JP5003378B2 - エアバッグ用コート布帛、エアバッグおよびエアバッグ用コート布帛の製造方法 - Google Patents

エアバッグ用コート布帛、エアバッグおよびエアバッグ用コート布帛の製造方法 Download PDF

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本発明は、エアバッグ用布帛に関する。より詳しくは、その少なくとも片面に樹脂をコートしたエアバッグ用コート布帛に関する。
エアバッグに用いられるエアバッグ用布帛は、織物表面に樹脂を塗布せずそのまま用いるノンコートエアバッグ用布帛、および織物表面に樹脂を塗布して用いるエアバッグ用コート布帛に大別することができる。
このうちエアバッグ用コート布帛は、低通気性を得やすいという点で、サイドエアバッグ、カーテンエアバッグ等、バッグの内圧を長時間保持する必要がある用途(部位)に好適に用いられる。
エアバッグ用布帛に対する要求性能には低通気性、機械的特性、収納性などがあるが、抗目ズレ性に対する要求も厳しくなってきている。エアバッグ用布帛を裁断・縫製して得られるエアバッグにおいて、エアバッグ展開時に縫い目がズレることを目ズレと呼ぶが、エアバッグ展開時の内圧保持性能を向上させ、事故発生時の乗員拘束性能を向上させるためには、この目ズレに対する耐性、すなわち抗目ズレ性を向上させることが重要となるからである。さらに、コート布帛の場合には、織物表面からの空気漏れがないことにより、縫製部分へエアーが集中するため、抗目ズレ性がより重要となる。
縫製部の目ズレを少なくする手段として例えば、カバーファクターを2300〜2600とする高密度エアバッグ布帛が提案されている(特許文献1)。しかし、当該技術はノンコート布帛に関するものであるが、この高密度織物をコート布帛に適用しても布帛の厚さが厚く、収納性を阻害するという問題点があった。
一方、低通気性と収納性を両立させるために、経糸と緯糸の単糸繊度が4.4デニール(≒4.9dtex)で、総繊度が315デニール(≒350dtex)の糸からなる合成繊維織物にシリコーン樹脂を塗布したエアバッグ用コート布帛が開示されている(特許文献2参照)。しかし、このエアバッグ用コート布帛は、コーティングを特別な条件で実施しているものとは認められないため、滑脱抵抗力が低く、目ズレが発生し易いと考えられるものであった。
さらに、低通気性と収納性に加え、目ずれを抑えるために、リップストップ組織の織物の少なくとも片面に合成樹脂を塗布したエアバッグ用コート布帛も開示されている(特許文献3参照)。しかし、この技術では、布帛が均一でないため、エアバッグの膨張展開時に布帛の弱い部分に応力が集中し、エアバッグが破損する恐れがあった。また、生産性が悪いという問題点もあった。
特開2006−16707号公報(請求項1) 特開1998−194063号公報(請求項1、段落0013) 特開2006−291396号公報(請求項1)
本発明は、エアバッグ展開時に必要な抗目ズレ性を有する実質的なエアバッグ用コート布帛を提供することを目的とする。
上記課題を解決するため、本発明は、次のいずれかの手段を採用するものである。
(1)単繊維繊度が1〜4.8dtexの範囲の繊維からなる織物の少なくとも片面に樹脂がコーティングされてなり、厚みが0.31mm以下、目付けが235g/m以下、フラジール形法に基づいて試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.1L/cm/min以下、経方向および緯方向の滑脱抵抗力がそれぞれ250N以上、かつ、次の式を満たすことを特徴とするエアバッグ用コート布帛。
ER5%(経)+ER5%(緯)≧300N
ER5%:ASTM D6479−02による滑脱抵抗力の測定において、織物の5%伸び時の強力
(2)前記織物の下記式から求められるカバーファクターが1600〜2500である、前記(1)に記載のエアバッグ用コート布帛。
カバーファクター=((経糸総繊度)×0.9)1/2×(経糸の織密度)+((緯糸総繊度)×0.9)1/2×(緯糸の織密度)
(3)前記樹脂の付着量が5〜40g/mである、前記(1)または(2)に記載のエアバッグ用コート布帛。
(4)前記(1)〜(3)のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛を縫製してなることを特徴とするエアバッグ。
(5)前記(1)〜(4)のいずれかの記載のエアバッグ用コート布帛を製造する方法であって、前記織物を角を有する支持体に沿わして搬送しながら、該織物にコーティングすることを特徴とするエアバッグ用コート布帛の製造方法。
(6)前記支持体が、ベッドボードもしくはナイフ状物である、前記(5)に記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
(7)前記支持体がベッドボードであり、該ベッドボードと前記織物とのなす角が40〜80度の範囲内にあり、かつ、コーティング時の前記織物の張力が500〜3000N/mの範囲内である、前記(6)に記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
(8)前記織物の製織時に経糸張力を50〜230cN/本に調整して製織する、前記(5)〜(7)のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
(9)前記織物の製織時にバーテンプルを使用する、前記(5)〜(8)のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
本発明によれば、優れた低通気性、収納性、機械的特性を有し、さらに抗目ズレ性にも優れたエアバッグ用コート布帛を提供することができる。特に、1〜4.8dtexという細繊度の単繊維からなる繊維で織物を構成し、かつ該織物を、ベッドボード等の角を有する支持体に沿わして搬送しながら該織物に樹脂をコーティングすることで、滑脱抵抗力を飛躍的に高めつつ、滑脱抵抗力測定時における織物の5%伸び時の強力(ER5%)の経、緯の和を300N以上とすることができる。そのため、エアバッグとした際には、展開初期に掛かる内圧を縫製部がうけても破損や目ズレを発生しにくく、エアー漏れも防ぐことができる。
本発明のエアバック用コート布帛は繊維からなる織物を有する。繊維の素材としては、例えば、ポリアミド系繊維、ポリエステル系繊維、アラミド系繊維、レーヨン系繊維、ポリサルホン系繊維、超高分子量ポリエチレン系繊維等の合成繊維を用いることができる。なかでも、大量生産性や経済性に優れたポリアミド系繊維やポリエステル系繊維が好ましい。
ポリアミド系繊維としては例えば、ナイロン6、ナイロン66、ナイロン12、ナイロン46や、ナイロン6とナイロン66との共重合ポリアミド、ナイロン6にポリアルキレングリコール、ジカルボン酸、アミン等を共重合させた共重合ポリアミド等からなる繊維を挙げることができる。ナイロン6繊維、ナイロン66繊維は耐衝撃性に特に優れており、好ましい。
また、ポリエステル系繊維としては例えば、ポリエチレンテレフタレート、ポリブチレンテレフタレート等からなる繊維を挙げることができる。ポリエチレンテレフタレートやポリブチレンテレフタレートに酸成分としてイソフタル酸、5−ナトリウムスルホイソフタル酸や、アジピン酸等の脂肪族ジカルボン酸を共重合させた共重合ポリエステルからなる繊維であってもよい。
また、合成繊維には、紡糸・延伸工程や加工工程での生産性、あるいは特性改善のために、熱安定剤、酸化防止剤、光安定剤、平滑剤、帯電防止剤、可塑剤、増粘剤、顔料、難燃剤等の添加剤を含んでいてもよい。
また、織物を構成する単繊維の断面形状としては、丸断面の他に、扁平断面も好ましい。扁平断面繊維を用いることにより、織物としたときの繊維の充填化が促進され、織物における単繊維間の空隙が小さくなり同じ織物組織であれば、同等繊度の丸断面糸を使用した場合よりも通気量を抑えることができる。扁平断面の形状については、単繊維の断面形状を楕円に近似した際、その長径(D1)と短径(D2)との比(D1/D2)で定義される扁平率が1.5〜4であることが好ましく、より好ましくは2.0〜3.5である。かかる扁平断面形状としては、幾何学的に真の楕円形の他、例えば、長方形、菱形および繭形でもよいし、左右対称の他、左右非対称型でもよい。また、これらを組み合わせた形状のものでもよい。さらに、上記を基本形として、突起や凹みあるいは部分的に中空部があるものであってもよい。
織物を構成する経糸と緯糸には、いずれも、単繊維繊度が1dtex以上4.8dtex以下の、比較的低繊度の合成繊維フィラメントを用いることが好ましい。1dtex以上とすることで特別な工夫を施すことなく合成フィラメントの製造が可能となり、4.8dtex以下とすることで合成繊維フィラメントの柔軟性が向上するからである。単繊維繊度は、より好ましくは1.5dtex以上4.0dtex以下、さらに好ましくは2.0dtex以上3.5dtex以下である。単繊維繊度がこれらのより限定された範囲内であると、織物中の単繊維間に占める空隙が小さくなり易く、繊維の充填化効果がより一層向上する。また、単繊維繊度を上記の低い範囲に設定することで、合成フィラメントの剛性を低下させる効果が得られるため、エアバッグの収納性が向上し、好ましい。さらに、後述するように経糸張力を上げた状態で製織するなどの一定条件下の製織条件を採用することで、経糸と緯糸間の織物組織の安定度が飛躍的に向上し、抗目ズレ性を著しく向上させることができる。
経糸と緯糸の総繊度としては、100〜700dtexが好ましい。100dtex以上とすることで、織物の強度を高めることができる。また、700dtex以下とすることで、収納時のコンパクト性を高めることができる。総繊度は、より好ましくは200〜600dtexであることが好ましく、さらに好ましくは300〜500dtexである。この範囲内の繊度にすることで、織物の強力、柔軟性とコンパクト収納性とをバランスよく向上できる。
また、経糸および緯糸を構成する単繊維の引張強度としては、エアバッグ用コート布帛として要求される機械的特性を満足するため、そして製糸操業面から、経糸および緯糸ともに、8.0〜9.0cN/dtexが好ましく、より好ましくは8.3〜8.7cN/dtexである。
また、織物のカバーファクターは1600以上2500以下にすることが好ましい。カバーファクターをこの範囲に調整することで、必要な織物のコンパクト収納性、滑脱抵抗力を両立することができる。カバーファクターが1600よりも小さいとコンパクト収納性は良くなるが、引張強力や滑脱抵抗力が低下し、好ましくない。またカバーファクターが2500よりも大きくなると、滑脱抵抗力も大きくなるが、コンパクト収納性が低下し、好ましくない。
ここで、織物のカバーファクターとは、経糸と緯糸に用いられる繊維の総繊度と織密度から計算される値であり、経糸総繊度(dtex)、緯糸総繊度(dtex)、織物における経糸の織密度(本/2.54cm)、織物における緯糸の織密度(本/2.54cm)によって次の式で表される。
カバーファクター=((経糸総繊度)×0.9)1/2×(経糸の織密度)+((緯糸総繊度)×0.9)1/2×(緯糸の織密度)
本発明のエアバッグ用コート布帛は、上記のような織物の少なくとも片面が樹脂で被覆されてなるが、該コート布帛は、厚みが0.31mm以下、目付けが235g/m以下である。この厚み、目付けを満足することで、軽量で収納性に優れたコートエアバッグ用布帛となる。
また、該コート布帛における経方向および緯方向の滑脱抵抗力はともに250N以上である。各部位のエアバッグが膨張展開後に乗員を受け止め続けるには、エアバッグの縫製部の目ズレを極力抑え、バッグ内圧を保持する必要があり、そのために滑脱抵抗力を上記値以上とすることが重要である。250N未満であると縫製部の目ズレが発生し易く、エアバッグの内圧を十分に保持できない。滑脱抵抗力は300N以上であることがより好ましく、さらには350N以上であることが好ましい。なお、滑脱抵抗力とは、目ずれの起こりにくさを表す指標であって、ASTM D6479−02に準拠して測定されるものである。
また、ASTM D6479−02による滑脱抵抗力の測定における、織物の5%伸び時の強力(以下ER5%とする)の経、緯の和は、300N以上であることが重要である。300N未満であると、エアバッグ展開初期に掛かる内圧を縫製部が受ける時に、その力を縫製部で緩和することができず、大きく目ズレすることで破裂したり、縫製部の目空き量が大きくなり、その部分から集中的に高温のエアーが抜けることで破裂することがある。ER5%の経、緯の和は350N以上であることがより好ましく、さらに400N以上であることが好ましい。
また、滑脱抵抗力の測定時、織物が5%伸びることなく破断する場合は、エネルギー吸収量の点で、滑脱抵抗力が300N以上あることが好ましい。
滑脱抵抗力および織物の5%伸び時の強力を上記のとおりとするためには、織物を構成する繊維の単繊維繊度が1〜4.8dtexの範囲の繊維からなる織物の少なくとも片面にベッドボードなど角を有する支持体を使用しながら樹脂をコーティングすることが効果的である。まず、単繊維繊度の大きい繊維を用いたコート布帛に対して、単繊維繊度の小さい繊維を用いたコート布帛の経方向および緯方向の滑脱抵抗力が高くなるメカニズムについて考察してみる。単繊維繊度の小さな布帛の方が、単繊維繊度の大きな布帛よりも繊維同士の接触点が多くなるため、滑脱抵抗力は向上する。また、コーティングした際に、単繊維繊度が大きい布帛と比較すると、単繊維繊度が小さい布帛は繊維の表面積が大きいため、コート樹脂との接触面積が大きくなり、摩擦抵抗が増すため、滑脱抵抗力が向上する。これら二つの効果により、単繊維繊度の小さいコート布帛の滑脱抵抗力が飛躍的に向上していると推測する。
そして、本発明においては、樹脂を織物にコーティングする際にベッドボードなど角を有する支持体を用いる。コーティング直前には通常円柱状のロールが設置されているが、ベッドボードなど角を有する支持体をコーティングナイフ等の直前に配置すると、織物が該支持体に強くこすりつけられるため、織物を構成する繊維を十分に広げた状態で樹脂を塗布できる。その結果、コート布帛において経・緯の単繊維同士の接触面積が大きくなり、摩擦抵抗が増し、滑脱抵抗力が大きくなり、さらにはER5%の経、緯の和も大きくなる。また、織物としても、より平滑で薄くなるため、収納性を高めることもできる。
なお、角を有する支持体とは、コーティング時に織物に局所的な圧力が実質的に付与されるような角を有する物質であればよく、角の角度は限定されるものではない。ベッドボードやナイフ状物を例示することができる。ベッドボードとは、板状の支持体をいい、板状の支持体の形状については、その断面(織物の走行方向における断面)が直方体、T字型、工字型などのものが用いられる。より強く織物をしごく必要がある場合には、ナイフ状物が好ましい。
そして、ベッドボードを用いる場合、該ベッドボードと織物とのなす角を40〜80度、該織物に対するナイフとの接圧を1〜15N/cm、コーティング時の布帛張力を500〜3000N/mの範囲内とすると、該織物が高張力状態でコーティングされるため、コート布帛の伸びが抑制され、ER5%をさらに高めることができる。
本発明においてコート布帛は、JIS L 1096:1999 8.27.1 A法で規定するフラジール形法に基づいて試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.1L/cm・min以下であることも必要である。通気量を上記の範囲に調整することで、衝突時にインフレーターから発せられる膨張用ガスを漏れなく有効に使用することができ、乗員を確実に受け止めることができる。
さらに、本発明のエアバッグ用コート布帛は、JIS K 6404−3 6.試験方法B法で規定するストリップ法に基づく引張強力が400N/cm以上であることが好ましい。さらに好ましくは500N/cm以上であり、より好ましくは550N/cm以上である。エアバッグ作動時に織物強度が原因でエアバッグが破損する場合、最も強度が低い部分に応力が集中して破損する傾向がある。言い換えれば、織物の最低強度が、求められる強度を満たしていれば、破損を防ぐことができるのである。また、強度の偏りは、エアバッグの展開には影響しない。さらに、引張伸度は、使用する合成フィラメント糸の伸び特性によって決まり、織密度には大きくは影響されない。したがって、織物の経方向と緯方向の強度の等方性は重要ではなく、任意の場所で引張強度を測定したときの最低値が上記範囲を満たせばよい。
本発明におけるエアバッグ用コート布帛は、織物の少なくとも片面がシリコーンなどの樹脂で被覆されていることが必要である。少なくとも片面を樹脂で被覆させることで、空気遮断性を持たせ、さらにはインフレーターから発生する高温のガスから該布帛を守ることができる。
また、織物を被覆する樹脂には、ポリアミド系樹脂やポリウレタン樹脂などを用いることもできるが、シリコーン樹脂を用いることが好ましい。シリコーン樹脂を用いることで、耐熱性、耐寒性、難燃性、空気遮断性を得ることができる。かかるシリコーン樹脂については、ジメチル系シリコーン樹脂、メチルビニル系シリコーン樹脂、メチルフェニル系シリコーン樹脂、フロロ系シリコーン樹脂が用いられる。また、該樹脂は、難燃化合物を含有しているものが好ましい。かかる難燃化合物としては、臭素、塩素などを含むハロゲン化合物、特に、ハロゲン化シクロアルカン、白金化合物、酸化アンチモン、酸化銅、酸化チタン、燐化合物、チオ尿素系化合物、カーボン、セリウム、酸化ケイ素などを使用することができ、これらの中でもハロゲン化合物、白金化合物、酸化銅、酸化チタン、カーボンがより好ましい。
かかる樹脂は、製膜時の粘度が、塗布量の均一化と安定塗布のために、5〜20Pa・s(5,000〜20,000cP)の範囲内であることが好ましい。溶剤で希釈することで粘度調整してもよいが、最初から上記範囲の粘度に調整された無溶剤タイプの樹脂を使用することが、作業性と環境負荷低減の観点から好ましい。なお、樹脂の粘度についてはJIS Z8803に基づきB型粘度計で測定したときの粘度をいう。この粘度が、5Pa・s(5,000cP)未満であると粘度が低すぎて、ナイフコーティングには適さない。また逆に20Pa・s(20,000cP)より大きいと、低塗工量のコーティングができず、収納コンパクト性の面で好ましくない。
また、該樹脂の付着量は、5〜40g/mであることが好ましい。付着量をこの範囲に調整することで、織物のコンパクト収納性、低通気性、滑脱抵抗力をバランスよく高めることができる。該樹脂の付着量が5g/mよりも小さいと織物表面を覆う樹脂が均一に塗布されにくく、布帛の通気量が大きくなり易い。その結果、衝突時に乗員を拘束するだけの内圧を保持することが難しいものとなる。一方、付着量が40g/mよりも大きいと耐熱性や機械的特性に優れた布帛が得られるが、コンパクト収納性に欠けるため、エアバッグモジュールに内蔵するだけの限られたスペースに収納することが好ましい。また、コストパフォーマンスの面でも好ましくない。乗員拘束性および収納性のバランスから、付着量は特に好ましくは10〜30g/mの範囲内である。
次に、本発明のエアバッグ用コート布帛を製造する方法について説明する。
本発明のエアバッグ用コート布帛は、たとえば経糸および緯糸に同じ種類の合成繊維フィラメント糸を用い、織密度も同じになるように設定して製織する。詳しくは、まず、前述した素材および総繊度の経糸を整経して織機にかけ、同様に緯糸の準備をする。かかる織機としては、特に限定するものではなく、ウォータージェットルーム、エアージェットルームおよびレピアルームなどが使用可能である。中でも生産性を高めるためには、高速製織が比較的容易なウォータージェットルームを用いるのが好ましい。
製織においては、経糸張力を50〜230cN/本に調整して行うことが好ましい。かかる範囲内に経糸張力を調整することで、織物を構成するマルチフィラメント糸の糸束中の単繊維間空隙を減少させることができ、かつ通気量をも低減することができる。また、緯糸打ち込み後に、上記張力のかけられた経糸が緯糸を押し曲げることで、緯糸方向の織物の組織拘束力を高める効果が得られる。これによって、織物の抗目ズレ性が向上し、エアバッグとして袋体を形成するときの縫製部分の目ズレによる空気漏れを抑えることができ好ましい。経糸張力が50cN/本よりも小さいと、経糸と緯糸の織物中での接触面積(密着度)を増やすことができず、滑脱抵抗力が高くなりにくい。また、単繊維間空隙を減少させる効果が小さいため低通気性の面でも好ましくない。また、230cN/本を超えると、経糸と緯糸の接触面積(密着度)が増え、滑脱抵抗力の向上させることができ、さらに単繊維間空隙を小さくし、低通気性の面では好ましいが、経糸が毛羽立ち易く、製織性が悪化しやすいため好ましくない。経糸張力は、より好ましくは100〜200cN/本である。
経糸張力を上記範囲内に調整する具体的方法としては、織機の経糸送り出し速度を調整する他、緯糸の打ち込み速度を調整する方法が挙げられる。上記経糸張力が製織中に実際に発生しているかどうかは、例えば織機稼動中に経糸ビームとバックローラーの中央部分において、経糸一本当たりに加わる張力を張力測定器で測ることにより、確認することができる。
織機のテンプルとしては、バーテンプルを用いることが好ましい。バーテンプルを用いると、織前全体を把持しながら筬打ちすることができるため、繊維フィラメント同士の空隙を小さくすることができ、その結果低通気量と抗目ズレ性が向上するからである。
次に製織工程が終わると、必要に応じて、精練、熱セット等の加工を施す。
本発明のエアバッグ用コート布帛は、上記織物の少なくとも片面に樹脂を塗布する。樹脂の塗布方法としては、樹脂の低塗工量化および安定塗布の観点から、ナイフコーティング法が好ましい。ナイフコーティング法にはナイフオーバーロール法、ナイフオーバーベルト法、フローティングナイフ法があるが、樹脂の低塗工量化および布帛への樹脂浸透性の面からフローティングナイフ法がより好ましく用いられる。
コーティングを行う際には、図1に示すように、上記したようにベッドボード2など角を有する支持体を用いる。そして、ベッドボードを用いる場合、該ベッドボード2と織物1とのなす角θが40〜80度の範囲内となるように、さらに、織物張力が500〜3000N/mの範囲内となるようにして塗工することが好ましい。コーティングナイフの上流側にベッドボードなど角を有する支持体を配置し、該支持体に織物を沿わしながら搬送しコーティングを行うことで、さらには織物となす角および織物張力をこれらの範囲内とすることで、織物がベッドボードに強くこすりつけられるため、糸束が変形し、その状態で固定することにより、経糸と緯糸との接触面積が増すため、滑脱抵抗力およびER5%が向上し、また平滑な織物となる。
また、該織物1の張力を500〜3000N/mの範囲内にしたうえで、織物に対するナイフ3の接圧を1〜15N/cmの範囲内にすることも好ましい。接圧と織物張力を上記範囲内としてコーティングすると、糸束が変形した状態で固定することができ、かつ、樹脂をより均一に塗布することができ、織物内への樹脂の含浸を最小限にすることもできる。その結果、柔軟性と収納コンパクト性も向上する。
本発明のエアバッグは、上記エアバッグ用コート布帛を袋状に縫製し、インフレーターなどの付属機器を取り付けたものである。本発明のエアバッグは、運転席用、助手席用および後部座席用、側面用エアバッグなどに使用することができる。特に大きな拘束力が求められる運転席用、助手席用エアバッグとして使用することに適する。
次に、実施例により、本発明をさらに詳しく説明する。なお、得られたコート布帛の測定および評価方法としては以下のものを用いた。
[測定方法]
(1)コート布帛の厚さ
JIS L 1096:1999 8.5に則り、試料の異なる5か所について厚さ測定機を用いて、23.5kPaの加圧下、厚さを落ち着かせるために10秒間待った後に厚さを測定し、平均値を算出した。
(2)経糸・緯糸の織密度
JIS L 1096:1999 8.6.1に基づき測定した。試料を平らな台上に置き、不自然なしわや張力を除いて、異なる5か所について2.54cmの区間の経糸および緯糸の本数を数え、それぞれの平均値を算出した。
(3)織物およびコート布帛の目付け
JIS L 1096:1999 8.4.2に則り、20cm×20cmの試験片を3枚採取し、それぞれの質量(g)を量り、その平均値を1m当たりの質量(g/m)で表した。
(4)コート量
ブランク試料として、樹脂を塗布しなかった以外は同様の条件で処理したものを作成した。上記(3)により、ブランク試料の目付けを測定し、コート布帛の目付とブランク試料の目付けとの差をコート量として求めた。
なお、ブランク試料を用意できず、コート布帛のみからコート量を算出するには、コート樹脂に対応した薬剤を用いて樹脂を溶かし、もとのコート布帛重量から樹脂を溶かした後の布帛の重量を差し引き、さらにその値を該コート布帛の面積で除すればよい。
(5)コート布帛の引張強度
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るまでの最大荷重を測定し、経方向及び緯方向のそれぞれについて平均値を算出した。
(6)コート布帛の破断伸度
JIS K 6404−3 6.試験方法B(ストリップ法)に則り、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、幅の両側から糸を取り除いて幅30mmとし、これら試験片の中央部に100mm間隔の標線を付け、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔150mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、切断に至るときの標線間の距離を読み取り、下記式によって、破断伸度を算出し、経方向及び緯方向のそれぞれについて平均値を算出した。
E=[(L−100)/100]×100
ここに、E:破断伸度(%)
L:切断時の標線間の距離(mm)
(7)コート布帛の引裂強力
JIS K 6404−4 6.試験方法B(シングルタング法)に準じ、長辺200mm、短辺76mmの試験片を経、緯、両方にそれぞれ5個の試験片を採取し、試験片の短辺の中央に辺と直角に75mmの切込みを入れ、定速緊張型の試験機にてつかみ間隔75mm、引張速度200mm/minで試験片が引ききるまで引裂き、その時の引裂き荷重を測定した。得られた引裂き荷重のチャート記録線より、最初のピークを除いた極大点の中から大きい順に3点選び、その平均値をとった。最後に経方向及び緯方向のそれぞれについて、平均値を算出した。
(8)コート布帛の通気量
JIS L 1096:1999 8.27.1 A法(フラジール形法)に準じて、試験差圧19.6kPaで試験したときの通気量を測定した。試料の異なる5か所から約20cm×20cmの試験片を採取し、口径100mmの円筒の一端に試験片を取り付け、取り付け箇所から空気の漏れが無いように固定し、レギュレーターを用いて試験差圧19.6kPaに調整し、そのときに試験片を通過する空気量を流量計で計測し、5枚の試験片についての平均値を算出した。
(9)パッカビリティー
ASTM D−6478に準じて、試験片を3枚採取して測定し、その平均値を算出した。
(10)コート布帛における滑脱抵抗力
ASTM D6479−02に準じて、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取して測定し、その平均値を算出した。
(11)ER5%
ASTM D6479−02に準じて、経方向及び緯方向のそれぞれについて、試験片を5枚ずつ採取し、当該5枚の試験片それぞれを、定速緊張型の試験機にて、つかみ間隔200mm、引張速度200mm/minで試験片が切断するまで引っ張り、つかみ間隔の変化量より織物の伸びを算出した。それらから得られるF−Sカーブにおいて、織物の5%伸び時の強力を経方向及び緯方向のそれぞれについて平均値を算出した後、経方向と緯方向の和を算出した。
(12)製織時の経糸張力
金井工機(株)製チェックマスター(登録商標)(形式:CM−200FR)を用い、織機稼動中に経糸ビームとバックローラーとの中間において、経糸一本当たりに加わる張力を測定した。
(13)コーティング時の樹脂粘度
JIS Z8803に基づきB型粘度計で測定した。
(14)総合評価基準
以上の測定方法によって得られた経緯の滑脱抵抗力の値がそれぞれ250N以上、ER5%が300以上を満足する場合を後述する表2において、「○」、いずれかを満足しなかった場合を「×」と評価した。
[実施例1]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が2.57dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度350dtexで、強度8.5cN/dtex、伸度23.5%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、ウォータージェットルームにて、経糸、緯糸の織り密度が54本/2.54cm、の織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、経糸張力を130cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
(精練・セット工程)
次いでこの織物を通常の方法にて精練、乾燥した後、引き続きピンテンター乾燥機を用いて幅入れ率0%、オーバーフィード率0%の寸法規制の下で160℃にて1分間の熱セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物を、フローティングナイフ前にベッドボードが設置された設備にて、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、該織物と該せき板ナイフの接圧を10N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。表1に示すようにこのエアバッグ用コート布帛は、低通気性と滑脱抵抗力に優れており、目標値を満足していた。また、収納時のコンパクト性にも優れていた。
[比較例1]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が4.86dtexの単繊維72フィラメントで構成され、総繊度350dtexで、強度8.5cN/dtex、伸度23.4%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例1と同様のウォータージェットルームを用いて、同様の条件で製織した。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、実施例1と同様のコート設備を用いて、該織物と該せき板ナイフの接圧を10N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、低通気性や収納性には問題ないが、緯方向の滑脱抵抗力が低く、ER5%を満足するものではなかった。
[実施例2]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が3.46dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度23.4%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例1と同様のウォータージェットルームを用いて、経糸、緯糸の織り密度が43本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、経糸張力を150cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例1と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、実施例1と同様のコート設備を用いて、該織物と該せき板ナイフの接圧を12N/cmに保ち、樹脂付着量が15g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、低通気性や滑脱抵抗力おいて、目標値を満足していた。また、収納時のコンパクト性にも優れていた。
[比較例2]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が3.46dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度23.4%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例2と同様のウォータージェットルームを用いて、同様の条件で製織した。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例2と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、ベッドボードを用いない以外は実施例1と同じ設備で、せき板ナイフを用いたフローティングナイフコーターにより、該織物と該せき板ナイフの接圧を0.9N/cmに保ち、樹脂付着量が30g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、低通気性や収納性に問題はなかったが、樹脂付着量が増えているにも関わらず滑脱抵抗力、ER5%において目標値を満足するものではなかった。
[実施例3]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が3.46dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度23.4%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例2と同様のウォータージェットルームを用いて、経糸、緯糸の織り密度が46本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、経糸張力を150cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例2と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、実施例1と同様のコート設備を用いて、該織物と該せき板ナイフの接圧を12N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、低通気性や滑脱抵抗力において、目標値を満足していた。また、収納コンパクト性にも優れていた。
[実施例4]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が3.46dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.6cN/dtex、伸度23.4%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例2と同様のウォータージェットルームを用いて、経糸、緯糸の織り密度が50本/2.54cmの織物を製織した。その際、筬打ち部とフリクションローラーの間にはバーテンプルを設置して織物を把持し、経糸張力を150cN/本に調整し、織機回転数は500rpmとした。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例2と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、実施例1と同様のコート設備を用いて、該織物と該せき板ナイフの接圧を12N/cmに保ち、樹脂付着量が20g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、低通気性や滑脱抵抗力において、目標値を充分に満足していた。
[比較例3]
(経糸・緯糸)
経糸・緯糸として、ナイロン6・6からなり、円形の断面形状を持つ単繊維繊度が3.46dtexの単繊維136フィラメントで構成され、総繊度470dtexで、強度8.5cN/dtex、伸度23.6%で、無撚りの合成繊維フィラメントを使用した。
(製織工程)
上記経糸・緯糸を用い、実施例4と同様のウォータージェットルームを用いて、同様の条件で製織した。
(精練・セット工程)
次いでこの織物に、実施例4と同様の精練・セット加工を施した。
(コート工程)
次いでこの織物に、粘度12Pa・s(12,000cP)の無溶剤系メチルビニルシリコーン樹脂液を、実施例1と同様のコート設備を用いて、該織物と該せき板ナイフの接圧を4N/cmに保ち、樹脂付着量が45g/mになるようにコーティングを行った後、190℃で1分間加硫処理を行い、エアバッグ用コート布帛を得た。
得られたエアバッグ用コート布帛の特性を表1に示す。このエアバッグ用コート布帛は、滑脱抵抗力は問題なかったが、ER5%や収納コンパクト性に問題があった。
Figure 0005003378
本発明のエアバッグ用コート布帛は、エアバッグ用コート布帛に求められる優れた低通気性と収納時のコンパクト性を兼ね備え、滑脱抵抗力にも優れている。そのため、本発明のエアバッグ用コート布帛は、特に運転席用、助手席用、側面衝突用サイドエアバッグなどに好適に用いることができるが、その適用範囲がこれらに限られるものではない。
本発明の一実施態様を示すエアバッグ用コート布帛の製造工程を示す模式図である。
符号の説明
1 織物
2 ベッドボード
3 ナイフ

Claims (9)

  1. 単繊維繊度が1〜4.8dtexの範囲の繊維からなる織物の少なくとも片面に樹脂がコーティングされてなり、厚みが0.31mm以下、目付けが235g/m以下、フラジール形法に基づいて試験差圧19.6kPaで測定したときの通気量が0.1L/cm/min以下、経方向および緯方向の滑脱抵抗力がそれぞれ250N以上、かつ、次の式を満たすことを特徴とするエアバッグ用コート布帛。
    ER5%(経)+ER5%(緯)≧300N
    ER5%:ASTM D6479−02による滑脱抵抗力の測定において、織物の5%伸び時の強力
  2. 前記織物の下記式から求められるカバーファクターが1600〜2500である、請求項1に記載のエアバッグ用コート布帛。
    カバーファクター=((経糸総繊度)×0.9)1/2×(経糸の織密度)+((緯糸総繊度)×0.9)1/2×(緯糸の織密度)
  3. 前記樹脂の付着量が5〜40g/mである、請求項1または2に記載のエアバッグ用コート布帛。
  4. 請求項1〜3のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛を縫製してなることを特徴とするエアバッグ。
  5. 請求項1〜4のいずれかの記載のエアバッグ用コート布帛を製造する方法であって、前記織物を角を有する支持体に沿わして搬送しながら、該織物に前記樹脂をコーティングすることを特徴とするエアバッグ用コート布帛の製造方法。
  6. 前記支持体が、ベッドボードもしくはナイフ状物である、請求項5に記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
  7. 前記支持体がベッドボードであり、該ベッドボードと前記織物とのなす角が40〜80度の範囲内にあり、かつ、コーティング時の前記織物の張力が500〜3000N/mの範囲内である、請求項6に記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
  8. 前記織物の製織時に経糸張力を50〜230cN/本に調整して製織する、請求項5〜7のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
  9. 前記織物の製織時にバーテンプルを使用する、請求項5〜8のいずれかに記載のエアバッグ用コート布帛の製造方法。
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