JP2008081770A - 真空成膜装置の防着体および真空成膜装置 - Google Patents
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Abstract
【課題】メンテナンス及び設置を容易に行うことができると共に、設置の自由度を高めることができる真空成膜装置の防着体および真空成膜装置を提供することを課題とする。
【解決手段】ワークWから外れた蒸発流Aの蒸発粒子を遮蔽して、真空チャンバ2の内壁および/または構成部品への蒸発粒子の付着を阻止するシート状部材71と、シート状部材71を、真空チャンバ2内に保持するシート保持部101と、を備え、シート状部材71は、可とう性を有すると共に蒸発粒子に対し易付着性を有している。
【選択図】図1
【解決手段】ワークWから外れた蒸発流Aの蒸発粒子を遮蔽して、真空チャンバ2の内壁および/または構成部品への蒸発粒子の付着を阻止するシート状部材71と、シート状部材71を、真空チャンバ2内に保持するシート保持部101と、を備え、シート状部材71は、可とう性を有すると共に蒸発粒子に対し易付着性を有している。
【選択図】図1
Description
本発明は、蒸着装置やスパッタ装置等の真空成膜装置において、真空チャンバの内壁および構成部品に汚染物が付着するのを防止する真空成膜装置の防着体および真空成膜装置に関するものである。
この種の真空成膜装置の防着体として、アルミニウムを主成分とした薄板を接着剤によって積層することにより形成された防着板が知られている(特許文献1参照)。この防着板は、真空チャンバの内壁に着脱自在に装着され、処理時に発生した微粒子状の汚染物を遮蔽、捕捉し、これらの汚染物が真空チャンバの内壁に直接付着することを防止している。また、防着体は、定期的に薄板を一枚剥がす、もしくは、防着体全体を交換することにより、メンテナンスを行っている。このような防着体のメンテナンスにより、捕捉された蒸発粒子(汚染物)により生成されるパーティクルの剥離を防止し、剥離したパーティクルが成膜対象物に付着して製品の歩留まりを悪化させることを抑えている。
特開2005−101435号公報
しかしながら、このような防着板の場合、一定の剛性を有しているため、パーティクルが反ると剥離し易く、メンテナンスの頻度を多くする必要があった。また、蒸発粒子の被着部材となる防着板の設置および取り外しが煩雑であるという問題があった。
本発明は、メンテナンス及び設置を容易に行うことができると共に、設置の自由度を高めることができる真空成膜装置の防着体および真空成膜装置を提供することを課題としている。
本発明の真空成膜装置の防着体は、成膜対象物から外れた蒸発流の蒸発粒子を遮蔽して、真空チャンバの内壁および/または構成部品への蒸発粒子の付着を阻止するシート状部材と、シート状部材を、真空チャンバ内に保持するシート保持手段と、を備え、シート状部材は、可とう性を有すると共に蒸発粒子に対し易付着性を有することを特徴とする。
この構成によれば、シート状部材により蒸発粒子が真空チャンバの内壁や構成部品に付着することを抑えることができるため、パーティクル剥離による製品の歩留まり悪化を抑えることができる。また、蒸発粒子の被着部材として、可とう性を有したシート状部材を使用することにより、自由な変形が可能であり、設置の自由度を高めることができると共に、着脱が容易な設置構造を可能とし、メンテナンスにかかる労力を軽減することができる。
この場合、シート状部材は、付着した蒸発粒子により形成されるパーティクルの反りに倣って変形する可とう性を、有していることが好ましい。
この構成によれば、シート状部材がパーティクルの反りに倣って変形することにより、パーティクルが剥離しにくい構造とすることができるため、メンテナンスの頻度を少なくすることができる。
この場合、シート状部材が、アルミ箔であることが好ましい。
この構成によれば、安価なアルミ箔を使用することにより、使い捨てが可能となり、シート状部材の費用が軽減できる。そのため、シート状部材を交換する際にかかる費用を軽減することができ、メンテナンスにかかるコストを抑えることができる。
この場合、シート状部材の厚みが、0.04mmから0.06mmであることが好ましい。
この構成によれば、シート状部材が、設置や取り出し等の際に扱いやすい適度な可とう性と適度な強度(剛性)を有するものとなる。
上記真空成膜装置の防着体において、シート保持手段は、真空チャンバに取り付けられ、シート状部材をカーテン様に吊設する複数のクリップを、有していることが好ましい。
この構成によれば、シート状部材を容易に設置でき、容易に取り外すことができるため、防着体のメンテナンスにおける労力を更に軽減することができる。また、従来のように接着剤を使用することがないため、接着剤使用による成膜処理の不具合を抑えることができる。
上記真空成膜装置の防着体において、シート保持手段は、少なくとも蒸発流側の面にシート状部材を被着した心材板を、有していることが好ましい
この構成によれば、シート状部材を交換することにより、容易に防着体のメンテナンスを行うことができ、防着体のメンテナンスにかかる労力を更に軽減することができる。また、心材板により、真空成膜装置の内壁に立て掛ける等、設置を容易に行うことができる。
上記真空成膜装置の防着体において、シート保持手段は、真空チャンバの底壁に立設され、シート状部材を真空チャンバの内周面に沿うようかつ内壁に立て掛けた状態に保持する複数のロッドを、有していることが好ましい。
この構成によれば、シート状部材の設置および取り外しを容易に行うことができるため、防着体のメンテナンスにかかる労力を更に軽減することができる。また、従来のように接着剤を使用することがないため、接着剤使用による成膜処理の不具合を抑えることができる。
本発明の真空成膜装置は、上記真空成膜装置の防着体を、備えたことを特徴とする。
この構成によれば、設置の自由度が高いと共に、着脱容易な設置構造を可能とする防着体を備えたことにより、防着体のメンテナンスにおける時間およびコストを軽減することができると共に、装置全体として構成の自由度を高くすることができる。
以下、添付図面を参照して、本発明の防着体を適用した真空蒸着装置(真空成膜装置)について説明する。この真空蒸着装置は、内部を真空にした状態で、蒸発材料を蒸発させて、この蒸発粒子をワーク(成膜対象物)に付着、推積させて薄膜を形成する、いわゆる真空蒸着を行うものである。
図1および図2に示すように、真空蒸着装置1は、箱形の真空チャンバ2と、真空チャンバ2に外部から接続され、チャンバ内を真空もしくは大気圧に調整することが可能な圧力調整機構3と、真空チャンバ2の底壁21上に配設され、蒸発粒子を発生させる蒸発材料源4と、蒸発材料源4に対向配置されると共に成膜されるワークWを保持するワーク保持部5と、蒸発材料源4からの蒸発流Aを遮断するシャッタ機構6と、真空チャンバ2の内壁に沿って配設された防着体7と、各装置を統括制御する制御装置(図示省略)と、を備えている。
真空チャンバ2は、天壁20、底壁21、奥壁22および両側壁23,23を有すると共に、正面に図外の開閉扉を有し、箱状に形成されている。真空チャンバ2の側壁23には、チャンバ内部を真空引きするための真空吸引口27と、チャンバ内部に不活性ガスを供給するためのガス供給口28が形成されている。
圧力調整機構3は、真空チャンバ2内部を真空引きする真空吸引機構31と、真空チャンバ2内部に不活性ガスを供給することで、内部圧力を大気圧に調整するガス供給機構32を備えている。
真空吸引機構31は、真空チャンバ2の真空吸引口27に接続されており、真空ポンプ81と、真空吸引口27と真空ポンプ81を接続する真空配管82とを有している。真空配管82には真空チャンバ2側から真空計83、圧力調整バルブ84およびメインバルブ85が介設されている。メインバルブ85は電磁弁で構成されており、メインバルブ85が「開」状態の時、真空チャンバ2と真空ポンプ81が連通するため、この状態において、真空チャンバ2内の真空引きが行われる。
ガス供給機構32は、真空チェンバ2のガス供給口28に接続されており、不活性ガスである窒素ガスを収納するガスボンベ91と、ガスボンベ91とガス供給口28を接続するガス供給管92とを有している。ガス供給管92には、電磁弁で構成されたガスバルブ93および不活性ガスの供給量を制御するためのマスフローコントローラ94が介設されている。これら装置により、ワーク交換等の作業に際し、真空チャンバ2内に不活性ガスを導入することで真空チャンバ2内部を大気圧と同圧にして、開閉扉を開放する。
蒸発材料源4は、蒸発粒子の蒸発流Aを発生させるアルミニウムなどの蒸発材料41と、蒸発材料41を保持するルツボ42を有している。また、蒸発材料源4は、加熱機構を有しており、蒸発材料41を加熱させ、蒸発させることにより、蒸発粒子を発生させる。なお、蒸発材料源4から発生した蒸発流Aは、一定の立体角内で上方放射状に流れる。
ワーク保持部5は、天壁20に設置されており、ワークWをその表面が蒸発材料41側に向く様に上側から保持している。また、本実施形態においては、ワーク保持部5が真空チャンバ2に固定されたものであり、1枚のワークWを保持するものを使用しているが、成膜処理時に回転駆動するものを使用してもよいし、複数枚のワークWをいっしょに保持するものでもよい。
シャッタ機構6は、蒸発材料源4からの蒸発流Aをウォーミングアップ時等において遮断制御するものであり、直接、蒸発流Aを遮断する円板状のシャッタ板61と、シャッタ板61を縁部で支持するシャッタ支持軸62と、シャッタ支持軸62を介して、シャッタ板61を旋回運動させるシャッタモータ63を備えている。シャッタ板61は水平に配設される一方、シャッタ支持軸62は鉛直に配設され、底壁21を貫通したシャッタ支持部62の下端部にシャッタモータ63が連結されている。シャッタモータ63は、真空チャンバ2の外部に配設されており、制御装置(図示省略)の開閉指令により、シャッタ支持軸62を介して、シャッタ板61を、ワークWへの蒸発流Aを完全に遮断する遮断位置と非遮断位置との間で旋回させる。
防着体7は、チャンバ内部で、奥壁22、両側壁23,23および開閉扉に沿わせるように配設されており、アルミ箔(シート状部材)71と、アルミ箔71を保持する複数のクリップ101(シート保持手段)と、を備えている。この防着体7によって、真空チャンバ2の奥壁22、両側壁23,23および開閉扉へ到達する蒸発粒子が遮断、捕捉され、これらの箇所に付着しないようになっている。
アルミ箔71は、厚さが0.04mm〜0.06mmに形成されており、防着体7において蒸発粒子が被着する被着部材として機能するものである。アルミ箔71は、可とう性を有すると共に蒸発粒子に対し易付着性を有しており、これにより、パーティクルが剥離しにくいと共に、自由度の高い設置構造を可能とし、さらに着脱容易な設置構造を可能としている。また、上記厚みのアルミ箔のように、付着した蒸発粒子により形成されるパーティクルの反りに倣って変形する可とう性を有しているものを使用することで、パーティクルの剥離を抑え、アルミ箔71の交換周期を長くしている。
また、シート状部材は、可とう性および易付着性を有していれば、厚さが0.04mm〜0.06mmでなくてもよいし、さらには、アルミ箔71を使用しなくてもよい。しかしながら、本実施形態においては、これらの構成により、シート状部材を扱いやすいように形成し、また安価に形成している。
複数のクリップ101は、奥壁22、両側壁23,23および開閉扉に沿って真空チャンバ2の天壁20に固定されたレール102に取り付けられている。これにより、これらのクリップ101は、アルミ箔71を、奥壁22、両側壁23,23および開閉扉に沿ってカーテン様且つ着脱自在に吊設している。
このような構成により、蒸発粒子の被着部材となるアルミ箔71を容易に設置でき、容易に取り外すことができるため、防着体7のメンテナンスにおける労力を更に軽減することができる。また、従来のように接着剤を使用することがないため、接着剤使用による成膜処理への影響を抑えることができる。
次に、図3および図4を用いて、本発明の第2実施形態に係る真空蒸着装置1について、特に異なる部分を主に説明する。この実施形態において、真空蒸着装置1は、チャンバ内で、奥壁22、両側壁23,23および開閉扉にそれぞれ配設された4つの防着体7を備えている。この場合、各内壁の下部に掛止片103が取り付けられており、これら掛止片103に各防着体7が掛止されている。各掛止片103は、断面L字状に形成されており、各防着体7は掛止片103により、ズレ止めされた状態で各内壁に立て掛けられるようになっている。なお、掛止片103は、メンテナンスを考慮してネジ止め等、簡単に取り外しができる構成とすることが好ましい。
防着体7は、アルミ箔71と、アルミニウム等の金属製の板である心材板104(シート保持手段)を備えている。この心材板104にアルミ箔71を覆装することにより防着体71が形成されている。具体的には、心材板104よりひとまわり大きいアルミ箔71を用意し、アルミ箔71を心材板104の表面にあてがって、周縁を心材板104の裏面に折り込むようにして形成されている。なお、上記厚みのアルミ箔71は一定の剛性を有しているため、折り込むだけで、接着剤は不要である。このような防着体7を使用することにより、蒸発粒子の被着部材となるアルミ箔71を心材板から剥がして交換することで、容易に防着体7のメンテナンスを行うことができる。なお、各内壁に設けた防着体7を複数枚の分割防着体7で構成するようにしてもよい(図5参照)。また、これをジャバラ上に連結してもよい。さらに、幅狭の同一形状の防着体7を多数用意しておき、これを適宜内壁の巾に対応して並べるようにしてもよい。またさらに、掛止片103を各内壁の上段または中段に設けると共に、心材板にもこれに対応する下向きフック片を設け、掛止片103を覆う形態で防着体を内壁に掛け止めするようにしてもよい。このようにすれば掛止片103のメンテナンスが不要となる。
次に、図6を用いて、本発明の第3実施形態に係る真空蒸着装置1について、特に異なる部分を主に説明する。この実施形態において、真空蒸着装置1は、チャンバ内部に配設された防着体7を備えている。
防着体7は、アルミ箔71と、真空チャンバ2の底壁21の四つ隅にそれぞれ着脱自在に立設され、アルミ箔71を真空チャンバの奥壁22、両側壁23,23および開閉扉に沿うよう且つ内壁に立て掛けた状態に保持する4本のロッド106と、真空チャンバ2の外部に配設され、アルミ箔71を巻回した状態から繰出す繰出しリール105と、を備えている。各ロッド106は、内壁の高さと略同一の長さを有する丸棒等で構成され、ネジ等により、底壁21に着脱自在に取り付けられている。ユーザは、アルミ箔71を、繰出しリール105から引き出しつつ、各ロッド106と真空チャンバ2の内壁の間に繰り出していき、繰出しリール105に備えられたカッタ機構(図示省略)により、繰出しリール105の繰出し部付近のアルミ箔71を切断することで、アルミ箔71を真空チャンバ2の当該内壁に沿って配設する。このような構成により、アルミ箔71の交換を極めて容易にすることができる。なお、ロッド106は、自由回転可能なローラ状に構成されていても良い。また、アルミ箔71の端部に位置するロッド106を、自由回転可能なリール状の構成にしたうえでアルミ箔71を巻き付け、繰出しリール105として使用してよい。
これらの構成によれば、蒸発粒子が真空チャンバ2の内壁や構成部品に付着することを抑えることができるため、パーティクル剥離による製品の歩留まり悪化を抑えることができる。また、蒸発粒子の被着部材として、可とう性を有したアルミ箔71を使用することにより、自由度の高い設置を行うことができると共に、着脱が容易な設置構造を可能とし、メンテナンスにかかる労力を軽減することができる。
1:真空蒸着装置、 2:真空チャンバ、 7:防着体、 21:底壁、 71:アルミ箔、 101:クリップ、 104:心材板、 106:ロッド
Claims (8)
- 成膜対象物から外れた蒸発流の蒸発粒子を遮蔽して、真空チャンバの内壁および/または構成部品への前記蒸発粒子の付着を阻止するシート状部材と、
前記シート状部材を、前記真空チャンバ内に保持するシート保持手段と、を備え、
前記シート状部材は、可とう性を有すると共に前記蒸発粒子に対し易付着性を有することを特徴とする真空成膜装置の防着体。 - 前記シート状部材は、付着した前記蒸発粒子により形成されるパーティクルの反りに倣って変形する可とう性を、有していることを特徴とする請求項1に記載の真空成膜装置の防着体。
- 前記シート状部材が、アルミ箔であることを特徴とする請求項1または2に記載の真空成膜装置の防着体。
- 前記シート状部材の厚みが、0.04mmから0.06mmであることを特徴とする請求項3に記載の真空成膜装置の防着体。
- 前記シート保持手段は、前記真空チャンバに取り付けられ、前記シート状部材をカーテン様に吊設する複数のクリップを、有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の真空成膜装置の防着体。
- 前記シート保持手段は、少なくとも前記蒸発流側の面に前記シート状部材を被着した心材板を、有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の真空成膜装置の防着体。
- 前記シート保持手段は、前記真空チャンバの底壁に立設され、前記シート状部材を前記真空チャンバの内周面に沿うようかつ前記内壁に立て掛けた状態に保持する複数のロッドを、有していることを特徴とする請求項1ないし4のいずれかに記載の真空成膜装置の防着体。
- 請求項1ないし7のいずれかに記載の真空成膜装置の防着体を、備えたことを特徴とする真空成膜装置。
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JP2006261309A JP2008081770A (ja) | 2006-09-26 | 2006-09-26 | 真空成膜装置の防着体および真空成膜装置 |
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WO2012073908A1 (ja) * | 2010-12-03 | 2012-06-07 | シャープ株式会社 | 蒸着装置および回収装置 |
JP2020007602A (ja) * | 2018-07-06 | 2020-01-16 | 住友金属鉱山株式会社 | 防着フィルム材及びそれを備えた成膜装置 |
CN114277337A (zh) * | 2021-12-16 | 2022-04-05 | 深圳市华星光电半导体显示技术有限公司 | 蒸镀装置和蒸镀装置的制作方法 |
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