式的に示したものである。図1に示されるように、プラスチック製容器は、樹脂層1中に少なくとも一層以上のガスバリア層2が設けられた多層構造を有する。このガスバリア層が存在する多層部分は、容器の蓋部したに形成されるサポートリング3下から容器の胴部4にかけてのみ形成されている。本発明においては、このようにプラスチック製容器全体にガスバリア層を設けなくとも、上記したように容器の特定部分にのみガスバリア層を設ければ、所望のガスバリア性能(すなわち、酸素ガスバリア性および溶存酸素量の吸収能)が得られる、との知見をえたものである。この理由は定かではないが、以下のように考えられる。
容器内に酸素が取り込まれる場合、主として、容器外の空気中から、容器内の空気部分(液体が充填されていない部分)を移動することによって、酸素が容器の壁を透過すると考えられる。実際、プラスチック製容器中に水等の液体を充填した場合、容器の胴部よりも底部にかけては、水圧との関係で容器外の空気中から容器内の液体への酸素移動量は、極少量であると考えられ、大部分は、液体が存在しない部分(容器の蓋付近)ないし水圧が低い胴部の上部分のみから、酸素が容器内に移動しているものと考えられる。従って、図1に示したように、プラスチック製容器のサポートリング3下から容器の胴部4にかけてのみ、ガスバリア層2を設ければ、所望の性能が得られるものと考えられる。
本発明の好ましい態様として、ガスバリア層は、図2に示されるように、プラスチック容器の口部5の位置から、容器胴部4の上2/3の位置までの間に設けられる。より好ましい態様としては、図3に示されるように、ガスバリア層2は、プラスチック容器の口部5の位置から、容器肩部6の位置までの間に設けられる。
また、ガスバリア層2の上端部分7が、サポートリング3の下から上側に10mmの位置から下側に5mmの位置の範囲にあればよい。サポートリング下5mmの位置は、容器の肉厚が厚いため、ガスバリア層を設けなくても酸素透過性が低いためである。
一方、ガスバリア層の下端部分8は、少なくとも、サポートリングから繋がる容器の肩部分6に位置する程度まで必要であり、より好ましくは、容器の肩部分6の中ほど、すなわち、サポートリング3から容器肩6の下端の中間部分に位置する程度まで必要である。
プラスチック製容器の樹脂層を構成する樹脂は、典型的にはポリエチレンテレフタレート樹脂層であるが、ポリエチレンナフタレート、ポリブチレンナフタレート等のポリエステル系樹脂がブレンドされていてもよく、また、ポリエチレンテレフタレートに共重合モノマーが添加された改質ポリエチレンテレフタレートであってよい。
また、本発明によるプラスチック製容器を構成する樹脂層1は、透明または半透明であってもよく、また、有色の樹脂層としてもよい。
本発明によるプラスチック製容器に設けられるガスバリア層は、典型的には酸素を遮断ないし吸収するものである。
ガスバリア層を構成する樹脂は、主成分としてポリメタキシリレンアジパミド樹脂からなる。ポリメタキシリレンアジパミド樹脂は、m−キレンジアミンとアジピン酸との共重合体であり、本発明においては、市販されているものを好適に使用できる。市販されているポリメタキシリレンアジパミド樹脂としては、例えばMXD6ナイロン(三菱ガス化学(株)製)等が挙げられる。
本発明においては、上記ポリメタキシリレンアジパミド樹脂中に遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩が含有されており、その含有量を、ガスバリア層に対する金属の重量割合で、300〜600ppmとするものである。遷移金属系触媒の含有量を上記の範囲とすることにより、酸素の遮蔽作用のみならず、プラスチック容器中に充填された内容物中の溶存酸素を吸収する作用を有する。すなわち、本発明によるプラスチック容器に充填された内容物は、経時的に溶存酸素量が減少する。従って、内容物の種類によっては変質等を抑制することができる。
遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩の含有量が、ガスバリア層に対する金属の重量割合で300ppm未満であると、容器の酸素遮蔽作用は発現するものの、内容物の溶存酸素を効果的に吸収することができない。また、600ppmを超えると、後述するようにプラスチック容器を射出成型器によって成形する際、スクリューへの樹脂の噛み込みが悪化し、生産性が低下したり、また、成形不良となる。
遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩の含有量は、ガスバリア層に対する金属の重量割合で350〜500ppmが好ましい。この範囲とすることにより、酸素吸収作用により優れるとともに、生産性のよいプラスチック容器を実現することができる。
遷移金属系触媒としては、2価または3価の状態にあるコバルト化合物、または2価の状態にある銅金属等が挙げられるが、本発明においては、2価または3価の状態にあるコバルト金属が好ましい。また、本発明においては、このコバルト金属は、有機酸塩の錯塩としてポリメタキシリレンアジパミド樹脂中に添加されることが好ましく、より好ましくは、ステアリン酸コバルトまたはネオデカン酸コバルトとして、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂に添加されることが好ましい。
ガスバリア層を構成する樹脂は、遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩が、上記の添加量となるようにポリメタキシリレンアジパミド樹脂に混合して用いてもよく、また、より高含有用のマスターバッチを一旦作製しておいて、上記範囲になるように、当該マスターバッチをポリメタキシリレンアジパミド樹脂で希釈して用いてもよい。
本発明のプラスチック製容器にあっては、例えばホットウォーマーベンダー等の使用用途のような高温環境下に置かれた場合に、容器からのアセトアルデヒドやホルムアルデヒドが充填物中に溶出することがある。また、容器に充填する内容物の種類によっては、紫外線により変質等するものもある。特に、医薬品や医薬部外品等を充填にする場合においては、紫外線による充填物の変質が問題となる。
そこで、本発明のプラスチック製容器を構成するガスバリア層は、紫外線遮蔽機能またはアセトアルデヒド吸収機能を有する化合物を含有していることが好ましい。これらの化合物は、プラスチック製容器を構成する樹脂層に添加すること、または、紫外線遮蔽層として樹脂中に設けることも可能であるが、容器のリサイクル性および機能性を考慮すると、ガスバリア層に添加することが好ましい。
紫外線遮蔽機能を有する化合物としては、一般的に市販されている紫外線吸収剤(例えば、チヌビン等)が好適に用いられる。これら紫外線吸収剤は、容器成型時の溶融ポリマーにマスターバッチまたは液体注入として添加することにより形成できる。また、紫外線を遮蔽できる樹脂、例えばポリエチレンナフタレート(380nm以下を遮蔽)をガスバリア層として多層形成してもよい。さらに、紫外線のみならず、黒、赤、セピア色の色剤を添加することによって、種々の波長を遮蔽することができる。
また、アセトアルデヒド吸収機能を有する化合物としては、AA Scavengers(ColorMatrix社製)等を好適に用いることができ、これらを容器成形時に溶融ポリマーに添加することができる。
本発明によるプラスチック製容器は、最小肉厚が0.2mm以上であることが好ましく、より好ましくは0.25mm以上である。
また、プラスチック製容器を構成するガスバリア層の肉厚は、0.01〜0.1mmであることが好ましい。この範囲とすることで、より優れた酸素吸収能を実現できる。バスバリア層の肉厚が0.01mm未満であると、酸素吸収能だけでなく、酸素遮蔽能も低下する場合がある。一方、ガスバリア層の厚みが0.1mmを超えても酸素吸収作用は向上せず、ガスバリア層を構成する樹脂及び遷移金属系触媒のコストの観点から好ましくない。
本発明のプラスチック製容器の形態としては、特に限定されるものではなく、ボトル状、カップ状、碗状、その他の形態とすることができる。
プラスチック製容器の製造法
本発明によるプラスチック製容器は、例えば、押出成形、射出成形、ブロー成形、キャスト成形、熱成形、その他等の成形法を用いて成形することができるが、これらの中でも特に、2軸延伸ブロー成形により成形されることが好ましい。
本発明のプラスチック製容器は、典型的には予備成形体(プリフォームとも呼ばれる)を2軸延伸ブロー成形に付す方法によって製造される。そして、典型的には、予備成形体の成形にあたり、共射出成形法を用いることにより、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中にガスバリア層が形成できる。
本発明に用いられる共射出成形法は、例えば図4に概略的に示すホットランナ−ノズルを用い、ポリエチレンテレフタレート樹脂およびガスバリア樹脂の共射出のタイミングを図5に概略的に示すように条件を設定することにより行うことができる。
具体的には、まず図4に示すホットランナ−ノズル20は、二つの流路A、Bを有し、流路Aは、更に中央の直線状流路A1 と、その外側に設けられた円筒状流路A2 とに等しく分けられている。また流路Bは、上記の二つの流路A1 、A2 間に円筒状に設けられている。中央流路A1 の上端部にはチャッキ弁21が設けられており、チャッキ弁21は、流路A1 と流路Bとの樹脂圧の差により上下に移動自在であり、流路Bの樹脂圧が高い場合に流路Bが開放し得るようになっている。流路Bは、流路A1 に開口し、流路A1 は上方で合流してホットランナ−ノズル20を出て、射出成形型30のキャビティ31に連絡している。
上記のようなホットランナ−ノズル20を用いた多層予備成形体の製造工程を図5に示す共射出プログラムおよび図6ないし図9に掲げる共射出の状態を示す模式図によって説明する。なおこの例では、流路Aにポリエチレンテレフタレート樹脂(PET樹脂)を流し、流路Bにガスバリア樹脂を流す。
まずステップ1で流路Aよりポリエチレンテレフタレート樹脂を射出する。このときホットランナ−ノズル20のチャッキ弁21は、図6に示すように、ポリエチレンテレフタレート樹脂の射出圧により閉じられており、流路A1 、A2 からポリエチレンテレフタレート樹脂のみが射出される。
次に、ステップ2で、ポリエチレンテレフタレート樹脂の射出率を下げ、さらにステップ3として、ポリエチレンテレフタレート樹脂の射出をステップ2と同様に続けながらガスバリア樹脂を流路Bより射出する。このとき、ガスバリア樹脂の射出圧がポリエチレンテレフタレート樹脂の射出圧より大きくなっているので、チャッキ弁21は、その差に応じて開き、その分だけガスバリア樹脂が射出されることになる。
ステップ3で射出されたガスバリア樹脂は、図7に示すように、流路A1 、A2 とから射出される二つのポリエチレンテレフタレート樹脂層40a、40bの間を進み、ガスバリア樹脂層50を形成する。このときガスバリア樹脂層50は、成形型内壁に接触することなく二つのポリエチレンテレフタレート樹脂層40a、40bの間を進むので、材料温度の低下が少なく流動性が大きく、従って、ポリエチレンテレフタレート樹脂層40a、40bよりも速いスピ−ドで移動する。
更に、ステップ4としてガスバリア樹脂の射出を止めずにポリエチレンテレフタレート樹脂の射出率を上げると、図8に示すように、ステップ3で射出されたポリエチレンテレフタレート樹脂層40a、40bに加えて、新たにポリエチレンテレフタレート樹脂層40c、40dが材料内を進行することになる。このときチャッキ弁21は、ポリエチレンテレフタレート樹脂の射出圧により幾分閉じられた状態となるので、ガスバリア樹脂は薄く射出される。またポリエチレンテレフタレート樹脂層40c、40dは、材料層間を進行するので、ポリエチレンテレフタレート樹脂40a、40bよりも速いスピ−ドで移動する。
次に、ステップ5として、ガスバリア樹脂の射出を止め、成形型を充填するだけの量のポリエチレンテレフタレート樹脂を射出して図9に示す状態にし、最後にステップ6に示すように成形型30内の圧力(保圧)をして、射出を終了する。なお、このような多層予備成形体の製造には、射出時のシリンダ温度、シリンダ圧力、ポリエチレンテレフタレート樹脂とガスバリア樹脂との粘度差等を規定・管理する必要があり、特に材料の粘度は、温度により大きく左右されるので、材料の温度を一定に保つことは重要である。
上記のようにして射出成形により、まず図8に示すような予備成形体(プリフォーム)を形成する。その後、予備成形体を2軸延伸ブロー成形することにより、プラスチック製容器を作製することができる。
予備成形体
上記したようなプラスチック製容器の特定位置にガスバリア層を設けるため、プラスチック製容器を作製するための予備成形体においても、特定の位置にガスバリア層を設ける必要がある。図10に示したように、予備成形体のサポートリング3’から底9までの距離をLとした場合に、ガスバリア層2を、予備成形体の口部5’から0.50Lの距離、好ましくは、0.25Lの距離までにのみ設ける。このような位置にガスバリア層を設けることにより、この予備成形体を2軸延伸ブロー工程に付してプラスチック製容器を作製すると、上記した位置にガスバリア層が形成される。なお、図10に示されるように、この予備成形体を2軸延伸ブロー工程に付してプラスチック製容器を成形した場合、口部の位置から0.50Lの距離は、容器胴部の上2/3の位置に相当し、口部の位置から0.25Lの距離は、容器肩部の位置に相当する。
また、ガスバリア層の上端部分は、口部から0.1Lの距離までに位置していればよい。この位置は、プラスチック容器を成形した場合の、サポートリングの下から上側に10mmの位置から下側に5mmの位置に相当するため、上記したように、容器の肉厚が厚いため、ガスバリア層を設けなくても酸素透過性が低いためである。
また、ガスバリア層の下端部分は、少なくとも口部5’の位置から0.15Lの距離よりも下側にあることが必要である。この位置は、プラスチック容器を成形した場合の、サポートリング3から容器肩6の下端の中間部分の位置に相当するものである。
プラスチック製容器と組み合わされる物品
本発明においては、容器外側にシュリンクフィルム等を用いて、容器を覆っても良い。このシュリンクフィルムに紫外および/または可視光線遮蔽機能等を付与することにより、さらなる紫外線遮蔽効果やより長波長の光を遮蔽できるという効果が得られ、医薬品や医薬部外品等の紫外線等により変質しやすい充填物に適用することができる。シュリンクフィルムとしては、透明なものに限定されるわけではなく、黒、セピア、銀等の有色フィルムを用いても良い。なお、容器の蓋まで含めた全体を被覆することも良い。
本発明によるプラスチック製容器と組み合わされる容器の蓋は、容器と同様にガスバリア性のあるものが使用されることが好ましい。例えば、バリア性を有するフィルムからなるライナー材を用いた蓋や、あるいは、ガスバリア性を有するフィルムを用いてインモールド成形した蓋を用いることができアルミキャップを使用しても良い。
以下、本発明によるプラスチック製容器について、実施例によりさらに詳細に説明するが、本発明がこれら実施例に限定されるものではない。
プラスチック製容器の作製
樹脂層に使用する樹脂としてPET(ポリエチレンテレフタレート樹脂、CB651G、遠東紡社製)を用いた。また、ガスバリア層に使用する樹脂として、ポリアミドMXD6 S6007(ポリメタキシリレンアジパミド樹脂、三菱ガス化学(株)製)にステアリン酸コバルト(和光純薬工業(株)製)4.5重量%混合したものを用いた。なお、ガスバリア層に対するステアリン酸コバルトの含有量は、コバルト金属の重量割合で500ppmであった。
これらの樹脂につき、共射出成型機(IN−90、Kortec社製)を用いて三層構造(PET樹脂層/ガスバリア層/PET樹脂層)の予備成形体(プリフォーム)を作製した。その際、これら各樹脂層に対するガスバリア層の割合が5重量%と一定になるようにした。
また、射出成型器のガスバリア層樹脂側のスクリュー回転数を調整して、ガスバリア層の形成位置が異なる複数の予備成形体を作製した。
得られた複数の予備成形体についての、ガスバリア層の形成位置は、サポートリングから底までの距離をLとした場合に、それぞれ、サポートリング下端から、0L、0.15L、0.25L、0.5L、0.75Lであった。
得られた予備成形体から、二軸延伸ブロー成形により、満注容量280mlのプラスチック製容器を作製した。容器の肉厚は、ヒール部で0.25mm、胴部で0.32〜0.42mm、肩部で0.22〜0.52mmであり、平均すると0.35mmであった。
プラスチック容器を切断して、ガスバリア層が形成されている位置を確認した。ガスバリア層の下端の位置は、結果は表1に示される通りであった。
Figure 2008094454
次いで、得られた各容器について、下記の評価を行った。
酸素吸収試験
280mlボトルに無酸素状態(9ppm)の水を充填し、60℃の恒温槽(PL−4KP)に1〜4週間保管した。その間、酸素分析計(Hach Ultra Analytics 社)を使用し、水中の溶存酸素濃度の推移を測定した。
図11は、各容器について、溶存酸素量と放置時間との関係を示すグラフである。
図11からも明らかなように、0.15L以上の位置までガスバリア層を設けることによって、容器中の溶存酸素量は初期の酸素量(9ppm)よりも減少することがわかる。また、0.25L以上の位置にガスバリア層を設けた容器においては、溶存酸素量の減少割合に大差はなく、優れた酸素吸収性能を示すことがわかる。
本発明のプラスチック製容器の一例を示す概略断面図である。 本発明のプラスチック製容器の他の例を示す概略断面図である。 本発明のプラスチック製容器の他の例を示す概略断面図である。 共射出成形法用ホットランナ−ノズルおよび射出成形型の断面図である。 共射出プログラムを示すグラフである。 共射出の状態(ステップ1)を示す概略断面図である。 共射出の状態(ステップ3)を示す概略断面図である。 共射出の状態(ステップ4)を示す概略断面図である。 共射出の状態(ステップ5)を示す概略断面図である。 本発明による予備成形体の一例を示す概略断面図である。 ボトル容器の保存期間と溶存酸素量との関係を示すグラフである。
符号の説明
1 ポリエチレンテレフタレート樹脂層
2 ガスバリア層
20 ホットランナ−ノズル
21 チャッキ弁
30 射出成形型
31 キャビティ
40a、40b、40c、40d ポリエチレンテレフタレート樹脂層
50 ガスバリア樹脂層

Claims (20)

  1. ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられてなる、多層構造のプラスチック製容器であって、
    前記ガスバリア層が、プラスチック容器のサポートリング下から胴部にかけてのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、ことを特徴とする、プラスチック製容器。
  2. 前記ガスバリア層が、プラスチック容器の口部から、容器胴部の上2/3の位置まで、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、請求項1に記載のプラスチック製容器。
  3. 前記ガスバリア層が、プラスチック容器の口部から、容器肩部の位置まで、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、請求項1または2に記載のプラスチック製容器。
  4. 前記ガスバリア層の上端部分が、サポートリング直下から上側に10mmの位置から下側に5mmの位置の範囲にある、請求項1〜3のいずれか一項に記載のプラスチック製容器。
  5. 前記ガスバリア層が、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂と、遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩とを含んでなる、請求項1〜4のいずれか一項に記載のプラスチック製容器。
  6. 前記遷移金属系触媒が、ガスバリア層に対する金属の重量割合で、300〜600ppm含有されてなる、請求項5に記載のプラスチック製容器。
  7. 前記遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩が、コバルト化合物である、請求項5または6に記載のプラスチック製容器。
  8. 前記コバルト化合物が、ステアリン酸コバルトである、請求項7に記載のプラスチック製容器。
  9. 前記ガスバリア層の肉厚が0.01〜0.1mmである、請求項1〜8のいずれか一項に記載のプラスチック製容器。
  10. 容器の肉厚が0.20mm以上である、請求項1〜9のいずれか一項に記載のプラスチック製容器。
  11. 共射出成形法によって成形された予備成形体を2軸延伸ブロー成形に付して得られてなる、請求項1〜10のいずれか一項に記載のプラスチック製容器。
  12. 請求項1〜11のいずれか一項に記載のプラスチック製容器を製造するための予備成形体であって、
    ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられた多層構造を有し、
    予備成形体のサポートリングから底までの距離をLとした場合に、前記ガスバリア層が、予備成形体の口部から0.50Lの距離までにのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、ことを特徴とする、予備成形体。
  13. 前記ガスバリア層が、予備成形体の口部から0.25Lの距離までにのみ、ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に設けられてなる、請求項12に記載の予備成形体。
  14. 前記ガスバリア層の上端部分が、予備成形体の口部から0.1Lの距離までに位置する、請求項12または13に記載の予備成形体。
  15. 前記ガスバリア層の下端部分が、少なくとも予備成形体の口部から0.15Lの距離よりも下側にある、請求項12〜14のいずれか一項に記載の予備成形体。
  16. 前記ガスバリア層が、ポリメタキシリレンアジパミド樹脂と、遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩とを含んでなる、請求項12〜15のいずれか一項に記載の予備成形体。
  17. 前記遷移金属系触媒が、ガスバリア層に対する金属の重量割合で、300〜600ppm含有されてなる、請求項16に記載の予備成形体。
  18. 前記遷移金属系触媒を含む無機酸塩または有機酸塩の錯塩が、コバルト化合物である、請求項16または17に記載の予備成形体。
  19. 前記コバルト化合物が、ステアリン酸コバルトである、請求項18に記載の予備成形体。
  20. ポリエチレンテレフタレート樹脂層中に少なくとも一層以上のガスバリア層が設けられてなる多層構造のプラスチック製容器を製造する方法であって、
    請求項12〜19のいずれか一項に記載の予備成形体を予備加熱する工程、および
    加熱された前記予備成形体を2軸延伸ブロー成形に付す工程、
    を含んでなることを特徴とする、方法。
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