JP2008091187A - 燃料電池用電解質膜および、膜電極接合体,燃料電池 - Google Patents

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Abstract

【課題】
界面の密着性を高めることで、高プロトン導電性と低メタノール透過性を両立した複合電解質膜およびそれを用いた高出力MEAを提供することにある。
【解決手段】
本発明は、プロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成される複合電解質膜であって、金属酸化物水和物の表面に中間層が形成されていることを特徴とする複合電解質膜である。これにより、金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性が高まり、その界面からのメタノール透過を低減させることができる。よって高プロトン導電性と低メタノール透過性の両立が可能になり、高出力のMEAを供給することが可能になる。
【選択図】図2

Description

本発明は、燃料電池用電解質膜および、膜電極接合体,燃料電池に関するものである。
近年、高プロトン導電性・低メタノール透過性を両立する電解質膜として、無機物と有機物を複合した無機有機複合電解質膜が注目されている。例えば特許文献1には特開2003−331869号公報では、有機高分子に金属酸化物水和物を分散させた電解質膜が報告されている。
特開2003−331869号公報
しかしながら現在までのところ、報告されている複合電解質膜の性能は十分とは言えない。すなわち、メタノール透過量を十分に抑制することができていない。さらには無機物の混入によりメタノール透過量が増大するということも起こっている。
このメタノール透過量が増大する理由としては、無機物と有機物は異質のもの同士であるために、その界面の密着性が低くなっているということが考えられる。そのため、無機物と有機物の界面にすきまができてしまい、そこからメタノールが透過してしまう。
そのため、高プロトン導電性と低メタノール透過性を両立した電解質膜を得る目的で無機有機複合電解質膜にしても、想定された性能が十分に発揮できないと考えられる。
以上を鑑み、本発明は、高プロトン導電性を維持しつつ低メタノール透過性を目指した無機有機複合電解質膜であり、無機物と有機物の界面の密着性を高めることでメタノール透過量を低減させた複合電解質膜を供給することを目的とする。また、その複合電解質膜を用いた高出力のMEA(膜電極接合体)、それを用いた燃料電池を供給することを目的とする。
プロトン導電性を有する金属酸化物水和物と第1の有機高分子電解質とを有する燃料電池用複合電解質膜であって、前記金属酸化物水和物と前記第1の有機高分子電解質と密着性を高める中間層が形成されていることを特徴とするプロトン導電性複合電解質膜、及び、それを用いた膜電極接合体,燃料電池である。
本発明によれば、従来のプロトン導電性複合電解質膜のプロトン導電率を維持しながら低メタノール透過の電解質膜を提供でき、それに伴い高出力のMEA及び燃料電池を提供することが可能になる。
本発明の最良の実施形態は、プロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成される複合電解質膜であって、金属酸化物水和物と有機高分子との間に中間層が形成されていることを特徴とする複合電解質膜である。この中間層は金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性を高めるものである。
この中間層はバルクの有機高分子よりも親水性が高い有機高分子から構成される。あるいはこの中間層は、金属酸化物水和物と有機高分子の親和性を高めるような官能基または界面活性剤である。本実施形態の複合電解質膜によれば、金属酸化物水和物と有機高分子の密着性を高めることができ、高プロトン導電性と低メタノール透過性の両立が可能になり、高出力のDMFC用MEAを供給することが可能になる。
本発明にかかる実施形態について図面を用いて詳しく述べる。
図1に従来のプロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成される複合電解質膜のモデル図を示す。図1中、11がスルホン酸基等のプロトン供与体を持った有機高分子、12がプロトン導電性を有する金属酸化物水和物であり、ここでは、具体例として酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを示した。有機高分子は、含水状態においてプロトン導電性を示す。これは、含水状態において、スルホン酸基等のプロトン供与体からプロトンが解離して伝導するためである。この有機高分子をDMFC(直接メタノール型燃料電池)に用いた場合、メタノールが水とサイズがほぼ等しく、水と互いに溶け合うため、メタノールも有機高分子内を伝導してしまう。
一方、金属酸化物水和物では、結晶内の水和物を介してプロトンが伝導していく。結晶内の水和物は、結晶中に固定されていて動けない。前述のように水とメタノールの動きやすさは連動しており、水が動けないところはメタノールも動けない。よって、メタノールは金属酸化物水和物内を動けない。また、金属酸化物水和物は無機物としては比較的高いプロトン導電率を持つ。例えば、25℃において酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oは2.8×10-3S/cm、酸化スズ水和物SnO2・nH2Oは4.7×10-3S/cmである。このようにプロトンおよびメタノールの伝導機構の異なる有機高分子と金属酸化物水和物を組み合わせた複合電解質膜により、メタノールはブロックし、プロトンは通すことができる電解質膜を得ることが可能になると予想される。すなわち、有機高分子の単一電解質膜に見られるプロトン導電性とメタノール透過性のトレードオフの関係を改善することができると期待される。
しかしながら、実際には、金属酸化物水和物の混入により、有機高分子単一電解質膜と比べて、メタノール透過量が増大することが考えられる。特に、金属酸化物水和物を増加させるに従い、メタノール透過量は増大するという傾向が見られる。
このメタノール透過量増大の理由として、金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性が低いことが挙げられる。そのため、金属酸化物水和物と有機高分子との間にすきまが生じてしまい、そこからメタノールが透過してしまう。
金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性が低い理由として、親水性の違いが挙げられる。有機高分子は側鎖の末端のプロトン供与体は親水性であるが、主鎖は疎水性である。それに対して、金属酸化物水和物は構造内に水和物を持つために親水性である。そのため、有機高分子の疎水性の部分と金属酸化物水和物が接する部分で反発力が働いてしまい、密着性が弱くなってしまう。
よって、金属酸化物水和物と有機高分子との複合電解質膜において、金属酸化物水和物の含有量が多くなるほど、メタノールの透過量は大きくなる傾向にある。これは、金属酸化物水和物の含有量が多くなるほど、有機高分子の疎水性の部分と接触することが多くなるためであると考えられる。また、有機高分子のイオン交換容量が小さくなるほど、金属酸化物水和物と複合化した電解質膜のメタノール透過量は大きくなる。これは、有機高分子のイオン交換容量が小さくなるほど有機高分子の疎水性の部分が多くなるために、金属酸化物水和物との反発力が働いてしまう部分が多くなるためであると考えられる。
このように、従来の無機有機複合電解質膜では、無機物と有機高分子との間の密着性の低さにより、本来目指した高プロトン導電率・低メタノール透過量を両立した電解質膜が得られてない。
それに対して、図2は本発明に係る実施形態の金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性を高めた複合電解質膜のモデル図である。図2中、21がスルホン酸基等のプロトン供与体を持った有機高分子、22がプロトン導電性を有する金属酸化物水和物であり、ここでは、具体例として酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを示した。また、23は金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性を高めるために導入した中間層である。
この中間層により、金属酸化物水和物と有機高分子との間の密着性を高め、メタノール透過量増大を抑制することができる。
この中間層としては以下のようなものがある。
(1)バルクの有機高分子よりも親水性が高い有機高分子
(2)金属酸化物水和物と有機高分子の親水性を高めるような官能基
(3)疎水基と親水基を結合するような界面活性剤
ここで、バルクとは金属酸化物水和物と有機高分子の複合電解質膜のうち、金属酸化物水和物の表面に形成する中間層以外の有機高分子の部分である。
(1)のバルクの有機高分子よりも親水性が高い高分子としては、イオン交換基濃度がより高い有機高分子が挙げられる。これはバルクと同一骨格をもつ有機高分子でも、バルクと異なる骨格を持つ有機高分子であってもよい。
(2)の金属酸化物水和物と有機高分子の親水性を高めるような官能基としては、スルホン酸基,ホスホン酸基,カルボキシル基,リン酸基,水酸化基などがある。それらの官能基を、金属酸化物水和物の表面もしくは有機高分子に結合させることで中間層を形成させることができる。
以上の中間層により、金属酸化物水和物と有機高分子との間の親和性を高めることで密着性を高め、界面からのメタノール透過を低減させることができる。
中間層の厚さとしては、あまり薄いと密着性を高める効果がないため、10nm以上が望ましい。また、あまり厚いと形成が難しいため10μm以下が望ましい。
また、中間層が形成されているかどうかの確認手段としては、元素分析やSEMあるいはTEMによるEDX分析が挙げられる。EDXでの確認方法としては、例えばバルク、中間層ともにプロトン供与体がスルホン酸基である有機高分子を用いた場合、スルホン酸基に含まれるイオウ原子Sの濃度を比較する方法がある。すなわち、金属酸化物水和物表面の中間層におけるイオウ原子Sと、バルクのイオウ原子Sのピーク比から確認することができる。
また、無機有機複合電解質膜は、燃料をメタノールの代わりに水素を使ったPEFC
(Polymer Electrolyte Fuel Cell) に用いることもできる。金属酸化物水和物と有機高分子からなる無機有機複合電解質膜をPEFCに用いるメリットとしては、作動温度を通常の70〜80℃から高くすることができることである。
すなわち、金属酸化物水和物は結晶内に水和物を持つことから保湿性を持つ。この金属酸化物水和物を有機高分子中に分散させることで膜全体に保湿性を持たせることが可能である。つまり、通常用いられている有機高分子の単一電解質膜では、高温にすると水分が蒸発してしまいプロトン導電率が低くなってしまうため、70〜80℃程度が限度である。それに対して、金属酸化物水和物を有機高分子中に分散させた複合電解質膜では、保湿性を持たせることができるので、高温でもプロトン導電率の低下を防ぐことができる。作動温度を高めることは、出力向上、Ptをはじめとした貴金属触媒の低減,廃熱の有効利用といった利点を持つ。本発明に係る実施形態によれば、PEFCの作動温度を100℃程度にまで上げることを可能にしている。
しかしながら、PEFCにおいても無機有機複合電解質膜を用いた場合、DMFCと同様の課題が生じる。すなわち、無機物と有機物の界面の密着性が低いために、燃料の水素ガスもしくは空気がその界面のすきまを通って透過してしまうという現象が起こる。これにより、PEFCの出力は限られたものになる。
本発明に係る実施形態のプロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成される複合電解質膜であって、金属酸化物水和物と有機高分子との間に中間層が形成されていることを特徴とする複合電解質膜は、PEFCにも適用可能である。特に作動温度が80℃を超えるような高温型PEFCにも適用ができる。本発明の金属酸化物水和物と有機高分子との密着性を高めた複合電解質膜により、PEFCを高出力化させることができる。
プロトン導電性を有する金属酸化物水和物としては、酸化ジルコニウム水和物,酸化タングステン水和物,酸化スズ水和物,ニオブをドープした酸化タングステン,酸化ケイ素水和物,酸化リン酸水和物,ジルコニウムをドープした酸化ケイ素水和物,タングストリン酸,モリブドリン酸などを用いることができる。また、これらの金属酸化物水和物を複数混合して用いることができる。高温作動型PEFC用電解質膜に分散させる金属酸化物水和物としては、特に酸化ジルコニウムが望ましい。
有機高分子としては、パーフルオロカーボンスルホン酸、あるいは、ポリスチレンやポリエーテルケトン,ポリエーテルエーテルケトン,ポリスルホン,ポリエーテルスルホン、その他のエンジニアリングプラスチック材料に、スルホン酸基,ホスホン酸基,カルボキシル基等のプロトン供与体をドープあるいは化学的に結合,固定化したものを用いることができる。また、上記材料において、架橋構造にしたり、部分フッ素化することで材料安定性を高めてもよい。
本発明に係る実施形態のプロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成されることを特徴とする複合電解質膜において、有機高分子に必要な条件としては、適度な親水性を持っていることである。バルクおよび中間層の有機高分子にある程度の親水性がないと膜化が難しいからである。有機高分子の親水性は、スルホン酸基,カルボキシル基等のイオン交換基の濃度で決まる。イオン交換基濃度の指標には、1g当たりの当量で示されるイオン交換容量q(meq/g) が用いられ、イオン交換容量が大きいほど交換基濃度が高いことを示す。イオン交換容量は、1H−NMR スペクトロスコピー,元素分析、特公平1−52866号明細書に記載の酸塩基滴定,非水酸塩基滴定(規定液はカリウムメトキシドのベンゼン・メタノール溶液)等により測定が可能である。金属酸化物水和物が均一に分散するほどの親水性を付与するためのイオン交換容量は、バルクおよび中間層ともに、有機高分子の乾燥重量当たり0.75meq/g以上であることが望ましい。また、イオン交換容量が大きいと、メタノール水溶液に溶解しやすくなり、寿命が短くなってしまう。そのため、イオン交換容量は、バルクおよび中間層ともに、有機高分子の乾燥重量当たり1.67meq/g以下が望ましい。さらには1.4meq/g以下が望ましい。
有機高分子に分散させる金属酸化物水和物の含有量は、5wt%以下ではほとんど効果がなく、また、80wt%以上では、金属酸化物水和物が凝集しやすくなるため、膜化ができない。よって、金属酸化物水和物の含有量は5〜80wt%が望ましい。さらには
10〜60wt%が望ましい。
本発明に係る実施形態の有機高分子と金属酸化物水和物との間に中間層を形成する方法としては、バルクの有機高分子よりも親水性が高い有機高分子の中間層を形成する場合には、(1)単純分散法と(2)前駆体分散法を用いることができる。
(1)の単純分散法は、まず金属酸化物水和物の表面に中間層をコートした後、有機高分子中に分散させる方法である。まず、金属酸化物水和物をあらかじめ合成する。そして、その粉末を、有機高分子を溶媒に溶解させたワニスに混合し、その後溶媒を蒸発させる。これにより、金属酸化物水和物表面に有機高分子をコートさせることができる。そして、その表面がコーティングされた金属酸化物水和物を、有機高分子を溶媒に溶解させたワニスに混合する。その混合ワニスを基板に膜化し、溶媒を蒸発させることで、界面の密着性を高めた無機有機複合電解質膜を得ることができる。
(2)の前駆体分散法は、金属酸化物水和物の前駆体の表面に中間層をコートした後、有機高分子中に分散させ、基板に膜化した後に膜中で前駆体を反応させて金属酸化物水和物を析出させる方法である。まず、金属酸化物水和物の前駆体を、有機高分子を溶媒に溶解させたワニスに混合・攪拌し、溶媒を蒸発させる。これにより、金属酸化物水和物の前駆体の表面に有機高分子をコートさせることができる。この表面がコーティングされた前駆体を、有機高分子を溶媒に溶解させたワニスに混合し、基板に膜化し、溶媒を蒸発させることで膜を作製する。その後、膜中で前駆体を反応させて、膜中で金属酸化物水和物を析出させる。これにより、界面の密着性を高めた無機有機複合電解質膜を得ることができる。
以上の2種類の製造方法のうち、金属酸化物水和物の分散性の観点から、(2)の前駆体分散法が望ましい。
また、金属酸化物水和物もしくはその前駆体の表面に有機高分子の中間層をコーティングする際、ワニスに溶解させた有機高分子の濃度あるいは、攪拌時間を変えることで、そのコーティングされる中間層の厚さを変えることができる。
また、無機酸化物水和物の表面に官能基を形成する方法としては、プラズマ照射などを用いて形成することができる。
膜化する手段は特に限定されるものではなく、ディップコート法,スプレーコート法,ロールコート法,ドクターブレード法,グラビアコート法,スクリーン印刷法などを用いることができる。基板は、膜化しその後膜を剥がすことができれば特に制限はなく、ガラス板,テフロンシート,ポリイミドシートなどを用いることができる。混合方法としては、スターラ,ボールミル,ナノミルあるいは超音波を用いることができる。
有機高分子を溶解させる溶媒は、有機高分子を溶解し、その後に除去し得るものであれば特に制限はなく、N,N−ジメチルホルムアミド、N,N−ジメチルアセトアミド、N−メチルー2−ピロリドン,ジメチルスルホキシド等の非プロトン性極性溶媒、あるいはエチレングリコールモノメチルエーテル,エチレングリコールモノエチルエーテル,プロピレングリコールモノメチルエーテル,プロピレングリコールモノエチルエーテル等のアルキレングリコールモノアルキルエーテル,ジクロロメタン,トリクロロエタン等のハロゲン系溶媒、i−プロピルアルコール、t−ブチルアルコール等のアルコールを用いることができる。
本発明に係る実施形態の複合電解質膜の厚みは、特に制限はないが10〜200μmが好ましい。実用に耐える膜の強度を得るには10μmより厚い方が好ましく、膜抵抗の低減、つまり発電性能向上のためには200μmより薄い方が好ましい。特に、30〜100
μmが好ましい。溶液キャスト法の場合、膜厚は溶液濃度あるいは基板上への塗布厚により制御できる。また、溶融状態より製膜する場合、膜厚は溶融プレス法あるいは溶融押し出し法等で得た所定厚さのフィルムを、所定の倍率に延伸することで膜厚を制御できる。
本発明に係る実施形態の複合電解質膜を含むMEAに関しては以下の方法で作製することができる。まず、白金を担持したカーボン,固体高分子電解質、および固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて十分混合したカソード触媒ペーストと、白金ルテニウム合金を担持したカーボン,固体高分子電解質、および固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて十分混合したアノード触媒ペーストを作製する。それらのペーストを、それぞれポリフルオロエチレン(PTFE)フィルム等の剥離フィルム上に、スプレードライ法等により噴霧し、80℃で乾燥させて溶媒を蒸発させ、カソードおよびアノード触媒層を形成する。次にそれらのカソードおよびアノード触媒層を、本発明の複合電解質膜を真ん中にはさんでホットプレス法によって接合し、剥離フィルムを剥がすことにより、本発明の複合電解質膜を含むMEAを作製することができる。
また、本発明の複合電解質膜を含むMEA作製の別の一例として、上記の白金を担持したカーボン,固体高分子電解質、および固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて十分混合したカソード触媒ペーストと、白金ルテニウム合金を担持したカーボン,固体高分子電解質、および固体高分子電解質を溶解する溶媒を加えて十分混合したアノード触媒ペーストとを、スプレードライ法等により、直接本発明の複合電解質膜に噴霧することでも作製することができる。
本発明に係る複合電解質膜を含むMEAで用いる、触媒層に含有する固体高分子電解質には、プロトン導電性を示す高分子材料を用いる。例えばパーフロロカーボン系スルホン酸樹脂やポリパーフロロスチレン系スルホン酸樹脂に代表されるスルホン酸化あるいはアルキレンスルホン酸化したフッ素系ポリマーやポリスチレン類が挙げられる。その他にポリスルホン類,ポリエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルスルホン類,ポリエーテルエーテルケトン類,炭化水素系ポリマーにスルホン酸基等のプロトン供与体を導入した材料が挙げられる。また、本発明に係る実施形態の有機高分子と金属酸化物水和物との複合電解質を用いることもできる。
一方、本実施形態で用いる触媒金属には、カソード側に少なくとも白金、アノード側に少なくとも白金あるいはルテニウムを含む白金合金を用いることが望ましい。ただし、本発明では、特に前記に制限されるものではなく、電極触媒の安定化や長寿命化のために上記した貴金属成分に鉄,スズや希土類元素等から選ばれた第3の成分を添加した触媒を用いる事は好ましい。
図3に本発明のメタノール燃料電池の一例を示す。図3中、31がセパレータ、32が本発明のプロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成されることを特徴とする複合電解質膜、33がアノード触媒層、34がカソード触媒層、35がガス拡散層、36がガスケットである。アノード触媒層33及びカソード触媒層34を複合電解質膜32に接合したものがMEA(膜電極接合体)である。セパレータ31は導電性を有し、その材質は、緻密黒鉛プレート,黒鉛やカーボンブラックなどの炭素材料を樹脂によって成形したカーボンプレート,ステンレス鋼やチタン等の耐蝕性の優れた金属材料が望ましい。また、セパレータ31の表面を貴金属メッキしたり、耐食性,耐熱性の優れた導電性塗料を塗布し表面処理することも望ましい。セパレータ31の、アノード触媒層33及びカソード触媒層34に面する部分には溝が形成されており、アノード側には燃料であるメタノール水溶液を供給し、カソード側には空気を供給する。また、図3において、燃料をメタノール水溶液に代えて水素ガスを供給することで、本発明のPEFCの一例となる。
本発明のプロトン導電性を有する金属酸化物水和物と有機高分子とで構成されることを特徴とする複合電解質膜からなるMEAを用いて、携帯機器用メタノール燃料電池を構成することが可能である。図4,図5はPDA(Personal Digital Assistant)用に設計したメタノール燃料電池である。図4はその部品構成を示す。カートリッジホルダー47を備えた燃料室41の両面に、アノード端板42,ガスケット43,拡散層付MEA44,ガスケット43,カソード端板45の順に積層し、該積層体を面内の加圧力が略均一になるようにネジ48で一体化,固定して構成される。アノード端板およびカソード端板からはそれぞれ端子46がでており、電力が取り出せるようになっている。図5に、図4の部品構成を積層,固定された燃料電池を示す。燃料室51の両面には複数のMEAが直列接合され、該両面の直列MEA群は、さらに接続端子54で直列接合され、出力端子56から電力を取り出す構造になっている。図5の場合、MEAは12直列である。図5において、メタノール水溶液は、燃料カートリッジ58から高圧液化ガス,高圧ガスまたはバネなどによって加圧供給され、アノードで生成したCO2は、排ガス口55から排出される。この排ガス口55は、気液分離機能を持ち、気体は通すが液体は通さない。一方、酸化剤である空気はカソード端板53の空気拡散スリットからの拡散で供給され、カソードで生成した水はこのスリットを通して拡散,排気される。電池を一体化するための締め付け方法はネジ57による締め付けに限定されるものではなく、この電池を筐体内に挿入して筐体からの圧縮力による締め付け方法を用いることができる。
以下、本発明について実施例を用いて詳細に説明する。尚、本発明は下記実施例に限定されるものではない。
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES
(Sulfonated-Poly Ether Sulfone) を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。作製方法は前駆体分散法を用い、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oの前駆体としてオキシ塩化ジルコニウムZrOCl2・8H2Oを用いた。
まず、ZrOCl2・8H2Oをジメチルスルホキシドに溶解させた前駆体ワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。一方、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。この2種類のワニスを混合し、スターラで30分攪拌した。その後、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させ、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をコートしたZrOCl2・8H2Oを作製した。
このZrOCl2・8H2Oを、S−PES(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニス(溶質濃度30wt%)に混合してスターラで2時間攪拌した。その後、アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させた。その後、塗布した膜をガラス板上から剥がし、25wt%のNH3 水に浸漬することで膜中で下記の反応を進行させた。
ZrOCl2・8H2O+(n+1)H2O → ZrO2・nH2O+2H++2Cl-
そして、0.5M KOH水溶液中に浸漬してCl-を除去し、純水で洗浄した。最後に1M H2SO4水溶液に浸漬することでプロトン化し、ZrO2・nH2Oを分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)を得た。ZrO2・nH2Oの含有量は50
wt%とした。作製した電解質膜は全体的に均一な白色であった。厚さは50μmとした。
このようにして作製した複合電解質膜のプロトン導電率を70℃,95%RHの条件で測定した。
また、作製した複合電解質膜のメタノール透過量は、MEA化して電気化学的手法により測定した。アノード側からカソード側に透過したメタノールを、電圧をかけることで電気化学的に酸化し、その際流れる電流値をメタノール透過電流として測定した。一定電圧0.8Vかけたときに流れる電流値を測定した。測定方法は、文献J.Electrochem.Soc.,147(2)466(2000)の測定方法を用いた。
MEAは以下のようにして作製した。カソード触媒として田中貴金属社製白金担持カーボンTEC10V50E(Pt担持量50wt%)、アノード触媒として田中貴金属社製白金ルテニウム担持カーボンTEC61V54(Pt担持量29wt%、Ru担持量23wt%)を用いた。これらの触媒に、水およびアルドリッチ社製5wt%ナフィオン溶液を添加し、混合・攪拌して触媒スラリーを作製した。触媒スラリーの重量比は、カソード;TEC10V50E:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:8.46 ,アノード;
TEC61V54:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:7.9 とした。それらの触媒スラリーをテフロンシート上にアプリケータを用いてそれぞれ塗布し、カソード触媒層,アノード触媒層を作製した。その後、ホットプレスにより、カソード触媒層,アノード触媒層を本実施例の複合電解質膜に熱転写してMEAを作製した。触媒量は、アノード触媒PtRu1.8mg/cm2,カソード触媒Pt1.2mg/cm2とした。
作製したMEAのカソード触媒層を作用極、アノード触媒層を対極として、作用極側に窒素ガスを流量100ml/min で流し、対極側に濃度5wt%のメタノール水溶液を満たした。対極,作用極間に電圧を0.1〜0.8Vかけることで、作用極に透過したメタノールを酸化し、その際に流れる電流値を測定した。
また、メタノール透過量測定で用いたMEAのI−V特性を測定した。測定セルは図3のセルを用いた。カソード側は自然呼気により空気を供給し、アノードにメタノール水溶液を10ml/min の速度で供給した。メタノール水溶液の濃度は20wt%とした。この測定セルを用いて25℃においてI−V特性を測定した。
(比較例1)
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子ポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether Sulfone )を用いた。比較例1では中間層を形成させなかった。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、0.91meq/gのものを用いた。作製方法は前駆体分散法を用い、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oの前駆体としてオキシ塩化ジルコニウムZrOCl2・8H2Oを用いた。中間層を形成させるプロセス以外は実施例1と同じにした。
得られた電解質膜について、実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、得られた電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製し、メタノール透過量を測定した。また、このMEAを用いて実施例1と同様の条件でI−V特性を測定した。
(比較例2)
電解質膜としてS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)を用いた。S−PES
(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させた。その後、塗布した膜をガラス板上から剥がし、1MH2SO4水溶液に一晩浸漬することでプロトン化し、S−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜を得た。得られた電解質膜は透明であった。電解質膜の厚さは50μmとした。
得られた電解質膜について、実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、得られた電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製し、メタノール透過量を測定した。また、このMEAを用いて実施例1と同様の条件でI−V特性を測定した。
図6に、実施例1,比較例1,比較例2それぞれのプロトン導電率を示す。相対湿度
95%RHにおいて、比較例2のS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜では0.012S/cmであったのに対して、比較例1のZrO2・nH2O を分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)では0.044S/cm であり、3倍以上増大した。また、実施例1の中間層をコートしたZrO2・nH2Oを分散させたS−
PES(イオン交換容量0.91meq/g)では0.045S/cm であり、比較例1とほぼ同様の値であった。
図7に、実施例1,比較例1,比較例2それぞれのメタノール透過量を示す。縦軸は、ナフィオン112のメタノール透過電流密度を1として規格化した。比較例1のZrO2・nH2Oを分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g )では、比較例2のS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜と比べて、メタノール透過量が増大する結果となった。これは、比較例1では、ZrO2・nH2OとS−PESの間の密着性が低く、その界面からメタノールが透過したためであると考えられる。一方、実施例1の中間層をコートしたZrO2・nH2Oを分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)では、比較例1と比べて、大幅にメタノール透過量を低減させることができた。これは、中間層をコートすることにより、界面の密着性が高まったためであると考えられる。また、実施例1では、比較例2のS−PES単一電解質膜と比べてもメタノール透過量を低減させることができた。これは、ZrO2・nH2Oにより、メタノールがブロックされていることを示している。
これらの結果をまとめると、比較例2のS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜に対して、実施例1および比較例1のZrO2・nH2Oを分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)では、プロトン導電性は大きく向上した。一方、比較例1ではメタノール透過量が増大したのに対して、実施例1ではメタノール透過量を減少させることができた。このことは、中間層を導入することにより、本来想定されたZrO2・nH2Oによるプロトン導電率向上効果およびメタノールブロック効果が発揮できたことを意味する。そして、実施例1ではS−PESの単一電解質膜に見られるプロトン導電率とメタノール透過量のトレードオフの関係が改善されたことを意味する。
図8に実施例1,比較例1,比較例2それぞれのI−V特性を示す。OCV(Open
Circuit Voltage)は、実施例1で617mV、比較例1で493mV、比較例2で610mVであった。比較例1でOCVが低いのは、メタノール透過量が大きいためであると考えられる。実施例1では、比較例1,比較例2のいずれよりも電圧が高く、出力が高い結果となった。電流密度120mA/cm2の時に最高出力33mW/cm2が得られた。また、比較例1の複合電解質膜では、電流密度100mA/cm2の時に最高出力24mW/cm2であった。一方、比較例2のS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜では、電流密度80mA/cm2の時に最高出力19mW/cm2であった。実施例1では、比較例1の複合電解質膜に比べてメタノールクロスオーバに起因する電圧低下が少ない分、高い電圧が得られ、高出力が得られた。また、比較例2のS−PES(イオン交換容量
0.91meq/g)単一電解質膜では、低電流密度では、メタノールクロスオーバに起因する電圧低下が少ない分、比較例1の複合電解質膜と比べて高い電圧が得られたが、高電流密度では、プロトン導電率が低いために膜抵抗によるIRドロップに起因する電圧低下が起こった。
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES
(Sulfonated-Poly Ether Sulfone) を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。実施例2では
ZrO2・nH2Oの含有量を変化させた。作製方法は実施例1と同様の方法でおこなった。ZrO2・nH2Oの含有量は10,30wt%とした。10wt%では透明の膜、30wt%では半透明の白色の膜であった。
実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、実施例1と同様の条件・方法でMEAを作製し、メタノール透過量およびI−V特性を測定した。
(比較例3)
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子ポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether
Sulfone)を用いた。比較例3では中間層を形成させず、ZrO2・nH2Oの含有量を変化させた。作製方法は実施例1と同様の方法でおこなった。ZrO2・nH2Oの含有量は
10,30wt%とした。10wt%では透明の膜、30wt%では半透明の白色の膜であった。
実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、実施例1と同様の条件・方法でMEAを作製し、メタノール透過量およびI−V特性を測定した。
表1に実施例2および比較例3のプロトン導電率を示す。参考のために、実施例1および比較例1におけるZrO2・nH2Oの含有量が50wt%のプロトン導電率および比較例2のS−PES単一電解質膜のプロトン導電率も示す。ZrO2・nH2Oの含有量が
10wt%では、実施例2および比較例3ともにZrO2・nH2O分散の効果がほとんど見られず、比較例2のS−PES単一電解質膜とほぼ同様の値であった。ZrO2・nH2Oの含有量が30wt%では、実施例2および比較例3ともに、比較例2のS−PES単一電解質膜と比べて2倍近くになった。
Figure 2008091187
表2に実施例2および比較例3のナフィオン112のメタノール透過電流密度を1としたメタノール透過量を示す。参考のために、実施例1および比較例1におけるZrO2・nH2O の含有量が50wt%のメタノール透過量および比較例2のS−PES単一電解質膜のメタノール透過量も示す。比較例の中間層なしでは、ZrO2・nH2Oの含有量が増加するに従いメタノール透過量は増大した。一方、実施例の中間層を形成させた複合電解質膜では、S−PES単一電解質膜のメタノール透過量よりも小さくなった。また、
ZrO2・nH2Oの含有量を増加させるにつれ小さくなった。これは、ZrO2・nH2Oによりメタノールをブロックしているためであると考えられる。
Figure 2008091187
表3に実施例2および比較例3の最高出力密度を示す。参考のために、実施例1および比較例1におけるZrO2・nH2Oの含有量が50wt%の最高出力密度および比較例2のS−PES単一電解質膜の最高出力密度も示す。中間層ありの実施例、中間層なしの比較例ともに、ZrO2・nH2Oの含有量を増加させるに従い、出力密度は大きくなった。しかし、中間層ありの実施例では、メタノール透過が小さいために、中間層なしの比較例に比べて、大きな出力密度を得ることができた。
Figure 2008091187
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES
(Sulfonated-Poly Ether Sulfone) を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。
作製方法は単純分散法を用いた。ZrO2・nH2Oは以下のようにして合成した。まず、オキシ塩化ジルコニウムZrOCl2・8H2O16.1g(0.05mol )を50mlの水に溶解させ、25wt%のNH3水溶液を10ml加えることで、次式に示す加水分解反応を進行させた。
ZrOCl2・8H2O+(n+1)H2O → ZrO2・nH2O+2H++2Cl-
ついで、沈殿物をろ過によって分離し、0.5MKOH水溶液で洗うことでCl-を除去した。その後、純水で洗浄して、デシケータ中で乾燥させてZrO2・nH2Oの白色粉末を得た。
S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。このワニスに、ZrO2・nH2Oの白色粉末を混合し、スターラで30分攪拌した。その後、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させることで、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をコートしたZrO2・nH2O粉末を作製した。
一方、S−PES(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。このワニスにZrO2・nH2Oを混入し、スターラで2時間攪拌した。その後、アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させて、膜を作製した。その後、1MH2SO4水溶液に一晩浸漬することでプロトン化し、ZrO2・nH2Oを分散させたS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)を得た。ZrO2・nH2Oの含有量は50wt%とした。
これらの膜について、実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、これらの膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。
その結果、プロトン導電率は0.04S/cm2であった。実施例1の前駆体分散法により合成した電解質膜よりは小さくなったが、これは分散性が悪いためであると考えられる。また、メタノール透過量は、ナフィオン112の透過電流密度を1として規格化した値は、0.10 となった。実施例1の前駆体分散法により合成した電解質膜よりは大きい値であった。これは、実施例1に比べれば分散性が悪く、凝集したZrO2・nH2Oのすきまからメタノールが透過したため、多少メタノール透過量が大きくなったと考えられる。また出力密度は29mW/cm2であった。
(比較例4)
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子ポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether Sulfone)を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、0.91meq/g のものを用いた。比較例4では中間層を形成させなかった。その他の作製方法は実施例3と同様に単純分散法でおこなった。ZrO2・nH2Oの含有量は50wt%とした。
これらの膜について、実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、これらの膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。
その結果、プロトン導電率は0.038S/cm2、メタノール透過量は、ナフィオン112の透過電流密度を1として規格化した値は、0.30となった。実施例3の単純分散法で中間層を形成した複合電解質膜に比べて、メタノール透過量が大幅に増大した。これは、比較例4では、中間層がないためにZrO2・nH2OとS−PESの界面の密着性が低いことに加えて、ZrO2・nH2Oの分散性が悪いために凝集体が形成してしまい、そのすきまからメタノールが透過したためであると考えられる。また、出力密度は10mW/
cm2であった。
金属酸化物水和物として、酸化スズ水和物SnO2・2H2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-
Poly Ether Sulfone)を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/g のものを用いた。作製方法は前駆体分散法を用い、酸化スズ水和物SnO2・2H2Oの前駆体としてSnCl4・5H2Oを用いた。
まず、SnCl4・5H2Oをジメチルアセトアミドに溶解させた前駆体ワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。一方、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をジメチルアセトアミドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。この2種類のワニスを混合し、スターラで30分攪拌した。その後、真空乾燥により、溶媒のジメチルアセトアミドを蒸発させることで、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をコートしたSnCl4・5H2Oを作製した。
このSnCl4・5H2OをS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルアセトアミドに溶解させたワニス(溶質濃度30wt%)に混合し、スターラで2時間攪拌した。その後、アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルアセトアミドを蒸発させた。その後、塗布した膜をガラス板上から剥がし、25wt%のNH3 水に浸漬することで膜中で下記の反応を進行させた。
SnCl4・5H2O → SnO2・2H2O+4H++4Cl-+H2
そして、0.5MKOH水溶液中に浸漬してCl-を除去し、純水で洗浄した。最後に1MH2SO4水溶液に浸漬することでプロトン化し、SnO2・2H2Oを分散させたS−
PES(イオン交換容量0.91meq/g)を得た。SnO2・2H2Oの含有量は50wt%とした。作製した電解質膜は白色であった。
この電解質膜について実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、この電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。その結果、プロトン導電率は、湿度95%RH,70℃において、0.033S/cm であった。これは、比較例2のS−PES
(イオン交換容量0.91meq/g )の単一電解質膜と比較して、約2.5倍に向上したことになる。また、メタノール透過量は、ナフィオン112のメタノール透過電流密度を1とすると、0.1 という結果になった。以上から、比較例2と比べて、メタノール透過量がほぼ同程度である一方、プロトン導電率は2倍となったことから、プロトン導電率とメタノール透過量のトレードオフの関係が改善されたことを意味する。また、最高出力は
28mW/cm2であった。
(比較例5)
金属酸化物水和物として、酸化スズ水和物SnO2・2H2Oを用い、有機高分子として、ポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether Sulfone )を用いた。比較例5では中間層を形成させなかった。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、0.91meq/gのものを用いた。作製方法は前駆体分散法を用い、酸化スズ水和物SnO2・2H2Oの前駆体としてSnCl4・5H2Oを用いた。中間層を形成させるプロセス以外は実施例1と同じにした。この電解質膜について実施例4と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、この電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。
その結果、プロトン導電率は0.03S/cmと実施例4とほぼ同程度の値であったが、メタノール透過量は0.2 と大幅に増大した。これは、中間層がないために、S−PESとSnO2・2H2Oとの界面の密着性が低いために、そのすきまからメタノールが透過したためであると考えられる。また、出力密度は20mW/cm2であった。
金属酸化物水和物として酸化タングステン2水和物WO3・2H2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES
(Sulfonated-Poly Ether Sulfone) を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。単純分散法で電解質膜を作製した。
WO3・2H2Oは以下のようにして合成した。5℃に冷却した3NのHCl450mlに、1.0M Na2WO3 水溶液50mlをスターラで攪拌しながら徐々に滴下し、黄色沈殿を得た。上澄み液を除いた後、0.1N のHCl300mlを加えて10分間攪拌し、沈殿を沈降させるために放置した後、上澄み液を取り除いた。続いて沈殿に300mlの純水を加え、10分間攪拌した後、24時間放置した。粉末が沈降し完全に分離状態となった溶液の上澄み液を捨て、新たに同量の純水を添加した。同様の洗浄操作を6回繰り返し、未反応原料に由来する不純物イオンを取り除いた。その後ろ過することにより黄色粉末WO3・2H2Oを得た。
一方、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をジメチルアセトアミドに溶解させたワニスを作製した。このワニスにWO3・2H2Oを混入し、スターラで30分攪拌した。その後、真空乾燥により80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させることで、S−PES(イオン交換容量1.4meq/g)をコートしたWO3
2H2O粉末を作製した。
このWO3・2H2OをS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルアセトアミドに溶解させたワニス(溶質濃度30wt%)に混合し、スターラで2時間攪拌した。その後、アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルアセトアミドを蒸発させて膜を作製した。
得られた電解質膜は、全体的に淡黄色であったが、所々、黄色の粒も見られた。
この電解質膜について実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、この電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。
その結果、プロトン導電率は、湿度95%RH、70℃において0.025S/cm となった。これは、比較例2のS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜と比べて、約2倍に向上したことになる。また、メタノール透過量は、ナフィオン112のメタノール透過電流密度を1とすると0.11となった。WO3・2H2O の凝集から多少メタノール透過量は増加したものの、S−PES単一電解質膜とほぼ同程度であるといえる。一方、プロトン導電率は2倍となったことから、プロトン導電率とメタノール透過量のトレードオフの関係が解消されたことを意味する。また、最高出力は24mW/cm2であった。
(比較例6)
金属酸化物水和物として、酸化タングステン2水和物WO3・2H2Oを用い、有機高分子として、ポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-
Poly Ether Sulfone)を用いた。比較例6では中間層を形成させなかった。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、0.91meq/gのものを用いた。作製方法は単純分散法を用いた。中間層を形成させるプロセス以外は実施例1と同じにした。
この電解質膜について実施例1と同様の条件でプロトン導電率を測定した。また、この電解質膜を用いたMEAを実施例1と同様の条件・方法で作製した。このMEAを用いてメタノール透過量およびI−V特性を測定した。
その結果、プロトン導電率は0.023S/cm と実施例5とほぼ同程度の値であったが、メタノール透過量は0.25 と大幅に増大した。これは、中間層がないために、S−
PESとWO3・2H2Oとの界面の密着性が低くなり、そのすきまからメタノールが透過したためであると考えられる。また、出力密度は19mW/cm2であった。
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子および中間層としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES
(Sulfonated-Poly Ether Sulfone) を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。実施例1と同様の条件,方法で複合電解質膜を作製した。ZrO2・nH2Oの含有量は50wt%とした。この複合電解質膜を用いて、実施例1と同様の条件,方法でMEAを作製した。MEAの触媒層のサイズは24mm×27mmとした。このMEAを図5のPDA用DMFCに組み込んだ。燃料に濃度10wt%のメタノール水溶液を用いた。このDMFCの出力を測定したところ、室温において、最高出力は2.2Wが得られた。
(比較例7)
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether Sulfone)を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91
meq/g のものを用いた。比較例7では、中間層を形成しなかった。実施例1と同様の条件,方法でMEAを作製した。MEAの触媒層のサイズは24mm×27mmとした。この
MEAを図5のPDA用DMFCに組み込んだ。燃料に濃度10wt%のメタノール水溶液を用いた。このDMFCの出力を測定したところ、室温において、出力は最高で1.0Wであった。実施例6と比べて、メタノール透過量が多い分、出力が得られない結果となった。
本発明の金属酸化物水和物と有機高分子からなる複合電解質膜において、密着性を高めた複合電解質膜をPEFCに用いた。金属酸化物水和物として酸化ジルコニウム水和物
ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子および中間層としてS−PESを用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91meq/gのもの、中間層は1.4meq/gのものを用いた。実施例1と同様の条件,方法で複合電解質膜を作製した。ZrO2
nH2Oの含有量は50wt%とした。
この複合電解質膜を用いて、PEFC用のMEAを作製した。MEAは以下のようにして作製した。カソード触媒、およびアノード触媒として田中貴金属社製白金担持カーボンTEC10V50E(Pt担持量50wt%)を用いた。この触媒に、水およびアルドリッチ社製5wt%ナフィオン溶液を添加し、混合・攪拌して触媒スラリーを作製した。触媒スラリーの重量比は、カソード,アノードともに、TEC10V50E:水:5wt%ナフィオン溶液=1:1:8.46 とした。この触媒スラリーをテフロンシート上にアプリケータを用いて塗布し、カソード触媒層,アノード触媒層を作製した。その後、ホットプレスにより、カソード触媒層,アノード触媒層を本実施例の複合電解質膜に熱転写してMEAを作製した。触媒量は、カソード触媒,アノード触媒ともにPt0.3mg/cm2とした。触媒層の面積は3cm×3cmとした。
作製したMEAを図3の測定セルに組み込んだ。反応ガスとして、アノードに水素、カソードに空気を用い、共に1気圧の圧力にて90℃の水バブラーを通して加湿した後、測定セルに供給した。ガス流量は、水素50ml/min ,空気200ml/min とした。セル温度は110℃とした。
電流密度500mA/cm2 流した際のセル電圧を測定した結果、580mVが得られた。
(比較例8)
金属酸化物水和物として、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを用い、有機高分子としてポリエーテルスルホンにスルホン酸基を導入したS−PES(Sulfonated-Poly Ether Sulfone)を用いた。乾燥重量当たりのイオン交換容量は、有機高分子は0.91
meq/g のものを用いた。比較例8では、中間層を形成しなかった。この複合電解質膜を用いて、PEFC用のMEAを作製した。MEAの作製方法,条件は実施例7と同様にした。このMEAを用いて、図3のセルで出力を測定した。測定条件は実施例7と同様にした。
電流密度500mA/cm2 流した際のセル電圧を測定した結果、500mVであった。実施例7と比べて、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2OとS−PESの界面の密着性が低いために、そのすきまから多少水素ガスあるいは空気がリークして電圧が下がっていると考えられる。
(比較例9)
電解質膜としてS−PES(イオン交換容量0.91meq/g)を用いた。S−PES
(イオン交換容量0.91meq/g)をジメチルスルホキシドに溶解させたワニスを作製した。溶質濃度は30wt%とした。アプリケータにより、ガラス板上に塗布し、真空乾燥機により、80℃3時間乾燥することで、溶媒のジメチルスルホキシドを蒸発させた。その後、塗布した膜をガラス板上から剥がし、1MH2SO4水溶液に一晩浸漬することでプロトン化し、S−PES(イオン交換容量0.91meq/g)の単一電解質膜を得た。得られた電解質膜は透明であった。電解質膜の厚さは50μmとした。
この電解質膜を用いて、PEFC用のMEAを作製した。MEAの作製方法,条件は実施例7と同様にした。このMEAを用いて、図3のセルで出力を測定した。測定条件は実施例7と同様にした。
電流密度500mA/cm2 流した際のセル電圧を測定した結果、100mVであった。比較例9のS−PES単一電解質膜では、110℃という高温作動のPEFCにおいては出力が得られないが、酸化ジルコニウム水和物ZrO2・nH2Oを混入することで、高温でも高出力が得られることがわかった。
従来の複合電解質膜を示す図である。 本発明の複合電解質膜を示す図である。 本発明の燃料電池を示す図である。 本発明の燃料電池を示す図である。 本発明の燃料電池を示す図である。 本発明の複合電解質膜の一実施例を示す図である。 本発明の複合電解質膜の一実施例を示す図である。 本発明の複合電解質膜の一実施例を示す図である。
符号の説明
11,21有機高分子
12,22 金属酸化物水和物
23 中間層
31 セパレータ
32 本発明の複合電解質膜
33 アノード触媒層
34 カソード触媒層
35 ガス拡散層
36,43 ガスケット
41 燃料室
42,52 アノード端板
44 拡散層付MEA
45,53 カソード端板
46 端子
47,59 カートリッジホルダー
48,57 ネジ
51 燃料室
54 接続端子
55 排ガス口
56 出力端子
58 燃料カートリッジ

Claims (13)

  1. プロトン導電性を有する金属酸化物水和物と第1の有機高分子電解質とを有する燃料電池用複合電解質膜であって、前記金属酸化物水和物と前記第1の有機高分子電解質と密着性を高める中間層が形成されていることを特徴とするプロトン導電性複合電解質膜。
  2. 前記中間層が第2の有機高分子電解質であることを特徴とする請求項1記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  3. 前記第2の有機高分子電解質が芳香族炭化水素系電解質であることを特徴とする請求項2記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  4. プロトン導電性を有する金属酸化物水和物とプロトン供与体を有する第1の有機高分子電解質とを有する燃料電池用複合電解質膜であって、前記金属酸化物水和物と前記第1の有機高分子電解質との間に、前記第1の有機高分子よりもプロトン供与体のイオン交換当量が大きい中間層が形成されているプロトン導電性複合電解質膜。
  5. 前記プロトン供与体がスルホン酸基である請求項4記載のプロトン性複合電解質膜。
  6. 前記第1の有機高分子電解質のイオン交換当量が0.75meq/g以上である請求項5記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  7. 前記中間層のイオン交換当量が1.67meq/g以下である請求項5記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  8. 前記中間層の厚さが、10nm以上10μm以下であることを特徴とする請求項1記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  9. 請求項1において、前記金属酸化物水和物が、酸化ジルコニウム水和物、または酸化スズ水和物、または酸化タングステン水和物であることを特徴とするプロトン導電性複合電解質膜。
  10. 前記金属酸化物水和物の含有量が5wt%以上,80wt%以下であることを特徴とする請求項1記載のプロトン導電性複合電解質膜。
  11. 酸化ガスを還元するカソード触媒層と燃料を酸化するアノード触媒層とが、請求項1記載のプロトン導電性複合電解質膜を挟むように配置されることを特徴とする膜電極接合体。
  12. 請求項11記載の膜電極接合体を使用した燃料電池。
  13. 前記燃料が、水素ガス又はメタノールであることを特徴とする請求項10記載の燃料電池。
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