JP2008081873A - エアバッグ用基布およびエアバッグならびにエアバッグ用基布の製造方法 - Google Patents

エアバッグ用基布およびエアバッグならびにエアバッグ用基布の製造方法 Download PDF

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厚志 森本
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大介 八幡
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Abstract

【課題】高カバーファクターで収納性、低通気性、織物幅方向の通気度均一性に優れ、かつ生産性に優れたエアバッグ用基布およびそれからなるエアバッグならびにその製造方法を提供する。
【解決手段】平均単繊維繊度が2.4〜3.5dtexのポリアミド繊維からなる織物であって、該織物のカバーファクターが2200〜2500、織物幅方向の通気度の平均値(PA)が0.6L/cm2・min以下、かつ織物幅方向の通気度の最大値と最小値との差(PR)を通気度の平均値(PA)で除した値が0.35以下であることを特徴とするエアバッグ用ノンコート基布。
【選択図】なし

Description

本発明は、エアバッグ用基布、特にノンコート基布、およびエアバッグならびにエアバッグ用基布の製造方法に関するものである。
ノンコートエアバッグ用基布に関する従来技術として、例えば特許文献1には、原糸および織物の分解糸の交絡度等を規定したエアバッグ用高密度織物が開示されている。
しかし、当該エアバッグ用高密度織物では、強度物性は満足するものの昨今のインフレーター(ガス発生装置)の高温・高出力化に対応できない。つまり、エアバッグ用基布には内圧を十分保持するために低通気性が要求されるわけだが、インフレーターの高出力化により、当該高密度織物では部位によっては満足の行くレベルの低通気性を達成できない。
エアバッグの製造においては、織物(基布)から特定の形状のピースを裁断し、それらを縫製するわけであるが、一定の内圧保持能力を有するエアバッグを安定して提供するためには、織物全体にわたる通気度の均一性が極めて重要となる。
一方、ノンコートエアバッグ用基布の織物全体にわたる通気度の均一性の改善を試みた従来技術として、特許文献2には、形態安定性に優れたポリエステルフィラメント糸から構成したエアバッグ用織物が開示されている。しかし、ポリエステルフィラメント糸はポリアミド繊維に比べて、高比重(20%高)、高剛性であり、それを用いたエアバッグ用基布としても軽量化に劣り、また硬くて展開時に乗員の衝撃を十分に吸収することができないという問題がある。
特開2002-317342号公報 特開平9-105047号公報(請求項4)
本発明は、収納性、低通気性、通気度の均一性に優れ、かつ生産性に優れたエアバッグ用基布を提供せんとするものである。
すなわち本発明は、平均単繊維繊度が2.4〜3.5dtexのポリアミド繊維織物からなる織物であって、該織物のカバーファクターが2200〜2500、織物幅方向の通気度の平均値(PA)が0.6L/cm2・min以下、かつ織物幅方向の通気度の最大値と最小値との差(PR)を通気度平均値(PA)で除した値が0.35以下であることを特徴とするエアバッグ用ノンコート基布である。
また本発明は、本発明のエアバッグ用ノンコート基布を用いてなることを特徴とするエアバッグである。
また本発明は、製織工程において整経時の経糸にオイルを付与し、筬羽への経糸通し本数を同口2〜4本とし、織物幅を150〜230cmに製織する工程を含むことを特徴とするエアバッグ用基布の製造方法である。
本発明によれば、収納性、低通気性、通気度の均一性に優れ、かつ生産性に優れたエアバッグ用基布を経済的に提供することができる。
本発明のエアバッグ用ノンコート基布は、ポリアミド繊維からなる。ポリアミド繊維は、強度、耐熱性等に優れる。
ポリアミドとしては例えば、ナイロン6・6、ナイロン6、ナイロン12、ナイロン4・6、ナイロン6とナイロン6・6とを共重合したもの、ナイロン6にポリアルキレングリコールやジカルボン酸やアミンなどを共重合したものを採用することができる。中でも、ナイロン6・6及びナイロン6が、耐衝撃性の面から好ましい。さらに、ナイロン6・6が耐熱性の面から特に好ましい。
ポリアミド繊維は、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤などの各種添加剤を含有していることも好ましい。
ポリアミド繊維の平均単繊維繊度としては、2.4〜3.5dtexとすることが、基布の通気性、収納性を満足する上で重要であり、好ましくは2.8〜3.5dtexである。2.4dtex未満であると、製織時の毛羽発生などによる生産性が低下する可能性が高い。また、3.5dtexより大きいと目的とする通気度を達成することが困難となる。
ポリアミド繊維の総繊度としては、後述するカバーファクターを無理なく達成する上では200dtex以上が好ましく、より好ましくは300dtex以上である。また収納性の点からは、600dtex以下が好ましく、より好ましくは500dtexである。
本発明のエアバッグ用ノンコート基布を構成する織物のカバーファクターは、2200〜2500の範囲内にあることが、低通気度性および収納性を両立させるために必要であり、好ましくは2300〜2450の範囲内である。カバーファクターが2200未満であると、エアバッグに必要とされる低通気度が足らず、バッグ展開時にバッグ内圧が保持できない恐れがある。カバーファクターが2500より大きいと、収納性の面で問題が生じる。
ここで、カバーファクターとは、基布の経糸総繊度をD(dtex) 、経糸織密度をN(本/2.54cm)とし、緯糸総繊度をD(dtex) 、緯糸織密度をN2(本/2.54cm) としたときに
(D×0.9 )1/2 ×N +(D×0.9 )1/2 ×N
で表される。
本発明のエアバッグ用基布は、経糸方向と緯糸方向との引張強力の平均値が600〜850N/cmの範囲内であることがエアバッグ展開時の機械強度保持の点で好ましい。引張強力の平均値が600N/cm未満であると、高出力のインフレーター展開によるバッグ膨張時に、均一な膨張が起こらず、応力集中が起き、エアバッグがバーストする恐れがある。また、850N/cmより大きいと、織物の製織時に織り糸に負荷を掛けないように製織する必要があり、そのために生産性が低下する。また、織り糸の強度を上げる余計な手段を必要とすることになり、コストアップにつながる。
本発明のエアバッグ用ノンコート基布は、織物幅方向の通気度の平均値(PA)が0.6L/cm2・min以下であることが重要である。上記PAを0.6L/cm2・min以下とすることで、基布表面からの空気漏れを抑えることができ、展開したエアバッグが乗員を受け止める時に衝撃吸収材として十分な能力を発揮できる。上記PAが0.6L/cm2・minを超えると、エアバッグ作動時に内圧を保持することが困難となる可能性が高い。また、エアバッグの形状を工夫することで内圧保持を達成することも可能であるが、部分的に多重構造にするなど、収納性との両立が困難である。上記PAを0.6L/cm2・min以下とするためには、織物を構成する繊維の平均単繊維繊度と織物のカバーファクターを上述の範囲に調整すればよい。
また本発明のエアバッグ用基布は、織物幅方向の通気度の最大値と最小値との差(PR)を通気度平均値(PA)で除した値(PR/PA)が0.1〜0.35の範囲内にあることが、裁断位置に関係なく一定の内圧保持性能を得る上で重要である。織物全体にわたる通気度の均一性を考慮するにあたり、安定した条件での製織を行うことができれば、長手方向(経方向)については比較的容易に均一を達成しうるが、幅方向(緯方向)についてはなお定常的に不均一となりうる。上記PR/PAが0.35を超えると、織物に対する裁断位置による内圧性能にバラツキが大きくなり好ましくない。尚、上記PR/PAは内圧性能の面からは小さな値であるほど好ましいが、あまりに小さな値を要求しても製造工程における管理が複雑になりすぎるため、下限値としては0.1程度で十分である。
上記PR/PAを0.35以下とするためには、織物の縦方向の繊維のクリンプ率を幅方向で均一化することが重要である。クリンプ率を均一化するためには、製織時のタテ糸張力を幅方向で一定にすることが重要である。また、後述するように精練と熱セット工程において、自由収縮が可能な程度の張力の下で十分な熱を加えて幅方向の織物のひずみを緩和することでクリンプ率を均一化すること、すなわち幅方向の通気度の最大値と最小値との差(PR)を通気度平均値(PA)で除した値を調整することができる。また、後から述べるように、筬羽への経糸通し本数を調整することでその効果をより高めることができる。
本発明のエアバッグ用基布は、ノンコート基布であり、製織後の基布表面にシリコン塗布などはしないものである。
本発明のエアバッグ用基布の収納性は1800〜2600cmであることが高収納性の面から好ましく、1800〜2300cmであることが高収納性および軽量化の面からも更に好ましい。
次に、本発明のエアバッグ用基布の製造方法について述べる。製織工程は、整経、オイル付与、筬通し、製織等からなる。
整経では、ポリアミド繊維を整経クリールに掛け、荒巻き整経後、ビーミングにて、必要な経糸本数を引き揃える。
本発明のエアバッグ用基布の製造方法は、整経時の経糸にオイルを付与することが重要である。そうすることで、経糸の収束性が向上して、毛羽の発生を防止することができ、また経糸の開口性も向上するため、平均単繊維繊度が小さいフィラメント糸を使用した高カバーファクターの織物を生産性良く製織することができる。
使用するオイリング剤としては炭化水素系、脂肪酸エステル系、流動パラフィンなどの単独または複合したものを主成分として、ノニオン系またはカチオン系の界面活性剤で分散させたペースト状または液体状のものを用いることができる。
本発明のエアバッグ用基布の製造方法は、筬羽への経糸通し本数を同口2〜4本入れとすることが重要であり、好ましくは同口2本入れとすることである。同口1本入れの場合、筬羽は、筬羽同士の間隔にかかわらず筬打ちの際には経糸同士の間に割り込み、隣接する経糸を拘束して、当該経糸の繊維束が織物表面上に広がるのを妨げる。すると通気度の高い織物となってしまう。これに対し同口2本入れ以上とすることで、筬打ちの際に経糸同士の間に割り込み隣接する経糸を拘束する筬羽の数を減らし、低通気性を向上させることができる。一方、同口4本入れ以下とすることで、緯糸の織密度を維持できる。
経糸通し本数を同口1本とすると、織り糸同志が製織時に擦れる接触部が大きいため、製織後の基布中の糸強力が低下し、基布強力が低下する原因になるばかりか、製織時に織り糸中に毛羽が発生し、生産性が悪化する原因となる。
一方、経糸通し本数が同口4本より大きいと、高密度に製織することが困難となるばかりか、製織性が低下することにつながる。
また本発明のエアバッグ用基布の製造方法は、織物幅を150〜230cmの範囲内で製織することが重要であり、好ましくは180〜200cmである。150cm以上とすることで、裁断、縫製といった後工程において裁断効率が良くなり、生産性が高くなる。一方、230cmを超えると、製織時の経糸張力を幅方向に均一に保つことが困難となり織物幅方向の通気度均一性が損なわれる。
製織工程における織機としては、ウォータージェットルーム、エアージェットルーム、レピアルームなどを用いることができる。特に、生産性を高めるためには高速製織が比較的容易なウォータージェットルームが好ましい。
また、得られた織物に、精練、乾燥、熱セットを施しても良い。精練、乾燥、または熱セット工程において、収縮が可能な程度の張力の下で十分な熱を加えると、幅方向の織物のひずみを緩和することでクリンプ率を均一化し、ひいては前記PR/PAを調整することもできるため、好ましい。
以上に述べた本発明のエアバッグ用基布は、運転席用エアバッグ、助手席用エアバッグ、後部座席用エアバッグ、サイド用エアバッグ、カーテンエアバッグ、ニーエアバッグなどにも使用することができる。特に、高温、高出力のインフレーターにより展開させる運転席または助手席用のエアバッグとして好適である。
[測定方法]
(1)引張強度
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るまでの最大荷重を測定し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
(2)破断伸度
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の中央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るときの標線間の距離を読み取り、下記式によって、破断伸度を算出し、タテ方向及びヨコ方向のそれぞれについて平均値を算出した。
E=[(L−100)/100]×100
ここに、E:破断伸度(%)、
L:切断時の標線間の距離(mm)。
(3)燃焼性
FMVSS302に基づき、測定した。
(4)通気性(PA、PR/PA)
JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。測定箇所は、織物の幅方向に均等に13分割し、両端を除いた11点の各中心について行った。口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れが無いように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で測定した。
(PA)
上記11点における測定値の平均値をPAとして求めた。
(PR/PA)
上記11点における測定値のうちの最大値と最小値との差をPRとして算出し、さらに上記で算出したPAにより除してPR/PAを算出した。
(5)収納性評価
ASTM D-6478-02に基づき、測定した。
(6)製織性
次の2段階評価とした。
○:24時間製織した時の停台回数が10回未満であった。
×:24時間製織した時の停台回数が10回以上であった。
[実施例1]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ平均単繊維繊度が3.5dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度24%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口2本入れとして、ウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅183cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g/Lおよびソーダ灰0.5g/Lを含んだ80℃温水浴中に1分間浸漬し、精練処理を行った後、160℃で1分間乾燥させ、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が180cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、生産性、収納性、低通気性に優れるばかりか織物の幅方向の均一性にも優れていた。
[実施例2]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ平均単繊維繊度が2.4dtexの単繊維144フィラメントで構成され、総繊度350dtexで、強度8.5cN/dtex、伸度25%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口3本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が59本/2.54cm、緯糸の織り密度が59本/2.54cm、織物幅233cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練、乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに59本/2.54cm、仕上げ幅が230cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、生産性、収納性、低通気性に優れるばかりか織物の幅方向の均一性にも優れていた。
[実施例3]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ平均単繊維繊度が3.3dtexの単繊維144フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度25%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口2本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅158cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練、乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸の織密度が54本/2.54cm、緯糸の織密度が54.5本/2.54cm、仕上げ幅が156cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、生産性、収納性、低通気性に優れるばかりか織物の幅方向の均一性にも優れていた。
[実施例4]
(経糸・緯糸)
実施例1で用いたものと同様のものを経糸・緯糸とした。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口4本入れとして、ウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅204cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、アルキルベンゼンスルホン酸ソーダ0.5g/Lおよびソーダ灰0.5g/Lを含んだ80℃温水浴中に1分間浸漬し、精練処理を行った後、160℃で1分間乾燥させ、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が200cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、生産性、収納性、低通気性に優れるばかりか織物の幅方向の均一性にも優れていた。
[比較例1]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ平均単繊維繊度が6.5dtexの単繊維72フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.4cN/dtex、伸度25%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口2本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅157cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が155cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、生産性、収納性には優れるが、通気度が高く、かつ織物の幅方向の均一性にも劣っていた。
[比較例2]
(経糸・緯糸)
実施例1で用いたものと同様のものを経糸・緯糸とした。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けずに経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口1本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅183cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が180cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、製織時の毛羽が多発し、製織性に劣るばかりか、織物の幅方向の通気度均一性にも劣っていた。
[比較例3]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ポリエチレンテレフタレートからなり、円形の断面形状を持つ平均単繊維繊度が2.4dtexの単繊維192フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.0cN/dtex、伸度16%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けずに経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口2本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅160cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が157cmになるように張力を調整し、180℃で30秒間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、製織時の毛羽が多発し、製織性に劣るばかりか、織物の幅方向の通気度均一性にも劣っていた。
[比較例4]
(経糸・緯糸)
実施例1で用いたものと同様のものを経糸・緯糸とした。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口5本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅185cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が180cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、製織性でやや劣るばかりか、織物の幅方向の通気度均一性にも劣っていた。
[比較例5]
(経糸・緯糸)
実施例1で用いたものと同様のものを経糸・緯糸とした。
(製織工程)
上記経糸を整経時にオイリング剤を付けて経糸ビームを準備し、筬羽への経糸通し本数を同口2本入れとして、実施例1と同様のウォータージェットルームにて上記緯糸を打ち込み、経糸の織り密度が54本/2.54cm、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、織物幅257cmの平織り組織の織物を製織した。
(精練・熱セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・乾燥加工を施し、さらにテンターで基布の経糸と緯糸の織密度がともに55本/2.54cm、仕上げ幅が250cmになるように張力を調整し、190℃で1分間の熱セット加工を施した。
得られたエアバッグ用基布は、製織時の毛羽が多発し、製織性に劣るばかりか、織物の幅方向の通気度均一性にも劣っていた。
以上の各実施例と比較例の測定値と評価を表に纏めた。
Figure 2008081873
Figure 2008081873

Claims (5)

  1. 平均単繊維繊度が2.4〜3.5dtexのポリアミド繊維からなる織物であって、該織物のカバーファクターが2200〜2500、織物幅方向の通気度の平均値(PA)が0.6L/cm2・min以下、かつ織物幅方向の通気度の最大値と最小値との差(PR)を通気度の平均値(PA)で除した値が0.35以下であることを特徴とするエアバッグ用ノンコート基布。
  2. 収納性が1800〜2600cmである、請求項1記載のエアバッグ用ノンコート基布。
  3. 請求項1または2記載のエアバッグ用ノンコート基布を用いてなることを特徴とするエアバッグ。
  4. 製織工程において整経時の経糸にオイルを付与し、筬羽への経糸通し本数を同口2〜4本とし、織物幅を150〜230cmに製織する工程を含むことを特徴とするエアバッグ用基布の製造方法。
  5. 製織工程で使用する織機がウォータージェットルームである、請求項4記載のエアバッグ用基布の製造方法。
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